JP2007231257A - ポリプロピレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気相重合法にて発生する微粉量を低減することにより、優れた製品品質を備えたポリプロピレン系重合体を高収率かつ安定に製造する方法の提供。
【解決手段】反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスによってポリプロピレンを製造する方法において、(A1)チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する平均粒径20〜200μmである固体成分、(A2)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物、及び(A3)有機アルミニウム化合物を、−50℃以上200℃以下の温度にて30分以上を接触処理してなる触媒(A)を用いることを特徴とするポリプロピレンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、気相法プロセスによるポリプロピレンの製造方法に関する。更に詳しくは、触媒を特定の条件で処理後、気相法プロセスで重合することにより、高活性であり、微粉が少なく、嵩密度が高く、流動性の良好なポリプロピレン系重合体を高収率かつ安定に製造する方法に関するものである。
ポリプロピレンの製造プロセスは、工程の簡略化と生産コストの低減及び生産性の向上などの観点で技術改良が加えられてきた。ポリプロピレンが工業的に製造され始めた当初は触媒の性能が低く、得られたポリプロピレンから触媒残渣やアタクチックポリマーを除去する工程が必要であり、溶媒を用いたスラリー法などのプロセスが主流であった。その後、触媒性能が格段に進歩するにつれ、現在では気相法プロセスが主流となっている。
各種気相法プロセスの中でも、液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して重合熱を除去する方法は、小さな設備で大きな除熱能力を持つことが出来る点で優位性がある。
この種の反応器は、一般に、液体プロピレンのようなクエンチ液体を反応器の頂部から反応器に注入する。また、反応器にその底部からリサイクル・プロピレンガスを分子量制御のために水素ガスと共に導入する。反応器内のガスと蒸気は、蒸気スペースの全体にわたって自由に循環して相互に混合される。反応器内で発生する反応熱はこの時、液体プロピレンの蒸発潜熱によって除去される。すなわち、反応器の槽上口から注入され、撹拌されながらポリマー粒子や原料ガスと接触し、気化のための熱を吸収し重合反応熱を除去する。この場合に用いられる液体プロピレン量は、生成ポリマー量に比べ数倍必要であり、気化ガス量は非常に多量となる。さらに、プロピレンガスの比熱を利用した除熱方式である流動槽気相重合器の供給プロピレン量は、生成ポリマー量に対し数十倍であり、蒸発潜熱を利用した、オレフィンの気相重合槽の供給プロピレン量は、少量でよいという利点を持つ。
上記のような重合熱を液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して行う方法を利用した、オレフィンの気相重合槽として、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器が知られている。
横型反応器で重合したポリマー粒子は、撹拌反応器中で形成され、重合を進行しながら、撹拌により移動しながら反応器に沿って進む。そのため、他の重合器にない特徴である、完全混合槽を数台直列に並べたフローパターンである、ピストンフロー型を示す。横型反応器系は、長さの直径に対する比率において、2個、3個又はそれ以上の反応器と同等な、固体混合度を容易に達成することができる点で経済的に有利である。
この様に、液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して行う方法を利用した、オレフィンの水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型筒状反応器の利点が挙げられる。
上記プロセスは、比較的容易に実施できるが、近年の触媒技術の進歩により開発された高活性化触媒のプロセスへの適応、それに付随した粉体特性の改良及び微粉量の低減は、微粉のエントレインメントに起因する配管付着等の問題から解決すべき課題を有している。例えば、気化ガスは、反応器の上部槽壁に設置したガス排出管を通過し、コンデンサーにより凝縮され、再度、除熱用の液体冷却材として利用される。液化プロピレンの蒸発潜熱を利用したプロセスでは、多量の気化ガス発生のため、ガス排出管系統のガス流速が大きく、ポリマー粒子の細粒等が気化ガスに同伴され(エントレインメント現象)、ガス排出管系統のパイプ内やフィルターに付着したり、あるいはこれらを閉塞したりすることはやはり避けられない。ひどい場合には、工程を停止し清掃することもあり得る。そのため、該横型反応器上部から排出される未反応ガス及び冷却蒸気の通過する分離室を設け、該分離室内に液体冷却剤を噴霧する等の方法により微粉量を削減する方法も提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。
しかし、生産ペースを増加する場合では気化ガス量が多くなり、ひどい場合は分離室直径が反応器直径程度に等しい程度のものでない限り微粉を分離できない、または、付帯設備を更に多くしなければいけないという欠点が生じる。
また、高重合活性を発現する気相重合では、重合時の固体状触媒成分の崩壊により形状の悪化、微粉の生成、粉体特性の悪化といった問題が生じる。
さらに、ポリマー粉粒体容器内の滞留時間の均一化を図るために、矩型状の平パドルが水平な回転軸上に多数取り付けられた横型一軸式の撹拌手段(例えば、特許文献2等参照。)、1以上の回転堰が回転軸に固定された連続処理のできうる撹拌装置(例えば、特許文献3等参照。)、または、容器内壁に回転軸と垂直に固定された固定堰により分割された容器をもつ撹拌装置(例えば、特許文献4等参照。)等様々な技術、方法が知られている。このような公知の技術により水平撹拌床反応器系は、滞留時間の均一化が図られ、撹拌装置内でのショートパス粒子、微粉量の低減が図られてきた。
液化プロピレンを媒体として用いるバルク法や、ヘキサンやヘプタンに代表される飽和炭化水素溶媒などの不活性溶媒を媒体として用いるスラリー法の場合、反応場に液体が存在する為エントレインメントが生じにくい。
また、「(i)反応器からガスを取り出し、(ii)反応器の外部に設置された熱交換器に導いてこのガスを冷却し、(iii)冷却したガスを再び反応器に戻す」という手法を主に用いて反応熱を除去する気相法プロセスの場合、液化プロピレンの潜熱を主に用いて反応熱を除去する気相法プロセスと比較して、一般的にプロピレン分圧が低く触媒活性が低い為に比較的微粉が発生しづらい。
従って、小さい設備で大きな生産能力を持ち、かつ、高い触媒活性を得る事が出来るという長所を有する「液化プロピレンの潜熱を主に用いて反応熱を除去する気相法プロセス」において、トラブルに繋がり得る微粉発生量を抑える技術の開発が望まれている。
一方、触媒を改良することにより、この課題を解決する方法も提案されている。例えば、マグネシウム化合物とアルコールの溶融混合物をスプレーし、混合物を得た後、ハロゲン含有成分を固体触媒に担持する方法(例えば、特許文献5参照。)、Si−O−C結合を有する特定のシラン化合物を用いることを特徴とする方法も提案されている。また、触媒を予備重合する方法も公知であり、エチレン予備重合を行う特定の触媒成分を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。さらに、気相重合反応器より高い圧力で予備重合を実施する方法も提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
しかし、これらの方法は付帯施設、また、余分なユーティリティーが必要である。また、それらの多くは液化プロピレンを用いて除熱を行う気相法プロセスに対する適正に充分な性能を示すものではなく、重合活性、粉体特性、微粉発生量等において更なる改良が望まれている。
特開昭63−199203号公報 特開昭63−23721号公報 特開昭59−22321号公報 特開昭60−48231号公報 特開平8−127615号公報 特開平5−117317号公報 特開平6−122724号公報
本発明の目的は、従来技術における問題点である気相重合法にて発生する微粉量を低減することにより、優れた製品品質を備えたポリプロピレン系重合体を高収率かつ安定に製造する方法を実現することを発明の課題とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の成分を特定の条件で接触処理した触媒を用いることにより、触媒活性が均一となり、ポリマーが比較的均一に生成し、この結果、破砕しにくく微粉の発生量の少ないポリプロピレンが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスによってポリプロピレンを製造する方法において、下記の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を、不活性ガスの雰囲気下で−50℃以上200℃以下の温度にて30分以上接触処理してなる触媒(A)を用いることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する平均粒径20〜200μmである固体成分
成分(A2):アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
成分(A3):有機アルミニウム化合物
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分(A2)のアルコキシ基を有するケイ素化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
Si(OR …(1)
(一般式(1)中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基を表す。0≦a≦2,1≦b≦3,a+b=3である。)
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、成分(A2)の少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
O−C(R−C(R−C(R−OR …(2)
(一般式(2)中、R及びRは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分(A3)有機アルミニウム化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
AlX(OR …(3)
(一般式(3)中、Rは炭化水素基を表す。Xはハロゲン若しくは水素を表す。Rは炭化水素基若しくはAlによる架橋基を表す。c≧1、0≦d≦2、0≦e≦2、c+d+e=3である。)
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、気相法プロセスが、攪拌機を有する反応器を用いて行われることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、攪拌機を有する反応器が、内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、触媒(A)が、更にビニルシラン化合物(A4)を接触処理してなることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、成分(A1)が、更に電子供与体を含むことを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、触媒(A)に少量のオレフィンを接触させ、触媒に対して0.001〜100倍量の重合体を生成させる予備重合工程を有することを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、単位時間当たりの粒径100μm以下の微粉発生量が、生産量に対して0.10g/kg以下であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第1〜10のいずれかの発明において、触媒の活性が、プロピレン単独の重合において、20,000gPP/h・g触媒以上50,000gPP/h・g触媒以下であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明において、固体成分(A1)及び触媒(A)の粒子の均一度が、1.1以上2.0以下であることを特徴とするポリプロピレンの製造方法が提供される。
本発明のポリプロピレンの製造方法は、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスにより行われ、特定の成分を予め接触処理した触媒を用いることにより微粉の発生量を抑えることができるので、多量の気化ガスが発生し、微粉が気化ガスに同伴されやすい気相法プロセスにおいて、工業的に生産性よくポリプロピレンを製造することが可能となる。また、気相法プロセスは、攪拌機を用いる場合、ポリマーと攪拌機との物理接触により、より微粉量が増大する傾向にあるが、本発明の特定の成分を予め接触処理した触媒を用いることにより、さらに微粉の発生量を抑えることができる。
さらに、得られる重合パウダーのモルフォロジーは良好であり、微粉量の低減によりガス排出管系統への負荷低減及び重合器、下流系の運転をより安定に高めることが可能となり、さらに、触媒活性も高く、製造コストも抑えることが出来、経済的なプロセスである。
本発明は、(A1):(A1a)チタン、(A1b)マグネシウム及び(A1c)ハロゲンを必須成分とし、必要に応じて、(A1d)電子供与体を含有する平均粒径が20〜200μmである固体成分、(A2):(A2a)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、(A2b)少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物、(A3):有機アルミニウム化合物、必要に応じて、(A4):ビニルシラン化合物を、不活性ガスの雰囲気下で−50℃〜200℃の温度にて30分以上接触処理してなる触媒(A)、又は必要に応じて予備重合を行った触媒(A)を用い、気相法プロセス、好ましくは攪拌機を有する反応器を用いた気相法プロセスによりポリプロピレンを製造する方法である。以下に触媒、製造方法等について、詳細に説明する。
なお、本発明で得られるポリプロピレンは、プロピレン単独重合体、2種以上のオレフィン重合体成分を含むランダム共重合体及びブロック共重合体、並びに、プロピレン重合用触媒に少量のオレフィンを接触させる予備重合工程を少なくとも経て得られる予備重合触媒中に担持されているオレフィン重合体成分と、該予備重合触媒をプロピレン製造用触媒の主成分として用いて重合されたプロピレン重合体成分、とを含むプロピレン重合体をも包含しており、以下ポリプロピレンとの記述はこうした意味で用いる。また、本発明で用いる「オレフィン」としては、特に限定はされないが、炭素数2〜12のオレフィン、特に炭素数2〜12のα−オレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、なかでも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンを用いることがより好ましく、これらのオレフィンは1種のみならず2種以上を用いることも可能である。
1.触媒(A)
本発明のプロピレンの製造方法は、重合触媒として、下記の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を不活性ガスの雰囲気下で−50℃以上200℃以下の温度にて30分以上接触処理した触媒(A)を用いることを一つの特徴とする。
(1)成分(A1)の構成成分
(A1a)チタン
チタン源となるチタン化合物としては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。チタンの価数に関しては、4価、3価、2価、0価の任意の価数を持つチタン化合物を用いることが出来るが、好ましくは4価および3価のチタン化合物、更に好ましくは4価のチタン化合物を用いることが望ましい。
4価のチタン化合物の具体例としては、四塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類、テトラブトキシチタンに代表されるアルコキシチタン化合物類、テトラブトキシチタンダイマー(BuO)Ti−O−Ti(OBu)に代表されるTi−O−Ti結合を有するアルコキシチタンの縮合化合物類、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライドに代表される有機金属チタン化合物類、などを挙げることが出来る。
好ましい4価のチタン化合物としては、一般式Ti(OR)4−p(ここで、Rは炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、pは0≦p≦4である。)で表される化合物が挙げられる。中でもハロゲンを含む4価のチタン化合物がより好ましい。
ハロゲンを含む4価のチタン化合物の具体例としては、TiCl、TiBr、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(O−nCCl、Ti(O−nCCl、Ti(OC)Cl、Ti(O−iCCl、Ti(O−nC、Ti(O−iC、Ti(O−nC13、Ti(O−nC17などが挙げられる。
また、TiX’(ここで、X’はハロゲンを示す。)に後述する電子供与体を反応させた分子化合物をチタン源として用いることもできる。そのような分子化合物の具体例としては、TiCl・CHCOC、TiCl・CHCO、TiCl・CNO、TiCl・CHCOCl、TiCl・CCOCl、TiCl・CCO、TiCl・ClCOC、TiCl・COなどが挙げられる。
これらの中で、四塩化チタンとテトラブトキシチタンが特に好ましい。
3価のチタン化合物の具体例としては、三塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類を挙げることが出来る。三塩化チタンは、水素還元型、金属アルミニウム還元型、金属チタン還元型、有機アルミニウム還元型、など、公知の任意の方法で製造された化合物を用いることが出来る。
上記のチタン化合物類は単独で用いるだけではなく、複数の化合物を併用する事も可能である。
(A1b)マグネシウム
マグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、塩化マグネシウムに代表されるハロゲン化マグネシウム化合物類、ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシマグネシウム化合物類、金属マグネシウム、酸化マグネシウムに代表されるオキシマグネシウム化合物類、水酸化マグネシウムに代表されるヒドロキシマグネシウム化合物類、ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール化合物類、ブチルオクチルマグネシウムに代表される有機金属マグネシウム化合物類、炭酸マグネシウムやステアリン酸マグネシウムに代表される無機酸及び有機酸のマグネシウム塩化合物類及びそれらの混合物や平均組成式がそれらの混合された式となる化合物(例えば、Mg(OEt)Cl2−m;0<m<2などの化合物)、などを用いることが出来る。これらの中で特に好ましいのは、塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、金属マグネシウム、ブチルマグネシウムクロライドである。
(A1c)ハロゲン
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、及びそれらの混合物を用いることが出来る。これらの中では塩素が特に好ましい。
ハロゲンは、上記のチタン化合物類及び/又はマグネシウム化合物から供給されるのが一般的であるが、その他の化合物より供給することも出来る。代表的な例としては、四塩化ケイ素に代表されるハロゲン化ケイ素化合物類、塩化アルミニウムに代表されるハロゲン化アルミニウム化合物類、1,2−ジクロロエタンやベンジルクロライドに代表されるハロゲン化有機化合物類、トリクロロボランに代表されるハロゲン化ボラン化合物類、五塩化リンに代表されるハロゲン化リン化合物類、六塩化タングステンに代表されるハロゲン化タングステン化合物類、五塩化モリブデンに代表されるハロゲン化モリブデン化合物類、などを挙げることが出来る。これらの化合物は単独で用いるだけでなく、併用することも可能である。この中で、四塩化ケイ素が特に好ましい。
(A1d)電子供与体
本発明の固体成分(A1)には、上記のチタン、マグネシウム、ハロゲンの他、触媒の性能を妨げない範囲で、必要に応じて、電子供与体を含むことができる。
電子供与体の代表的な例としては、特開2004−124090号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物類、エーテル化合物類、ケトン化合物類、アルデヒド化合物類、アルコール化合物類、アミン化合物類、などを用いることが望ましい。
電子供与体として用いることの出来る有機酸化合物としては、フタル酸に代表される芳香族多価カルボン酸化合物類、安息香酸に代表される芳香族カルボン酸化合物類、2−n−ブチル−マロン酸の様な2位に一つ又は二つの置換基を有するマロン酸や2−n−ブチル−コハク酸の様な2位に一つ又は二つの置換基若しくは2位と3位にそれぞれ一つ以上の置換基を有するコハク酸に代表される脂肪族多価カルボン酸化合物類、プロピオン酸に代表される脂肪族カルボン酸化合物類、ベンゼンスルホン酸やメタンスルホン酸に代表される芳香族及び脂肪族のスルホン酸化合物類、などを例示することが出来る。これらのカルボン酸化合物類及びスルホン酸化合物類は、芳香族・脂肪族に関わらず、マレイン酸の様に分子中の任意の場所に任意の数だけ不飽和結合を有しても良い。
電子供与体として用いることの出来る有機酸の誘導体化合物としては、上記有機酸のエステル、酸無水物、酸ハライド、アミド、などを例示することが出来る。
上記エステルの構成要素であるアルコールとしては、脂肪族及び芳香族アルコールを用いることが出来る。これらのアルコールの中でも、エチル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、等の炭素数1から20の脂肪族の遊離基からなるアルコールが好ましい。更に好ましくは炭素数2から12の脂肪族の遊離基からなるアルコールが望ましい。また、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、等の脂環式の遊離基からなるアルコールを用いることも出来る。
上記酸ハライドの構成要素であるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、等を用いることが出来る。中でも、塩素が最も好ましい。多価有機酸のポリハライドの場合は複数のハロゲンが同一であっても異なっていても良い。
上記アミドの構成要素であるアミンとしては、脂肪族及び芳香族アミンを用いることが出来る。これらのアミンの中でも、アンモニア、エチルアミンやジブチルアミンに代表される脂肪族アミン、アニリンやベンジルアミンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有するアミン、などを好ましい化合物として例示することが出来る。
電子供与体として用いることの出来る無機酸化合物としては、炭酸、リン酸、ケイ酸、硫酸、硝酸、などを例示することが出来る。これらの無機酸の誘導体化合物としては、エステルを用いることが望ましい。テトラエトキシシラン(ケイ酸エチル)、テトラブトキシシラン(ケイ酸ブチル)、リン酸トリブチルなどを具体例として挙げることが出来る。
電子供与体として用いることの出来るエーテル化合物としては、ジブチルエーテルに代表される脂肪族エーテル化合物類、ジフェニルエーテルに代表される芳香族エーテル化合物類、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパンや2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンの様な2位に一つ又は二つの置換基を有する1,3−ジメトキシプロパンに代表される脂肪族多価エーテル化合物類、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、に代表される芳香族の遊離基を分子内に有する多価エーテル化合物類等を例示する事が出来る。多価エーテル化合物類の好ましい例としては、後述の少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)の例示からから選ぶことが出来る。
電子供与体として用いることの出来るケトン化合物としては、メチルエチルケトンに代表される脂肪族ケトン化合物類、アセトフェノンに代表される芳香族ケトン化合物類、2,2,4,6,6−ペンタメチル−3,5−ヘプタンジオンに代表される多価ケトン化合物類、などを例示することが出来る。
電子供与体として用いることの出来るアルデヒド化合物としては、プロピオンアルデヒドに代表される脂肪族アルデヒド化合物類、ベンズアルデヒドに代表される芳香族アルデヒド化合物類、などを例示することが出来る。
電子供与体として用いることの出来るアルコール化合物としては、ブタノールや2−エチルヘキサノールに代表される脂肪族アルコール化合物類、フェノール、クレゾールに代表されるフェノール誘導体化合物類、グリセリンや1,1’−ビ−2−ナフトールに代表される脂肪族若しくは芳香族の多価アルコール化合物類、などを例示することが出来る。
電子供与体として用いることの出来るアミン化合物としては、ジエチルアミンに代表される脂肪族アミン化合物類、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジンに代表される窒素含有脂環式化合物類、アニリンに代表される芳香族アミン化合物類、ピリジンに代表される窒素原子含有芳香族化合物類、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロパンに代表される多価アミン化合物類、などを例示することが出来る。
また、電子供与体として用いることの出来る化合物として、上記の複数の官能基を同一分子内に含有する化合物を用いることも出来る。その様な化合物の例として、酢酸−(2−エトキシエチル)や3−エトキシ−2−t−ブチルプロピオン酸エチルに代表されるアルコキシ基を分子内に有するエステル化合物類、2−ベンゾイル−安息香酸エチルに代表されるケトエステル化合物類、(1−t−ブチル−2−メトキシエチル)メチルケトンに代表されるケトエーテル化合物類、N,N−ジメチル−2,2−ジメチル−3−メトキシプロピルアミンに代表されるアミノエーテル化合物類、エポキシクロロプロパンに代表されるハロゲノエーテル化合物類、などを挙げることが出来る。
これらの電子供与体は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。これらの中で好ましいのは、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチルに代表されるフタル酸エステル化合物類、フタロイルジクロライドに代表されるフタル酸ハライド化合物類、2−n−ブチル−マロン酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基を有するマロン酸エステル化合物類、2−n−ブチル−コハク酸ジエチルの様な2位に一つ又は二つの置換基若しくは2位と3位にそれぞれ一つ以上の置換基を有するコハク酸エステル化合物類、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパンや2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンの様な2位に一つ又は二つの置換基を有する1,3−ジメトキシプロパンに代表される脂肪族多価エーテル化合物類、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンに代表される芳香族の遊離基を分子内に有する多価エーテル化合物類などである。
本発明における固体成分(A1)を構成する各成分の使用量の量比は、本発明の効果を損なわない範囲で任意のものでありうるが、一般的には、次の範囲内が好ましい。
チタン化合物類の使用量は、使用するマグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(チタン化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.0001から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01から10の範囲内が望ましい。
ハロゲンの使用量は、マグネシウム化合物類及びチタン化合物類の各々がハロゲンを含むか含まないかに関わらず、使用するマグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(ハロゲン源となる化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
電子供与体を用いる場合の使用量は、使用するマグネシウム化合物の量に対してモル比(電子供与体のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.001から10の範囲内であり、特に好ましくは0.01から5の範囲内が望ましい。
また、固体成分(A1)の調製の際には、中間及び/又は最後に不活性溶媒で洗浄を行っても良い。好ましい溶媒種としては、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物、及び、1,2−ジクロロエチレンやクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素化合物、などを例示することが出来る。
さらに、本発明の固体成分(A1)は、平均粒径が20〜200μmであり、下限は25μm以上が好ましく、30μm以上がさらに好ましい。また、上限は180μm以下が好ましく、150μm以下がさらに好ましい。平均粒径が上記範囲より著しく小さい場合、微粉ポリマーが生成し易い傾向にあり、上記範囲より著しく大きい場合、生成するポリマーが大きすぎて、却って攪拌時の破砕によって微粉が発生しやすい傾向にある。
また、固体成分(A1)の均一度は、2.0以下を有するものが好ましい。均一度とは、粉体の粒度測定における、10%篩下の粒度と60%篩下の粒度の比である。均一度が大きくなると微粉が発生しやすい傾向であり、また、運転性上パウダー流動性も悪化し、連続での安定運転が困難となる。均一度の下限は1であるが、製造上の観点から均一度は1.1以上が好ましい。
本発明における固体成分(A1)の調製方法は、上記各成分を接触させて得られるが、その平均粒径が20〜200μmの範囲に調整される限り任意の方法を用いることが出来る。接触条件としては、接触温度は、−50から200℃程度、好ましくは0から150℃である。接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、並びに、不活性溶媒の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することが出来る。具体的には、下記の(i)〜(vii)として説明する方法を例示することが出来る。なお、本発明は下記例示により何ら制限されるものではない。
(i)共粉砕法
塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物をチタン化合物と共粉砕する事により、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する方法。必要に応じて電子供与体等の任意成分と同時に、又は、別工程で共粉砕しても良い。機械的粉砕方法としては、回転ボールミルや振動ミル等の任意の粉砕機を用いる事が出来る。溶媒を用いない乾式粉砕法だけでなく、不活性溶媒共存下で共粉砕する湿式粉砕法を用いる事も出来る。
(ii)加熱処理法
塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物とチタン化合物を不活性溶媒中で撹拌する事により接触処理を行い、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する方法。チタン化合物として四塩化チタンなどの液状の化合物を用いる場合は、不活性溶媒なしで接触処理する事も出来る。必要に応じて電子供与体やハロゲン化ケイ素化合物等の任意成分を同時に、又は、別工程で接触させても良い。接触温度に特に制限はないが、90℃から130℃程度の比較的高い温度で接触処理する方が好ましい場合が多い。
(iii)溶解析出法
塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物を電子供与体と接触させる事により溶解し、生じた溶解液と析出剤を接触させて析出反応を起こす事により粒子形成を行う方法。溶解に用いる電子供与体の例としては、アルコール化合物類、エポキシ化合物類、リン酸エステル化合物類、アルコキシ基を有するケイ素化合物類、アルコキシ基を有するチタン化合物類、エーテル化合物類などを挙げる事が出来る。析出剤の例としては、ハロゲン化チタン化合物類、ハロゲン化ケイ素化合物類、塩化水素、ハロゲン含有炭化水素化合物類、Si−H結合を有するシロキサン化合物類(ポリシロキサン化合物類を含む)、アルミニウム化合物類、などを例示する事が出来る。溶解液と析出剤の接触方法としては、溶解液に析出剤を添加しても良いし、析出剤に溶解液を添加しても良い。溶解、析出のどちらの工程でもチタン化合物を用いない場合は、析出反応により形成した粒子を更にチタン化合物と接触させる事により、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。この際、電子供与体は溶解に用いるものとは異なっていても良いし、同じであっても良い。これらの任意成分の接触順序については特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、溶解、析出、チタン化合物類との接触の際に一緒に接触させる事も出来る。また、溶解、析出、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
(iv)造粒法
溶解析出法と同様に塩化マグネシウムに代表されるハロゲンを含有するマグネシウム化合物を電子供与体と接触させる事により溶解し、生じた溶解液を主に物理的な手法により造粒する方法。溶解に用いる電子供与体の例は溶解析出法の例に同じ。造粒手法の例としては、高温の溶解液を低温の不活性溶媒中に滴下する方法、高温の気相部に向かって溶解液をノズルから噴き出して乾燥する方法、低温の気相部に向かって溶解液をノズルから噴き出して冷却する方法、などを挙げる事が出来る。造粒により形成した粒子をチタン化合物と接触させる事により、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に、必要に応じて、ハロゲン化ケイ素化合物類、電子供与体、などの任意成分と接触させても良い。この際、電子供与体は溶解に用いるものとは異なっていても良いし、同じであっても良い。これらの任意成分の接触順序については特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、溶解やチタン化合物との接触の際に一緒に接触させる事も出来る。また、溶解、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
(v)Mg化合物のハロゲン化法
ハロゲンを含有しないマグネシウム化合物に対して、ハロゲン化剤を接触させてハロゲン化する方法。ハロゲンを含有しないマグネシウム化合物の例としては、ジアルコキシマグネシウム化合物類、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、脂肪酸のマグネシウム塩、などを挙げる事が出来る。ジアルコキシマグネシウム化合物類を用いる場合は、金属マグネシウムとアルコールとの反応により系中で調製したものを用いる事も出来る。この調製法を用いる場合は、出発原料であるハロゲンを含まないマグネシウム化合物の段階で造粒等により粒子形成を行うのが一般的である。ハロゲン化剤の例としては、ハロゲン化チタン化合物類、ハロゲン化ケイ素化合物類、ハロゲン化リン化合物類、などを挙げる事が出来る。
ハロゲン化剤としてハロゲン化チタン化合物類を用いない場合は、ハロゲン化により形成したハロゲン含有マグネシウム化合物を更にチタン化合物と接触させる事により、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。これらの任意成分の接触順序については特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、ハロゲンを含まないマグネシウム化合物のハロゲン化やチタン化合物類との接触の際に一緒に接触させる事も出来る。また、ハロゲン化、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
(vi)有機マグネシウム化合物からの析出法
ブチルマグネシウムクロライドに代表されるグリニャール試薬、ジアルキルマグネシウム化合物、などの有機マグネシウム化合物類の溶液に析出剤を接触させる方法。析出剤の例としては、チタン化合物類、ケイ素化合物類、塩化水素、などを挙げる事が出来る。析出剤としてチタン化合物を用いない場合は、析出反応により形成した粒子を更にチタン化合物と接触させる事により、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。これらの任意成分の接触順序については特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、析出やチタン化合物類との接触の際に一緒に接触させる事も出来る。また、析出、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
(vii)含浸法
有機マグネシウム化合物類の溶液、若しくは、マグネシウム化合物を電子供与体で溶解した溶液を、無機化合物の担体、若しくは、有機化合物の担体に含浸させる方法。有機マグネシウム化合物類の例は有機マグネシウム化合物からの析出法の例に同じ。マグネシウム化合物の溶解に用いるマグネシウム化合物は、ハロゲンを含んでいても含んでいなくても良く、電子供与体の例は溶解析出法の例に同じ。無機化合物の担体の例としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、などを挙げる事が出来る。有機化合物の担体の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、などを挙げる事が出来る。含浸処理後の担体粒子は、析出剤との化学反応や乾燥等の物理的処理によりマグネシウム化合物を析出させて固定化する。析出剤の例は溶解析出法の例に同じ。析出剤としてチタン化合物を用いない場合は、こうして形成した粒子を更にチタン化合物と接触させる事により、マグネシウム化合物上にチタン化合物を担持する。
更に必要に応じて、こうして形成した粒子をハロゲン化チタン化合物類やハロゲン化ケイ素化合物類などの任意成分と接触させても良く、電子供与体と接触させても良い。これらの任意成分の接触順序については特に制限はなく、独立工程として接触させても良いし、含浸、析出、乾燥、チタン化合物類との接触の際に一緒に接触させることも出来る。また、含浸、析出、チタン化合物類との接触、任意成分との接触、のいずれの工程においても、不活性溶媒が存在しても良い。
(viii)複合法
上記(i)から(vii)に記載した方法を組み合わせて用いることも出来る。組み合わせの例としては、「塩化マグネシウムを電子供与体と共粉砕した後にハロゲン化チタン化合物類と加熱処理する方法」、「塩化マグネシウム化合物を電子供与体と共粉砕した後に別の電子供与体を用いて溶解し、更に析出剤を用いて析出する方法」、「ジアルコキシマグネシウム化合物を電子供与体により溶解し、ハロゲン化チタン化合物類と接触させる事により析出させると同時にマグネシウム化合物をハロゲン化する方法」、「ジアルコキシマグネシウム化合物に二酸化炭素を接触させる事により、炭酸エステルマグネシウム化合物類を生成すると同時に溶解し、形成した溶解液をシリカに含浸させ、その後塩化水素と接触させることによりマグネシウム化合物をハロゲン化すると同時に析出固定化し、更にハロゲン化チタン化合物類と接触させる事によりチタン化合物を担持する方法」、などを挙げることが出来る。
(2)成分(A2)の構成成分
(A2a)アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物
本発明で用いることの出来るアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2a)としては、例えば、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(1)にて表される化合物を挙げることができる。
Si(OR …(1)
(一般式(1)中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基を表す。0≦a≦2,1≦b≦3,a+b=3である。)
一般式(1)において、Rとして用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数3から10のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。より好ましくは、Rとして分岐状脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基を用いる事が望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素から選ばれる事が望ましく、とりわけ、窒素又は酸素である事が望ましい。Rのヘテロ原子含有炭化水素基の骨格構造としては、Rが炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
として用いることの出来るハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示する事が出来る。Rが炭化水素基である場合は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、テキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
がヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、Rがヘテロ原子含有炭化水素基である場合の例示から選ぶことが望ましい。とりわけ、N,N−ジエチルアミノ基、キノリノ基、イソキノリノ基、などが好ましい。
aの値が2の場合、二つあるRは同一であっても異なっても良い。また、aの値に関わらず、RはRと同一であっても異なっても良い。
として用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から5のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、メチル基やエチル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、などを挙げることが出来る。中でも、メチル基とエチル基が最も好ましい。bの値が2以上である場合、複数存在するRは同一であっても異なっても良い。
本発明で用いることの出来る有機ケイ素化合物(A2a)の好ましい例としては、t−Bu(Me)Si(OMe)、t−Bu(Me)Si(OEt)、t−Bu(Et)Si(OMe)、t−Bu(n−Pr)Si(OMe)、c−Hex(Me)Si(OMe)、c−Hex(Et)Si(OMe)、c−PenSi(OMe)、i−PrSi(OMe)、i−BuSi(OMe)、i−Pr(i−Bu)Si(OMe)、n−Pr(Me)Si(OMe)、ThexylSi(OMe)、t−BuSi(OEt)、(EtN)Si(OMe)、EtN−Si(OEt)3、
Figure 2007231257
などを挙げることが出来る。
これらの有機ケイ素化合物類は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
(A2b)少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
本発明で用いることの出来る少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)としては、例えば、特開平3−294302号公報及び特開平8−333413号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(2)にて表される化合物を挙げることができる。
O−C(R−C(R−C(R−OR …(2)
(一般式(2)中、R及びRは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
一般式(2)中、Rは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。
として用いることの出来る炭化水素基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。Rとして用いることの出来る炭化水素基の具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。より好ましくは、Rとして分岐状脂肪族炭化水素基若しくは脂環式炭化水素基を用いる事が望ましく、とりわけ、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などを用いることが望ましい。
二つのRは結合して一つ以上の環を形成しても良い。この際、環構造中に2個又は3個の不飽和結合を含むシクロポリエン系構造を取る事も出来る。また、他の環式構造と縮合していても良い。単環式、複環式、縮合の有無に関わらず、環上に炭化水素基を置換基として1つ以上有していても良い。環上の置換基は、一般に炭素数1から20、好ましくは炭素数1から10のものである。具体的な例としては、n−プロピル基に代表される直鎖状脂肪族炭化水素基、i−プロピル基やt−ブチル基に代表される分岐状脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基やシクロヘキシル基に代表される脂環式炭化水素基、フェニル基に代表される芳香族炭化水素基、などを挙げる事が出来る。
一般式(2)中、Rは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。具体的には、RはRの例示から選ぶ事が出来る。好ましくは水素である。
は炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。具体的には、RはRが炭化水素基である場合の例示から選ぶ事が出来る。好ましくは、炭素数1から6の炭化水素基である事が望ましく、更に好ましくはアルキル基である事が望ましい。最も好ましくはメチル基である。
からRがヘテロ原子含有炭化水素基である場合は、ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素から選ばれる事が望ましい。また、RからRが炭化水素基であるかヘテロ原子含有炭化水素基であるかに関わらず、任意にハロゲンを含んでいても良い。RからRがヘテロ原子及び/又はハロゲンを含む場合、その骨格構造は炭化水素基である場合の例示から選ばれる事が望ましい。また、RからRの八個の置換基はお互いに同一であっても異なっても良い。
本発明で用いることの出来る少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)の好ましい例としては、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジエトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−tert−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−1,8−ジクロロフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−2,7−ジシクロペンチルフルオレン、9,9−ビス(メトキシメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロフルオレン、1,1−ビス(1’−ブトキシエチル)シクロペンタジエン、1,1−ビス(α−メトキシベンジル)インデン、1,1−ビス(フェノキシメチル)−3,6−ジシクロヘキシルインデン、1,1−ビス(メトキシメチル)ベンゾナフテン、7,7−ビス(メトキシメチル)−2,5−ノボルナジネン、などを挙げることが出来る。中でも、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン、が特に好ましい。
これらの少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。また、固体触媒成分(A1)中の任意成分である電子供与体として用いられる多価エーテル化合物と同一であっても異なっても良い。
アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2a)の使用量は、成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比で(アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2a)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)を用いる場合の使用量は、成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1から100の範囲内が望ましい。
(3)成分(A3)有機アルミニウム化合物
本発明で用いることの出来る有機アルミニウム化合物(A3)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(3)にて表される化合物を挙げることができる。
AlX(OR …(3)
(一般式(3)中、Rは炭化水素基を表す。Xはハロゲン若しくは水素を表す。Rは炭化水素基若しくはAlによる架橋基を表す。c≧1,0≦d≦2,0≦e≦2,c+d+e=3である。)
一般式(3)中、Rは炭化水素基であり、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1から8、特に好ましくは炭素数1から6、のものを用いることが望ましい。Rの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、などを挙げることが出来る。この中で、メチル基、エチル基、イソブチル基、が最も好ましい。
Xはハロゲン若しくは水素である。Xとして用いる事の出来るハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することが出来る。この中で、塩素が特に好ましい。
は炭化水素基若しくはアルミニウム原子による架橋基である。Rが炭化水素基である場合には、Rの炭化水素基の例示と同じ群からRを選択することが出来る。また、有機アルミニウム化合物としてメチルアルモキサンに代表されるアルモキサン化合物類を用いることも可能であり、その場合Rはアルミニウム原子による架橋基を表す。
有機アルミニウム化合物(A3)として用いることの出来る化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、メチルアルモキサン、などを挙げることが出来る。中でも、トリエチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウム化合物(A3)は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
有機アルミニウム化合物(A3)の使用量は、成分(A)を構成するチタン成分に対するモル比(有機アルミニウム化合物(A3)のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは1から5,000の範囲内であり、特に好ましくは10から500の範囲内が望ましい。
(4)(A4)ビニルシラン化合物
本発明に用いられる触媒(A)は、上述の各成分の他に、ビニルシラン化合物(A4)を接触処理することが好ましい。
本発明に用いられるビニルシラン化合物は、分子内に少なくとも1つのビニル基を有するシラン化合物であるが、好ましくは下記一般式(4)で表される化合物である。
(CH=CH−)SiX (OR …(4)
(一般式(4)中、Xはハロゲン原子を表す。Rは水素原子若しくは炭化水素基を表す。Rは水素原子、炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表す。また、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
一般式(4)中、mはビニル基の数を表し、1以上4以下の値を取る。より好ましくは、mの値は1又は2である事が望ましく、特に好ましくは2である。
一般式(4)中、Xはハロゲンを表し、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示する事が出来る。複数存在する場合はお互いに同一であっても異なっても良い。この中で、塩素が特に好ましい。nはハロゲンの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、nの値は0以上2以下である事が望ましく、特に好ましくは0である。
一般式(4)中、Rは水素若しくは炭化水素基を表し、好ましくは水素若しくは炭素数1から20の炭化水素基、より好ましくは水素若しくは炭素数1から12の炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。好ましいRの例としては、水素、メチル基やブチル基に代表されるアルキル基、シクロヘキシル基に代表されるシクロアルキル基、フェニル基に代表されるアリール基、などを挙げる事が出来る。特に好ましいRの例としては、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、などを挙げる事が出来る。jはRの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、jの値は1以上3以下である事が望ましく、更に好ましくは2以上3以下であり、特に好ましくは2である。jが2以上である場合、複数存在するRはお互いに同一であっても異なっても良い。
一般式(4)式中、Rは水素若しくは炭化水素基若しくは有機ケイ素基を表す。Rが炭化水素基である場合は、Rと同一の化合物群から選択する事が出来る。Rが有機ケイ素基である場合は、炭素数1から20の炭化水素基を有する有機ケイ素基である事が好ましい。Rとして用いることの出来る有機ケイ素基の具体的な例としては、トリメチルシリル基に代表されるアルキル基含有ケイ素基、ジメチルフェニルシリル基に代表されるアリール基含有ケイ素基、ジメチルビニルシリル基に代表されるビニル基含有ケイ素基、およびプロピルフェニルビニルシリル基の様なそれらを組み合わせてなるケイ素基、などを挙げる事が出来る。kはRの数を表し、0以上2以下の値を取る。ビニルトリエトキシシランの様にkの値が3に相当する化合物の場合では、本発明におけるビニルシラン化合物(A4)としての性能は発現せず、本発明におけるアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2)としての性能を発現するため好ましくない。これは、構造的に近いt−ブチルトリエトキシシランと同じ様に振る舞うためと考えられる。より好ましくは、kの値は0以上1以下である事が望ましく、特に好ましくは0である。kの値が2である場合、二つのRはお互いに同一であっても異なっても良い。また、kの値に関わらず、RとRは同一であっても異なっても良い。
これらのビニルシラン化合物類は単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。好ましい化合物の例としては、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−SiCl、[CH=CH−]Si(Cl)Me、[CH=CH−]SiCl、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−SiPh、[CH=CH−]Si(Ph)Me、[CH=CH−]SiPh、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−SiH、[CH=CH−]Si(H)Me、[CH=CH−]SiH、CH=CH−SiEt、CH=CH−SiBu、CH=CH−Si(Ph)(H)Me、CH=CH−Si(Cl)(H)Me、CH=CH−Si(Me)(OMe)、CH=CH−Si(Me)(OSiMe)、CH=CH−Si(Me)−O−Si(Me)−CH=CH、などを挙げることが出来る。これらの中でも、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、がより好ましく、[CH=CH−]SiMeが最も好ましい。
(5)その他の成分
本発明に用いられる触媒(A)には、本発明の効果を損なわない限り、上記成分(A1)、(A2)、及び(A3)に加えて、他の化合物を触媒の任意成分として用いることが出来る。例えば、特開2004−124090号公報に開示された様に、分子内にC(=O)N結合を有する化合物を用いることにより、冷キシレン可溶分(CXS)の様な非晶性成分の生成を抑制することが出来る。この場合、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−エチル−2−ピロリジノン、などを好まし例として挙げることが出来る。分子内にC(=O)N結合を有する化合物は単独の化合を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することも出来る。
また、ジエチル亜鉛の様なアルミニウム以外の金属原子を持つ有機金属化合物を用いることも出来る。
これら任意成分を用いる場合には、その使用量としては、チタン成分に対するモル比(任意成分のモル数/チタン原子のモル数)で、好ましくは0.01から50,000の範囲内であり、特に好ましくは0.5から500の範囲内が望ましい。
2.触媒(A)の調製方法
本発明で用いる触媒(A)は、上記チタン、マグネシウム、及びハロゲンを必須成分として含有する平均粒径20〜200μmである固体成分(A1)と、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2a)及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)を含む成分(A2)と、有機アルミニウム化合物(A3)と、必要に応じて、成分(A4)とを、接触して得られる。
接触処理は、不活性ガスの雰囲気下で行う必要がある。ここで、不活性ガスの雰囲気下とは、具体的には重合反応が起こらない状態意味し、α−オレフィンやエチレンが存在しない雰囲気をいう。
本発明における触媒(A)を構成する上記各成分の接触温度は、−50℃以上200℃以下である。下限は−10℃以上が好ましく、より好ましくは0℃以上であり、最も好ましくは10℃以上である。また、上限は、100℃以下が好ましく、より好ましくは70℃以下であり、最も好ましくは60℃以下である。接触温度が−50℃未満であると反応が充分に進行せず、200℃を超えると有機アルミニウムの過剰反応により触媒活性が著しく低下する。
また、接触処理時間は、30分以上であり、好ましくは40分以上、更に好ましくは60分以上、最も好ましくは90分以上である。接触時間が30分未満であると、反応が充分に進行せず充分な触媒性能が発現しない。接触時間の上限は特に規定されないが、あまりにも長すぎると生産性に影響するので、好ましくは120時間以下である。
接触方法としては、回転ボールミルや振動ミルなどによる機械的な方法、並びに、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法、などを例示することが出来る。好ましくは、不活性希釈剤の存在下に撹拌により接触させる方法を用いることが望ましい。
触媒(A)の調製の際には、中間及び/又は最後に不活性溶媒で洗浄を行っても良い。好ましい溶媒種としては、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物、及び、1,2−ジクロロエチレンやクロロベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素化合物、などを例示することが出来る。
固体成分(A1)、成分(A2)、成分(A3)及び必要に応じて、成分(A4)を接触処理して得られる触媒(A)の平均粒径は、好ましくは20μm以上、更に好ましくは25μm以上、特に好ましくは30μm以上である。また、好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは180μm以下であり、特に好ましくは150μm以下である。
また、触媒(A)成分の均一度は、2.0以下を有するものが好ましい。均一度が大きくなると微粉が発生しやすい傾向であり、また、運転性上パウダー流動性も悪化し、連続での安定運転が困難となる。均一度の下限は1であるが、製造上の観点から均一度は1.1以上が好ましい。
3.予備重合
本発明における重合触媒(A)は、本重合で使用する前に予備重合されていても良い。重合プロセスに先立って、予め少量のポリマーを触媒周囲に生成させることによって、触媒がより均一となり、微粉の発生量を抑えることができる。
予備重合におけるモノマーとしては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。具体的な化合物の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、などに代表されるオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、クロロスチレン、などに代表されるスチレン類似化合物、及び、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジビニルベンゼン類、などに代表されるジエン化合物類、などを挙げる事が出来る。中でも、エチレン、プロピレン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン類、などが特に好ましい。
成分(A)として予備重合されたものを用いる場合には、成分(A)の調製手順において任意の手順で予備重合を行うことが出来る。例えば、成分(A)を予備重合した後に、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2a)及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)接触させ、更にその後有機アルミニウム化合物(A3)を接触させることが出来る。
また、成分(A)とアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2a)及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)とを接触させた後に予備重合を行い、その後有機アルミニウム化合物(A3)を接触させることができる。更に、成分(A)と、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物(A2a)及び/又は少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物(A2b)と、有機アルミニウム化合物(A3)と接触させる際に同時に予備重合を行っても良い。
但し、予備重合を行う前に、成分(A1)、(A2)、(A3)の接触を終えておくのが好ましい。
予備重合を行う場合に、重合触媒(A)と上記のモノマーとの反応条件は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の条件を用いることが出来る。一般的には、以下の範囲内が好ましい。
触媒(A)1グラムあたりの基準で、予備重合量は0.001から100gの範囲内、即ち触媒(A)の重量に対して0.001倍から100倍の重量のポリマーを生成するものである。好ましく触媒1グラム当たり0.1g以上、更に好ましくは0.5g以上、また、好ましくは50g以下、更に好ましくは10g以下である。
モノマーの供給方法は、モノマーを反応槽に定速的にあるいは定圧状態若しくは一定濃度になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。予備重合時の反応温度は通常−150℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃である。そして、予備重合時の反応温度は本重合のときの重合温度よりも低くする事が望ましい。予備重合の時間は、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。反応は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのときヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒を存在させることもできる。
予備重合は複数回行っても良く、この際用いるモノマーは同一であっても異なっていても良い。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行う事も出来る。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
予備重合した後の触媒(A)は、ポリマーの殻に覆われているが、以下の重合に用いられる触媒の平均粒径(ポリマーの殻を含めた大きさ)は、好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上であり、また、好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下である。
4.プロピレンの製造方法及び重合条件
本発明に用いられるポリプロピレンの製造方法は、主に液化プロピレンの蒸発潜熱を用いて除熱を行う気相法プロセスである限り任意のプロセスを用いることが出来る。
本発明において、気相法とは液が全く存在しないことを意味しない。重合を行う相が実質的に気相であればよく、本発明の効果を阻害しない範囲で液が存在しても良い。この液としては、除熱のための液化プロピレンでだけではなく、ヘキサンなどの不活性炭化成分を例示することが出来る。
混合様式としては、撹拌機を用いる方法、撹拌機を備えた流動床を用いることも出来る。撹拌機は撹拌軸が鉛直方向を向いていても、水平方向を向いていても良い。撹拌機の形状としては、パドル翼、ヘリカル翼、ゲート翼等任意のものを用いることが出来る。このうち、撹拌軸を水平方向に向けて、パドル翼を用いる方法が最も好ましい。
反応槽は、使用する原料、反応条件、反応形態、生成物等により、その反応に適する限りにおいて、形状、大きさ、材質等に限定されず、既存のものから任意に選択し使用することが可能である。形状として好ましいのは、円筒状の部分を有する横型反応器である。大きさはそれぞれの反応形態等に応じて任意であるが、生産性、経済性の点から、20m以上であることが好ましい。
一般に、内部に水平軸回りに回転する攪拌機を有する横型反応器を用いる気相法プロセスでプロピレンの重合を行う場合は、ポリマーと攪拌機との物理接触により、より微粉量が増大する傾向にあるが、本発明のポリプロピレンの製造方法においては、特定の成分を予め接触処理した前述の触媒を用いることにより、微粉の発生量抑えることができるという特徴を有している。
重合槽の並び方については、本発明の効果を阻害しない限り任意の方法を用いることが出来る。重合槽は一つでも複数でも良く、複数の場合は、直列に繋いでも良いし、並列に繋いでも良い。特にプロピレンとその他のモノマーとのブロック共重合体を製造する場合には、少なくとも直列に繋がった2個の重合槽を含む並び方にする方が好ましい。配置方法としては、特に制限はないが、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器の場合には、上流の反応器の回転軸は、下流の回転軸と同じに配置、好ましくは、下流の回転軸より高い、ある一定の高さで配置するのが好ましい。
水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器は、フローパターンがピストンフロー型であり、パウダーの滞留時間分布が狭く、ショートパスカットの触媒が少ないためブロックコポリマーの製造上有利である。
槽数を増やすことなく滞留時間分布を狭くする方法として、重合槽の中にパウダーの移動を制限する堰を設けることも出来る。堰の形態としては、重合槽に固定された固定堰を用いても良いし、回転軸に固定された回転堰を用いても良い。
重合方法としては、バッチ法と連続方法のいずれを用いても良いが、生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。特に好ましい例としては、2〜4個の重合槽を直列に繋いで連続法で重合する方法例示することが出来る。
液化プロピレンの蒸発潜熱を用いて除熱を行う方法としては任意の方法を用いることが出来る。液化プロピレンの蒸発潜熱を用いて除熱を行う為には、実質的に液の状態にあるプロピレンを重合槽に供給すればよい。フレッシュな液化プロピレンを重合槽に供給することも出来るが、一般的にはリサイクルプロピレンを用いることが望ましい。リサイクルプロピレンを用いる一般的な手順は以下に例示される。重合槽からプロピレンを含むガスを抜き出し、そのガスを冷却して少なくとも一部を液化させ、液化した成分の少なくとも一部を重合槽に供給する。この際、液化する成分はプロピレンを含む必要があるが、ブテンに代表されるコモノマー成分やイソブタンに代表される不活性炭化水素成分を含んでいても良い。
液化プロピレンの供給方法は、実質的に液の状態にあるプロピレンを重合槽に供給するものである限り任意の方法を用いることが出来る。ポリプロピレン粒子のベッドに供給しても良いし、気相部に供給しても良い。気相部に供給する場合には、重合槽内部の気相部に供給しても良いし、リサイクルガスラインに供給しても良い。特に、水平軸回りに回転する撹拌機を有する撹拌混合槽の場合には、重合槽内部の気相部に供給することが好ましい。
本発明において、主に液化プロピレンの蒸発潜熱を用いて除熱を行うということは、液化プロピレンの蒸発潜熱だけを用いて除熱を行う事を意味しない。本発明の効果を阻害しない限り、他の除熱方法併用する事が出来る。具体的には、重合槽に備え付けたジャケットを用いて除熱する方法、重合槽からのガスの一部を抜き出して熱交換器により冷却し再びガスを重合槽に戻す方法、などを例示することが出来る。ただし、本発明においては、液化プロピレンの蒸発潜熱を用いた除熱が主体である必要がある。具体的には、少なくとも一つの重合槽において、除熱量の少なくとも半分を液化プロピレンの蒸発潜熱を用いて除熱する必要がある。
温度や圧力の様な重合条件は、本発明の効果を阻害しない限り任意に設定する事が出来る。具体的には、重合温度は、好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。重合圧力は好ましくは120kPa以上、更に好ましくは140kPa以上、特に好ましくは160kPa以上であり、好ましくは420kPa以下、更に好ましくは350kPa以下、特に好ましくは300kPa以下である。ただし、重合圧力は重合温度におけるプロピレンの蒸圧力より低く設定するべきではない。
滞留時間は重合槽の構成や製品インデックスに合わせて任意に調整することが出来る。一般的には、30分から5時間の範囲内で設定される。
本発明の重合触媒やその他の任意成分は、公知の方法を用いて重合槽に供給することが出来る。重合触媒についてはそのまま粉末状で重合槽に供給してもよいが、ヘキサンやミネラルオイル等の不活性溶媒を用いて希釈した上で供給しても良い。本発明の触媒は非常に活性が高いので、希釈した上で重合槽へ供給する方が好ましい。
また、有機アルミニウム化合物は、固体触媒成分(A1)と接触させた後に触媒(A)中の成分として供給するものの他に、触媒(A)とは別に重合槽に供給しても良い。
蒸発潜熱を用いて除熱を行う気相法プロセスにおいては、ガスの流動化がいずれのプロセスの場合にも生じる。気化ガスを回収し、反応器の上部槽壁に設置したガス排出管を通過し、コンデンサーにより凝縮され、再び除熱用の液体冷却材として利用される。連続重合中における反応器内の触媒フィード口に近い所では未成長の50μm以下のポリマー粒子が存在し、多量の気化ガス発生のため、ポリマー粒子及び触媒粒子等の細粒が気化ガスに同伴されやすい。そのため、高活性であり、微細粒子の発生量の少ない触媒の選択が必要である。
また、パウダーモルフォロジーが悪化すると、撹拌及びガスの流動化による粉砕が容易になり、特に撹拌時にパウダーの粉砕による微細粒子の発生が多くなることでエントレインメント量も多くなる。また、移送系でも接触による破砕で微粉が発生し、後処理系での生産性の悪化となる。
本発明における微粉発生量(エントレインメント量)とは、反応器の上部槽壁等(側部や底部でも良い)に設置したガス排出管を通過し、ガスと共に反応器外へ搬出される粒子量を意味する。エントレインメント量を具体的に測定する方法としては、コンデンサー手前にサイクロン若しくはバグフィルター等の微粒子除去設備を設置し、その設備によって除去される細粒量[g/kg](<100μm)を秤量する方法を例示する事が出来る。
本発明の触媒を用いると、平均粒径が大きいため製造されるポリマーの平均粒径の大きいポリプロピレンを形成する。従って、固体触媒成分の粒径分布に応じたポリマー粒子が形成され、微細粒子のポリマーの生成量は少なく、また、撹拌及びガス流動による破砕が少ない。
このように、本発明の触媒においては、撹拌及びガスの流動による破砕性の点において微粉発生が少ないポリプロピレンを製造することが出来る特徴がある点、微細粒子が発生しにくく、気化ガスによりオフガスラインへエントレインメントが同伴され難いという点で有用である。
また、ポリプロピレンの単独重合及び共重合体を製造するに際して、単位生産量当たりの粒径100μm以下の微粉発生量が、0.10g/kg以下であることが好ましい。
この値が高いと、エントレインメントの増加によりガス排出管系統への負荷、付着等の増大、コンデンサー中に微細量のパウダーが流入する事でガス凝縮能力の低下の恐れがある。また、微粉量が多発することで、特にブロックコポリマー生産時においては、下流系での重合器のべたつきが激しくなり、運転が不安定となる。
さらに、本発明のポリプロピレンの製造方法においては、プロピレン単独の重合における触媒活性が、20,000gPP/h・g触媒以上であることが好ましく、より好ましくは20,000gPP/h・g触媒以上50,000gPP/h・g触媒以下である。
本発明のポリプロピレンの製造方法においては、本発明の触媒をモノマーガスの気化熱により反応熱を除去する気相プロセスに用いることで重合パウダーのパウダーモルフォロジーが良好で、微粉量の低減によりガス排出管系統への負荷低減及び重合器、下流系の運転をより安定に高めることが可能である。また、触媒活性も高く、製造コストも抑えることが出来、経済的である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いられる物性の測定方法は次の通りである。
1.物性値の測定方法
(1)MFR:タカラ社製 メルトインデクサーを用い、JIS−K6921に基づき、230℃、21.18Nの条件で評価した。
(2)ポリマー嵩密度(BD):ASTM D1895−69に準ずる装置を使用し測定した。
(3)粒径:ポリマー生成物を篩にかけることにより粒度分析を行い、50%篩下の粒度を平均粒径とした。
(4)固体触媒成分の平均粒径及び均一度:粒度分布測定器(LS230型、BECKMAN COULTER(株)社製)を用いて測定した粒度分布から算出した50%篩下の粒度を平均粒径とし、また、10%篩下の粒度と60%篩下の粒度となる粒度の比を均一度とした。
(5)微粉発生量(エントレインメント量):コンデンサー手前に設置したバグフィルターによって除去される微粉量を生産量に対する割合として、エントレインメント量(<100μm)として評価した[g/kg]。
(6)<210μmのパウダー量:ポリマー生成物を210μmの篩にかけ、篩を通過したパウダーの重量%とした。
(7)エチレン含量の定量:共重合体中の平均エチレン含量については、下記の手順に従って赤外分光光度計を用いて測定した。
(i)サンプルの調製
試料を加熱加圧プレスにより厚さ500μのシートに成形した。プレス条件は、温度190℃、予熱時間2分、加圧圧力50MPa、加圧時間2分とした。
(ii)赤外分光光度計による吸光度の測定
上記にて得られたシートを用い、以下の条件にて吸収量を測定した。
装置:島津FTIR−8300
分解能:4.0cm−1
測定範囲:4,000〜400cm−1
吸光度ピーク面積算出範囲:700〜760cm−1
(iii)エチレン含量の計算
予めNMRでエチレン含量を定量してあるサンプルを用いて検量線を作成し、この検量線に基づいてエチレン含量を計算した。
(8)プロピレンエチレンブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体成分の含量の計算:プロピレン単独重合体を製造する第1重合工程と、プロピレンエチレンランダム共重合体成分を製造する第2重合工程の生産量の値から計算して、重量%として値を得た。
(9)プロピレンエチレンランダム共重合体成分中のエチレン含量の計算:プロピレンエチレンブロック共重合体中のエチレン含量、及び、プロピレンエチレンブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体成分の含量の値から計算して、値を得た。
(10)プロピレンエチレンランダム共重合体成分のMFRの計算:プロピレン単独重合体のMFR、プロピレンエチレンブロック共重合体のMFR、及び、プロピレンエチレンブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体成分の含量の値を用いて、下記に示す粘度の混合則に基づき計算した。
Figure 2007231257
(実施例1)
(1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分(A1)のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分(A1)のTi含量は2.7wt%であった。また、固体成分の平均粒径は33μmであった。
(2)接触処理
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(A1)のスラリーを、固体成分(A1)として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が25g/Lとなる様に調整した。ここに、(A4)ジメチルジビニルシランを30ml、(A2)(i−Pr)Si(OMe)を30ml、(A3)EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行って固体触媒成分(A’)を得た。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥し、分析したところ、固体触媒成分(A’)にはTiが含2.3wt%、(i−Pr)Si(OMe)が含7.8wt%含まれていた。また、(A’)の平均粒径は33μmであった。
(3)予備重合
上記で得られた触媒(A’)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、触媒(A’)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って触媒(A)を得た。この触媒(A)1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この触媒(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.9wt%、(i−Pr)Si(OMe)が含7.2wt%含まれていた。また、予備重合後の触媒(A)の平均粒径は62μmであった。
(4)プロピレンの重合
添付した図1に示したフローシートによって説明する。2台の重合槽を用いる気相重合反応器を用いた。2台の重合器1及び10は、内径D:340mm、長さL:1260mm、回転軸の径:90mm、内容積:110Lの攪拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=3.7)である。
重合器1内を置換後、500μm以下の重合体粒子を除去したポリプロピレン粉末(平均粒径1500μm)を25kg導入し、更に上記で得られた触媒(A)を固体成分として0.26g/h、またトリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を触媒成分(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が90となるように連続的に供給した。また、重合器1内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.03となるように水素を、重合器1内の圧力が2.15MPa、温度が65℃を保つようにプロピレンモノマーをそれぞれ重合器1内に供給した。反応熱は、原料混合ガス供給配管3から供給する原料プロピレンの気化熱により除去した。重合器1から排出される未反応ガスは、未反応ガス抜き出し配管4を通して反応器系外に抜き出し、冷却・凝縮させてリサイクルガス配管2を通して重合器1に還流した。
重合器1内で生成したプロピレン重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に重合体抜き出し配管5を通して重合器1から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器10に供給した。
重合器10内に、第1重合工程からの重合体、プロピレンガスを連続的に供給し、プロピレン重合を行った。反応条件は、攪拌速度25rpm、温度65℃、圧力2.0MPaで行った。また、プロピレン重合体の分子量を調節するための水素ガスを配管7より供給した。反応熱は原料混合ガス配管6から供給される原料液化プロピレンの気化熱で除去した。重合器10から排出される未反応ガスは、未反応ガス抜き出し配管8を通して反応器系外に抜き出し、冷却・凝縮させて、リサイクルガス配管7を通して重合器10に還流させた。第2重合工程で生成したプロピレン重合体組成物は、重合体の保有レベルが反応容積の60容量%となる様に重合体抜き出し配管9を通して重合器10から連続的に抜き出した。抜き出したパウダーは、ガス回収機13でガス類を分離し、パウダー部は回収系に抜き出し、造粒系12で造粒した。なお、ガス類からはバグフィルター14にて微粉部を回収し、エントレインメント量の測定を行った。
プロピレン重合体組成物の生産レートは15kg/hr、重合器1内の平均滞留時間は1.6hr、重合器10内の平均滞留時間は1.0hrであった。また、単位生産量当りに発生する微粉発生量(エントレインメント量)の測定を5回行ったところ、平均で0.071g/kgであった。
一方、抜きだした重合体を続いて水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30分間接触処理し、ポリプロピレン粒子を得た。得られたポリプロピレン粒子は、球形で、BDは460kg/m、平均粒径は1350μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.05重量%であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
(1)予備重合
実施例1で得られた固体成分(A1)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘキサンを導入して、固体成分(A1)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを室温で、EtAlのn−ヘキサン希釈液をEtAlとして10g、iPrSi(Me)のn−ヘキサン希釈液をとして2.3g添加し、200gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、触媒(A)を得た。この触媒1gあたり2.2gのポリプロピレンを含んでいた。また、予備重合後の触媒(A)の平均粒径は60μmであった。
(2)オレフィン重合
重合条件は、触媒(A)を固体成分として0.54g/h、また、トリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を固体成分(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が90、ジイソプロピルジメトキシシランの0.5mmmol/L、n−ヘキサン溶液をTi原子1モルに対し、モル比が10となるように連続的に供給した。また、重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.06となるように水素を供給する他は実施例1と同一条件で運転した。
プロピレン重合体組成物の生産レートは15kg/hr、重合器1内の平均滞留時間は1.6hr、重合器10内の平均滞留時間は1.0hrであった。また、生産量に対する時間当たりに発生する100μm以下の微粉発生量は5回測定したところ、平均で0.481g/kgであった。
得られたポリプロピレン粒子は、球形で、BDは450kg/m、平均粒径は1050μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.46重量%であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
(1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、デカン2L、無水塩化マグネシウム360g、および2−エチル−1−ヘキサノール1.8Lを混合し、撹拌しながら140℃に4時間加熱反応を行って均一な溶液とした。この均一溶液中に無水フタル酸85gを添加し、さらに130℃にて1時間撹拌混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解した。
得られた均一溶液を室温(23℃)に冷却した後、この均一溶液を−20℃に保持した四塩化チタン10L中に3時間かけて全量滴下した。滴下後、4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジ−i−ブチル250mLを添加し、2時間110℃にて撹拌保持して反応を行った。2時間の反応終了後、熱濾過して固体部を採取し、固体部を14LのTiClにより再懸濁させた後、再び温度を110℃に上げて2hr反応を行った。
反応終了後、再び熱濾過により固体部を採取し、n−ヘキサンにて、洗浄液中に遊離のチタンが検出されなくなるまで充分洗浄した。続いて、濾過により溶媒を分離し、固体成分(A1)のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分(A1)のTi含量は2.4wt%であった。また、固体成分の平均粒径は14μmであった。
(2)接触処理
上記で得られた固体成分(A1)を用いて実施例1と同様に接触処理を行って固体触媒成分(A’)を得た。
得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥し、分析したところ、固体触媒成分(A’)にはTiが含1.9wt%、(i−Pr)Si(OMe)が含7.6wt%含まれていた。また、触媒の平均粒径は14μmであった。
(3)予備重合
上記で得られた固体触媒成分(A’)を用いて実施例1と同様に予備重合を行った。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って触媒(A)を得た。この触媒1gあたり2.1gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この触媒(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.3wt%、(i−Pr)Si(OMe)が含7.1wt%含まれていた。また、固体触媒の平均粒径は28μmであった。
(4)オレフィン重合
重合条件は、上記で得られた触媒(A)を固体成分として0.98g/h、またトリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を触媒(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が90、ジイソプロピルジメトキシシランの0.5mmmol/L、n−ヘキサン溶液をTi原子1モルに対し、モル比が9となるように連続的に供給した。また、重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.05となるように水素を供給する他は実施例1と同一条件で運転した。
プロピレン重合体組成物の生産レートは14.2kg/hr、重合器1内の平均滞留時間は1.8hr、重合器10内の平均滞留時間は1.0hrであった。また、生産量に対する時間当たりに発生する100μm以下の微粉発生量は5回測定したところ、平均で0.275g/kgであった。
得られたポリプロピレン粒子は球形で、BDは470kg/m、平均粒径は620μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは1.23重量%であった。結果を表1に示す。
Figure 2007231257
(実施例2)
実施例1において重合反応槽を内径D:2100mm、長さL:11000mm、内容積:40mの攪拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=5.2)に変更した。
実施例1と反応槽のスケールが違うことから、触媒(A)を固体成分として120g/h、またトリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を触媒成分(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が90となるように連続的に供給した。また、重合器1内で生成したプロピレン重合体の、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に実施例1の撹拌回転数25rpmから20rpmに変更した。それ以外は用いる触媒の調製、プロピレンの重合条件は実施例1と同様に行った。なお、重合反応槽のフローシートは実施例1に準拠する。
プロピレン重合体組成物の生産レートは7.2T/hrであった。重合器1内の平均滞留時間は2.0hr、重合器10内の平均滞留時間は1.1hrであった。また、単位生産量当りに発生するエントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.030g/kgであった。
一方、抜きだした重合体を続いて水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30分間接触処理し、ポリプロピレン粒子を得た。得られたポリプロピレン粒子は、球形で、BDは460kg/m、平均粒径は1320μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.05重量%であった。結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例2の重合器10内の反応で、プロピレン、水素以外にエチレンガスを連続的に供給し、プロピレンエチレンランダム共重合の製造を実施する以外は実施例2と同様に行った。
プロピレン重合体組成物の生産レートは7.0T/hrであった。重合器1内の平均滞留時間は2.2hr、重合器10内の平均滞留時間は1.1hrであった。また、単位生産量当りに発生するエントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.010g/kgであった。
一方、抜きだした重合体を続いて水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30分間接触処理し、ポリプロピレン粒子を得た。得られたポリプロピレン粒子は、球形で、BDは450kg/m、平均粒径は1300μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.02重量%であった。
なお、最終的に得られたポリプロピレン系ブロック共重合体を分析した所、MFRは10.5g/10minであった。また、ポリプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体成分の含量は16wt%、プロピレンエチレンランダム共重合体成分中のエチレン含量は50wt%、プロピレンエチレンランダム共重合体成分のMFRは0.05g/10分、であった。結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例2において固体触媒成分を比較例1の固体触媒成分に変更した。
触媒(A)を固体成分として285g/h、また、トリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を固体成分(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が90、ジイソプロピルジメトキシシランをTi原子1モルに対し、モル比が10となるように連続的に供給した。また、重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.06となるように水素を供給する。その他の重合条件は、実施例3と同一条件で運転した。
プロピレン重合体組成物の生産レートは7.4T/hrであった。重合器1内の平均滞留時間は2.2hr、重合器10内の平均滞留時間は1.1hrであった。また、単位生産量当りに発生するエントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.623g/kgであった。
一方、抜きだした重合体を続いて水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30分間接触処理し、ポリプロピレン粒子を得た。得られたポリプロピレン粒子は、球形で、BDは450kg/m、平均粒径は1020μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.42重量%であった。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例3において固体触媒成分を比較例1の固体触媒成分に変更した。
触媒(A)を固体成分として285g/h、また、トリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を固体成分(A)中のTi原子1モルに対し、モル比が90、ジイソプロピルジメトキシシランの0.5mmmol/L、n−ヘキサン溶液をTi原子1モルに対し、モル比が10となるように連続的に供給した。また、重合器内の水素濃度のプロピレン濃度に対する比が0.06となるように水素を供給する。その他の重合条件は、実施例4と同一条件で運転した。
プロピレン重合体組成物の生産レートは7.5T/hrであった。重合器1内の平均滞留時間は2.1hr、重合器10内の平均滞留時間は1.0hrであった。また、単位生産量当りに発生するエントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.423g/kgであった。
一方、抜きだした重合体を続いて水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて30分間接触処理し、ポリプロピレン粒子を得た。得られたポリプロピレン粒子は、球形で、BDは450kg/m、平均粒径は1000μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.29重量%であった。
なお、最終的に得られたポリプロピレン系ブロック共重合体を分析した所、MFRは10.2g/10minであった。また、ポリプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体成分の含量は15.2wt%、プロピレンエチレンランダム共重合体成分中のエチレン含量は50wt%、プロピレンエチレンランダム共重合体成分のMFRは0.04g/10分、であった。結果を表2に示す。
Figure 2007231257
表1から明らかなように、実施例1は比較例1及び2と比較してエントレインメント量が少なく、製品ポリマー中の微粉量(<210μm)も少ない事が分かる。更に触媒活性も比較例の2倍以上である。
実施例2、3はそれぞれ、実施例1とはスケールの異なる製造プロセスを用いて評価を行っている。比較例3,4と比較することにより、エントレインメント量が少なく、製品ポリマー中の微粉量(<210μm)も少ない。更に触媒活性も比較例の2倍以上である。故に、本願記載の発明を用いる事により、ポリプロピレンを低コストでトラブル無く運転する事が可能である。
実施例3と比較例4を比較することでプロピレンエチレンランダム共重合体中の製造においてもエントレインメント量が少なく、製品ポリマー中の微粉量(<210μm)も少ないことが分かる。
故に、本願記載の発明を用いる事により、ポリプロピレンを低コストでトラブル無く運転する事が期待出来る。
本発明のポリプロピレンの製造方法は、重合パウダーのパウダーモルフォロジーが良好で、微粉量の低減によりガス排出管系統への負荷低減及び重合器、下流系の運転をより安定に高めることが可能である。また、触媒活性も高く、製造コストも抑えることが出来、経済的である。
実施例および比較例で用いたポリプロピレンの製造プロセスを表す概略図である。
符号の説明
1 重合器1
2 リサイクルガス配管
3 原料混合ガス配管
4 未反応ガス抜き出し配管
5 重合体抜き出し配管
6 原料混合ガス配管
7 リサイクルガス配管
8 未反応ガス抜き出し配管
9 重合体抜き出し配管
10 重合器2
11 活性抑制剤添加用配管
12 造粒系
13 ガス回収機
14 バグフィルター

Claims (12)

  1. 反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスによってポリプロピレンを製造する方法において、下記の成分(A1)、(A2)、及び(A3)を、不活性ガスの雰囲気下で−50℃以上200℃以下の温度にて30分以上接触処理してなる触媒(A)を用いることを特徴とするポリプロピレンの製造方法。
    成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分として含有する平均粒径20〜200μmである固体成分
    成分(A2):アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び/又は、少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物
    成分(A3):有機アルミニウム化合物
  2. 成分(A2)のアルコキシ基を有するケイ素化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレンの製造方法。
    Si(OR …(1)
    (一般式(1)中、Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。Rは水素、ハロゲン、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基を表す。0≦a≦2,1≦b≦3,a+b=3である。)
  3. 成分(A2)の少なくとも二つのエーテル結合を有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレンの製造方法。
    O−C(R−C(R−C(R−OR …(2)
    (一般式(2)中、R及びRは水素、炭化水素基及びヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。Rは炭化水素基若しくはヘテロ原子含有炭化水素基を表す。)
  4. 成分(A3)有機アルミニウム化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
    AlX(OR …(3)
    (一般式(3)中、Rは炭化水素基を表す。Xはハロゲン若しくは水素を表す。Rは炭化水素基若しくはAlによる架橋基を表す。c≧1、0≦d≦2、0≦e≦2、c+d+e=3である。)
  5. 気相法プロセスが、攪拌機を有する反応器を用いて行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  6. 攪拌機を有する反応器が、内部に水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器であることを特徴とする請求項5に記載のポリプロピレンの製造方法。
  7. 触媒(A)が、更にビニルシラン化合物(A4)を接触処理してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  8. 成分(A1)が、更に電子供与体を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  9. 触媒(A)に少量のオレフィンを接触させ、触媒に対して0.001〜100倍量の重合体を生成させる予備重合工程を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリプロピレンの製造方法。
  10. 単位時間当たりの粒径100μm以下の微粉発生量が、生産量に対して0.10g/kg以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  11. 触媒の活性が、プロピレン単独の重合において、20,000gPP/h・g触媒以上50,000gPP/h・g触媒以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
  12. 固体成分(A1)及び触媒(A)の粒子の均一度が、1.1以上2.0以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリプロピレンの製造方法。
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