JP2011153287A - プロピレン系重合体の製造方法 - Google Patents

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隆則 中島
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Abstract

【課題】液化プロピレンの気化熱を利用して重合熱を除去する、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器を用い、連続気相重合法によりプロピレンを重合させてなるプロピレン系重合体の製造プロセスにおいて、塊状ポリマーの発生を抑制し微粉の生成量を低減して、生産効率を高めると共に、安定してプロピレン系重合体を製造する方法を開発する。
【解決手段】水平軸回りに回転する撹拌機20を内部に備えた横型重合反応器10において、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する連続気相重合法によりプロピレンを重合させてなるプロピレン系重合体を製造する工程で、反応器における異なる領域区分において異なる温度に操作可能とし、反応器の上流末端12温度(Tα)と下流末端14温度(Tω)が異なり、温度差ΔT1(℃)(=Tω−Tα)が0.1〜20℃であることを特徴とする、プロピレン系重合体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プロピレン系重合体の製造方法に関するものであり、詳しくは、横型重合反応器を用いたプロピレンの気相重合において、反応器内の温度を特定の除熱により制御することによって、塊状や微粉状のポリマーの生成が充分に抑制され、生産効率良く安定してプロピレン系重合体の製造を可能とする重合方法に係わるものである。
プロピレン系重合体は、剛性や耐熱性などの機械的物性に優れ、成形性も良好であり、比較的安価に製造することが可能であり、環境問題適応性も高いことから、産業上の広い用途に適用されている。
そのため、ポリプロピレンの製造プロセスは、工程の簡略化と生産コストの低減及び生産性の向上、更には触媒性能の改良などの観点で技術検討が続けられてきた。
ポリプロピレンの製造プロセスにおいては、ポリプロピレンが工業的に製造され始めた当時は触媒の性能が低く、得られたポリプロピレンから触媒残渣やアタクチックポリマーなどを除去する工程が必要であり、溶媒を用いたスラリー法などのプロセスが主体であった。
その後、触媒性能が格段に進歩するにつれて、触媒残渣やアタクチックポリマーなどの除去の必然性が低減され、現在では気相法プロセスが主流となっている。
気相法プロセスにおいては、近年では担持型触媒を代表とした高活性化タイプの触媒が一般に用いられているが、近年の触媒技術の進歩により開発された高活性化触媒やメタロセン系触媒などの新規触媒のプロセスへの適応、及びそれに付随した塊状ポリマーの発生の抑制や微粉の生成量の低減は、プロセスの安定した運転を行う点からも解決すべき問題としての課題を呈している。
気相重合において塊状の不定形ポリマーの発生を防止するに際しては、流動床反応器では触媒供給部において重合熱の除去が比較的困難であるため、局部的な重合熱の蓄積により、流動床内の温度が不安定化し易い。そのために、流動床反応器を用いた蒸発潜熱を利用して、気相重合器内に戻る液化した循環ガスの液流量と系外排出ガス流量及び供給モノマーガス流量により、器内の温度及び圧力を制御するポリプロピレンの製造法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)が、生産量の増加や急激なグレード変更での流動床反応器における重合熱の除去の点で改善の余地があることが避けられない。
また、塊状重合体の生成の抑制と流動状態の保持を目的とし、流動床反応器では重合時に反応器内壁温度を流動ガスの露点以下に冷却することを特徴とする気相重合方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)が、局部的な相変化により運転制御に困難が伴うことを本発明者らは認知している。
一方、気相法プロセスでは、液化プロピレンの潜熱(気化熱)を利用して重合熱を除去する形式のオレフィンの気相反応器として、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型重合反応器を用いた重合プロセスが知られている。液化プロピレンの潜熱(気化熱)を利用して重合熱を除去する方法は、小さな設備で大きな除熱能力を持つことができる点で優位性のあるものである。
また、横型重合反応器で重合したポリマー粒子は、撹拌反応器中で形成され、重合を進行しながら、撹拌により移動しつつ反応器に沿って進み、そのため、他の重合器にない特徴である、完全混合槽を数台直列に並べたフローパターンである、ピストンフロー型を示す。横型重合反応器は、長さの直径に対する比率において、2個や3個又はそれ以上の反応器と同等な、固体混合度を容易に達成することができる点で経済的に有利である。
更に、重合反応器が横型であるため、縦型反応器に比べて除熱時に重合熱も効率よく除去される上で有利である。
上述のように、ポリプロピレンの製造を行う際に、液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して重合熱の除去を行い、かつ、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型重合反応器を用いる手法は、上記の様な優れた特徴を有している(例えば、特許文献3を参照)。
しかし、本発明者らは、横型重合反応器を用いた気相法プロセスを詳細に検討したところ、塊状ポリマーや微粉の発生に起因する、次のような問題を把握した。
一般的に横型重合反応器は反応器の上流端より触媒系が反応器内部へ注入され、固体ポリプロピレン粉末は反応器中で生成されて、それの下流から抜き出される。液化プロピレンの蒸発潜熱を利用したプロセスでは、多量の気化ガス発生のため、微粉体が気化ガスに同伴され、ガス排出管系統のパイプ内やフィルターに付着したり、或はこれらを閉塞したりし易い。これらを避けるために、ポリマー粒子は上流部で可能な限り、粒子形状を早急に作ることが望ましい。一方、反応を促すことは、急激な反応による局部発熱などにより塊状の不定形ポリマーの生成が生じ易く、製造工程の中断などを引き起こす惧れがある。
更に、液化プロピレンの潜熱を利用する場合、反応器からガスを抜き出し、熱交換器で冷却することにより液化させ、再び反応器へ戻すのが一般的な方法であるが、ガスが液化する温度(露点)は圧力及びガスの組成に依存するため、プロピレン単独の露点に対して、プロピレンに水素やエチレンなどの露点の低いガス成分を混合していくと、混合量の増加に従って露点が低下する。熱交換器の冷却能力は設備によって決まるものであり、同一設備を使用する場合にはガス成分の露点が低くなるほどガスを液化させる能力が低下、即ち、除熱能力が低下する。
かくして、高活性化触媒やメタロセン触媒などの新規触媒による、MFRの高いプロピレン系重合体、或はランダム重合体といった、水素やエチレンが反応器に多く存在する製造プロセスでは触媒活性が高くなる反面、除熱能力の低下による塊状ポリマーの発生が不可避であり、また、高重合活性を発現するため、重合時の固体状触媒成分の崩壊により、粒子形状の悪化、微粉の生成、粉体特性の劣化といった問題が生じるため、重合プロセスへの適応に課題を呈している。
この様に、高活性化触媒やメタロセン触媒などの新規触媒を、プロピレン系重合体を製造する気相重合に適応する場合には、塊状の不定形ポリマーや微粉の抑制及び生産性の面で解決すべき課題を抱えている。
かかる課題に対応するために、横型重合反応器において、チタン担持触媒成分と助触媒成分の供給口を変えることで、ポリマー凝集体を抑制する方法も提案されている(例えば、特許文献4を参照)が、凝集体の抑制と生産効率を充分に満足するものではない。また、α−オレフィンによる予備重合処理とドナー添加による塊状の不定形ポリマーの抑制方法(例えば特許文献5を参照)も提案されているが、ドナー添加による触媒性能の低下などの問題を内在している。
微粉発生の問題において、液化プロピレンの蒸発潜熱を利用したプロセスでは、多量の気化ガス発生のため、ガス排出管系統のガス流速が大きく、ポリマー粒子の微粉や細粒などが気化ガスに同伴され(エントレインメント現象)、ガス排出管系統のパイプ内やフィルターに付着、或はこれらを閉塞する問題が挙げられており、付着や閉塞が過度になると、製造工程を停止し清掃することが不可避となる。そのような問題を避けるために、横型重合反応器上部から排出される未反応ガス及び冷却蒸気の通過する分離室を設け、該分離室内に液体冷却剤を噴霧するなどの方法により微粉量を削減する方法も提案されている(例えば、特許文献6を参照)。
しかし、生産ペースを増加する場合では気化ガス量が多くなり、極端な場合には分離室直径が反応器直径程度に等しい程度のものでない限り微粉を分離できず、又は、付帯設備を更に多くしなければいけないという欠点が生じている。
以上に背景技術として詳述した様に、従来技術においては、横型重合反応器の性能やポリマー粒子性などの技術が改良されてきているが、横型重合反応器を用いた気相重合法において、重合反応熱の除熱の問題と関連して、塊状の不定形ポリマーや微粉の抑制、或は生産効率の向上といった全ての課題を充分に満たす技術は未だ実現されてなく、このような観点から更なる技術改良が望まれている。
特開平11−209415号公報 特許3,180,305号明細書 米国特許第3,971,768号明細書 特公平7−94485号公報 国際公開WO00−42081号 特開昭63−199203号公報
本発明は、前記した背景技術の状況を鑑みて、高活性化触媒やメタロセン系触媒などの新規触媒の気相重合プロセスへの適応のために、液化プロピレンの潜熱を利用して重合熱を除去する、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器を用い、連続気相重合法によりプロピレン又はプロピレンとエチレンを含む他のαオレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体の製造プロセスにおいて、塊状ポリマーの発生を抑制し微粉の生成量を低減して、生産効率を高めると共に、安定してプロピレン系重合体を製造する方法を開発することを、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決することを目指して、高活性化触媒やメタロセン系触媒などの新規触媒の気相重合プロセスへの適応のために、液化プロピレンの潜熱を利用して重合熱を除去する、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器を用い、連続気相重合法によりプロピレン又はプロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体の製造プロセスにおいて、重合熱の除去方法や重合熱の制御及び重合条件や反応器の構造などについて種々にわたり考察勘案し実験による検証などを行って、塊状ポリマーの発生を抑制し微粉の生成量を低減して、生産効率を高めると共に、安定してプロピレン系重合体を製造する方法を探究した。
それらの過程の結果として、液化プロピレンの潜熱を利用して重合熱を除去するに際して、重合反応器内における温度条件を特異的に設定制御すれば、前記の課題が解決されて、格別顕著に、塊状ポリマーの発生を抑制し微粉の生成量を低減して、生産効率を高めると共に、安定してプロピレン系重合体を製造する手法を見い出すことができ、本発明を創作するに至った。
本発明は、基本的な要件として、重合反応器における上流末端温度に比べ下流末端温度を高くして温度傾斜を設け、反応器内の領域毎に温度制御を成し、更には触媒供給部の温度を反応器内の混合ガスの露点に対し制御することなどにより、前記の課題を解決するものである。
具体的には、本発明は基本発明として、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器において、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する連続気相重合法によりプロピレン又はプロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体を製造する工程で、反応器における異なる領域区分において異なる温度に操作可能とし、反応器の上流末端を含む領域区分の温度(Tα)と下流末端を含む領域区分の温度(Tω)が異なり、温度差ΔT1(℃)(=Tω−Tα)が0.
1〜20℃であることを構成の要件(発明の基本的な特定事項)とする。
本発明は、上記の基本的発明に対して、付加的な要件ないしは実施の態様として、横型重合反応器の上流末端から下流末端に至る領域区分(n)とその隣接する下流部の領域区分(n+1)の反応温度である、TnとTn+1がTn≦Tn+1であり、複数の領域区分(n)の反応温度Tnを個別に異なる温度で制御し、触媒供給部の温度(Tx)と反応器内の混合ガスの露点(Tz)との温度差ΔT2(℃)(=Tx−Tz)が1〜20℃であり、単独又は複数の重合反応器を使用し、少なくとも一つの反応器において、除熱量の少なくとも半分を液化プロピレンの蒸発潜熱を用いて除熱するものであり、触媒は反応器上流部の上部より供給され、触媒供給部は反応器の上流末端から下流方向において、反応器の長さの2.5〜10%の領域に設置され、更には触媒がチーグラー系重合触媒又はメタロセン系重合触媒である。
かくして、本発明は、高活性化触媒やメタロセン系触媒などの新規触媒の気相重合プロセスへの適応のために、液化プロピレンの潜熱を利用して重合熱を除去する、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器を用い、連続気相重合法によりプロピレン又はプロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体の製造プロセスにおいて、塊状ポリマーの発生を抑制し微粉の生成量を低減して、生産効率を高めると共に、安定してプロピレン系重合体を製造することを可能となし、かかる作用と効果は後述する実施例のデータ及び実施例と比較例の対照により実証されている。
本発明における、新規な構成及び効果などの特徴は、前述の背景技術に掲載した特許文献及びその他の特許文献を精査しても示唆はされていないし、窺うこともできない。
以上においては、本発明が創作される経緯と、本発明の基本的な構成要素と特徴について概観的に記述したので、ここで本発明の全体を俯瞰すると、本発明は次の発明の単位群から構成されるものであって、[1]の発明を基本発明とし、それ以下は、基本発明をより具体化又は実施態様化するものである。なお、発明群の全体をまとめて、「本発明」という。
[1]水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器において、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する連続気相重合法により、オレフィン重合触媒の存在下でプロピレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体を製造する工程で、反応器における異なる領域区分において異なる温度に操作可能とし、上流末端を含む領域区分の温度(Tα)と下流末端を含む領域区分の温度(Tω)との温度差ΔT1(℃)(=Tω−Tα)が0.1〜20℃であることを特徴とする、プロピレン系重合体の製造方法。
[2]横型重合反応器の上流末端から下流末端に至る領域区分(n)とその隣接する下流部の領域区分(n+1)の反応温度である、TnとTn+1がTn≦Tn+1であることを特徴とする、[1]におけるプロピレン系重合体の製造方法。
[3]複数の領域区分(n)の反応温度Tnを個別に異なる温度で制御することを特徴とする、[1]又は[2]におけるプロピレン系重合体の製造方法。
[4]触媒供給部が含まれる領域区分の温度(Tx)と反応器内の混合ガスの露点(Tz)との温度差ΔT2(℃)(=Tx−Tz)が1〜20℃であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるプロピレン系重合体の製造方法。
[5]単独又は複数の重合反応器を使用し、少なくとも一つの反応器において、除熱量の少なくとも半分を液化プロピレンの気化熱を用いて除熱することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるプロピレン系重合体の製造方法。
[6]触媒は反応器上流部の上部より供給され、触媒供給部は反応器の上流末端から下流方向において、反応器の長さの2.5〜10%の領域に設置されることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるプロピレン系重合体の製造方法。
[7]触媒がチーグラー系重合触媒又はメタロセン系重合触媒であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかにおけるプロピレン系重合体の製造方法。
高活性化触媒やメタロセン系触媒などの新規触媒の気相重合プロセスへの適応のために、液化プロピレンの潜熱を利用して重合熱を除去する、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器を用い、連続気相重合法によりプロピレン又はプロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体の製造プロセスにおいて、塊状ポリマーの発生を抑制し微粉の生成量を低減して、生産効率を高めると共に、安定してプロピレン系重合体を製造することを可能となす。
本発明の製造方法に用いる横型重合反応器の説明図である。 本発明の製造方法に用いる横型重合反応器における、示差温度計の配置の一例を表す概略図である。 本発明の製造方法に用いる横型重合反応器の領域区分における温度制御の説明図である。 本発明の製造方法に用いる横型重合反応器の領域区分における温度制御の説明図である。 本発明の製造方法に用いない、横型重合反応器の領域区分における温度制御の説明図である。
以下においては、本発明を実施する態様において、本発明が使用する重合触媒、本発明における製造プロセス及びその条件、本発明によるプロピレン系重合体の製造方法について、具体的かつ詳細に記述する。
1.本発明におけるプロピレン系重合体について
本発明で製造されるプロピレン系重合体は、〔i〕プロピレン単独重合体、〔ii〕プロピレンと1種以上のα−オレフィンを含むランダム共重合体及び〔iii〕ブロック共重合体、並びに、〔iv〕オレフィン重合用触媒に少量のオレフィンを接触させる予備重合工程を経て得られる、予備重合触媒中に担持されているオレフィン重合体成分と、該予備重合触媒をプロピレン製造用触媒の主成分として用いて重合された前記〔i〕、〔ii〕又は〔iii〕とを含むプロピレン系重合体をも包含しており、以下においては、「プロピレン系重合体」との記述はかかる意味で用いられる。
本発明で用いる「α−オレフィン」としては、特に限定はされないが、プロピレンを除く炭素数2〜12のオレフィン、特に炭素数2〜12のα−オレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、なかでも、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンを用いることがより好ましく、これらのα−オレフィンは1種のみならず2種以上を用いることも可能である。
2.本発明において使用されるオレフィン重合用触媒
本発明で用いるオレフィン重合用触媒としては、(I)1.チタン、マグネシウム、ハロゲン及び内部ドナーとしての電子供与性化合物を必須成分として含有してなる固体触媒成分、2.有機アルミニウム化合物、及び必要に応じて3.外部ドナーとしての電子供与性化合物より構成される重合用触媒、即ち、チーグラー系重合触媒が挙げられる。
また、(II)A.遷移金属化合物からなるメタロセン錯体、B.それを活性化させる助触媒を必須成分として含有してなる触媒成分、並びに必要に応じてC.有機アルミニウム化合物から構成される重合用触媒、即ち、メタロセン系重合触媒の使用も可能である。ここで「必須成分として含有し」ということは、成分以外に他元素を含んでいてもよいこと、これらの元素はそれぞれが任意の化合物として存在してもよいこと、並びにこれら元素は相互に結合したものとして存在してもよいことを示すものである。
本発明で用いることができるオレフィン重合用触媒は、前述のチーグラー系重合触媒又はメタロセン系重合触媒が好ましいが、これらに限られるものではない。
(I)チーグラー系重合触媒
(1)チタン、マグネシウム、ハロゲン及び電子供与性化合物
チタン、マグネシウムおよびハロゲンを含む固体触媒成分そのものは公知のものを用いることができる。例えば、特開昭53−45688号、同54−3894号、同54−131589号、同55−75411号、同55−155003号、同56−18609号、同56−155206号、同57−3803号、同57−121003号、同58−5309号、同58−183709号、同63−108008号、同63−264608号、特開平1−79203号、同1−98603号、同7−258328号、同8−26
9125号、同11−21309号各公報などに記載のものが使用される。
本発明において使用されるマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、金属マグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムのカルボン酸塩などが挙げられる。これらの中でもマグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウムなどのMg(OR )2−m (ここで、Rは炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、mは0≦m≦2である。)で表されるマグネシウム化合物が好ましい。
チタン源となるチタン化合物としては、一般式Ti(OR )4−n (ここで、R は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、nは0≦n≦4である。)で表される化合物が挙げられる。
具体例としては、TiCl 、TiBr 、TiI 、Ti(OC )Cl 、Ti(OC Cl、Ti(OC Cl、Ti(O−i−C)Cl 、Ti(O−n−C )Cl 、Ti(O−n−C Cl 、Ti(OC )Br、Ti(OC )(O−n−CCl、Ti(O−n−C Cl、Ti(OC)Cl 、Ti(O−i−C Cl、Ti(OC11 )Cl 、Ti(OC13)Cl 、Ti(OC 、Ti(O−n−C 、Ti(O−n−C 、Ti(O−i−C 、Ti(O−n−C13 、Ti(O−n−C17 、Ti(OCH CH(C)C などが挙げられる。
また、TiX´(ここで、X´はハロゲンである。)に後述する電子供与体を反応させたチタン化合物をチタン源として用いることもできる。
そのような化合物の具体例としては、TiCl ・CH COC、TiCl ・CH CO 、TiCl・C NO 、TiCl ・CH COCl、TiCl・C COCl、TiCl ・CCO 、TiCl ・ClCOC 、TiCl・C Oなどが挙げられる。
また、TiCl (TiCl を水素で還元したもの、アルミニウム金属で還元したもの、或は有機金属化合物で還元したものなどを含む)、TiBr、Ti(OC )Cl 、TiCl 、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライドなどのチタン化合物の使用も可能である。
これらのチタン化合物の中でもTiCl 、Ti(OC、Ti(OC )Cl などが好ましい。
ハロゲンは、上述のマグネシウムのハロゲン化合物及び/又はチタンのハロゲン化合物から添加されるのが普通であるが、他のハロゲン源、例えばAlCl、AlBr 、AlI などのアルミニウムのハロゲン化物、BCl 、BBr、BI などのホウ素のハロゲン化物、SiCl などのケイ素のハロゲン化物、PCl 、PClなどのリンのハロゲン化物、WCl などのタングステンのハロゲン化物、MoCl などのモリブデンのハロゲン化物といった公知のハロゲン化剤から添加することもできる。固体触媒成分中に含まれるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はこれらの混合物であってもよく、特に塩素が好ましい。
電子供与性化合物(内部ドナー)としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸又は無機酸類のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類のような含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネートのような含窒素電子供与体、スルホン酸エステルのような含硫黄電子供与体などを例示することができる。
より具体的には、(イ)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1ないし18のアルコール類、(ロ)フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、ナフトールなどのアルキル基を有してよい炭素数6ないし25のフェノール類、(ハ)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどの炭素数3ないし15のケトン類、(ニ)アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2ないし15のアルデヒド類、(ホ)ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、γ−ブチロラクトン、α−バレロラクトン、クマリンなどの有機酸モノエステル、又は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、炭酸α−オレフィンなどの有機酸多価エステルの炭素数2ないし20の有機酸エステル類、(へ)ケイ酸エチル、ケイ酸ブチルなどのケイ酸エステルのような無機酸エステル類、(ト)アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリド、塩化フタロイル、イソ塩化フタロイルなどの炭素数2ないし15の酸ハライド類、(チ)メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパンなどの炭素数2ないし20のエーテル類、(リ)酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドなどの酸アミド類、(ヌ)メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、(ル)アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどのニトリル類、(ヲ)2−(エトキシメチル)−安息香酸エチル、2−(t−ブトキシメチル)−安息香酸エチル、3−エトキシ−2−フェニルプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−s−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−t−ブチルプロピオン酸エチルなどのアルコキシエステル化合物類、(ワ)2−ベンゾイル安息香酸エチル、2−(4´−メチルベンゾイル)安息香酸エチル、2−ベンゾイル−4,5−ジメチル安息香酸エチルなどのケトエステル化合物類、(カ)ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸イソプロピル、p−トルエンスルホン酸−n−ブチル、p−トルエンスルホン酸−s−ブチルなどのスルホン酸エステル類、(ヨ)R p qSi(ORr (OR4-p-q-r (ここで、R 及びR はそれぞれ同一でも異なっていてもよい炭素数1〜20の分岐、環状又は直鎖炭化水素基であり、Rは炭素数1から10の炭化水素基であり、R は炭素数1から4の炭化水素基であり、p、q、rはそれぞれ1≦p≦2、0≦q≦1、0≦r≦2であり、かつp+q+r≦3である。)で表される有機ケイ素化合物などを挙げることができる。
(2)有機アルミニウム化合物
有機アルミニウム化合物としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物などを用いることができる。
具体例としては、R 3-s AlXs 又はR 3-t Al(ORt (ここで、R 及びRは炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子であり、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲンであり、s及びtはそれぞれ0≦s<3、0<t<3である。)で表されるものがある。
具体的には、(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、(ロ)ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシドなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物は単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
(3)電子供与性化合物(外部ドナー)
触媒成分として上記の成分に加えて、必要に応じて外部ドナーとして電子供与性化合物を用いることもできる。
このような電子供与性化合物としては、前述の触媒成分中の必須成分として用いる内部ドナーとして例示した化合物が挙げられる。このような電子供与性化合物を用いる場合に、内部ドナーとしての化合物と同一であっても、異なっていてもよい。
好ましい電子供与性化合物としては、エーテル類、無機酸エステル、有機酸エステル及び有機酸ハライド、有機ケイ素化合物であり、特に好ましいのは無機及び有機ケイ酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブエステル、フタル酸ハライドである。
好ましいケイ酸エステルとしては、一般式R1 v wSi(OR4-v-w(但し、R1 は分岐を有する炭素数3〜20、好ましくは3〜10の脂肪族炭化水素残基、又は炭素数5〜20、好ましくは6〜10の環状脂肪族炭化水素残基を、Rは炭素数1〜20、好ましくは1〜10の分岐又は直鎖状の脂肪族炭化水素残基を、R は炭素数1〜10、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素残基を、vは0≦v≦3、wは0≦w≦3でv+w≦3の数を、それぞれ示す)で表される有機ケイ素化合物である。なお、前記一般式のRはケイ素原子に隣接する炭素原子から分岐しているものが好ましい。
具体的には、t−Bu(Me)Si(OMe)、t−Bu(Me)Si(OEt)、t−Bu(Et)Si(OMe)、t−Bu(n−Pr)Si(OMe)、c−Hex(Me)Si(OMe)、c−Hex(Et)Si(OMe)、c−PenSi(OMe)、i−PrSi(OMe)、i−BuSi(OMe)、i−Pr(i−Bu)Si(OMe)、n−Pr(Me)Si(OMe)、t−BuSi(OEt)を、その他(EtN)Si(OMe)、EtN−Si(OEt) を挙げることができる。
(II)メタロセン系重合触媒
メタロセン系重合触媒であれば、特に限定されないが、その中でも、好適に使用されるメタロセン系重合触媒としては、A.共役五員環配位子を有する周期律表第4族などの遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、B.それを活性化させる助触媒、並びに必要に応じて使用される、C.有機アルミニウム化合物から構成されるものを挙げることができる。
オレフィン重合プロセス特性によっては、粒子化が必須とされる場合には、上記メタロセン系重合触媒に更に、D.担体を構成要素として加えることができる。
(1)メタロセン錯体
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物のメタロセン錯体が挙げられ、これらのうち、下記一般式のどちらかで表されるものが好ましい。
Figure 2011153287
上記一般式中、A及びA’は置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基である。この置換基の例としては、炭素数1〜30の炭化水素基(ハロゲン、珪素、酸素、硫黄などのヘテロ原子を含有していてもよい)である。この炭化水素基は一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していても、またこれが複数存在するときに、その内の2個がそれぞれ他端(ω−端)で結合してシクロペンタジエニルの一部と共に環を形成していてもよい。その環の例としては、インデニル基、フルオレニル基、又はアズレニル基などが挙げられる。これらの基は、更に副環上に置換基を有していてもよい。これらの中で好ましいものは、インデニル基又はアズレニル基である。
Qは、二つの共役五員環配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表し、具体的にはアルキレン基、シリレン基、シラフルオレン基或はゲルミレン基であることが好ましい。
Mは、周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどである。特に、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
X及びYは、補助配位子であり、助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX、Yは配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、或はヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基が例示できる。これらのうち好ましいものは、炭素数1〜10の炭化水素基、或はハロゲン原子である。
(2)助触媒(活性化剤成分)
助触媒は、メタロセン錯体を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させうる化合物であり、具体的には、(イ)アルミニウムオキシ化合物、(ロ)メタロセン錯体と反応してメタロセン錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸、(ハ)固体酸、(ニ)イオン交換性層状珪酸塩が挙げられる。
(イ)アルミニウムオキシ化合物
アルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化できることは周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2011153287
上記の各一般式中、Rは水素原子又は炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内及び各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。
(ロ)メタロセン錯体と反応してメタロセン錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸
当化合物は、メタロセン錯体と反応してメタロセン錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物などが挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或は、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化合物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、メタロセン錯体と反応してメタロセン錯体をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。上述した非配位性のホウ素化合物を用いたメタロセン触媒は、特開平3−234709号公報、特開平5−247128号公報などに例示されている。
(ハ)固体酸
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどが挙げられる。
(ニ)イオン交換性層状化合物
イオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。2:1型鉱物類として、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族、パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族、Mg緑泥石などの緑泥石族などである。2:1リボン型鉱物類としては、セピオライト、パリゴルスカイトなどである。
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。本発明で使用する珪酸塩は、天然品又は工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水及び層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
(3)有機アルミニウム化合物
メタロセン系重合触媒に、必用に応じて使用される有機アルミニウム化合物としては、(I)チーグラー系重合触媒において使用される有機アルミニウム化合物(段落0035〜0036)に示される化合物が使用される。
具体的な化合物としては、トリアルキルアルミニウムが好ましい。更に好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムである。
(4)担体
本発明は気相重合を用いるプロピレン系重合体の製造方法に関するものであることから、触媒成分の担体を用いた担持型触媒を用いることが好ましい。担体としては、公知のものが使用できるが、好ましい担体としては、シリカ、チタニア、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、イオン交換性層状珪酸塩などの無機化合物担体やポリプロピレンパウダー、ポリエチレンパウダーなどのポリマー担体を挙げることができる。
また、プロピレン系重合体の粒子の形状を整え、かつ粒子径を大きくするために、使用する担体は、粒子形状及び粒子径の制御された担体を用いることが好ましい。担体の好ましい粒径は1〜200μm、更に好ましくは10〜150μmである。
3.予備重合処理
本発明においては、チーグラー系重合触媒及びメタロセン系重合触媒のいずれの触媒の使用に関わらず、本重合で使用する前に予備重合処理して用いることが好ましい。予備重合処理された触媒を用いることによって、微粉末のプロピレン系重合体の発生を抑制することができ、またプロピレン系重合体の粉体特性を向上させることができる。
予備重合した後の触媒は、ポリマーの殻に覆われているが、本重合に用いられる触媒の平均粒径(ポリマーの殻を含めた大きさ)は、好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上であり、また、好ましくは300μm以下、更に好ましくは200μm以下である。
ポリオレフィン重合触媒成分の予備重合処理は、前記した有機アルミニウム化合物と同様の有機アルミニウム化合物の存在下で実施できる。予備重合時の温度は10〜80℃で10分〜48時間かけてポリオレフィン重合触媒成分1グラム当たり0.1〜100グラム、好ましくは0.5〜50グラムのα−オレフィンを不活性溶媒中で反応させる。
予備重合処理においては、特にチーグラー系重合触媒では、前記した電子供与体と同様の電子供与体を用いることもできる。電子供与体が有機ケイ素化合物の場合、有機アルミニウム化合物1モルに対して0.01〜10モルの範囲で用いてもよい。
予備重合処理に用いられるα−オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどであり、これらは単独のみならず、他のα−オレフィンとの2種以上の混合物であってもよい。また、その重合に際して生成するポリマーの分子量を調節するために水素などの分子調節剤を併用することもできる。
予備重合処理に用いられる不活性溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン及び流動パラフィンなどの液状飽和炭化水素やジメチルポリシロキサンの構造を持ったシリコンオイルなどの、重合反応に著しく影響を及ぼさない不活性溶剤である。これらの不活性溶剤は1種の単独溶剤又は2種以上の混合溶剤のいずれでもよい。
これらの不活性溶剤の使用に際しては重合に悪影響を及ぼす水分やイオウ化合物などの不純物を取り除いた後で使用することが好ましい。
予備重合処理は複数回行ってもよく、この際に用いるモノマーは同一であっても異なっていてもよい。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタンなどの不活性溶媒で洗浄を行うこともできる。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。更に、上記各成分の接触の際、若しくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
なお、メタロセン系重合触媒における予備重合は、チーグラー系重合触媒の場合と同様に行うことができるが、電子供与体は使用しない。
4.重合様式と重合反応器
本発明においては、プロピレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体の製造は、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器を用いて、連続気相重合法によって実施する。
本発明において、気相重合法とは液が全く存在しないことを意味しない。重合を行う相が実質的に気相であればよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で液が存在してもよい。この液としては、除熱のための液化プロピレンでだけではなく、ヘキサンなどの不活性炭化水素を例示することができる。
本発明による反応器は、使用する原料、反応条件、反応形態、生成物などにより、その反応に適する限りにおいて、大きさ、材質などに限定されず、既存のものから任意に選択し使用することが可能である。形状は、好ましくは、円筒状の部分を有する横型重合反応器である。液化プロピレンの気化熱(蒸発潜熱)を用いて除熱を行うため、反応器には、反応器からプロピレンを含むガスを抜き出し、そのガスを冷却して少なくとも一部を液化させ、液化した成分の少なくとも一部を反応器に供給するリサイクル装置を備えたものであることが好ましい。
反応器の大きさはそれぞれの反応形態などに応じて任意である。容積は通常、0.1m以上、工業的な生産性、経済性の点から、20m以上であることが好ましい。長さ対直径比は、工業的な生産性と経済性の点から2.0以上であることが好ましい。
一般に、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に有する横型重合反応器を用いた気相法プロセスで重合を行う場合は、反応器内の局部発熱などの影響による異常反応により、塊状ポリマー量が増大し、塊状ポリマーと撹拌機との物理接触により、微粉量が増大する傾向にある。
本発明のプロピレン系重合体の製造方法においては、反応器(リアクター)の領域間に温度差をつけ反応を適正に制御することにより、塊状ポリマーの発生ひいては微粉の発生を抑制することができ、運転の安定性及び生産性を向上できるという特徴を有している。
反応器の並び方については、本発明の要旨を阻害しない限り任意の方法を用いることができる。反応器は一つでも複数でもよく、複数の場合は、直列に繋いでも良いし、並列に繋いでも良い。
特に好ましい例としては、2〜4槽の反応器を直列に繋いだ反応装置を例示することができる。特にプロピレンとその他のα−オレフィンとのブロック共重合体を製造する場合には、少なくとも直列に繋がった2槽の反応器を含む並び方にする方が好ましい。2槽以上の反応器の配置方法としては、特に制限はないが、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型重合反応器が複数槽の場合には、上流の反応器の攪拌機の回転軸は、下流の反応器の攪拌機の回転軸と同じ又はより高い高さに配置、好ましくは、下流の反応器の攪拌機の回転軸より高い、ある一定の高さで配置するのが好ましい。
槽数を増やすことなく滞留時間分布を狭くする方法としては、反応器の内部にパウダーの移動を制限する堰を設けることにより可能である。堰の形態としては、反応器に固定された固定堰を用いてもよいし、回転軸に固定された回転堰を用いてもよい。滞留時間は生産量に応じて任意に変えることもできる。
触媒供給はいずれの位置よりも供給可能であるが、反応器上流部の上部より供給することが好ましい。触媒供給部は反応器の上流末端から下流方向へ、当反応器の長さの0〜15%、好ましくは2.5〜10%の領域に設置することが好ましい。2.5%以上であると、触媒が反応器の内壁に付着し難く、凝集体や塊状ポリマーの発生が抑制でき、運転安定性を高めることができる。10%以下であると、触媒の反応器内での滞留時間が短過ぎることがなく、活性の低下を抑えることができ、経済的に有利である。
本発明の重合用触媒やその他の任意成分は、公知の方法を用いて反応器に供給することができる。重合触媒についてはそのまま粉末状で反応器に供給してもよいが、ヘキサンやミネラルオイルなどの不活性溶媒を用いて希釈した上で供給してもよい。
また、有機アルミニウム化合物は、チーグラー系固体触媒成分やメタロセン錯体成分と接触させた後に触媒中の成分として供給してもよく、これらの成分とは別に供給してもよい。
5.気化熱(蒸発潜熱)による除熱
液化プロピレンの気化熱を用いて除熱を行う方法としては、任意の方法を用いることができる。
液化プロピレンの気化熱を用いて除熱を行うためには、実質的に液の状態にあるプロピレンを反応器に供給すればよい。フレッシュな液化プロピレンを反応器に供給することもできるが、一般的にはリサイクルプロピレンを用いることが望ましい。リサイクルプロピレンを用いる一般的な手順は以下に例示される。
反応器からプロピレンを含むガスを抜き出し、そのガスを冷却して少なくとも一部を液化させ、液化した成分の少なくとも一部を反応器に供給する。この際、液化する成分はプロピレンを含む必要があるが、ブテンに代表されるコモノマー成分やイソブタンに代表される不活性炭化水素成分を含んでいてもよい。
液化プロピレンの供給方法は、実質的に液の状態にあるプロピレンを反応器に供給するものである限り任意の方法を用いることができる。プロピレン系重合体粒子のベッドに供給してもよいし、気相部に供給してもよい。気相部に供給する場合には、反応器内部の気相部に供給してもよいし、リサイクルガスラインに供給してもよい。特に、反応器内部の気相部に供給することが好ましい。
本発明において、主に液化プロピレンの気化熱を用いて除熱を行うということは、液化プロピレンの気化熱だけを用いて除熱を行うことを意味しない。本発明の要旨を逸脱しない限り、他の除熱方法を併用することができる。具体的には、反応器に備え付けたジャケットを用いて除熱する方法、反応器からのガスの一部を抜き出して熱交換器により冷却し再びガスを反応器に戻す方法、などを例示することができる。ただし、本発明においては、液化プロピレンの気化熱を用いた除熱が主体である必要がある。具体的には、少なくとも一つの反応器において、除熱量の少なくとも半分を液化プロピレンの気化熱を用いて除熱する必要がある。
6.重合反応器の構造と温度制御
定常運転状態では、横型重合反応器内は全体にポリマー床を形成し、重合反応は全ての領域において行われる。反応器の工業的に有用な長さ対直径比は2.0以上であるため各領域に分け、温度制御を行うことが運転安定性の面から重要である。図2に例示されるように、反応器は一般的に上方部分に沿って間隔をおいて配置された液化プロピレン供給配管、底部に沿って間隔をおいて配置された混合ガス供給配管、及び示差温度計が設置されており、温度制御は主に上部配管の液化プロピレンの流量により個別に制御される。補助的に混合ガスの示差導入及び流量も制御因子として使用することも可能である。
ここで横型重合反応器の一例について図1を用いて詳細に述べると、横型重合反応器10は細長く、上流末端12と下流末端14を持ち、図1に示すように、一般的には水平位置で設置されている。
本発明における横型重合槽の上流末端領域とは、上流末端を含む領域を、下流末端領域とは、下流末端を含み重合体抜き出し配管を備える領域を示すものである。温度は、反応器内に設置した示差温度計による指示値である。
軸20は重合槽10の下流端14の中へ延び、撹拌の為の翼が重合槽10内で取り付けられている。撹拌翼はポリマー粒子を重合槽10内でその中へ導入される他物質と混合する。
重合槽10の上流部配管1,2(必要に応じて1本の使用でも可能)より導入された触媒成分は、撹拌翼にてポリマー粒子と混合されながら、重合を開始する。配管1,2は、本発明の主旨に逸脱しない限り、任意の位置に設置することができる。重合の際に発生する重合熱は、頂部配管19から供給される原料液化プロピレンの気化熱により除去される。
未反応のプロピレンガスは配管13にて反応系外へ排出され、凝縮器15にてその一部分が凝縮され、気液分離槽11で液相と気相へ分離される。液相部は重合熱除去のため配管19へ再導入され、気相部は、分子量調節のための水素などと混合され、重合槽10底部に設置された配管18を経由して再供給される。ポリマー粒子は反応と混合をしながら重合槽内を上流部から下流部へ移動し、重合体抜き出し配管23にて反応系外へ排出される。
圧力、滞留時間、温度の様な重合条件は、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に設定する事ができる。
具体的には、重合圧力は好ましくは1,200kPa以上、更に好ましくは1,400kPa以上、特に好ましくは1,600kPa以上であり、好ましくは4,200kPa以下、更に好ましくは3,500kPa以下、特に好ましくは3,000kPa以下である。但し、重合圧力は重合温度におけるプロピレンの蒸気圧より高く設定するべきではない。一般に横型重合反応器は、ガス相は循環しているため、同一反応器内における重合圧力は一定に保持される。また、反応器に設置した堰形状により物理的に分割することも可能であり、同一器内で異なる圧力操作も可能である。
滞留時間は反応器の構成や製品インデックスに合わせて任意に調整することができる。一般的には、30分から5時間の範囲内で設定される。
重合温度は、好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。
更に、反応器の上流末端を含む領域温度(Tα)と下流末端を含む領域温度(Tω)が異なり、温度差ΔT1(℃)=Tω−Tαが0.1〜20℃であることを特徴とする。
また、単一重合器内では同一反応条件とすることが一般的だが、本発明では反応器を上流から下流方向にi個(iは2以上の任意の整数)の領域区分に分けたときに、本発明による横型重合反応器の上流末端領域から下流末端領域のn番目(nは1以上(i−1)以下の整数)の領域区分(n)とその隣接する下流部の領域区分(n+1)の各反応温度TnとTn+1がTn≦Tn+1である製造方法により、それぞれのチーグラー触媒やメタロセン触媒を用いた、重合特性に応じた重合温度制御を行うことが可能となり、局部発熱などによる除熱不良による塊状ポリマー生成の抑制などに有効である。
本発明において領域区分は堰を用いた物理的な領域区分を示すのではなく、温度制御実施領域区分を示すものである。反応器内の重合温度は反応器内に設置した示差温度計により複数の領域区分(n)の反応器温度Tnを個別に異なる温度で制御することが可能である。
設置する示差温度計は反応器容積や反応形態などに応じて任意であるが、少なくとも反応器内の上流部、中流部、下流部に設置することが好ましく(i=3に相当する)、反応器最上流末端から下流方向へ、反応器の長さの0〜30%、30〜70%、70〜100%までの間に示差温度計は少なくとも1本づつ、3本以上を設置する。即ち、領域区分の数iは3以上であることが好ましい。
本発明における上流末端を含む領域温度(Tα)、下流末端を含む領域温度(Tω)とはそれぞれ反応器の最上流、最下流末端を含む領域に設置した示差温度計指示値を示すものである。
反応器の上流末端を含む領域区分の温度(Tα)と下流末端を含む領域区分の温度(Tω)との温度差ΔT1(℃)=Tω−Tαが、0.1〜20℃である。ΔT1は、好ましくは2℃以上、より好ましくは5℃以上である。ΔT1は、好ましくは15℃以下、より好ましくは12℃以下である。0.1℃未満であると重合初期の反応抑制効果が低く、塊状ポリマーの抑制とパウダーモロフォロジー悪化による微細粒抑制効果が低くなり、運転制御が安定しない。また反応器下流部での温度上昇に伴う生産性向上の効果が充分に得られない。20℃を超えると単一器内における温度変化が大きくなってしまい、重合体の組成変化を引き起こす惧れがある。
ここで横型重合反応器における温度制御の一例について図2を用いて詳細に述べる。横型重合反応器1は、上流末端2と下流末端3を持ち、領域を3区分で分割したものである。触媒成分は反応器の上流部配管4より供給される。
重合の際に、発生する反応熱は、頂部配管7から供給される原料液化プロピレンの気化熱により除去される。各領域区分における重合温度は、上部に特定の間隔を持って配置された供給配管からの原料液化プロピレンの流量、下部に特定の間隔を持って配置された原料混合ガス供給配管9から温度制御された混合ガス流量の組み合わせによって個別に制御されうる。各流量は操作弁8,10によって制御される。
単一重合器内では同一反応条件とすることが一般的だが、本発明では反応器を上流から下流方向にi個(iは2以上の任意の整数)の領域区分に分けたときに、本発明による横型重合反応器の上流末端から下流末端のn番目(nは1以上(i−1)以下の整数)の領域区分(n)とその隣接する下流部の領域区分(n+1)の各反応温度TnとTn+1がTn≦Tn+1である製造方法により、それぞれのチーグラー触媒やメタロセン触媒を用いた、重合特性に応じた重合温度制御を行うことが可能となり、局部発熱などに起因する除熱不良による塊状ポリマーの抑制に有効である。
反応器上流末端から下流末端への温度設定方法は、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に設定することができる。
図3,4には一例として領域区分i=10における温度設定方法が記載されている。図3では8領域にて、図4では3領域にて温度制御がなされている。
いずれの場合においても、重合初期の重合温度が相対的に低いことによる反応抑制効果と、重合中期から重合後期にかけての重合温度が相対的に高くなることによる生産性向上効果によって、塊状ポリマー生成の抑制とパウダーモロフォロジー悪化による微粉生成の抑制効果、及び生産の効率化に有効である。図5に示す、一旦温度を低下し、途中の領域区分で温度を上げるような制御では、塊状ポリマーの抑制とパウダーモロフォロジー悪化による微粉生成の抑制効果が低いばかりでなく、パウダーの生産性が低下し経済的にも不利である。
本発明において触媒供給部が含まれる領域区分の温度(Tx)と反応器内の混合ガスの露点(Tz)との温度差ΔT2(℃)=Tx−Tzが1〜20℃となるように重合反応を行うことが好ましい。より好ましくは2℃以上、更に好ましくは3℃以上である。より好ましくは18℃以下、更に好ましくは15℃以下である。温度差ΔT2がこの範囲にあると、重合温度と露点とが近づき過ぎて、プロピレンガスが反応器内で凝縮して運転が不安定になったり、塊状ポリマーが発生し易くなったりすることを防止でき、また、露点に対して重合温度が高くなり過ぎて、除熱不足から局部発熱によって、生成するポリマーの融解などによる塊状ポリマーが発生し易くなることを防止できる。また、急激な反応によりパウダーモルフォロジーが悪化し、撹拌及びガスの流動化による粉砕が生じ易くなること、特に撹拌時にパウダーの粉砕による微粉の発生が多くなることでエントレインメント量も多くなることを防止できる。反応器内において、触媒供給部と領域区分(n)が同一である必要はない。即ち、触媒供給部の温度(Tx)と反応器の領域区分における領域区分温度(Tn)が同一である必要はない。
なお、反応器内の混合ガスの露点(Tz)は、混合ガスのガスクロマトグラフィー分析値を用い、化学工学便覧改訂五版(丸善株式会社刊;第485頁)に記載の方法に従って、算出した。
本発明におけるエントレインメント量とは、プロピレン系重合体の生産量に対する、反応器の上部槽壁など(側部や底部でもよい)に設置した未反応ガス抜出配管を通過し、ガスと共に反応器外へ搬出される粒子量を意味する。エントレインメント量を具体的に測定する方法としては、凝縮機手前に設置されたサイクロン若しくはバグフィルターなどの微粒子除去設備によって除去される微粉の量を秤量し、生産量で除する方法を例示することができる[g/kg]。
プロピレン系重合体を製造するに際して、エントレインメント量は、0.10g/kg以下であることが好ましい。
この値が高いと、エントレインメントの増加によりガス排出管系統への負荷や付着などが増大したり、凝縮機中に微粉が流入することによりガス凝縮能力が低下したりする惧れがある。
横型重合反応器で重合を行う場合、重合反応によるプロピレン系重合体の生成と機械的な撹拌の2つの力により、プロピレン系重合体の粒子は徐々に成長しながら反応器の軸方向に沿って進んでいくため、フローパターンはピストンフロー型となる。そのため、プロピレン系重合体は、同一反応器内で触媒供給口からパウダー排出口まで異なる温度履歴を受けることが可能である。
本発明による手法を取り入れることで、反応初期の緩慢な活性化が容易であり、チーグラー触媒とメタロセン触媒に関わらず、触媒供給部における局部的な発熱による無秩序な重合反応の抑制、特にプロピレンとエチレンやα−オレフィンとのランダム共重合における、急速な重合速度を生じ易いために生じる塊状ポリマーの生成の抑制、エントレインメント量発生に繋がるモルフォロジーの悪化した破砕され易いポリマーの生成と微粉の発生の抑制に有効な手段となる。
反応器内での塊状ポリマーと微粉の発生の抑制により、生産の連続性と運転の安定性をより高めることも可能となる。また、触媒活性も高く保持され、製造コストも抑えることができて経済的である。
以下に本発明を実施例及び比較例によって、更に具体的に説明し、各実施例のデータ及び各実施例と各比較例の対照により、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。本発明における各物性値の測定方法を以下に示す。
1.物性値の測定方法
(1)エントレインメント量:凝縮機手前に設置したバグフィルターによって単位時間当たりに除去される微粉量を生産レート(単位時間当たりの生産量)に対する割合として、エントレインメント量を評価した[g/kg]。
(2)<210μmのパウダー量:パウダー状のポリマー生成物を210μmの篩にかけ、篩を通過したパウダーの割合を重量%で示した。
(3)>4,750μmのパウダー量:パウダー状のポリマー生成物を4,750μmの篩にかけ、篩を通過しなかったパウダーの割合を重量%で示した。
(4)メルトフローレート(MFR):JIS・K6758に従って、230℃・荷重2.16kgfの条件で測定した。
(5)エチレン含量:13C−NMRを用いて、Macromolecules 1982;1150に記載の方法に従って測定し、重量%で示した。
2.実施例及び比較例
[実施例1]
(1)固体触媒成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分のTi含量は2.7wt%であった。また、固体成分の平均粒径は33μmであった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分のスラリーを、固体成分として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなる様に調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30mlと(i−Pr)Si(OMe)を30ml及びEtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行って固体触媒成分(A1)を得た。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥し、分析したところ、固体触媒成分(A1)にはTiが含2.3wt%、(i−Pr)Si(OMe)が7.8wt%含まれていた。また、(A1)の平均粒径は33μmであった。
(2)予備重合
上記で得られた固体触媒成分(A1)を用いて、以下の手順により予備重合を行った。撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒成分(A1)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って触媒(A)を得た。この触媒(A)1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この触媒(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.9wt%、(i−Pr)Si(OMe)が7.2wt%含まれていた。また、予備重合後の触媒(A)の平均粒径は62μmであった。
(3)プロピレンの重合
添付した図1に示したフローシートによって説明する。1台の横型重合反応器を用い、気相重合によりプロピレン−エチレンランダム共重合体を製造した。反応器10は、内径D:340mm、長さL:1,260mm、回転軸の径:90mm、内容積:110Lの撹拌機を備えた連続式横型気相重合器(長さ/直径=約3.7)である。
反応器10内を窒素ガスで置換後、500μm以下の重合体粒子を除去したポリプロピレン粉末を25kg導入し、上流末端から160mmの位置に設置した配管1より上記で得られた触媒(A)を、固体成分として0.17g/h、また、上流末端から150mmの位置に設置した配管2よりトリエチルアルミニウムの15重量%n−ヘキサン溶液を15mmol/hrで連続的に供給した。また、重合器10内の水素濃度、エチレン濃度のプロピレン濃度に対する比がそれぞれ0.04、0.03、示差温度計を上流末端からそれぞれ200、600、1,000mmに設置し領域を3区分で制御し、各温度をそれぞれ上流より64,67,70℃、重合反応器10内の圧力が2.3MPa、を保つようにプロピレンを供給し、また、水素とエチレンモノマーは混合ガス供給配管18を通じて原料補給配管4より連続的に供給した。この時の反応器内の混合ガスの露点は51℃であった。触媒供給部が含まれる領域の温度は64℃である。反応熱は、原料プロピレン供給配管19から供給する原料プロピレンの気化熱により除去した。重合反応器10から排出される未反応ガスは、未反応ガス抜き出し配管13を通して反応器系外に抜き出し、冷却・凝縮させて原料液化プロピレン供給配管19を通して重合反応器10に還流した。なお、凝縮機15手前に設置したバグフィルター24によってガス類からは微粉を捕集し、エントレインメント量の測定を行った。
重合反応器10内で生成したプロピレン−エチレンランダム共重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に重合体のパウダーを重合体抜き出し配管23を通して重合反応器10から連続的に抜き出した。抜き出したパウダーは、ガス回収機22でガス類を分離し、パウダー部は回収機21に抜き出した。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の単位時間当たりの生産量は13.3kg/hr、重合反応器10内の平均滞留時間は1.9hrであった。また、エントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.031g/kgであった。
回収機21で回収されたパウダーは、平均粒径は1,540μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.10wt%、>4,750μmの塊状ポリマーは0.02wt%であった。
[実施例2]
実施例2は、各領域区分の温度をそれぞれ上流より、70,72,75℃に保つ以外は、実施例1と同様に行った。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の単位時間当たりの生産量は12.6kg/hr、重合反応器10内の平均滞留時間は2.0hrであった。また、エントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.035g/kgであった。
回収機21で回収されたパウダーは、平均粒径は1,520μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.15wt%、>4,750μmの塊状ポリマーは0.25wt%であった。得られたパウダーの分析結果は表1に示す。
[実施例3]
実施例3は、内径D:300mm、長さL:1,550mm、回転軸の径:90mm、内容積:110Lの撹拌機と、触媒供給配管を上流末端より160mmの重合器上部に備えた、連続式横型気相重合器(長さ/直径=約5.2)を用いた。示差温度計を上流末端からそれぞれ300、500、850、1,000、1,200mmに設置、領域を5区分とし、各温度をそれぞれ上流より64、65、67、68、70℃に制御した以外は、実施例1と同様に行った。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の単位時間当たりの生産量は13.0kg/hr、重合器内の平均滞留時間は1.9hrであった。また、エントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.030g/kgであった。
回収されたパウダーは、平均粒径は1,530μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.10wt%、>4,750μmの塊状ポリマーは0.03wt%であった。
[実施例4]
(1)触媒の製造
珪酸塩の化学処理:10Lの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75L、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、更にモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=50μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7L加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の質量は707gであった。化学処理した珪酸塩をキルン乾燥機で乾燥した。
触媒の調製:内容積3Lの撹拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1,160ml、更にトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0Lに調製した。次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。並行して、〔(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕(合成は特開平10−226712号公報実施例に従って実施した)2,180mg(3mmol)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌した。珪酸塩/メタロセン錯体スラリーの触媒成分(B1)を得た。
(2)予備重合
続いて、窒素で充分置換を行った内容積10Lの撹拌式オートクレーブに、n−ヘプタン2.1Lを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製した触媒成分(B1)である珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、更に2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄み約3Lをデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、更に混合ヘプタンを5.6L添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5.6L除いた。更にこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液17.0mlを添加した後に、45℃で減圧乾燥した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレン2.2gを含む予備重合触媒(B)が得られた。
(3)プロピレンの重合
実施例1に用いた横型重合反応器を用い、気相重合を行った。重合反応器10内を窒素ガスで置換後、500μm以下の重合体粒子を除去したポリプロピレン粉末を35kg導入し、その後、プロピレンとエチレン及び水素を導入しながら昇温し、重合条件が整った時点で、配管1より予備重合処理した上記触媒のヘキサンスラリーを、予備重合ポリマーを含まない触媒成分として0.74g/hr、配管2より有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウムを15mmol/hrとなるように供給した。
領域を3区分で制御し、各温度をそれぞれ上流より55、56、60℃、重合器10内の圧力が2.3MPa、反応器の気相中のエチレン/プロピレンの混合ガスモル比0.08、水素/プロピレンモル比0.0003に維持するようにエチレンガス及び水素ガスを循環配管4より連続的に供給した。この時の反応器内の露点は50℃であった。重合器10内で生成したプロピレン−エチレンランダム共重合体の保有レベルが反応容積の65容量%となる様に重合体抜き出し配管23を通して重合器10から連続的に抜き出した。抜き出したパウダーは、ガス回収機22でガス類を分離し、パウダーは回収機21に抜き出した。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の単位時間当たりの生産量は13.0kg/hr、重合器10内の平均滞留時間は1.9hrであった。また、エントレインメント量の測定を5回行ったところ、平均で0.090g/kgであった。
回収されたパウダーは、平均粒径は1,310μmであり、210μm未満の微粉ポリマーは0.10wt%、>4,750μmの塊状ポリマーは0.05wt%であった。得られたパウダーの分析結果は表1に示す。
[比較例1]
各領域区分の温度を上流より、75,75,75℃に保つ以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
各領域区分の温度を上流より、60,60,60℃に保つ以外は実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 2011153287
[実施例と比較例の結果の考察]
表1から明らかなように、実施例1〜4は比較例1〜2と対照して、パウダー中の塊状とパウダーの微粉発生量が少なく、加えて触媒活性も高いことから経済的に有用であることが示されている。
チーグラー触媒を用いた実施例1〜3と比較例1の比較では、反応器上流末端を含む領域の反応温度と下流末端を含む領域の反応温度の温度差ΔT1(℃)が異なる製造法の比較を行ったものである。
実施例1と比較して、比較例1は塊状発生の指標であるサンプル中の>4,750μmの割合が高く、微粉発生量とエントレインメント量も多く、また、活性低下も生じ好ましくない。
実施例2は実施例1に対して触媒供給部が含まれる領域の温度(Tx)と反応器内の混合ガスの露点(Tz)との温度差ΔT2(℃)=Tx−Tzが高くなったものである。実施例1と比較して、サンプル中の>4,750μmの割合が高く、また、活性低下も生じてはいるものの、ΔT2(℃)=Tx−Tzの制御により安定生産と生産効率の向上の上で本手法が有効であることを示すものである。
実施例3は実施例1に対して、より多くの温度制御をしたものであり、エントレインメント量が僅かであるが減少しており、重合器形状による温度制御の有効性を示すものである。
実施例4はメタロセン触媒を用いて、比較例2と、反応器上流末端を含む領域の反応温度と下流末端を含む領域の反応温度の温度差ΔT1(℃)が異なる製造法の比較を行ったものである。実施例4と比較して、比較例2では、塊状と微粉発生が共にかなり多く、エントレインメント量も多くて、安定運転(工程操作)の上で好ましくない。また、活性低下も起きているため経済的にも不利である。
以上の結果より、各実施例においては、各比較例に比して、水平軸回りに回転する撹拌機を内部に有する横型重合反応器の温度を効果的に制御することにより、塊状や微粉の発生が抑制され、エントレインメント量も少なく、触媒活性も高くて優れた結果が得られており、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を明示しているといえる。
図1;1及び2 触媒成分供給配管 3 原料プロピレン補給配管
4 原料補給配管(水素など) 10 反応器
11 気液分離槽 12 反応器上流末端
13 未反応ガス抜出し配管 14 反応器下流末端
15 凝縮機 16 圧縮機
17 ポンプ 18 原料混合ガス供給配管
19 原料液化プロピレン供給配管 20 撹拌機
21 パウダー回収機 22 ガス回収機
23 重合体抜出し配管 24 バグフィルター
図2;1 反応器 2 反応器上流末端
3 反応器下流末端 4 触媒成分供給配管
5 重合体抜出し配管 6 示差温度計
7 原料液化プロピレン供給配管 8 操作弁
9 原料混合ガス供給配管 10 操作弁

Claims (7)

  1. 水平軸回りに回転する撹拌機を内部に備えた横型重合反応器において、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する連続気相重合法により、オレフィン重合用触媒の存在下でプロピレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとを重合させてなるプロピレン系重合体を製造する工程で、反応器における異なる領域区分において異なる温度に操作可能とし、反応器の上流末端を含む領域区分の温度(Tα)と下流末端を含む領域区分の温度(Tω)との温度差ΔT1(℃)(=Tω−Tα)が0.1〜20℃であることを特徴とする、プロピレン系重合体の製造方法。
  2. 横型重合反応器の上流末端から下流末端に至る領域区分(n)とその隣接する下流部の領域区分(n+1)の反応温度である、TnとTn+1がTn≦Tn+1であることを特徴とする、請求項1に記載されたプロピレン系重合体の製造方法。
  3. 複数の領域区分(n)の反応温度Tnを個別に異なる温度で制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載されたプロピレン系重合体の製造方法。
  4. 触媒供給部が含まれる領域区分の温度(Tx)と反応器内の混合ガスの露点(Tz)との温度差ΔT2(℃)(=Tx−Tz)が1〜20℃であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載されたプロピレン系重合体の製造方法。
  5. 単独又は複数の重合反応器を使用し、少なくとも一つの反応器において、除熱量の少なくとも半分を液化プロピレンの気化熱を用いて除熱することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載されたプロピレン系重合体の製造方法。
  6. 触媒は反応器上流部の上部より供給され、触媒供給部は反応器の上流末端から下流方向において、反応器の長さの2.5〜10%の領域に設置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載されたプロピレン系重合体の製造方法。
  7. 触媒がチーグラー系重合触媒又はメタロセン系重合触媒であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載されたプロピレン系重合体の製造方法。
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