JP5201923B2 - プロピレン系重合体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、プロピレン系重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法重合プロセスにおいて、プロピレン系重合体を連続的に製造する際に、プロピレン系重合体の流動性を良い状態にし、安定運転を阻害する塊状ポリマーを低減して、プロピレン系重合体を製造する方法に関する。
ポリプロピレンの製造プロセスに関しては、工程の簡略化と生産コストの低減及び生産性の向上などの観点から技術改良が続けられてきた。ポリプロピレンが工業的に製造され始めた当時は、触媒の性能が低く、得られたポリプロピレンから触媒残さやアタクチックポリマーを除去する工程が必要であり、溶媒を用いたスラリー法などのプロセスが主体であった。その後、触媒性能が格段に進歩するにつれ、現在では、気相法プロセスが主流となっている。各種気相法プロセスの中でも、液化プロピレンの潜熱を利用して重合熱を除去する方法は、小さな設備で大きな除熱能力を持つことができる点で、優位性のあるものである。
液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して重合熱を除去する形式のオレフィンの気相重合槽として、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一般的に、重合反応により触媒粒子は、ポリマー粒子へと徐々に成長していく。横型反応器で重合を行う場合、重合によるポリプロピレンの生成と機械的な撹拌の2つの力により、これらの粒子は、徐々に成長しながら反応器の軸方向に沿って進んでいく。そのため、反応器の上流から下流に向かって、成長速度すなわち滞留時間のそろった粒子が経時的に並ぶことになる。すなわち、横型反応器では、フローパターンがピストンフロー型となり、完全混合槽を数台直列に並べた場合と同程度に、滞留時間分布を狭くする効果がある。これは、その他の重合反応器には見ることができない、優れた特徴であり、単一の反応器で2個、3個又はそれ以上の反応器と同等な固体混合度を容易に達成することができる点で、経済的に有利である。
更に、上記の横型反応器を要するシステムには、反応系内のプロピレンの利用法が特徴として挙げられる。詳しくは、反応器内の未反応プロピレンガスを凝縮機へ導き、液化されたプロピレンは、反応器へ供給され、重合熱除去の役割を担う。また、凝縮機で凝縮さらなかったプロピレンガスは、反応器下部へリサイクルガスとして供給され、反応器内の攪拌補助や分子量調整剤の水素やα−オレフィン等を反応器へ供給する際の移送流路として役割を担う。
ポリプロピレンの製造を行う際に、液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して重合熱の除去を行い、かつ、水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型筒状反応器を用いる手法は、上記のような優れた特徴を有している。
一方、ポリプロピレンは、剛性や耐熱性などの機械的物性が良好であり、比較的安価に製造することが可能なことから広い用途に適用されており、使用用途や成形方法により様々な結晶性が要求される。
例えば、低結晶性ポリプロピレンは、通常のアイソタクチックポリプロピレンに比べて柔軟性があり、耐衝撃性や透明性に優れるなどの特徴を有しており、これらの特徴を生かして、通常のアイソタクチックポリプロピレンとは異なった用途がフィルム、シート、射出成形等の各成形分野での利用がされている。
一般に、低結晶性ポリプロピレンを気相法重合する際、反応物の流動性の低下、及びそれに起因する塊状ポリマーの形成が発生し、連続運転を阻害する場合が生じる(例えば特許文献2参照。)。
これは、低結晶(低密度)になるほど、ポリプロピレン内の細孔部分が多くなるため、気相重合プロセスで使用される炭化水素成分(例えば、触媒を反応器に供給する低沸溶媒、反応器内へ供給されるプロピレンや副生成物のプロパンなど)がポリプロピレン内部または表面へ吸着される割合が大きくなることに起因される。
このような問題点を改善するには、反応器内でポリプロピレン表面に吸着された炭化水素成分を、流動性悪化を招かない程度に効率良く払拭する必要性があった。
上記の問題を解決する手段として1つには、反応温度を高くし、ポリプロピレン表面の炭化水素の気化を促進させる方法が考えられるが、この場合、ポリプロピレンの結晶性への影響が大きく、さらに、発熱量増加にともなる塊状ポリマーの発生が懸念となる。
また、反応器へ供給するリサイクルガスの供給量を増加させ、ポリプロピレンとガスの接触割合(効率)を上げることで、ポリプロピレンの内部または表面へ物理的に吸着された炭化水素成分の除去を促進させる方法も考えられるが、この場合には、エントレメント現象悪化の懸念となり、好ましくはない(ここで、エントレメント現象とは、ポリマー粒子の細粒等が気化ガスに同伴される現象をいう。)。
特開昭59−230010号公報 特開平4−351611号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法重合プロセスにおいて、プロピレン系重合体、特に低結晶性プロピレン系重合体を連続的に製造する際に、重合体の流動性を良い状態にし、安定運転を阻害する塊状ポリマーを低減して、プロピレン系重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法プロセスで、該プロセスの反応器へ供給する気化プロピレン(リサイクルプロピレン)の温度を特定の温度に制限することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法重合プロセスによるプロピレン系重合体を連続的に製造する方法であって、該重合プロセスの反応器へ供給する気化プロピレンのリサイクルガスの温度は、液化プロピレンの温度より+3℃以上で、且つ重合温度より+20℃以下であることを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、リサイクルガスを反応器下部からプロピレン系重合体へ直接接触するように供給することを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、気相法重合プロセスは、攪拌機を有する反応器を用いて重合することを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、気相法重合プロセスは、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型反応器を用いて重合することを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、下記の成分(A1)、(A2)及び(A3)、又は(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)から構成される触媒(A)を用いることを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする固体成分
成分(A2):電子供与体
成分(A3):有機アルミニウム化合物
成分(A4):ビニルシラン化合物
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、成分(A4)のビニルシラン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
[CH=CH−]SiX (OR …(1)
(式中、Xは、ハロゲンを表し、Rは、水素または炭化水素基を表し、Rは、水素、炭化水素基または有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
さらに、本発明の第7の発明によれば、第5又は6の発明において、触媒(A)1グラム当たり0.1〜100グラムのα−オレフィンを反応させる予備重合工程を含むことを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR、230℃、21.18N)が0.1〜20g/10分の範囲であることを特徴するプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、プロピレン系重合体のエチレン含量が0〜1重量%であることを特徴するプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
さらに、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、プロピレン系重合体の密度が0.89g/cm以上であることを特徴するプロピレン系重合体の気相連続製造方法が提供される。
本発明のプロピレン系重合体の気相連続製造方法によれば、炭化水素成分が吸着しやすいプロピレン系重合体(例えば、低結晶性ポリプロピレン)を製造する場合でも、プロピレン系重合体の流動性を良好とすることができ、長期の連続安定運転が可能となる。
本発明は、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法重合プロセスによるプロピレン系重合体を連続的に製造する方法であって、該重合プロセスの反応器へ供給する気化プロピレンのリサイクルガスの温度は、液化プロピレンの温度より+3℃以上で、且つ重合温度より+20℃以下であることを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法であり、具体的な好ましい態様としては、内部に水平軸回りに回転する攪拌機を有する横型反応器を用いて、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする固体成分(A1)、電子供与体(A2)、有機アルミニウム化合物(A3)と好ましくはビニルシラン化合物(A4)を含む触媒(A)存在下で、プロピレン系重合体を製造するものである。
以下に、具体的かつ詳細に説明する。
I.製造プロセス及び重合条件
ポリプロピレンの製造プロセスとしては、主に液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行う気相法重合プロセスである限り、任意のプロセスを用いることができる。
本発明において、気相法とは、液が全く存在しないことを意味しない。重合を行う相が実質的に気相であれば良く、本発明の効果を阻害しない範囲で、液が存在しても良い。この液としては、除熱のための液化プロピレンだけでなく、ヘキサンなどの不活性炭化水素成分を例示することができる。
混合様式としては、流動床を用いる方法、攪拌機を用いる方法のどちらを用いても良い。攪拌機を用いる場合には、攪拌機を備えた流動床を用いることもできる。攪拌機は、攪拌軸が鉛直方向または水平方向に向いていても良い。攪拌翼の形状としては、パドル、ヘリカルなど任意のものを用いることができる。このうち、攪拌軸を水平方向に向けてパドル翼を用いる方法が最も好ましい。
反応槽は、使用する原料、反応条件、反応形態、生成物等により、その反応に適する限りにおいて、形状、大きさ、材質等に特に限定されず、既存のものから、任意に選択し使用することが可能である。形状として好ましいのは、円筒状の部分を有する横型反応器である。大きさは、それぞれの反応形態等に応じて任意であるが、生産性、経済性の点から、20m以上であることが好ましい。
重合槽の並び方については、本発明の効果を阻害しない限り、任意の方法を用いることができる。重合槽は、一つでも複数でも良い。槽数を増やすことなく、滞留時間分布を更に狭くする方法として、重合槽の中にパウダーの移動を制限する堰を設けることもできる。堰の形態としては、重合槽に固定された固定堰を用いても良いし、回転軸に固定された回転堰を用いても良い。重合槽が複数の場合には、直列に繋いでも良いし、並列に繋いでも良い。特にプロピレンとその他のモノマーとのブロック共重合体を製造する場合には、少なくとも直列に繋がった2個の重合槽を含む並び方にすることが望ましい。
重合方法としては、バッチ法と連続法のどちらを用いても良いが、生産性の観点から、連続法を用いることが望ましい。特に好ましい例としては、2〜4個の重合槽を直列に繋いで連続法で重合する方法を例示することができる。
液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行う方法としては、任意の方法を用いることができる。液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行う為には、実質的に液の状態にあるプロピレンを重合槽に供給すればよい。フレッシュな液化プロピレンを重合槽に供給することもできるが、一般的には、リサイクルプロピレンを用いることが望ましい。リサイクルプロピレンを用いる一般的な手順は、以下に例示される。重合槽からプロピレンを含むガスを抜き出し、そのガスを冷却して少なくとも一部を液化させ、液化した成分の少なくとも一部を重合槽に供給する。この際、液化する成分は、プロピレンを含む必要があるが、ブテンに代表されるコモノマー成分やイソブタンに代表される不活性炭化水素成分を含んでいても良い。
液化プロピレンの供給方法は、実質的に液の状態にあるプロピレンを重合槽に供給するものである限り、任意の方法を用いることができる。プロピレン系重合体のベッドに供給しても良いし、気相部に供給しても良い。気相部に供給する場合は、重合槽内部の気相部に供給しても良いし、リサイクルガスラインに供給しても良い。特に、攪拌軸を水平方向に向ける攪拌混合槽の場合には、重合槽内部の気相部に供給することが望ましい。
本発明において、主に液化プロピレンの潜熱を用いて除熱を行うということは、液化プロピレンの潜熱だけを用いて、除熱を行うことを意味しない。本発明の効果を阻害しない限り、他の除熱方法を併用することができる。具体的には、重合槽に備え付けたジャケットを用いて除熱する方法、重合槽からガスの一部を抜き出して熱交換器により冷却し再びガスを重合槽に戻す方法、などを例示することができる。
ただし、本願発明においては、液化プロピレンの潜熱を用いた除熱が主体である必要がある。具体的には、少なくとも一つの重合槽において、除熱量の少なくとも半分を液化プロピレンの潜熱を用いて除熱する必要がある。
また、一般に、上記に示したリサイクルプロピレンを冷却して液化プロピレンを得る工程では、液化されない気化プロピレンが残るため、この気化プロピレンの一部をリサイクルガスとして重合槽へ供給する。リサイクルガスの供給方法は、実質的にガスの状態にあるプロピレンを重合槽に供給するものである限り、任意の方法を用いることができるが、重合槽内のプロピレン系重合体の攪拌補助の目的で、重合槽下部から重合槽内部のプロピレン系重合体に直接接触するように、供給することが好ましい。
このリサイクルガスの温度は、リサイクルプロピレン冷却工程の温度、つまりリサイクルプロピレンの露点と同等になるが、プロピレン系重合体の組成により、リサイクルプロピレンの組成も異なるため、リサイクルプロピレンの露点、つまりリサイクルガスの温度は、異なってくる。例えば、重合圧力が2,000〜2,300kPaG程度の条件で、一般的なホモ重合をする場合のリサイクルプロピレンの露点が50〜60℃程度に対し、α−オレフィンを用いたブロック共重合の場合は、30〜50℃程度である。
本発明における最良のリサイクルガスの温度は、好ましくは液化プロピレンの温度+3℃以上、且つ重合温度+20℃以下、更に好ましくは液化プロピレンの温度+5℃以上、且つ重合温度+18℃以下、特に好ましくは液化プロピレンの温度+10℃以上、且つ重合温度+15℃以下である。リサイクルガスの温度が、液化プロピレンの温度+3℃未満では、リサイクルガスを重合槽へ供給するライン中で液化する恐れがあるので、好ましくない。また一方、リサイクルガスの温度が重合温度+20℃を超える場合は、高温のリサイクルガスによるプロピレン系重合体の物性へ悪影響を与える恐れがあるため、好ましくない。
温度や圧力の様な重合条件は、本発明の効果を阻害しない限り、任意に設定することができる。具体的には、重合温度は、好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。また、重合圧力は、好ましくは1200kPa以上、更に好ましくは1400kPa以上、特に好ましくは1600kPa以上であり、好ましくは4200kPa以下、更に好ましくは3500kPa以下、特に好ましくは3000kPa以下である。ただし、重合圧力は、重合温度におけるプロピレンの蒸圧力より低く設定するべきではない。
滞留時間は、重合槽の構成や製品インデックスに合わせて、任意に調整することができる。一般的には、30分から5時間の範囲内で設定される。
本発明で用いられる重合触媒やその他の任意成分は、公知の方法を用いて、反応器に供給することができる。重合触媒については、そのまま粉末状で重合槽に供給してもよいが、ヘキサンやミネラルオイル等の不活性溶媒を用いて希釈した上で供給しても良い。
ここで横型反応器について、図1を用いて詳細に述べる。横型反応器10は細長く、上流端12と下流端14を持ち、図1に示すように、一般的には水平位置で設置されている。
軸18は、反応器10の下流端14の中へ延び、攪拌の為の翼が反応器10内で取り付けられている。攪拌翼は、ポリマー粒子を反応器10内でその中へ導入される他物質と混合する。
反応器10の上流部配管1および2より導入された触媒成分は、攪拌翼にてポリマー粒子と混合されながら重合を開始する。重合の際、発生する重合熱は、頂部配管17から供給される原料液化プロピレンの蒸発潜熱により、除去される。未反応の気化プロピレンは、配管13にて反応系外へ出され、凝縮器15によりその一部分が凝縮液化され、気液分離槽11で液相と気相へ分離される。液相部は、重合熱除去のため配管17へ導入される。気相部は、加熱機20または21で加温され、配管4から分子量調節のための水素やα−オレフィン等と混合され、圧縮機16によって昇圧され、反応器10底部に設置された配管18を経由して供給される。
II.触媒(A)
本発明で用いられる触媒(A)は、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする固体成分(A1)、電子供与体(A2)、及び有機アルミニウム化合物(A3)を、好ましくは更に、ビニルシラン化合物(A4)を必須成分として含有してなるα−オレフィンの立体規則性重合用固体触媒である。ここで「必須成分として含有し」ということは、挙示の成分以外に合目的的な他元素を含んでいてもよいこと、これらの元素は、それぞれが合目的的な任意の化合物として存在してもよいこと、ならびにこれら元素は、相互に結合したものとして存在してもよいことを示すものである。
(1)成分(A1)
本発明で用いられるチタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする固体成分(A1)そのものは、公知のものであり、本発明において使用されるマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、金属マグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム等の一般式:Mg(OR2−m(ここで、Rは、炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xは、ハロゲンを示し、mは、0≦m≦2である。)で表されるマグネシウム化合物が好ましい。
また、チタン源となるチタン化合物としては、一般式:Ti(OR4−n(ここで、Rは、炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xは、ハロゲンを示し、nは、0≦n≦4である。)で表される化合物が挙げられる。
具体例としては、TiCl、TiBr、TiI、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(O−i−C)Cl、Ti(O−n−C)Cl、Ti(O−n−CCl、Ti(OC)Br、Ti(OC)(O−n−CCl、Ti(O−n−CCl、Ti(OC)Cl、Ti(O−i−CCl、Ti(OC11)Cl、Ti(OC13)Cl、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(O−n−C13、Ti(O−n−C17、Ti(OCHCH(C)C等が挙げられる。
また、TiX’(ここで、X’は、ハロゲンである。)に、後述する電子供与体を反応させた分子化合物をチタン源として用いることもできる。そのような分子化合物の具体例としては、TiCl・CHCOC、TiCl・CHCO、TiCl・CNO、TiCl・CHCOCl、TiCl・CCOCl、TiCl・CCO、TiCl・ClCOC、TiCl・CO等が挙げられる。
また、TiCl(TiClを水素で還元したもの、アルミニウム金属で還元したもの、あるいは有機金属化合物で還元したもの等を含む)、TiBr、Ti(OC)Cl、TiCl、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド等のチタン化合物の使用も可能である。これらのチタン化合物の中でも、TiCl、Ti(OC、Ti(OC)Cl等が好ましい。
ハロゲンは、上述のマグネシウムおよび(または)チタンのハロゲン化合物から添加されるのが普通であるが、他のハロゲン源、例えば、AlCl、AlBr、AlI等のアルミニウムのハロゲン化物、BCl、BBr、BI等のホウ素のハロゲン化物、SiCl等のケイ素のハロゲン化物、PCl、PCl等のリンのハロゲン化物、WCl等のタングステンのハロゲン化物、MoCl等のモリブデンのハロゲン化物といった公知のハロゲン化剤から添加することもできる。触媒成分中に含まれるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物であってもよく、特に塩素が好ましい。
(2)成分(A2)
本発明で用いられる電子供与体(A2)の代表的な例としては、特開2001−323023号公報、特開2004−124090号公報等に開示されている化合物を挙げることができる。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物類、エーテル化合物類、ケトン化合物類、アルデヒド化合物類、アルコール化合物類、アミン化合物類、フェノール化合物類、カルボン酸化合物、含窒素化合物、含硫黄化合物、などを用いることが望ましい。
(3)成分(A3)
本発明で用いることのできる有機アルミニウム化合物(A3)は、具体例としては、R 3−sAlXまたはR 3−tAl(OR(ここで、RおよびRは、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子であり、Rは、炭化水素基であり、Xは、ハロゲンであり、sおよびtは、それぞれ0≦s<3、0<t<3である。)で表されるものがある。
具体的には、(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、(ロ)ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド等が挙げられる。
これら(イ)〜(ニ)の有機アルミニウム化合物に、他の有機金属化合物、例えば、R 3−uAl(OR(ここで、RおよびRは、同一または異なってもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、uは、0<u≦3である。)で表されるアルミニウムアルコキシドを併用することもできる。例えば、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドの併用、ジエチルアルミニウムモノクロライドとジエチルアルミニウムエトキシドとの併用、エチルアルミニウムジクロライドとエチルアルミニウムジエトキシドとの併用、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドとジエチルアルミニウムモノクロライドとの併用等が挙げられる。
(4)成分(A4)
本発明に用いられるビニルシラン化合物(A4)としては、特開2003−292522号公報等に開示された化合物等を用いることができる。これらのビニルシラン化合物は、モノシラン(SiH)の水素原子の少なくとも一つがビニル基類で置換され、残りの水素原子の一部ないし全部がその他の遊離基に置き換えられた構造を持つ化合物であり、下記一般式(1)で表すことができる。
[CH=CH−]SiX (OR …(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲンを表し、Rは、水素または炭化水素基を表し、Rは、水素、炭化水素基または有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
一般式(1)中、mは、ビニル基の数を表し、1以上4以下の値を取る。より好ましくは、mの値は、1又は2であることが望ましく、特に好ましくは2である。
一般式(1)中、Xは、ハロゲンを表し、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することができる。複数存在する場合は、お互いに同一であっても異なっても良い。この中で、塩素が特に好ましい。nは、ハロゲンの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、nの値は、0以上2以下であることが望ましく、特に好ましくは0である。
一般式(1)中、Rは、水素又は炭化水素基を表し、好ましくは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基、より好ましくは水素又は炭素数1〜12の炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。好ましいRの例としては、水素、メチル基やブチル基に代表されるアルキル基、シクロヘキシル基に代表されるシクロアルキル基、フェニル基に代表されるアリール基、などを挙げることができる。特に好ましいRの例としては、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、などを挙げることができる。jは、Rの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、jの値は、1以上3以下であることが望ましく、更に好ましくは2以上3以下であり、特に好ましくは2である。jが2以上である場合、複数存在するRは、お互いに同一であっても異なっても良い。
一般式(1)中、Rは、水素、炭化水素基または有機ケイ素基を表す。Rが炭化水素基である場合は、Rと同一の化合物群から選択することができる。Rが有機ケイ素基である場合は、炭素数1〜20の炭化水素基を有する有機ケイ素基であることが好ましい。Rとして用いることのできる有機ケイ素基の具体的な例としては、トリメチルシリル基に代表されるアルキル基含有ケイ素基、ジメチルフェニルシリル基に代表されるアリール基含有ケイ素基、ジメチルビニルシリル基に代表されるビニル基含有ケイ素基、およびプロピルフェニルビニルシリル基の様なそれらを組み合わせてなるケイ素基、などを挙げることができる。また、kは、Rの数を表し、0以上2以下の値を取る。ビニルトリエトキシシランの様にkの値が3に相当する化合物の場合では、本発明におけるビニルシラン化合物(A4)としての性能は、発現せず、好ましくは、kの値は0以上1以下であることが望ましく、特に好ましくは0である。kの値が2である場合、二つのRは、お互いに同一であっても異なっても良い。また、kの値に関わらず、RとRは、同一であっても異なっても良い。
これらのビニルシラン化合物類は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。好ましい化合物の例としては、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−SiCl、[CH=CH−]Si(Cl)Me、[CH=CH−]SiCl、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−SiPh、[CH=CH−]Si(Ph)Me、[CH=CH−]SiPh、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−SiH、[CH=CH−]Si(H)Me、[CH=CH−]SiH、CH=CH−SiEt、CH=CH−SiBu、CH=CH−Si(Ph)(H)Me、CH=CH−Si(Cl)(H)Me、CH=CH−Si(Me)(OMe)、CH=CH−Si(Me)(OSiMe)、CH=CH−Si(Me)−O−Si(Me)−CH=CH、などを挙げることができる。これらの中でも、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、がより好ましく、[CH=CH−]SiMeが最も好ましい。
III.予備重合処理
本発明における触媒(A)は、本重合で使用する前に、予備重合処理して用いることが好ましい。
触媒(A)の予備重合処理は、本重合時に用いる有機アルミニウム化合物と同様の有機アルミニウム化合物の存在下で実施できる。使用する成分(A3)の添加量は、使用する触媒の種類によって異なるが、通常、チタン原子1モルに対して、有機アルミニウム化合物を0.1〜40モル、好ましくは0.3〜20モルの範囲で用い、10〜80℃で10分〜48時間かけてポリオレフィン重合触媒成分1グラム当たり0.1〜100グラム、好ましくは0.5〜50グラムのα−オレフィンを不活性溶媒中で反応させる。
予備重合処理においては、必要に応じて、本重合に用いる電子供与体と同様の電子供与体を用いることもできる。電子供与体が有機ケイ素化合物の場合、有機アルミニウム化合物1モルに対して、0.01〜10モルの範囲で用いてもよい。
触媒(A)の予備重合処理に用いられるα−オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等であり、これらは、単独のみならず、他のα−オレフィンとの2種以上の混合物であってもよい。また、その重合に際して生成するポリマーの分子量を調節するために水素等の分子調節剤を、併用することもできる。
触媒(A)の予備重合処理に用いられる不活性溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび流動パラフィン等の液状飽和炭化水素や、ジメチルポリシロキサンの構造を持ったシリコーンオイル等重合反応に著しく影響を及ぼさない不活性溶剤である。これらの不活性溶剤は、1種の単独溶剤または2種以上の混合溶剤のいずれでもよい。これらの不活性溶剤の使用に際しては、重合に悪影響を及ぼす水分、イオウ化合物等の不純物を取り除いた後で使用することが好ましい。
予備重合処理は、複数回行っても良く、この際用いるモノマーは、同一であっても異なっていても良い。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行うこともできる。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば、乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
IV.本重合
予備重合された触媒(A)を用いて、本重合を実施し、プロピレン系重合体を得る。本重合での、触媒(A)と有機アルミニウム化合物との使用率は、触媒(A)中に実質的に含まれるTiグラム原子数を基準にして、Al/Ti=1〜500(原子比)、好ましくは10〜300(原子比)である。
また、必要に応じて用いる電子供与体化合物の使用率は、使用する電子供与体化合物の種類によるが、電子供与体化合物が有機ケイ素化合物の場合、有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物の使用率がAl/Si=0.5(モル比)以上、好ましくは1以上(モル比)であり、20(モル比)以下、好ましくは15(モル比)以下、更に好ましくは10(モル比)以下である。Al/Siモル比が高い場合、製品の剛性を低下させる。また、Al/Siモル比が過小の場合は、触媒活性を著しく低下させるため実用的でない。
本重合時には、水素などの分子量調整剤を用いて、プロピレン系重合体のメルトフローレート(試験条件:230℃、荷重21.18N(2.16kgf))(MFR)を制御することができる。通常、MFRは、0.1〜500g/10分の間で実施される。
また、α―オレフィンを用いてランダム系重合体を重合することも可能である。この時、0.1〜20g/10分のMFRで、低結晶性のプロピレン系重合体の製造の場合、流動性の悪化や塊状ポリマー発生が起こりやすい。しかし、本発明では、プロピレン系重合体の流動性を良好とすることができ、塊状ポリマー発生が起こり難く、長期の連続安定運転が可能となる。
上記ランダム系重合体は、プロピレンとその他のモノマーとのランダム系共重合体である場合、その他のモノマーは、エチレン及び/又は炭素数4−10のαオレフィンであることが望ましい。より好ましくは、エチレン及び/又は1−ブテンが望ましく、最も好ましくはエチレンである。
ランダム系共重合体におけるプロピレン以外のモノマー単位の含量は、10重量%以下であることが望ましい。より好ましくは0.01重量%以上3重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以上2重量%以下、とりわけ好ましくは0.1重量%以上1重量%以下が望ましい。
また、本発明により得られたプロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体の場合もあるため、プロピレン系重合体のα―オレフィンとしてのエチレン含量が0〜1重量%であることが望ましい。
さらに、本発明により得られたプロピレン系重合体は、上記のように、メルトフローレート(試験条件:230℃、荷重2.16kgf)(MFR)が0.01〜20g/10分であることが好ましい。MFRが高すぎると、粘度が足りず、例えば、フィルムが上手く引けない。一方、MFRが低すぎると、押し出し機の負荷が高くなりすぎて、押し出し量が低下し生産性が悪い。
さらに、密度は、0.89g/cm以上0.906g/cm以下が好ましく、更に好ましくは0.900g/cm以上0.905g/cm以下、最も好ましくは0.902g/cm以上0.905g/cm以下である。密度が高すぎると、フィルムなどの用途の場合、上手く延伸することができない。一方、密度が低すぎると、弾性率が低下する為にフィルムの腰が悪化する。
本発明を、実施例および比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の実施例および比較例における各種物性値の測定方法を以下に示す。
[各種物性測定法]
(1)メルトフローレート(MFR):
タカラ社製メルトインデクサーを用い、JIS K6921に基づき、230℃、21.18N(2.16kgf)の条件で測定した。
(2)ポリマー嵩密度(B.D.):
パウダー試料の嵩密度を、ASTM D1895−69に準ずる装置を使用し、測定した。
(3)製品パウダー中の粗粉(重量%):
プロピレン系重合体のパウダーを約200gサンプリングし、目開き3360μmの篩にて、粗粉を分離し、その割合を求めた。
(4)重合器内の塊(重量%):
反応終了後の重合器内のプロピレン系重合体を回収し、目開き3360μmの篩にて粗粉を分離し、その割合を求めた。
(5)密度:
MFR測定時に得られた押出ストランドを用い、JIS K7112 D法に準拠して密度勾配管法で測定した。
[実施例1]
(1)触媒の調製
攪拌機、圧力計、温度計を備え、高純度窒素で置換された容積30リットル(L)のオートクレーブに、マグネシウムエトキシド2.3kg、2−エチル−1−ヘキサノール4.15L、およびトルエン16.5Lを加えた。この混合物を0.2MPaGの二酸化炭素ガス雰囲気下で、90℃に加熱し、150rpmで3時間攪拌した。得られた溶液を冷却し、150rpmで3時間攪拌した。得られた溶液を25℃まで冷却し、二酸化炭素ガスを脱気して溶液(a)を得た。この溶液は0.1g/Lのマグネシウムエトキシドを含んでいた。以上の操作は1気圧下で取り扱った。
攪拌機、温度計、コンデンサー、窒素シールラインおよびバッフルを装備した内容積15Lのオートクレーブ中へ、トルエン3L、TiCl190mL、ヘキサメチルジシロキサン250mLを投入し、室温で、250rpmで5分間混合した後、上記溶液(a)1.5Lを10分間で投入した。投入後、直ちに固体粒子(I)が析出した。
該固体粒子(I)を含有する溶液に、エタノール30mLとテトラヒドロフラン0.5Lを添加し、150rpmの攪拌を維持しながら15分以内に60℃に昇温したところ、いったん、固体粒子(I)が溶解し、次いで15分以内に再び固体粒子が析出し始めた。この固体粒子の形成は、10分以内に終了した。さらに、60℃で45分間攪拌を継続した後、攪拌を停止して、生成固体(II)を沈降させた。
上澄みをデカンテーションで除き、残った生成固体(II)を2Lのトルエンで2回洗浄した。生成固体(II)にトルエン2LとTiCl1Lを添加し、250rpmで攪拌しながら、135℃へ20分以内に昇温し、この温度を1時間保った。攪拌を停止し、生成固体(III)を沈降させて、上澄み液をデカンテーションで除いた。生成固体(III)にTiCl1L、トルエン2.5Lおよびジイソブチルフタレート21mLを添加し、135℃に加熱し、250rpmで1.5時間攪拌した。上澄液をデカンテーションで除き、残分にTiCl2Lを添加し、攪拌しながら10分間リフラックスさせた。上澄み液をデカンテーションで除き、残分をトルエンで3回、さらに2Lのヘキサンで4回洗浄して、触媒(A)116gを得た。
この触媒(A)には、マグネシウム17.3g重量%、チタン2.3重量%、塩素55.6%重量%、およびジイソブチルフタレート8.6重量%が含有されていた。
(2)予備重合処理
内容積20リットルの傾斜羽根付きステンレス製反応器を窒素ガスで置換した後、ヘキサン12L、トリエチルアルミニウム91.3mmol、ジイソブチルジメトキシシラン23.7mmol、触媒(A)95gを室温で加えた後、30℃まで加温した。
次いで、攪拌しながらプロピレン190gを3時間かけて供給し、予備重合処理を行った。分析の結果、オレフィン重合触媒1g当たりプロピレン1.9gが反応していた。
(3)重合工程
図1に示したフローシートによって説明する。
攪拌を有する横重合器(L/D=3.7、内容積100リットル)に、上記予備重合処理した触媒(A)を0.618g/hr、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウムおよび有機ケイ素化合物としてジイソブチルジメトキシシランを、Al/Mgモル比が5、Al/Siモル比が9となるよう連続的に供給した。重合温度65℃、重合圧力2.2MPa、攪拌回転数35rpmの条件を維持しながら、重合器内の気相中の水素濃度を表1に示した水素/プロピレンモル比に維持するように、水素ガスを循環配管4より連続的に供給して、プロピレン系重合体のMFRを調節した。
重合器10から回収される未反応ガスを、配管13を通して凝縮15により冷却、凝縮させて気液分離槽11へ導いた。気液分離11内の液化プロピレンは、配管17を通して重合10へ供給し、供給した液化プロピレンの気化熱によって反応熱を除去した。この時の液化プロピレンの温度は、52℃であった。
一方、気液分離11内の気化プロピレン(リサイクルガス)を、リサイクルガスの温度が72℃となるように加熱21を設定し、リサイクルガス供給配管18を通して重合10へ供給した。
生成した重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に配管32を通して連続的に抜き出し、乾燥系へ導いた。この時、配管32から重合体の一部を間欠的に採取して、MFR、エチレン含量および触媒単位重量当たりの重合体収量を測定する試料とした。結果を表1に記す。
[実施例2]
リサイクルガス18の温度が57℃となるように調整した以外は、実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
[実施例3]
リサイクルガス18の温度が62℃となるように調整した以外は、実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
[比較例1]
リサイクルガス18の温度が54℃(液化プロピレンの温度より+2℃)となるように調整した以外は、実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
[比較例2]
リサイクルガス18の温度が90℃(重合温度より+25℃)となるように調整した以外は、実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。
Figure 0005201923
表1から明らかなように、本発明のプロピレン系重合体の気相連続製造方法(実施例1〜3)では、反応器内の塊状ポリマーの形成が顕著に少なく、プロピレン系重合体の流動性が高いため、長期の連続安定運転が可能となることが判る。また、本発明の製法によって得られたプロピレン系重合体は、粗粉の生成が少ないことも、判る。
一方、リサイクルガスの温度を、本発明で規定した範囲外とした比較例1、2では、反応器内の塊状ポリマーの形成が多く、また、プロピレン系重合体の粗粉の生成が多い。
本発明のプロピレン系重合体の気相連続製造方法を用いれば、低結晶性ポリプロピレンを気相法重合する際に、反応物の流動性の低下、及びそれに起因する塊状ポリマーの形成が発生しないため、連続運転を阻害しない。その結果、特に、低結晶性ポリプロピレンを安定的に製造することができ、その低結晶性ポリプロピレンは、通常のアイソタクチックポリプロピレンに比べて柔軟性があり、耐衝撃性や透明性に優れるなどの特徴を有しているため、フィルム、シート、射出成形等の各成形分野に利用され、産業上の利用可能性が高い。
横型反応器の説明、及び実施例、比較例で用いた連続重合装置の簡単なフローシートである。
符号の説明
1 触媒成分供給配管
2 触媒成分供給配管
3 原料プロピレン補給配管
4 原料補給配管(水素、α−オレフィンなど)
10 重合器
11 気液分離槽
12 反応器上流末端
13 未反応ガス抜出し配管
14 反応器下流末端
15 凝縮機
16 圧縮機
17 原料液化プロピレン補給配管
18 リサイクルガス供給配管
19 軸
20 加熱機
21 加熱機
32 重合体抜出し配管

Claims (10)

  1. 反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相法重合プロセスによるプロピレン系重合体を連続的に製造する方法であって、
    該重合プロセスの反応器へ供給する気化プロピレンのリサイクルガスの温度は、液化プロピレンの温度より+3℃以上で、且つ重合温度より+20℃以下であることを特徴とするプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
  2. リサイクルガスを反応器下部からプロピレン系重合体へ直接接触するように供給することを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
  3. 気相法重合プロセスは、攪拌機を有する反応器を用いて重合することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
  4. 気相法重合プロセスは、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型反応器を用いて重合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
  5. 下記の成分(A1)、(A2)及び(A3)、又は(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)から構成される触媒(A)を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
    成分(A1):チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする固体成分
    成分(A2):電子供与体
    成分(A3):有機アルミニウム化合物
    成分(A4):ビニルシラン化合物
  6. 成分(A4)のビニルシラン化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
    [CH=CH−]SiX (OR …(1)
    (式中、Xは、ハロゲンを表し、Rは、水素または炭化水素基を表し、Rは、水素、炭化水素基または有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
  7. 触媒(A)1グラム当たり0.1〜100グラムのα−オレフィンを反応させる予備重合工程を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
  8. プロピレン系重合体のメルトフローレート(230℃、21.18N)が0.1〜20g/10分の範囲であることを特徴する請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
  9. プロピレン系重合体のエチレン含量が0〜1重量%であることを特徴する請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
  10. プロピレン系重合体の密度が0.89g/cm以上であることを特徴する請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロピレン系重合体の気相連続製造方法。
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