JP2011084612A - プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 第一段重合工程でプロピレン系の結晶性重合体を、第二段重合工程でプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体を製造することによって、高剛性かつ高衝撃強度で、ゲル、フィッシュアイが低減したプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する際に、塊状重合体や付着性重合体の生成を低減して、べたつきの無い流動性の良い状態で、しかも、高生産効率で製造する方製造する方法の提供。
【解決手段】 特定の触媒を用いるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法であって、重合工程の特定の部位に停滞させた重合反応物に、特定の方法で電子供与体化合物を供給し接触させる工程を含む、特定の工程(a)〜(e)を有するプロピレン系ブロック共重合体の製造方法による。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関し、更に詳しくは、第一段重合工程でプロピレン系の結晶性重合体を、第二段重合工程でプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体を製造することによって、高剛性かつ高衝撃強度で、ゲル、フィッシュアイが低減したプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する際に、塊状重合体や付着性重合体の生成を低減して、べたつきの無い流動性の良い状態で、しかも、高生産効率で製造することができる方法に関するものである。
結晶性ポリプロピレンは、剛性及び耐熱性に優れた特性を有する反面、耐衝撃強度、特に低温における衝撃強度が弱いという問題があった。この点を改良する方法として、プロピレンとα−オレフィンまたはその他のオレフィンを段階的に重合させてブロック共重合体を生成させる方法が知られている。
しかし、段階的に重合させるための連続重合方法においては、第一段重合工程の重合器において触媒成分の重合時間(重合器内滞留時間)に分布が生じ、比較的短時間で第一段重合工程から排出された重合体(ショートパス重合体)が第二段重合工程の重合器に入ると、プロピレン−α−オレフィン共重合体の含量が多い重合体が生成する。このような重合体は混練によっても分散せず、ゲルやフィッシュアイの原因となり、製品外観を損ねたり、機械的強度を低下させたりする原因となる。
また、プロピレン系ブロック共重合体の衝撃強度を高めるためには第二段重合工程での共重合体の割合を高くすることが有効であるが、共重合体の割合が高くなるとショートパスしていない通常の粒子でも、重合器内の壁面等に付着しやすく、一旦生成した付着物は除熱が不十分なため塊状重合体を生成し、運転の障害となることがある。また重合体のべたつきが増加し、生成した重合体の流動性が悪化して重合器からの抜き出しや移送等に障害となる。
このようなショートパス重合体に起因するゲル、フィッシュアイの生成や、共重合体の含量が多い重合体の付着性を低減する方法として、第二段重合工程に電子供与性化合物を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。電子供与性化合物の添加効果は以下のように推定される。添加された電子供与性化合物は、重合体の比較的表面近傍の重合活性点に選択的に作用し、これらの活性点を失活させるが、ショートパス重合体は粒子径が小さく完全に失活しやすいため、通常粒子径の重合体が完全に失活しない添加量でも選択的に失活する。また通常の重合体も表面の活性点が選択的に失活するために共重合体は内部で生成し、共重合体含量が高くなっても表面の付着性増大が比較的抑制される。これらの方法は、電子供与体化合物を添加しない場合に比べ、付着物の抑制には一定の効果が認められるが、ゲル、フィッシュアイの低減に関してはまだ十分なものとは言えず、更なるゲル、フィッシュアイの低減のために電子供与体化合物を多量に添加すると、第二段重合工程での活性低下が著しく、共重合体の重合割合を高くできない等の欠点があった。
一方で、衝撃強度改良のため第二段重合工程での共重合体の割合を高くするためには、第一段重合工程での触媒効率が高いときはそれに応じて第二段重合工程での触媒効率を上げる必要が生じる。そのためには、第二段重合工程での活性を維持しておく必要があり、電子供与性化合物の添加量を抑えないと、所望の触媒効率を得ることができないことになる。ところが、電子供与性化合物の添加量を少なくすると、製品のゲル、フィッシュアイが増加して製品の性能悪化が生じる傾向となり、また、重合体粒子間の付着が発生して安定運転ができない状態となる。これらの不具合を抑制するために、該電子供与性化合物の添加位置が提案されている。
しかしながら、重合体粒子が連続して移送される流路への添加(例えば、特許文献2、3)は、重合体と電子供与性化合物との接触効率が不十分なため、ゲル、フィッシュアイの状況が製品中で不均一であり、また、第二段重合工程の未反応モノマー循環ガスの流路への添加(例えば、特許文献4)は、電子供与性化合物の添加量の調整は容易であるが、第一段重合工程からの重合体が第二段重合工程へ導かれる際の第二段重合工程入口と第二段重合工程への該循環ガス供給口の位置関係では重合体と電子供与性化合物の接触が不十分な重合体が発生するため、改善の余地がある。
一方、該電子供与性化合物を第一段重合工程または第二段重合工程のいずれか、あるいは両方へ添加する方法(例えば、特許文献5、6)では、該電子供与性化合物によって第一重合工程でのショートパス重合体以外の重合体へも失活作用が発生し、第一重合工程での触媒効率低下を招き、生産性を低下させるため、改善の余地がある。
特開昭61−69821号公報 特許第3005944号 特開2002−60450号公報 特許第3003718号 特開2008−150465号公報 特開2008−150466号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、第一段重合工程でプロピレン系の結晶性重合体を、第二段重合工程でプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体を製造することによって、高剛性かつ高衝撃強度で、ゲル、フィッシュアイが低減したプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する際に、塊状重合体や付着性重合体の生成を低減して、べたつきの無い流動性の良い状態で、しかも、高生産効率で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の触媒を用いた第一段重合工程と第二段重合工程とからなるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法において、第一段重合工程と第二段重合工程との間に、重合体受器を一体的に設け、その中で電子供与体化合物を供給し接触させることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、プロピレン単独またはプロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンの混合物から選ばれる重合原料から、オレフィン重合触媒成分(A)及び有機アルミニウム化合物(B)を含む触媒を用いてプロピレン系ブロック共重合体を製造する方法であって、
下記の工程(a)〜(e)を順次行なうことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
工程(a):前記重合原料を1つ以上の重合器で重合させて、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を製造する工程(第一段重合工程)。
工程(b):工程(a)で製造された重合体を含む重合反応物を、工程(a)の重合器に連結する別の重合体受器へ供給する工程(重合体受器供給工程)。
工程(c):重合反応物を定量、重合体受器へ受入れた後、工程(a)からの重合反応物の排出を停止する工程(排出停止工程)。
工程(d):重合体受器の少なくとも下部から電子供与性化合物を重合体受器内へ供給し、重合体受器内の重合反応物と電子供与性化合物とを接触させる工程(電子供与性化合物接触工程)。
工程(e):重合体受器から排出された重合反応物の存在下、プロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンとの混合物を、1つ以上の重合器で重合させて、ゴム状共重合体を製造する工程(第二段重合工程)。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、工程(d)において、重合体受器の下部及び上部から電子供与性化合物を重合体受器内へ供給することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、工程(e)における重合量が、全重合量に対して20重量%より多いことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、工程(d)における電子供与性化合物の供給量が、有機アルミニウム化合物(B)に対して0.5〜20倍モルであることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記電子供与性化合物が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン又は酢酸メチルから選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、工程(e)において、重合器内に標準状態で気体である重合活性抑制剤を添加することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、工程(a)における重合は、バルク重合法または気相重合法で行い、一方、工程(e)における重合は、気相重合法で行うことを特徴とする記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、工程(a)および/または工程(e)は、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相重合法を採用することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第7又は8の発明において、前記気相重合法が、攪拌機を有する重合器を用いるものであることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、前記気相重合法が、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型重合器を用いるものであることを特徴とする請求項8に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
本発明の製造方法によれば、第一段重合工程でプロピレン系の結晶性重合体を、第二段重合工程でプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体を製造することによって、高剛性かつ高衝撃強度で、ゲル、フィッシュアイが低減したプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する際に、塊状重合体や付着性重合体の生成を低減して、べたつきの無い流動性の良い状態で、しかも、高生産効率で製造することができる。
また、本発明の製造方法により、ゲルやフィッシュアイが低減されたプロピレン系ブロック共重合体が得られることから、外観の勝れた射出成形品や押し出し成形品を得ることが可能である。加えて、パウダー流動性が優れ、パウダー中の塊量も少ないことから、品質的に安定したプロピレン系ブロック共重合体の供給が可能となる。
図1は、本発明の製造方法、及び本発明の実施例と比較例で用いた横型気相反応器を用いた製造方法のフローシートを示す概略図である。 図2は、第一段重合工程がプロピレンのバルク重合法、第二段重合工程が気相重合法の組み合わせからなる連続重合方法に用いる装置の一例を示す概略図である。 図3は、第一段重合工程と第二段重合工程が、おのおの流動床気相重合器の組み合わせからなる連続重合方法に用いる装置の一例を示す概略図である。 図4は、第一段重合工程と第二段重合工程が、おのおの気相重合器の組み合わせからなる連続重合方法に用いる装置の一例を示す概略図である。
1:重合体受器
2:重合体受入弁
3:重合体排出弁
4:ガス排出弁
5:下部加圧ガス導入弁
6:上部加圧ガス導入弁
7:加圧ガス供給配管
8:第一段重合器から重合器受器間の重合体移送配管
9:重合体受器から第二段重合器間の重合体移送配管
10:電子供与性化合物供給配管
50、51:触媒成分供給配管
52、53:原料供給配管(水素、エチレンなど)
54:活性抑制剤供給配管
100:第一段重合器
200:第二段重合器
101、201:重合器上流端
102、202:重合器下流端
103、203:軸
104,204:原料液化プロピレン供給配管
105、205:未反応ガス抜き出し配管
106、206:凝縮機
107、207:気液分離槽
108、208:圧縮機
109、209:原料混合ガス供給配管
110、210:原料プロピレン補給配管
250:重合体抜き出し配管
300:液相重合器
301:スラリーポンプ
302:二重管式熱交換器
303:流動フラッシュ槽
304:加熱されたプロピレンガス
305:気相重合器
400:縦型流動槽重合器(第一段重合工程)
401:ガス置換ドラム
402:縦型流動槽重合器(第二段重合工程)
403、404:弁
405:ガス排出配管
406、407:送気配管
500:気相重合器(第一段重合工程)
501:ガス固体分離器
502:圧力移送室
503:気相重合器(第二段重合工程)
504:ガス排出配管
505:加圧ガス配管
506、507、508:弁
本発明は、オレフィン重合触媒成分(A)及び有機アルミニウム化合物(B)を含む触媒を用いるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法であって、特定の工程(a)〜(e)を有することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法である。
以下、その内容について詳細に説明する。
本発明は、オレフィン重合触媒を用いた連続重合によるポリオレフィンの製造方法一般に関するものである。特に、ポリプロピレン系ブロック共重合体に好ましく適用できるものである。本発明のポリオレフィンの製造に用いられるモノマーとしては、特に制限はなく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−ペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンが例示できる。これらのα−オレフィンは、単独重合することもできるし、2種類以上のα−オレフィンとの共重合もできる。
本発明のポリオレフィンの製造方法に用いられるオレフィン重合触媒成分(A)としては、特に制限はなく、公知の各種触媒が用いられる。これらの触媒としては、たとえば、三価若しくは四価のチタンのハロゲン化物またはアルコラート、アルコキシチタンハロゲン化物と塩化マグネシウム、アルコキシマグネシウムなどを用いて調整された固体触媒成分を含むチーグラーナッタ系触媒、例えばシクロペンタジエニル基を有するチタン、ジルコニウム、ハフニウム系化合物を含むメタロセン系化合物を触媒成分とする担持型固体触媒など公知のオレフィン重合触媒を例示できる。
本発明のポリオレフィンの製造方法に用いられる有機アルミニウム化合物(B)としては、特に制限はなく、公知の各種化合物が用いられる。これらの化合部としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物、ヒドリド含有有機アルミニウム化合物、アルコキサイド含有有機アルミニウム化合物、アルミノキサンなど公知の化合物を例示できる。
本発明のポリオレフィンの製造に用いられる重合様式としては、特に制限はなく、各種公知の装置や重合方法が使用できる。例えば、第一段重合工程が単量体のプロピレン自身を媒質として重合を行う塊状重合法(バルク重合法)で第二段重合工程が媒質を使用せずにガス状の単量体中で重合を行う気相重合法の組み合わせ、第一段重合工程と第二段重合工程がそれぞれ気相重合法の組み合わせなどが挙げられる。また、重合器の形式は、攪拌機を有する縦型、流動槽型、攪拌翼を有する横型などを例示できる。さらに、気相重合法において、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型重合器を用いることが好ましい。
以下より、代表的な重合様式として、図2、3、4を用いて例示する。
第一段重合工程がプロピレンのバルク重合法、第二段重合工程が気相重合法の組み合わせからなる連続重合方法として、特開平11−166027号公報などを例示でき、具体的に図2を用いて説明する。
第一段重合工程の攪拌装置付き液相重合器300でプロピレン単独によるバルク重合法を実施する。液相重合器300内の重合体を含んだスラリーは、スラリーポンプ301によって、二重管式熱交換器302を経て、流動フラッシュ槽303へ供給される。流動フラッシュ槽303には加熱したプロピレンが下部304から供給されている。スラリーは流動フラッシュ槽303内で脱ガスされ、ここで得られた固体状の重合体粒子は、第二段重合工程の攪拌式縦型気相重合槽305へ圧送され、エチレンとプロピレンの共重合が行われる。
第一段重合工程と第二段重合工程が、おのおの流動槽気相重合器の組み合わせからなる連続重合方法として、特公昭60−45645号、特公平3−18642号公報などを例示でき、具体的に図3を用いて説明する。
第一段重合工程の縦型流動槽気相重合器400でプロピレン単独による気相重合を実施する。該重合器400内の重合体は、弁403の開閉によって、ガス置換ドラム401へ圧送される。該重合器400から重合体に同伴してくるガスは、ガス置換ドラム401の上部から管405を通って排出される。次に、弁404の開閉によって、ガス置換ドラム401内の重合体を第二段重合工程の縦型流動槽気相重合器402へ供給する。この際、重合体の供給を円滑に行うため、配管406、407から適宜送気する。
第一段重合工程と第二段重合工程が、おのおの気相重合器の組み合わせからなる連続重合方法として、特許第3883581号公報などを例示でき、具体的に図4を用いて説明する。
図4は、水平に配置された回転軸を有する気相重合器500(第一段重合工程)と該重合器500と同様の形式である気相重合器503(第二段重合工程)が並列に配置された連続重合装置である。重合器500から排出される重合体は、重合器503の上部に配置された、ガス固体分離器501、圧力移送室502を経由し、重合器503へ移送される。
重合器500から弁506の開閉によって排出される重合体は、重合器500の重合圧力より低い圧力で設定されているガス固体分離器501へ圧送され、重合体の同伴ガスは配管504から排出される。
次に、ガス固体分離器501内の重合体は、弁507の開閉によって、圧力移送室502へ移動される。重合体を受入れた圧力移送室502は、配管505からのガスによって、重合器503の重合圧力よりも高い圧力に昇圧され、弁508を開とすることで、重合体は圧力移送室502から重合器503へ排出される。
これら例示した重合方法に使われる重合器としては、単段または単一重合器、二段以上の重合器を有するものであってもよい。これらの反応器は、通常、固体触媒とモノマーが連続的に重合器に供給されるとともに、重合した重合体は、定常的または間欠的に重合器から抜き出される。また、反応器内のモノマーガスを、外部の圧縮機や凝縮機で液化して、この液化モノマーを反応器に噴霧し、その蒸発潜熱で重合熱(反応熱)を除去する方法が採用されている。本発明においては、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相重合法を用いて重合することが好ましい。
中でも、本発明のポリオレフィンの製造方法では、二基以上の重合器、通常二基の重合器を用いるポリオレフィンの製造に好ましく適用できる。すなわち、第一段重合工程の重合器と第二段重合工程の重合器において、それぞれ性質の異なる重合体(共重合体)を得る重合を行うものである。例えば、第二段重合工程では、第一段重合工程で重合された結晶性ポリオレフィンの存在下でゴム状ランダム共重合を行い、結果として両ポリオレフィンの混合組成物としてのポリオレフィンを製造する場合に好適に採用できる。
このような二段重合の様式としては、各重合器において分子量の異なるポリオレフィンの重合、モノマー種の異なる(共)重合、共重合組成の異なる共重合、結晶性の異なる(共)重合、これらの組み合わせなど、目的とするポリオレフィンに対応した製造方法を選択することができる。
本発明においては、特定の状況下及び特定の方法によって、電子供与性化合物を重合体に接触させることが極めて重要である。
以下、重合体と電子供与性化合物との接触方法について、詳細に述べる。
本発明においては、第一段重合工程で得られた重合反応物を、重合体受器に受け入れた後、第二段重合工程へ重合反応物を移送し、重合体受器内の重合反応物へ電子供与性化合物を十分に接触させることが特徴として挙げられ、以下に工程(a)から工程(e)で構成される。
工程(a)では、プロピレン単独またはプロピレンとエチレンを含む他のαオレフィンの混合物を、1つ以上の重合器で重合させて、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を製造する(第一段重合工程)。
次に工程(b)では、工程(a)で製造された重合体を含む重合反応物を、工程(a)の重合器に連結する別の重合体受器へ供給する(重合体受器供給工程)。
次に工程(c)では、重合体を定量、重合体受器へ受入れた後、工程(a)からの重合反応物の排出を停止する(排出停止工程)。第一段重合工程から重合反応物を間欠的に受器に抜き出す際、第一段重合工程のガス成分の漏出(持ち込み)を伴うので、該漏出ガスを受器より排除する。排除する方法としては、第一段重合工程から重合反応物を受器に受け入れている時に、該受器の下部から加圧ガスを導入し、該受器に設置されている系外排出ラインから、該漏出ガスを追い出す方法がある。系外排出ライン側は、第一段重合工程の重合圧力及び加圧ガスの圧力より低圧で設定され、該受器内のガスが第一段重合工程に逆流することを防止できる。また、該受器を第一段重合工程との連通を遮断した後、該受器の下部から加圧ガスを導入し、該受器に設置されている系外排出ラインから、該漏出ガスを追い出すことも可能である。また、該受器を第一段重合工程との連通を遮断した後、落圧することにより該漏出ガスを受器より排除することも可能である。落圧は、真空にする必要はなく、大気圧程度あるいは0.05MPa程度であっても良く、該重合体受器へ供給する加圧ガスが供給できる程度の内圧となるように落圧しても良い。
ここで、加圧ガスとしては、触媒毒とならない不活性ガス、例えば窒素、炭素数1〜4の飽和炭化水素の他、エチレンあるいはプロピレン、更にはこれらのガスの混合物を用いることができる。但し、エチレンとプロピレンを含有する混合物の場合には、該受器中のガス組成がエチレン/プロピレンのモル比が0.1以下あるいは0.9以上となるガスであることが好ましい。このモル比が0.1と0.9の間になる混合物を用いると受器内やそれ以降の重合体移送経路に粘着性の共重合体が生成するため好ましくない。好ましく用いられる昇圧ガスとして、プロピレンあるいはエチレンの単独ガス、更には前記モル比の条件を満たせば第一段重合工程の雰囲気ガスを適用する事ができる。
次に、工程(d)では、重合体受器の少なくとも下部から電子供与性化合物を重合体受器内へ供給し、重合体受器内の重合反応物と電子供与性化合物を接触させる(電子供与性化合物接触工程)。好ましくは、下部及び上部から供給する。電子供与性化合物の供給は、下部からのみ供給しても良いし、下部からの供給を先に行った後に上部から供給しても良いし、上部からの供給を先に行った後に下部から供給しても良いし、上部と下部から同時に供給しても良い。電子供与性化合物は工程(c)での該受器内へ導入する加圧ガスに同伴させて供給させるのが好ましい。電子供与性化合物を加圧ガスに同伴させる時期は、工程(c)で第一段重合工程から重合反応物を受器に受け入れている段階から同伴させても良いし、受器を第一段重合工程との連通を遮断した後で同伴させても良い。該受器内の加圧は、重合体の第二段重合工程への移送を容易にするため、第二段重合工程の重合圧力より高く、好ましくは0.2MPa以上高く設定することが望ましい。
最後に工程(e)では、重合体受器から排出された重合反応物の存在下、プロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンとの混合物を、1つ以上の重合器で重合させて、ゴム状共重合体を製造する(第二段重合工程)。
工程(b)から工程(e)は、一連のシークエンス動作により自動的に実施される。
また、工程(b)から工程(e)は重合器と重合器の間に、二つ以上設置されていても良い。つまり、重合体受器が二つ以上、並列および/または直列に設置されるような形態をとることもできる。
プロピレン系ブロック共重合体の製造において、ゲルの発生や重合器内の付着は、第二段重合工程において、通常滞留重合体に比べショートパス重合体の活性が著しく高いことに起因する。即ち、ゲルの低減や重合器内の付着防止には、第二段重合工程に入るショートパス重合体のみ、あるいは共重合段階の早い段階でショートパス重合体を失活させることが必要となる。好ましくは、第二段重合工程に入る前に、ショートパス重合体の失活操作が行われるのが好ましい。電子供与性化合物の効果としては、通常滞留重合体に対してはその一部分を失活させるのに対し、ショートパス重合体を完全に失活させる特性を持っている。これは粒子の粒径の違いによるものである。
この電子供与性化合物を重合体と作用させる機会として、第一段重合工程に添加する方法がある。この場合、第一段重合工程のショートパス重合体の失活と共に通常滞留粒子への失活作用も働くことから、第一段重合工程全体の重合活性を不必要に低下させることとなるため好ましくない。
また、電子供与性化合物を、第一段重合工程から第二段重合工程に重合体を移送する配管に添加する方法がある。この場合、第一段重合工程から第二段重合工程に一方通行で移動中の重合体群に電子供与性化合物を添加するだけでは、重合体群全体、言い換えるとショートパス重合体全体に電子供与性化合物を均一に接触させる目的としては、必ずしも十分な方法とは言えない。
本発明では、重合体受器に電子供与性化合物を供給することを特徴としているため、第一段重合工程での不必要な重合活性低下を招くことがない。また、本発明は、電子供与性化合物を作用させる対象が、受器内に停滞している重合体であり、これまで提案されていた移動中の重合体を狙って電子供与性化合物を供給させる方法とは大きく異なる。さらに、電子供与性化合物はガスに同伴させて該受器下部から受器内に供給されるため、重合体群に十分に拡散させて接触効率を高めることができる。さらに、好ましくは、重合体群の下部と上部に供給することで、より重合体群全体に電子供与性化合物を分散させる事ができる。この方法により、ショートパス重合体を効率的に失活させる事が可能となる。この接触効率の向上により電子供与性化合物の使用量も従来量に比べ削減する事も可能となる。
電子供与性化合物を第一段重合工程から発生するショートパス重合体を、第二段重合工程に入る前に、より効率良く確実に失活させることは、本発明が初めて実現したものである。
ここで、電子供与性化合物としては、通常は酸素、窒素、リンあるいは硫黄を含有する公知の有機化合物を使うことができる。具体的には、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、アセタール類、有機酸類、酸無水物類、酸ハライド類、エステル類、エーテル類、アミン類、アミド類、ニトリル類、ホスフィン類、ホスフィンアミド類、チオエーテル類、チオエステル類、Si−O−C結合を含有する有機ケイ素化合物等を挙げることができる(特開2004−307657号公報、特開2008−150466号公報など)。
本発明における電子供与性化合物は標準状態で液体であり、分子量が30〜80である化合物が好ましい。分子量が80以上である場合、電子供与性化合物の使用重量が大きくなるばかりでなく、化合物の沸点が高くなることにより重合製造後の該化合物の除去が難しくなる。メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンまたは酢酸メチルから選ばれるものであれば、入手のしやすさ及び経済性の理由から更に好ましい。
これらの電子供与性化合物は、必要に応じて二種類以上を併用しても良い。また、電子供与性化合物以外に、第二段重合工程に標準状態で気体である重合活性抑制剤を添加して、第二段重合工程の重合活性を制御しても良い。標準状態で気体である重合活性抑制剤としては、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、硫化カルボニル、アンモニアなどが挙げられる。
これらの電子供与性化合物の供給量は、特に限定しないが、第二段重合工程の重合量がプロピレン系ブロック共重合体に対して20重量%以上の場合、供給する電子供与性化合物の総量が、使用する有機アルミニウム化合物(B)に対して、0.5倍モル以上、より好ましくは0.8倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以上であり、20倍モル以下、好ましくは10倍モル以下、より好ましくは5倍モル以下である。電子供与性化合物の供給量が過小な場合は、ゲル、フィッシュアイの低減効果が小さく、重合体付着性改善効果がなく、また電子供与性化合物の供給量が過剰な場合は、第二段重合工程の活性低下が顕著となる。
以下、本発明のポリオレフィンの製造方法及び反応装置の一例として、プロピレン系ブロック共重合体の製造の場合について、詳細に述べる。ここで、プロピレン系ブロック共重合体とは、前段の第一段重合工程において、立体規則性触媒の存在下にプロピレンの単独重合体またはプロピレンと7質量%以下のエチレン、1−ブテンなどの他のα−オレフィンとの共重合体である結晶性ポリプロピレン系重合体を製造し、この結晶性ポリプロピレン系重合体を連続的に、後段の第二段重合工程に移送し、第二段重合工程でプロピレンとエチレンなどの他のα−オレフィンとのゴム状のランダム共重合を行うものである。
これによって、結晶性ポリプロピレンからなる連続相とゴム状粒子(ポリエチレンを含む)からなる分散相によって、耐衝撃性、特に低温耐衝撃性にすぐれたプロピレン系ブロック共重合体が製造できる。ここで、ランダム共重合の共重合組成の制御、分子量の制御、含有量の制御などによって、目的に応じた特性を有するプロピレン系ブロック共重合体が製造できる。
第一段重合工程では、水素などの分子量調整剤を用いて重合体のメルトフローレート(MFR)を制御することができる。プロピレン系ブロック共重合体のMFRは、成形方法や用途により設定されるが、通常、0.1以上、好ましくは50以上、さらに好ましくは70以上であり、1000以下、好ましくは500以下、さらに好ましくは400以下である。MFRが過小な場合は、重合体の流動性が著しく低下して成形が困難となり、また過大な場合は、引っ張り特性の低下が発生する。
第二段重合工程では、プロピレンとα−オレフィンとの混合物を一つ以上の重合器で重合させて、ゴム状重合体を製造する。α−オレフィンとしては、エチレンが好ましい。この第二段重合工程ではプロピレン/α−オレフィンの重合比(重量比)が90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70の割合であるプロピレンのゴム状重合体を製造する。但し、この工程での重合量は、全重合量の15重量%以上、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上であり、90重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。重合量が過小な場合はプロピレン系ブロック共重合体の衝撃強度が低下し、過大な場合はプロピレン系ブロック共重合体の流動性が著しく悪化し、重合器からの抜き出しトラブルの発生や重合器内への付着が発生する。
特にゴム状重合体の重合量が高い重合体を製造する場合、第二段重合工程での重合時間(滞留時間)を長くする方法や、第二重合工程の重合圧力や重合温度を高くする方法、第二段重合工程での重合量を制御する重合活性抑制剤の添加量を減少させる方法がある。これらの方法では、失活されていない第一段重合工程からのショートパス重合体が存在した場合、異常共重合が促進されることになる。これを回避する為に、第二段重合工程に入る前に、確実にショートパス重合体を失活させる事が重要であり、特にゴム状重合体の重合量が高い重合体を製造する場合には、本発明が必要となる。
以下、本発明のポリオレフィンの製造方法の一例である、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法について、図面を元に説明する。図1は、本発明のポリオレフィンの製造方法に用いられる、実施装置の一例である装置の概略説明図である。
横型重合器100(第一段重合工程)は細長く、上流端101と下流端102を持ち、図1に示すように、一般的には水平位置で設置されている。軸103は、横型重合器100内部で上流端101から下流端102へ水平に延び、攪拌の為の翼(攪拌翼)が軸103に取り付けられている。攪拌翼は、重合体粒子を横型重合器100内でその中へ導入される他物質と混合する。
横型重合器100の上流部配管50および51より供給された触媒成分は、攪拌翼にて重合体粒子と混合されながら重合を開始する。重合の際、発生する重合熱は、頂部配管104から供給される原料液化プロピレンの蒸発潜熱により除去される。横型重合器100内の未反応の気化プロピレンは、配管105にて重合器外へ出され、凝縮機106によりその一部分が凝縮液化され、気液分離槽107で液相と気相へ分離される。液相部は、重合熱除去のため配管104へ導入される。気相部は、配管52から供給される分子量調節のための水素やα−オレフィン等と混合され、圧縮機108によって昇圧され、横型重合器100底部に設置された配管109を経由して供給される。
重合器100内で生成した重合体は、重合体受入弁2を所定時間だけ開くことにより、重合体受器1内に間欠的に導入される。該重合体受器1内に重合体と共に導入されたガスは、ガス排出弁4を開くことにより排出される。
ガス排出弁4を閉じた後、下部加圧ガス導入弁5を開いて加圧ガス補給配管7より重合体受器1に加圧ガスを導入する。次いで該下部加圧ガス導入弁5を閉じた後、上部加圧ガス導入弁6を開いて加圧ガス補給配管7より重合体受器1に加圧ガスを導入する。
本発明では、加圧ガス補給配管7に電子供与性化合物を供給し、加圧ガスに同伴させる事によって、重合体受器1内の重合体と電子供与性化合物を効率良く接触させる。
次に、重合体受器1下方の重合体排出弁3を開き、重合体受器1内の重合体を第二段重合器200へ移送する。
重合体受器1からの重合体排出が終了した後、上部加圧ガス導入弁6と重合体排出弁3を閉じることにより重合器100から重合器200(第二段重合工程)への重合体の移送操作の1サイクルが終了する。
なお、このあと重合体排出弁2を開ける前に、ガス排出弁4を開き、重合体受器1内の残存ガスを排出した後、該ガス排出弁4を閉じ、次いで加圧ガス導入弁5を開いて加圧ガスを導入し、重合体受器1内の圧力を重合器100の重合圧力と同じ圧力まで昇圧した後、閉じる工程を付け加えることができる。
上記の一連の操作を繰り返す事により、重合器100から重合器200への重合体の移送を移送経路の閉塞なしに円滑に行うことができる。
重合器200は、重合器100と同様の構造と機能を有している。重合器200で製造された重合体は、配管250より系外へ排出され、重合体の乾燥工程等へ運ばれる。
ここで一例として示した横型重合器は、触媒成分が重合器の上流部へ供給され、それが重合により重合体粒子として成長しながら、重合器の下流側へ移動するという、他の重合器様式とは大きく異なる特徴を有する。
このような特徴を有する横型重合器は、完全混合槽型の重合器に比べ、重合器一台当たりの槽数が高く、特に重合器出口付近に存在する比較的滞留時間の短い重合体(ショートパス重合体)の濃度は非常に少ないものとなる。よって、これまで以上のゲル・フィッシュアイの低減を目的としている本発明においては、横型重合器にて実施することが好ましい。特に、ここで示したような、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型重合器が好ましい。
以下、重合設定の詳細について説明する。
第一段重合工程は、実質気相状態で、プロピレン単独、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの混合物を連続重合させて、結晶性のプロピレン重合体を製造する工程である。α−オレフィンとしてはエチレンが一般的である。この第一段重合では、プロピレン単独重合体またはα−オレフィン含量7重量%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体を形成させる。第1段重合でプロピレン・α−オレフィン重合体中のα−オレフィン含量が7重量%を越えると、最終共重合体の嵩密度が低下し、低結晶性重合体の副生量が大幅に増大する。
温度や圧力の様な重合条件は、本発明の効果を阻害しない限り任意に設定する事が出来る。具体的には、重合温度は好ましくは0℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であり、好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。重合圧力は大気圧以上、好ましくは600kPa以上、更に好ましくは1000kPa以上、特に好ましくは1600kPa以上であり、好ましくは4200kPa以下、更に好ましくは3500kPa以下、特に好ましくは3000kPa以下を例示できる。ただし、重合圧力は重合温度におけるプロピレンの蒸圧力より低く設定するべきではない。
滞留時間は重合器の構成や製品インデックスに合わせて任意に調整する事が出来る。一般的には、30分から10時間の範囲内で設定される。
第二段重合工程は、プロピレンとα−オレフィンとの混合物を一つ以上の重合器で重合させて、ゴム状重合体を製造する工程である。α−オレフィンとしてはエチレンが好ましく、エチレン以外の他のコモノマーを共存させてもよい。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンを用いることができる。
第二段重合工程の重合温度は30〜110℃、好ましくは50〜90℃程度である。重合圧力は100kPaから5000kPaの範囲が通常用いられる。第一段重合工程から第二段重合工程に移る際に、プロピレンガスまたはプロピレンとα−オレフィンの混合ガスと水素ガスをパージして次の工程に移ることが好ましい。第二段階重合で、分子量調節剤は、目的に応じて用いても用いなくても良い。
ここで、重合触媒成分の一例として、チタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする固体成分(A1)、アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物の電子供与体(A2)、及び有機アルミニウム化合物(A3)を、好ましくは更に、ビニルシラン化合物(A4)を必須成分として含有してなる高立体規則性重合用固体触媒成分(A)が挙げられる。ここで「必須成分として含有し」ということは、挙示の成分以外に合目的的な他元素を含んでいてもよいこと、これらの元素は、それぞれが合目的的な任意の化合物として存在してもよいこと、ならびにこれら元素は、相互に結合したものとして存在してもよいことを示すものである。
(1)成分(A1)
本発明で用いられるチタン、マグネシウム及びハロゲンを必須成分とする固体成分(A1)そのものは、公知のものであり、本発明において使用されるマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、金属マグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム等の一般式:Mg(OR2−m(ここで、Rは、炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xは、ハロゲンを示し、mは、0≦m≦2である。)で表されるマグネシウム化合物が好ましい。
また、チタン源となるチタン化合物としては、一般式:Ti(OR4−n(ここで、Rは、炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xは、ハロゲンを示し、nは、0≦n≦4である。)で表される化合物が挙げられる。
具体例としては、TiCl、TiBr、TiI、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(O−i−C)Cl、Ti(O−n−C)Cl、Ti(O−n−CCl、Ti(OC)Br、Ti(OC)(O−n−CCl、Ti(O−n−CCl、Ti(OC)Cl、Ti(O−i−CCl、Ti(OC11)Cl、Ti(OC13)Cl、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(O−n−C13、Ti(O−n−C17、Ti(OCHCH(C)C等が挙げられる。
また、TiX’(ここで、X’は、ハロゲンである。)に、後述する電子供与体を反応させた分子化合物をチタン源として用いることもできる。そのような分子化合物の具体例としては、TiCl・CHCOC、TiCl・CHCO、TiCl・CNO、TiCl・CHCOCl、TiCl・CCOCl、TiCl・CCO、TiCl・ClCOC、TiCl・CO等が挙げられる。
また、TiCl(TiClを水素で還元したもの、アルミニウム金属で還元したもの、あるいは有機金属化合物で還元したもの等を含む)、TiBr、Ti(OC)Cl、TiCl、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド等のチタン化合物の使用も可能である。これらのチタン化合物の中でも、TiCl、Ti(OC、Ti(OC)Cl等が好ましい。
ハロゲンは、上述のマグネシウムおよび(または)チタンのハロゲン化合物から添加されるのが普通であるが、他のハロゲン源、例えば、AlCl、AlBr、AlI等のアルミニウムのハロゲン化物、BCl、BBr、BI等のホウ素のハロゲン化物、SiCl等のケイ素のハロゲン化物、PCl、PCl等のリンのハロゲン化物、WCl等のタングステンのハロゲン化物、MoCl等のモリブデンのハロゲン化物といった公知のハロゲン化剤から添加することもできる。触媒成分中に含まれるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物であってもよく、特に塩素が好ましい。
(2)成分(A2)
本発明で用いられる電子供与体(A2)の代表的な例としては、特開2001−323023号公報、特開2004−124090号公報等に開示されている化合物を挙げることができる。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物類、エーテル化合物類、ケトン化合物類、アルデヒド化合物類、アルコール化合物類、アミン化合物類、フェノール化合物類、カルボン酸化合物、含窒素化合物、含硫黄化合物、などを用いることが望ましい。
(3)成分(A3)
本発明で用いることのできる有機アルミニウム化合物(A3)は、具体例としては、R 3−sAlXまたはR 3−tAl(OR(ここで、RおよびRは、炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子であり、Rは、炭化水素基であり、Xは、ハロゲンであり、sおよびtは、それぞれ0≦s<3、0<t<3である。)で表されるものがある。
具体的には、(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、(ロ)ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド等が挙げられる。
これら(イ)〜(ニ)の有機アルミニウム化合物に、他の有機金属化合物、例えば、R 3−uAl(OR(ここで、RおよびRは、同一または異なってもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、uは、0<u≦3である。)で表されるアルミニウムアルコキシドを併用することもできる。例えば、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドの併用、ジエチルアルミニウムモノクロライドとジエチルアルミニウムエトキシドとの併用、エチルアルミニウムジクロライドとエチルアルミニウムジエトキシドとの併用、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドとジエチルアルミニウムモノクロライドとの併用等が挙げられる。
(4)成分(A4)
本発明に用いられるビニルシラン化合物(A4)としては、特開2003−292522号公報等に開示された化合物等を用いることができる。これらのビニルシラン化合物は、モノシラン(SiH)の水素原子の少なくとも一つがビニル基類で置換され、残りの水素原子の一部ないし全部がその他の遊離基に置き換えられた構造を持つ化合物であり、下記一般式(1)で表すことができる。
[CH=CH−]SiX (OR …(1)
(一般式(1)中、Xは、ハロゲンを表し、Rは、水素または炭化水素基を表し、Rは、水素、炭化水素基または有機ケイ素基を表し、m≧1、0≦n≦3、0≦j≦3、0≦k≦2、m+n+j+k=4である。)
一般式(1)中、mは、ビニル基の数を表し、1以上4以下の値を取る。より好ましくは、mの値は、1又は2であることが望ましく、特に好ましくは2である。
一般式(1)中、Xは、ハロゲンを表し、フッ素、塩素、臭素、沃素、などを例示することができる。複数存在する場合は、お互いに同一であっても異なっても良い。この中で、塩素が特に好ましい。nは、ハロゲンの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、nの値は、0以上2以下であることが望ましく、特に好ましくは0である。
一般式(1)中、Rは、水素又は炭化水素基を表し、好ましくは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基、より好ましくは水素又は炭素数1〜12の炭化水素基から選ばれる任意の遊離基を表す。好ましいRの例としては、水素、メチル基やブチル基に代表されるアルキル基、シクロヘキシル基に代表されるシクロアルキル基、フェニル基に代表されるアリール基、などを挙げることができる。特に好ましいRの例としては、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、などを挙げることができる。jは、Rの数を表し、0以上3以下の値を取る。より好ましくは、jの値は、1以上3以下であることが望ましく、更に好ましくは2以上3以下であり、特に好ましくは2である。jが2以上である場合、複数存在するRは、お互いに同一であっても異なっても良い。
一般式(1)中、Rは、水素、炭化水素基または有機ケイ素基を表す。Rが炭化水素基である場合は、Rと同一の化合物群から選択することができる。Rが有機ケイ素基である場合は、炭素数1〜20の炭化水素基を有する有機ケイ素基であることが好ましい。Rとして用いることのできる有機ケイ素基の具体的な例としては、トリメチルシリル基に代表されるアルキル基含有ケイ素基、ジメチルフェニルシリル基に代表されるアリール基含有ケイ素基、ジメチルビニルシリル基に代表されるビニル基含有ケイ素基、およびプロピルフェニルビニルシリル基の様なそれらを組み合わせてなるケイ素基、などを挙げることができる。また、kは、Rの数を表し、0以上2以下の値を取る。ビニルトリエトキシシランの様にkの値が3に相当する化合物の場合では、本発明におけるビニルシラン化合物(A4)としての性能は、発現せず、好ましくは、kの値は0以上1以下であることが望ましく、特に好ましくは0である。kの値が2である場合、二つのRは、お互いに同一であっても異なっても良い。また、kの値に関わらず、RとRは、同一であっても異なっても良い。
これらのビニルシラン化合物類は、単独で用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。好ましい化合物の例としては、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−Si(Cl)Me、CH=CH−SiCl、[CH=CH−]Si(Cl)Me、[CH=CH−]SiCl、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−Si(Ph)Me、CH=CH−SiPh、[CH=CH−]Si(Ph)Me、[CH=CH−]SiPh、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−Si(H)Me、CH=CH−SiH、[CH=CH−]Si(H)Me、[CH=CH−]SiH、CH=CH−SiEt、CH=CH−SiBu、CH=CH−Si(Ph)(H)Me、CH=CH−Si(Cl)(H)Me、CH=CH−Si(Me)(OMe)、CH=CH−Si(Me)(OSiMe)、CH=CH−Si(Me)−O−Si(Me)−CH=CH、などを挙げることができる。これらの中でも、CH=CH−SiMe、[CH=CH−]SiMe、がより好ましく、[CH=CH−]SiMeが最も好ましい。
本発明における触媒成分(A)は、本重合で使用する前に、予備重合処理して用いることが好ましい。
触媒成分(A)の予備重合処理は、本重合時に用いる有機アルミニウム化合物と同様の有機アルミニウム化合物の存在下で実施できる。使用する成分(A3)の添加量は、使用する触媒の種類によって異なるが、通常、チタン原子1モルに対して、有機アルミニウム化合物を0.1〜40モル、好ましくは0.3〜20モルの範囲で用い、10〜80℃で10分〜48時間かけて触媒成分(A)1グラム当たり0.1〜100グラム、好ましくは0.5〜50グラムのα−オレフィンを不活性溶媒中で反応させる。
予備重合処理においては、必要に応じて、本重合に用いる電子供与体と同様の電子供与体を用いることもできる。電子供与体が有機ケイ素化合物の場合、有機アルミニウム化合物1モルに対して、0.01〜10モルの範囲で用いてもよい。
触媒成分(A)の予備重合処理に用いられるα−オレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等であり、これらは、単独のみならず、他のα−オレフィンとの2種以上の混合物であってもよい。また、その重合に際して生成する重合体の分子量を調節するために水素等の分子調節剤を、併用することもできる。
触媒成分(A)の予備重合処理に用いられる不活性溶剤は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび流動パラフィン等の液状飽和炭化水素や、ジメチルポリシロキサンの構造を持ったシリコーンオイル等重合反応に著しく影響を及ぼさない不活性溶剤である。これらの不活性溶剤は、1種の単独溶剤または2種以上の混合溶剤のいずれでもよい。これらの不活性溶剤の使用に際しては、重合に悪影響を及ぼす水分、イオウ化合物等の不純物を取り除いた後で使用することが好ましい。
予備重合処理は、複数回行っても良く、この際用いるモノマーは、同一であっても異なっていても良い。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行うこともできる。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば、乾燥を行ってもよい。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明における各物性値の測定方法を以下に示す。
(各種物性測定法)
a)MFR(単位:g/10分):JIS−K6921の方法に従い、230℃、21.18Nの条件で測定した。
b)α−オレフィン含有率(重量%):赤外線吸収スペクトル法により測定した。
c)製品パウダー中の塊(重量%):プロピレン系ブロック共重合体のパウダーを約200gサンプリングし、目開き3360μmの篩にて塊を分離し、その割合を求めた。
d)パウダーの流動性:ホソカワミクロン社製パウダーテスターを使用して、パウダーのゆるみ見掛け比重と固め見掛け比重をそれぞれ測定し、下記(式1)より圧縮度を求め、パウダー流動性の良悪の指標とした。圧縮度の値が高いほどパウダーの流動性が悪い。
圧縮度=(固め見掛け比重−ゆるみ見掛け比重)/(固め見掛け比重)×100(式1)
e)ゲルの測定(個/g):プロピレン系ブロック共重合体のパウダー2kgに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.002kg、ステアリン酸カルシウム0.002kgを加え高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサー(商品名))を用いて、室温下にて2分間混合し、混合物をスクリュー口径40mmの押出造粒機を用いて造粒した。このペレットを小型混練機(LME:ATLAS社製)を用いて幅10mm、厚さ0.5mm、長さ1000mmのシートを作成し、目視によりシート上に存在するゲルをカウントした。結果は、シート1g中のゲル個数で整理した。
(実施例1)
1)固体成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分(A1)のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分(A1)のTi含量は2.7wt%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(A1)のスラリーを固体成分(A1)として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分(A1)の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiClを50mlを加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、(i−Pr)Si(OMe)を30ml、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分にはTiが1.2wt%、(i−Pr)Si(OMe)が8.8wt%含まれていた。
2)予備重合
上記で得られた固体成分を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分(A)は、固体成分1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0wt%、Mgが17.5wt%、(i−Pr)Si(OMe)が8.2wt%含まれていた。
3)第一段重合工程
添付した図1に示したフローシートによって説明する。攪拌翼を有する横型重合器100(L/D=3.7、内容積100リットル)に上記予備活性化処理した固体触媒成分(A)を0.30g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムを固体触媒成分(A)中のMgに対してAl/Mgモル比が5となるよう連続的に供給した。反応温度65℃、反応圧力2.0MPa、攪拌速度35rpmの条件を維持しながら、重合器内の気相中の水素濃度を表1に示した水素/プロピレンモル比に維持するように、水素ガスを配管52より連続的に供給して、第1段重合体のMFRを調節した。
反応熱は配管104から供給する原料液化プロピレンの気化熱により除去した。横型重合器100から排出される未反応ガスは配管105を通して横型重合器100系外で冷却、凝縮させて配管104にて横型重合器100に還流した。
生成した第一段重合工程の重合体を、重合体の保有レベルが横型重合器100の容積の50容量%となる様に横型重合器100の下流末端部の配管8から間欠的に抜き出し、重合体受器1を経由して第二段重合工程の横型重合器200に供給した。
この時、横型重合器100で得られた重合体を横型重合器200へ供給する過程で、重合体受器1の下部加圧ガス導入弁5が開いているときに、電子供与性化合物(C)としてエタノールを、該受器1の配管10から供給し、加圧ガスと共に該受器1へ供給した。該エタノールの供給量は、第1段重合工程で供給されるトリエチルアルミニウムに対して0.6倍モルとした。なお、重合体受器1から重合体の一部を間欠的に採取して、MFRおよび触媒単位重量当たりの重合体収量を測定する試料とした。触媒単位重量当たりの重合体収量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)により測定した重合体中のMg含有量から算出した。
4)第二段重合工程
攪拌翼を有する横型重合器200(L/D=3.7、内容積100リットル)に、第一段重合工程(横型重合器100)からの重合体、および配管53から供給したエチレンを含むエチレン/プロピレン混合ガスを配管209から連続的に供給し、エチレンとプロピレンの共重合を行った。反応条件は攪拌速度25rpm、温度60℃、圧力1.9MPaであり、気相中のガス組成を表1に示すエチレン/プロピレンモル比および水素/エチレンモル比に調整した。プロピレン−エチレン共重合体の重合量を調節するための重合活性抑制剤として酸素を配管54から供給し、エチレン/プロピレン共重合体の分子量を調節するための水素ガスを配管53より供給した。
重合熱は配管204から供給される原料液化プロピレンの気化熱で除去した。横型重合器200から排出される未反応ガスは配管205を通して横型重合器200系外で冷却、凝縮させて横型重合器200に還流させた。第二段重合工程(横型重合器200)で生成したプロピレン系ブロック共重合体は、重合体の保有レベルが、横型重合器200の容積の50容量%となる様に配管250を通して横型重合器200から連続的に抜き出した。プロピレン系ブロック共重合体の生産速度は15.3kg/hrであった。
抜き出されたプロピレン系ブロック共重合体(製品パウダー)は未反応モノマーを除去し、一部はMFRの測定、および赤外線吸収スペクトル分析によるエチレン含有量の測定、ICP法による重合体中のMg含量の測定による共重合体の生成量、ゲル、パウダーの流動性の測定に供した。結果を表1に示す。なお、製品パウダー中の塊量は、0.1重量%であった。
(実施例2)
電子供与性化合物(C)を配管10から供給し、始めに下部加圧ガス導入弁5を開き、次いで該導入弁5を閉じた後、下部加圧ガス導入弁6を開いて、加圧ガスと共に重合体受器へ供給した以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。なお、製品パウダー中の塊量は、0.1重量%であった。
(比較例1)
電子供与性化合物(C)を添加せずに、プロピレン系ブロック共重合体を製造した以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。なお、製品パウダー中の塊量は、0.5重量%であった。
(比較例2)
電子供与性化合物(C)を図1中の重合体移送配管9に添加した以外は実施例1に準拠して実施した。結果を表1に示す。なお、製品パウダー中の塊量は、0.4重量%であった。
Figure 2011084612
以上の各実施例及び各比較例を対照することにより、本発明の製造方法の特定事項である「第一段重合工程から重合体受器に受け入れた第一段重合体を含む重合反応物に、電子供与性化合物を重合体群の下部、または、下部及び上部から供給する」(工程(b)〜(d))の要件を満たさない方法による比較例1〜2で得られたものは、ゲルの発生やパウダー中の塊が多く、加えてパウダーの流動性が良好でないプロピレン系ブロック共重合体であるのに比べて、本発明の製造方法による実施例1〜2では、ゲルの発生やパウダー中の塊が少なく、加えてパウダーの流動性が良好なプロピレン系ブロック共重合体が得られることが明らかになった。
したがって、本発明の製造方法は、ゲルや塊の減少およびパウダーの流動性を良好に保つという点で優れた結果が得られており、大きな技術的意義を持つことが明らかである。
本発明の製造方法では、高剛性かつ高衝撃強度で、ゲル、フィッシュアイが低減したプロピレン系ブロック共重合体が得られることから、外観の優れた射出成形品や押し出し成形品を得ることが可能である。加えて、パウダー流動性が優れ、パウダー中の塊量も少ないことから、品質的に安定したプロピレン系ブロック共重合体の供給が可能となる。また、本発明の製造方法では、このようなプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する際に、塊状重合体や付着性重合体の生成を低減して、べたつきの無い流動性の良い状態で、しかも、高生産効率で製造することができるため、産業上大いに有用である。

Claims (10)

  1. プロピレン単独またはプロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンの混合物から選ばれる重合原料から、オレフィン重合触媒成分(A)及び有機アルミニウム化合物(B)を含む触媒を用いてプロピレン系ブロック共重合体を製造する方法であって、
    下記の工程(a)〜(e)を順次行なうことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
    工程(a):前記重合原料を1つ以上の重合器で重合させて、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を製造する工程(第一段重合工程)。
    工程(b):工程(a)で製造された重合体を含む重合反応物を、工程(a)の重合器に連結する別の重合体受器へ供給する工程(重合体受器供給工程)。
    工程(c):重合反応物を定量、重合体受器へ受入れた後、工程(a)からの重合反応物の排出を停止する工程(排出停止工程)。
    工程(d):重合体受器の少なくとも下部から電子供与性化合物を重合体受器内へ供給し、重合体受器内の重合反応物と電子供与性化合物とを接触させる工程(電子供与性化合物接触工程)。
    工程(e):重合体受器から排出された重合反応物の存在下、プロピレンとエチレンを含む他のα−オレフィンとの混合物を、1つ以上の重合器で重合させて、ゴム状共重合体を製造する工程(第二段重合工程)。
  2. 工程(d)において、重合体受器の下部及び上部から電子供与性化合物を重合体受器内へ供給することを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  3. 工程(e)における重合量が、全重合量に対して20重量%より多いことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  4. 工程(d)における電子供与性化合物の供給量が、有機アルミニウム化合物(B)に対して0.5〜20倍モルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  5. 前記電子供与性化合物が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン又は酢酸メチルから選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  6. 工程(e)において、重合器内に標準状態で気体である重合活性抑制剤を添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  7. 工程(a)における重合は、バルク重合法または気相重合法で行い、一方、工程(e)における重合は、気相重合法で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  8. 工程(a)および/または工程(e)は、反応熱を主として液化プロピレンの気化熱により除去する気相重合法を採用することを特徴とする請求項7に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  9. 前記気相重合法が、攪拌機を有する重合器を用いるものであることを特徴とする請求項7または8に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  10. 前記気相重合法が、内部に水平軸周りに回転する攪拌機を有する横型重合器を用いるものであることを特徴とする請求項9に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。製造方法。
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