JP4420527B2 - バルク重合用触媒、それを用いたバルク重合方法およびオレフィン重合体 - Google Patents
バルク重合用触媒、それを用いたバルク重合方法およびオレフィン重合体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルク重合用触媒、それを用いたバルク重合方法及びバルク重合して得られたオレフィン重合体に関する。
より詳しくは、原料モノマーであるα−オレフィン化合物を水素存在下にバルク重合した際に、重合活性が高く、少量の水素添加によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒、それを用いたバルク重合方法及びこのようにバルク重合して得られるオレフィン重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オレフィン重合体を重合する際の触媒系として、チーグラー系触媒が広く知られており、このような触媒系の一例が、特開平2−163104号公報や、特表平8−509263号公報に開示されている。
具体的に、特開平2−163104号公報に開示された触媒系は、
(A1)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物の存在下、ハロゲン化チタンを、有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物で処理した後、エーテル化合物と、四塩化チタンと、エステル化合物との混合物で処理して得られる三価チタン含有固体触媒成分と、
(B1)有機アルミニウム化合物と、
(C1)ジアルキルジアルコキシシラン等と、
から構成されている。
また、特表平8−509263号公報に開示された触媒系は、
(A2)マグネシウム原子、ハロゲン原子、およびチタン等の遷移金属原子を含有する固体化合物と、
(B2)有機アルミニウム誘導体と、
(C2)ジアルキルジアルコキシシラン等と、
から構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、オレフィン重合体をバルク重合する場合、水素等の連鎖移動剤を使用して、オレフィン重合体の分子量を低下させることにより、溶融流動性(メルトフローレート、MFR)を高める方法がとられている。
しかしながら、特開平2−163104号公報や、特表平8−509263号公報に開示された触媒系によれば、以下のような問題点が見られた。
【0004】
(1)バルク重合して得られるオレフィン重合体の立体規則性は高いものの、水素使用量に対する生成ポリマーの溶融流動性の依存性が小さいために、溶融流動性の高いオレフィン重合体を製造する目的には不利であった。
この点、図1を参照して具体的に説明すると、バルク重合する際の水素分圧が0.25MPa(ゲージ)の場合、得られるオレフィン重合体のMFR(JIS−K7210準拠)は、約1.2g/10分であるのに対し、水素分圧を1MPa(ゲージ)に増加した場合であっても、得られるオレフィン重合体のMFRは、約14g/10分であった。すなわち、従来の触媒系では、水素使用量に対する溶融流動性の向上が不十分であった。
【0005】
(2)上述した触媒系を用いて溶融流動性の高いオレフィン重合体をバルク重合する場合、立体規則性については低下させなければならないという問題が見られた。
すなわち、オレフィン重合体の立体規則性と、溶融流動性とは、一般に相反する特性であるため、溶融流動性の高いオレフィン重合体を製造する場合には、立体規則性を低下させなければならず、したがって、かかる立体規則性の低下に伴い、オレフィン重合体の耐熱性や耐クリ−プ性等が低下するという問題が見られた。
(3)上述した触媒系を用いて溶融流動性の高いオレフィン重合体をバルク重合する場合、より多くの水素を使用する必要があった。したがって、安全性確保の観点から、製造装置の耐圧性を高めなければならないという問題が見られた。
(4)さらに、上述した触媒系を用いた場合、多量の水素を使用すると、バルク重合時の水素分圧の増加に伴い、相対的にモノマー分圧が低下するという問題が見られた。したがって、それに伴いオレフィン重合体の生産性が低下するという問題が見られた。
【0006】
すなわち、バルク重合において、立体規則性を低下させることなく、少量の水素の添加によって容易にオレフィン重合体の分子量や、溶融流動性を調節することができ、かつ重合活性に優れた触媒系が望まれていた。
したがって、本発明は、このような問題点を考慮してなされたものであり、バルク重合時の重合活性が高く、また、少量の水素添加により、優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を提供することを目的とする。
また、本発明は、このようなバルク重合用触媒を用いた、優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を効率的に与えるバルク重合方法を提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、このようなバルク重合用触媒を用いて得られる、優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のバルク重合用触媒によれば、α−オレフィン化合物を水素存在下にバルク重合するための触媒であって、下記(A)〜(C)成分を接触させてなることを特徴としたバルク重合用触媒が提供され、上述した問題点を解決することができる。
(A)(a)マグネシウム化合物と、
(b)四塩化チタンと、
(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)と、
からなる固体触媒成分
(B)有機アルミニウム化合物
(C)下記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物
(R1)(R2CH2)Si(OR3)(OR4) (1)
[式中、R1は、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、R2は、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、R3およびR4は、それぞれ独立であって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。]
(C)成分として、このような特定の環状アルキルジアルコキシシランを外部ドナーとして使用することにより、重合活性が高くなり、少量の水素によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を得ることができる。
【0008】
また、本発明のバルク重合用触媒を構成するにあたり、(C)成分におけるR1が、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基であることが好ましい。
(C)成分として、このような特定の環状アルキルジアルコキシシランを外部ドナーとして使用することにより、重合活性がより高くなり、少量の水素によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を効果的に得ることができる。
【0009】
また、本発明のバルク重合用触媒を構成するにあたり、(C)成分が、シクロペンチルイソブチルジメトキシシランまたはシクロヘキシルイソブチルジメトキシシランであることが好ましい。
(C)成分として、このような特定の環状アルキルジアルコキシシランを外部ドナーとして使用することにより、重合活性がより高くなり、少量の水素によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を効果的に得ることができる。
【0010】
また、本発明のバルク重合用触媒を構成するにあたり、(C)成分が、以下の反応式により得られる有機ケイ素化合物であることが好ましい。
R2CH2Si(OR3)2(OR4)+R1MgBr→
R1(R2CH2)Si(OR3)(OR4)+MgBr(OR3)
[R1、R2、R3およびR4は、一般式(1)におけるR1、R2、R3およびR4と同様の内容である。]
(C)成分が、このように得られた有機ケイ素化合物であれば、純度が高く、しかも製造コストが安いという特徴がある。したがって、重合活性がより高く、少量の水素によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を効果的に得ることができる。
【0011】
また、本発明のバルク重合用触媒を構成するにあたり、触媒活性を600kg/gTi以上の値とすることが好ましく、800〜1500kg/gTiの範囲内の値とすることがより好ましい。
このような触媒活性を有するバルク重合用触媒であれば、α−オレフィン化合物に対する重合活性が確実に高くなる一方、製造条件を制御することが容易となる。
【0012】
また、本発明のバルク重合用触媒を構成するにあたり、(A)成分が、(d)成分として、さらに四塩化ケイ素を接触させて得られる固体触媒成分であることが好ましい。
このように内部ドナーを含むバルク重合用触媒であれば、重合活性がより高くなり、また、少量の水素によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を効果的に得ることができる。
【0013】
また、本発明のバルク重合用触媒を構成するにあたり、(A)成分が、以下の工程▲1▼〜▲3▼を順次に実施して得られる固体触媒成分であることが好ましい。
▲1▼(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素とを接触させる工程
▲2▼(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)を接触させる工程
▲3▼(b)四塩化チタンを高温状態で接触させる工程
このような順序で(b)四塩化チタン等を接触させて得られた固体触媒成分であれば、(a)マグネシウム化合物に対して、(b)四塩化チタンを十分かつ強固に担持させることができる。したがって、重合活性がより高く、少量の水素添加によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を効果的に得ることができる。
【0014】
また、本発明のバルク重合用触媒を構成するにあたり、(A)成分が、以下の工程▲1▼〜▲4▼を順次に実施して得られる固体触媒成分であることが好ましい。
▲1▼(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素とを接触させる工程
▲2▼(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)を接触させる工程
▲3▼(b)四塩化チタンを高温状態で接触させる工程
▲4▼炭化水素系溶剤を用いて洗浄後、(b)四塩化チタンをさらに添加して、高温状態で接触反応させる工程
このように(b)四塩化チタンを複数回接触させて得られた固体触媒成分であれば、(a)マグネシウム化合物に対して、(b)四塩化チタンを十分かつ強固に担持させることができる。したがって、重合活性がより高く、少量の水素添加によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を効果的に得ることができる。
【0015】
また、本発明の別の態様は、下記(A)〜(C)成分を接触させてなるバルク重合用触媒を用いて、水素存在下にα−オレフィン化合物をバルク重合するバルク重合方法である。
(A)(a)マグネシウム化合物と、
(b)四塩化チタンと、
(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)と、
からなる固体触媒成分
(B)有機アルミニウム化合物
(C)下記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物
(R1)(R2CH2)Si(OR3)(OR4) (1)
[式中、R1は、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、R2は、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、R3およびR4は、それぞれ独立であって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。]
【0016】
また、本発明のバルク重合方法を実施するにあたり、水素分圧を0.01〜5MPa(ゲージ)の範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜3MPa(ゲージ)の範囲内の値とすることがより好ましい。
このようにバルク重合方法を実施することにより、得られるオレフィン重合体の流動性や、立体規則性のバランスを容易に採ることができる。また、このような範囲内の値であれば、適当な重合活性が得られ、しかも容器の耐圧設計も比較的容易となる。
【0017】
また、本発明のバルク重合方法を実施するにあたり、α−オレフィン化合物が、プロピレンであることが好ましい。
【0018】
また、本発明の別の態様は、下記(A)〜(C)成分を含むバルク重合用触媒を用いて、水素存在下にα−オレフィン化合物をバルク重合して得られるオレフィン重合体である。
(A)(a)マグネシウム化合物と、
(b)四塩化チタンと、
(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)と、
からなる固体触媒成分
(B)有機アルミニウム化合物
(C)下記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物
(R1)(R2CH2)Si(OR3)(OR4) (1)
[式中、R1は、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、R2は、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、R3およびR4は、それぞれ独立であって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。]
【0019】
また、本発明のオレフィン重合体を構成するにあたり、JIS−K7210に準拠し、230℃、2.16kgf/cm2(21.2N/cm2)の条件で測定されるオレフィン重合体のメルトフローレートを0.01〜500g/10分の範囲内の値とすることが好ましい。
このようなメルトフローレートを有するオレフィン重合体であれば、流動性や、立体規則性のバランスを容易に採ることができる。
【0020】
また、本発明のオレフィン重合体を構成するにあたり、オレフィン重合体のメルトフローレートの絶対値をMIとし、バルク重合時の水素分圧(MPa)をPHとし、バルク重合時の全圧(MPa)をPTとしたときに、以下の関係式(2)を満足することが好ましい。
MI≧1.0exp(10.5×PH/PT) (2)
このような関係式(2)を満足することにより、重合活性がより高く、少量の水素添加によって優れた溶融流動性や立体規則性を有するオレフィン重合体を与えるバルク重合用触媒を効果的に得ることができる。
【0021】
また、本発明のオレフィン重合体を構成するにあたり、ソックスレー抽出装置を用いて、沸騰ヘプタン溶媒使用、抽出時間5時間の条件で測定されるオレフィン重合体のヘプタン不溶分量を90重量%以上の値とすることが好ましい。
このようなヘプタン不溶分量の値を有することにより、優れた立体規則性を有するオレフィン重合体を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のオレフィン重合触媒に関する第1の実施形態、オレフィン重合体の製造方法に関する第2の実施形態、及びオレフィン重合体に関する第3の実施形態について、それぞれ具体的に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、α−オレフィン化合物を水素存在下にバルク重合するための触媒であって、下記(A)〜(C)成分を接触させてなるバルク重合用触媒である。
(A)(a)マグネシウム化合物と、
(b)四塩化チタンと、
(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)と、
必要に応じて(d)四塩化ケイ素化合物と、
からなる固体触媒成分
(B)有機アルミニウム化合物
(C)下記一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物
(R1)(R2CH2)Si(OR3)(OR4) (1)
[式中、R1は、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基、R2は、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、R3およびR4は、それぞれ独立であって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。]
【0024】
1.(A)成分
(A)成分の固体触媒成分は、以下に示すような(a)成分のマグネシウム化合物と、(b)成分の四塩化チタンと、(c)成分のフタル酸ジアルキルと、必要に応じて(d)四塩化ケイ素化合物と、を接触させて得られる接触物である。
【0025】
(1)(a)成分
▲1▼種類
(a)成分のマグネシウム化合物の種類としては、特に制限されるものではないが、下記一般式(3)で表されるマグネシウム化合物であることがより好ましい。
MgR5R6 (3)
[一般式(3)中、R5およびR6は、相互に独立であり、炭化水素基、OR7で表される基(R7は、炭化水素基)、またはハロゲン原子を表す。]
【0026】
ここで、R5、R6及びR7で表される炭化水素基としては、相互に独立であり、炭素数1〜12個のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。また、R5およびR6のハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素を挙げることができる。
したがって、一般式(3)で表されるマグネシウム化合物の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジシクロへキシルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム等のアルキルマグネシウムやアリールマグネシウム;
ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、ジヘキシロキシマグネシウム、ジオクトキシマグネシウム、ジフェノキシマグネシウム、ジシクロヘキシロキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウムやアリーロキシマグネシウム;
エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソブチルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムイオダイド等のアルキルマグネシウムハライドやアリールマグネシウムハライド;
ブトキシマグネシウムクロリド、シクロヘキシロキシマグネシウムクロリド、フェノキシマグネシウムクロリド、エトキシマグネシウムブロミド、ブトキシマグネシウムブロミド、エトキシマグネシウムイオダイド等のアルコキシマグネシウムハライドやアリロキシマグネシウムハライド;
塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム等の一種単独またはニ種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0027】
また、これらのマグネシウム化合物のうち、塩化マグネシウム、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウムであることがより好ましい。これらのマグネシウム化合物であれば、粒径の制御が容易であるばかりか、より立体規則性に優れたオレフィン重合体を重合することができるためである。
【0028】
また、かかるマグネシウム化合物には、ヨウ素などのハロゲン原子、ケイ素、アルミニウム等の他の元素を含有することもできるし、アルコール、エーテル、エステル類等の電子供与体を含有することも好ましい。
さらに、かかるマグネシウム化合物は、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等の担体に担持されていることも好ましい。
【0029】
▲2▼調製方法
また、上述したマグネシウム化合物は、金属マグネシウム、またはマグネシウム含有化合物から調製することができる。
一例としては、金属マグネシウムに対して、ハロゲン化合物またはアルコール化合物を接触させる方法が挙げられる。
ここで、接触させるハロゲン化合物としては、ヨウ素、塩素、臭素、フッ素が挙げられが、ヨウ素であることがより好ましい。
また、同様に接触させるアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール等が挙げられる。
【0030】
また、他の一例として、Mg(OR8)2で表されるマグネシウムアルコキシ化合物(式中、R8は炭素数1〜20個の炭化水素基を表わす。)にハロゲン化物を接触させる方法が挙げられる。
このように接触させるハロゲン化物としては、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四塩化スズ、四臭化スズ、塩化水素等が挙げられるが、四塩化ケイ素がより好ましい。
【0031】
(2)(b)成分
▲1▼種類
(b)成分は、四塩化チタンであり、特に種類に制限は無く、またその純度等についても制限されるものではない。
【0032】
▲2▼使用量
また、(b)成分の使用量を、(a)成分のマグネシウム化合物におけるマグネシウム原子1モルに対して、通常、0.5〜100モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる(b)成分の使用量が、これらの範囲外の値となると、触媒の重合活性が低下したり、得られるオレフィン重合体の立体規則性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる(b)成分の使用量を、1〜50モルの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜30モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0033】
(3)(c)成分
▲1▼種類
(c)成分は、フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)であり、電子供与性化合物として用いている。
ここで、フタル酸ジアルキルにおけるアルキル基としては、炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基が挙げられる。
具体的なアルキル基としては、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、等が挙げられる。
したがって、フタル酸ジアルキルとして、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチルなどを好ましく挙げることができる。また、これらの化合物はそれぞれ一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
▲2▼使用量
また、(c)成分の使用量を、(a)成分のマグネシウム化合物におけるマグネシウム原子1モルに対して、通常、0.01〜10モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる(c)成分の使用量が、これらの範囲外の値となると、触媒の重合活性が低下したり、得られるオレフィン重合体の立体規則性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる(c)成分の使用量を、0.05〜5モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜3モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
(4)(d)成分
▲1▼機能
(d)成分の四塩化ケイ素(SiCl4)は、塩素化補助剤または電子供与性化合物前駆体として機能する。したがって、固体触媒成分中に四塩化ケイ素を添加することにより、触媒の重合活性を著しく向上させることができる。
【0036】
▲2▼使用量
また、(d)成分の四塩化ケイ素の使用量を、(a)成分のマグネシウム化合物におけるマグネシウム原子1モルに対して、通常、0.01〜10モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる(d)成分の使用量が、これらの範囲外の値となると、触媒の重合活性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる(d)成分の使用量を、0.05〜5モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜3モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0037】
(5)接触方法
▲1▼接触順1
また、(A)成分が、以下の工程(i)〜(iii)を順次に実施して得られる固体触媒成分であることが好ましい。
(i)(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物とを接触させる工程
(ii)(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)を接触させる工程
(iii)(b)四塩化チタンを高温状態で接触させる工程
【0038】
▲2▼接触順2
また、(A)成分が、以下の工程(i)〜(iV)を順次に実施して得られる固体触媒成分であることが好ましい。
(i)(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物とを接触させる工程
(ii)(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)を接触させる工程
(iii)(b)四塩化チタンを高温状態で接触させる工程
(iV)洗浄工程後、(b)四塩化チタンをさらに添加して、高温状態で接触させる工程
なお、洗浄工程においては、洗浄剤として、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素、あるいはいずれか一方の炭化水素系溶媒を使用することが好ましい。
【0039】
▲3▼接触条件(i)
また、(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物との接触温度については、通常、−20〜100℃の範囲内の値にすることが好ましい。
この理由は、かかる接触温度が−20℃未満となると、(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物との接触が不十分となる場合があるためであり、一方、かかる接触温度が100℃を超えると、(d)四塩化ケイ素化合物の沸点より高い温度となるため、接触操作が困難となる場合があるためである。
したがって、(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物との接触温度を、20〜90℃の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜70℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0040】
また、(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物との接触時間を、通常、1分〜24時間の範囲内の値することが好ましい。
この理由は、かかる接触時間が1分未満となると、(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物との接触が不十分となる場合があるためであり、一方、かかる接触時間が24時間を超えても、製造時間が過度に長くなるばかりで、接触としては飽和している場合があるためである。
したがって、かかる(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素化合物との接触時間を、5分〜12時間の範囲内の値とすることがより好ましく、10分〜6時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
▲4▼接触条件(ii)
また、(a)マグネシウム化合物および(d)四塩化ケイ素化合物と、(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)との接触温度を、通常、50〜200℃の範囲内の値にすることが好ましい。
この理由は、かかる接触温度が50℃未満となると、接触が不十分となり、重合時の触媒活性が低下する場合があるためであり、一方、かかる接触温度が200℃を超えると、接触の制御が困難となり、重合時の触媒活性がばらつく場合があるためである。
したがって、かかる接触温度を、70〜150℃の範囲内の値にすることがより好ましく、80〜120℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0042】
また、(a)マグネシウム化合物および(d)四塩化ケイ素化合物と、(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)との接触時間を、通常、1分〜24時間の範囲内の値することが好ましい。
この理由は、かかる(c)フタル酸ジアルキルとの接触時間が1分未満となると、接触が不十分となり、重合時の触媒活性が低下する場合があるためであり、一方、かかる接触時間が24時間を超えても、製造時間が過度に長くなるばかりで、接触としては飽和している場合があるためである。
したがって、かかる(c)フタル酸ジアルキルとの接触時間を、5分〜12時間の範囲内の値とすることがより好ましく、10分〜6時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0043】
▲5▼接触条件(iii)
また、(a)マグネシウム化合物、(d)四塩化ケイ素化合物、および(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)の接触物と、(b)四塩化チタンとの接触温度を、通常、50〜200℃の範囲内の値にすることが好ましい。
この理由は、かかる(b)四塩化チタンの接触温度が50℃未満となると、接触が不十分となり、重合時の触媒活性が低下する場合があるためであり、一方、かかる接触温度が200℃を超えると、接触の制御が困難となり、重合時の触媒活性がばらつく場合があるためである。
したがって、かかる(b)四塩化チタンの接触温度を、70〜150℃の範囲内の値にすることがより好ましく、80〜120℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0044】
また、(a)マグネシウム化合物、(d)四塩化ケイ素化合物、および(c)フタル酸ジアルキルからなる接触物と、(b)四塩化チタンとの接触時間を、通常、1分〜24時間の範囲内の値することが好ましい。
この理由は、かかる(b)四塩化チタンとの接触時間が1分未満となると、接触が不十分となり、重合時の触媒活性が低下する場合があるためであり、一方、かかる接触時間が24時間を超えても、製造時間が過度に長くなるばかりで、接触としては飽和している場合があるためである。
したがって、かかる(b)四塩化チタンとの接触時間を、5分〜12時間の範囲内の値とすることがより好ましく、10分〜6時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0045】
▲6▼その他
また、各成分を炭化水素系溶媒などの不活性溶媒の存在下で接触させてもよいし、また、予め炭化水素系溶媒などの不活性溶媒で各成分を希釈した後接触することも好ましい。
このような不活性溶媒としては、例えば、n−ペンタン,イソペンタン,n−ヘキサン,n−ヘプタン,n−オクタン,イソオクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素またはこれらの混合物を挙げることができる。
また、接触により得られる固体触媒成分は、上述した不活性溶媒で洗浄することも好ましい。
さらに、得られた固体触媒成分は、乾燥状態で保存することもできるし、また炭化水素系溶媒などの不活性溶媒中で保存するもできる。
【0046】
(6)担体
また、(A)成分の固体触媒成分は、担体に担持したものであることも好ましい。
具体的には、周期律表II〜IV族に属する元素の酸化物、例えば酸化ケイ素、酸化マグネシウムなどの酸化物、あるいは、周期律表II〜IV族に属する元素の酸化物が少なくとも1種含まれる複合酸化物、例えばシリカアルミナなどの固形物を担体として、使用することが好ましい。
そして、担体に担持された固体触媒成分を調製するには、担体と、上述した(a)〜(d)成分を、溶媒中で、0〜200℃温度にて、2分〜24時間の条件で接触させることが好ましい。
【0047】
2.(B)成分
(1)種類
(B)成分の有機アルミニウム化合物の種類としては特に制限はなく、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基等を含有するアルミニウム化合物や、アルミノキサンおよびそれらの混合物を好ましく用いることができる。
具体的には、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド,ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド,ジイソブチルアルミニウムモノクロリド,ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド;エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン等を挙げることができる。
これらの有機アルミニウム化合物の中では、炭素数1〜5個の低級アルキル基を有するトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリプロピルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
また、これらの有機アルミニウム化合物は、それぞれ一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
(2)使用量
また、(B)成分の有機アルミニウム化合物の使用量を、Al/(A)成分に含まれるTiの原子比で表した場合において、通常、1〜10,000モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる(B)成分の使用量(Al/Ti)が、1モル未満となると、触媒の重合性能を発現することが困難となる場合があるためであり、一方、かかる(B)成分の使用量が、10,000モルを超えると、触媒の重合活性が逆に低下する場合があるためである。
したがって、かかる(B)成分の使用量(Al/Ti)を、10〜5,000モルの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜1,000モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0049】
3.(C)成分
(1)種類
(C)成分は、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物であり、外部添加の電子供与性化合物として機能する。
ここで、一般式(1)中のR1としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等の炭素数3〜12脂環式炭化水素が挙げられ、より好ましくは、シクロヘキシル基やシクロペンチル基である。
また、一般式(1)中のR2としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基等の炭素数3〜20の分岐状炭化水素基が挙げられ、特にイソプロピル基が好ましい。
また、一般式(1)中のR3およびR4としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらの中では特に炭素数1〜10個のアルキル基が好ましい。
【0050】
また、一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物の具体例としては、シクロプロピルイソブチルジメトキシシラン、シクロプロピルイソペンチルジメトキシシラン、シクロプロピル−2−メチルブチルジメトキシシラン、シクロプロピルネオペンチルジメトキシシラン、シクロプロピル−2−メチルへキシルジメトキシシラン、
シクロブチルイソブチルジメトキシシラン、シクロブチルイソペンチルジメトキシシラン、シクロブチル−2−メチルブチルジメトキシシラン、シクロブチルネオペンチルジメトキシシラン、シクロブチル−2−メチルへキシルジメトキシシラン、
シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソペンチルジメトキシシラン、シクロペンチル−2−メチルブチルジメトキシシラン、シクロペンチルネオペンチルジメトキシシラン、シクロペンチル−2−メチルへキシルジメトキシシラン、
シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−2−メチルブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルネオペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−2−メチルへキシルジメトキシシラン、
シクロへプチルイソブチルジメトキシシラン、シクロへプチルイソペンチルジメトキシシラン、シクロへプチル−2−メチルブチルジメトキシシラン、シクロへプチルネオペンチルジメトキシシラン、シクロへプチル−2−メチルへキシルジメトキシシラン、
シクロオクチルイソブチルジメトキシシラン、シクロオクチルイソペンチルジメトキシシラン、シクロオクチル−2−メチルブチルジメトキシシラン、シクロオクチルネオペンチルジメトキシシラン、シクロオクチル−2−メチルへキシルジメトキシシラン、
1−ノルボルニルイソブチルジメトキシシラン、1−ノルボルニルイソペンチルジメトキシシラン、1−ノルボルニル−2−メチルブチルジメトキシシラン、1−ノルボルニルネオペンチルジメトキシシラン、1−ノルボルニル−2−メチルへキシルジメトキシシラン、
2−ノルボルニルイソブチルジメトキシシラン、2−ノルボルニルイソペンチルジメトキシシラン、2−ノルボルニル−2−メチルブチルジメトキシシラン、2−ノルボルニルネオペンチルジメトキシシラン、2−ノルボルニル−2−メチルへキシルジメトキシシラン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0051】
また、一般式(1)で表わされる有機ケイ素化合物の他の具体例としては、シクロプロピルイソブチルジエトキシシラン、シクロプロピルイソペンチルジエトキシシラン、シクロプロピル−2−メチルブチルジエトキシシラン、シクロプロピルネオペンチルジエトキシシラン、シクロプロピル−2−メチルへキシルジエトキシシラン、
シクロブチルイソブチルジエトキシシラン、シクロブチルイソペンチルジエトキシシラン、シクロブチル−2−メチルブチルジエトキシシラン、シクロブチルネオペンチルジエトキシシラン、シクロブチル−2−メチルへキシルジエトキシシラン、
シクロペンチルイソブチルジエトキシシラン、シクロペンチルイソペンチルジエトキシシラン、シクロペンチル−2−メチルブチルジエトキシシラン、シクロペンチルネオペンチルジエトキシシラン、シクロペンチル−2−メチルへキシルジエトキシシラン、
シクロヘキシルイソブチルジエトキシシラン、シクロヘキシルイソペンチルジエトキシシラン、シクロヘキシル−2−メチルブチルジエトキシシラン、シクロヘキシルネオペンチルジエトキシシラン、シクロヘキシル−2−メチルへキシルジエトキシシラン、
シクロへプチルイソブチルジエトキシシラン、シクロへプチルイソペンチルジエトキシシラン、シクロへプチル−2−メチルブチルジエトキシシラン、シクロへプチルネオペンチルジエトキシシラン、シクロへプチル−2−メチルへキシルジエトキシシラン、
シクロオクチルイソブチルジエトキシシラン、シクロオクチルイソペンチルジエトキシシラン、シクロオクチル−2−メチルブチルジエトキシシラン、シクロオクチルネオペンチルジエトキシシラン、シクロオクチル−2−メチルへキシルジエトキシシラン、
1−ノルボルニルイソブチルジエトキシシラン、1−ノルボルニルイソペンチルジエトキシシラン、1−ノルボルニル−2−メチルブチルジエトキシシラン、1−ノルボルニルネオペンチルジエトキシシラン、1−ノルボルニル−2−メチルへキシルジエトキシシラン、
2−ノルボルニルイソブチルジエトキシシラン、2−ノルボルニルイソペンチルジエトキシシラン、2−ノルボルニル−2−メチルブチルジエトキシシラン、2−ノルボルニルネオペンチルジエトキシシラン、2−ノルボルニル−2−メチルへキシルジエトキシシラン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0052】
また、これらの有機ケイ素化合物のうち、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジエトキシシラン、シクロペンチルイソブチルメトキシエトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジエトキシシランおよびシクロヘキシルイソブチルメトキシエトキシシランからなる群から選択される少なくとも一つの有機ケイ素化合物であることが好ましい。
【0053】
(2)合成法
(C)成分の有機ケイ素化合物は、任意の方法によって合成することができる。代表的な合成経路は、下記のとおりである。
R2CH2Si(OR3)2(OR4)+R1MgBr→
R1(R2CH2)Si(OR3)(OR4)+MgBr(OR3)
この合成経路において、原料化合物R2CH2Si(OR3)2(OR4)は有機ケイ素化合物から公知のアルキル化、アルコキシ化反応等により得ることができる。そして、原料化合物R2CH2Si(OR3)2(OR4)に対して、公知のグリニャール試薬(R1CH2MgBr)を適用して、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を得ることができる。
【0054】
(3)使用量
また、(C)成分の有機ケイ素化合物の使用量を、(B)成分の有機アルミニウム化合物1モルに対して、通常、0.005〜2モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる(C)成分の使用量が、0.005モル未満となると、触媒活性が低下したり、立体規則性が低下する場合があるためであり、一方、かかる(C)成分の使用量が、2モルを超えると、逆に触媒活性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる(C)成分の使用量を、0.007〜1.5モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜1モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0055】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、バルク重合用触媒および水素ガスの存在下、原料モノマーとして、α−オレフィン化合物をバルク重合する製造方法である。
【0056】
1.バルク重合用触媒の使用量
バルク重合用触媒の使用量については、特に制限はないが、(A)成分の固体触媒成分に含まれるチタン原子(Ti)に換算して、Ti濃度が、反応容積1リットル当たり、通常0.0001〜1ミリモルの範囲内の値になるような使用量が用いられる。
この理由は、かかるバルク重合用触媒の使用量(Ti濃度)が0.0001ミリモル未満となると、α−オレフィン化合物の重合速度が低下したり、分子量の調整が困難となる場合があるためであり、一方、かかるバルク重合用触媒の使用量が1ミリモルを超えると、重合反応を制御することが困難となったり、分子量の調整についても同様に困難となる場合があるためである。
したがって、バルク重合用触媒の使用量を、Ti濃度において、反応容積1リットル当たり、0.001〜0.5ミリモルの範囲内の値になるような使用量とすることがより好ましく、0.005〜0.3ミリモルの範囲内の値になるような使用量とすることがさらに好ましい。
【0057】
2.α−オレフィン化合物
(1)種類
α−オレフィン化合物の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、一般式(4)で表されるα−オレフィン化合物が好ましい。
R9−CH=CH2 (4)
[一般式(4)中、R9は、水素原子または炭化水素基である。]
【0058】
また、R9が炭化水素基の場合、飽和であってもよく、または不飽和基を含むものであってもよい。さらに、R9が炭化水素基の場合、直鎖状であってもよく、または分枝鎖を有するもの、あるいは環状であってもよい。
また、α−オレフィン化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられるが、特にプロピレンが好適である。
【0059】
3.予備重合
α−オレフィン化合物を、本重合前に予備重合することも好ましい。すなわち、上述した(A)、(B)、および(C)成分の存在下、α−オレフィン化合物を通常−10〜100℃の範囲の温度において、常圧〜5MPa(ゲージ)の圧力で予備重合させることが好ましい。
また、予備重合の重合時間を1分〜10時間の範囲内の値、好ましくは10分〜5時間の範囲内の値とすることである。
なお、予備重合を実施する場合、α−オレフィン化合物の重合量を、固体触媒成分量に対して、通常、0.1〜1,000重量%の範囲内の値とすることが好ましく、1.0〜500重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0060】
4.重合条件
(1)重合形式
重合形式については、α−オレフィン化合物を冷却して液体状とし、液体状のままα−オレフィン化合物を直接重合するバルク重合を採用する。
ただし、バルク重合であれば、重合方式としては回分式重合や連続重合のいずれでもよく、さらには、異なる条件での2段階重合や多段重合も適用可能である。
また、重合形式としては、α−オレフィン化合物、例えばプロピレンの単独重合でもよいし、あるいは、複数のα−オレフィン化合物の共重合であってもよい。
なお、α−オレフィン化合物を共重合する場合には、α−オレフィン化合物以外のモノマー、例えば、ブタジエンなどのジエン類等を混合使用することも好ましい。
【0061】
(2)重合条件
α−オレフィン化合物のバルク重合条件として、その重合温度を、通常、0〜200℃の範囲内の値とすることが好ましく、30〜100℃の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、重合時間は原料モノマーのα−オレフィン化合物の種類や重合温度によって適宜変更されるが、通常、5分〜20時間の範囲内の値とすることが好ましく、10分〜10時間の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0062】
(3)連鎖移動剤
また、α−オレフィン化合物を重合するにあたり、連鎖移動剤の添加、好ましくは水素の添加を行うことにより、得られるオレフィン重合体の分子量を調節することが好ましい。
ここで、連鎖移動剤として、水素を導入しながらα−オレフィン化合物をバルク重合するとともに、当該水素分圧を0.01〜5MPaの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水素分圧が0.01MPa未満となると、α−オレフィン化合物の分子量制御が困難となる場合があるためであり、一方、かかる水素分圧が5MPaを超えると、分子量が低下しすぎて、得られるオレフィン重合体の取り扱いが困難となる場合があるためである。
したがって、バルク重合をする際の水素分圧を0.1〜3MPaの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜1MPaの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0063】
(4)後処理
重合後の後処理は常法により行うことが好ましい。例えば、バルク重合法において使用した触媒を完全に失活させるために、少量の水や、アルコールなどを添加することが好ましい。このように後処理することにより、さらに重合が進むことを防止することができ、分子量の調整が容易となる。
また、重合体中に含まれる原料モノマー(α−オレフィン化合物)を除去することを目的として、重合後に回収されるポリマー粉体を、窒素気流中を通過させることが好ましい。
また、重合後の後処理の一つとして、回収されるポリマー粉体を、押出機によりペレット化することも好ましい。
【0064】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、バルク重合用触媒および水素ガスの存在下、原料モノマーとしてのα−オレフィン化合物をバルク重合して得られるオレフィン重合体である。
【0065】
(1)メルトフローレート(MFR)
オレフィン重合体のメルトフローレート(MFR、JIS−K7210に準拠、230℃、2.16kgf/cm2(21.2N/cm2)条件)を、0.01〜500g/10分の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるオレフィン重合体のメルトフローレートが、0.01g/10分未満の値となると、成形性が著しく低下する場合があるためであり、一方、500g/10分を超えた値となると、オレフィン重合体の品質が著しく低下したり、低分子量成分が過度に多くなる場合があるためである。
したがって、かかるオレフィン重合体のメルトフローレートを、0.1〜300g/10分の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜100g/10分の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0066】
(2)固有粘度[η]の測定
また、オレフィン重合体の固有粘度[η]を、0.2〜6dl/gの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるオレフィン重合体の固有粘度[η]が、0.2dl/g未満の値となると、オレフィン重合体の品質が著しく低下したり、低分子量成分が過度に多くなる場合があるためである。一方、かかるオレフィン重合体の固有粘度[η]が、6dl/gを超えた値となると、成形性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、かかるオレフィン重合体の固有粘度[η]を、0.5〜5dl/gの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、かかる固有粘度[η]は、テトラリン溶媒中、135℃の条件にて、自動粘度計を用いて測定することができる。
【0067】
(3)ヘプタン不溶分量
また、オレフィン重合体のヘプタン不溶分量を、90%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるオレフィン重合体のヘプタン不溶分量が、90%未満の値となると、立体規則性が乏しくなり、耐熱性や機械的特性が低下する場合があるためである。
したがって、かかるオレフィン重合体のヘプタン不溶分量を、93%以上の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、かかるヘプタン不溶分量は、後述する実施例1に記載の測定方法に準じて測定することができる。
【0068】
(4)メルトフローレートと、水素分圧との関係
また、オレフィン重合体を構成するにあたり、オレフィン重合体のメルトフローレートの絶対値をMIとし、バルク重合時の水素分圧(MPa)をPHとし、バルク重合時の全圧(MPa)をPTとしたときに、以下の関係式(2)を満足することが好ましい。
MI≧1.0exp(10.5×PH/PT) (2)
このような関係式(2)を満足することにより、重合活性がより高く、少量の水素添加によって、成形性に優れるとともに、溶融流動性や立体規則性のバランスに優れたオレフィン重合体を与えることができる。
【0069】
この点、図1を参照してより具体的に説明する。図1は、横軸に水素分圧比(水素分圧/全圧)を採って示してあり、縦軸に、その水素分圧比において得られたオレフィン重合体(実施例および比較例)のMFRの値を採って示してある。
図1から理解されるように、実施例では、水素分圧比が高い程、MFRの値が大きくなる傾向が見られ、例えば、水素分圧比が0.2付近になると、MFRが10g/分を超え、かかる水素分圧比が0.25程度になると、MFRの値が20g/分を超えた値となっている。
それに対して、比較例においても、水素分圧比が高い程、MFRの値が大きくなる傾向が見られるものの、例えば、水素分圧比が0.2程度になったとしても、MFRの値が5g/分以下であり、またかかる水素分圧比が0.25程度になったとしても、MFRの値が10g/分以下である。
【0070】
すなわち、実施例によれば、比較例と比較して、水素分圧比をわずかな範囲で変更することにより、流動性の低いオレフィン重合体から、流動性の高いオレフィン重合体まで、容易に得ることが可能である。また、別の見方をすれば、実施例によれば、バルク重合時の水素分圧が、比較例より低くとも、溶融流動性が優れたオレフィン重合体が得られるのである。
例えば、MIが10g/分のオレフィン重合体を得たい場合、従来のバルク重合用触媒では、0.25MPa(ゲージ)の水素分圧が必要とされるのに対し、本発明のバルク重合用触媒では、0.18MPa(ゲージ)の水素分圧で十分である。すなわち、本発明のバルク重合用触媒を用いることにより、必要水素分圧を約30%も低下させることができる。
したがって、必要水素分圧が低下することから、オレフィン重合体の立体規則性がより優れたものとなり、さらには、α−オレフィン化合物濃度について高められることより、重合活性をより高めることができる。
【0071】
一方、図1中、関係式(2)を満足するオレフィン重合体をラインB(パラメータ)として示してある。図1から、このような関係式(2)を満足するオレフィン重合体は、実施例を含むとともに、実施例と同様に、バルク重合時の水素分圧が低くとも、溶融流動性が比較的優れていることが理解される。
したがって、本発明のバルク重合用触媒を用いれば、関係式(2)を満足するオレフィン重合体が容易に得られ、所望の溶融流動性を有するオレフィン重合体を得たい場合に、従来のバルク重合用触媒を用いた場合と比較して、少量の水素添加で済むことになる。
【0072】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、言うまでも無く、本発明は、以下の実施例の記載により何ら制限されるものではない。
【0073】
[実施例1]
(1)固体触媒成分の調製
▲1▼(a)成分と(d)成分との接触工程
窒素置換した内容積0.5リットルの攪拌機付三つロフラスコ内に、(a)成分として、16gのジエトシマグネシウムと、脱水処理した80ミリリットルのオクタンとを収容した。
次いで、三つロフラスコ内の温度を40℃に加熱した後、(d)成分として、2.4ミリリットルの四塩化ケイ素を加え、その状態で、20分間攪拌した。
【0074】
▲2▼(c)成分の接触工程
次いで、三つロフラスコ内に、(c)成分として、ジブチルフタレートを3.4ミリリットル添加した。
【0075】
▲3▼(b)成分の接触工程1
その後、三つロフラスコ内の温度を80℃まで昇温するとともに、引き続き、(b)成分として、77ミリリットルの四塩化チタンを、摘下ロートを用いて添加した。
【0076】
▲4▼(b)成分の接触工程2
次いで、三つロフラスコ内の温度を125℃まで昇温させ、2時間接触を行った。その後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを除去した。
次いで、三つロフラスコ内に、100ミリリットルの脱水オクタンを加え、攪拌しながら125℃まで再び昇温させた。その温度に1分間保持した後、攪拌を停止して固体を沈降させて、上澄みを再び除去した。このような脱水オクタンの添加および上澄み除去による洗浄操作を7回繰り返した。
次いで、三つロフラスコ内に、(b)成分として、四塩化チタンを122ミリリットル加え、内温を125℃まで昇温させ、2時間接触を行った。
その後、125℃の脱水オクタンの添加および上澄み除去による洗浄操作を6回繰り返して、(A)成分の固体触媒成分を得た。
【0077】
(2)重合方法
内容積1リットルの攪拌装置付きステンレス製オートクーブを真空乾燥し、氷冷した後、400mlのプロピレンモノマーを液レベルでモニタしながら導入した。このオートクーブ内に、水素ガスを1MPaとなるように収容し、80℃まで昇温した。
次いで、窒素ガスで置換された60ミリリットルの触媒投入管から、
ヘプタン20ミリリットルと、
(B)成分のトリエチルアルミニウム2ミリモルと、
(C)成分のシクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン0.05ミリモルと、(1)で調整した(A)成分の固体触媒成分(Ti原子当たり0.001ミリモル)とを、オートクーブ内に投入して、プロピレンモノマーを80℃、60分間の条件でバルク重合した。
バルク重合後、オートクレーブ内の圧力を外気圧まで降圧した後、開放し、生成したポリプロピレンパウダーを回収した。
【0078】
得られたポリプロピレンパウダーに、中和剤として、1,000ppmのステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)および1,500ppmのDHT−4A(協和化学(株)製)を添加し、酸化防止剤として750ppmのP−EPQ(クラリアント(株)製)および、1,500ppmのイルガノックス1010(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)を添加し、結晶核剤として、2,000ppmのPTBBA−Al(大日本インキ化学工業(株)製、商品名)を添加した。
次いで、これらの添加成分を均一に混合した後、20mm単軸混練押出機を用いて、溶融混練造粒し、ポリプロピレンペレットを成形した。
【0079】
(3)ポリプロピレンの評価
得られたポリプロピレンペレットについて、以下の物性測定等を行った。得られた結果を表1に示す。
【0080】
▲1▼メルトフローレート(MFR)の測定
JIS−K7210に準拠し、230℃、2.16kgf/cm2(21.2N/cm2)の条件にて、得られたポリプロピレンペレットのメルトフローレートを測定した。
【0081】
▲2▼固有粘度[η]の測定
(株)離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、テトラリン溶媒中、135℃の条件にて、得られたポリプロピレンペレットの固有粘度を測定した。
【0082】
▲3▼ヘプタン不溶分量の測定
ソックスレー抽出装置を用いて、沸騰ヘプタン溶媒、5時間の条件で、得られたポリプロピレンペレットについての抽出処理を行った。得られた抽出残部を80℃、4時間の条件で、さらに減圧乾燥した時の残重量を測定し、この残重量と、抽出前重量とから、ポリプロピレンペレットにおけるヘプタン不溶分量を算出した。
【0083】
[実施例2〜4]
実施例2では、プロピレン重合時の水素分圧を0.25MPa(ゲージ)とし、実施例3では、プロピレン重合時の水素分圧を0.5MPa(ゲージ)とし、実施例4では、プロピレン重合時の水素分圧を0.75MPa(ゲージ)としたこと以外は、それぞれ実施例1と同様にポリプロピレンをバルク重合し、得られたポリプロピレンを評価した。それぞれ得られた結果を表1および一部を図1に示す。
【0084】
[比較例1〜4]
比較例1〜4では、実施例1〜4におけるプロピレン重合時のシクロヘキシルイソブチルジメトキシシランを、ジシクロペンチルジメトキシシランに変えたこと以外は、実施例1〜4と同様に水素ガス存在下に、ポリプロピレンをそれぞれバルク重合し、得られたポリプロピレンを評価した。それぞれ得られた結果を表2および一部を図1に示す。
【0085】
[比較例5および6]
比較例5および6では、水素分圧を0MPa(ゲージ)に変えたこと以外は、比較例1および実施例1と同様にポリプロピレンをバルク重合して、得られたポリプロピレンを評価した。得られた結果を表2および一部を図1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【発明の効果】
本発明のバルク重合用触媒によれば、例えば、α−オレフィン化合物のバルク重合における重合活性が800kg/g−Tiと高く、また、1MPa程度の水素分圧であっても、20g/10分以上の優れた流動性を有するとともに、90重量%以上の優れた立体規則性(ヘプタン不溶分量)を有するオレフィン重合体が容易に得られるようになった。
【0089】
また、本発明のバルク重合用触媒を用いたα−オレフィン化合物のバルク重合方法によれば、例えば、重合活性が800kg/g−Tiと高く、また、1MPa程度の水素分圧であっても、20g/10分以上の優れた流動性や、90重量%以上の優れた立体規則性(ヘプタン不溶分量)を有するオレフィン重合体を効果的に得られるようになった。
さらに、本発明のバルク重合用触媒を用いて得られたオレフィン重合体によれば、流動性や立体規則性(ヘプタン不溶分量)が優れており、射出成形において、任意の形状に容易に成形することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】バルク重合時の水素分圧と、オレフィン重合体のMFRとの関係を示す図である。
Claims (9)
- α−オレフィン化合物を水素存在下にバルク重合するための触媒であって、下記(A)〜(C)成分を接触させてなることを特徴とするバルク重合用触媒。
(A)以下の工程(i)〜(iii)を順次に実施して得られる固体触媒成分
(i)(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素とを30〜70℃で接触させる工程
(ii)(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)を接触させる工程
(iii)(b)四塩化チタンを高温状態で接触させる工程
(B)有機アルミニウム化合物
(C)シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン - 前記(A)成分が、以下の工程(i)〜(iv)を順次に実施して得られる固体触媒成分であることを特徴とする請求項1に記載のバルク重合用触媒。
(i)(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素とを30〜70℃で接触させる工程
(ii)(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)を接触させる工程
(iii)(b)四塩化チタンを高温状態で接触させる工程
(iv)炭化水素系溶剤を用いて洗浄後、(b)四塩化チタンをさらに添加して、高温状態で接触させる工程 - 前記(iii)の高温状態が70〜150℃である請求項1又は2に記載のバルク重合用触媒。
- 前記(C)成分が、以下の反応式により得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルク重合用触媒。
R2CH2Si(OR3)2(OR4)+R1MgBr→
R1(R2CH2)Si(OR3)(OR4)+MgBr(OR3)
[式中、R 1 はシクロヘキシル基、R 2 はイソプロピル基、R 3 およびR 4 はメチル基を表す。] - 触媒活性を600kg/gTi以上の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルク重合用触媒。
- 下記(1)〜(3)の工程を含むバルク重合方法。
(1)以下の工程(i)〜(iii)を順次に実施して固体触媒成分を製造する工程
(i)(a)マグネシウム化合物と、(d)四塩化ケイ素とを30〜70℃で接触させる工程
(ii)(c)フタル酸ジアルキル(アルキル基は炭素数3〜20の直鎖状炭化水素基または分岐状炭化水素基を表わす。)を接触させる工程
(iii)(b)四塩化チタンを高温状態で接触させる工程
(2)(1)で得た固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及びシクロヘキシルイソブチルジメトキシシランを接触させてバルク重合用触媒を製造する工程
(3)(2)で得たバルク重合用触媒を用いて水素存在下にα−オレフィン化合物をバルク重合する工程 - 前記(iii)の高温状態が70〜150℃である請求項6に記載のバルク重合方法。
- 前記水素分圧を0.01〜5MPaの範囲内の値とすることを特徴とする請求項6又は7に記載のバルク重合方法。
- 前記α−オレフィン化合物が、プロピレンであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のバルク重合方法。
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