JP3747158B2 - プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、第一段階重合でプロピレンの結晶性重合体を、第二段階重合でプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体を製造することによってプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する際に、高剛性かつ高衝撃強度でしかもゲル、フィッシュアイが低減し、また塊状ポリマーや付着ポリマーの生成を低減して、べたつきの無い流動性の良い状態でプロピレン系ブロック重合体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結晶性ポリプロピレンは、剛性及び耐熱性に優れた特性を有する反面、耐衝撃強度、特に低温における衝撃強度が弱いという問題があった。この点を改良する方法として、プロピレンとα−オレフィンまたはその他のオレフィンを段階的に重合させてブロック共重合体を生成させる方法が知られている(特公昭43−11230号公報等)。
【0003】
しかし、段階的に重合させるための連続重合方法においては、第一段重合槽において触媒成分の重合時間(重合槽内滞留時間)に分布を生じ、比較的短時間で第一段重合槽から排出された粒子(ショートパス粒子)が第二段重合槽に入ると、プロピレン−α−オレフィン共重合体の含量が多い粒子が生成する。このような粒子は混練によっても分散せず、ゲルやフィッシュアイの原因となり、製品外観を損ねたり、機械的強度を低下させたりする原因となる。
【0004】
また、衝撃強度を高めるためには第二段の共重合体の割合を高くすることが有効であるが、共重合体の割合が高くなるとショートパスしていない通常の粒子でも、重合槽壁面等に付着しやすく、一旦生成した付着物は除熱が不十分なため塊状ポリマーを生成し、運転の障害となることがある。また粒子のべたつきが増加し、生成したパウダーの流動性が悪化して重合槽からの抜き出しや移送等に障害となる。
【0005】
このようなショートパス粒子に起因するゲル、フィッシュアイの生成や、共重合体含量の高い粒子の付着性を低減する方法として、第二段重合段階に電子供与性化合物を添加する方法が知られている。電子供与性化合物の添加効果は以下のように推定される。電子供与性化合物は、ポリマー粒子の比較的表面近傍の重合活性点と選択的に作用し、これらの活性点を失活させるが、ショートパス粒子は粒径が小さく完全に失活しやすいため、通常粒子が完全に失活しない添加量でも選択的に失活する。また通常の粒子も表面の活性点が選択的に失活するために共重合体は粒子内部で生成し、共重合体含量が高くなっても表面の付着性増大が比較的抑制される。
【0006】
一方で、衝撃強度改良のため第二段の共重合体の割合を高くするためには、第一段階での触媒効率が高いときはそれに応じて第二段階での触媒効率を上げる必要が生じる。そのためには、第二段階での活性を維持しておく必要があり、電子供与性化合物の添加量を抑えないと、所望の触媒効率を得ることができないことになる。ところが、電子供与性化合物の添加量を少なくすると、製品のゲル、フィッシュアイが増加して性能の悪化が起きたり、粒子の付着が発生して安定運転ができない状態となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、第一段階重合でプロピレン系の結晶性重合体を、第二段階重合でプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体を製造することによってプロピレン系ブロック共重合体を連続的に製造する際に、高剛性かつ高衝撃強度でしかもゲル、フィッシュアイが低減し、また塊状ポリマーや付着ポリマーの生成を低減して、べたつきの無い流動性の良い状態でプロピレン系ブロック共重合体を製造する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、第一段階での重合温度を下げて第一段階での触媒効率を制御し、第二段階へ添加する電子供与性化合物の添加量を必要以上に少なくすることなく重合を行うことで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、マグネシウム、チタン、ハロゲン、ならびに電子供与性化合物を含む固体触媒成分(成分A)と、有機アルミニウム化合物(成分B)、および必要に応じて電子供与性化合物からなる立体規則性触媒の存在下、液体プロピレン中でプロピレンを主成分とするα−オレフィンを重合する第1段階重合工程と、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンを、第1段階重合工程で添加された立体規則性触媒の作用下に、実質的に気相中で重合する第2段階重合工程とからなるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法であって、下記の要件を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の連続製造方法を提供するものである。
(1)第1段階重合工程での重合温度が40℃以上65℃以下であること、(2)第2段階重合工程において電子供与性化合物(成分C)を添加してプロピレン・α−オレフィン共重合体の重合を実施し、かつ、成分Cの添加量を、その添加がない場合の重合活性に対して15〜85%の重合活性となる範囲とすること、(3)第2段階重合工程での重合量が、全重合量に対して25重量%を超えること。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、マグネシウム、チタン、ハロゲン、ならびに電子供与性化合物を含む固体触媒成分(成分A)と、有機アルミニウム化合物(成分B)とからなる立体規則性触媒の存在下、液体プロピレン中でプロピレンを主成分とするα−オレフィンを重合する第1段階重合工程と、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンを、第1段階重合工程で添加された立体規則性触媒の作用下に、実質的に気相中で重合する第2段階重合工程とからなるプロピレン系ブロック共重合体の製造法である。
【0011】
<触媒>
成分(A)
本発明で用いられる成分(A)は、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび電子供与性化合物を必須成分として含有してなるα−オレフィンの立体規則性重合用固体触媒成分である。ここで「必須成分として含有し」ということは、挙示の四成分以外に合目的的な他元素を含んでいてもよいこと、これらの元素はそれぞれが合目的的な任意の化合物として存在してもよいこと、ならびにこれら元素は相互に結合したものとして存在してもよいことを示すものである。
【0012】
チタン、マグネシウムおよびハロゲンを含む固体成分そのものは公知のものである。例えば、特開昭53−45688号、同54−3894号、同54−31092号、同54−39483号、同54−94591号、同54−118484号、同54−131589号、同55−75411号、同55−90510号、同55−90511号、同55−127405号、同55−147507号、同55−155003号、同56−18609号、同56−70005号、同56−72001号、同56−86905号、同56−90807号、同56−155206号、同57−3803号、同57−34103号、同57−92007号、同57−121003号、同58−5309号、同58−5310号、同58−5311号、同58−8706号、同58−27732号、同58−32604号、同58−32605号、同58−67703号、同58−117206号、同58−127708号、同58−183708号、同58−183709号、同63−108008号、同63−264607号、同63−264608号、特開平1−79203号、同1−98603号、同7−258328、同8−269125、同11−21309各公報等に記載のものが使用される。
【0013】
本発明において使用されるマグネシウム源となるマグネシウム化合物としては、金属マグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド、マグネシウムオキシハライド、ジアルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。これらの中でもマグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム等のMg(OR12−m(ここで、R1は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、mは0≦m≦2である。)で表されるマグネシウム化合物が好ましい。
【0014】
またチタン源となるチタン化合物としては、一般式Ti(OR24−n、ここで、R2は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、pは0≦n≦4である。)で表される化合物が挙げられる。具体例としては、TiCl、TiBr、TiI、Ti(OC)Cl、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(O−i−C)Cl、Ti(O−n−C)Cl、Ti(O−n−CCl、Ti(OC)Br、Ti(OC)(O−n−CCl、Ti(O−n−CCl、Ti(OC)Cl、Ti(O−i−CCl、Ti(OC11)Cl、Ti(OC13)Cl、Ti(OC、Ti(O−n−C、Ti(O−n−C、Ti(O−i−C、Ti(O−n−C13、Ti(O−n−C17、Ti(OCHCH(C)C等が挙げられる。
【0015】
また、TiX’4(ここで、X’はハロゲンである。)に後述する電子供与体を反応させた分子化合物をチタン源として用いることもできる。そのような分子化合物の具体例としては、TiCl・CHCOC、TiCl・CHCO、TiCl・CNO、TiCl・CHCOCl、TiCl・CCOCl、TiCl・CCO、TiCl・ClCOC、TiCl・CO等が挙げられる。
【0016】
また、TiCl(TiClを水素で還元したもの、アルミニウム金属で還元したもの、あるいは有機金属化合物で還元したもの等を含む)、TiBr 、Ti(OC)Cl、TiCl、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド等のチタン化合物の使用も可能である。これらのチタン化合物の中でもTiCl、Ti(OC、Ti(OC)Cl等が好ましい。
【0017】
ハロゲンは、上述のマグネシウムおよび(または)チタンのハロゲン化合物から添加されるのが普通であるが、他のハロゲン源、例えばAlCl、AlBr、AlI等のアルミニウムのハロゲン化物、BCl、BBr、BI等のホウ素のハロゲン化物、SiCl等のケイ素のハロゲン化物、PCl、PCl等のリンのハロゲン化物、WCl等のタングステンのハロゲン化物、MoCl等のモリブデンのハロゲン化物といった公知のハロゲン化剤から添加することもできる。触媒成分中に含まれるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物であってもよく、特に塩素が好ましい。
【0018】
電子供与性化合物としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸類のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類のような含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネートのような含窒素電子供与体、スルホン酸エステルのような含硫黄電子供与体などを例示することができる。
【0019】
より具体的には、
(イ)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1ないし18のアルコール類、
(ロ)フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、ナフトールなどのアルキル基を有してよい炭素数6ないし25のフェノール類、
(ハ)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどの炭素数3ないし15のケトン類、
(ニ)アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2ないし15のアルデヒド類、
(ホ)ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、酢酸セロソルブ、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロへキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、安息香酸セロソルブ、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、γ−ブチロラクトン、α−バレロラクトン、クマリン、フタリドなどの有機酸モノエステル、または、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、コハク酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、炭酸α−オレフィン、ノルボルナンジエニル−1,2−ジメチルカルボキシラート、シクロプロパン−1,2−ジカルボン酸−n−ヘキシル、1,1−シクロブタンジカルボン酸ジエチルなどの有機酸多価エステルの炭素数2ないし20の有機酸エステル類、
(ヘ)ケイ酸エチル、ケイ酸ブチルなどのケイ酸エステルのような無機酸エステル類、
(ト)アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリド、塩化フタロイル、イソ塩化フタロイルなどの炭素数2ないし15の酸ハライド類、
(チ)メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−t−ブチル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−t−ブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジエトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジエトキシプロパンなどの炭素数2ないし20のエーテル類、
(リ)酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドなどの酸アミド類、
(ヌ)メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン類、
(ル)アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどのニトリル類、
(ヲ)2−(エトキシメチル)−安息香酸エチル、2−(t−ブトキシメチル)−安息香酸エチル、3−エトキシ−2−フェニルプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−s−ブチルプロピオン酸エチル、3−エトキシ−2−t−ブチルプロピオン酸エチルなどのアルコキシエステル化合物類、
(ワ)2−ベンゾイル安息香酸エチル、2−(4’−メチルベンゾイル)安息香酸エチル、2−ベンゾイル−4,5−ジメチル安息香酸エチルなどのケトエステル化合物類、
(カ)ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸イソプロピル、p−トルエンスルホン酸−n−ブチル、p−トルエンスルホン酸−s−ブチルなどのスルホン酸エステル類、
(ヨ)R3 p4 qSi(OR5r(OR64-p-q-r(ここで、R3およびR4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい炭素数1〜20の分岐、環状または直鎖炭化水素基であり、R5は炭素数1から10の炭化水素基であり、R6は炭素数1から4の炭化水素基であり、p、q、rはそれぞれ1≦p≦2、0≦q≦1、0≦r≦2であり、かつp+q+r≦3である。)で表される有機ケイ素化合物等を挙げることができる。
【0020】
成分(A)の固体触媒成分としては、上記の固体成分をそのまま用いてもよいし、さらに別の電子供与性化合物ともに接触処理して得た固体触媒成分も使用することができる。
【0021】
これらの電子供与性化合物は、二種類以上用いることができる。これらの中で好ましいのは有機酸エステル化合物、酸ハライド化合物、有機ケイ素化合物およびエーテル化合物であり、特に好ましいのはフタル酸ジエステル化合物、酢酸セロソルブエステル化合物、フタル酸ジハライド化合物およびジエーテル化合物である。
また成分(A)は、必要に応じて重合に供する前に予め予備重合を施してもよい。
【0022】
成分(B)
本発明で用いることのできる成分(B)は有機アルミニウム化合物である。
具体例としては、R7 3-sAlXsまたはR8 3-tAl(OR9t(ここで、R7およびR8は炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子であり、R9は炭化水素基であり、Xはハロゲンであり、sおよびtはそれぞれ0≦s<3、0<t<3である。)で表されるものがある。
【0023】
具体的には、
(イ)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、
(ロ)ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジイソブチルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、
(ハ)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、
(ニ)ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド等が挙げられる。
【0024】
これら(イ)〜(ニ)の有機アルミニウム化合物に他の有機金属化合物、例えばR10 3-uAl(OR11u(ここで、R10およびR11は同一または異なってもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、uは0<u≦3である。)で表されるアルミニウムアルコキシドを併用することもできる。例えば、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドの併用、ジエチルアルミニウムモノクロライドとジエチルアルミニウムエトキシドとの併用、エチルアルミニウムジクロライドとエチルアルミニウムジエトキシドとの併用、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムエトキシドとジエチルアルミニウムモノクロライドとの併用等が挙げられる。
【0025】
成分(B)の有機アルミニウム化合物成分と成分(A)の固体触媒成分中のチタン成分との割合は、Al/Ti=1〜1000モル/モルが一般的であり、好ましくは、Al/Ti=10〜500モル/モルの割合で使用される。
【0026】
また触媒成分として成分(A)、(B)に加えて必要に応じて電子供与性化合物を用いることもできる。
【0027】
このような電子供与性化合物としては成分(A)中の必須成分として用いることのできるものが挙げられる。このような電子供与性化合物を用いる場合に、成分(A)中の化合物と同一であっても、異なっていてもよい。
【0028】
好ましい電子供与性化合物としては、エーテル類、無機酸エステル、有機酸エステル及び有機酸ハライド、有機ケイ素化合物であり、特に好ましいのは無機および有機ケイ酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブエステルおよびフタル酸ハライドである。
【0029】
好ましいケイ酸エステルとしては、一般式
12 v13 wSi(OR144-v-w
(ただし、R12は分岐を有する炭素数3〜20、好ましくは4〜10の脂肪族炭化水素残基、または炭素数5〜20、好ましくは6〜10の環状脂肪族炭化水素残基を、R13は炭素数1〜20、好ましくは1〜10の分岐または直鎖状の脂肪族炭化水素残基を、R14は炭素数1〜10、好ましくは1〜4の脂肪族炭化水素残基を、vは0≦v≦3、wは0≦w≦3でv+w≦3の数を、それぞれ示す)で表される有機ケイ素化合物である。なお、前記一般式のR12はケイ素原子に隣接する炭素原子から分岐しているものが好ましい。
【0030】
成分(C)
第二段階重合に添加する電子供与性化合物としては、通常は酸素、窒素、リンあるいは硫黄を含有する有機化合物である。
【0031】
具体的には、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、アセタール類、有機酸類、酸無水物類、酸ハライド類、エステル類、エーテル類、アミン類、アミド類、ニトリル類、ホスフィン類、ホスフィルアミド類、チオエーテル類、チオエステル類、Si−O−C結合を含有する有機ケイ素化合物等を挙げることができる。
【0032】
より具体的には下記のものを挙げることができる。
【0033】
アルコール類:メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−2−s−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−t−ブチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−t−ブチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジシクロペンチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジフェニル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソプロピル−1,3−プロパンジオールなどの炭素数1ないし20のアルコール。
【0034】
フェノール類:フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、クミルフェノール、ノニルフェノール、ナフトールなどのアルキル基を有してよい炭素数6ないし25のフェノール。
【0035】
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの炭素数1ないし20のケトン。
【0036】
アルデヒド類:アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなど炭素数2ないし15のアルデヒド。
【0037】
アセタール類:ジメチルジメトキシメタン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、1,1−ジメトキシシクロペンタンなど炭素数3ないし24のアセタール。
【0038】
有機酸類:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、カプリル酸、ピバル酸、アクリル酸、メタクリル酸、モノクロロ酢酸、安息香酸、マレイン酸、フタル酸などのカルボキシル基を二つ以上有してよい炭素数1ないし20のカルボン酸。
【0039】
酸無水物類:分子内縮合物、異種分子間縮合物を含む、前記有機酸類から誘導される酸無水物。
【0040】
酸ハライド類:前記有機酸類の水酸基を塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子で置換した酸ハライド。
【0041】
エステル類:ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、炭酸メチル、炭酸エチルなど、前記アルコール類と酸類から誘導されるエステル。
【0042】
エーテル類:ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、アニソール、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、1,1−ジメトキシエタン、o−ジメトキシベンゼン、2,2−ジメチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−t−ブチル−2−メチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−t−ブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジエトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジエトキシプロパンなどの、前記アルコールまたはフェノールから誘導されるエーテル。
【0043】
アミン類:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルエチレンジアミンなどの炭素数1ないし21のアミン。
【0044】
アミド類:酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドなどの、前記有機酸類及び前記アミン類から誘導されるアミド。
【0045】
ニトリル類:アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルなどの炭素数2ないし10のニトリル。
【0046】
ホスフィン類:トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン。
【0047】
ホスフィルアミド類:ヘキサメチルホスフィルトリアミドなどのホスフィルアミド。
【0048】
チオエーテル類:前記エーテル類の酸素原子を硫黄原子に置換したチオエーテル。
【0049】
チオエステル類:前記エステル類の酸素原子を硫黄原子に置換したチオエステル。
【0050】
Si−O−C結合を含有する有機ケイ素化合物:テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ―クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどの有機ケイ素化合物。
これらのうち好ましいのはアルコール類、ケトン類、エステル類であり、特に好ましいのはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸メチルである。
【0051】
これらの電子供与性化合物は、必要に応じて2種類以上を併用しても良い。また二つの添加位置に、それぞれ別の化合物を添加してもよい。
【0052】
重合工程
本発明の重合工程は、第一段階重合および第二段階重合の二段階よりなる。第一段階重合および第二段階重合はこの順序(第一段→第二段)で実施することが工業的に有利である。
【0053】
重合様式
本発明による共重合体の製造法は、連続式によって実施する。すなわち、第一段階重合で生成したポリマーの一部を連続的に抜き出して、これを第二段階重合に添加し、引き続き第二段階重合を実施する。
【0054】
第一段階重合は単量体のプロピレン自身を媒質として重合を行う塊状重合法で実施する。また第二段階重合は気相重合法で実施する。気相重合法の好ましい重合様式は、例えば生成ポリマー粒子をモノマー気流で流動させて流動床を形成させる方法、あるいは生成ポリマー粒子を攪拌機により反応槽において攪拌する方法などである。
【0055】
第一段階重合段階
第一段階重合は、液体プロピレン中で、プロピレン単独、あるいはプロピレンとα−オレフィンとの混合物を成分(A)、成分(B)および必要に応じて電子供与性化合物の存在下で、一つ以上の重合槽で重合させて、結晶性のプロピレン重合体を製造する工程である。α−オレフィンとしてはエチレンが一般的である。この第一段階重合では、プロピレン単独重合体またはα−オレフィン含量7重量%以下のプロピレン・α−オレフィン共重合体を、全重合量の10〜90重量%に相当する量形成させる。第一段階重合でプロピレン・α−オレフィン重合体中のα−オレフィン含量が7重量%を越えると、最終共重合体の嵩密度が低下し、低結晶性重合体の副生量が大幅に増大する。また、重合割合が上記範囲の下限未満では、やはり低結晶性重合体の副生量が増加する。
【0056】
重合温度は、40℃以上65℃以下、好ましくは50℃以上65℃以下に設定する。第一段階での重合温度を65℃より高くすると、第一段階重合における触媒効率が高くなり過ぎてしまい、第二段階重合の割合を高くするためには、第二段階重合に添加する電子供与性化合物の量を少なくしなくてはならず、結果的にゲル・フィッシュアイが増加したり、付着が発生して安定運転ができなくなったりしてしまう。また、第一段階の重合温度を下げすぎると、第一段階での触媒効率が極端に低くなったり、反応器の除熱が困難となり生産量を落とす必要が生じてくるため、好ましくない。
【0057】
第一段階重合においては、水素などの分子量調節剤を用いてMFRを制御して、最終共重合体の溶融時流動性を高めておくのが好ましい。
【0058】
第二段階重合
第二段階重合は、プロピレンとα−オレフィンとの混合物を一つ以上の重合槽で重合させて、ゴム状重合体を製造する工程である。α−オレフィンとしては、エチレンが好ましい。この第二段階重合ではプロピレン/α−オレフィンの重合比(重量比)が90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70の割合であるプロピレンのゴム状重合体を製造する。ただし、この工程での重合量は、全重合量に対して25重量%を超える。第二段階重合では、他のコモノマーを共存させてもよい。
【0059】
例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンを用いることができる。第二段階重合の重合温度は30〜110℃、好ましくは50〜90℃程度である。重合圧力は0.1〜5MPaGの範囲が通常用いられる。第一段階重合から第二段階重合に移る際に、プロピレンガスまたはプロピレン/α−オレフィン混合ガスと水素ガスをパージして次の工程に移ることが好ましい。第二段階重合で、分子量調節剤は、目的に応じて用いても用いなくても良い。
【0060】
第二段階重合への成分(C)の添加方法は、特に制限はない。通常は、第一段階の最終重合槽から第二段階の最初の重合槽への移送経路中、またその移送経路中にガスバージのための中間槽が設けられている場合にはその中間槽、第二段階重合槽本体、第二段階重合槽のガス循環ライン等に添加される。添加箇所は一ヶ所に限られることはない。添加量は、第二段重合の活性が、添加しない場合の15〜85%になるように総添加量を調節する。
【0061】
【実施例】
以下の実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものである。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。
物性の測定
a.EPR含量:三菱化学製「CFC−T−102L」昇温溶出分別装置を用いた昇温溶出分別法により、表1に示した条件で測定した。なお、EPRは、40℃以下の溶出成分とした。
【0062】
Figure 0003747158
b.かさ密度(ρB):JIS−K−6721にしたがって測定した。
c.重合体の粒度分布:三田村理研社の標準ふるいを用いて測定し、Rosin−Rammlerプロットの傾きをn項として、粒度分布の尺度とした。75μ未満の画分は、微粉として重量%で表した。
c.MFR:JIS−K−6758に準拠して測定した。
d.ポリプロピレン重合体中のTi含量:該ポリプロピレンの厚さ100μのプレス・シートを作成し、蛍光X線分析にて定量した。
【0063】
なお、以下の実施例において、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Buはn−ブチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0064】
実施例1
(1)固体触媒成分(A)の製造
加熱・冷却用のジャケット、撹拌装置、バッフルを備えた100L−オートクレーブに、Mg(OEt)2:20molを仕込み、ついでTi(OBu)4を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)4/Mg=0.45(モル比)になるように仕込み、155rpmで撹拌しながら昇温した。
【0065】
135℃で2.0時間反応させた後、125℃に降温して、MeSi(OPh)3のトルエン溶液を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、MeSi(OPh)3/Mg=0.67(モル比)になるように添加した。添加終了後、同温度で4時間反応させた。反応終了後、25℃に降温して、Ti(OBu)4とSi(OEt)4を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、Ti(OBu)4/Mg=0.15(モル比)、Si(OEt)4/Mg=0.05(モル比)になるように添加して、接触生成物(a*)のスラリ−を得た。
【0066】
次に、[Mg]=0.54mol/L・トルエンになるように、トルエンで希釈した後、165rpmで撹拌しながら、−10℃に冷却し、フタル酸ジエチルを、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、フタル酸ジエチル/Mg=0.10(モル比)になるように添加した。引き続き、TiCl4を、仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg=4.0(モル比)になるように、6.0時間かけて滴下し、均一溶液を得た。この時、液の粘度が上昇してゲル状になるという現象は、起こらなかった。
【0067】
得られた均一溶液を20℃/Hrで15℃まで昇温し、同温度で1時間保持した。ついで、再び20℃/Hrで50℃まで昇温し、50℃で1時間保持した。さらに、120℃/Hrで117℃まで昇温し、同温度で1時間処理を行った。処理終了後、加熱・撹拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/55となるように洗浄して固体スラリ−を得た。
【0068】
次に、得られた固体スラリーのトルエン量を、TiCl4濃度=1.5mol/L・トルエンとなるように調整し、25℃でTiCl4を、はじめに仕込んだMg(OEt)2中のマグネシウムに対して、TiCl4/Mg=5.0(モル比)となるように添加した。このスラリーを、165rpmで撹拌しながら昇温し、117℃で、1時間反応を行った。
【0069】
反応終了後、加熱・撹拌を停止し、上澄み液を除去した後、トルエンで、残液率=1/150となるように洗浄して(A*)のトルエン・スラリ−を得た。
【0070】
ここで得られた固体スラリーの一部を、内径660mm、直胴部770mmの三方後退翼を有する反応槽に移送し、n−ヘキサンで希釈して、(A*)の濃度として3g/Lとなるようにした。このスラリーを300rpmで撹拌しながら、25℃で、トリエチルアルミニウムを、トリエチルアルミニウム/(A*)=3.44mmol/gとなるように添加し、さらに、t−ブチルエチルジメトキシシランを、t−ブチルエチルジメトキシシラン/(A*)=1.44mmol/gとなるように添加した。添加終了後、引き続き撹拌しながら、25℃で30分間保持した。
【0071】
次いで、プロピレンガスを液相に、72分かけて定速フィードした。プロピレンガスのフィードを停止した後、沈降洗浄法にて、n−ヘキサンで洗浄を行い、残液率=1/12として固体触媒成分(A)のスラリーを得た。得られた固体触媒成分(A)は、(A*)成分1gあたり、3.1gのプロピレン重合体を含有していた。
(2)プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造
図2に示されるプロセスのように、内容積0.9m3の攪拌装置付き液相重合槽1および1.9m3の攪拌式気相重合槽8の間に、濃縮器3(液体サイクロン)と沈降液力分級器4からなる分級システム、および二重管式熱交換器5と流動フラッシュ槽6からなる脱ガスシステムを組み込んだプロセスにより、プロピレン−エチレンブロック共重合体の連続製造を実施した。
【0072】
プロピレン重合槽1には、液化プロピレンを115kg/Hrでフィードし、水素を、気相の水素組成が8.5mol%となるようにフィードした。また、トリエチルアルミニウムを30.6g/Hrで、t−ブチル−エチルジメトキシシランを1.3g/Hrでフィードした。さらに、実施例1(1)で得られた固体触媒成分を、(A*)成分として1.3g/Hrでフィードした。
【0073】
重合温度は60℃、圧力は全圧2.79MPaG、プロピレン分圧は2.55MPaGであり、重合槽内の液量が0.47m3となるように調節した。
【0074】
この重合槽1で重合したスラリーは、スラリー濃度約19重量%であり、スラリーポンプ2を用いて、濃縮器3に、約12m3/Hrの体積流量でフィードした。濃縮器3上部からは、固体粒子のほとんど存在しない上澄液を取り出し、これを液力分級器4の下部より、線速が4.1cm/secとなるようにフィードした。一方、濃縮器3下部から抜き出した高濃度のスラリーは、そのまま液力分級器4の上部にフィードし、前述の上澄液と向流接触させた。
【0075】
液力分級器4上部より抜き出されたスラリーは、微粒子が含まれているため、元のプロピレン重合槽1に循環させ、分級器4下部からは、大粒径粒子を多く含むスラリーを抜き出した。該スラリーのスラリー濃度は、約29重量%であった。また、該スラリーの抜出しレートは、該スラリーに含まれるポリプロピレン粒子として、25kg/Hrとなるように調節した。
【0076】
液力分級器4下部より抜き出されたポリプロピレン触媒の、プロピレン重合槽1および循環ラインにおける平均滞留時間は1.5時間であり、平均粒径Dp50は520μ、平均触媒効率は19300g/gであった。なお、この触媒効率の値は、該ポリプロピレン粒子のTi含量を測定することによって得られた触媒効率の値と良好な一致を示した。
【0077】
液力分級器4下部より抜き出されたスラリーは、後流の二重管式熱交換器5を経て、流動フラッシュ槽6にフィードされた。流動フラッシュ槽6においては、下部より加熱したプロピレンガスをフィードしながら、槽内温度を70℃に維持した。ここで得られた固体状ポリプロピレン粒子を、気相重合槽8に送り、プロピレンとエチレンの共重合を行った。
【0078】
混合効果を高めるため、補助的に撹拌翼を設けた気相重合槽8では、ガス・ブロアー10によって、エチレン、プロピレン、水素、窒素の混合ガスを循環させた。さらにポンプ7を用いて成分(C)としてエタノールを、18.2g/Hrでガス循環系へフィードされるように調整した。エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が1.73MPaGで、かつ、プロピレンのモル分率が55mol%で一定になるようにフィードした。また、水素は、水素濃度が1.8mol%となるようにフィードした。なお、重合温度は70℃で、気相重合槽8における平均滞留時間は2.5時間になるように調節した。このときの気相重合槽の活性は、エタノール添加がないときの28%であった。
【0079】
気相重合槽8から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFR=15.3g/10min、かさ密度=0.45g/cc、EPR含量=33.5重量%であった。得られたポリマー粒子はべたつくこともなく、流動性も問題ないものであった。
【0080】
実施例2
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造
実施例1(2)と同じ重合装置を用い、実施例1(1)で得られた固体触媒成分を、(A*)成分として0.86g/Hrでフィードし、重合温度は65℃、圧力は全圧3.10MPaG、プロピレン分圧は2.81MPaGとなるように調整した以外は、実施例1(2)と同様に第1段階の重合を行った。
【0081】
液力分級器4下部より抜き出されたポリプロピレン触媒の、プロピレン重合槽1および循環ラインにおける平均滞留時間は1.5時間であり、平均粒径Dp50は600μ、平均触媒効率は29000g/gであった。なお、この触媒効率の値は、該ポリプロピレン粒子のTi含量を測定することによって得られた触媒効率の値と良好な一致を示した。
【0082】
さらに実施例1(2)と同様に、得られた固体状ポリプロピレン粒子を、気相重合槽8に送り、プロピレンとエチレンの共重合を行った。
【0083】
ポンプ7を用いて成分(C)としてエタノールを、16.2g/Hrでガス循環系へフィードされるように調整した。エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が1.73MPaGで、かつ、プロピレンのモル分率が55mol%で一定になるようにフィードした。また、水素は、水素濃度が1.8mol%となるようにフィードした。なお、重合温度は70℃で、気相重合槽8における平均滞留時間は1.8時間になるように調節した。
【0084】
気相重合槽8から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFR=17.5g/10min、かさ密度=0.46g/cc、EPR含量=30重量%であった。このときの気相重合槽の活性は、エタノール添加がないときの40%であった。得られたポリマー粒子はべたつくこともなく、流動性も問題ないものであった。
【0085】
比較例1
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造
実施例1(2)と同じ重合装置を用い、実施例1(1)で得られた固体触媒成分を、(A*)成分として0.58g/Hrでフィードし、重合温度は70℃、圧力は全圧3.35MPaG、プロピレン分圧は3.06MPaGとなるように調整した以外は、実施例1(2)と同様に第1段階の重合を行った。
【0086】
液力分級器4下部より抜き出されたポリプロピレン触媒の、プロピレン重合槽1および循環ラインにおける平均滞留時間は1.5時間であり、平均粒径Dp50は680μ、平均触媒効率は43000g/gであった。なお、この触媒効率の値は、該ポリプロピレン粒子のTi含量を測定することによって得られた触媒効率の値と良好な一致を示した。
【0087】
さらに実施例1(2)と同様に、得られた固体状ポリプロピレン粒子を、気相重合槽8に送り、プロピレンとエチレンの共重合を行った。
【0088】
ポンプ7を用いて成分(C)としてエタノールを、8.0g/Hrでガス循環系へフィードされるように調整した。エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が1.73MPaGで、かつ、プロピレンのモル分率が55mol%で一定になるようにフィードした。また、水素は、水素濃度が1.8mol%となるようにフィードした。なお、重合温度は70℃で、気相重合槽8における平均滞留時間は2.0時間になるように調節した。
【0089】
気相重合槽8から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFR=17.5g/10min、かさ密度=0.38g/cc、EPR含量=30重量%であった。
【0090】
得られたポリマー粒子はべたべたで、流動性が非常に悪く、気相重合槽8からの抜き出しが難しくなったため、長期間の運転継続ができなかった。
【0091】
比較例2
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造
第一段目の重合は比較例1(1)と全く同様に行った。
【0092】
気相重合槽8での重合条件は、ポンプ7を用いて成分(C)としてエタノールを、14.0g/Hrでガス循環系へフィードされるように調整した。エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が1.73MPaGで、かつ、プロピレンのモル分率が55mol%で一定になるようにフィードした。また、水素は、水素濃度が1.8mol%となるようにフィードした。なお、重合温度は70℃とした。この条件で、EPR含量=30wt%となるように気相重合槽8における平均滞留時間を調節しようと試みたが、4.0時間を超えても目標に到達しなかったので、それ以上滞留時間を延ばすことをしなかった。
【0093】
気相重合槽8から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFR=21.3g/10min、かさ密度=0.46g/cc、EPR含量=27.5重量%であった。得られたポリマー粒子はべたつくこともなく、流動性も問題ないものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の理解を助けるためのフローチャート図
【図2】実施例1で使用された重合装置を示すフローチャート図
【符号の説明】
1、液相重合槽
3、濃縮器
4、沈降液力分級器
5、二重管式熱交換器
6、流動フラッシュ槽
7、ポンプ
8、攪拌式気相重合槽
10、12、ブロワー
14、微粉サイクロン

Claims (2)

  1. マグネシウム、チタン、ハロゲン、ならびにフタル酸ジエステル化合物、酢酸セロソルブエステル化合物、フタル酸ジハライド化合物及びジエーテル化合物から選ばれる電子供与性化合物を含む固体触媒成分(成分A)と、有機アルミニウム化合物(成分B)、および必要に応じて電子供与性化合物からなる立体規則性触媒の存在下、液体プロピレン中でプロピレンを主成分とするα−オレフィンを重合する第1段階重合工程と、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンを、第1段階重合工程で添加された立体規則性触媒の作用下に、実質的に気相中で重合する第2段階重合工程とからなるプロピレン系ブロック共重合体の製造方法であって、下記の要件を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の連続製造方法。
    (1)第1段階重合工程での重合温度が40℃以上65℃以下であること
    (2)第2段階重合工程において電子供与性化合物(成分C)を添加してプロピレン・α−オレフィン共重合体の重合を実施し、かつ、成分Cの添加量を、その添加がない場合の重合活性に対して15〜85%の重合活性となる範囲とすること
    (3)第2段階重合工程での重合量が、全重合量に対して25重量%を超えること
  2. 第2段階重合工程において添加する電子供与性化合物(成分C)が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸メチルから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の連続製造方法。
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