JP2008127458A - 樹脂組成物、およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水溶液としたときの安定性に優れ、耐水性および着色がない架橋反応物が得られる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂と、分子内にジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有するアセタール化合物を含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂とその架橋剤を含有する樹脂組成物に関するもので、水溶液としたときの貯蔵安定性に優れ、耐水性、耐変色性に優れた架橋反応物が得られる樹脂組成物を得ることを目的とする。
ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する。)は、優れた水溶性、界面特性、皮膜特性(造膜性、強度、耐油性等)、等を利用して、分散剤、乳化剤、懸濁剤、繊維加工剤、紙加工剤、バインダー、接着剤、フィルム等に広く用いられている。しかしながら、PVA系樹脂は水溶性樹脂であるため耐水性に乏しく、その改善を目的とした検討、特に架橋剤による耐水化検討が広く行われてきた。
しかしながら、一般のPVA系樹脂が有する官能基は二級水酸基のみであり、利用できる架橋剤も限られたものであった。そこで、架橋反応の選択肢を増やし、効率的に架橋反応を起こさせるためにPVA系樹脂の側鎖に反応性に富む官能基を導入した変性PVA系樹脂が各種提案されている。中でも、架橋剤の選択肢が広く、架橋反応性に優れるアセトアセチル基を側鎖に有する変性PVA系樹脂としてアセト酢酸エステル基含有PVA系樹脂(以下、AA化PVA系樹脂と略記する。)が知られており、これと種々の架橋剤とを組み合わせた樹脂組成物が耐水接着剤や感熱紙のオーバーコート用途などに広く使用されている。
かかるAA化PVA系樹脂に好適に用いられる架橋剤としては、アルデヒド化合物、アミン化合物、ヒドラジド化合物、メチロール化合物、金属化合物などが知られているが、中でも少量の使用で耐水性に優れた架橋物が得られる点や、水溶液で流通しているため、一般的に水系で用いるPVA系樹脂に適用が容易である点などから、アルデヒド化合物であるグリオキザールが最も広く用いられている。
しかしながら、かかるグリオキザールは変異原性を有する点や、微量のホルマリンを含有し、化学物質過敏症の原因となる可能性がある点、および架橋反応が速く、アセト酢酸エステル基含有PVA系樹脂との水系樹脂組成物としたときに経時増粘しやすく、ポットライフが短いという問題点があり、これに代わる架橋剤が強く望まれていた。
そこで、本出願人もグリオキザールに代わるAA化PVA系樹脂に好適な架橋剤として、グリオキザールなどのジアルデヒド化合物中のアルデヒド基が特定の多価アルコール化合物によってアセタール化された環状アセタール化合物を用い、これとAA化PVA系樹脂を含有する樹脂組成物を用いた感熱記録用媒体(例えば、特許文献1参照。)を提案した。
特開2004−291519号公報
しかしながら、特許文献1に記載のAA化PVA系樹脂と環状アセタール化合物を含有する樹脂組成物による架橋反応物は、グリオキザールを用いた場合と同等の耐水性を示し、耐変色性についてもかなり改善されたものであるが、高温高湿下のような過酷な条件で長期保管した場合の耐変色性については改善の余地があるものであった。
また、かかる特許文献1に記載の樹脂組成物を含有する水性液は、通常の使用条件、すなわち室温付近では作業中に増粘することもなく、安定に使用できるものであるが、より高温での使用、あるいは長期保管するような場合においては、環状アセタール部分が加水分解によってアルデヒド基へ変換され、ジアルデヒド化合物となって、これがAA化PVA系樹脂中のアセト酢酸エステル基(以下、AA基と略記する。)と反応することによって水性液を増粘させやすいという問題点を有するものであった。
すなわち、水溶液としたときに、より過酷な条件下での貯蔵安定性に優れ、かつ、耐変色性に優れた架橋物が得られるAA化PVA系樹脂組成物およびこれに用いられる架橋剤が望まれるところである。
本発明者は、上記事情に鑑み、鋭意検討した結果、分子内にジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有するアセタール化合物を配合してなるアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂組成物によって本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本発明で用いられるアセタール化合物中のジアルキルアセタール基は、AA化PVA系樹脂組成物水性液の貯蔵時や使用時の環境温度である5〜40℃では安定にアセタール構造を保持するため、AA化PVA系樹脂中のAA基と反応することはなく、かかる水性液を各種用途に使用し、その乾燥時あるいはその後の熱処理時、例えば40〜200℃においてジアルキルアセタール基が加水分解によってアルデヒド基へと変換され、その結果、複数のアルデヒド基を有する化合物となり、これらのアルデヒド基がアセト酢酸エステル基と反応してPVA系樹脂を架橋し、AA化PVA系樹脂架橋物に優れた耐熱水性を付与する。
本発明の樹脂組成物は、水溶液としたときの安定性に優れることから取り扱い性に優れ、さらに本発明の樹脂組成物からは優れた耐変色性と耐水性を有する架橋反応物が得られることから、高度な耐水性と美観性を要求される接着剤、紙加工剤等の用途に好適であり、工業上有用である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、分子内にジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有する化合物を配合してなるアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂組成物に関するものである。
まず、本発明において、AA化PVA系樹脂の架橋剤として用いられるアセタール化合物について説明する。
本発明に用いられるアセタール化合物は分子内に下記一般式(1)で表されるジアルキルアセタール基を有し、さらにアルデヒド基を1つ有する化合物である。換言すれば、分子内に複数のアルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基を1つだけ残してジアルキルアセタール化した化合物に相当する。
Figure 2008127458
一般式(1)で表されるジアルキルアセタール基中のR1及びR2はアルキル基であって、直鎖状あるいは分鎖状のいずれであってもよく、その炭素数は通常1〜6であり、特に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。かかる炭素数が大きすぎると、各種用途に適用した後の乾燥あるいは熱処理時に、ジアルキルアセタール基が加水分解して生成するR1OHあるいはR2OHで表されるアルコールの沸点が高くなり、乾燥皮膜から十分に揮発しない場合があるため好ましくない。かかるアルキル基として、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等を挙げることができ、中でもメチル基が好ましく用いられる。
なお、かかるR1およびR2で示されるアルキル基は同じものであっても異なっていてもよいが、通常は同じものが用いられる。また、本発明の効果を大きくを阻害しない範囲において、アルキル基中の水素原子の一部がハロゲン、水酸基、アルコキシ基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等によって置換されていてもよい。
また、分子内にジアルキルアセタール基を複数有する場合には、それらのジアルキルアセタール基は同じものであっても異なっていてもよい。
かかるアセタール化合物中のジアルキルアセタール基の数は特に限定されるものではないが、疎水基であるため、多すぎると水溶性が低下する場合があり、通常は1〜5個、好ましくは1〜3個であるものが用いられる。
また、かかるアセタール化合物中のアルデヒド基の数は1つであり、その数が2つ以上になると樹脂組成物を水性液としたときの安定性が低下するため好ましくない。これは、アルデヒド基はAA化PVA系樹脂中のAA基と室温で容易に反応するが、分子内にその数が1つだけであればPVA系樹脂を架橋させる可能性が小さいが、複数になると容易に架橋構造を形成するようになり、その結果、水溶液を増粘させるためである。
本発明で用いられるアセタール化合物における、ジアルキルアセタール基とアルデヒド基以外の部分の化学構造については特に限定されないが、ジアルキルアセタール基とアルデヒド基が直接結合したものや、直鎖状あるいは分岐状アルキレン基に両官能基が結合したものが通常用いられる。なお、かかるアセタール化合物の分子量は通常104〜300、さらには104〜200、特には104〜150であるものが好ましく用いられ、分子量が小さいものほど添加量に対する効果が大きく得られるため好ましく、逆にかかる分子量が大きすぎると水溶性が乏しくなったり、所望する耐水性を得るための添加量が多くなったり、十分な耐水性が得られなくなったりするため好ましくない。
かかるアセタール化合物の具体例としては、ジメトキシエタナール(ジメトキシアセトアルデヒド)、ジエトキシエタナール(ジエトキシアセトアルデヒド)、ジ−n−プロポキシエタナールなどのジアルコキシエタナール、ジメトキシプロパナール(ジメトキシプロピオンアルデヒド)、ジエトキシプロパナール(ジエトキシプロピオンアルデヒド)などのジアルコキシプロパナール、ジメトキシブタナール、ジエトキシブタナールなどのジアルコキシブタナールなどを挙げることができ、中でも分子量が小さいという点でジアルコキシエタナール、特にジメトキシエタナールが好適に用いられる。
なお、かかるジメトキシエタナールを含む市販品としてクラリアント社製『ハイリンクDM』が挙げられる。
なお、かかるアセタール化合物の製造法は特に限定されるものではなく、公知の方法によって得られたものを用いることができるが、例えば、本願の目的に対して最も好ましい化合物であるジアルコキシエタナールの製造法としては、特開平5−246926号公報に示されるような、α、β−不飽和ジアルキルアセタールをオゾン酸化した後に、そのオゾン化生成物を接触水素添加する方法などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、上記の如きアセタール化合物を含有してなるもので、その含有量は特に制限されるものではないが、通常、樹脂組成物中のAA化PVA系樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部、さらには0.5〜50重量部、特には1〜20重量部の範囲が好適に用いられる。また、AA化PVA系樹脂中の総AA基量(X)に対するジアルキルアセタール基およびアルデヒド基の総量(Y)のモル比(Y/X)は通常0.01〜100、好ましくは0.1〜50、特には0.3〜30の範囲である。かかるアセタール化合物の含有量が少なすぎると得られた架橋反応物の耐水性が不十分となる場合があり、逆に多すぎるとその使用環境等によっては水性液が増粘しやすくなり、可使時間が短くなる場合があるため好ましくない。
次に、本発明で対象とするAA化PVA系樹脂は、市販されている公知の樹脂であり、その構造及び製造法については、例えば、特開昭55−094904号公報、特開昭55−137107号公報、特開昭57−040508号公報などによって公知のものであるが、その概要について詳しく説明する。
本発明で用いるAA化PVA系樹脂はPVA系樹脂の側鎖にAA基が導入されたものであり、かかるAA化PVA系樹脂中のAA基の含有量は、通常0.1〜20モル%程度であり、残る部分は、通常のPVA系樹脂と同様、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位と若干量の酢酸ビニル構造単位からなる。
かかるAA化PVA系樹脂を得るにはPVA系樹脂とジケテンを反応させる方法、PVA系樹脂とアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルの共重合体をケン化する方法等を挙げることができるが、製造が容易で品質の良いAA化PVA系樹脂が得られることから、PVA系樹脂とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましく、かかる方法について説明するがこれに限定されるものではない。
原料となるPVA系樹脂としては、一般的にはビニルエステル系モノマーの重合体のケン化物又はその誘導体が用いられ、かかるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済性の点から酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、ビニルエステル系モノマーと該ビニルエステル系モノマーと共重合性を有するモノマーとの共重合体のケン化物等を用いることもでき、かかる共重合モノマーとしては、例えば例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、ビニレンカーボネート類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン等が挙げられる。
なお、かかる共重合モノマーの導入量はモノマーの種類によって異なるため一概にはいえないが、通常は10モル%以下、特には5モル%以下であり、多すぎると水溶性が損なわれたり、架橋剤との相溶性が低下したりする場合があるため好ましくない。
又、重合溶媒として高沸点のものを用いたり、加圧重合を行うことで重合温度を100℃以上にすることにより、PVA主鎖中に1,2−ジオール結合を1.6〜3.5モル%程度導入したものを使用することが可能である。
得られたポリ酢酸ビニル系樹脂のケン化は公知の方法で行うことができるが、通常はポリ酢酸ビニル系樹脂をアルコール系溶媒に溶解させたのち、アルカリ触媒または酸触媒の存在下で行われる。アルコール系溶媒としては例えばメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノールや、メタノールと酢酸メチルの混合溶媒などの各種アルコールと酢酸メチルの混合溶媒などを使用することができる。アルコール系溶媒中のポリ酢酸ビニル系樹脂の濃度は10〜60重量%の範囲から選ばれる。
アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラートなどのアルカリ金属の水酸化物やアルコラートのようなアルカリ触媒を用いることができる。酸触媒としては塩酸、硫酸などの無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を用いることができる。アルカリ触媒の使用量は通常ポリ酢酸ビニル系樹脂中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して1〜100ミリモル、好ましくは1〜40ミリモル、特には1〜20ミリモルである。アルカリ触媒の使用量が少なすぎると、目的とするケン化度までケン化度を上げることが困難となる傾向にあり、多すぎると目的とするケン化度よりも高くなり過ぎる傾向となり制御が困難になるため好ましくない。
また、ケン化を行うときの温度はとくに制限されないが、通常10〜70℃であり、20〜50℃がより好ましい。
次に、ポリ酢酸ビニル系樹脂のケン化によって得られたPVA系樹脂とジケテンを反応させるわけであるが、この場合、PVA系樹脂とガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をPVA系樹脂に予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下でガス状または液状のジケテンを噴霧、反応させるか、またはPVA系樹脂に有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応させる等の方法が用いられる。
上記の反応を実施する際の反応装置としては加温可能で撹拌機の付いた装置であれば充分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる。
かくして得られたAA化PVA系樹脂中のアセト酢酸エステル基含有量(アセト酢酸エステル化度、以下AA化度と略記する。)は、通常0.1〜20モル%、好ましくは0.2〜15モル%、特には0.3〜10モル%であり、かかる含有量が少なすぎると十分な耐水性が得られなかったり、十分な架橋速度が得られない場合があり、逆に多すぎると水溶性が低下したり、水溶液の安定性が低下する場合があるため好ましくない。
また、AA化PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠)は、通常300〜4000、好ましくは400〜3500、特には500〜3000であり、かかる平均重合度が小さすぎると、十分な耐水性が得られなかったり、十分な架橋速度が得られない場合があり、逆に大きすぎると、水溶液の粘度が高くなりすぎ、基材への塗工が困難になるなど、各種工程への適用が難しくなる場合があるため好ましくない。
また、本発明のAA化PVA系樹脂のケン化度は、通常80モル%以上、好ましくは85モル%以上、特には90モル%以上であり、かかるケン化度が低い場合には、水溶性が低下する場合があるため好ましくない。
また、本発明のAA化PVA系樹脂には、製造工程で使用あるいは副生した酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩(主として、ケン化触媒として用いたアルカリ金属水酸化物とポリ酢酸ビニルのケン化によって生成した酢酸との反応物等に由来)、酢酸などの有機酸(PVA系樹脂にアセト酢酸エステル基を導入する際の、ジケテンとの反応時にPVAに吸蔵させた有機酸等に由来)、メタノール、酢酸メチルなどの有機溶剤(PVA系樹脂の反応溶剤、AA化PVA製造時の洗浄溶剤等に由来)が一部残存していても差し支えない。
なお、本発明においては、二種類以上の重合度、ケン化度、AA基含有量が異なるAA化PVA系樹脂の混合物を用いてもよい。また、本発明の樹脂組成物の基本物性を損なわない範囲、通常50重量%以下、特に30重量%以下で、本発明で用いるPVA系樹脂とは異なるPVA系樹脂、例えば未変性PVAや前述の各種不飽和モノマーを共重合した変性PVA系樹脂を混合して用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、上述のAA化PVA系樹脂と、架橋剤としてアセタール化合物を含有するものであるが、かかるアセタール化合物以外の架橋剤を併用することも可能である。
かかる他の架橋剤としては、AA化PVA系樹脂の架橋剤として公知のものを使用することができ、例えば、アルデヒド化合物、メチロール化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物、多価金属化合物などを挙げることができるが、本発明の目的である水溶液としたときの安定性の点から、併用する架橋剤もその架橋性官能基が40℃以下の室温ではAA基と速やかに反応せず、より高温にすることによって架橋反応が進行するものが好ましい。かかる特性を有する架橋剤としては、多価金属化合物や、官能基が保護された化合物、例えばアルデヒド基がすべてアセタール化された化合物、メチロール基がエーテル化された化合物などを挙げることができる。
多価金属化合物としては、具体的に、塩化ジルコニル、塩基性塩化ジルコニル、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニル、などのジルコニウム化合物を挙げることができる。
また、アルデヒド基がすべてアセタール化された化合物としては、具体的に、1,1,2,2−テトラメトキシエタン、1,1,2,2−テトラエトキシエタン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン、1,1,3,3−テトラエトキシプロパン、1,1,6,6−テトラメトキシヘキサン、などのアセタール基が複数有する炭化水素化合物や、ビス−1,3−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)尿素(商品名「ハイリンクDU」、クラリアント社製)、 ビス−1,3−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン(商品名「ハイリンクDMU」、クラリアント社製)、1,1’,1’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリス[2,2−ジメトキシエタノール](商品名「ハイリンクDMM」クラリアント社製)、などの尿素あるいはメラミンにジメトキシエタナールが付加して得られた化合物などを挙げることができる。
また、本発明の樹脂組成物にさらにその基本物性を損なわない範囲、通常30重量%以下、特に20重量%以下で他の樹脂、例えばデンプン、セルロース等の多糖類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、水溶性ポリアミド、水溶性ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン等の水溶性樹脂を併用することができる。
また、同様に各種添加剤として、着色剤、染料、顔料、蛍光増白剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤、熱安定化剤、界面活性剤、乾燥剤、消臭剤、抗菌剤、防腐剤、消泡剤等を含有させることができる。
次に、本発明の樹脂組成物の製造法について説明する。本発明の樹脂組成物は、AA化PVA系樹脂と、アセタール化合物が混合されていれば、特にその製造方法は限定されるものではないが、かかる樹脂組成物は水溶液として各種用途に適用されることが多く、以下、樹脂組成物水溶液の製造方法について説明する。
かかる水溶液は、(i)AA化PVA系樹脂とアセタール化合物の混合物を水に投入して溶解する方法、(ii)予めAA化PVA系樹脂とアセタール化合物を別々に溶解したものを混合する方法、(iii)AA化PVA系樹脂の水溶液にアセタール化合物を添加して溶解する方法、などによって調製できるが、アセタール化合物は水溶液の状態で市場に流通することが多いことから、通常は(ii)の方法を用い、両者を混合することで樹脂組成物の水溶液として各種用途に使用することが望ましい。
なお、上述の水溶液には、本発明の特性を阻害しない範囲内で消泡剤、防黴剤、防腐剤、レベリング剤、等の添加剤を配合してもよく、これらはAA化PVA系樹脂水溶液、アセタール化合物の水溶液、あるいはその混合後に配合してもよい。
このようにして調整された本発明の樹脂組成物の水溶液は、塗工、注型、浸漬、等の公知の方法によって各種用途に適用され、その後、必要に応じて加熱乾燥、あるいは低温〜常温乾燥することで、PVA系樹脂の耐水化という目的を達成することができる。
かかる乾燥条件としては、特に限定されるものではなく、使用形態によって適宜選択されるものではあるが、通常は5〜150℃、さらには30〜150℃、特には50〜150℃の温度条件で、0.1〜60分、さらには0.1〜30分、特には0.2〜20分の乾燥時間が好ましく用いられる。
なお、その他の使用方法として、AA化PVA系樹脂を予め塗膜やフィルム、および各種の用途に適用あるいは各種形状に成形した後に、アセタール化合物の水溶液を噴霧、塗布、浸漬した後に乾燥する方法などが挙げられる。
かくして得られた本発明の樹脂組成物は、PVA系樹脂が用いられ、特に耐水性が要求される用途に好適であり、その具体例としては以下のものが挙げられる。
(1)紙加工剤
感熱記録紙の記録層バインダー、感熱記録紙保護層バインダー、感熱記録紙アンダーコート層バインダー、昇華型感熱記用媒体の顔料バインダー、空隙型インクジェット記録用媒体の無機微粒子バインダー及びアンダーコート層、膨潤型インクジェット記録用媒体のインク受容層及びアンダーコート層、紙のクリアコーティング剤、塗工紙の顔料バインダー、電子写真用記録媒体の顔料バインダー、離型紙の表面塗工剤、離型紙の塗工層顔料バインダーなど
(2)接着剤
2液型接着剤、ハネムーン型接着剤、粘着剤、再湿剤、不織布用バインダー、建材用バインダー(石膏ボード、繊維板等)、各種粉体造粒用バインダー、感圧接着剤、アニオン性塗料の固着剤、偏光フィルムと偏光フィルム保護膜の接着用の接着剤
(3)被覆剤
繊維加工剤、皮革仕上げ剤、塗料、防曇剤、金属腐食防止剤、亜鉛メッキ用光沢剤、帯電防止剤、導電剤、暫定塗料、暫定保護膜、繊維類の耐水性被覆剤
(4)フィルム、膜
電解質膜、包装用フィルム
特に、紙加工剤は紙繊維との親和性、接着性、水性インクとの相性といったPVA系樹脂のもつ特性を充分に活かす用途のひとつであり、中でも感熱記録用媒体に適用する場合には、それらの特性に加え、有機溶剤や油類の接触による感熱色素の発色を防止するための耐溶剤性と、その特性が湿潤時でも得られるように耐水性が必要とされ、PVA系樹脂の耐水化が最も強く求められる用途のひとつである。
以下、本発明のAA化PVA系樹脂を含有する層を有する感熱記録用媒体について説明する。
本発明の感熱記録用媒体は、支持基材上の感熱発色層および/または保護層中に本発明の樹脂組成物の架橋反応物を含有させてなるものである。
なお、かかる用途に用いる場合、AA化PVA系樹脂のケン化度は通常65〜99.9モル%、好ましくは75〜99.8モル%、特には80〜99.5モル%であり、平均重合度は通常150〜4000、好ましくは200〜3000、特には250〜2500であり、AA化度は通常0.3〜25モル%、好ましくは0.5〜20モル%、特には1〜15モル%である。
かかる用途におけるAA化PVA系樹脂に対するアセタール化合物の配合量は特に限定されないが、固形分換算で通常AA化PVA系樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、特には1〜10重量部である。
なお、本発明の感熱記録用媒体に用いられる支持基材としては特に制限はなく、紙(マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質紙、中質紙、グラビア紙等の印刷用紙、上・中・下級紙、新聞用紙、剥離紙、カーボン紙、ノンカーボン紙、グラシン紙、合成紙など)、不織布、プラスチックフィルム(ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、およびこれらの積層体など)、あるいは合成樹脂ラミネート紙のように、これらの複合シートを使用することができる。
以下、これらの各層について詳細に説明する。
感熱発色層は、ロイコ染料と顕色剤およびバインダー樹脂を含有する水性塗工液を支持基材上に塗工することにより形成させることができ、本発明においては、かかるバインダー樹脂として、本発明の樹脂組成物を用いるものである。この時の樹脂組成物の配合量は、AA化PVA系樹脂としてロイコ染料及び顕色剤の総量に対して10〜200重量%が適当である。
上記のロイコ染料の例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド[クリスタルバイオレットラクトン]、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、等のトリアリールメタン系化合物、4,4’−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、等のジフェニルメタン系化合物、ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、等のキサンテン系化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、等のチアジン系化合物、3−メチルスピロナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、等のスピロ系化合物、等を挙げることができる。また、これらのロイコ染料は、必要に応じて単独、または2種以上を混合して使用することができる。
また、顕色剤としては、前記ロイコ染料と加熱時反応して発色せしめるもので、例えばフェノール、p−メチルフェノール、p−ターシャリーブチルフェノール、p−フェニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール[ビスフェノールA]、4,4’−セカンダリーブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−(1−メチル−n−ヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジカテコール、4,4’−ペンジリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、フェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、サリチル酸、3−フェニルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、1−オキシ−2−ナフトエ酸、m−オキシ安息香酸、4−オキシフタル酸、没食子酸などが挙げられるが、ロイコ染料、顕色剤ともにこれらに限定されるわけではない。
感熱発色層に用いられるバインダー樹脂としては、本発明の樹脂組成物を用いる以外に、例えば未変性の完全ケン化PVA、未変性の部分ケン化PVA、カルボキシル基変性、ケイ素変性、スルホン酸基変性、カチオン基変性、エチレン変性、アセトアセチル基変性、ジアセトンアクリルアミド変性等の各種変性PVA系樹脂、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼインなどの水溶性樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのエマルジョン、スチレン・ブタジエン樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系などの各種ラテックスなどが挙げられる。
また、かかる感熱発色層中に、必要に応じて、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、クレー、タルク、硫酸バリウムなどの無機顔料、尿素―ホルマリン樹脂、ナイロン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン・メタクリル酸共重合体などの有機系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、ポリエチレンワックスなどの滑剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、アニオン性、ノニオン性界面活性剤、蛍光染料などを添加することも可能である。
感熱発色層用塗工液は、上記のロイコ染料、顕色剤を別々にボールミル、アトライター、サンドグラインダーなど公知の分散機を用いて粒径が1〜3μmになるまで粉砕して微分散液とし、これらとバインダー樹脂としてAA化PVA系樹脂、架橋剤、および必要に応じて上記の添加剤や消泡剤などを混合して得られる。該塗工液の固形分濃度は作業性を考慮して10〜40重量%の範囲から選ばれる。
該塗工液を支持基材に塗工するにあたっては、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等の公知の任意の方法が採用される。該水溶液の塗工量は、乾燥重量で0.1〜20g/m2、さらには0.5〜15g/m2、特には1〜10g/m2程度になるようにするのが好ましい。
次に、保護層について説明する。
保護層は、水を媒体とし、本発明の樹脂組成物、および必要に応じて無機顔料、滑剤などを混合撹拌して調整された保護層用塗工液を、上述の感熱発色層上に塗工、乾燥して形成されたもので、耐水性、耐薬品性、記録走行性などの向上に効果的である。
上記の無機顔料としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、タルク、カオリン、クレー等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、デンプン粒子等の有機顔料が挙げられ、特に、保護層に光沢性を付与する場合には、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナゾルのような無機超微粒子が好適に用いられる。かかる無機微粒子の好ましい平均粒子径は、3〜200nm、さらには3〜100nm、特には10〜50nmであり、かかる平均粒子径が過度に小さいと、筆記性、捺印性が低下する場合があり、逆に多きすぎる場合には、光沢層表面の平滑性が損なわれ、光沢性が低下する場合があるため好ましくない。
また、かかる保護層中には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、ポリエチレンワックスなどの滑剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、アニオン性、ノニオン性界面活性剤、蛍光染料などを添加することも可能である。
保護層用塗工液の該塗工に当たってはロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等任意の手段で実施可能であり、その塗工量は、乾燥重量で0.5〜10g/m2程度になるようにすることが好ましく、塗工後は風乾あるいは軽度の加熱処理を行うことによって目的とする塗工層が形成される。
また、感熱発色層塗工後、または保護層塗工後、スーパーカレンダー処理を行い、平滑性、光沢性を向上させることも可能である。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
平均重合度1200、ケン化度99.0モル%、AA化度5.0モル%であるAA化PVA系樹脂の10%水溶液と、ジメトキシエタナール(商品名「ハイリンクDM」、クラリアント社製、60%水溶液)を、AA化PVA系樹脂100重量部に対してジメトキシエタナールを固形分で5重量部となるように配合して混合撹拌し、樹脂組成物水溶液とした。このときの、AA化PVA系樹脂中のAA基量(Y)に対するジメトキシエタナール中のジメチルアセタール基量とアルデヒド基量の和(X)のモル比(Y/X)は1であった。
かかる水溶液をPETフィルム上に流延し、23℃、50%RHの条件下で48時間放置後、70℃で5分間加熱処理を行って厚さ100μmの樹脂組成物フィルムを得た。
得られたフィルムの耐水性および耐変色性を以下の要領で評価した。
(耐水性)
得られたフィルムを80℃の熱水に1時間浸漬して、フィルムの溶出率(%)を測定した。なお、溶出率(%)の算出にあたっては、熱水浸漬前のフィルムの乾燥重量(X1)および熱水浸漬後のフィルムの乾燥重量(X2)(いずれもg)を求め、下式にて溶出率(%)を算出した。結果を表1に示す。
溶出率(%)=[(X1―X2)/X1]×100
(耐変色性)
得られたフィルムを40℃、90%RHの条件下で1週間保管した後のフィルムの着色(黄変)の度合いを目視観察し以下の通り評価した。結果を表1に示す。
○・・・全く着色が認められない
△・・・若干、黄変が認められる
×・・・著しく黄変が認められる
(水溶液の安定性)
得られた樹脂組成物の7%水溶液の23℃における粘度(a)をブルックフィールド型粘度計(ブルックフィールド社製、ローターNo.2、回転数100rpm)で測定した後、該水溶液を23℃の雰囲気下に置き、6日後の水溶液粘度(b)を測定し、前後の増粘倍率を(b)/(a)で示した。
実施例2
実施例1において、ジメトキシエタナールの配合量をAA化PVA系樹脂100重量部に対して1重量部(Y/X=0.2)となるようにした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物フィルムを作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、ジメトキシエタナールの配合量をAA化PVA系樹脂100重量部に対して50重量部(Y/X=10)となるようにした以外は実施例1と同様にして樹脂組成物フィルムを作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、AA化PVA系樹脂として平均重合度1700、ケン化度92モル%、AA化度2モル%であるAA化PVA系樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物フィルムを作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、ジメトキシエタナールに替えて、グルコースとグリオキザールとの反応物である環状アセタール化合物(商品名「セクアレッツ755」、オムノヴァ社製)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物フィルムを作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、ジメトキシエタナールに替えて、グリオキザールを用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物フィルムを作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008127458
本発明の樹脂組成物は、水溶液としたときの安定性に優れ、耐変色性と耐水性に優れた架橋反応物が得られることから、高度な美観性と耐水性を要求される接着剤、紙加工剤等の用途に好適である。

Claims (5)

  1. 分子内にジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有するアセタール化合物を配合してなることを特徴とするアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  2. アセタール化合物がジアルコキシエタナールであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. アセタール化合物の配合量がアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする紙加工剤。
  5. アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂と、分子内にジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有するアセタール化合物との架橋反応物を含有する層を有することを特徴とする感熱記録用媒体。
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