JP2018138360A - 架橋構造体の製造方法、及びインクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、PVA系樹脂は溶融成形が困難な樹脂としても知られており、通常、PVA系樹脂は水に溶解されて、用いられている。
製造工程中では水溶性を活かして、水溶液として用いられるが、製品となる場合には、最終的に乾燥され、被膜として用いられることも多い。一方で、被膜として用いる場合は耐水性が求められる用途も多い。
そこで、AA化PVA系樹脂の架橋剤として、アルデヒド基を有効な官能基とするグリオキシル酸塩を含有する架橋剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、AA化PVA系樹脂との混合液の安定性に優れ、耐水性にも優れ、また経時での着色が少ないという特徴を有する架橋高分子が得られる。また、グリオキシル酸塩の中でも、特にグリオキシル酸のアルカリ金属塩またはグリオキシル酸のアルカリ土類金属塩を架橋剤として用いた場合に、AA化PVA系樹脂を架橋してなる架橋高分子の耐水性により優れることも記載されている。
本発明の製造方法は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(a1)、グリオキシル酸(a2)及びジルコニウム化合物(a3)を反応させる製造方法である。
まず、本発明で用いられる活性メチレン基含有PVA系樹脂(a1)について説明する。
本発明の活性メチレン基は、例えば、カルボニル基に隣接するメチレン基のように、酸性度が高められたメチレン基を示すものである。かかるメチレン基上のプロトンにより、共鳴安定化された部分に架橋反応が起こるものである。
上記のような活性メチレン基含有PVA系樹脂(a1)としては、例えば、ケトン、カルボン酸またはカルボン酸エステル等の変性基を有するPVA系樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、アセトアセチル基やジアセトン基を有するPVA系樹脂が挙げられる。なかでも、AA化PVA系樹脂(a1−1)や、ジアセトンアクリルアミド構造単位含有PVA系樹脂が好ましく、更には耐水性の点でAA化PVA系樹脂(a1−1)が好ましい。
活性メチレン基含有PVA系樹脂(a1)の製造方法としては、(i)活性メチレン基を有する変性基含有単量体とビニルエステル系化合物とを共重合し、得られた共重合体をケン化する方法、(ii)ビニルエステル系化合物を重合し、得られた重合体をケン化して、得られたPVA系樹脂を後変性する方法などが挙げられる。
また、後変性する方法としては、PVA系樹脂にジケテン等のケトン類を反応させる方法等が挙げられる。
かかるケン化度が低すぎると、水溶性が低下し、水溶液とすることが困難になったり、水溶液の安定性が低下したり、得られる接着剤の耐水性が低下する傾向がある。
なお、上記平均重合度及びケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。以下も同様に行われる。
次に、本発明で好ましく用いられるAA化PVA系樹脂(a1−1)について説明する。
本発明で用いられるAA化PVA系樹脂(a1−1)は、PVA系樹脂の主鎖に直接、あるいは酸素原子や連結基を介してアセトアセチル基(AA基)が結合したもので、例えば、一般式(1)で表されるAA基を有する構造単位を含むPVA系樹脂が挙げられる。なお、かかるAA化PVA系樹脂(a1−1)は、AA基を有する構造単位以外にビニルアルコール構造単位を有し、更に必要に応じて未ケン化部分のビニルエステル構造単位を有する。
かかるAA化PVA系樹脂(a1−1)以外のPVA系樹脂としては、未変性のPVA系樹脂や、ビニルエステル系モノマーと共重合性を有する各種モノマーを共重合して得られた各種変性PVA系樹脂を挙げることができる。
本発明で用いられるグリオキシル酸(a2)について説明する。
本発明で用いられるグリオキシル酸(a2)の製造法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、(1)グリオキサールを硝酸酸化する方法、(2)グリコール酸オキシダーゼを用いグリコール酸をグリオキシル酸へ変換する方法、(3)微生物によるグリコール酸からのグリオキシル酸への変換方法などを挙げることができる。特に、生産効率の点で(1)の方法が好ましく用いられる。
上記で製造される、グリオキシル酸(a2)は、液体である。
本発明で用いられるジルコニウム化合物(a3)について説明する。
本発明で用いられるジルコニウム化合物(a3)としては、例えば、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウム等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、反応性の点から、塩化ジルコニル、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、ステアリン酸ジルコニルが好ましく、より好ましくは、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニルであり、さらに好ましくは、炭酸ジルコニルアンモニウム、塩化ジルコニル、酢酸ジルコニルである。
また、ジルコニウム化合物としては、酸化ジルコニウム等のような固体のものであると、水性塗工液に用いることが出来ないため、通常水溶性のものを用いる。
本発明の架橋構造体(A)は、活性メチレン基含有PVA系樹脂(a1)、グリオキシル酸(a2)及びジルコニウム化合物(a3)を反応させて得られるものである。
グリオキシル酸(a2)とジルコニウム化合物(a3)のモル比は、グリオキシル酸(a2)/ジルコニウム化合物(a3)が、1/10〜10/1であることが好ましく、更に好ましくは1/5〜5/1、特に好ましくは1/2〜4/1である。
かかるジルコニウム化合物(a3)の含有量が少なすぎると、十分な効果が得られなくなる傾向があり、逆に多すぎると、耐水性が低下する傾向がある。
つぎに、本発明の架橋構造体(A)を含有する層を少なくとも一層有するインクジェット記録媒体について説明する。
本発明の架橋構造体(A)を含有する層は通常、インク受容層に用いられ、必要に応じて更に無機顔料や有機顔料等の顔料を含有させる。この時の顔料の含有量は、架橋構造体(A)100重量部に対して、顔料50〜1000重量部である。
(1)紙加工剤
各種加工紙のアンダーコート層やバックコート層、昇華型感熱記用媒体の発色層や中間層、空隙型インクジェット記録用媒体の無機微粒子バインダー、膨潤型インクジェット記録用媒体のインク受容層、紙のクリアコーティング剤、塗工紙の顔料バインダー、電子写真用記録媒体の顔料バインダー、離型紙の表面塗工剤や顔料バインダー、熱転写記録媒体の耐熱インク受容層など。
(2)接着剤
2液型接着剤、ハネムーン型接着剤、粘着剤、再湿剤、不織布用バインダー、建材用バインダー(石膏ボード、繊維板等)、各種粉体造粒用バインダー、感圧接着剤、アニオン性塗料の固着剤など。
(3)水性ゲル
排水処理用担体、保水剤、保冷剤、バイオリアクター、芳香剤、地盤強化剤、臓器モデル、人工関節、人口筋肉、疑似餌など。
(4)被覆剤
繊維加工剤、皮革仕上げ剤、塗料、防曇剤、金属腐食防止剤、亜鉛メッキ用光沢剤、帯電防止剤、導電剤、暫定塗料、暫定保護膜など。
(5)フィルム、膜、繊維
電解質膜、包装用フィルム、セパレーター用不織布、有機溶剤フィルター用不織布、吸音材用不織布、包装用不織布、ナノファイバー不織布など。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
また、ケン化度、重合度はJIS K 6726に準じて測定した数値である。
〔AA化PVA系樹脂(a1−1)の製造〕
PVA(ケン化度98モル%、平均重合度2400)を、ニーダーに3600部仕込み、これに酢酸540部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン420部を3時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄した後、70℃で6時間乾燥してAA化PVA系樹脂(a1−1)を得た。かかるAA化PVA系樹脂(a1−1)のAA化度は4モル%であり、ケン化度は98モル%、平均重合度は2400である。
上記で得られたAA化PVA系樹脂(a1−1)の10%水溶液87.5部、ヒュームドシリカ35%分散液100部、グリオキシル酸(a2)の10%水溶液5.3部、ジルコニウム化合物(a3)として、酢酸ジルコニウムの10%水溶液12.3部を混合し、インク受容層用塗工液とした。
評価用のインクジェット記録媒体として、レジンコート用紙上に下記の通り塗工し、積層体を作製した。即ち、レジンコート用紙上に、上記で得られたインク受容層用塗工液を塗工し、80℃で3分間乾燥し、膜厚20μmのインク受容層を形成した。
得られた積層体を23℃、50%RHの環境下で1日調湿し、評価用のインクジェット記録媒体を得た。得られた評価用インクジェット記録媒体について、以下の評価を行った。
得られた評価用インクジェット記録媒体のインク受容層形成面をマイクロスコープにて観察して、以下のように評価した。結果を表1に示す。
表面クラック評価方法
〇:クラックの発生が全く見られない
×:クラックの発生が観察される
上記で得られた評価用インクジェット記録媒体を40℃、90%RHの環境下で28日間放置し、着色を促進させた後、測色計にて測色を行った。測定装置としては、分光測色計CM−3600A(コニカミノルタセンシング製)を用い、透過法 光源D−65 N=3の平均値で評価した。
結果を表1に示す。
グリオキシル酸(a2)を含有しないこと以外は実施例1と同様に評価用インクジェット記録媒体を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
グリオキシル酸(a2)の代わりに、グリオキシル酸ナトリウムの10%水溶液5部を配合した以外は、実施例1と同様に評価用インクジェット記録媒体を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
グリオキシル酸(a2)の代わりに、グリオキシル酸ナトリウムの10%水溶液5部を配合した以外は、実施例1と同様に評価用インクジェット記録媒体を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
グリオキシル酸(a2)の代わりに、アジピン酸ジヒドラジドの10%水溶液5部を配合した以外は、実施例1と同様に評価用インクジェット記録媒体を得て、同様に評価した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- ポリビニルアルコール系樹脂の架橋構造体(A)の製造方法において、
活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a1)、グリオキシル酸(a2)及びジルコニウム化合物(a3)を反応させることを特徴とする架橋構造体(A)の製造方法。 - ジルコニウム化合物(a3)が、酢酸ジルコニウムであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- グリオキシル酸(a2)の含有量が、活性メチレン基を有する変性基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a1)100重量部に対して、0.1〜20重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
- ジルコニウム化合物(a3)の含有量が、グリオキシル酸(a2)1重量部に対して通常は0.1〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
- 請求項1〜4いずれか記載の製造方法により得られる架橋構造体(A)を含有する層を少なくとも一層有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
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