JP2010179646A - インクジェット記録用シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光沢、画質、インク吸収性のいずれもが優れている上に、ひび割れ、折り割れが抑制され、さらに耐水性に優れたインクジェット記録用シートの製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、気相法シリカ、及びポリビニルアルコールを含有するインク受容層形成用塗液を塗工、乾燥してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、ポリビニルアルコールが、ケン化度85モル%以上、且つ重合度3000以上であり、インク受容層形成用塗液が、架橋剤として、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニルのうち少なくとも1種含有することを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方式に適用する記録用シートを製造する方法に関する。
水性インクを微細なノズルから記録用シートに向かって噴出し、該シートの記録面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
インクジェット記録方式に適する記録用シートとしては、インク受容層を有するインクジェット記録用シートが広く使用されている。このインクジェット記録用シートにおいては、プリンタの急速な普及と、高精細・高速化と、さらにはデジタルカメラの登場とにより特性の高度化が要求されている。例えば、インク吸収性、銀塩方式の写真に匹敵する画質および光沢を有するインクジェット記録用シートが強く求められている。
これを実現するために、インク受容層に微粒子を用いることにより高いインク吸収速度と光沢を得、且つインク受容層の塗膜のひび割れを制御することにより、ドットの真円性を再現する必要がある。
特許文献1、2には、上記要求を満たすためのインクジェット記録用シートの製造方法が提案されている。インク受容層に平均一次粒子径20nm以下の無機顔料微粒子と水溶性樹脂にポリビニルアルコールを含んで構成されているインクジェット記録シートが提案されている。これは、ホウ砂又はホウ酸とポリビニルアルコールの架橋反応を利用して、該記録層が減率乾燥部になる前に塗料をゲル化させて、塗膜のひび割れを抑制しながら高い塗工量を付与することができる。
特許文献2には、支持体とインク記録層との間の支持体上に、ホウ酸またはホウ素化合物が支持体の一方の表面あたり0.1g/m以上塗工されており、記録層中のポリビニルアルコールは下塗りのホウ酸またはホウ素化合物により架橋されて、該記録層が減率乾燥部になる前に塗料がゲル化して、塗膜のひび割れを抑制している。
また、特許文献3には、まず、支持体上に微粒子および水溶性樹脂を含む下塗り形成用塗液を塗工して下塗り層を形成し、その下塗り層上に、ホウ砂を1.4質量%以下の濃度で含む架橋剤含有塗液を塗工する。そして、塗工した架橋剤含有塗液が乾燥しないうちに、その上に、微粒子および水溶性樹脂を含むインク受容層形成用塗液を塗工してインク受容層を形成する。この方法によれば、架橋剤含有塗液中のホウ砂によって下塗り層およびインク吸収層の水溶性樹脂を架橋して塗膜強度を高くできる。その結果、下塗り層およびインク受容層を厚くでき、インク保持量を多くできるため、画質を高くできる。しかも、微粒子を含む下塗り層によりインク吸収性を高めることもできる。
近年、一般家庭ユーザへの普及に伴い、狭い室内への設置を容易にするため、プリンタ設置に必要な面積を狭くすることが求められており、その解決策のひとつとして、記録用シートをプリンタ下部の給紙トレイに印刷面を下向きにセットし、プリンタ内部で記録体を回転させて印刷面を上向きにしてから印刷する給紙方法を採用するインクジェットプリンタが増加している。この給紙方法は、記録体がプリンタ内部で回転する様子をアルファベットの「C」の字に例えてC型給紙等と呼ばれることがあり、従来のプリンタ背面からの給紙方法(C型給紙に対して、こちらはJ型給紙等と呼称される。)と区別されている。
C型給紙では、記録用シートをプリンタ内部の狭い給紙経路内で回転させる際、インク受容層の表面に大きな張力がかかり、インク受容層に割れが発生する現象(以下、折り割れともいう)が生じやすい。
特許文献1、2、3に記載の製造方法で製造されたインクジェット記録用シートは、光沢、画質、インク吸収性に優れるものの、インク受容層が折り割れしやすく、また、インクの耐水性が十分ではなかった。
一方、特許文献4、5には、インク受容層のひび割れや折り割れを生じなくさせるため、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子とアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含有するインク受容層に架橋剤としてジヒドラジド化合物や多価金属塩を含有もしくは下塗りする提案がある。
また、特許文献6には、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂、カチオン性基含有ポリビニルアルコール系樹脂、ジルコニウム化合物、無機微粒子を含有するインクジェット記録媒体の提案があるが、十分なひび割れ抑制効果が得られていなかった。
特開平11−115308号公報 特開2001−246832号公報 特開2004−74576号公報 特開2005−335119号公報 特開2005−335120号公報 特開2006−263926号公報
本発明は、光沢、画質、インク吸収性のいずれもが優れている上に、インク受容層のひび割れ、折り割れが抑制され、さらに耐水性に優れたインクジェット記録用シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが、前記課題を解決するために検討した結果、インク受容層のひび割れを抑制する目的で使用されている架橋剤とインク受容層形成用塗液に含有されるポリビニルアルコールとが架橋して硬くなることで、インクジェット記録用シートが折り割れしやすくなることを見出し、鋭意研究を重ねた結果、特定の架橋剤と特定のポリビニルアルコールを用いることによって、ひび割れ、折り割れが抑制され、さらに耐水性を向上させることが可能であることを見出した。
そして、それらの知見に基づいて、以下のインクジェット記録用シートの製造方法を発明した。
[1]支持体上に、気相法シリカ、及びポリビニルアルコールを含有するインク受容層形成用塗液を塗工、乾燥してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、ポリビニルアルコールが、ケン化度85モル%以上、且つ重合度3000以上であり、インク受容層形成用塗液が、架橋剤として、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニルのうち少なくとも1種含有することを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法。
[2]気相法シリカが、シランカップリング剤によって表面処理されている気相法シリカである[1]に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
[3]インク受容層形成用塗液が、気相法シリカとケン化度85モル%以上のポリビニルアルコールを含有する液と架橋剤を含有する液とを、又は気相法シリカと架橋剤を含有する液とケン化度85モル%以上のポリビニルアルコールを含有する液とをインラインミキサーを用いて混合した塗液である[1]又は[2]に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
[4]気相法シリカが、カチオン性ポリマーによって表面処理された気相法シリカであり、これを前記ポリビニルアルコールで被覆させたのちに、前記架橋剤を添加する[1]に記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法によれば、光沢、画質、インク吸収性のいずれもが優れている上に、インク受容層のひび割れ、折り割れが抑制され、さらに耐水性に優れたインクジェット記録用シートを製造できる。
「支持体」
支持体としては、その透気度を限定するものではなく透気性支持体から非透気性支持体まで、適宜選択使用できる。なお、記録用シートをキャスト仕上げする場合は、透気性支持体を使用するとよい。
[透気性支持体]
透気性支持体としては、透気性を有するものであれば特に限定するものではなく、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、あるいは中性紙等の透気性支持体が適宜使用される。透気性支持体を構成する木材パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)等の機械パルプ、或いは楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材パルプ、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。また、パルプとして、塩素、二酸化塩素、酸素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸等各種漂白法を組み合わせて漂白したパルプを使用すると、高白色度を得るために好ましい。中でも、ECF漂白やTCF漂白等された塩素フリーパルプは、記録用紙を長期間保存しても黄変を起こし難いので好ましい。これらのパルプは、単独でも、二種以上併用しても良い。
これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、記録用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
透気性支持体には、抄紙の際に、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。ステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜120秒である。透気性支持体の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度、好ましくは100〜350g/mである。坪量が小さすぎると、インクジェット記録を行った際に、カールやコックリングが著しくなったり、不透明度が得られ難い傾向にある。また、大きすぎると、光沢性が劣る傾向にある。
なお、キャスト仕上げを行なう場合、透気性支持体の透気性は、王研式透気度が10〜1000秒/100cc程度が好ましく、より好ましくは10〜500秒/100cc程度、特に好ましくは10〜200秒/100ccである。因みに、透気度が大きくなると、光沢性が劣る傾向にある。これは、湿潤状態の最表層を、加熱された鏡面ドラムを用いて乾燥するため、塗工液の水分は透気性支持体を通して蒸発されることになるが、透気度が高くなると乾燥が不十分であったり、必要以上に加熱されるため、光沢性が劣る結果になると考えられる。なお、更に透気度が大きくなるとキャスト仕上げする際の操業性が劣ってくる。一方、10秒/100ccに満たないような透気性支持体の場合もまた、光沢性が低下する傾向にある。これは、インクジェット記録層を形成する際に、塗工液中の接着剤の多くが透気性支持体に浸透してしまい、インクジェット記録層中の接着剤量が減ってしまい、この結果、光沢性が劣る傾向になると考えられる。
抄紙装置としては特に限定するものではなく、公知の長網抄紙機、円筒抄紙機、ヤンキー抄紙機、ツインワイヤーフォーマー、傾斜ワイヤーフォーナーなど、ドライヤーとしては、ヤンキードライヤー、他筒式ドライヤーなどが各種公知の抄紙機が使用できる。カレンダー処理など、公知の処理も可能である。
[非透気性支持体]
非透気性支持体(低透気性支持体を含む)としては、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類、金属フォイル、合成紙などのシート類が例示されるが、写真調のインクジェット記録用シートにするためには、アート紙、コート紙、バライタ紙、印画紙原紙、合成紙、ポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましい。中でも、合成紙、ポリエチレン樹脂被覆紙が好ましく、とりわけ、酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂被覆紙、所謂RC紙からなる支持体は、仕上がった外観が写真印画紙と同等であるため、特に好ましく用いられる。また、ゼラチンが塗工された支持体も好ましい。
ポリエチレン樹脂被覆紙では、ポリエチレン層の厚みは3〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましい。ポリエチレン層の厚みが3μm未満であると、樹脂被覆時にポリエチレンの穴等の欠陥が多くなりやすく、厚みのコントロールが困難になる場合が多く、平滑性も得にくくなる。一方、50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。
「下塗り層」
支持体は、下塗り層を有していても良い。下塗り層は、インク受容層に着弾したインクの着色成分と溶媒成分をいち早く分離するための吸収層、インク受容層で吸収しきれないインク溶媒を吸収する為の吸収層、インク溶媒を支持体に浸透を防ぐ為の遮蔽層、記録シートの光沢性を高める為に支持体表面を平滑にする平滑化層、記録シートの色調を調節するための着色層などが例示できる。本発明では、特に断らない限り、下塗り層を含めて支持体という。
「インク受容層」
本発明では、支持体上に、気相法シリカと、ケン化度85モル%以上、重合度3000以上のポリビニルアルコールと、架橋剤としての硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニルのうち少なくとも1種とを含有するインク受容層用塗液を塗工、乾燥することによりインク受容層を形成する。
[架橋剤]
インク受容層形成用塗液中に含まれる架橋剤としては、ポリビニルアルコールと架橋する例えば、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物、ジルコニウム化合物等が挙げられるが、本発明では、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル及び、ヒドロキシ塩化ジルコニルから選ばれる少なくとも1種を使用する。これらの架橋剤と、特定のポリビニルアルコールと組み合わせた場合、インク受容層形成用塗布液の増粘またはゲル化の進行が適度に速いためか、インク吸収性を損なうことなく、インク受容層のひび割れ、折れ割れを改善することができ、かつインクジェットプリンタで印字した際のインク耐水性が良好なとなる。架橋剤の含有量は、ZrO換算で0.1〜5g/mであることが好ましく、0.1〜3g/mになるように調整することがより好ましい。
なお、硝酸ジルコニルを使用する場合は、支持体に炭酸カルシウム等のカルシウムがあると光により黄変しやすいので、配合量を減らすことが好ましい。具体的には、紙支持体の填料として炭酸カルシウムの使用を控え、カオリンやタルク等を用いる、下塗り層に炭酸カルシウムやサチンホワイトの使用を控え、カオリンやシリカ等を用いると良い。
[気相法シリカ]
インク受容層形成用塗液に用いる気相法シリカは、原料となる四塩化珪素の純度を蒸留により比較的高くすることができ、さらにクローズドシステムにより四塩化珪素を気相中で燃焼加水分解して製造可能なため、製造工程においても不純物の混入を防ぐことが可能である。このため、優れた透明性を得るために適している。そのため、純度の高い気相法シリカを用いることにより、高印字濃度、高光沢を得ることができる。
これら気相法シリカの比表面積は、50〜500m/g(窒素吸着法による)であることが好ましい。その比表面積が50m/g未満になると光散乱が強くなり、透明性が低下し、記録濃度が低下する恐れがある。また、500m/gを越えると、インク吸収性が著しく低下するため、180〜400m/gがより好ましい。
これら気相法シリカの粒子径は、一次粒子径が5〜30nmであることが好ましく、5〜20nmであることが光沢性の点でより好ましい。気相法シリカは、一次粒子が凝集して形成された二次凝集粒子の状態で使用することもできる。二次凝集粒子の平均二次粒子径は、特に光沢の観点から、0.7μm以下であることが好ましい。ここでいう平均二次粒子径は、気相法シリカの水分散液を、濃度1%に調整し、25℃の条件で、動的光散乱法により求めた数平均二次粒子径である。本発明では測定装置は、濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000(大塚電子株式会社製)を使用した。
これら気相法シリカは、現在市販されているものの例としては日本アエロジル社の各種のアエロジルが該当される。前記の気相法により合成されたシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよいし、また、Al、Ca、Mg及びBa等で処理されたものであってもよいし、表面の一部を疎水化したものであってもよい。
[シランカップリング剤]
気相法シリカは、市販のシランカップリング剤を用いて、その表面を改質してもかまわない。シランカップリング剤としては、アルコキシシラン、ビニルアルコキシシラン、エポキシアミノシラン、スチリルアルコキシシラン、メタクリロキスアルコキシシラン、アクリロキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシランが挙げられる。その中でも、媒染剤としての作用効果を発揮する目的でその一端にアミノ基を有するアミノアルコキシシランが好ましい。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ−プロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル―ブチリデン)プロピルアミン、およびN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
[ポリビニルアルコール]
本発明は、インク受容層形成用塗液に配合するバインダーとして、ケン化度85モル%以上、重合度3000以上のポリビニルアルコールを使用する。ケン化度が85%に満たないポリビニルアルコールの場合、架橋剤との反応が弱く、得られるインク受容層のひび割れ制御が困難となってしまう。また、97%以上のケン化度であるポリビニルアルコールは、架橋剤と十分な反応が得られ、ひび割れ制御が容易となるため好ましい。また、インク吸収性、ひび割れ抑制の点から、重合度が3000以上である必要があるポリビニルアルコールことが好ましい。重合度が3000未満では、得られるインク受容層のひび割れ制御が困難となる傾向にある。なお、上限は限定しないが5000を超えるものは、実用上、入手が困難である。
上記ポリビニルアルコールは、気相法シリカ100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部の範囲で使用される。ポリビニルアルコールと架橋剤との質量比としては、20:1〜1:20が好ましく、10:1〜1:10がより好ましい。質量比をこの範囲内とすることにより、インク受容層のひび割れを抑制でき、インク耐水性およびインク吸収性により優れるインクジェット記録用シートが得られる。
[媒染剤]
本発明では、インク耐水性及び定着性の向上を図るために、インク受容層形成用塗液に媒染剤が含有されるのが好ましい。媒染剤は、有機媒染剤と無機媒染剤が挙げられる。有機媒染剤及び無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用してもよい。
有機媒染剤は、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性のポリマー媒染剤が挙げられる。これら媒染剤は、色材受容層のインク吸収性良化の観点から、平均分子量が500〜500000の化合物が好ましい。無機媒染剤としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。中でも、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
媒染剤含有量は、インク受容層の全固形分質量に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
[その他の成分]
インク受容層形成用塗液には、本発明の目的が達成される範囲内において、水分散性樹脂が含まれていてもよい。水分散性樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックスなどが挙げられる。
また、インク受容層形成用塗液には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれであってもよい。前記界面活性剤の中でも、インクジェットプリンタのインクとの親和性が高いことから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、さらには、ノニオン系界面活性剤の中でも、アセチレングリコール系、アルキルエーテル系界面活性剤が好ましい。
さらに、インク受容層形成用塗液には、各種分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、有色顔料等の各種助剤が含まれていてもよい。
[架橋剤の添加方法]
架橋剤の添加方法は特に限定しないが、気相法シリカとケン化度85モル%以上のポリビニルアルコールを含有する液と架橋剤を含有する液とを混合するか、気相法シリカと架橋剤を含有する液とケン化度85モル%以上のポリビニルアルコールを含有する液と混合するとよい。混合の際、塗液中の気相法シリカが凝集を生じる傾向にあるので、混合には、インラインミキサーを用いて混合するとよい。気相法シリカが媒染剤で表面処理したものである場合、特にカチオン性ポリマーによって表面処理された気相法シリカの場合、特に架橋剤との凝集を起こしやすいため、その気相法シリカをポリビニルアルコールで予め被覆させたのちに、架橋剤を添加することが好ましい。
[インラインミキサー]
本発明では、前記気相法シリカ、ポリビニルアルコールを含有する液と架橋剤、または、前記気相法シリカ、架橋剤を含有する液と前記ポリビニルアルコールとを塗工直前にインラインミキサーを用いて混合したインク受容層形成用塗液を塗工してもかまわない。この方法を用いた場合、インク受容層形成用塗液の粘度変化やポットライフを気にすることなく塗工することが可能である。インラインミキサーは、インライン添加、混合を行うための装置であり、例えば、スタチックミキサー(ノリタケ社製、東レエンジニアリング社製)等のインラインミキサーが好ましい。
[塗工方法]
インク受容層形成用塗液の塗工方法としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーター等が挙げられる。
インク受容層形成用塗液の塗工量は、支持体が透気性支持体の場合には、インク受容層の塗工量が3〜25g/mになる量であることが好ましく、非透気性支持体の場合には、10〜40g/mになる量であることが好ましい。塗工量が前記下限値以上であれば、充分なインク吸収性および画質を確保することができ、前記上限値以下であれば、インク受容層のひび割れを抑制できる。また、塗工量が前記範囲であれば、銀塩写真に匹敵する画質を得ることができる。なお、透気性支持体を用いた場合、インク受容層形成用塗液をキャスト法で乾燥仕上げすることもでき、またインク受容層形成用塗液を乾燥後、再湿潤液で湿潤させた後、キャスト法で乾燥仕上げすることも出来る。
[光沢層]
本発明では、光沢を高めるために、インク受容層上に、微粒子を含有する光沢層を形成してもよい。光沢層中の微粒子としては特に限定されないが、コロイダルシリカ、気相法シリカ、アルミナ酸化物は、優れた光沢が得られるので好ましい。
光沢層は、光沢発現を主目的とするため、インク定着機能は必ずしも必要とするものではないが、カチオン性の微粒子を選択することにより、定着性を高めることができる。カチオン性の微粒子としては、カチオン変性されたコロイダルシリカや気相法シリカ、またはアルミナ酸化物等が好ましい。アルミナ酸化物の中では、気相法(フュームド)アルミナ酸化物がより好ましい。
微粒子の形態は、コロイド状であることが好ましい。単分散体であっても凝集粒子分散体であってもよいが、高印字濃度、高光沢を得るために単分散体、もしくは凝集粒子分散体のなかでも粒子径の小さいものが主に好ましく用いられる。具体的には、平均一次粒子径3〜100nm、平均(二次)粒子径700nm以下の粒子から選択することが好ましい。なお、ここでいう平均(二次)粒子径は、顔料の水分散液を、濃度1%に調整し、25℃の条件で、動的光散乱法により求めた数平均二次粒子径である。
光沢層は、インク吸収性を阻害しない限り、前記水分散性樹脂やゼラチン、セルロース類、デンプン、前記ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を適宜含有してもよい。また、必要に応じて、前記媒染剤を含有することもできる。さらに、各種分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、有色顔料等の各種助剤が含まれていてもよい。
光沢層の形成方法としては、例えば、インク受容層上に、微粒子と溶媒とを含有する光沢層形成用塗液を塗工する、或いはインク受容層形成用塗液と光沢層形成用塗液を同時多層塗工するとよい。
また、透気性支持体を用いている場合、光沢層用形成塗液が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得る、所謂キャスト法により仕上げることもできる。この場合、鏡面ドラムから剥離しやすくするために、光沢層形成用塗液中に各種離型剤を適宜添加してもよい。離型剤の添加量は微粒子100質量部に対して0.5〜10質量部程度が好ましい。
なお、支持体が非透気性支持体や低透気性支持体の場合、光沢層形成用塗液を塗工後すぐ、或いは塗工しながら鏡面ドラムに押し当て(例えば、WO03/039881号公報に示されるようにニップする)、後工程の乾燥装置で乾燥することもできる。
光沢層形成用塗液の固形分塗工量は、0.1〜10g/mの範囲が好ましく、0.2〜5g/mがより好ましく、0.5〜2g/mがさらに好ましい。塗工量が少なすぎると、塗膜が薄くなり光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が多すぎると、インク吸収速度が著しく低下し、また、透明性が低下するおそれがある。
[その他の塗工層]
本発明は、透気性支持体のカールや搬送性などを改良する目的で裏面層を設けることが可能である。また、写真の風合いを出すために裏面層にポリエチレン被覆層を設けても良い。
また、支持体の他面には、インクジェット記録、感熱記録、熱転写記録、磁気記録などの記録適性を付与する公知の記録層、粘着剤、接着剤などの接着剤層を形成してもよい。また、別の支持体と貼り合せたりすることも可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ質量部および質量%のことである。
(シリカゾルA)
市販シランカップリング剤(商品名:KBM−603、信越化学工業社製)8部、L−乳酸(商品名:90%発酵乳酸、昭和化工社製)20部、市販気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:アエロジルA200、比表面積200m/g)をサンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、水分散液を調製した。
(シリカゾルB)
市販気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:アエロジルA200、比表面積200m/g)にジアリルジメチルアンモニウムクロライド(商品名:シャロールDC−902P、第一工業製薬社製)10部を添加し、をサンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、水分散液を調製した。
(支持体A)
木材パルプ(LBKP:フリーネス=450mlCSF,Ze−E−P−Dの4段シーケンスで製造した塩素フリーパルプ)100部に、填料(炭酸カルシウムとタルクを7:3で混合したもの)を7部、市販サイズ剤0.04部、硫酸バンド0.45部、澱粉1.00部、歩留向上剤少々よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量175g/mの上質紙を得た後、ドライヤー、サイズプレス、100kg/cmの線圧でスーパーカレンダー処理を施し、紙支持体とした。前記サイズプレス工程にはカルボキシル変性ポリビニルアルコールとデンプン(商品名:エースA、王子コーンスターチ(株)製)を4:1で混合溶解させたもの6.5%、外添サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(商品名:SPK−287、荒川化学工業(株)製)0.5%を含むサイズプレス液を使用した。得られた紙支持体の灰分は5%、厚さは200μmであった。
(支持体B)
前記支持体Aの両面にコロナ放電処理を施した後、バンバリーミキサーで混合分散した下記ポリオレフィン樹脂組成物1を、支持体Aのフェルト面側に、塗工量25g/mとなるようにT型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)により塗工した。また、下記ポリオレフィン樹脂組成物2を、支持体Aのワイヤー側に、塗工量20g/mとなるように前記溶融押出し機で塗工した。その後、フェルト面側を鏡面のクーリングロール、ワイヤー面側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P8138)が93%の樹脂被覆した支持体Bを得た。
[ポリオレフィン樹脂組成物1]
直鎖型低密度ポリエチレン(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(商品名:Irganox 1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.03部、群青(商品名:青口群青NO.2000、第一化成社製)0.09部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.3部を混合して、ポリオレフィン樹脂組成物1を得た。
[ポリオレフィン樹脂組成物2]
高密度ポリエチレン(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65部、低密度ポリエチレン(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)35部を溶融混合して、ポリオレフィン樹脂組成物2を得た。
(支持体C)
前記支持体Aの填料(炭酸カルシウムとタルクを7:3で混合したもの)を填料(炭酸カルシウムとタルクを1:9で混合したもの)に変更して、紙支持体とした。得られた紙支持体の灰分は5%、厚さは200μmであった。
(支持体D)
前記支持体Aの填料(炭酸カルシウムとタルクを7:3で混合したもの)を填料(タルク)に変更して、紙支持体とした。得られた紙支持体の灰分は5%、厚さは200μmであった。
(支持体E)
前記支持体Aの填料(炭酸カルシウムとタルクを7:3で混合したもの)を填料(焼成カオリン)に変更して、紙支持体とした。得られた紙支持体の灰分は5%、厚さは200μmであった。
(支持体F)
前記支持体Aの填料(炭酸カルシウムとタルクを7:3で混合したもの)を添加せずに、紙支持体とした。得られた紙支持体の厚さは200μmであった。
実施例1
支持体B上に、下記インク受容層形成用塗液をダイコーターで塗工量が20g/mとなるように塗工、乾燥してインクジェット記録用シート1を得た。
(インク受容層形成用塗液の調製)
シリカゾルA100部と、架橋剤としてヒドロキシ塩化ジルコニル(商品名:ジルコゾールZC−2、第一稀元素化学社製)をZrO濃度に換算して6部を配合した液と、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98%、クラレ社製)20部配合した液を、インラインミキサーで混合して、インク受容層形成用塗液とした。
実施例2
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤として塩化ジルコニル(商品名:ジルコゾールZC−20、第一稀元素化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート2を得た。
実施例3
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤として硝酸ジルコニル(商品名:ジルコゾールZN、第一稀元素化学社製)をZrO濃度に換算して3部を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート3を得た。
実施例4
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤として硝酸ジルコニル(商品名:ジルコゾールZN、第一稀元素化学社製)、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98%、クラレ社製)の代わりにポリビニルアルコール(商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88%、クラレ社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート4を得た。
比較例1
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤としてホウ酸を4部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98%、クラレ社製)の代わりにポリビニルアルコール(商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88%、クラレ社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート5を得た。
比較例2
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤としてホウ酸を4部用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートの製造を試みた。しかし、インク受容層が折り割れを起こしため、インクジェット記録用シートの製造を中止した。
比較例3
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤として酢酸ジルコニル(商品名:ジルコゾールZA−30、第一稀元素化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートの製造を試みた。しかし、インク受容層が剥離を起こしたため、インクジェット記録用シートの製造を中止した。
比較例4
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤として炭酸ジルコニルアンモニウム(商品名:ジルコゾールAC−20、第一稀元素化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートの製造を試みた。しかし、インラインミキサー内での増粘が激しいため、インクジェット記録用シートの製造を中止した。
比較例5
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98%、クラレ社製)の代わりにポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、重合度:1700、ケン化度:98%、クラレ社製)とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートの製造を試みた。しかし、インク受容層が剥離を起こしたため、インクジェット記録用シートの製造を中止した。
比較例6
実施例1のインク受容層形成用塗液の調製において、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98%、クラレ社製)の代わりにアセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ−410、重合度:2400、ケン化度:98%、日本合成化学工業社製)とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート6を得た。
比較例7
実施例1において、支持体B上に、架橋剤として硼砂溶液1.0g/mを塗工し、乾燥しないうちにインク受容層形成用塗液で架橋剤として用いたヒドロキシ塩化ジルコニルを抜いて塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート7を得た。
実施例5
シリカゾルB100部に、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98%、クラレ社製)20部を添加し、十分に攪拌してポリビニルアルコールを被覆し、次いで、架橋剤としてヒドロキシ塩化ジルコニル(商品名:ジルコゾールZC−2、第一稀元素化学社製)をZrO濃度に換算して6部添加してインク受容層形成用塗液を調製した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート8を得た。
実施例6
実施例1において、支持体Bの代わりに支持体Aに変更し、インク受容層形成用塗液の塗工量を20g/mから15g/mとなるように変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シート9を得た。
実施例7
(光沢層を有するインクジェット記録用シートの作成)
カチオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK、日産化学工業社製)100部にポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、重合度:1700、ケン化度:98%、クラレ社製)を10部、カチオン性離型剤(商品名:ペルトールN856、近代化学社製)を1部混合し、5%に希釈してシリカ分散液を調製した。次いで、このシリカ分散液を実施例1で得られたインクジェット記録用シート1のインク受容層上に塗工した。そして、湿潤状態にあるうちに、塗工面を、表面温度100℃としたクロム鍍金仕上げの鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接して光沢層を形成、乾燥してインクジェット記録用シート10を得た。光沢層の厚みは0.5μmであった。
実施例8
実施例6において、インク受容層形成用塗液のヒドロキシ塩化ジルコニルの代わりに架橋剤として硝酸ジルコニル(商品名:ジルコゾールZN、第一稀元素化学社製)をZrO濃度に換算して6部を用いた以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シート11を得た。
実施例9
実施例8において、支持体Aの代わりに支持体Cに変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シート12を得た。
実施例10
実施例8において、支持体Aの代わりに支持体Dに変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シート13を得た。
実施例11
実施例8において、支持体Aの代わりに支持体Eに変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シート14を得た。
実施例12
実施例8において、支持体Aの代わりに支持体Fに変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シート15を得た。
(評価方法)
上述した実施例および比較例のインクジェット記録用シートにおけるインク受容層のひび割れ、折り割れ、耐水性および75度表面光沢度、インク吸収性を以下のように評価した。その結果を表1に示す。
(インク受容層のひび割れ)
インク受容層のひび割れの程度を目視により評価した。
◎:ひび割れがまったく見られない。
○:ひび割れは見られないが面質が若干劣る。実用上問題ない。
△:部分的にひび割れが発生するが、実用上問題ない。
×:ひび割れが発生し、実用上問題あり。
(インク受容層の折り割れ)
インクジェットプリンタ(ヒューレット・パッカード社製、Photosmart C8180)により、ブラックベタ印字を行い、ベタ印字部のインク受容層の折り割れの程度を目視により評価した。インクカートリッジとしては、ヒューレット・パッカード社製117インク(黒、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー)を用いた。
◎:折り割れがまったく見られない。
×:折り割れが発生し、実用上問題あり。
(インク耐水性)
インクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、PM−A840)により、黒ベタ印字および文字印字を行い、黒ベタ印字部および文字印字部の上にイオン交換水をスポイトで1滴滴下して、放置、乾燥後に、黒ベタ印字部および文字印字部のインクのにじみの程度を目視により評価した。なお、インクカートリッジとしては、セイコーエプソン社製ICBk32、ICC32、ICM32、ICY32、ICLC32およびICLM32を使用した。
○:黒ベタ印字部および文字印字部ともほとんどにじまない。
×:黒ベタ印字部および文字印字部ともにじみ、実用上問題あるレベル。
(75度表面光沢度)
JIS−P8142に記載の方法により、インクジェット記録用シートのインク受容層表面の75度光沢度を測定した。
(インク吸収性)
インクジェットプリンタ(キヤノン社製、PIXUS iP4300)により、グリーンベタ印字を行い、ベタ印字部のインク吸収の程度を目視により評価した。インクカートリッジとしては、キヤノン社製BCI−7Bk、BCI−7C、BCI−7M、BCI−7YおよびBCI−3eBkを用いた。
◎:ベタ印字部にムラが見られず、良好な状態。
○:ベタ印字部にムラが若干見られるが、殆ど問題にはならないレベル。
Figure 2010179646
表1の結果からも明らかなように、本発明によって、得られたインクジェット記録用シートは、インク受容層のひび割れ、折り割れが抑制され、かつインク耐水性が優れていた。
(評価方法)
上述した実施例および比較例のインクジェット記録用シートにおけるインク受容層の耐光性を以下のように評価した。その結果を表2に示す。
(耐光性)
得られたインクジェット記録用シートを耐光性試験機(スーパーキセノンウェザーメーターSX−75型、スガ試験機製)を用いて以下の条件で処理を行い、シートの黄変の程度を目視により評価した。
(処理条件)
照射量:80w/m
照射時間:72時間
照射環境:24℃、60%RH
(目視評価)
◎:黄変がまったく見られない。
○:ほとんど黄変が見られない。実用上問題ない。
△:わずかに黄変が見られるが、実用上問題ない。
×:黄変が見られるが、保存条件を制限すれば、記録シートとして問題ない。
さらに測色試験機(分光白色度測色計SC−10WN型、スガ試験機製)を用いて色差(ΔE)を測定した。なお、ΔEは、以下の式により算出した値である。
(式)
ΔE=√(L* 1−L* 2+(a* 1−a* 2+(b* 1−b* 2
なお、L* 1、a* 1、b* 1は耐光性試験処理前のL*、a*、b*値であり、L* 2、a* 2、b* 2は耐光性試験処理後のL*、a*、b*値である。

Figure 2010179646
表2の結果からも明らかなように、硝酸ジルコニルを用いる場合、支持体の炭酸カルシウムの配合量を少なくすると、耐光性が優れたインクジェット記録用シートとなる。
本発明のインクジェット記録用シートの製造方法では、支持体上に塗工されたインク受容層形成用塗液中のポリビニルアルコールと架橋剤の増粘またはゲル化の進行が適度に速いことにより、インクジェット記録用シートのひび割れや折り割れを抑制することが出来る。また、インク受容層形成用塗液中の架橋剤が媒染剤でもあることから、インクジェット記録用シートの耐水性を向上することが出来る。
本発明は、インク受容層のひび割れとC型給紙のインクジェットプリンタで生じていた記録時の折り割れを抑制し、光沢、画質、インク吸収性のいずれもが優れ、さらに耐水性に優れたインクジェット記録用シートを提供することができる。

Claims (4)

  1. 支持体上に、気相法シリカ、及びポリビニルアルコールを含有するインク受容層形成用塗液を塗工、乾燥してインク受容層を形成するインクジェット記録用シートの製造方法において、ポリビニルアルコールが、ケン化度85モル%以上、且つ重合度3000以上であり、インク受容層形成用塗液が、架橋剤として、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニル、ヒドロキシ塩化ジルコニルのうち少なくとも1種含有することを特徴とするインクジェット記録用シートの製造方法。
  2. 気相法シリカが、シランカップリング剤によって表面処理されている気相法シリカである請求項1記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
  3. インク受容層形成用塗液が、気相法シリカとケン化度85モル%以上のポリビニルアルコールを含有する液と架橋剤を含有する液とを、又は気相法シリカと架橋剤を含有する液とケン化度85モル%以上のポリビニルアルコールを含有する液とをインラインミキサーを用いて混合した塗液である請求項1又は2記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
  4. 気相法シリカが、カチオン性ポリマーによって表面処理された気相法シリカであり、これを前記ポリビニルアルコールで被覆させたのちに、前記架橋剤を添加する請求項1記載のインクジェット記録用シートの製造方法。
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