JP4969489B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
<1> 原紙の両側がポリオレフィン樹脂で被覆された樹脂被覆紙上に、前記樹脂被覆紙から最も離れた最上層として設けられ、シリカと芳香族環を有するカチオンポリマーとを含む第1の多孔質層と、前記第1の多孔質層と前記樹脂被覆紙との間に設けられ、シリカと水溶性アルミニウム化合物と硫黄含有化合物とを含み、かつ芳香族環を有するカチオンポリマーの含有割合がシリカに対して4質量%以下である少なくとも1層の第2の多孔質層と、を有するインクジェット記録媒体である。
<2> 前記第1及び第2の多孔質層の少なくとも一方は、前記シリカが気相法シリカ又はコロイダルシリカであることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録媒体である。
<4> 前記硫黄含有化合物が、スルホ基を有する化合物であることを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体である。
<5> 前記水溶性アルミニウム化合物がポリ塩化アルミニウムであることを特徴とする前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体である。
<6> 前記第2の多孔質層は、前記シリカが前記水溶性アルミニウム化合物を用いて分散されて含有されたことを特徴とする前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体である。
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体として原紙の両側がポリオレフィン樹脂で被覆された樹脂被覆紙を用い、樹脂被覆紙上に、樹脂被覆紙から最も離れた最上層としての第1の多孔質層と、該第1の多孔質層と樹脂被覆紙との間に設けられた少なくとも1層の第2の多孔質層とを含む2層以上の多孔質層を設けて構成されたものである。
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体として樹脂被覆紙を用いて構成される。樹脂被覆紙は、原紙の両側にポリオレフィン樹脂を膜状に設けて構成されたものである。
前記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレンが挙げられる。中でも、ポリエチレンが特に好ましい。
(a)引っ張り強さ:JIS P 8113で規定される強度で、縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196N。
(b)引き裂き強度:JIS P 8116で規定される強度で、縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45N。
(c)圧縮弾性率:9.8kN/cm2。
(d)不透明度:JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%。
(e)白さ(JIS Z 8727で規定されるL*、a*、b*):L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2。
(f)クラーク剛直度(インクジェット記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度):50〜300cm3/100。
(g)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%である。
(h)多孔質層が形成される側の光沢度(75度鏡面光沢度)が10〜90%である。
本発明のインクジェット記録媒体を構成する第1の多孔質層は、前記樹脂被覆紙から最も離れた最上層をなす多孔質層であり、シリカと、芳香族環を有するカチオンポリマーとを少なくとも用いて構成されている。第1の多孔質層は、必要に応じて、さらに他の成分を含んでもよい。
本発明における第1の多孔質層は、シリカの少なくとも1種を含有する。シリカを含むので、光沢、インク吸収性、印画濃度を良好にすることができる。シリカとしては、気相法シリカ、コロイダルシリカなどを挙げることができる。シリカは、1種単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
また、特にコロイダルシリカを用いる場合には、固形分塗布量を0.1〜2g/m2以下の薄膜が得られる量にすると、高いインク吸収性を維持しながら高い光沢性と良好な手触り感が得られ、特に顔料インクで記録したときには高濃度部のクスミ(光沢低下)を改善できる。コロイダルシリカの固形分塗布量の下限は、0.05g/m2である。コロイダルシリカの固形分塗布量が0.05g/m2以上であると、高い光沢と良好な手触り感を確保できる。コロイダルシリカを用いる場合、コロイダルシリカの固形分塗布量は、より好ましくは0.1〜1.2g/m2である。
本発明における第1の多孔質層は、芳香族環を有するカチオンポリマーの少なくとも1種を含有する。最表層に疎水性のカチオンポリマーが存在するので、外部から与えられるインク中の色材(特に染料)との間で相互作用しやすくなり、短時間経時での色変わりが抑制される。
本発明における第1の多孔質層は、バインダーの少なくとも1種を用いて構成することができる。バインダーとしては、疎水性バインダー及び親水性バインダーが挙げられる。好ましくは、親水性バインダーである。
親水性バインダーは、1種単独で用いるのみならず、2種以上を併用してもよい。
上記のうち、好ましい親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)である。
本発明における第1の多孔質層は、前記バインダーを架橋する架橋剤の少なくとも1種を用いて構成することができる。架橋剤は、PVAや場合により他のバインダーを架橋する化合物であり、バインダーとの関係で好適なものを適宜選択すればよい。架橋剤は、多孔質層を形成する際の造膜性を改善し、層の耐水性、インクのドット再現性や強度を高めることができる。
架橋剤の第1の多孔質層中における含有量は、バインダーの種類、架橋剤の種類、シリカの種類やバインダーに対する比率等により変化するが、例えば、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合には、通常はポリビニルアルコール1g当たり5〜500mgが好ましく、より好ましくは10〜300mgである。
多孔質層形成用の塗布液の調製には、一般に溶媒が用いられる。
溶媒には、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等を挙げることができる。
本発明における第1の多孔質層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分に加えて、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、アニオン、カチオン又は非イオン性の各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤などの他の成分を更に用いて構成することができる。
本発明のインクジェット記録媒体を構成する第2の多孔質層は、前記第1の多孔質層と前記樹脂被覆紙との中間位置に配された多孔質層であり、シリカと、水溶性アルミニウム化合物と、硫黄含有化合物とを少なくとも用いて構成されている。第2の多孔質層は、必要に応じて更に他の成分を含んでもよい。また、第2の多孔質層は、単一の層からなる形態又は2層以上の積層からなる形態のいずれに構成されてよい。
本発明における第2の多孔質層は、シリカの少なくとも1種を含有する。シリカを含むので、光沢、インク吸収性、印画濃度を良好にすることができる。第2の多孔質層に含有するシリカとしては、既述の第1の多孔質層と同様に、気相法シリカ、コロイダルシリカなどを挙げることができる。シリカは、1種単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
シリカの第2の多孔質層中における含有量としては、3〜30g/m2が好ましく、5〜15g/m2がより好ましい。シリカの含有量が前記範囲内であると、多孔質を得やすく、インク吸収性、光沢を確保することができる。
本発明における第2の多孔質層は、水溶性アルミニウム化合物の少なくとも1種を含有する。水溶性アルミニウム化合物を含有することにより、水溶性染料に対するオゾンガスによる褪色防止に大きな効果があり、かつ、耐水性が向上する。
ここで、「水溶性」とは、20℃の水に1質量%以上溶解することをいう。
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・・式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 〔0<m<3n〕 ・・・式3
本発明における第2の多孔質層は、硫黄含有化合物の少なくとも1種を含有する。硫黄含有化合物を含むので画像のオゾン耐性の向上に寄与し、特にこの硫黄含有化合物を第1の多孔質層ではなく第1の多孔質層の下層に位置する第2の多孔質層に含むので、グレー色調などの中間色の色調変化(色変わり)の抑制効果を高く保ちながら、オゾン耐性を高めることができる。
具体的な好ましい化合物としては、例えば、メタンスルホン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、1−へキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−メチル−2−プロペンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、タウリン、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸、スルホ酢酸、ベンゼンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸が挙げられる。
中でも、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸が特に好ましい。
[R4は、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5はアルキレン基を表し、Qは連結基を表す。R7、R8はアルキレン基を表し、Lは1又は2を表し、Pは1又は2を表す。R2、R3、m、nは前記一般式(2)中のR2、R3、m、nと同義である]
また、R1とR3は同一でも異なってもよく、結合して環を形成してもよい。
また、本発明に係るスルホキシド系化合物が油溶性である場合、乳化分散あるいは有機溶剤として添加することで、微粒子及び水溶性樹脂を含有する塗布液あるいは塩基性溶液に添加して使用することが好ましい。
本発明における第2の多孔質層は、既述の第1の多孔質層と同様に、バインダーの少なくとも1種を用いて構成することができる。バインダーとしては、疎水性バインダー及び親水性バインダーが挙げられる。好ましくは、親水性バインダーである。バインダーの詳細については、既述の第1の多孔質層における場合と同様である。
本発明における第2の多孔質層は、既述の第1の多孔質層と同様に、バインダーを架橋する架橋剤の少なくとも1種を用いて構成することができる。架橋剤の詳細については、既述の第1の多孔質層において既述した通りである。
第2の多孔質層形成用の塗布液の調製には、一般に溶媒が用いられる。
溶媒には、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。塗布に用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等を挙げることができる。
本発明における第2の多孔質層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分に加えて、既述の第1の多孔質層と同様の公知の各種添加剤などの他の成分を更に用いることができる。
また、第2の多孔質層においては、「芳香族環を有するカチオンポリマー」の第2の多孔質層中における含有割合を、第2の多孔質層に含まれるシリカに対して4質量%以下とする。この含有量は、好ましくは2%以下であり、更に好ましくは0%(ゼロ%)である。芳香族環を有するカチオンポリマーが第2の多孔質層のシリカに対して4%より多く含有している場合は、耐オゾン性が悪化してくるので好ましくない。
前記溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤が挙げられ、例えば、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル等が好ましい。
前記その他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤、等が挙げられる。
また、本発明のインクジェット記録媒体に対して、水性インクのpHは好ましくは5〜10であり、特に好ましくは6〜9である。
−上層(最上層)用シリカ分散液の調製−
イオン交換水8200g、上記の例示化合物P−1(スチレン系のカチオン性ポリマー)40質量%水溶液300g、及び気相法シリカ(アエロジル300、日本アエロジル(株)製)1500gを混合してディゾルバーで20分間撹拌し、シリカ粗分散液を調製した。撹拌終了後、シリカ粗分散液を高圧分散機(アルティマイザーHJP25005、スギノマシン(株)製)にて微分散を行ない、固形分15質量%の透明な上層用のシリカ分散液を調製した。このとき、圧力、吐出量はそれぞれ、100MPa、600g/minとした。その後、得られたシリカ分散液を45℃で22時間放置した。22時間経過直後のシリカ分散液の平均粒子径(二次粒子の平均粒径)は0.11μmであった。
イオン交換水8370g、シリカ分散剤(シャロールDC902P、第一工業製薬(株)製;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド)131g、及び気相法シリカ(アエロジル300、日本アエロジル(株)製)1500gを混合してディゾルバーで20分間撹拌し、シリカ粗分散液を調製した。撹拌終了後、シリカ粗分散液を高圧分散機(アルティマイザーHJP25005、スギノマシン(株)製)にて微分散を行ない、固形分15質量%の透明な下層用のシリカ分散液を調製した。このとき、圧力、吐出量はそれぞれ、100MPa、600g/minとした。その後、得られたシリカ分散液を30℃で22時間放置した。22時間経過直後のシリカ分散液の平均粒子径(二次粒子の平均粒径)は0.1300μmであった。なお、平均粒子径の測定は前記同様に行なった。
(上層形成用塗布液の調製)
前記上層用のシリカ分散液1000g、7.5質量%ホウ酸水溶液89g、59質量%AP−7(日本アルコール(株)製)320g、ポリビニルアルコール(PVA−235(ケン化度88%、平均重合度3500)、株式会社クラレ製)の7質量%水溶液523g、及び10質量%界面活性剤水溶液(スワノールAM2150、日光ケミカル(株)製)12gを混合してスリーワンモーターで10分間撹拌し、上層(最上層)形成用塗布液を調製した。
前記下層用シリカ分散液1000g、7.5質量%ホウ酸水溶液89g、アルファイン83(大明化学工業(株)製、ポリ塩化アルミニウム水溶液)56g、59質量%AP−7(日本アルコール(株)製)355g、ポリビニルアルコール(PVA−235(ケン化度88%、平均重合度3500)、株式会社クラレ製)の7質量%水溶液523g、10質量%の界面活性剤水溶液(スワノールAM2150、日光ケミカル(株)製)12g、及びナフタレンジスルホン酸(下記化合物1)1質量%水溶液83gを混合してスリーワンモーターで10分間撹拌し、下層形成用塗布液を調製した。
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して1質量%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2なるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100%の樹脂に対して、10%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
・石灰処理ゼラチン ・・・100部
・スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 ・・・2部
・クロム明ばん ・・・10部
上記より得られた上層形成用塗布液及び下層形成用塗布液を30℃に保温し、これらを上記の下引き層が形成された支持体の下引き層上に、スライドビード塗布装置により同時重層塗布した。塗布は、上層形成用塗布液及び下層形成用塗布液の各々についてシリカ量が9g/m2となるように行なった。その後、塗布膜の膜面温度が20℃になるように2分間セット乾燥を行ない、その後さらに80℃で10分間乾燥させて多孔質膜とし、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、下層形成用塗布液の調製に用いたナフタレンジスルホン酸1質量%水溶液83gを、下記のチオエーテル化合物(下記化合物2)4.2gに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、下層用シリカ分散液の調製に用いたシャロールDC902P(131g)を、アルファイン83(大明化学工業(株)製;塩基性ポリ塩化アルミニウム)563g及びイオン交換水を7938gに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例2において、下層用シリカ分散液の調製に用いたシャロールDC902P(131g)を、アルファイン83(大明化学工業(株)製;塩基性ポリ塩化アルミニウム)563g及びイオン交換水を7938gに代えたこと以外は、実施例2と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
−上層(最上層)用コロイダルシリカ分散液の調製−
イオン交換水2200g、上記の例示化合物P−1(スチレン系のカチオン性ポリマー)40質量%水溶液300g、及びコロイダルシリカ分散液7500g(スノーテックスOL、日産化学工業(株)製)を混合してディゾルバーで20分間撹拌し、シリカ粗分散液を調製した。撹拌終了後、シリカ粗分散液を高圧分散機(アルティマイザーHJP25005、スギノマシン(株)製)にて微分散を行ない、固形分15質量%の透明なコロイダルシリカ分散液を調製した。このとき、圧力、吐出量はそれぞれ、100MPa、600g/minとした。その後、得られたシリカ分散液を45℃で22時間放置した。22時間経過直後のシリカ分散液の平均粒子径(二次粒子の平均粒径)は0.05μmであった。
平均粒子径は、シリカ分散液を適当な濃度までイオン交換水で薄めて、LB−500(株式会社堀場製作所製)を使用して、液温30℃で動的光散乱法により計測したものである。
実施例1と同様にして、固形分15質量%の透明な下層用のシリカ分散液を調製した。調製のときの圧力、吐出量はそれぞれ100MPa、600g/minとし、その後に得られたシリカ分散液を30℃で22時間放置した。22時間経過直後のシリカ分散液の平均粒子径(二次粒子の平均粒径)は0.1300μmであった。なお、平均粒子径の測定は前記同様である。
(上層形成用塗布液の調製)
前記上層用のコロイダルシリカ分散液1000g、7.5質量%ホウ酸水溶液89g、59質量%AP−7(日本アルコール(株)製)320g、ポリビニルアルコール(PVA−235(ケン化度88%、平均重合度3500)、株式会社クラレ製)の7質量%水溶液523g、及び10質量%の界面活性剤水溶液(スワノールAM2150、日光ケミカル(株)製)12gを混合してスリーワンモーターで10分間撹拌し、上層(最上層)形成用塗布液を調製した。
実施例1と同様にして、下層形成用塗布液を調製した。
上記より得られた上層形成用塗布液及び下層形成用塗布液を30℃に保温し、これらを上記の下引き層が形成された支持体の下引き層上に、スライドビード塗布装置により同時重層塗布した。塗布は、上層形成用塗布液ではシリカ量が1g/m2となるように、下層形成用塗布液ではシリカ量が18g/m2となるように、それぞれ行なった。その後、塗布膜の膜面温度が20℃になるように2分間セット乾燥を行ない、その後さらに80℃で10分間乾燥させて多孔質膜とし、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、上層用シリカ分散液の調製に用いた例示化合物P−1(スチレン系のカチオン性ポリマー)40質量%水溶液を、上記の例示化合物P−2〜P−4(スチレン系のカチオン性ポリマー)のいずれかの40質量%水溶液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、「下層用シリカ分散液の調製」における気相法シリカの分散時に更にメチオニンスルホキシド41gを加え、「下層形成用塗布液の調製」で用いたナフタレンジスルホン酸1質量%水溶液を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、「上層用シリカ分散液の調製」で用いた例示化合物P−1(スチレン系のカチオン性ポリマー)の40質量%水溶液を、更に下層形成用塗布液に11.3g加えたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、上層用シリカ分散液の調製に用いた例示化合物P−1(スチレン系のカチオン性ポリマー)の40質量%水溶液300gを、シャロールDC902P(第一工業製薬(株)製;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド)131g及びイオン交換水を8369gに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
比較例1において、下層用シリカ分散液の調製に用いたシャロールDC902P(131g)を、アルファイン83(大明化学工業(株)製;塩基性ポリ塩化アルミニウム)563g及びイオン交換水を7938gに代えたこと以外は、比較例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、下層形成用塗布液の調製に用いたナフタレンジスルホン酸を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、下層形成用塗布液の調製に用いたアルファイン83を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、「上層用シリカ分散液の調製」で用いた例示化合物P−1(スチレン系のカチオン性ポリマー)の40質量%水溶液を、更に下層形成用塗布液に18.8g(シリカに対して5%)添加したこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製した。
上記の実施例及び比較例で作製したインクジェット記録用シートについて、下記の評価を行なった。
−1.耐オゾン性−
純正インクが装填されたインクジェットプリンターPM−G800(セイコーエプソン(株)製)を用い、各インクジェット記録用シートにマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のベタ画像をそれぞれ記録して画像サンプルとし、M,C,BKの各ベタ画像の画像濃度(DM 0,DC 0,DBK 0)を、グレタグ スペクトロリノ SPM−50(グレタグマクベス社製)にて視野角2°、光源D50、フィルターなしの条件で計測した。次に、得られたサンプル画像を23℃/60%RH、オゾン濃度5ppmの雰囲気中で24時間保管し、保管直後のM,C,BKの各ベタ画像の画像濃度(DM 1,DC 1,DBK 1)を上記と同様に計測した。そして、各色ごとに得られた保管前の画像濃度(D0)と保管後の画像濃度(D1)をもとに、下記の式からマゼンタ、ブラック、シアンそれぞれの濃度残存率(D)を算出した。耐オゾン性は、%値の大きい方が良好であることを表す。算出結果は、下記表1に示す。
D(%) = (D1/D0)×100
インクジェットプリンターPM−A820(セイコーエプソン(株)製)を用いて、各インクジェット記録用シートにグレーのベタ画像を記録した。このとき、グレタグ スペクトロリノ SPM−50(グレタグマクベス社製;視野角2°、光源D50、フィルターなし)で測定されたグレー濃度が1.7になるように、画像データの階調を調整した。プリント直後とプリント後4時間経過後にそれぞれグレーのベタ画像について、分光光度計スペクトロリノ(グレタグマクベス社製)を用いて視野角2°、光源F8、フィルターなしの条件でL*a*b*を計測し、それぞれの計測値から色差(ΔE)を求め、色調変化を評価する指標とした。評価は、色差の値から、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:ΔE<2 ;色調変化はほとんど認識できなかった。
B:2≦ΔE<4;色調変化がわかるがあまり目立たない程度であった。
C:4≦ΔE<7;色調の変化がかなり目立った。
D:ΔE≧7 ;色調変化が顕著であった。
Claims (6)
- 原紙の両側がポリオレフィン樹脂で被覆された樹脂被覆紙上に、
前記樹脂被覆紙から最も離れた最上層として設けられ、シリカと芳香族環を有するカチオンポリマーとを含む第1の多孔質層と、
前記第1の多孔質層と前記樹脂被覆紙との間に設けられ、シリカと水溶性アルミニウム化合物と硫黄含有化合物とを含み、かつ芳香族環を有するカチオンポリマーの含有割合がシリカに対して4質量%以下である少なくとも1層の第2の多孔質層と、
を有するインクジェット記録媒体。 - 前記第1及び第2の多孔質層の少なくとも一方は、前記シリカが気相法シリカ又はコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記硫黄含有化合物が、チオエーテル化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記硫黄含有化合物が、スルホ基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記水溶性アルミニウム化合物がポリ塩化アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記第2の多孔質層は、前記シリカが前記水溶性アルミニウム化合物を用いて分散されて含有されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
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