JP3838918B2 - 薄膜状物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール(以下、AA化PVAと略記する)を主成分とする薄膜状物に関し、更に詳しくは耐水性や透明性に優れ、感熱記録用媒体やインクジェット記録用媒体に有用な薄膜状物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリビニルアルコール系樹脂は、分散剤、接着剤、糊剤、フィルム、紙加工剤等に利用されており、かかるポリビニルアルコール系樹脂にアセト酢酸エステル基を導入したAA化PVAも接着剤や紙加工剤用途等において多用されている。
そして、かかるAA化PVAは、通常は架橋剤と併用されて、その架橋反応により耐水性等の特性を発揮しているのが現状である。
【0003】
特に感熱記録紙等の紙基材にコーティングされて耐水性を付与する用途にも利用されている。
例えば、特開昭59−106995号公報には、AA化PVAを保護層とした感熱記録体が記載され、硬化剤として炭酸ジルコニルアンモニウムが記載されており、また、本出願人も特開昭62−31484号公報でAA化PVAとジルコニウム塩からなる感熱記録用加工剤を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の公開公報に開示のように、AA化PVAに硬化剤として炭酸ジルコニルアンモニウムを配合しただけでは、耐水性が十分ではなく、また、ジルコニウム塩を用いると得られる皮膜が乾燥時に黄色く着色する場合があり、耐水性に優れ、かつ透明性にも優れた薄膜状物が望まれるところである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる事情に鑑みて鋭意検討した結果、AA化PVA(A)および炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を含有し、かつpHが4.0(20℃)未満に調整された水溶液から得られた薄膜状物が上記の目的に合致することを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いるAA化PVA(A)は、後述するようにポリビニルアルコールにジケテンを反応させたり、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換したりして、ポリビニルアルコールにアセト酢酸エステル基を導入させたもので、かかるポリビニルアルコールとしては、一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。
【0007】
かかる単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、ビニレンカーボネート類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0008】
かかるAA化PVA(A)の原料となるポリビニルアルコールは、特に限定されないが、ケン化度は70モル%以上(さらには75モル%以上、特には80モル%以上)が好ましく、かかるケン化度が70モル%未満では、水溶性に乏しく、製膜時に良好な水溶液を得ることができないことがあり好ましくない。
また、該ポリビニルアルコールの平均重合度(JIS K6726に準拠)も特に限定されないが、100〜5000(さらには200〜4500、特には300〜4000)が好ましく、かかる平均重合度が100未満では、十分な耐水性が得られないことがあり、逆に5000を越えると水溶液にしたときの粘度が高くなり過ぎて、均一な膜状物を得ることが難しくなって好ましくない。
【0009】
AA化PVA(A)を得るには、上記の如きポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルを共重合させる方法等を挙げることができるが、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVAが得られる点から、ポリビニルアルコール(粉末)とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。ポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法としては、ポリビニルアルコールとガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をポリビニルアルコールに予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下で液状またはガス状のジケテンを噴霧、反応するか、またはポリビニルアルコールに有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応する等の方法が用いられる。
【0010】
上記の反応を実施する際の反応装置としては、加温可能で撹拌機の付いた装置であれば十分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる
【0011】
かくして得られたAA化PVA(A)中のアセト酢酸エステル基の含有量は特に限定はされないが、0.1〜40モル%(さらには0.3〜30モル%、特には0.5〜20モル%)が好ましく、かかる含有量が0.1モル%未満では、十分な耐水性が得られないことがあり、逆に40モル%を越えると水溶性が乏しくなったり、水溶液の保存時の安定性が低下して好ましくない。
【0012】
本発明の薄膜状物は、上記の如きAA化PVA(A)および炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を含有して、かつpHが4.0(20℃)未満に調整された水溶液から得られるもので、その製造方法について具体的に説明する。
【0013】
水溶液中に含有されるAA化PVA(A)および炭酸ジルコニルアンモニウム(B)の含有割合(A/B)については特に限定されないが、AA化PVA(A)とチタン化合物(B)の含有割合(A/B)が、100/0.1〜100/30(さらには100/0.3〜100/25、特は100/0.5〜100/20)(重量比)であることが好ましく、かかる含有割合の範囲を外れるときは、得られる皮膜の耐水性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0014】
また、該水溶液中に含有されるAA化PVA(A)の量は、薄膜状物の使用用途や適用基材等により一概に言えないが、通常は0.1〜30重量%(さらには0.3〜25重量%、特には0.5〜20重量%、殊に1〜15重量%)とすることが好ましく、かかる含有量が0.1重量%未満では、皮膜形成時の水分除去に多大のエネルギーを要することになり、逆に30重量%を越えると水溶液としたときの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となって好ましくない。
【0015】
本発明においては、上記の如きAA化PVA(A)および炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を含有する水溶液のpHを4.0(20℃)未満(さらには3.8以下、特には3.6以下、殊に3.4以下)(20℃)に調整することが重要で、かかるpHの範囲外では本発明の目的を達成することは困難となる。
【0016】
通常、AA化PVA(A)の水溶液に炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を添加しただけでは、pHが6〜9(20℃)程度で、目的とするpHに調整するには酸を添加してpHを下げる必要があり、かかる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸などの有機酸を挙げることができ、好適には塩酸や酢酸が用いられる。
【0017】
かかるpH調整された水溶液には、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、(A)以外のポリビニルアルコール等)、可塑剤(グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類等)、防錆剤、着色剤、フィラー(合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ等)、界面活性剤(シリコン系、フッ素系、ポリエチレングリコール系等)、防腐剤、防虫剤、増粘剤などの公知の添加剤を添加することも可能である。
【0018】
かかるpH調整された水溶液から薄膜状物を得る(製膜する)にあたっては、特に制限はなく、キャスト法、押出法、流延法等の方法を採用できるが、好適には流延法が用いられる。
かかる流延法においては、該水溶液をシート状あるいはフィルム状に、ドラムあるいはベルト上に流延し、100〜180℃で乾燥する方法により本発明の薄膜状物を得ることができるのである。
【0019】
最終的に得られる薄膜状物の厚さは、1〜100μm(さらには2〜50μm、特には4〜30μm)が好まく、かかる厚さが1μm未満では、膜厚の均一な皮膜を形成することが難しく、逆に100μmを越えると皮膜形成時に十分に水分を除去することが難しくなって好ましくない。
【0020】
かくして耐水性および透明性に優れた本発明の薄膜状物が得られ、かかる薄膜状物は、勿論単体でフィルムやシートとして、各種包装材等に利用することができるが、各種基材上にかかる薄膜状物を形成せしめてその耐水性や透明性等の特性を発揮させることもできる。
【0021】
すなわち、感熱記録用媒体やインクジェット記録用媒体に適用することができ、かかる用途について具体的に説明する。
感熱記録用媒体においては、本発明の薄膜状物(層)を▲1▼感熱発色層、▲2▼保護層等して適用することができ、これらの2層以上に同時に適用することも可能である。
【0022】
以下、これらの各層について詳細に説明する。
▲1▼感熱発色層の場合は、上記のAA化PVA(A)および炭酸ジルコニルアンモニウム(B)にさらに発色性物質と顕色剤を配合して、pH調整した水溶液を得た後、該水溶液を基材に塗工すればよい。このときのAA化PVA(A)の配合量は、発色性物質及び顕色剤の総量に対して10〜200重量%が適当である。該水溶液の固形分濃度は作業性を考慮して10〜40重量%の範囲から選ばれる。
【0023】
上記の発色性物質の例としては、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド[クリスタルバイオレットラクトン]、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、 3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3−ジメチルアミノ−6−メトキシフルオラン、7−アセトアミノ−3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3 −ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3,6−ビス−β−メトキシエトキシフルオラン、3,6−ビス−β−シアノエトキシフルオラン等のトリフェニルメタン系染料のロイコ体が挙げられる。
【0024】
また、顕色剤としては、前記発色性物質と加熱時反応して発色せしめるもので常温以上好ましくは70℃以上で液化もしくは気化するもの、例えばフェノール、P−メチルフェノール、P−ターシャリーブチルフェノール、P−フェニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール[ビスフェノールA]、4,4’−セカンダリーブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−(1−メチル−n−ヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジカテコール、4,4’−ペンジリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、フェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、サリチル酸、3−フェニルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、1−オキシ−2−ナフトエ酸、m−オキシ安息香酸、4−オキシフタル酸、没食子酸などが挙げられるが、発色性物質、顕色剤ともにこれらに限定されるわけではない。
【0025】
水溶液を基材に塗工するにあたっては、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等の公知の任意の方法が採用される。該水溶液の塗工量は、乾燥重量で0.1〜20g/m2(さらには0.5〜15g/m2、特には1〜10g/m2)程度なるようにするのが好ましい。
【0026】
次に、▲2▼保護層について説明する。
▲2▼保護層とは、発色性物質、顕色剤、バインダー(例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、ラテックス類等)より構成された感熱発色層の上に形成(塗工)される層のことで、本発明の薄膜状層を形成させればよい。
【0027】
該塗工に際しては、上記で説明したAA化PVA(A)および炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を含有し、かつpH調整された水溶液を用いればよく、このときの塗工量は、AA化PVA(A)の乾燥重量で0.5〜5g/m2程度になるようにすることが好ましい。塗工後は風乾あるいは軽度の加熱処理を行なうことによって目的とする塗工層が形成される。
該塗工に当たってはロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等任意の手段で実施可能である。
【0028】
また、該塗工層には各種の公知の助剤を混合したり、あるいは該塗工液の塗工前後にかかる助剤を塗工する等、任意の補助的操作が可能で、かかる助剤としては、高級脂肪酸アミドなどの熱可塑性物質や炭酸カルシウム、二酸化チタンなどの填料、分散剤等公知の添加剤を使用することも任意である。
【0029】
なお、上記の感熱記録用媒体に用いられる基材としては特に制限はなく、紙(マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙、上・中・下級紙、新聞用紙、剥離紙、カーボン紙、ノンカーボン紙、グラシン紙など)やプラスチックフィルム(ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム及びこれらの積層体等)などを使用することができる。
【0030】
また、得られる感熱記録用媒体としては、基材/アンダーコート層/感熱発色層/保護層、基材/アンダーコート層/感熱発色層、基材/感熱発色層/保護層或いは基材/感熱発色層等の層構成とすることが可能である。
【0031】
次に、インクジェット記録用媒体について説明する。
インクジェット記録用媒体に本発明の薄膜状物(層)を適用するにあたっては、インクジェット用記録媒体の基材中または基材表面に本発明の薄膜状層を形成すればよく、以下に具体的に説明する。
【0032】
まず、基材としては、例えばポリエステル,ポリアミド,ポリスチレン,ポリ塩化ビニル,ポリメチルメタクリレート,酢酸セルロース,ポリカーボネート,ポリイミド,セロファン,セルロイド等の樹脂のフィルム、シート、上質紙,中質紙,(セミ)グラシン紙,光沢紙,(樹脂)コート紙,合成紙等の紙類を挙げることができ、さらには、布、金属、木材等のフィルム、シートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明の薄膜状層を形成させるにあたっては、上記の感熱記録用媒体の▲2▼保護層と同様の要領で基材表面に水溶液を塗工することにより、基材の表面あるいは基材に浸透して基材中に薄膜状層を形成させることができる。このときの塗工量は、AA化PVA(A)の乾燥重量で、0.1〜20g/m2(さらには0.5〜15g/m2、特には1〜10g/m2)程度になるようにすることが好ましい。
【0034】
以上、感熱記録用媒体およびインクジェット記録用媒体への適用について説明したが、本発明の薄膜状物は、これら以外にも、食品、飲料、薬品、医薬、電機部品、機械部品等の包装用途あるいは容器用途、また、暖房用パイプ用途、壁紙等の建築用内装材などにも有用で、さらには、塩ビレザー等に積層(コーティング)して家具や自動車用内装材等として利用することもできる。
【0035】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
なお、例中「%」、「部」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0036】
実施例1
ケン化度99.2モル%、平均重合度1200、アセト酢酸エステル基5モル%含有AA化PVA(A)100部と炭酸ジルコニルアンモニウム(第一稀元素化学社製『ジルコゾールAC−7』)(B)5部を水1000部に溶解させた後、塩酸を添加してpHを3.0(20℃)に調整して、水溶液を得、該水溶液をPETフィルム上に流して、23℃、50%RHの条件下で48時間放置後、70℃で5分間加熱処理を行って、厚み100μmの本発明の薄膜状物(フィルム)を得た。
【0037】
得られたフィルムの耐水性を調べるために、かかるフィルムを80℃の熱水に1時間浸漬させてフィルムの溶出率(%)を測定した。なお、溶出率(%)の算出にあたっては、熱水浸漬前後のフィルムの重量(いずれもg)を求めて、{(浸漬前のフィルム重量−浸漬後のフィルム重量)/浸漬前のフィルム重量}×100により算出した。
【0038】
また、透明性を調べるために、以下の評価を行った。
上記の方法で得られたフィルムを105℃雰囲気中に1時間放置して、その時のフィルムの変色(黄色)度合いを目視観察して、以下のように評価した。
○・・・無色透明
△・・・やや黄変
×・・・明らかに黄変
【0049】
実施例2
実施例1において、AA化PVA(A)として、ケン化度95.0モル%、平均重合度1700、アセト酢酸エステル基3モル%含有AA化PVAを用いた以外は同様に水溶液を得て、同様に評価を行った。
【0050】
実施例3
実施例1において、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)の含有量を3部に変えた以外は同様に水溶液を得て、同様に評価を行った。
【0051】
実施例4
実施例1において、水溶液のpHを2.5(20℃)に調整した以外は同様に水溶液を得て、同様に評価を行った。
【0052】
比較例1
実施例1において、塩酸を添加せずに水溶液のpHを8(20℃)としたままで同様に評価を行った。
【0053】
比較例2
実施例1において、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)に変えて、硝酸ジルコニル(第一希元素化学社製『ジルコゾールZN』)を用いた以外は同様にpH3.0(20℃)の水溶液を得て、同様に評価を行った。
【0054】
実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
【0055】
〔表1〕
【0056】
【発明の効果】
本発明の薄膜状物は、耐水性に優れ、かつ透明性にも優れるため、食品、飲料、薬品、医薬、電機部品、機械部品等の包装用途あるいは容器用途、また、暖房用パイプ用途、壁紙等の建築用内装材などにも有用で、さらには、塩ビレザー等に積層(コーティング)して家具や自動車用内装材等として利用することができ、特に感熱用記録媒体の発色層や保護層、インクジェット記録用媒体のインク受理層や保護層に有用である。
Claims (4)
- アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール(A)および炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を含有し、かつpHが4.0(20℃)未満に調整された水溶液から得られたことを特徴とする薄膜状物。
- 請求項1記載の薄膜状物が設けられてなることを特徴とする感熱記録媒体。
- 薄膜状物が感熱発色層または保護層のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の感熱記録用媒体。
- 請求項1記載の薄膜状物が設けられてなることを特徴とするインクジェット記録用媒体。
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