JP4082915B2 - 感熱記録用媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性および耐変色性に優れた感熱記録用媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリビニルアルコール系樹脂は、感熱記録紙の感熱発色層のバインダーや保護層のコーティング剤として使用されており、さらなる耐水性等の向上を目的として、アセト酢酸エステル基を導入したポリビニルアルコール系樹脂も採用されている。
【0003】
例えば、本出願人も特開昭59−123697号公報で、発色性物質および顕色剤と共にアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール(以下、AA化PVAと略記することがある)と架橋剤を用いることを提案した。また、特開昭59−106995号公報、特開昭60−245591号公報、特開平1−120385号公報等には、AA化PVAを保護層とした感熱記録体が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の各公報に記載されているAA化PVAの架橋剤であるグリオキザール等のポリアルデヒド類は耐水性には優れているものの、使用状況によっては経時で黄変するという問題点があり、エチレンジアミンやヘキサメチレンジアミン等の直鎖状ポリアミン化合物は、黄変の問題はないものの、耐水性が不充分であり、耐水性および耐変色性に優れた感熱記録用媒体が望まれるところである。
【0005】
【問題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、AA化PVA(A)および下記一般式(1)で表されるアミノ基含有化合物(B)を含有してなる組成物を感熱発色層および/または保護層に有してなる感熱記録用媒体、あるいはアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール(A)を保護層に含有し、かつ下記一般式(1)で表されるアミノ基含有化合物(B)を感熱発色層に含有してなる感熱記録用媒が上記の課題を解決できることを見出して本発明を完成するに至った。
R−〔CH 2 ―NH 2 〕 2 ・・・(1)
(ここで、Rは芳香環、脂環、複素環から選ばれる環式化合物の水素を除いた残基を表す)
また、本発明においては、上記の一般式(1)で表されるアミノ基含有化合物(B)がメタキシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンまたはノルボルナンジアミンのいずれかであることが特に好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明に用いるAA化PVA(A)は、後述するようにポリビニルアルコールにジケテンを反応させたり、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換したりして、ポリビニルアルコールにアセト酢酸エステル基を導入させたもので、かかるポリビニルアルコールとしては、一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。
【0007】
かかる単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、ビニレンカーボネート類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0008】
かかるAA化PVA(A)の原料となるポリビニルアルコールは、特に限定されないが、ケン化度は70モル%以上(さらには75モル%以上、特には80モル%以上)が好ましく、かかるケン化度が70モル%未満では、水溶性が乏しくて塗工液とすることが困難となるため好ましくない。
また、該ポリビニルアルコールの平均重合度(JIS K6726に準拠)も特に限定されないが、100〜5000(さらには200〜4500、特には300〜4000)が好ましく、かかる平均重合度が100未満では、充分な耐水性が得られず、逆に5000を越えると水溶液の粘度が高くなりすぎて他の材料と混合する時の作業性が低下したり、基材への均一な塗工が困難となり好ましくない。
【0009】
AA化PVA(A)を得るには、上記の如きポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルを共重合させる方法等を挙げることができるが、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVAが得られる点から、ポリビニルアルコール(粉末)とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。ポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法としては、ポリビニルアルコールとガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をポリビニルアルコールに予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下で液状またはガス状のジケテンを噴霧、反応するか、またはポリビニルアルコールに有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応する等の方法が用いられる。
【0010】
上記の反応を実施する際の反応装置としては、加温可能で撹拌機の付いた装置であれば十分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる。
【0011】
かくして得られたAA化PVA(A)中のアセト酢酸エステル基の含有量は、0.1〜40モル%(さらには0.3〜30モル%、特には0.5〜20モル%)が好ましく、かかる含有量が0.1モル%未満では、充分な耐水性が得られず、逆に40モル%を越えると塗工液とするときの水溶性が低下したり、得られた塗工液の保存安定性が低下したりして好ましくない。
【0012】
本発明に用いられるアミノ基含有化合物(B)は、下記の一般式で表されるもので、該一般式において、Rは芳香環、脂環、複素環から選ばれる環式化合物の水素を除いた残基を表すものである。
R−〔CH 2 ―NH 2 〕 2 ・・・(1)
かかるアルキルアミノ基含有化合物(B)としては、水溶性或いは水分散性のものが好ましく、中でもメタキシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミンのいずれかを用いることが特に好ましい。
【0013】
本発明の感熱記録用媒体は、上記のAA化PVA(A)およびアミノ基含有化合物(B)を含有してなる組成物を感熱発色層および/または保護層に有してなるか、あるいは上記のAA化PVA(A)を保護層に含有し、かつアミノ基含有化合物(B)を感熱発色層に含有してなるもので、AA化PVA(A)およびアミノ基含有化合物(B)の含有割合は特に限定されないが、AA化PVA(A)とアミノ基含有化合物(B)の含有割合(A/B)を100/0.1〜100/30(さらには100/0.3〜100/25、特には100/0.5〜100/20)(重量比)とすることが好ましく、かかる含有割合が100/0.1を越えるときは耐水性が低下する傾向にあり、逆に100/30未満では耐変色性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0014】
本発明の感熱記録用媒体は、上記の組成物あるいはAA化PVA(A)およびアミノ基含有化合物(B)を▲1▼感熱発色層や▲2▼保護層に有してなるもので、かかる記録媒体の製造方法について説明する。なお、かかる組成物は、上記の2層に同時に適用することも可能である。
【0015】
以下、これらの各層について詳細に説明する。
▲1▼感熱発色層は、上記のAA化PVA(A)およびアミノ基含有化合物(B)にさらに発色性物質と顕色剤を配合した水溶液を得た後、該水溶液を基材に塗工することにより形成させることができる。このときのAA化PVA(A)の配合量は、発色性物質及び顕色剤の総量に対して10〜200重量%が適当である。該水溶液の固形分濃度は作業性を考慮して10〜40重量%の範囲から選ばれる。
【0016】
上記の発色性物質の例としては、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド[クリスタルバイオレットラクトン]、3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、 3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3−ジメチルアミノ−6−メトキシフルオラン、7−アセトアミノ−3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3 −ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3,6−ビス−β−メトキシエトキシフルオラン、3,6−ビス−β−シアノエトキシフルオラン等のトリフェニルメタン系染料のロイコ体が挙げられる。
【0017】
また、顕色剤としては、前記発色性物質と加熱時反応して発色せしめるもので常温以上好ましくは70℃以上で液化もしくは気化するもの、例えばフェノール、P−メチルフェノール、P−ターシャリーブチルフェノール、P−フェニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール[ビスフェノールA]、4,4’−セカンダリーブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−(1−メチル−n−ヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジカテコール、4,4’−ペンジリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、フェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、サリチル酸、3−フェニルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、1−オキシ−2−ナフトエ酸、m−オキシ安息香酸、4−オキシフタル酸、没食子酸などが挙げられるが、発色性物質、顕色剤ともにこれらに限定されるわけではない。
【0018】
水溶液を基材に塗工するにあたっては、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等の公知の任意の方法が採用される。該水溶液の塗工量は、乾燥重量で0.1〜20g/m2(さらには0.5〜15g/m2、特には1〜10g/m2)程度なるようにするのが好ましい。
【0019】
次に、▲2▼保護層について説明する。
▲2▼保護層とは、発色性物質、顕色剤、バインダー(例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、ラテックス類等)より構成された感熱発色層の上に形成(塗工)される層のことである。
【0020】
該塗工に際しては、上記で説明したAA化PVA(A)およびアミノ基含有化合物(B)を含有した水溶液および必要により下記の顔料や各種助剤を混合攪拌して得られた塗工液を用いればよく、このときの塗工量は、乾燥重量で0.5〜10g/m2程度になるようにすることが好ましい。塗工後は風乾あるいは軽度の加熱処理を行うことによって目的とする塗工層が形成される。また、AA化PVA(A)およびアミノ基含有化合物(B)のそれぞれを含有した水溶液を別々に調製して、これらを積層塗工して保護層とすることも可能であり、顔料や各種助剤はAA化PVA(A)の水溶液に配合することが好ましく、結果的に保護層にAA化PVA(A)およびアミノ基含有化合物(B)が含有されることとなり、含有割合(A/B)や塗工量等も上記に準ずるように調整すればよい。
顔料としては、例えば炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、タルク、カオリン、クレー等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、デンプン粒子等の有機顔料が挙げられ、助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、剥離剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0021】
また、架橋剤による増粘を抑制するために、酸(有機酸、無機酸)、金属化合物(ミョウバン、硫酸アルミニウム等)、β−ジケトン化合物(アセチルアセトン、アセト酢酸メチル等)を添加することも有用である。
該塗工に当たってはロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、ゲートロール法等任意の手段で実施可能であり、AA化PVAを保護層に含有させ、かつアミノ基含有化合物(B)を感熱発色層に含有させるときには、上記に準じてAA化PVA(A)とアミノ基含有化合物(B)をそれぞれ含有する塗工液を別々に調整して、保護層と感熱発色層に各塗工すればよい。
【0022】
なお、上記の感熱記録用媒体に用いられる基材としては特に制限はなく、紙(マニラボール、白ボール、ライナー等の板紙、一般上質紙、中質紙、グラビア用紙等の印刷用紙、上・中・下級紙、新聞用紙、剥離紙、カーボン紙、ノンカーボン紙、グラシン紙など)やプラスチックフィルム(ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム及びこれらの積層体等)などを使用することができる。
【0023】
また、得られる感熱記録用媒体としては、基材/アンダーコート層/感熱発色層/保護層、基材/アンダーコート層/感熱発色層、基材/感熱発色層/保護層或いは基材/感熱発色層等の層構成とすることが可能である。
【0024】
かくして得られた本発明の感熱記録用媒体は、上記の如きAA化PVA(A)および特定のアミノ基含有化合物(B)をその感熱発色層および/または保護層に含有しているため、耐水性および耐変色性に優れている。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を示す。
【0026】
実施例1
下記の要領で感熱記録用媒体を作製して、その評価を行った。
まず、下記の水溶液(A〜C液)を用意した。
[A液]
クリスタルバイオレットラクトン 10部
ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、平均重合度1100)の5%水溶液 10部
水 15部
【0027】
[B液]
ビスフェノールA 50部
ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、平均重合度1100)の5%水溶液 50部
水 75部
【0028】
[C液]
AA化PVA(ケン化度99.2モル%、平均重合度1200、アセト酢酸エステル基5モル%含有)(A)の10%水溶液 100部
メタキシリレンジアミン(B) 0.5部
カオリンクレー 15部
【0029】
上記のA液、B液を別々にサンドグラインダーで平均粒子径2μ程度になるまで粉砕し、その後A液、B液、炭酸カルシウム50部及びA液で使ったものと同一のポリビニルアルコール系樹脂の5%水溶液250部を混合して発色液を得た。
次いで、該発色液を坪量50g/m2の上質紙(基材)の上に乾燥後の塗工量が8g/m2になる様にして塗工し、乾燥させて感熱発色層を形成した後、該層の上にディクソンコーターを用いてC液を乾燥後の塗工量が5g/m2になる様に塗工して保護層を形成させて、60℃で乾燥した後、スーパーカレンダーで表面を平滑にして感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙の耐水性および耐変色性を以下の要領で評価した。
【0030】
(耐水性)
熱傾斜試験機(東洋精機社製)によって120℃、2kg/cm2、5秒の条件下に印字発色させ、印字発色濃度をマクベス濃度計(マクベス社製『RD−100R型』、アンバーフィルター使用)にて測定し、さらにこの発色させた感熱記録紙を20℃の水に24時間浸漬させた後、自然乾燥させて印字部の発色濃度を同様に測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の比を算出して、耐水性の指標とした。
【0031】
(耐変色性)
得られた感熱記録紙を30℃、60%RH雰囲気下で30日間放置した後、色差計(日本電色工業社製『SZ−Σ90』)を用いて反射法にてYI(イエローインデックス)値を測定した。
【0032】
実施例2
実施例1において、AA化PVA(A)として、ケン化度95モル%、平均重合度1700、アセト酢酸エステル基3モル%含有AA化PVAを用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0033】
実施例3
実施例1において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、ノルボルナンジアミン(B)を用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0034】
実施例4
実施例1において、メタキシリレンジアミン(B)の混合量を0.3部に変えた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0035】
実施例5
実施例1において、ノルボルナンジアミン(B)の混合量を1部に変えた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0036】
実施例6
実施例1において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(B)を0.8部用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0037】
実施例7
下記の要領で感熱記録紙を作製して、実施例1と同様に評価を行った。
まず、下記の水溶液(A、B液)を用意した。
[A液]
クリスタルバイオレットラクトン 10部
AA化PVA(ケン化度99.2モル%、平均重合度1200、アセト酢酸エステル基5モル%含有)(A)の5%水溶液 10部
水 15部
【0038】
[B液]
ビスフェノールA 50部
AA化PVA(ケン化度99.2モル%、平均重合度1200、アセト酢酸エステル基5モル%含有)(A)の5%水溶液 50部
水 75部
【0039】
上記のA液、B液を別々にサンドグラインダーで平均粒子径2μ程度になるまで粉砕し、その後A液、B液、炭酸カルシウム50部及びA液で使ったものと同一のポリビニルアルコール系樹脂の5%水溶液250部、メタキシレンジアミン(B)1部を混合して発色液を得た。
次いで、該発色液を坪量50g/m2の上質紙(基材)の上に乾燥後の塗工量が8g/m2になる様にして塗工し、乾燥させて感熱発色層を形成した後、スーパーカレンダーで表面を平滑にして感熱記録紙を得た。
【0040】
実施例8
実施例7において、AA化PVA(A)として、ケン化度95モル%、平均重合度1700、アセト酢酸エステル基3モル%含有AA化PVAを用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0041】
実施例9
実施例7において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、ノルボルナンジアミン(B)を用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0042】
実施例10
実施例7において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(B)を1.5部用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0043】
実施例11
実施例7において、メタキシリレンジアミン(B)の混合量を2部に変えた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0044】
実施例12
実施例7において、感熱発色層を形成した後、該層の上にディクソンコーターを用いて実施例1のC液を乾燥後の塗工量が5g/m2になる様に塗工して保護層を形成させた後、スーパーカレンダーで表面を平滑にして感熱記録紙を得て、実施例1と同様に評価を行った。
【0045】
実施例13
実施例1において、A液中にメタキシリレンジアミン(B)を2部含有させ、C液中にメタキシリレンジアミン(B)を含有させなかった以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0046】
比較例1
実施例1において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、グリオキザールを用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0047】
比較例2
実施例1において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、ヘキサメチレンジアミンを用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0048】
比較例3
実施例7において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、グリオキザールを用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0049】
比較例4
実施例7において、メタキシリレンジアミン(B)に変えて、ヘキサメチレンジアミンを用いた以外は同様に感熱記録紙を得て、同様に評価を行った。
【0050】
実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
【0051】
【0052】
【発明の効果】
本発明の感熱記録用媒体は、AA化PVA(A)および特定のアミノ基含有化合物(B)をその感熱発色層および/または保護層に含有しているため、耐水性および耐変色性に優れている。
Claims (4)
- アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール(A)および下記一般式(1)で表されるアミノ基含有化合物(B)を含有してなる組成物を感熱発色層および/または保護層に有してなることを特徴とする感熱記録用媒体。
R−〔CH 2 ―NH 2 〕 2 ・・・(1)
(ここで、Rは芳香環、脂環、複素環から選ばれる環式化合物の水素を除いた残基を表す) - アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール(A)を保護層に含有し、かつ下記一般式(1)で表されるアミノ基含有化合物(B)を感熱発色層に含有してなることを特徴とする感熱記録用媒体。
R−〔CH 2 ―NH 2 〕 2 ・・・(1)
(ここで、Rは芳香環、脂環、複素環から選ばれる環式化合物の水素を除いた残基を表す) - 上記一般式(1)で表されるアミノ基含有化合物(B)がメタキシリレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンまたはノルボルナンジアミンのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の感熱記録用媒体。
- アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール(A)と上記一般式(1)で表されるアミノ基含有化合物(B)の割合(A/B)が100/0.1〜100/30(重量比)であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の感熱記録用媒体。
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