JP4194875B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料に関する。さらに詳しくは、耐水性および耐可塑剤性に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニルアルコール系重合体(以下、ビニルアルコール系重合体をPVAと略記することがある)は各種バインダー、接着剤または表面処理剤として広く使用されており、造膜性および強度において他の水溶性樹脂の追随を許さない、優れた性能を有することが知られている。しかしながら、PVAは水溶性であるため、耐水性、特に低温で乾燥した場合の耐水性が低いという欠点があり、従来、この欠点を改良するために種々の方法が検討されてきた。
【0003】
例えば、PVAの耐水性を改良する方法として、PVAをグリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、水溶性エポキシ化合物、メチロール化合物などで架橋させる方法が知られている。しかしながら、この方法でPVAを十分に耐水化するためには100℃以上、特に120℃以上の高温で長時間熱処理する必要がある。この場合、乾燥温度が高いために感熱記録材料の表面保護層に応用しようとすると、乾燥時に感熱層が発色するために実質的に応用できない。
また、乾燥時の発色を防ぐために低温乾燥で耐水化する方法として、pH2以下のような強酸性条件を用いる方法も知られているが、この場合にはPVA水溶液の粘度安定性が悪く、使用中にゲル化するなどの問題点を有している上、耐水性が不十分であるという欠点を有している。
【0004】
さらに、カルボキシル基含有PVAをポリアミドエピクロルヒドリン樹脂で架橋させる方法、アセトアセチル基含有PVAをグリオキザールなどの多価アルデヒド化合物で架橋させる方法なども知られている。例えば、特許文献1ではアセトアセチル基含有PVAと共に架橋剤としてグリオキザールなどのアルデヒド類などを使用しているが、塗工液の粘度安定性などで問題がある。特許文献2では、粘度安定性などでは幾分改善が見られるものの、依然としてアルデヒド類を架橋剤として用いていることから作業環境への配慮などが十分でない場合がある。さらに場合によっては、表面保護層に求められる耐水性や耐可塑剤性などの性能の発現までに時間を要する場合があり、必ずしも満足行くものではなかった。また、エピクロルヒドリンは人体に有害な物質であるので使用すること自体好ましくない。
【0005】
カルボキシル基含有PVAとジルコニウム化合物を併用する方法(特許文献3)も知られているが、PVAに対してジルコニウム化合物を大量に加えなければ効果が認められない上、耐水化の程度も十分満足できるものではなかった。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特開昭59−106995号公報
【特許文献2】
特開平9−11623号公報
【特許文献3】
特開平1−101187号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するために創案されたものであり、PVAからなる層を室温から50℃程度の低温で乾燥する場合にも、製造直後から著しく耐水性に優れ、耐可塑剤性に優れる感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の化学式1または化学式2で示される構造単位0.01〜10モル%およびエチレン単位1〜20モル%を含有するビニルアルコール系重合体(A)ならびに、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムおよび酸塩化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のジルコニウム化合物(B)からなり、かつその重量配合比率が0.1/99.9≦(B)/(A)≦20/80である組成物(I)、または、さらにコロイダルシリカ(C)を含み、かつ重量配合比率が1/99≦(C)/(A)≦50/50である組成物(II)を用いることによって達成される。
【0009】
【化3】
Figure 0004194875
【0010】
【化4】
Figure 0004194875
【0011】
{ここで、R、R、RおよびRは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数8以下の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜40のアルコキシル基またはアシロキシル基(ここでアルコキシル基、アシロキシル基は酸素を含有する置換基を有していてもよい)、Rは炭素数5以下のアルキレン基または連鎖炭素原子が酸素もしくは窒素によって相互に結合された2価の有機残基を表し、nは0〜4の整数を表し、p+mは3以下でpは0〜2の整数、mは0〜3の整数を表し、Xは1価の金属を表す。}
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料に用いられるビニルアルコール系重合体(A)は、前記の化学式1または化学式2で示される構造単位を有し、かつエチレン単位を有するビニルアルコール系重合体である。ビニルアルコール系重合体(A)における前記の化学式1または化学式2で示される構造単位の含有量は0.01〜10モル%であり、0.05〜5モル%であることが好ましく、0.1〜3.5モル%であることがさらに好ましい。前記の化学式1または化学式2で示される構造単位の含有量が0.01モル%より少ない場合には本発明の効果が現れず、また該含有量が10モル%より大きい場合にはビニルアルコール系重合体の水溶性が低下する場合があり好ましくない。ビニルアルコール系重合体(A)におけるエチレン単位の含有量は1〜20モル%であり、1.5〜18モル%であることが好ましく、2〜15モル%であることがさらに好ましい。エチレン単位の含有量が1モル%未満の場合には、エチレン変性した効果が現れず、エチレン単位の含有量が20モル%より大の場合には、疎水性が強すぎてビニルアルコール系重合体自身の水溶性が乏しくなり、ポリビニルアルコールとしての特長が損なわれる。
【0013】
前記の化学式1で示される構造単位の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシランなどのオレフィン性不飽和単量体に由来する構造単位が挙げられる。
【0014】
前記の化学式2で示される構造単位の具体例としては、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルエチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリルアミド−メチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルジメチルメトキシシラン、3−[N−メチル(メタ)アクリルアミド]−プロピルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリルアミド−メトキシ]−3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリルアミド−メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、ジメチル−3−(メタ)アクリルアミド−プロピル−3−(トリメトキシシリル)プロピルアンモニウムクロライド、ジメチル−2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピル−3−(トリメトキシシリル)プロピルアンモニウムクロライドなどのオレフィン性不飽和単量体に由来する構造単位が挙げられる。
【0015】
本発明において、前記化学式1または化学式2で示される構造単位を有し、かつエチレン単位を有するビニルアルコール系重合体(A)は、前記の化学式1または化学式2で示される構造単位に対応するオレフィン性不飽和単量体、ビニルエステル系単量体およびエチレンの共重合体をけん化することにより得られる。本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)は、その原料である変性ビニルエステル系重合体の側鎖のアルコキシシリル基が、けん化反応時に加水分解されてシラノール基またはその塩基に変換されていても一向に差し支えない。
【0016】
前記の化学式1または化学式2で示される構造単位に対応するオレフィン性不飽和単量体、ビニルエステル系単量体およびエチレンの共重合を行うにあたっては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を採用することができる。その中でも、無溶媒で重合する塊状重合法やアルコールなどの溶媒中で重合する溶液重合法が通常採用され、高重合度のものを得る場合には乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤など、公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
【0017】
上記の方法で用いられるビニルエステル系単量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸ビニルが用いられる。
【0018】
上記の方法における変性ポリビニルエステル系重合体は、前記の化学式1または化学式2で示される構造単位に対応するオレフィン性不飽和単量体、ビニルエステル系単量体およびエチレン以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。そのようなエチレン性不飽和単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸類またはその塩またはその炭素数1〜18のモノもしくはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基含有のα−オレフィンなどが挙げられる。本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)において、これらのエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位の含有量としては20モル%以下が好ましい。
【0019】
また、本発明に使用されるビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度(以下、重合度と略記する)に特に制限はないが、ビニルアルコール系重合体(A)の重合度は通常50〜10000であり、好ましくは100〜8000であり、より好ましくは100〜4000である。例えば、感熱記録材料のバインダーとして用いられる場合には、ビニルアルコール系重合体(A)の重合度は通常500〜3000であることが好ましい。感熱記録材料の表面保護層やアンダーコート層に用いられる場合には、ビニルアルコール系重合体(A)の重合度は通常1000〜4000の比較的中〜高重合度であることが好ましい。ビニルアルコール系重合体(A)の重合度が50未満の場合には、該ビニルアルコール系重合体をバインダーまたは表面保護層に用いても目的の性能が発現しないことから、満足な感熱記録材料が得られない。ビニルアルコール系重合体(A)の重合度が10000より大の場合には、該ビニルアルコール系重合体をバインダーに用いると、感熱記録材料の印字部の濃度が低下したり、該ビニルアルコール系重合体の水性分散液の粘度が高くなりすぎてその取扱いが困難になり、該水性分散液の固形分濃度を高くできなかったりし、また、該ビニルアルコール系重合体を表面保護層に用いると、該重合体溶液の粘度が高くなりすぎてその取扱いが困難になり、均一な層が得られない。
【0020】
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)のけん化度は60〜99.99モル%であることが好適であり、70〜99.9モル%であることがより好ましく、80〜99.5モル%であることがさらに好ましい。ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度についても、重合度の場合と同様に感熱記録材料の用途によって使い分けることができるが、一般的には、ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度が60モル%未満の場合には、水溶性が低下するため、目的とする感熱記録材料が得られない。ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度が99.99モル%より大きい場合には、感熱記録材料の印字部の濃度が低下し、また水性分散液の粘度が高くなりすぎて取扱いが困難になり、水性分散液の固形分濃度を高くできない。
【0021】
本発明において使用されるビニルアルコール系重合体(A)を水に溶解するにあたっては、通常ビニルアルコール系重合体(A)を水に分散後、場合によっては水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加し、撹拌しながら加温することにより、均一な水溶液を得ることができる。
【0022】
次に、本発明の感熱記録材料を構成するジルコニウム化合物(B)は、水溶性のもの具体的には硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムおよび酸塩化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、特に表面保護層およびアンダーコート層に用いる場合には、炭酸ジルコニウムアンモニウムが最も好適である。これらのジルコニウム化合物は必ずしも単独で使用する必要はなく、必要に応じて2種以上混合して用いることもできる。
【0023】
本発明の感熱記録材料において、ビニルアルコール系重合体(A)とジルコニウム化合物(B)との重量配合比率[(B)/(A)]は、0.1/99.9≦(B)/(A)≦20/80であり、好ましくは0.2/99.8≦(B)/(A)≦17/83であり、さらに好ましくは0.5/99.5≦(B)/(A)≦15/85である。(B)/(A)が0.1/99.9より小さい場合には、ビニルアルコール系重合体(A)とジルコニウム化合物(B)を用いることによる耐水化効果が低い。(B)/(A)が20/80より大きい場合には、ビニルアルコール系重合体(A)とジルコニウム化合物(B)からなる組成物の水溶液の粘度安定性が低下する場合がある。
【0024】
本発明においては、ビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物(B)を、感熱記録材料における感熱発色層、表面保護層およびアンダーコート層などのいずれの層にも含有させることができる。ここで、感熱発色層とは感熱染料、顕色剤および分散剤を含有する層であり、表面保護層とは感熱発色層上に設けられる層であり、またアンダーコート層とは感熱発色層と基材との間に設けられる層である。本発明に用いられるビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物(B)は、上記層の少なくとも1つの層に含まれるものであり、上記層のいずれか2つ以上の層に含まれることが好ましく、上記の全ての層に含まれることがさらに好ましい。
【0025】
感熱記録材料の感熱発色層中におけるビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物(B)の合計の含有量は、特に制限はないが、感熱記録材料の耐水性および感度の点から、感熱染料および顕色剤の合計量100重量部に対して3〜280重量部であることが好ましく、5〜250重量部であることがより好ましく、8〜200重量部であることがさらに好ましい。
【0026】
また、本発明において、ビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物からなる組成物を、感熱発色層の水性バインダーとして使用する場合に、特に優れた強度および耐水性を有する皮膜が得られる。ビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物からなる組成物を感熱発色層の水性バインダーとして使用する場合、ビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物の合計の配合量は、感熱染料および顕色剤の合計量100重量部に対して5〜80重量部であることが好ましい。
【0027】
本発明において感熱染料または顕色剤の水性分散液を調製する場合には、上記のビニルアルコール系重合体(A)を分散剤として使用することもできるし、またその他公知のビニルアルコール系重合体(無変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの各種変性ビニルアルコール系重合体)などを分散剤として使用することもできる。分散剤の使用量は、特に制限はないが、感熱染料および顕色剤の合計量100重量部に対して3〜200重量部であることが好ましく、5〜180重量部であることがより好ましく、8〜150重量部であることがさらに好ましい。通常は、感熱染料の水性分散液と顕色剤の水性分散液を別々に調製した後、両者を混合して使用するのが好ましい。水性分散液中の分散質の濃度は20〜70重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましい。
【0028】
感熱染料または顕色剤の水性分散液の調製には、平均径0.2〜3mm(好ましくは0.3〜0.8mm)の多数のガラスビーズを内部に有するサンドグラインダーが用いられる。感熱染料または顕色剤の分散に要する時間は通常1時間〜1週間(好ましくは3時間〜4日間、特に平均径0.45μm以下の微粒子を得る場合には1〜4日間)である。上記方法により、粒子径0.1〜1μm(好ましくは0.3〜0.8μm、より好ましくは0.2〜0.6μm、さらに好ましくは0.2〜0.45μm)の感熱染料または顕色剤を分散質とする水性分散液が得られる。
【0029】
本発明に用いられる感熱染料としては、一般の感圧記録紙または感熱記録紙に用いられるものであればよい。具体的な例として、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリドなどのトリアリールメタン系化合物;4,4’−ビスジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミンなどのジフェニルメタン系化合物;ローダミンB−アニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシル−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどのキサンテン系化合物;ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどのチアジン系化合物;3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピランなどのスピロ系化合物などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いられる。これらの感熱染料は、感熱記録材料の用途により適宜選択して使用される。
【0030】
本発明に使用される顕色剤としては、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体が好ましく、特にビスフェノール類が好ましい。具体的には、フェノール類として、p−オクチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、ジヒドロキシジフェニルエーテルなどが挙げられ、芳香族カルボン酸誘導体として、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、上記のカルボン酸の多価金属塩などが挙げられる。
【0031】
本発明において、感熱発色層を形成する方法としては、エアーナイフ法、プレート法、グラビア法、ロールコータ法、スプレー法、ディップ法、バー法、エクストルージョン法などの公知の塗布方法が利用可能である。
【0032】
本発明においては、ビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物(B)からなる組成物を用いることにより、感熱発色層、感熱発色層の上面の表面保護層、あるいは基材と感熱発色層との間のアンダーコート層に、優れた成膜性能を付与することができるばかりでなく、得られた皮膜に優れた耐水性、耐可塑剤性、耐油性および耐有機溶剤性を付与することができる。さらに、皮膜乾燥時における感熱発色層の発色を防止するために、100℃以下、特に室温〜50℃の比較的低温の乾燥条件を採用した場合においても、上記各層に充分な成膜性能を付与することができる。
感熱記録材料における表面保護層の塗布量は、感熱記録装置のサーマルヘッドから感熱記録材料の発色層への熱伝導が阻害されない程度で適宜選択されるものであるが、通常1〜10g/m、好ましくは2〜7g/mである。
【0033】
本発明において、感熱発色層の上面の表面保護層ならびに基材と感熱発色層との間のアンダーコート層を形成する方法としては、エアーナイフ法、プレート法、グラビア法、ロールコータ法、スプレー法、ディップ法、バー法、エクストルージョン法などの公知の塗布方法が利用可能である。
【0034】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、感熱発色層、表面保護層およびアンダーコート層の各層には、溶媒、水溶性または水分散性樹脂、高分子水性分散体、充填材、滑剤、消泡剤、分散剤、ノニオン性またはアニオン性界面活性剤、シランカップリング剤、pH調節剤、湿潤剤、圧力発色防止剤などを配合することができる。
【0035】
ここで、上記の溶媒としては水が好ましく用いられるが、これに各種アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの溶媒を併用することもできる。
【0036】
上記の水溶性または水分散性樹脂としては、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体;カルボキシル基含有変性PVA、硫酸基含有変性PVA、スルホン酸基含有変性PVA、リン酸基含有変性PVA、4級アンモニウム塩基含有変性PVAなどのPVA誘導体;通常のPVA、(メタ)アクリル酸エステル共重合体のアルカリ塩、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ジイソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン、アラビヤゴムなどが挙げられる。
【0037】
上記の高分子水性分散体としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、(メタ)アクリル酸重合体または共重合体、アクリル酸エステル重合体または共重合体、ヒドロキシ(メタ)アクリレート重合体または共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのエマルジョン;スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体などのラテックスなどが挙げられる。
【0038】
上記の滑剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
【0039】
さらに、上記の充填材としては、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成クレー、酸化チタン、ケイソウ土、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸マグネシウム、ポリスチレン微粒子、ポリ酢酸ビニル系微粒子、尿素−ホルマリン樹脂微粒子などが挙げられる。特に、これらの充填材を表面保護層形成剤に用いる場合は、表面保護層全成分の20重量%以上を充填材とすることが、感熱記録材料の耐水性、耐油性および耐可塑剤性の点から好適である。
【0040】
また、本発明の感熱記録材料には、上述のビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物(B)からなる組成物に、さらにコロイダルシリカ(C)を含み、かつその重量配合比率が1/99≦(C)/(A)≦50/50である組成物を用いる態様も含まれる。ここで用いられるコロイダルシリカ(C)は、一般的なシリカと比較して粒径が小さいもの(BET法での平均粒径が10〜50nmの微粒子)である。コロイダルシリカ(C)を使用することにより、耐水性、耐油剤性および耐可塑剤性に優れた感熱記録材料を得ることができる。
ビニルアルコール系重合体(A)とコロイダルシリカ(C)との重量配合比率は、1/99≦(C)/(A)≦50/50であり、好ましくは2/98≦(C)/(A)≦40/60であり、さらに好ましくは3/97≦(C)/(A)≦35/65である。
【0041】
ビニルアルコール系重合体(A)、ジルコニウム化合物(B)およびコロイダルシリカ(C)からなる組成物は、ビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物(B)からなる組成物と同様に、感熱発色層、表面保護層およびアンダーコート層の少なくともいずれか1つの層に含まれるものであり、いずれか2つ以上の層に含まれることが好ましく、全ての層に含まれることがさらに好ましい。
また、ビニルアルコール系重合体(A)、ジルコニウム化合物(B)およびコロイダルシリカ(C)の系においても、ビニルアルコール系重合体(A)およびジルコニウム化合物(B)の系の場合と同様に、本発明の目的を損なわない範囲で、上記の各種重合体、充填材などを併用できる
【0042】
本発明において、感熱記録材料の支持体材料には特に制限はなく、例えば紙、合成繊維紙、合成樹脂フィルムなどを適宜使用することができる。その中でも一般的には紙を用いることが好ましい。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、実施例中、特に断りのない限り「%」および「部」はそれぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
【0044】
実施例1
(1)塗工液の調製(感熱染料および顕色剤の分散)
[感熱染料の水性分散液Aの組成]
ロイコ染料(山田化学株式会社製、商品名:S−205) 20%
濃度10%のエチレン変性PVA水溶液 20%
(PVA:エチレン単位4モル%、けん化度87モル%、重合度500)
水 59.9%
消泡剤(クラリアント社製、商品名:ジョルシンLD−B) 0.1%
[顕色剤の水性分散液Bの組成]
ビスフェノールA 20%
濃度10%のエチレン変性PVA水溶液 20%
(PVA:感熱染料の水性分散液Aの調製に使用したものと同一のもの)
水 59.9%
消泡剤(クラリアント社製、商品名:ジョルシンLD−B) 0.1%
[顔料の水性分散液Cの組成]
ステアリン酸アミド 10%
シリカ(水沢化学株式会社製、商品名:ミズカシルP−527) 20%
濃度5%のエチレン変性PVA水溶液 30%
(PVA:感熱染料の水性分散液Aの調製に使用したものと同一のもの)
水 40%
【0045】
上記組成の水性分散液A、水性分散液Bおよび水性分散液Cをそれぞれ別々に調製し、ビーカー中で15分間の予備攪拌を行った。
次に水性分散液Aをサンドグラインダー(関西ペイント株式会社製、バッチ式卓上サンドグラインダー)に移し、ガラスビーズ(直径0.5mmのソーダ石英ガラス)300ccを加え、高回転数(2170rpm)、冷却下の条件で、6時間かけて分散質を分散させた。得られた感熱染料の水性分散液Aの分散粒子径をレーザー回折式粒度測定機(島津株式会社製、型式:SALD−1000)により測定した結果、0.46μmであった。また、水性分散液Aの粘度は、BL型粘度計を用いて30℃、30rpmで測定した結果、29.4mPa・sであった。水性分散液Aの白色度を色差計(日本電色工業株式会社製、型式:Z−1001DP)により測定した結果、−8.1であった。なお、白色度は0が完全に白色であることを示し、マイナスの値が大きくなるほど着色していることを示す。
同様に、水性分散液Bをサンドグラインダーに移し、ガラスビーズ(直径0.5mmのソーダ石英ガラス)300ccを加え、高回転数(2170rpm)、冷却下の条件で、6時間かけて分散質を分散させた。
また、水性分散液Cをホモジナイザーに移し、回転数10000rpmの条件で2分間かけて分散質を分散させた。
【0046】
(2)バインダー用塗工液の調製
エチレン単位6.7モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.10モル%、ビニルエステル部分のけん化度98.3モル%、重合度1550のPVA(A1)に対して消泡剤(ジョルシンLD−B)を0.15%添加し、PVA(A1)の11%水溶液(a1)を調製した。これとは別に、市販の炭酸ジルコニウムアンモニウムの約13%水溶液(第一稀元素化学工業株式会社製、ジルコゾールAC−7)を希釈して炭酸ジルコニウムアンモニウムの1%水溶液(b1)を調製した。室温で水溶液(a1)90部を撹拌しながら、水溶液(b1)10部をゆっくり加えて、PVA(A1)および炭酸ジルコニウムアンモニウムを含有する固形分濃度10%のバインダー用塗工液を作成した。BL型粘度計により30℃、30rpmで測定した結果、該塗工液の粘度は900mPa・sであった。なお、30℃で2週間放置した後の該塗工液の粘度は、調製直後の1.05倍であってほとんど変化しておらず、該塗工液の粘度安定性は良好であった。
【0047】
(3)表面保護層用塗工液の調製
エチレン単位6.7モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.25モル%、ビニルエステル部分のけん化度98.3モル%、重合度1550のPVA(A2)に対して消泡剤(ジョルシンLD−B)を0.15%添加し、PVA(A2)の14.5%水溶液(a2)を調製した。エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体(日本油脂株式会社製、プロノン104)0.2部、シリカ(水沢化学株式会社製、ミズカシルP−527)50部に水72.5部を加えて十分に分散させながら、水溶液(a2)690部をゆっくり室温で加えた後、さらにステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂株式会社製、ハイドリンZ730;固形分濃度30%)を7.5部加えて、PVA(A2)のシリカ分散水溶液を調製した。
これとは別に、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(AC−7)を希釈して炭酸ジルコニウムアンモニウムの0.2%水溶液(b2)を調製した。室温で上記のPVA(A2)のシリカ分散水溶液を撹拌しながら、水溶液(b2)500部をゆっくり加えて、PVA(A2)および炭酸ジルコニウムアンモニウムを含有する固形分濃度11.5%の表面保護層用塗工液を調製した。BL型粘度計により30℃、30rpmで測定した結果、該塗工液の粘度は600mPa・sであった。なお、30℃で2週間放置した後の該塗工液の粘度は、調製直後の1.08倍であってほとんど変化しておらず、該塗工液の粘度安定性は良好であった。
【0048】
(4)アンダーコート層用塗工液の調製
エチレン単位6.7モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.25モル%、ビニルエステル部分のけん化度98.3モル%、重合度1550のPVA(A2)に対して消泡剤(ジョルシンLD−B)を0.15%添加してPVA(A2)の14.5%水溶液(a2)を調製した。シリカ(水沢化学株式会社製、ミズカシルP−527)50部に水72.5部を加えて十分に分散させながら、水溶液(a2)690部をゆっくり室温で加えて、PVA(A2)のシリカ分散水溶液を調製した。
これとは別に、炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(AC−7)を希釈して炭酸ジルコニウムアンモニウムの0.2%水溶液(b2)を調製した。室温で上記のPVA(A2)のシリカ分散水溶液を撹拌しながら、水溶液(b2)500部をゆっくり加えて、PVA(A2)および炭酸ジルコニウムアンモニウムを含有するアンダーコート層用塗工液を調製した。BL型粘度計により30℃、30rpmで測定した結果、該塗工液の粘度は590mPa・sであった。なお、30℃で2週間放置した後の該塗工液の粘度は、調製直後の1.07倍であってほとんど変化しておらず、該塗工液の粘度安定性は良好であった。
【0049】
(5)感熱記録紙の製造
上記の水性分散液Aを1部、水性分散液Bを4部、水性分散液Cを2部ならびに上記(2)で調製したバインダー用塗工液を2部量り取り、混合攪拌して感熱発色層用塗工液を調製した。原紙(坪量:52g/mの上質紙)の表面に、上記(4)で調製したアンダーコート層用塗工液を、ワイヤーバーコーターを用いて固形分換算で2g/m塗工し、50℃で5分間乾燥した後、さらに上記の感熱発色層用塗工液を、ワイヤーバーコーターを用いて固形分換算で6g/m塗工し、50℃で5分間乾燥して塗工紙を得た。続いて、該塗工紙をスーパーカレンダー(線圧:30kg/cm)にて表面処理し、その塗工紙表面に上記(3)で調製した表面保護層用塗工液を、ワイヤーバーコーターを用いて固形分換算で3g/m塗工した後、50℃で10分間乾燥した。然る後、該塗工紙をスーパーカレンダー(線圧:30kg/cm)にて表面処理して感熱記録紙を製造した。
感熱記録紙の製造直後に、感熱ファクシミリ用プリンター(リコー株式会社製、型式:リファックス300)を用いて感熱記録紙に印字して下記の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0050】
(耐水性)
30℃蒸留水中に24時間浸漬したのち、以下の評価をそれぞれ行った。
着色濃度比較:蒸留水浸漬前後の印字部分の発色濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、型式:RD−514)を用いて比較判定した。判定基準は次の通りである。
着色濃度比較(優秀)5〜1(劣)
ウエットラブ:印字された部分の表面を指先で摩擦し、溶出状態を観察し判定した。判定基準は次の通りである。
ウエットラブ(優秀)5〜1(劣)
【0051】
(耐油性)
常法に従い、試験片に綿実油を塗布し、20℃、40℃の各温度下に24時間放置した後の各印字濃度と、綿実油塗布前の印字濃度とを、マクベス濃度計を用いて比較判定した。判定基準は次の通りである。
着色濃度比較(優秀)5〜1(劣)
【0052】
(耐可塑剤性)
製造直後の感熱記録紙に印字し、以下の2つの方法で耐可塑剤性をそれぞれ評価した。
耐塩ビフィルム性試験:試験片に軟質ポリ塩化ビニルフィルムを重ね合わせ、30℃、300g/mの荷重下で24時間両者を接触させた後の印字濃度と、試験前の印字濃度とをマクベス濃度計を用いて比較判定した。判定基準は耐油性試験と同様。
DOP塗布試験:試験片の印字部分の表面にDOP(ジオクチルフタレート)を数滴滴下し、印字部分の表面に均一に塗布して、20℃、65%RH条件下で24時間放置した後の印字濃度と、試験前の印字濃度とをマクベス濃度計を用いて比較判定した。判定基準は耐油性試験と同様。
【0053】
実施例2
実施例1の表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A2)を、エチレン単位3.0モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.10モル%、ビニルエステル部分のけん化度98.5モル%、重合度2450のPVA(A3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は1550mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.15倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は1480mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.10倍であって、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例3
実施例1のバインダー用塗工液に使用したPVA(A1)を、エチレン単位6.8モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.15モル%、ビニルエステル部分のけん化度93.1モル%、重合度1300のPVA(A4)に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は750mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.06倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0055】
実施例4
実施例1のバインダー用塗工液に使用したPVA(A1)を、エチレン単位8.0モル%、3−アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン単位1.0モル%、ビニルエステル部分のけん化度99.0モル%、重合度350のPVA(A5)に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は250mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.01倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例5
実施例1のバインダー用塗工液の調製において、PVA(A1)をPVA(A2)に変更し、PVAに対して1%添加していた炭酸ジルコニウムアンモニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、AC−7)を酸塩化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、ZC)に変更し、PVA(A2)に対して上記の酸塩化ジルコニウムを10%添加したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は820mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.01倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0057】
実施例6
実施例1の顔料水性分散液C、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したシリカ(ミズカシルP−527)を水酸化アルミニウムに変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は590mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.01倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は560mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.02倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0058】
実施例7
実施例1の顔料水性分散液C、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したシリカ(ミズカシルP−527)を、ミズカシルP−527/コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス30)=9/1(重量比)の混合物に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は690mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.15倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は640mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.10倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例8
実施例1の顔料水性分散液C、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したシリカ(ミズカシルP−527)を水酸化アルミニウム/コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス30)=9/1(重量比)の混合物に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は610mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.15倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は580mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.10倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0060】
参考例9
実施例1の顔料水性分散液C、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したシリカ(ミズカシルP−527)を水酸化アルミニウム/コロイダルシリカ(スノーテックス30)=9/1(重量比)の混合物に変更し、ジルコニウム化合物を使用する代わりに蒸留水を用いて実施例1と同一固形分濃度になるようにバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液をそれぞれ調製したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は910mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.02倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は520mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.00倍であって変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。さらに、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は490mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.05倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0061】
比較例1
実施例1のバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A1)およびPVA(A2)を、けん化度98.5モル%、重合度1750の無変性PVA(A6)に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は920mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.10倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は650mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.15倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。さらに、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は630mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.10倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0062】
比較例2
実施例1のバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A1)およびPVA(A2)を、けん化度98.5モル%、重合度2450の無変性PVA(A7)に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は1980mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.20倍であり、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は1450mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.25倍であり、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。さらに、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は1390mPa・sであり、30℃で2週間放置後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.32倍であり、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0063】
比較例3
実施例1のバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A1)およびPVA(A2)を、ビニルトリメトキシシラン単位0.20モル%、ビニルエステル部分のけん化度98.5モル%、重合度1750で、エチレン変性されていないPVA(A8)に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は1010mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.21倍であり、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は720mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.25倍であり、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。さらに、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は690mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.19倍であり、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0064】
比較例4
実施例1のバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A1)およびPVA(A2)を、エチレン単位6.8モル%、ビニルエステル部分のけん化度98.5モル%、重合度1550で、ビニルトリメトキシシラン変性されていないPVA(A9)に変更したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は800mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.02倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は560mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.05倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。さらに、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は530mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.01倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0065】
比較例5
実施例8のバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A1)およびPVA(A2)を、比較例3で使用したPVA(A8)に変更したこと以外は実施例8と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は810mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.04倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は570mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.05倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。さらに、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は550mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.01倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0066】
比較例6
実施例9のバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A1)およびPVA(A2)を、比較例3で使用したPVA(A8)に変更したこと以外は実施例9と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は890mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.01倍であってほとんど変化しておらず、バインダー用塗工液の粘度安定性は良好であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は530mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.03倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。さらに、実施例1と同様の条件で測定した結果、アンダーコート層用塗工液の粘度は510mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のアンダーコート層用塗工液の粘度はその1.09倍であってほとんど変化しておらず、アンダーコート層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0067】
比較例7
実施例1のバインダー用塗工液に使用したPVA(A1)を無変性PVA(A6)に変更したこと;表面保護層用塗工液に使用したPVA(A2)をイタコン酸単位6.8モル%、ビニルエステル部分のけん化度98.5モル%、重合度1850の変性PVA(A10)に変更したこと;ならびに、実施例1のアンダーコート層用塗工液の代わりに、ポリスチレン樹脂の40%分散液75部、スチレン/ブタジエン共重合体エマルジョン(固形分濃度48%)6.3部、水18.7部からなる水系分散液をアンダーコート層用塗工液として使用し、アンダーコート層として基材に固形分換算で3g/m塗工したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、バインダー用塗工液の粘度については比較例1と同様であった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は570mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.10倍であってほとんど変化しておらず、表面保護層用塗工液の粘度安定性は良好であった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0068】
比較例8
実施例1のバインダー用塗工液、表面保護層用塗工液およびアンダーコート層用塗工液に使用したPVA(A1)およびPVA(A2)を、アセト酢酸ビニル単位6.0モル%、ビニルエステル部分のけん化度99.5モル%、重合度1200で、酢酸ナトリウム0.02%および酢酸4%を含有するPVA(A11)に変更したこと;ならびに、バインダー用塗工液の調製において、PVAに対して1%添加していた炭酸ジルコニウムアンモニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、AC−7)を酸塩化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、ZC)に変更し、PVA(A11)に対して上記の酸塩化ジルコニウムを10%添加したこと以外は実施例1と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は700mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその1.89倍であり、バインダー用塗工液の粘度安定性に問題があった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は610mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその1.77倍であり、表面保護層用塗工液の粘度安定性に問題があった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0069】
比較例9
酸塩化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、ZC)の代わりにグリオキザールをPVA(A11)に対して5%添加したこと以外は、比較例8と同様にして感熱記録紙を製造した。なお、実施例1と同様の条件で測定した結果、バインダー用塗工液の粘度は750mPa・sであり、30℃で2週間放置した後のバインダー用塗工液の粘度はその3.12倍であり、バインダー用塗工液の粘度安定性に問題があった。また、実施例1と同様の条件で測定した結果、表面保護層用塗工液の粘度は680mPa・sであり、30℃で2週間放置した後の表面保護層用塗工液の粘度はその3.45倍であり、表面保護層用塗工液の粘度安定性に問題があった。感熱記録紙の評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
Figure 0004194875
【0071】
実施例1〜8、参考例9および比較例1〜9において使用した各PVA、充填剤および添加剤を表2に示す。
【0072】
【表2】
Figure 0004194875
【0073】
[表2に示したPVAの種類]
PVA(A1):エチレン単位6.7モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.10モル%、けん化度98.3モル%、重合度1550
PVA(A2):エチレン単位6.7モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.25モル%、けん化度98.3モル%、重合度1550
PVA(A3):エチレン単位3.0モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.10モル%、けん化度98.5モル%、重合度2450
PVA(A4):エチレン単位6.8モル%、ビニルトリメトキシシラン単位0.15モル%、けん化度93.1モル%、重合度1300
PVA(A5):エチレン単位8.0モル%、3−アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン単位1.0モル%、けん化度99.0モル%、重合度350
PVA(A6):無変性、けん化度98.5モル%、重合度1750
PVA(A7):無変性、けん化度98.5モル%、重合度2450
PVA(A8):エチレン単位なし、ビニルトリメトキシシラン単位0.20モル%、けん化度98.5モル%、重合度1750
PVA(A9):エチレン単位6.8モル%、ビニルトリメトキシシラン単位なし、けん化度98.5モル%、重合度1550
PVA(A10):イタコン酸単位6.8モル%、けん化度98.5モル%、重合度1850
PVA(A11):アセト酢酸ビニル単位6.0モル%、けん化度99.5モル%、重合度1200、酢酸ナトリウム0.02%および酢酸4%を含有
【0074】
[表2に示した充填剤および添加剤の種類]
AC−7:炭酸ジルコニウムアンモニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、ジルコゾールAC−7)
ZC:酸塩化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、ZC)
シリカ:シリカ(水沢化学株式会社製、ミズカシルP−527)
CS:コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、スノーテックス30)
【0075】
【発明の効果】
上記の実施例から明らかなように、本発明の感熱記録材料は、PVAからなる層を室温から50℃程度の低温で乾燥する場合にも、製造直後から著しく耐水性、耐油剤性、耐可塑剤性に優れており、そのために印字部の発色性が良好であり、かつ非印字部のカブリ(地肌部の着色)がほとんど見られない。

Claims (7)

  1. 化学式1または化学式2で示される構造単位0.01〜10モル%およびエチレン単位1〜20モル%を含有するビニルアルコール系重合体(A)ならびに、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウムおよび酸塩化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のジルコニウム化合物(B)からなり、かつ重量配合比率が0.1/99.9≦(B)/(A)≦20/80である組成物(I)を含有する感熱記録材料。
    Figure 0004194875
    Figure 0004194875
    {ここで、R、R、RおよびRは水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数8以下の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜40のアルコキシル基またはアシロキシル基(ここでアルコキシル基、アシロキシル基は酸素を含有する置換基を有していてもよい)、Rは炭素数5以下のアルキレン基または連鎖炭素原子が酸素もしくは窒素によって相互に結合された2価の有機残基を表し、nは0〜4の整数を表し、p+mは3以下でpは0〜2の整数、mは0〜3の整数を表し、Xは1価の金属を表す。}
  2. さらにコロイダルシリカ(C)を含み、かつ重量配合比率が1/99≦(C)/(A)≦50/50である組成物(II)を含有する請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 前記の組成物(I)または組成物(II)を含有する表面保護層を有する請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  4. 前記の組成物(I)または組成物(II)を含有する感熱発色層を有する請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  5. 前記の組成物(I)または組成物(II)をバインダーとして用いる請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  6. 前記の組成物(I)または組成物(II)を感熱発色層と基材との間のアンダーコート層として用いる請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  7. ジルコニウム化合物(B)が炭酸ジルコニウムアンモニウムである請求項1〜6のいずれか1項記載の感熱記録材料。
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