JP2020139069A - 水性エマルション組成物、成形体、水性エマルション組成物の製造方法及び感熱紙用塗工剤の製造方法 - Google Patents

水性エマルション組成物、成形体、水性エマルション組成物の製造方法及び感熱紙用塗工剤の製造方法 Download PDF

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山中 雅義
Masayoshi Yamanaka
雅義 山中
雄介 天野
Yusuke Amano
雄介 天野
一彦 前川
Kazuhiko Maekawa
一彦 前川
多江子 香春
Taeko Kabaru
多江子 香春
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Abstract

【課題】 安全性が高く、且つ成形体の耐水性にも優れる新規な水性エマルション組成物を提供する。【解決手段】 ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を含む、水性エマルション組成物であって、前記水性エマルション[B]が非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含む、水性エマルション組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水性エマルション組成物に関する。また、当該水性エマルション組成物からなる成形体、当該水性エマルション組成物の製造方法及び当該水性エマルション組成物を用いた感熱紙用塗工剤の製造方法に関する。
従来、ポリビニルアルコール(以下、PVAと称することがある)は、高い結晶性に起因する優れた被膜特性(機械的強度、造膜性、酸素ガスバリア性等)を有する樹脂とされている。PVAは、その高い親水性に起因し、空気中の水分によって吸水可塑化され上述の特性が失われるなど、耐水性に劣ることから、従来架橋剤によってPVAを架橋することで耐水化する試みがなされてきた。特に、グルタルアルデヒドやホルムアルデヒドといった水溶性のアルデヒド化合物は、水溶性でありPVAとの混合が容易であり、且つPVAとの反応性にも優れることから、PVAの簡便な耐水化剤(架橋剤)として広く利用されてきた。一方、グルタルアルデヒドやホルムアルデヒドといった水溶性のアルデヒド化合物は、変異原性物質であり、近年の化学物質の安全性に対する要求の高まりを受け、安全性の高い簡便なPVAの架橋方法が求められていた。
このような背景の下、安全性の高い多官能アルデヒドまたはそのアセタール化物を架橋剤に用いる試みがなされてきた。例えば特許文献1では、PVAと多官能アルデヒド化合物を、酸触媒存在下で反応させ、高度に耐水化させた例が記載されている。しかし、多官能アルデヒドまたはそのアセタール化物が非水溶性であるため、PVAの水溶液の状態で架橋剤を混合することが難しく、有機溶媒中で反応させる必要があった。また、特許文献2では、ポリビニルアルコールを分散剤とした変性酢酸ビニル系エマルションに多官能アルデヒド化合物を添加した、煮沸耐性に優れる木材接着用水系組成物が提案されている。しかし、非水溶性の多官能アルデヒド化合物を水性エマルションとした組成物は開示されていない。
特開平10−245442号公報 特開2017−14382号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、安全性が高く、且つ成形体の耐水性にも優れる新規な水性エマルション組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリビニルアルコールと、非水溶性の多官能アルデヒド化合物またはそのアセタール化物を含む水性エマルションとを含む、水性エマルション組成物によって、上述の課題が解決できることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]:ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を含む、水性エマルション組成物であって、前記水性エマルション[B]が非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含む、水性エマルション組成物。
[2]:前記水性エマルション[B]における前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の分散粒子径が10〜500nmである、[1]に記載の水性エマルション組成物。
[3]:前記ポリビニルアルコール[A]の質量と、前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の合計の質量の質量比{[A]/([B−1]+[B−2])}が99.5/0.5〜60/40である、[1]または[2]に記載の水性エマルション組成物。
[4]:前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]が二官能のアルデヒド化合物またはそのアセタール化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載水性エマルション組成物。
[5]:pHが1.0〜5.0である、[1]〜[4]のいずれかに記載の水性エマルション組成物。
[6]:前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]が、炭素数6〜12の多官能アルデヒド化合物またはそのアセタール化物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の水性エマルション組成物。
[7]:さらに酸[C]を含む、[1]〜[6]に記載の水性エマルション組成物。
[8]:前記酸[C]が有機酸である、[7]に記載の水性エマルション組成物。
[9]:[1]〜[8]のいずれか1項に記載の水性エマルション組成物からなる成形体。
[10]:[9]に記載の成形体を含む、感熱記録材料。
[11]:ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を混合する工程[II]を含む、水性エマルション組成物の製造方法であって、前記水性エマルション[B]が非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含む、水性エマルション組成物の製造方法。
[12]:非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]と、分散剤とを混合することによる、前記水性エマルション[B]を調製する工程[I]を含む、[11]に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
[13]:前記工程[II]において、さらに酸を[C]を混合する、[11]または[12]に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
[14]:前記工程[II]が、ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を混合する工程[II−1]と、その後に酸[C]を混合する工程[II−2]である、[13]に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
[15]:前記工程[II−1]において、さらに充填剤を混合する、[14]に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
[16]:[15]に記載の製造方法で得られた水性エマルション組成物を用いた、感熱紙用塗工剤の製造方法。
本発明によれば、安全性が高く、且つ成形体の耐水性にも優れる水性エマルション組成物を提供できる。
本発明の水性エマルション組成物は、ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を含む、水性エマルション組成物であって、前記水性エマルション[B]が非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含む、水性エマルション組成物である。
<ポリビニルアルコール[A]>
ポリビニルアルコール[A]は、ビニルアルコール単位を含む樹脂である。ポリビニルアルコール[A]のビニルアルコール単位の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、最も好ましくは98質量%以上である。
ポリビニルアルコール[A]の重合度は特に限定されず、好ましくは100〜10,000、より好ましくは200〜7,000、さらに好ましくは300〜5,000である。重合度が前記下限値以上であると、得られる成形体の耐水性が良好になる。
ポリビニルアルコール[A]のけん化度(JIS K 6726(1994)に準拠して測定)は特に限定されないが、得られる成形体の耐水性を良好にする観点から、50mol%以上が好ましく、80mol%以上がより好ましく、95mol%以上がさらに好ましく、100mol%であってもよい。
ポリビニルアルコール[A]は、ビニルアルコール単位に加え、ビニルエステル構造単位を含んでも良い。さらに本発明の効果を損なわない範囲で、他の構造単位を含んでいてもよい。
ポリビニルアルコール[A]において、ビニルエステル構造単位を含む場合、その含有量は、0.5mol%以上が好ましく、5mol%以下がより好ましい。ビニルエステル構造単位の含有量が上記範囲内であると、得られる成形体の耐水性が優れる。
ポリビニルアルコール[A]において、他の構造単位としてエチレン構造単位を含む場合、その含有量は、40mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましく、10mol%がさらに好ましく、0.1mol%以下がさらにより好ましく、0mol%であってもよい。エチレン構造単位の含有量が上記値以下であると、ポリビニルアルコール[A]は水溶性に優れ、取り扱い性がよくなる。
ポリビニルアルコール[A]において、他の構造単位としてエチレン構造単位以外の構造単位を含む場合、その含有量は、30mol%以下が好ましく、10mol%以下がより好ましく、5mol%がさらに好ましく、0.1mol%以下がさらにより好ましく、0mol%であってもよい。
<水性エマルション[B]>
本発明に用いる水性エマルション[B]は、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含む。
水性エマルション[B]は、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の他に、分散剤及び水を含むことが好ましい。
水性エマルション[B]における、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の合計の含有量は、好ましくは20〜90質量%であり、より好ましくは50〜70質量%である。この範囲であると水性エマルション[B]において水と非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の分散性がよく、容易に水性エマルション[B]の調整ができる。
分散剤としては例えば、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、界面活性剤以外の分散剤が挙げられる。界面活性剤以外の分散剤としては、例えばポリエチレングリコール系高分子が挙げられ、特にポリ(エチレングリコール)ブロックとポリ(プロピレングリコール)ブロックを含むブロック共重合体が好ましい。水性エマルション[B]における分散剤の含有量は、水性エマルション[B]において水と非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の分散性を向上させるため、0.1〜20質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
<非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]>
非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]は非水溶性であるため、通常はポリビニルアルコール[A]との水溶液中での反応が困難である。しかし、本発明では非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]を含有する水性エマルション[B]を用いることで、水溶液中での反応が可能となる。水溶性の多官能アルデヒドとして、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキザールなどが挙げられるが、これらは毒性が高いという問題がある。一方、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]は比較的毒性が低く、安全性が高いという利点がある。
また、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]をアセタール化したアセタール化物[B−2]を含有する水性エマルション[B]を使用することもできる。アセタール化物[B−2]は、さらに毒性が低くなる場合が多く、取り扱い性に優れる。
水性エマルション[B]における非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の分散粒子径は、好ましくは10〜500nmである。分散粒子径は、用途により適宜選択されるが、60nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることがさらに好ましく、400nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。分散粒子径は、実施例に記載の測定方法で測定すればよい。
非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]は、架橋剤としてアセタール構造を形成する際の反応性の観点から、二官能のアルデヒド化合物またはそのアセタール化合物であることが好ましい。
非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]は、炭素数6〜12の多官能アルデヒド化合物またはそのアセタール化物であることが好ましい。炭素数が6〜12の多官能アルデヒドまたはそのアセタール化物は、ポリビニルアルコール[A]との親和性及び反応性に優れるため、架橋剤として効率的に機能する。そのため、架橋反応を進行させた場合、水性エマルション組成物からなる成形体の耐水性が高くなる。得られる水性エマルション組成物の架橋物は、好ましい態様では、高強度、透明性及び耐油性といったポリビニルアルコール[A]の特徴を損なうことなく、耐水性を有する。また、炭素数が6〜12の多官能アルデヒドは通常、変異原性を有さず、比較的毒性が低いため、安全性が高い。炭素数が6〜12の多官能アルデヒドまたはそのアセタール化物の炭素数は、6〜10がより好ましい。
非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]の具体例としては例えば、アジプアルデヒド、1,7−ヘプタンジアール、1,8−オクタンジアール、1,9−ノナンジアール、1,10−デカンジアール、1,11−ウンデカンジアール、1,12−ドデカンジアール等の直鎖脂肪族系アルデヒド;マレアルデヒド、フマルアルデヒド等の不飽和脂肪族系アルデヒド;タルタルアルデヒド、シトルアルデヒド等の水酸基置換直鎖脂肪族系アルデヒド;フタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒドビス(ジエチルアセタール)、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジエトキシテトラヒドロフラン等の芳香族系アルデヒド;エチレンジアミンテトラアセトアルデヒド等のアミン系アルデヒドが挙げられる。これらの中でも直鎖脂肪族系アルデヒドが好ましく、中でも炭素数が9である1,9−ノナンジアールが好ましい。
非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]のアセタール化物[B−2]の具体例としては例えば、上記した非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]のアセタール化物が挙げられる。さらに具体的には、1,1,6,6−テトラメトキシヘキサン、1,1,6,6−テトラエトキシヘキサン、1,1,7,7−テトラメトキシヘプタン、1,1,7,7−テトラエトキシヘプタン、1,1,8,8−テトラメトキシオクタン、1,1,8,8−テトラエトキシオクタン、1,1,9,9−テトラメトキシノナン、1,1,9,9−テトラエトキシノナン、1,1,9,9−ビスエチレンジオキシノナン、1,1,9,9−ビスプロピレンジオキシノナン、1,1,10,10−テトラメトキシデカン、1,1,10,10−テトラエトキシデカン、1,1,11,11−テトラメトキシウンデカン、1,1,11,11−テトラエトキシウンデカンなどが挙げられる。これらの中でも、多官能アルデヒドとしての炭素数が9である、1,1,9,9−テトラメトキシノナン、1,1,9,9−テトラエトキシノナン、1,1,9,9−ビスエチレンジオキシノナン、1,1,9,9−ビスプロピレンジオキシノナンが好ましい。
アセタール化物[B−2]のアセタール構造は、架橋構造であってもよいし、非架橋構造であってもよいし、両方を含んでいても良い。
非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]は2種以上を併用して用いてもよい。また、アセタール化物[B−2]は2種以上を併用して用いてもよい。また、1種以上の非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]と1種以上のアセタール化物[B−2]を併用して用いてもよい。
<酸[C]>
本発明の水性エマルション組成物は、さらに酸[C]を含むことができる。酸[C]は水性エマルション組成物において酸触媒として機能し、ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]に含まれる非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]との間で、アセタール化反応を進行させることができる。アセタール化反応が進行した場合、ポリビニルアルコール[A]が架橋することで耐水性を向上させることができる。
酸[C]としては特に制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、ポリアクリル酸等の有機酸等、公知のものを用いることができる。これらの中でも有機酸が好ましく、特に、酢酸、クエン酸、ポリアクリル酸が好ましい。
<水性エマルション組成物>
水性エマルション組成物において、前記ポリビニルアルコール[A]の質量と、前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の合計の質量の質量比{[A]/([B−1]+[B−2])}は、99.5/0.5〜60/40が好ましく、98/2〜65/35がより好ましく、97/3〜70/30がさらに好ましい。 この範囲であると水性エマルション組成物の粘度安定性が優れ、且つ得られる成形体の耐水性が向上する。
本発明の水性エマルション組成物のpHは、酸の種類によるが1.0〜5.0であることが好ましい。この範囲であると、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]は、架橋剤として効率的に機能する。
水性エマルション組成物において、前記ポリビニルアルコール[A]の質量と、前記酸[C]の質量との質量比([A]/[C])は、酸の種類によるが0.1〜50が好ましく、0.5〜40がより好ましい。この範囲であると、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]は、架橋剤として効率的に機能する。
本発明の水性エマルション組成物は、実施例に記載の方法により粘度安定性を評価できる。粘度安定性の指標として得られる時間の値は、1〜1000minが好ましく、5〜800minがより好ましい。
水性エマルション組成物においては、他の樹脂として、例えばポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル酸共重合体等を含んでいても良い。メタクリル樹脂、カーボネート樹脂等を含んでも良い。また、添加剤として、可塑剤、滑剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含んでもよい。
水性エマルション組成物において、ポリビニルアルコール[A]、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]、そのアセタール化物[B−2]及び酸[C]以外に、有機溶媒を含有してもよいが、有機溶媒の含有量は10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。この範囲であると、環境負荷の低減や安全性に優れる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
<成形体>
本発明の水性エマルション組成物からなる成形体もまた、本発明の一態様である。本発明の成形体は、水性エマルション組成物を成形したものでもよく、水性エマルション組成物の架橋物を成形したものであってもよい。成形体の製造方法に制限はないが、例えば、水性エマルション組成物を塗工する方法が好適に用いられ、具体的には、サイズプレス、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、キャストコーター等の公知の方法を採用できる。
本発明の水性エマルション組成物からなる成形体は、耐水性に優れる等の利点があり、各種用途に使用できる。例えば、感熱記録材が挙げられる。感熱記録材としての具体的な用途は、ファックス用感熱紙、レジロール用感熱紙等が挙げられる。
本発明の水性エマルション組成物は、塗工剤として使用できる。塗工剤を塗工する基材としては、例えば、無機質材料、紙、各種樹脂基材などの有機質材料が挙げられる。ここで、樹脂基材としては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド等からなる基材が挙げられる。樹脂基材としては、フィルムが好ましい。塗工剤は通常、加熱、乾燥や常温下での放置により膜状の塗工物となる。塗工物も成形体の一態様である。塗工剤は、木工用、紙加工剤などの接着剤としても使用できる。塗工剤の具体的な用途として、後述の感熱紙用塗工剤が挙げられる。
成形体の厚みとしては、30〜1000μmが好ましく、50〜80μmがより好ましい。この範囲であると、耐水性と取扱い性がよい。
成形体において、以下の式で表される溶出率は、40質量%以下が好ましい。ここで、[W1]は成形体を100℃の沸騰水中に1時間浸漬し、沸騰水から取り出して、40℃で12時間真空乾燥した後の質量である。[W2]は成形体を前記沸騰水へ浸漬する前の質量である。
溶出率(質量%)=100×([W2]−[W1])/[W2]
<感熱紙用塗工剤>
上記水性エマルション組成物からなる感熱紙用塗工剤も本発明の好適な実施態様である。感熱記録材料は例えば、基材、感熱発色層及びオーバーコート層がこの順に積層された層構造を有する。上記感熱発色層及びオーバーコート層の少なくとも一方が、感熱紙用塗工剤の塗工による塗工物として形成されていることが好ましい。この場合、感熱記録材料は水性エマルション組成物からなる成形体を含むことになる。
感熱記録材料の基材としては、従来公知の透明性及び不透明性の支持基体がいずれも使用できる。上記透明性支持基体としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、セロハン、セルロイドなどのフィルム、シート、透明性の高い紙等が挙げられる。上記不透明性支持基体としては、通常の紙、顔料コート紙、布、木材、金属板、合成紙、不透明化処理した合成樹脂系フィルム、シートなどが挙げられる。中でも、感熱紙用塗工剤を基紙内部にまで浸透させ、耐水性等を好適に高めることができる観点などから、紙が好ましい。
上記感熱紙用塗工剤を感熱記録材料のオーバーコート層又は感熱発色層として用いる場合には、本発明の効果が阻害されない範囲で、他の成分として水溶性樹脂、水分散性樹脂、滑剤及び充填剤等を含んでいても良い。感熱発色層を形成する場合は、前記他の成分として、感熱染料、顕色剤、水溶性樹脂、水分散性樹脂、滑剤及び充填剤等が挙げられる。
上記水溶性樹脂としては、例えば澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩等)、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩(ナトリウム塩等)、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩(ナトリウム塩等)、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
上記水分散性樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
上記滑剤としては、例えば高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
上記充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、サチンホワイト、有機顔料、無機顔料、粘土鉱物、ポリスチレン微粒子、ポリ酢酸ビニル系微粒子、尿素−ホルマリン樹脂微粒子等が挙げられる。
上記感熱染料としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド等のトリアリールメタン系化合物;4,4’−ビスジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系化合物;ローダミンB−アニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシル−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のキサンテン系化合物;ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系化合物;3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン等のスピロ系化合物等が挙げられる。これらの感熱染料は、感熱記録材料の用途等により適宜選択され、1種を単独で又は2種以上を併用できる。
上記顕色剤としては、フェノール誘導体及び芳香族カルボン酸誘導体が好ましく、特にビスフェノール類が好ましい。フェノール誘導体としては、例えばp−オクチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。芳香族カルボン酸誘導体としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、及び上記カルボン酸の多価金属塩等が挙げられる。
上記感熱紙用塗工剤におけるこれらの他の成分の含有量は、通常、ポリビニルアルコール[A]100質量部に対して50質量部以下であり、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
当該感熱紙用塗工剤の塗工量としては、例えばオーバーコート層の場合、感熱記録装置のサーマルヘッドから感熱記録材料の感熱発色層への熱伝導が阻害されない程度で適宜選択されるが、通常、固形分換算で1〜10g/m、好ましくは2〜7g/mである。
なお、感熱記録材料においては、上記基材、感熱発色層及びオーバーコート層の他に、他の層を有していてもよい。上記他の層としては、基材と感熱発色層との間のアンダーコート層を挙げることができる。このような場合であっても、当該感熱記録材料は高い耐水性や耐ブロッキング性を発揮することができる。
<水性エマルション組成物の製造方法>
本発明の水性エマルション組成物の製造方法に特に制限はないが、ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を混合する工程[II]を含むことが好ましい。ここで、水性エマルション[B]は、上記の通り、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含むものである。
本発明の水性エマルション組成物の製造方法においては、さらに、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]と、分散剤とを混合することによる、前記水性エマルション[B]を調製する工程[I]を含むことが好ましい。工程[I]と工程[II]の両方を含む製造方法の場合、通常は工程[I]の後に工程[II]を行うこととなる。この方法であれば、容易に所望の水性エマルション[B]を調整することができる。
水性エマルション[B]を調製する工程[I]においては、分散剤を1〜30質量%含む水溶液を用いることが好ましい。非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を、分散剤を含む水溶液と混合することで、容易に所望の水性エマルション[B]を調整することができる。
さらに前記工程[II]においては、さらに酸[C]を混合することが好ましい。特に、前記工程[II]が、ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を混合する工程[II−1]と、その後に酸[C]を混合する工程[II−2]であることが好ましい。酸[C]を混合することで、水性エマルション組成物においてアセタール化反応を進行させ、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を架橋剤とし、水性エマルション組成物の架橋物を得ることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されず、本発明の技術的思想内で多くの変形が当分野において通常の知識を有する者により可能である。なお、実施例、比較例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
[水性エマルション[B]中の非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の分散粒子径測定]
下記調製例で得られた水性エマルション[B]を、米国Dispersion Technology社製粒子径分布測定装置「DT−1202」を用いて、超音波法にて印加周波数と超音波減衰値(超音波吸収値)のそれぞれの油滴分布から減衰曲線を算出し、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の分散粒子径を測定した。
[水性エマルション組成物のpH評価]
ガラス電極式水素イオン濃度指示計pHメーター:HM−30P(東亜DKK株式会社製)を使用した。標準液は、標準緩衝液(中性りん酸塩pH標準液)pH6.86(25℃)と標準緩衝液(フタル酸塩pH標準液)pH4.01(25℃)(いずれも富士フィルム和光純薬株式会社製)の2本である。25℃環境下で50ccのビーカーに、各実施例及び比較例に記載の調整直後の水性エマルション組成物30ccと回転子を入れ攪拌しながらpH測定を行った。
[水性エマルション組成物の粘度安定性評価]
各実施例及び比較例で用いたポリビニルアルコール[A]の10%水溶液の粘度を、英弘精機株式会社製BROOKFIELD VISCOMETER「DV−II+Pro」を用い20℃で測定した。得られた粘度の値をY[mPa・s]とした。
各実施例及び比較例に記載の通り、ポリビニルアルコール[A]の10%水溶液を用いて、水性エマルション組成物を調製した。当該水性エマルション組成物の調製直後を0分として、20℃のまま、当該水性エマルション組成物の粘度を上記した装置を用いて経時測定し、当該粘度の値がY[mPa・s]の100倍を超えた時点の時間を記録した。時間の長い方が、粘度安定性は高いと評価する。
[塗工物の耐水性評価]
下記実施例1〜9及び比較例1〜3で調製した水性エマルション組成物をバーコーター塗工するために、まず、卓上遠心機(株式会社コクサン:H−36型)で3000rpm、3分脱泡操作を実施した。ガラス板(200×200mm)の上にPET製フィルムを敷き、その上に脱泡した水性エマルション組成物を垂らして、ベーカーアプリケーター(YOSHIMITSU SEIKI:特YBA−4型)を用いてバーコーター塗工を行った。バーコーター塗工した組成物とPET製フィルムとガラス板の複合体を80℃の熱風乾燥機内で30分静置乾燥し、得られたバーコーター塗工した組成物に由来するフィルム(塗工物)をPET製フィルムから外すことで、厚み計で測定した際の中心部膜厚が60μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを80mm×50mmに切り出し、浸漬前の質量(W2)を測定した。このフィルムを100℃の沸騰水中に1時間浸漬し、沸騰水から取り出して、40℃で12時間真空乾燥した後に質量(W1)を測定した。得られた質量(W1)と浸漬前の質量(W2)とから、以下の式に従って煮沸条件下における溶出率を算出した。そして、この溶出率を耐水性の指標とし、溶出率の数値が低いほど耐水性が高いと判定した。なお、沸騰水への浸漬中に評価用フィルムが溶解した場合には「測定不能」と評価した。
溶出率(質量%)=100×([W2]−[W1])/[W2]
[感熱紙用塗工剤の耐水性評価(ウエットラブ試験)]
下記の実施例10,11及び比較例4で得られた感熱紙用塗工剤を、市販の感熱紙(コクヨ社製、ワープロ用感熱紙A4スタンダードタイプ)の片面に、バーコーターのNo.14(エトウキカイ社製)を用いて固形分換算で3g/m塗工した後、乾燥機を用いて50℃で5分乾燥させ、塗工物/感熱紙の積層体を作製した。当該積層体を40℃、50%RHの恒温恒湿機内で24時間静置した後、20℃の水に24時間浸漬させた。浸漬後、塗工物の面を指で擦って、当該面に生じた剥がれの状態を観察し、剥がれが生じるまでに擦った回数を記録した(上限:100回)。回数が多いほど塗工物の耐水性が高いことを意味する。
[調製例1]
分散剤を含む水溶液として、ポリ(エチレングリコール)ブロック-ポリ(プロピレングリコール)ブロック-ポリ(エチレングリコール)ブロックのブロック共重合体の水溶液(シグマアルドリッチ社製、ブロック共重合体の濃度10質量%、ブロック共重合体の数平均分子量1100)用意した。
当該ブロック共重合体の水溶液21質量部に対して、非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]として、ノナンジアール29質量部を添加し、エム・テクニック株式会社精密分散・乳化機「クレアミックス」を用いて、回転数6400rpm、2分の条件で混合することで、水性エマルション[B−a]を調製した。
[調製例2]
ノナンジアール29質量部に代えて、下記式(1)で示される1,1,9,9−ビスエチレンジオキシノナン29質量部を添加した以外は、調整例1と同様にして、水性エマルション[B−b]を調製した。

[調製例3]
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製クラレポバール28−98、重合度1700、けん化度98.5mol%)を脱イオン水に添加し、90℃で120分撹拌し溶解させ、濃度10質量%のポリビニルアルコール水溶液[A−a]を調製した。
[実施例1]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸[C]として酢酸1.8質量部を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.60質量部(ノナンジアール0.348質量部)、酸[C]として濃度50質量%のクエン酸水溶液0.5質量部(クエン酸0.25質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸[C]として濃度50質量%のクエン酸水溶液1.0質量部(クエン酸0.5質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.16質量部(ノナンジアール0.0928質量部)、酸[C]として濃度50質量%のクエン酸水溶液0.5質量部(クエン酸0.25質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸[C]として濃度50質量%のクエン酸水溶液0.12質量部(クエン酸0.06質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸[C]として濃度10質量%のポリアクリル酸水溶液2.7質量部(ポリアクリル酸0.27質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸[C]として濃度10質量%のポリアクリル酸水溶液1.8質量部(ポリアクリル酸0.18質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例2で得られた水性エマルション[B−b]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸[C]として濃度35質量%の塩酸0.85質量部(塩酸純分0.3質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例2で得られた水性エマルション[B−b]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸[C]として濃度50質量%のクエン酸水溶液2.4質量部(クエン酸1.2質量部)を添加し、目的の水性エマルション組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[実施例10]
(感熱紙用塗工剤の調製)
充填剤としてカオリン(エンゲルハード社製「UW−90」)を40%の濃度になるように水に分散し、ディスパーサーを用い、3000rpmで20分撹拌することで、カオリン分散液を調製した。このカオリン分散液22.5質量部に、水20.1質量部、調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]56.8質量部、調製例1で得られた水性エマルジョン[B−a]0.55質量部を順に添加し、水性エマルション組成物(カオリン、ポリビニルアルコール、ノナンジアールの合計質量の濃度15%の分散液)を調製した。更に得られた水性エマルション組成物に濃度50質量%のクエン酸を加え、pHが6.1になるようにし、この水性エマルション組成物を感熱紙用塗工剤として評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例11]
(感熱紙用塗工剤の調製)
充填剤としてカオリン(エンゲルハード社製「UW−90」)を40%の濃度になるように水に分散し、ディスパーサーを用い、3000rpmで20分撹拌することで、カオリン分散液を調製した。このカオリン分散液22.5質量部に、水20.4質量部、調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]56.8質量部、調製例1で得られた水性エマルジョン[B−a]0.28質量部を順に添加し、水性エマルション組成物(カオリン、ポリビニルアルコール、ノナンジアールの合計質量の濃度15%の分散液)を調製した。更に得られた水性エマルション組成物にリン酸を加え、pHが2.4になるようにし、この水性エマルション組成物を感熱紙用塗工剤として評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]を使用して評価を行った。水性エマルション[B]及び酸[C]は使用しなかった。評価結果を表1に示す。
[参考例1]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、調製例1で得られた水性エマルション[B−a]0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)を添加し、水性エマルション組成物を得た。酸[C]は使用しなかった。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
調整例3で調整したポリビニルアルコール水溶液[A−a]18質量部(ポリビニルアルコール1.8質量部)に、エマルション化されていない多官能アルデヒド化合物としてノナンジアールを0.34質量部(ノナンジアール0.1972質量部)、酸として濃度50質量%のクエン酸水溶液0.06質量部(クエン酸0.03質量部)を添加し、組成物を得た。評価結果を表1に示す。
[参考例2]
クエン酸水溶液を添加しなかったこと以外は実施例10と同様にして、水性エマルション組成物を得た。pHは8.0であった。これを感熱紙用塗工剤として評価した。評価結果を表2に示す。

上記実施例1〜9から明らかなように、本発明の水性エマルション組成物は、塗工物にした際に耐水性に優れていることがわかる。従って、木工用、紙加工剤などの接着剤として有用である。また、実施例10及び11から明らかなように、本発明の水性エマルション組成物を感熱紙用塗工剤として、感熱紙に塗工した場合、耐水性に優れることがわかる。従って、感熱紙用塗工剤や感熱記録材として有用である。
比較例1のように、多官能アルデヒド化合物またはそのアセタール化物を含まない場合、ポリビニルアルコール水溶液の塗工物は耐水性が発現しなかった。比較例2のように、多官能アルデヒド化合物またはそのアセタール化物を水性エマルション[B]として調整せずに組成物を作成した場合、酸を含んでいても塗工物は耐水性が発現しなかった。
参考例1のように、酸を含まない場合、当該水性エマルションの塗工物は耐水性を有さなかった。しかし、実施例1〜9から予想できる通り、参考例1の水性エマルション組成物に酸を添加することで、その塗工物には耐水性が期待できる。よって、水性エマルション組成物として有用である。
参考例2に示すように、酸を含まない場合、当該水性エマルション組成物を感熱紙用塗工剤として、感熱紙に塗工した場合、耐水性に劣っていた。しかし、実施例10,11から予想できる通り、参考例2の水性エマルション組成物に酸を添加することで、その塗工物には耐水性が期待できる。よって、水性エマルション組成物として有用である。

Claims (16)

  1. ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を含む、水性エマルション組成物であって、前記水性エマルション[B]が非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含む、水性エマルション組成物。
  2. 前記水性エマルション[B]における前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の分散粒子径が10〜500nmである、請求項1に記載の水性エマルション組成物。
  3. 前記ポリビニルアルコール[A]の質量と、前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]の合計の質量の質量比{[A]/([B−1]+[B−2])}が99.5/0.5〜60/40である、請求項1または2に記載の水性エマルション組成物。
  4. 前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]が二官能のアルデヒド化合物またはそのアセタール化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載水性エマルション組成物。
  5. pHが1.0〜5.0である、請求項1〜4のいずれかに記載の水性エマルション組成物。
  6. 前記非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]が、炭素数6〜12の多官能アルデヒド化合物またはそのアセタール化物である、請求項1〜5のいずれかに記載の水性エマルション組成物。
  7. さらに酸[C]を含む、請求項1〜6に記載の水性エマルション組成物。
  8. 前記酸[C]が有機酸である、請求項7に記載の水性エマルション組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性エマルション組成物からなる成形体。
  10. 請求項9に記載の成形体を含む、感熱記録材料。
  11. ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を混合する工程[II]を含む、水性エマルション組成物の製造方法であって、前記水性エマルション[B]が非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]を含む、水性エマルション組成物の製造方法。
  12. 非水溶性の多官能アルデヒド化合物[B−1]またはそのアセタール化物[B−2]と、分散剤とを混合することによる、前記水性エマルション[B]を調製する工程[I]を含む、請求項11に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
  13. 前記工程[II]において、さらに酸を[C]を混合する、請求項11または12に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
  14. 前記工程[II]が、ポリビニルアルコール[A]と、水性エマルション[B]を混合する工程[II−1]と、その後に酸[C]を混合する工程[II−2]である、請求項13に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
  15. 前記工程[II−1]において、さらに充填剤を混合する、請求項14に記載の水性エマルション組成物の製造方法。
  16. 請求項15に記載の製造方法で得られた水性エマルション組成物を用いた、感熱紙用塗工剤の製造方法。
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