JPH10131013A - 柔軟性布帛 - Google Patents

柔軟性布帛

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JPH10131013A
JPH10131013A JP8289415A JP28941596A JPH10131013A JP H10131013 A JPH10131013 A JP H10131013A JP 8289415 A JP8289415 A JP 8289415A JP 28941596 A JP28941596 A JP 28941596A JP H10131013 A JPH10131013 A JP H10131013A
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JP
Japan
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fiber
fabric
pva
based polymer
fibers
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JP8289415A
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Inventor
Tomohiro Hayakawa
友浩 早川
Tomoyasu Sonedaka
友康 曽根高
Hisashi Nagi
比佐志 凪
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維断面において、ポリビニルアルコール系
ポリマーが海成分、ポリアクリロニトリル系ポリマーが
島成分となっている易分割性繊維を用いて繊維集合体を
形成したのち、該易分割性繊維を分割処理して極細繊維
不織布とする方法において、不織布が硬く、ペーパーラ
イクな風合いとなることを防ぐ。 【解決手段】 該繊維を分割前、又は分割後かつ乾燥前
に、テトラメトキシノナンやノナンジアールビスエチレ
ンアセタール等のジアルデヒド化合物により繊維を構成
している該ポリビニルアルコールを架橋処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分割化された繊維に
より構成され、柔軟であることを特徴とする布帛、特に
湿式不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、優れた表面感触・拭き取り性
の良好な不織布を得るためには極細繊維を用いればよい
ことが知られている。しかし、極細繊維は製造技術が難
しいためコストが高く生産性が低く、またそのままでは
単糸直径が小さいため開繊性などの点で作業性が悪く、
カーディングによるシート形成も劣るため満足な不織布
が得られないという問題がある。この問題を解決する方
法として、繊維断面において、ポリビニルアルコール
(以下PVAと略す)系ポリマーが海成分、ポリアクリ
ロニトリル(以下PANと略す)系ポリマーが島成分と
なっている易分割性繊維を用いてウェブを形成したの
ち、該易分割性繊維を分割処理して極細繊維不織布とす
る方法が提案されている。しかし、この方法の場合に
は、乾燥時に繊維を構成しているPVA系ポリマーが熱
溶解・繊維間を固定して得られる不織布が非常に硬く、
ペーパーライクな風合いとなるという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来の極細繊維不織布の欠点を解決することにあ
り、すなわちジアルデヒド化合物により架橋処理したP
VA系易分割性繊維を用いて繊維集合体を作製し、これ
に高圧水流を付与することにより、あるいはPVA系易
分割性繊維を用い高圧水流を付与した布帛をジアルデヒ
ド化合物を用いて架橋処理することにより、乾燥時に繊
維を構成しているPVA系ポリマーが熱溶解し、繊維間
を固定して非常に硬く、ペーパーライクな風合いとなる
という欠点を解消し、柔軟性の優れた布帛、特に湿式水
絡不織布を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、易分割性PV
A系繊維を用い、高圧水流により該繊維を分割させて布
帛を得るが、分割前の繊維の状態であらかじめジアルデ
ヒド化合物を用いて架橋処理を行うか、分割後の布帛に
該架橋処理を行うことにより、柔軟な風合いを有する布
帛及びその製造方法である。具体的には、本発明は、ジ
アルデヒド化合物により架橋処理され、かつ平均径が
0.05〜8μmに分割されたPVA系繊維により構成
され、剛軟度が13cm以下である布帛である。そして
このような不織布の製造方法として、ジアルデヒド化合
物により架橋処理されたPVA系易分割性繊維から繊維
集合体を製造し、得られた該繊維集合体に高圧水流を付
与して、該繊維を繊維軸に沿って分割し、そののち加熱
乾燥することを特徴とする布帛の製造方法である。ある
いは、PVA系易分割性繊維により繊維集合体を形成
し、高圧水流を付与して該繊維を分割した後、ジアルデ
ヒド化合物により架橋処理することを特徴とする布帛の
製造方法である。そして本発明において、上記PVA系
易分割繊維は、PVA系ポリマーを海成分、PAN系ポ
リマーを島成分とする海島断面繊維であるのが好まし
い。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるPVA系易分
割性(易フィブリル性と称する場合がある)繊維とは、
PVA系ポリマーを海成分とし、PVA系ポリマーとは
相溶性を有していないが、PVA系ポリマーとは共通の
有機溶媒に溶解することのできるポリマー、好適にはビ
ニル系ポリマーであり、その代表例としてPAN系ポリ
マーが挙げられ、このPVA−PANからなる繊維は強
度が高く、フィブリル化したのちにおいても他のポリマ
ーの組み合わせの繊維と比べて強度が高く、リントフリ
ー性にも優れている。またPVA−PANの組み合わせ
からなる繊維は、PVA系ポリマーとPAN系ポリマー
の水に対する膨潤性が大きく異なるため、高圧水流を付
与することにより、両ポリマーの界面で極めて容易に分
割して、極細フィブリルの集合体となる。
【0006】このようなPVA系ポリマーとPAN系ポ
リマーからなる易フィブリル化繊維に関しては、特願平
7−269619号として既に出願されている。強い極
性基を有するPVA系ポリマー及びPAN系ポリマーか
ら製造された高強度・高ヤング率を有するものであり、
さらに両ポリマーの水に対する膨潤性や両ポリマーの相
溶性の低さ等より容易にフィブリル化し、しかも分割前
は表面が親水性ポリマーであるPVA系ポリマーにより
覆われているため水中への分散性に優れており、さらに
このような易フィブリル性の繊維が、PVA系ポリマー
とPAN系ポリマーを共通の有機溶媒に下記(1)の状
態となるように溶解し、この溶液を下記(2)の固化浴
中に湿式または乾湿式紡糸し、8倍以上延伸することに
より、極めて容易に製造できる点が挙げられる。 (1)紡糸原液が、PVA系ポリマーの溶液中に、PA
N系ポリマーの溶液からなる2〜50μmの粒子径の粒
子が存在している相分離構造であること、(2)固化溶
媒が有機系の溶媒で、かつ固化浴には15〜75重量%
の原液有機溶媒が含有されていること、なお上記2〜5
0μmの粒子径とは、紡糸原液を微分干渉顕微鏡で観察
した場合に判別できる大部分の粒子がこの範囲内の粒子
径を有していることを意味している。
【0007】本発明に用いられるPVA系ポリマーとP
AN系ポリマーからなる易フィブリル化繊維において、
該PVA系ポリマーと該PAN系ポリマーの重量比は8
0:20〜42:58の範囲が好ましい。そしてその性
質として、強度6g/d以上、ヤング率120g/d以
上および叩解性が30分以下であることが好ましい。
【0008】本発明でいうPVA系ポリマーとは、ビニ
ルアルコールユニットを70モル%以上有するポリマー
を意味しており、したがってエチレン、酢酸ビニル、イ
タコン酸、ビニルアミン、アクリルアミド、ピバリン酸
ビニル、無水マレイン酸、スルホン酸含有ビニル化合物
などのモノマーが30モル%未満の割合で共重合されて
いてもよい。ケン化度は80モル%以上が好ましく、配
向結晶化のためにはビニルアルコールユニットが95モ
ル%以上がより好ましく、さらに好ましくは98モル%
以上、もっと好ましくは99モル%以上、最も好ましく
は99.8モル%以上である。PVA系ポリマーの重合
度に関しては、特に限定はないが、高強度フィブリルを
得るためには重合度500以上が好ましく、1500以
上であるとさらに好ましい。
【0009】また本発明で言うPAN系ポリマーとは、
アクリロニトリルユニットを70モル%以上有していれ
ばよく、したがって例えばメチルアクリレート、エチル
アクリレート、メチルメタクリレートなどの(メタ)ア
クリル酸エステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルなどのビ
ニルエステル類、塩化ビニルなどのビニル化合物類、ア
クリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和
カルボン酸類、スルホン酸含有ビニル化合物などのモノ
マーが30モル%未満の割合で共重合されていてもよ
い。原液溶媒に対する溶解性を向上させるためには、P
ANホモポリマーよりも、他のビニルモノマーを0.5
〜10モル%、さらに好ましくは2〜8モル%共重合さ
せたPAN系コポリマーが好ましい。
【0010】前記したように本発明において、PVA系
ポリマーとPAN系ポリマーの重量比は80/20〜4
2/58が好ましく、PVA系ポリマーが42重量%よ
り少ない場合あるいは80重量%より多い場合には、固
化浴へのPVA系ポリマーおよびPAN系ポリマーの溶
出が大きくなり繊維間膠着を生じやすく、また明確な相
分離状態が得られずフィブリル化が困難な場合もある。
強度、ヤング率、得られた繊維のフィブリル化、得られ
たフィブリルの分散性の点より、PVA/PANが重量
比で70/30〜50/50がより好ましく、65/3
5〜50/50が特に好ましい。
【0011】また本発明で用いる易分割性繊維の分割前
強度は6g/d以上で、ヤング率は120g/d以上が
好ましい。本発明でいう強度及びヤング率はそれぞれJ
IS−L 1015に準じて測定した引張強度および初
期引張抵抗度をいう。強度が6g/d未満あるいはヤン
グ率が120g/d未満であると、リントフリー性が不
十分となる。本発明において強度7g/d以上が特に好
ましい。またヤング率としては140g/d以上が特に
好ましい。
【0012】さらに本発明で用いる易分割性繊維の叩解
性は30分以下が好ましい。本発明で言う叩解性とは、
20℃65%RH雰囲気で放置した繊維サンプル4gを
2mm長さにカットしこれに水400ccを加えて松下
電器産業製ミキサー(ナショナルMX−40)に投入
し、11000rpmで撹拌叩解する。所定時間撹拌叩
解後に水分散叩解液をサンプリングし、次に述べる方法
で濾水時間を測定し、濾水時間が60秒となる撹拌叩解
時間をいう。本発明でいう濾水時間とは、径が63mm
のメスシリンダーの底をくりぬき、そこに350メッシ
ュの金網を取り付け、フィブリル0.5gを含む水分散
液750ccを濾過するに要する時間を意味する。
【0013】叩解性が30分を越えると叩解性が不充分
で、実際に使用する際にフィブリル化しないことがあ
る。また叩解時間が長いと得られたフィブリルの分散性
が悪く、ファイバーボールを形成する傾向にある。
【0014】次に本発明で行われる架橋処理(柔軟処
理)について一例を挙げて説明する。処理に用いる化合
物としては、PVAの水酸基同士を架橋することができ
るジアルデヒド化合物であるならば特に限定されず、例
えばグリオキザール、マロンアルデヒド、グルタルアル
デヒド、スクシンアルデヒド等の脂肪族ジアルデヒド類
やテレフタルアルデヒドで代表される芳香族ジアルデヒ
ド類或いはそれらのアルデヒド基をアルコールによりア
セタール化した化合物等が挙げられ、なかでもヘキサン
ジアールやオクタンジアール、ノナンジアール等の炭素
数6以上の脂肪族ジアルデヒドのアルデヒド基をアルコ
ールによりアセタール化した化合物が好ましく、特にノ
ナンジアールをメタノールやエチレングリコール等の低
級アルコールでアセタール化させたものが高度の柔軟性
が達成されることより好ましい。処理剤の作製は、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ソーダを水溶液中に所定の濃度
(約0.1〜5重量%)になる様に撹拌しながら溶解さ
せ、次に上記ジアルデヒド化合物を所定の濃度(約1〜
20重量%)となる様に加えエマルジョン化させ十分撹
拌する。架橋処理は上記により調製したエマルジョン液
に対し、硫酸(約0.01〜1重量%)を添加してよく
撹拌し、約50〜100℃まで昇温し、本発明で用いる
PVA系繊維あるいは、PVA系繊維により構成された
布帛を水流等により構成繊維を分割したものをこの溶液
に浸漬させ(液量に対し試料量約0.1〜5重量%)、
1分以上、好ましくは5分以上架橋処理を行う。その
後、温水に浸漬し十分洗浄し、続いて水洗処理すること
により柔軟化処理は完了する。架橋剤として、上記炭素
数6以上の脂肪族ジアルデヒドをアルコールによりアセ
タール化した化合物以外のジアルデヒドを用いても架橋
処理は可能であるが、耐湿熱性が弱く、乾燥後の不織布
は風合いが十分には柔らかくならず、本発明には好適で
あるとは言えない。特にホルマリンを用いた場合には布
帛はほとんど柔らかくならず、本発明の目的は達成され
ない。
【0015】次に本発明に用いる繊維の製造方法につい
て説明する。まずPVA系ポリマーとPAN系ポリマー
を共通溶媒に溶解し紡糸原液とする。共通溶媒として
は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルホルムアミドなどの有機極性溶媒が
挙げられる。特に低温溶解性、ポリマー低分解性などの
点よりDMSOが好ましい。原液中のポリマー濃度とし
ては10〜30重量%の範囲が好ましい。また原液温度
としては、50〜120℃の範囲が好ましい。
【0016】得られた紡糸原液は2〜50μmの粒子径
を有している相構造である。本発明で言う紡糸原液の相
構造とは、前記したように紡糸原液を微分干渉顕微鏡で
観察した場合に観測される分子の大部分がこの粒子径を
有していることを意味している。本発明に用いる繊維の
製造方法においては、PVAとPANが相分離してPA
Nが分散成分(島成分)となり、PVAが分散媒成分
(海成分)となっている。PVAが分散媒成分、PAN
が分散成分となっていることにより強度や弾性率の点
で、さらにフィブリル化し易い点で好ましい結果が得ら
れる。粒子径の大多数が50μmを越える場合には原液
安定性および紡糸安定性の点で好ましくなく、また大多
数が2μm未満で2μmを越える粒子がほとんど存在し
ない場合には相構造が小さく、得られた繊維の叩解性が
悪くなり好ましくない。原液での相構造が固化時の核と
なり、フィブリル化し易い繊維を形成するための重要な
ポイントである。
【0017】紡糸原液の相構造を決定する因子として
は、両ポリマーの相溶性、両ポリマーの組成比、原液中
のポリマー濃度、原液の撹拌条件などがある。両ポリマ
ーの相溶性に関しては、相溶性が悪くなる(すなわち相
溶性が小さくなる)にしたがって粒子径が大きくなり、
組成比に関しては、通常多いほうのポリマーが海成分と
なる。また撹拌条件に関しては周速1〜10m/秒とな
る撹拌条件が好ましい。したがって粒子径を所望の大き
さにするためには、まず適当な条件で紡糸原液を作製し
てその時の粒子径を測定し、その結果を元に、上記の因
子の少なくともひとつを変更することにより、粒子径を
所望の大きさに容易に変更できる。
【0018】このように粒子径を上記したような2〜5
0μmの範囲内とし、そして固化浴条件及び延伸条件を
前記したような条件とすることにより、紡糸性、延伸性
などの工程通過性と易フィブリル化性、強度・ヤング率
等の性能とを両立させることが可能となる。紡糸原液の
粘度としては湿式紡糸する場合には10〜400ポイ
ズ、乾湿式紡糸する場合には50〜2000ポイズの範
囲が好ましい。
【0019】このようにして得られた紡糸原液を紡糸ノ
ズルを通して固化浴中に湿式紡糸、あるいは乾湿式紡糸
する。固化浴を紡糸ノズルに直接に接触させる湿式紡糸
方法は、ノズル孔ピッチを狭くしても繊維同士が膠着せ
ずに紡糸できるため多孔ノズルを用いた紡糸に適してお
り、一方固化浴と紡糸ノズルの間にエアギャップを設け
る乾湿式紡糸の場合は、エアギャップ部での伸びが大き
いことより、高速紡糸に適している。
【0020】固化浴は、固化溶媒として有機溶媒を用い
たもので、かつ固化浴中での固化溶媒/原液溶媒の組成
比が25/75〜85/15の混合液を用いたものであ
る。固化溶媒としてはメタノール、エタノールなどのア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケト
ン類などのPVAおよびPANのいずれに対しても凝固
能を有する有機溶媒を用いるのが好ましい。従来PVA
/PAN系のフィブリル繊維は殆どPANが主成分とな
っており、工業的な固化浴としてPANに対して強力な
凝固能を有する水を用いているが、水はPVAに対して
は凝固能がなく、両ポリマーに対する凝固能が著しく異
なっておりバランスを欠いているのに対して、有機溶媒
系はいずれのポリマーに対しても凝固能を有しており、
しかも原液溶媒を混合することによりバランスよく固化
させることができ、このことが易フィブリル化繊維の性
能に好影響を与えている。
【0021】固化レベルを適性に維持するために、固化
浴中の有機溶媒系固化溶媒と原液溶媒の組成比は重量比
で25/75〜85/15の範囲が採用される。固化浴
中での原液溶媒濃度が15%より少ないと、凝固能が高
すぎ、ノズル切れとなり紡糸調子が不良となり、さらに
得られる繊維の強度・ヤング率等の性能が低下する傾向
にある。一方固化浴中での原液溶媒濃度が75%より多
いと十分な凝固が惹起せず、これまた紡糸工程通過性が
悪く、強度などの点で満足できる性能の繊維を得ること
ができない。より好ましい固化浴中の原液溶媒の濃度は
30〜65重量%である。なお、固化浴は上記したよう
に、有機溶媒系固化溶媒と原液溶媒との混合液が用いら
れるが、もちろん少量ならばこれら以外の液体や固体が
溶解されて存在していてもよい。固化溶媒と原液溶媒の
もっとも好ましい組み合わせはメタノールとDMSOの
組み合わせである。
【0022】固化浴を通過したゲル糸条は、湿延伸、原
液溶媒の抽出洗浄、油剤付与、乾燥等の工程をへたの
ち、乾熱延伸工程に送られる。この乾熱延伸工程におい
て、全延伸倍率が8倍以上となるように乾熱延伸を行う
ことが好ましい。本発明でいう全延伸倍率とは、湿延伸
倍率と乾熱延伸倍率との積で表される倍率であり、全延
伸倍率が8倍未満の場合には強度・ヤング率の優れた繊
維を得ることができないとともに易フィブリル化する繊
維が得られない。
【0023】全延伸倍率を8倍以上とするための因子と
しては、PVA/PANの組成比、固化浴組成や固化浴
温度などの固化浴条件、および湿延伸倍率などの湿延伸
条件、乾熱延伸温度や乾熱延伸雰囲気での滞留時間(延
伸速度)等の乾熱延伸条件が挙げられる。PVA/PA
Nの組成比に関しては、PVAの量比を高めると全延伸
倍率を高くすることができ、固化浴中の原液溶媒の割合
が増加するに従って全延伸倍率が低くなり、固化浴の温
度が高くなると全延伸倍率が高くなる。なお固化浴温度
としては0〜30℃の範囲が好ましい。また湿延伸倍率
を高くすると全延伸倍率が高くなる傾向にあり、乾熱延
伸温度を高くすると全延伸倍率が高くなり、さらに滞留
時間を長くすると全延伸倍率が高くなる。湿延伸倍率と
しては1.5〜4.5倍の範囲、また乾熱延伸温度とし
ては210〜250℃の範囲、さらに滞留時間としては
5秒〜90秒の範囲が好ましい。したがって全延伸倍率
を所望の値にするためには、まず適当な条件で紡糸・延
伸を行い、そのときの全延伸倍率を元に、上記の因子の
少なくともひとつを変更することにより、全延伸倍率を
所望の値に容易に変更できる。全延伸倍率は10倍以上
であるとより好ましく、さらに好ましくは12倍以上で
ある。
【0024】なお繊維には、PVAとPAN以外にも、
本発明の目的を逸脱しない範囲内において、無機顔料、
有機顔料、耐熱劣化防止剤、pH調整剤、架橋剤、油
剤、各種安定剤などを含有していてもよく、これらは、
目的に応じて原液段階、固化段階、抽出段階、乾燥直
前、熱延伸前、熱延伸後、後反応後などの各製造プロセ
ス段階で付与することができる。
【0025】本発明で使用される易分割性繊維の繊度は
特に限定されるものではないが、分割後の単繊維繊度を
考慮すると1〜3デニールが好ましい。また繊維長につ
いては5〜20mmが好ましく、より好ましくは10〜
15mmである。繊維長が5mm未満となると水流処理
による繊維の絡まりが弱く、20mmを越えると湿式抄
造時の分散性が悪く抄紙原紙作製が困難となる。
【0026】本発明において繊維集合体としては、不織
布、織物、編物、あるいはこれらを重ね合わせたもの、
あるいは単に、繊維を漉き上げただけのシートやウエッ
ブなどが挙げられる。なかでも繊維を漉き上げただけの
シートやウエッブは水流絡合の際に繊維の分割も同時に
できるため、工程の簡略化の点で最も好ましい。したが
って得られる布帛は、不織布、織物、編物、あるいはこ
れらを重ね合わせたものである。特に本発明において好
適な場合として、不織布を製造するに当たって、通常の
湿式抄紙法に従って抄造後、水流絡合装置により絡合と
分割を同時に行う方法である。湿式抄造に当たっては、
PVA系易分割繊維(A)あるいはそれとパルプ(B)
や通常繊維などを含有するスラリーを調整し抄造を行う
が、スラリーにおける繊維分濃度を約1〜10重量%程
度にしておく。さらにチェストにて0.5〜5重量%と
なるように希釈し、抄紙機により抄き上げる。用いられ
る抄き網は円網や短網などでよく、乾燥機はヤンキータ
イプのものが好ましいが、多筒タイプやスルードライヤ
ータイプでもよい。乾燥温度はPVAの接着力を最小限
とするため80℃〜100℃が好ましい。
【0027】次に水流絡合処理が行われる。この水流絡
合処理は、上記で得られた湿式抄造シートに高圧水流絡
合装置により、40Kg/cm2以上、好ましくは60
Kg/cm2以上の高圧水流を噴射することにより行わ
れ、これにより繊維の分割及び絡合を行う。分割後の平
均繊維径は0.05〜8μmが吸水性、耐磨耗性の点で
好ましい。水流絡合の水圧が40Kg/cm2未満の場
合には、繊維が分割され難く、分割後の平均径は8μm
を越えるものとなり、耐磨耗性が悪く、不織布強度が弱
くなるといった欠点が見られる場合がある。また分割を
進め過ぎて、平均径を0.05μm未満にすると不織布
緊度が高くなるため吸水性能が悪くなり、本発明の特徴
をもつ不織布は得られない。また水流を噴出するノズル
については、穴径が0.15〜0.07mmのものが好
ましく、特に0.15〜0.1mmのものがよい。処理
後の乾燥は多筒タイプ、スルードライヤータイプが好ま
しいが、ヤンキータイプでもよい。乾燥温度は80℃〜
100℃が好ましい。もし抄造後に乾燥工程の不必要
な、抄造−水流絡合の一貫設備が可能ならば、繊維同志
の接着が殆どないため水流による繊維の絡みが十分に発
揮されるので、本発明に用いる工程としては最も適して
いる。
【0028】このようにして得られる本発明の布帛は、
坪量が50〜200g/m2程度が好ましく、水流によ
り分割した、水との親和性の良好なPVA系極細繊維よ
り構成される柔軟な布帛、特に好ましくは湿式水絡不織
布が得られる。以上のような方法により、剛軟度が13
cm以下の布帛が得られる。剛軟度が13cmを越える
場合には、柔軟性に劣ることとなり、本発明の目的が達
成されない。
【0029】
【実施例】以下本発明を具体的に実施例によって説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施
例中、測定値は以下の方法によって測定したものであ
る。 (1)剛軟度:JIS L−1096により測定し、柔
軟性の指数である剛軟度(cm)を求める。
【0030】実施例1 重合度1700、ケン化度99.5モル%のPVAと、
メチルメタクリレート5モル%共重合したPANをDM
SOに溶解し、80℃で8時間窒素気流下200rpm
(周速3m/秒)で撹拌溶解し、PVA/PANの重量
比が50/50でポリマー濃度が20重量%の混合紡糸
原液を得た。この原液は、肉眼で観察すると不透明であ
り、また前記した方法で相構造を観察すると大部分が2
〜50μmの粒子径を有する相分離構造であり、熱水処
理によりPVA成分が分散媒成分(海成分)でPAN成
分が分散成分(島成分)となっていることを確認した。
この紡糸原液を8時間静置脱泡したが、2層に分離する
気配は全くなく極めて安定した相構造を有していること
を確認した。この80℃の紡糸原液を、孔数1000ホ
ール、孔径0.08mmの紡糸口金を通して、DMSO
/メタノールの重量比が50/50、温度が10℃の凝
固浴中に湿式紡糸し、2.8倍の湿延伸を施し、糸中の
DMSOをメタノールで抽出し、80℃の熱風で乾燥
後、230℃で全延伸倍率16倍の乾熱延伸を行い(乾
熱延伸浴中での滞留時間30秒)、1800d/100
0fのPVA/PANブレンド易分割性繊維を得た。こ
の繊維の強度は7.5g/d、ヤング率は150g/d
であった。
【0031】この繊維を2mmに切断して水分散し、前
述したミキサーで5分間叩解し、叩解液を光学顕微鏡で
観察したところ、大部分の繊維が1μm程度の太さのフ
ィブリルに別れていた。またこの繊維の叩解性は5分以
内であった。またこの叩解液の分散性は良好で、フィブ
リル同士が絡まりあったファイバーボールは全く見られ
なかった。
【0032】以上のようにして得たPVA/PANブレ
ンド易分割性繊維を繊維長15mmにカットし、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ソーダを0.5重量%、1,1,
9,9−テトラメトキシノナンを5重量%、硫酸0.1
重量%含有する70℃の水溶液に該易分割性繊維を5分
間浸漬して架橋処理を行った。得られた繊維を水中に分
散させ、1重量%濃度のスラリー溶液とした。さらにチ
ェストにて0.5重量%となる様に希釈し、抄紙機によ
り抄き上げ、抄き上げられた湿紙を真空脱水により余剰
の水分を除去し、ヤンキータイプの乾燥機に移し、90
℃で乾燥を行い、目付100g/m2の湿式不織布を得
た。このシートに、ノズル径0.15mm、ノズル間ピ
ッチ1mm、列数2列のノズルから80Kg/cm2
水圧の柱状流を噴射させて繊維を交絡させると共に割繊
させた。割繊後のPVA系分割繊維は0.05デニール
相当(直径約2μmとなる)であった。ノズルと抄造シ
ートの間隔は30mmで、抄造シートの下にはステンレ
ス製の80メッシュの金網を支持部材とし、金網を通し
て吸引脱水した。同様の処理を柱状流を噴射したシート
面の反対面にも施した。その後乾燥して不織布を得た。
その物性を表1に示す。
【0033】実施例2 実施例1で得たPVA系易分割性繊維を架橋処理させず
実施例1の方法により不織布を作製し、分割後乾燥前に
不織布を実施例1と同一の方法により1,1,9,9−
テトラメトキシノナンにより架橋処理させること以外
は、実施例1と同様にして不織布を得た。なお分割後の
繊維の平均直径は約2μmであった。得られた不織布の
物性を表1に示す。
【0034】比較例1 実施例1で得たPVA系易分割性繊維を架橋処理しない
以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。しかし乾
燥後ポリビニルアルコール成分が湿熱溶解し、不織布は
ペーパーライクとなり非常に硬くなった。その物性を表
1に示す。
【0035】比較例2 実施例1で得たPVA系易分割性繊維をホルムアルデヒ
ドにより架橋処理させること以外は、実施例1と同様に
して不織布を得た。しかし乾燥後ポリビニルアルコール
成分が湿熱溶解し、不織布はペーパーライクとなり非常
に硬くなった。その物性を表1に示す。
【0036】実施例3 実施例1において、1,1,9,9−テトラメトキシノ
ナンを1,9−ノナンジアールビスエチレンアセタール
(1,9−ノナンジアールとエチレングリコールの反応
物)に置き換える以外は同一の方法により、不織布を作
製した。分割後の繊維のフィブリル径は実施例1とほぼ
同一であった。その物性を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例4 実施例1で得たPVA系易分割性繊維の1,1,9,9
−テトラメトキシノナンによる架橋処理時間を1分に変
更すること以外は、実施例1と同様にして不織布を得
た。なお分割後の繊維の平均直径は約2μmであった。
得られた不織布の物性を表2に示す。
【0039】実施例5 実施例1で得たPVA系易分割性繊維の1,1,9,9
−テトラメトキシノナンによる架橋処理時間を10分に
変更すること以外は、実施例1と同様にして不織布を得
た。なお分割後の繊維の平均直径は約3μmであった。
得られた不織布の物性を表2に示す。
【0040】実施例6 実施例1で得たPVA系易分割性繊維の1,1,9,9
−テトラメトキシノナンによる架橋処理時間を60分に
変更すること以外は、実施例1と同様にして不織布を得
た。なお分割後の繊維の平均直径は約5μmであった。
得られた不織布の物性を表2に示す。
【0041】比較例3 実施例1で得たPVA系易分割繊維の1,1,9,9−
テトラメトキシノナンによる架橋処理時間を約5秒に変
更すること以外は、実施例1と同様にして不織布を得
た。しかし、架橋処理がほとんど行われていないため得
られた不織布はペーパーライクであり非常に硬くなっ
た。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明の布帛はジアルデヒド化合物によ
り架橋処理が行われていることにより風合いが柔らか
く、精密機械・クリーンルームなどに好適に使用される
ワイパーで代表される布製品に極めて適している。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジアルデヒド化合物により架橋処理さ
    れ、かつ平均径が0.05〜8μmに分割されたポリビ
    ニルアルコール系繊維により構成され、剛軟度が13c
    m以下である布帛。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系繊維が、ポリビ
    ニルアルコール系ポリマーを海成分、ポリアクリロニト
    リル系ポリマーを島成分とする海島断面繊維の分割物で
    ある請求項1に記載の布帛。
  3. 【請求項3】 ジアルデヒド性化合物により架橋処理さ
    れたポリビニルアルコール系易分割性繊維から繊維集合
    体を製造し、得られた該繊維集合体に高圧水流を付与し
    て、該繊維を繊維軸に沿って分割し、そののち乾燥する
    ことを特徴とする布帛の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアルコール系易分割性繊維か
    ら繊維集合体を製造し、該繊維集合体に高圧水流を付与
    して該繊維を分割した後、ジアルデヒド化合物により分
    割繊維を架橋処理することを特徴とする布帛の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ポリビニルアルコール系易分割性繊維
    が、ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分、ポリア
    クリロニトリル系ポリマーを島成分とする海島断面繊維
    である請求項3又は4に記載の布帛の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020139069A (ja) * 2019-02-28 2020-09-03 株式会社クラレ 水性エマルション組成物、成形体、水性エマルション組成物の製造方法及び感熱紙用塗工剤の製造方法

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Effective date: 20031224