JP3537601B2 - 不織布 - Google Patents

不織布

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JP3537601B2
JP3537601B2 JP20588696A JP20588696A JP3537601B2 JP 3537601 B2 JP3537601 B2 JP 3537601B2 JP 20588696 A JP20588696 A JP 20588696A JP 20588696 A JP20588696 A JP 20588696A JP 3537601 B2 JP3537601 B2 JP 3537601B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は分割化された繊維と
パルプにより構成され、耐磨耗性及び吸水性能に優れた
湿式不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、優れた表面感触・風合いの不
織布を得るためには、極細繊維を用いればよいことが知
られている。しかし、極細繊維は製造技術が難しいため
コストが高く生産性が低く、またそのままでは単糸直径
が小さいため開繊性などの点で作業性が悪くカーディン
グによるシート形成も劣るため満足な不織布が得られな
いという問題がある。この問題を解決する方法として、
易分割性複合繊維を用いてウェブを形成したのち該易分
割性複合繊維を分割処理して極細繊維とする方法が提案
されている。
【0003】例えば、非相溶性の分割型複合繊維をカー
ドにてウェブとしたあと、高圧液体流にて繊維を分割化
させて極細繊維不織布を作る方法(特開昭62ー133
161号公報)が開示されている。しかし、この方法の
場合には、極細繊維とすることで単繊維強度が低下し表
面強度が弱くなるため、リントフリー性が悪くなるとい
う欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来の極細繊維不織布の欠点をポリビニルアルコー
ル極細繊維の絡まりと湿熱による接着力により繊維の保
持性を向上させることによって上記問題点を改善し、ま
た吸水速度、水保持量の良好な湿式水絡不織布を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、高圧水流によ
り分割・交絡したポリビニルアルコール系極細繊維であ
って、かつ水との親和性も良好で、さらにパルプとの接
着力を持つポリビニルアルコール系極細繊維により、軽
度の接着と絡まりが形成されているリントフリー性が優
れている不織布及びその製造方法である。具体的には、
本発明は、平均径0.05〜8μmに分割されたポリビ
ニルアルコール系分割繊維(A)とパルプ(B)より構
成され、(A)/(B)の重量比が80/20〜30/
70で、吸水性能が15秒以下で、かつ耐磨耗性評価後
の強力保持率が80%以上であることを特徴とする不織
布であり、そしてこのような不織布の製造方法として、
ポリビニルアルコール系易分割繊維(a)とパルプ
(b)からなり、(a)/(b)の重量比が80/20
〜30/70である不織布を湿式法により製造し、得ら
れた該不織布に高圧水流を付与して、該繊維(a)を繊
維軸に沿って分割し、そののち加熱乾燥する方法であ
る。そして本発明において、上記ポリビニルアルコール
系易分割繊維(a)は、ポリビニルアルコール系ポリマ
ーを海成分、ポリアクリロニトリル系ポリマーを島成分
とする海島断面繊維であるのが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるポリビニルア
ルコール(以下PVAと略す)系易分割(易フィブリル
と称する場合がある)繊維とは、PVAを海成分とし、
PVAとは相溶性を有していないが、PVAとは共通の
有機溶媒に溶解することのできるポリマーであり、その
代表例ポリアクリロニトリル(以下PANと略す)系ポ
リマーが挙げられ、このPVA−PANからなる繊維は
強度が高く、フィブリル化したのちにおいても他のポリ
マーの組み合わせの繊維と比べて強度が高く、リントフ
リー性に優れている。またPVA−PANの組み合わせ
からなる繊維はPVA−PANの水に対する膨潤性が大
きく異なるため、高圧水流を付与することにより、両ポ
リマーの界面で極めて容易に分割して、極細いフィブリ
ルの集合体となる。
【0007】このようなPVAとPANからなる易フィ
ブリル化繊維に関しては、特願平7−269619号と
して既に出願されている。強い極性基を有するPVA及
びPANから製造された高強度・高ヤング率を有するも
のであり、さらに両ポリマーの水に対する膨潤性や両ポ
リマーの相溶性の低さ等より容易にフィブリル化し、し
かも分割前は表面が親水性ポリマーであるPVAにより
覆われているため水中への分散性に優れており、さらに
このような易フィブリル性の繊維が、PVAとPANを
共通の有機溶媒に特定状態となるように溶解し、この溶
液を特定の固化浴中に湿式または乾湿式紡糸し、8倍以
上延伸することにより、極めて容易に製造できる点が挙
げられる。
【0008】本発明に用いられるPVAとPANからな
る易フィブリル化繊維において、該PVAと該PANの
重量比は80:20〜42:58の範囲が好ましい。そ
してその性質として、強度6g/d以上、ヤング率12
0g/d以上および叩解性が30分以下であることが好
ましい。
【0009】本発明でいうPVAとは、ビニルアルコー
ルユニットを70モル%以上有するポリマーを意味して
おり、したがってエチレン、酢酸ビニル、イタコン酸、
ビニルアミン、アクリルアミド、ピバリン酸ビニル、無
水マレイン酸、スルホン酸含有ビニル化合物などのモノ
マーが30モル%未満の割合で共重合されていてもよ
い。ケン化度は80モル%以上が好ましく、配向結晶化
のためにはビニルアルコールユニットが95モル%以上
がより好ましく、さらに好ましくは98モル%以上、も
っと好ましくは99モル%以上、最も好ましくは99.
8モル%以上である。PVAの重合度に関しては、特に
限定はないが、高強度フィブリルを得るためには重合度
500以上が好ましく、1500以上であるとさらに好
ましい。
【0010】また本発明で言うPANとは、アクリロニ
トリルユニットを70モル%以上有していればよく、し
たがって例えばメチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エ
ステル類、酢酸ビニルや酪酸ビニルなどのビニルエステ
ル類、塩化ビニルなどのビニル化合物類、アクリル酸、
メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸
類、スルホン酸含有ビニル化合物などのモノマーが30
モル%未満の割合で共重合されていてもよい。原液溶媒
に対する溶解性を向上させるためには、PANホモポリ
マーよりも、他のビニルモノマーを0.5〜10モル
%、さらに好ましくは2〜8モル%共重合させたPAN
コポリマーが好ましい。
【0011】前記したように本発明において、PVAと
PANの重量比は80/20〜42/58が好ましく、
PVAが42重量%より少ない場合あるいは80重量%
より多い場合には、固化浴へのPVAおよびPANの溶
出が大きくなり繊維間膠着を生じやすく、また明確な相
分離状態が得られずフィブリル化が困難な場合もある。
強度、ヤング率、得られた繊維のフィブリル化、得られ
たフィブリルの分散性の点より、PVA/PANが重量
比で70/30〜45/55がより好ましく、65/3
5〜45/55が特に好ましい。
【0012】また本発明で用いる易分割性繊維の強度は
6g/d以上で、ヤング率は120g/d以上が好まし
い。本発明でいう強度及びヤング率はそれぞれJIS−
L1015に準じて測定した引張り強度および初期引張
り抵抗度をいう。強度が6g/d未満あるいはヤング率
が120g/d未満であると、リントフリー性が不十分
となる。本発明において強度7g/d以上が特に好まし
い。またヤング率としては140g/d以上が特に好ま
しい。
【0013】さらに本発明で用いる易分割性繊維の叩解
性は30分以下が好ましい。本発明で言う叩解性とは、
20℃65%RH雰囲気で放置した繊維サンプル4gを
2mmにカットしこれに水400ccを加えて松下電器
産業製ミキサー(ナショナルMX−40)に投入し、1
1000rpmで撹拌叩解する。所定時間撹拌叩解後に
水分散叩解液をサンプリングし、次に述べる方法で濾水
時間を測定し、濾水時間が60秒となる撹拌叩解時間を
いう。本発明でいう濾水時間とは、径が63mmのメス
シリンダーの底をくりぬき、そこに350メッシュの金
網を取り付け、フィブリル0.5gを含む水分散液75
0ccを濾過するに要する時間を意味する。
【0014】叩解性が30分を越えると叩解性が不充分
で、実際に使用する際にフィブリル化しないことがあ
る。また叩解時間が長いと得られたフィブリルの分散性
が悪く、ファイバーボールを形成する傾向にある。なぜ
故に叩解時間が長いとフィブリルの分散性が悪化するか
は不明であるが、フィブリルが細く絡み易いためと推測
される。なおファイバーボールの形成の有無は、叩解液
40ccを300ccビーカーに採り、粘剤(0.1%
ポリエチレオキサイド水溶液)2gと水をくわえて20
0ccとしたのち、ガラス棒で十分に撹拌分散させたと
きに、この分散液においてフィブリル同士あるいはファ
イバーとフィブリルが絡み合い、ガラス棒による撹拌操
作だけでは解離することができない径3mm以上のファ
イバーボールの有無を観察することにより判別できる。
本発明に用いる繊維はファイバーボールが形成されにく
いという特徴を有している。その原因が、その製造方法
において固化浴として有機溶媒を用いていることにあ
る。
【0015】次に本発明に用いる繊維の製造方法につい
て説明する。まずPVAとPANを共通溶媒に溶解し紡
糸原液とする。共通溶媒としては、ジメチルスルホキシ
ド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミドなどの有機極性溶媒が挙げられる。特に低温溶
解性、ポリマー低分解性などの点よりDMSOが好まし
い。原液中のポリマー濃度としては10〜30重量%の
範囲が好ましい。また原液温度としては、50〜120
℃の範囲が好ましい。
【0016】得られた紡糸原液は1〜20μmの粒子径
を有している相構造である。本発明で言う紡糸原液の相
構造とは、紡糸原液をスライドガラス上に約100μm
の厚さに塗布し、室温のメタノールにより凝固させ、得
られたフィルムを500倍の光学顕微鏡で観察した場合
に識別される構造であり、本発明に用いる繊維の製造方
法においては、PVAとPANが相分離してPANが分
散成分(島成分)となり、PVAが分散媒成分(海成
分)となっている。PVAが分散媒成分、PANが分散
成分となっていることにより強度や弾性率の点で、さら
にフィブリル化し易い点で好ましい結果が得られる。上
記粒子径とは、上記したような方法で得られたフィルム
を500倍の光学顕微鏡で観察した場合に判別できる大
多数がその範囲の径を有していることを意味している。
粒子径の大多数が20μmを越える場合には原液安定性
および紡糸安定性の点で好ましくなく、また大多数が1
μm未満で1μmを越える粒子がほとんど存在しない場
合には相構造が小さく、得られた繊維の叩解性が悪くな
り好ましくない。より好ましくは2〜10μmの粒子径
を有している相構造の場合である。原液での相構造が固
化時の核となり、フィブリル化し易い繊維を形成するた
めの重要なポイントである。
【0017】紡糸原液の相構造を決定する因子として
は、両ポリマーの相溶性、両ポリマーの組成比、原液中
のポリマー濃度、溶媒の種類、原液の温度などがある。
両ポリマーの相溶性に関しては、相溶性が悪くなる(す
なわち相溶性が小さくなる)にしたがって粒子径が大き
くなり、組成比に関しては、両ポリマーの混合重量比が
50/50に近づくにしたがって粒子径が大きくなる傾
向にある。またポリマー濃度に関しては、濃度が高くな
るに従って粒子径は小さくなる傾向にあり、原液溶媒に
関しては、両ポリマーに対して相溶性の高い溶媒ほど粒
子径は小さくなる。さらに原液温度に関しては、前記し
たように通常50〜120℃の範囲が用いられるが、温
度が高くなるほど粒子径は大きくなる傾向にある。した
がって粒子径を所望の大きさにするためには、まず適当
な条件で紡糸原液を作製してその時の粒子径を測定し、
その結果を元に、上記の因子の少なくともひとつを変更
することにより、粒子径を所望の大きさに容易に変更で
きる。
【0018】このように粒子径を上記したような1〜2
0μmの範囲内とし、そして固化浴条件及び延伸条件を
前記したような条件とすることにより、紡糸性、延伸性
などの工程通過性と易フィブリル化性、強度・ヤング率
等の性能とを両立させることが可能となる。紡糸原液の
粘度としては湿式紡糸する場合には10〜400ポイ
ズ、乾湿式紡糸する場合には50〜2000ポイズの範
囲が好ましい。
【0019】このようにして得られた紡糸原液を紡糸ノ
ズルを通して固化浴中に湿式紡糸、あるいは乾湿式紡糸
する。固化浴を紡糸ノズルに直接に接触させる湿式紡糸
方法は、ノズル孔ピッチを狭くしても繊維同士が膠着せ
ずに紡糸できるため多孔ノズルを用いた紡糸に適してお
り、一方固化浴と紡糸ノズルの間にエアギャップを設け
る乾湿式紡糸の場合は、エアギャップ部での伸びが大き
いことより、高速紡糸に適している。
【0020】固化浴は、固化溶媒として有機溶媒を用い
たもので、かつ固化浴中での固化溶媒/原液溶媒の組成
比が25/75〜75/25の混合液を用いたものであ
る。固化溶媒としてはメタノール、エタノールなどのア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケト
ン類などのPVAおよびPANのいずれに対しても凝固
能を有する有機溶媒を用いるのが好ましい。従来PVA
/PAN系のフィブリル繊維は殆どPANが主成分とな
っており、工業的な固化浴としてPANに対して強力な
凝固能を有する水を用いているが、水はPVAに対して
は凝固能がなく、両ポリマーに対する凝固能が著しく異
なっておりバランスを欠いているのに対して、有機溶媒
系はいずれのポリマーに対しても凝固能を有しており、
しかも原液溶媒を混合することによりバランスよく固化
させることができ、このことが易フィブリル化繊維の性
能に好影響を与えている。
【0021】固化レベルを適性に維持するために、固化
浴中の有機溶媒系固化溶媒と原液溶媒の組成比は重量比
で25/75〜75/25の範囲が採用される。固化浴
中での原液溶媒濃度が25%より少ないと、凝固能が高
すぎ、ノズル切れとなり紡糸調子が不良となり、さらに
得られる繊維の強度・ヤング率等の性能が低下する傾向
にある。一方固化浴中での原液溶媒濃度が75%より多
いと十分な凝固が惹起せず、これまた紡糸工程通過性が
悪く、強度などの点で満足できる性能の繊維を得ること
ができない。より好ましい固化浴中の原液溶媒の濃度は
30〜70重量%であり、40〜65重量%が最も好ま
しい。なお、固化浴は上記したように、有機溶媒系固化
溶媒と原液溶媒との混合液が用いられるが、もちろん少
量ならばこれら以外の液体や固体が溶解されて存在して
いてもよい。固化溶媒と原液溶媒のもっとも好ましい組
み合わせはメタノールとDMSOの組み合わせである。
【0022】固化浴を通過したゲル糸条は、湿延伸、原
液溶媒の抽出洗浄、油剤付与、乾燥等の工程をへたの
ち、乾熱延伸工程に送られる。この乾熱延伸工程におい
て、全延伸倍率が8倍以上となるように乾熱延伸を行う
ことが好ましい。本発明でいう全延伸倍率とは、湿延伸
倍率と乾熱延伸倍率との積で表される倍率であり、全延
伸倍率が8倍未満の場合には強度・ヤング率の優れた繊
維を得ることができないとともに易フィブリル化する繊
維が得られない。
【0023】全延伸倍率を8倍以上とするための因子と
しては、PVA/PANの組成比、固化浴組成や固化浴
温度などの固化浴条件、および湿延伸倍率などの湿延伸
条件、乾熱延伸温度や乾熱延伸雰囲気での滞留時間(延
伸速度)等の乾熱延伸条件が挙げられる。PVA/PA
Nの組成比に関しては、PVAの量比を高めると全延伸
倍率を高くすることができ、固化浴中の原液溶媒の割合
が増加するに従って全延伸倍率が低くなり、固化浴の温
度が高くなると全延伸倍率が高くなる。なお固化浴温度
としては0〜30℃の範囲が好ましい。また湿延伸倍率
を高くすると全延伸倍率が高くなる傾向にあり、乾熱延
伸温度を高くすると全延伸倍率が高くなり、さらに滞留
時間を長くすると全延伸倍率が高くなる。湿延伸倍率と
しては1.5〜4.5倍の範囲、また乾熱延伸温度とし
ては210〜250℃の範囲、さらに滞留時間としては
5秒〜90秒の範囲が好ましい。したがって全延伸倍率
を所望の値にするためには、まず適当な条件で紡糸・延
伸を行い、そのときの全延伸倍率を元に、上記の因子の
少なくともひとつを変更することにより、全延伸倍率を
所望の値に容易に変更できる。
【0024】全延伸倍率は10倍以上であるとより好ま
しく、さらに好ましくは12倍以上である。乾熱延伸後
の繊維に、必要に応じて乾熱処理や、さらに耐熱水性改
善のためホルマールやジアルデヒド等によりアセタール
化処理や長鎖アルキルリン酸等による架橋処理等を施し
てもよい。なお繊維には、PVAとPAN以外にも、本
発明の目的を逸脱しない範囲内において、無機顔料、有
機顔料、耐熱劣化防止剤、pH調整剤、架橋剤、油剤、
各種安定剤などを含有していてもよく、これらは、目的
に応じて原液段階、固化段階、抽出段階、乾燥直前、熱
延伸前、熱延伸後、後反応後などの各製造プロセス段階
で付与することができる。
【0025】本発明で使用される分割性繊維の繊度は特
に限定されるものではないが、分割後の単繊維繊度を考
慮すると1〜3デニールが好ましい。また繊維長につい
ては5〜20mmがよく、好ましくは10〜15mmで
ある。繊維長が5mm未満となると水流処理による繊維
の絡まりが弱く、20mmを越えると湿式抄造時の分散
性が悪く抄紙原紙作製が困難となる。
【0026】上記繊維を使用して本発明の不織布を製造
する際に、その配合は、PVA系易分割繊維(A)とパ
ルプ(B)の重量比(A)/(B)が80/20〜30
/70であり、好ましくは重量比(A)/(B)が60
/40〜40/60である。PVA系易分割繊維(A)
の重量比が20%未満となると、湿式水絡不織布中のパ
ルプ(B)の保持効果が下がり、リントフリー性が悪く
なる。またPVA系易分割繊維(A)の重量比が80%
を越えると、高圧水流付与後の不織布の緊度が高くなり
繊維間に水が入りにくくなるため吸水性能が悪くなる。
本発明に用いられるパルプとしては、製紙に用いられて
いる通常のパルプやコットンリンター等が使用できる。
【0027】本発明の不織布を製造するに当たっては、
通常の湿式抄紙法に準じて抄造後、水流絡合装置により
処理することにより得られる。湿式抄造に当たっては、
PVA系易分割繊維(A)とパルプ(B)を含有するス
ラリーを調整し抄造を行うが、スラリーにおける繊維分
濃度を約1〜10重量%程度にしておく。さらにチェス
トにて0.5〜5重量%となるように希釈し、抄紙機に
より抄き上げる。用いられる抄き網は円網や短網などで
よく、乾燥機はヤンキータイプのものが好ましいが、多
筒タイプやスルードライヤータイプでもよい。乾燥温度
はPVAの接着力を最小限とするため80℃〜100℃
が好ましい。
【0028】次に水流絡合処理が行われる。この水流絡
合処理は、上記で得られた湿式抄造紙に高圧水流絡合装
置により、60Kg/cm2以上、好ましくは80Kg
/cm2以上の高圧水流を抄造紙に当てることにより行
われ、これにより繊維の分割及び絡合を行う。分割後の
平均繊維径は0.05〜8μmが吸水性、耐磨耗性の点
で好ましい。水流絡合の水圧が60Kg/cm2未満の
場合には、繊維が分割され難く、分割後の平均径は8μ
mを越えるものとなり、耐磨耗性が悪く、不織布強度が
弱くなるといった欠点が見られる。また分割を進め過ぎ
て、平均径を0.05μm未満にすると不織布緊度が高
くなるため吸水性能が悪くなり、本発明の特徴をもつ不
織布は得られない。また水流を噴出するノズルについて
は、穴径が0.15〜0.07mmのものが好ましく、
特に0.15〜0.1mmのものがよい。処理後の乾燥
は多筒タイプ、スルードライヤータイプが好ましいが、
ヤンキータイプでもよい。乾燥温度は80℃〜100℃
が好ましい。もし、抄造後に乾燥工程の不必要な、抄造
−水流絡合の一貫設備が可能ならば、繊維同志の接着が
殆どないため水流による繊維の絡みが十分に発揮される
ので、本発明品の工程としては最も適している。
【0029】このようにして得られる本発明の不織布は
坪量が50〜200g/m2程度であり、水流により分
割した水との親和性も良好でパルプとの接着力を持つP
VA系繊維極細繊維とパルプより構成される湿式水絡不
織布が得られる。
【0030】
【実施例】以下本発明を具体的に実施例によって説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施
例中、測定値は以下の方法によって測定したものであ
る。
【0031】(1)耐磨耗性 JIS P−8136に使用される摩擦堅牢度試験機
に、50mm幅に切断された試験片をしゅう動台上に、
摩擦部に#600紙ヤスリを取り付け、20回往復させ
る。この試験片の処理前後の引張強さをJIS P−8
113により測定し、強力の保持率(%)を求める。
【0032】(2)吸い上げ性 JIS P−8141にもとずき、15mm幅の試験片
を20℃の水に浸漬後、25mm高さまで水が上昇する
までの時間(秒)を測定した。
【0033】実施例1 重合度1700、ケン化度99.5モル%のPVAと、
メチルメタクリレート5モル%共重合したPANをDM
SOに溶解し、80℃で8時間窒素気流下200rpm
で撹拌溶解し、PVA/PANの重量比が50/50で
ポリマー濃度が20重量%の混合紡糸原液を得た。この
原液は、肉眼で観察すると不透明であり、また前記した
方法で相構造を観察すると3〜10μmの粒子径を有す
る相構造であり、熱水処理によりPVA成分が分散媒成
分(海成分)でPAN成分が分散成分(島成分)となっ
ていることを確認した。この紡糸原液を8時間静置脱泡
したが、2層に分離する気配は全くなく極めて安定した
相構造を有していることを確認した。この80℃の紡糸
原液を、孔数1000ホール、孔径0.08mmの紡糸
口金を通して、DMSO/メタノールの重量比が50/
50、温度が10℃の凝固浴中に湿式紡糸し、2.8倍
の湿延伸を施し、糸中のDMSOをメタノールで抽出
し、80℃の熱風で乾燥後、230℃で全延伸倍率16
倍の乾熱延伸を行い(乾熱延伸浴中での滞留時間30
秒)、1800d/1000fのPVA/PANブレン
ド繊維(A)を得た。この繊維の強度は7.5g/d、
ヤング率は150g/dであった。
【0034】この繊維を2mmに切断して水分散し、前
述したミキサーで5分間叩解し、叩解液を光学顕微鏡で
観察したところ、大部分の繊維が1μm程度の太さのフ
ィブリルに別れていた。またこの繊維の叩解性は5分以
内であった。またこの叩解液の分散性は良好で、フィブ
リル同士が絡まりあったファイバーボールは全く見られ
なかった。
【0035】以上のようにして得たPVA/PANブレ
ンド易分割繊維(A)を繊維長15mmにカットしたも
のを、パルプ(B)と、(A)/(B)の重量比40/
60となる様に水中に分散させ、1%濃度のスラリー溶
液とした。さらにチェストにて0.5重量%となる様に
希釈し、抄紙機により抄き上げ、抄き上げられた湿紙を
真空脱水により余剰の水分を除去し、ヤンキータイプの
乾燥機に移し、90℃で乾燥を行い、目付100g/m
2の湿式不織布を得た。このシートに、ノズル径0.1
5mm、ノズル間ピッチ1mm、列数2列のノズルから
20Kg/cm2、40Kg/cm2、60Kg/c
2、80Kg/cm2の水圧の柱状流を噴射させて繊維
を交絡、割繊させた。割繊後のPVA系分割繊維は0.
05デニール相当(直径約2μmとなる)。ノズルと抄
造シートの間隔は30mmで、抄造シートの下にはステ
ンレス製の80メッシュの金網を支持部材とし、金網を
通して吸引脱水した。同様の処理を柱状流を噴射したシ
ート面の反対面にも施した。その後乾燥して不織布を得
た。その物性を表1に示す。
【0036】実施例2 実施例1で得たPVA系易分割繊維(A)とパルプ
(B)の重量比(A)/(B)を60/40に変化させ
ること以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。な
お分割後の繊維の平均直径は約2μmであった。得られ
た不織布の物性を表1に示す。
【0037】比較例1 実施例1で得たPVA系易分割繊維(A)とパルプ
(B)の重量比(A)/(B)を20/80に変化させ
ること以外は、実施例1と同様にして不織布を得た。し
かしパルプが多くなることにより、耐磨耗性が悪くなる
ことが認められた。その物性を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】比較例2 実施例1で得たPVA系易分割繊維(A)とパルプ
(B)の重量比(A)/(B)を100/0に変化させ
ること以外は、実施例1と同様にして不織布を得たが、
PVA系易分割繊維のみからなるため、不織布の緊度が
高くなり、吸水性能が悪くなった。その物性を表2に示
す。
【0040】比較例3 PVA系易分割繊維(A)の替わりに通常のPVA繊維
(太さ:1dr、繊維長:15mm、(株)クラレ製V
PB103)を使用すること以外は、実施例1と同様に
して不織布を得たが、耐磨耗性が劣ることが認められ
た。またPVA繊維は分割していなかった。得られた不
織布の物性を表2に示す。
【0041】比較例4 PVA系易分割繊維(A)の替わりに通常のポリエステ
ル繊維(太さ:1.3dr、繊維長:15mm、(株)
クラレ製EP133×15mm)を使用すること以外
は、実施例1と同様にして不織布を得た。ポリエステル
繊維は分割していなかった。得られた不織布の物性を表
2に示す。
【0042】比較例5 PVA系易分割繊維(A)の替わりに分割系のナイロン
/ポリエステル繊維(繊維太さ2.5dr、繊維長15
mm、(株)クラレ製N−750)を使用すること以外
は、実施例1と同様にして不織布を得たが、耐磨耗性の
点で劣るものであった。繊維はナイロンとポリエステル
の界面で剥離を生じて分割していた。得られた不織布の
物性を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明の湿式水絡不織布は分割繊維によ
る絡まりと繊維自体の接着性によりパルプが強度に保持
されていることにより、耐磨耗性および吸水性に極めて
優れている。このような特徴からリントフリーを要求さ
れるクリーンルームなどに好適に使用されるワイパーで
代表される布製品に極めて適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D04H 1/46 D04H 1/46 A D21H 13/18 D21H 13/18 (56)参考文献 特開 昭47−43503(JP,A) 特開 平8−127919(JP,A) 特開 平5−214653(JP,A) 特開 平7−29561(JP,A) 特公 昭49−6763(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 D21B 1/00 - 1/38 D21C 1/00 - 11/14 D21D 1/00 - 5/28 D21F 1/00 - 13/12 D21G 1/00 - 9/00 D21H 11/00 - 27/42 D21J 1/00 - 7/00 D01F 8/00 - 8/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均径0.05〜8μmに分割されたポリ
    ビニルアルコール系分割繊維(A)とパルプ(B)より
    構成され、(A)/(B)の重量比が80/20〜30
    /70で、吸水性能が15秒以下で、かつ耐磨耗性評価
    後の強力保持率が80%以上であることを特徴とする不
    織布。
  2. 【請求項2】ポリビニルアルコール系分割繊維(A)
    が、ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分、ポリア
    クリロニトリル系ポリマーを島成分とする海島断面繊維
    又はその分割物である請求項1に記載の不織布。
  3. 【請求項3】ポリビニルアルコール系易分割繊維(A)
    とパルプ(B)からなり、(A)/(B)の重量比が8
    0/20〜30/70である不織布を湿式法により製造
    し、得られた該不織布に高圧水流を付与して、該繊維
    (A)を繊維軸に沿って分割し、そののち加熱乾燥する
    ことを特徴とする不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】ポリビニルアルコール系分割繊維(A)
    が、ポリビニルアルコール系ポリマーを海成分、ポリア
    クリロニトリル系ポリマーを島成分とする海島断面繊維
    である請求項3に記載の不織布の製造方法。
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