JP3556510B2 - アクリル系バインダー繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙、不織布に好適に用いることのできる優れた叩解性を有することを特徴とするアクリル系バインダー繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、汎用の紙分野では天然パルプの使用が一般的であり、合成繊維は一部特殊な用途に使用される程度であった。ところが最近、用途の多様化等により、高機能、高性能の紙が要求されるようになり、合成繊維の短繊維を抄紙素材として利用するケースが増加してきた。同時に環境意識の高まりも影響し、リサイクルを考えた合成繊維100%の紙も上市されるに至り、それに伴い合成繊維を使用した抄紙に使用可能なバインダーとしての特性を有する合成繊維が求められる様になった。
【0003】
このような背景から、これまでにいくつかのパルプ・フィブリル状の合成繊維が提案されてきた。その内、アクリル繊維を主成分とするものとしては、例えば特開平9−242000号公報には、カナディアン・スタンダード・フリーネスが200mlより小さいフィブリル化繊維に関する記載がある。しかしながら、これらは湿紙強力の向上には有効であるが、繊維が十分な熱接着性を有していないため、最終製品、即ち乾紙強力の向上には必ずしもつながらなかった。
【0004】
熱接着性を有するアクリル系繊維として、特公昭55−22600号公報には、アクリロニトリルに特定のアミドを共重合し、加水分解して紡糸することで、容易にフィブリル化し、かつ、熱接着性能を持つ繊維が得られることが提示されている。しかしながら、この方法では加水分解に時間を要するため生産性が低く、また、得られる繊維は、使用量によっては熱収縮が大きくなるという不具合が生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、叩解性良好であり、紙や不織布にバインダー繊維として使用したとき、十分な乾紙強力を発現し、実用上十分な紙、不織布を与えるアクリル系バインダー繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、アクリロニトリルを50重量%以上含有したアクリロニトリル系ポリマーを40〜70重量%、酸価が30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂が5〜30重量%、及びガラス転移温度Tgが30〜100℃のアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂20〜40重量%から構成されることを特徴とするアクリル系バインダー繊維にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。本発明のアクリル繊維を主に構成するアクリロニトリル系ポリマーとしては、アクリロニトリルを50重量%以上含有したアクリロニトリル系ポリマーであることが必要である。アクリロニトリル単位の含有量が50重量%未満の場合は、バインダー繊維が本来のアクリル繊維としての特性である耐候性、耐薬品性を失い、本発明の目的には不適合となり、好ましくない。
【0008】
また、本発明のアクリル系バインダー繊維は、上記のアクリロニトリル系ポリマー40〜70重量%から構成されていることが必要であり、40重量%未満の場合、叩解処理後の原綿の強度が十分でなく、70重量%を越えると叩解性が不充分となる。
【0009】
アクリロニトリルを50重量%以上含有するアクリロニトリル系ポリマーに共重合されるモノマーは、通常のアクリル繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。さらに、染色性改良などの目的で、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩などを共重合しても良い。
【0010】
本発明において、アクリロニトリル系ポリマーの分子量は特に限定しないが、分子量5万〜100万が望ましい。分子量5万未満では紡糸性が低下すると同時に繊維の糸質も悪化する傾向にある。分子量100万を越えると紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が低くなり、生産性が低下する傾向にある。
【0011】
本発明者らは、上記問題点を解決する策を鋭意検討する過程でアクリロニトリル系ポリマーに添加する添加剤ポリマーとして以下の(1)〜(4)の性質を具備することが肝要であると考えるに至った。即ち、(1)良好な紡糸性を保持し、かつ繊維の毛羽立ちを抑制するには、少なくとも繊維に賦形するまで、紡糸原液が安定に存在することが必要である。非相溶性の度合いが大きい場合、繊維が不均質となるとともに、紡糸時における糸切れの原因となる。(2)添加剤が水に溶解すると紡糸凝固槽での脱落が起こり、また繊維および最終製品の品質にも悪影響を与えるため、添加剤ポリマーは水に難溶性であることが望ましい。(3)紡糸工程の凝固浴で糸状が形成される際にミクロ相分離が生じ、繊維中に筋状構造が形成された場合、後の割繊処理により超極細繊維が得られる。(4)アクリロニトリル系ポリマーと添加剤ポリマーとの混和性および粘弾性の差は、添加剤ポリマーの各工程での脱落および製品からの脱落にも関係し、重要である。
【0012】
本発明者らは、上記条件に照らし合わせて添加剤ポリマーを探索した結果、酸価が30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂が1〜4の条件に適合し、且つ、乾紙強力の向上に極めて有効であることを見出した。
【0013】
酸価が30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂の添加による乾紙強力の向上、熱接着性の向上は、添加ポリマーの酸性基に由来する親水性向上によるものと考えられる。即ち、湿潤状態で膨潤し、繊維間の接着性が向上するとともに、乾燥時に固着し、接着効果を発現するものと推定される。酸価が30mgKOH/g未満では十分な接着性が得られず、100mgKOH/gより大きいと紡糸工程で脱落し、溶剤回収の負荷の上昇が問題となる。
【0014】
酸価が30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂は、カルボン酸、またはスルホン酸等の酸性基を有する共重合体であり、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の一塩基、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、イソフタル酸等の二塩基酸、及びこれらの部分エステル等が共重合されていても良い。これらのモノマーを少なくとも5重量%共重合することで酸価30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を得ることができる。本発明に用いるアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂は、酸価が上記範囲にあれば良く、上記のモノマーの他に、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等のモノマーが共重合されていてもよい。また、ポリマーの水溶性を抑制する等の別の目的で、更にスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、メタクリル酸ベンジルなどの芳香族ビニル化合物を共重合しても良い。
【0015】
なお、本発明における酸価とは、1gの試料をエタノール/エーテル混合溶媒に溶解し、0.5Nの水酸化カリウムで滴定した際、中和に要した水酸化カリウムをmg数で表したものである。
【0016】
また、本発明においては、アクリル系バインダー繊維を構成する酸価が30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂が、5〜30重量%であることが必要であり、5重量%未満の場合、十分な接着性効果が得られない。また、30重量%を越えると紡糸における延伸性が低下する傾向が認められる。
【0017】
本発明では、アクリル繊維内部に更に明確な筋状相分離構造を形成し、容易にフィブリル化して、湿紙強力の向上を可能とするため、添加するアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂として、ガラス転移温度Tgが30〜100℃であるアクリル系樹脂又はメタクリル樹脂を用いる。ガラス転移温度Tgが30℃未満の場合、凝固浴での糸切れ、紡糸機ロールへの付着、紡糸性の低下が起こる。ガラス転移温度Tgが100℃を超える場合、延伸が困難となり、工程通過性が低下するとともに製品の品質も低下する。
【0018】
ガラス転移温度Tgが30〜100℃のアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂は繊維中に20〜40重量%含有するように添加されることが必要である。繊維中のアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂の含有量が20重量%未満の場合、繊維内部に十分な筋状相分離構造を形成できず叩解性が低下し、40重量%を越える場合には乾紙強力が低下する傾向となり好ましくない。
【0019】
尚、本発明におけるアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂とは、各種のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルを主体として重合又は共重合して得られるポリマーのことである。アクリル樹脂系ポリマーは、ガラス転移温度Tgが30〜100℃であればよく、その重合組成は特に限定しないが、共重合するモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いるアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂の分子量は特に限定されないが1万〜100万が望ましい。分子量が1万未満では工程での脱落が問題になることがあり、分子量が100万を超える場合、紡糸性が低下する傾向が認められる。また、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂は、水に難溶性であることが望ましい。水への溶解性が高いと、紡糸凝固槽への脱落が生じると同時に繊維の毛羽立ち、糸切れにもつながり、工程通過性が低下する傾向にある。
【0021】
本発明のアクリル系バインダー繊維は、アクリロニトリルを50重量%以上含有したアクリロニトリル系ポリマーと、酸価が30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂、及び、ガラス転移温度Tgが30〜100℃のアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂からなる紡糸原液が、少なくとも紡糸するまでの間、安定に存在することが好ましい。急激に相分離を起こし、目視レベルで判別できる液滴が成長する場合には、紡糸工程での糸切れ、繊維の毛羽立ち、繊維製品の不均一化などの不具合が発生する傾向が認められる。また、液滴が成長することで、繊維断面の単位面積当たりの相分離筋状構造の本数が低下するため、叩解性が低下する。
【0022】
そこで、本発明では紡糸原液に対し、平均分子量50万〜500万のポリエチレングリコールを、繊維中に0.02〜2重量%含有するか、または、平均粒子径10nm〜1μmのシリカ微粒子を繊維中に0.1〜10重量%含有することで、液滴の成長が抑制され、叩解性良好な繊維が得られる。
【0023】
また、繊維断面形状が、扁平率が2〜20、より好ましくは3〜10の扁平繊維場合、繊維の叩解性が高く、叩解処理による到達可能な濾水度を200ml以下とすることが可能である。ここで言う扁平率とは、繊維断面の長軸の長さを短軸の長さで割った値で表されるものである。丸形形状に比べ、扁平形状では比表面積が大きく、紡糸工程での凝固が速いためフィブリル化が進み、叩解性が向上するものと考えられる。
【0024】
扁平形状であることで、叩解時に効果的にシェアがかかることも叩解性向上に寄与しているものと推定される。繊維断面の扁平率が2未満の場合、叩解性向上の効果は不十分な場合があり、扁平率が20を越えると、紡糸工程で繊維の割れが生じ、糸切れの原因になることがある。
【0025】
本発明においては、添加剤がポリエチレングリコールの場合、その分子量が50万〜500万であることが好ましい。分子量が50万を下回ると、紡糸原液中での液滴の成長抑制効果が低下したり、湿式紡糸を行う場合に、工程での繊維からの脱落が多くなる傾向を示す。一方、分子量が500万を超える場合、粘性が高く、紡糸原液への混合が不均一になる傾向を示す。
【0026】
ポリエチレングリコールの添加量は、紡糸原液中のポリマー分に対して繊維中に0.02〜2.0重量%添加することが好ましく、0.02重量%未満の場合、液滴の成長抑制効果が得られにくく、2.0重量%を越える場合は、紡糸性が低下する傾向、あるいは繊維物性が低下する傾向が認められる。
【0027】
ポリエチレングリコールの添加方法は、紡糸原液を調製する際に添加しても良いし、紡糸原液が紡糸口金に至るまでに、混練機等により混合しても良い。混練機で混合する場合、ポリエチレングリコールは予め紡糸原液の溶剤に溶解して均一な溶液としておくか、あるいは、更にポリマーを加えて粘度を調製することができる。この場合のポリマーは、本発明の繊維を構成するポリマーのうちの単成分、あるいは複数成分であることが好ましいが、繊維の叩解性と熱接着性を妨げないものであれば限定されることはない。
【0028】
添加剤がシリカ微粒子の場合、平均粒子径が10nm〜1μmであることが好ましい。平均粒子径が10nm未満の場合は、十分な叩解性向上効果が得られにくく、1μmを超える場合は、紡糸での糸切れが起こりやすい傾向を示す。シリカ微粒子の添加量は繊維中に0.1〜10重量%であることが好ましいことである。0.1重量%未満では液滴の成長抑制効果が十分得られにくくなり、10重量%を越える場合には、紡糸性が低下する傾向にある。シリカ微粒子は、粉体を溶剤、あるいはポリマー溶液に分散して使用しても良いし、予め溶剤、あるいは水に分散した製品を使用しても良い。
【0029】
以下に、本発明のアクリル繊維を製造する方法について説明する。本発明に用いる紡糸原液の溶剤としては、本発明のアクリル系バインダー繊維を構成するアクリロニトリル系ポリマーとアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂の共通溶剤であればどのようなものでも用いることができる。このような溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。本発明のアクリロニトリル系ポリマーとアクリル樹脂系ポリマーからなる紡糸原液を調整する方法については特に限定されないが、例えば溶剤に各ポリマーを投入しスラリーを調製した後に溶解する方法、各ポリマーを別個に溶解した原液をバッチ混合する方法、各ポリマーを別個に溶解した原液を混練機等を用いインライン混合する方法などが挙げられる。
【0030】
調製した紡糸原液は湿式法、乾湿式法、乾式法により紡糸され、繊維に賦型される。中でも紡糸口金より紡糸原液を凝固浴に吐出し凝固糸とする湿式紡糸法が好ましく用いられる。紡糸口金の孔形状は丸形、楕円型、扁平型、十字型、Y字型等が使用可能であるが、扁平型の紡糸口金を使用して繊維断面形状を扁平とすることで、濾水度200ml以下に叩解する原綿を得ることができる。凝固浴としては、一般に紡糸原液溶剤と水から成る混合液を用いる。凝固糸は引き続き、洗浄、延伸を施すが、必要であれば、乾燥、熱処理などの工程を経てバインダー繊維となる。バインダー繊維は、通常1〜25mm長程度にカットされる。叩解処理は、例えば、各種ミキサー、ウォータージェット、ディスクリファイナーなどを用いて行うことができる。
【0031】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。尚、繊維の割繊性を評価するため、得られた繊維を3mmにカットし、繊維濃度1.2%とし、処理量10リットルでナイアガラビーターで叩解処理し、濾水度をカナディアンフリーネステスターで経時的に測定し、濾水度の最小値を求めた。叩解性を比較するため、最小濾水度が100ml未満の場合を◎、濾水度100ml以上200ml未満の場合を○、濾水度が200ml以上の場合を△で示した。
【0032】
また、叩解処理した原綿の熱接着性を評価するため、最小濾水度まで叩解した原綿を濾紙上に捕集し、吸水性の布帛で挟んでニップロールを通し、余分な水分を除去した後、ドラム式乾燥機にて130℃で5分間乾燥し、濾紙面への繊維の接着の有無により評価した。
【0033】
(実施例1)
アクリロニトリル/酢酸ビニル=92/8(重量比)、分子量90、000のアクリロニトリル系ポリマー50重量%と、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸/スチレン=52/40/7/1からなる酸価47の樹脂系ポリマー15重量%と、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=90/10(重量比)の組成を有するメタクリル樹脂(商品名「アクリペットMDK」、三菱レイヨン(株)製;分子量85、000、ガラス転移温度90℃)35重量%をジメチルアセトアミド(以後DMAcと略記)に加熱溶解し、固形分25重量%の紡糸原液を得た。
【0034】
該紡糸原液を以下の方法により、湿式紡糸法で単繊維繊度2.2dtexの繊維に賦形した。まず、DMAc/水=30/70(重量比)の組成を有する40℃の凝固浴中で、孔形状が直径76μmの丸型で、孔数750個の紡糸口金から、紡糸原液を吐出し、凝固糸を紡糸ドラフト0.9倍で引き取り、次いで沸水中で洗浄しながら7倍に延伸して繊維に賦形した。走査型電子顕微鏡で繊維断面を観察したところ、ほぼ丸型の形状であった。
【0035】
得られた繊維を3mmにカットし、繊維濃度1.2%、処理量10リットルとしてナイアガラビーターで叩解処理し、濾水度を経時的に測定した。また、叩解処理した原綿の熱接着性を測定するため、叩解処理した原綿を濾紙上に捕集し、ニップロールを通して余分な水分を除去した後、ドラム式乾燥機にて130℃で5分間乾燥し、濾紙面への接着の有無により、熱接着性を判断した。以上の結果を表1にまとめた。
【0036】
(実施例2)
実施例1において、孔形状が長辺150μm、短辺30μmの長方形で、孔数750個の紡糸口金を用いる以外は同条件で、2.2dtexの原綿を得た。走査型電子顕微鏡で繊維断面を観察したところ、扁平率が4.8の扁平形状であった。原綿を3mmにカットし、実施例1と同様にして原綿の叩解性、熱接着性を評価した結果を表1に示す。
【0037】
(実施例3)
DMAcに加熱溶解した分子量400万のポリエチレングリコールを加えて十分に攪拌混合し、ポリエチレングリコールが固形分に対して0.2%含有される固形分25%の紡糸原液とする以外は実施例1と同様にして紡糸原液を得た。該紡糸原液を用いる以外は実施例1と同じ条件で繊維に賦形した。走査型電子顕微鏡で繊維断面を観察したところ、ほぼ丸形の形状であった。原綿を3mmにカットし、実施例1と同様にして原綿の叩解性、熱接着性を評価した結果を表1に示す。
【0038】
(実施例4)
実施例1において、アクリロニトリル系ポリマーとメタクリル樹脂の混合溶液に、ポリエチレングリコールの代わりにDMAcに分散されたシリカ微粒子(商品名「DMAC−ST−ZL」、日産化学(株)製;固形分20%、平均粒子径70〜100nm)を混合溶液の固形分に対して2重量%添加し、固形分濃度25%の紡糸原液を得た。該紡糸原液を用い、実施例1と同じ紡糸条件により、単繊維繊度2.2dtexの繊維を得た。走査型電子顕微鏡で繊維断面を観察したところ、ほぼ丸形の形状であった。原綿を3mmにカットし、実施例1と同様にして原綿の叩解性、熱接着性を評価した結果を表1に示す。
【0039】
(実施例5)
シリカ微粒子を水分散シリカ微粒子(商品名「スノーテックスO」、日産化学(株)製;固形分20重量%、平均粒子径10〜20nm)とする以外は、実施例1と同一条件にて単繊維繊度2.2dtexの繊維を得た。ただし紡糸原液は、シリカ微粒子を添加することで持ち込まれる水分の量だけ、DMAc量を減量した。得られた原綿を3mmにカットし、繊維濃度1.2%、処理量10リットルとしてナイアガラビーターで叩解処理し、濾水度を経時的に測定した。該紡糸原液を用い、実施例1と同じ紡糸条件により、単繊維繊度2.2dtexの繊維を得た。走査型電子顕微鏡で繊維断面を観察したところ、ほぼ丸形の形状であった。原綿を3mmにカットし、実施例1と同様にして原綿の叩解性、熱接着性を評価した結果を表1に示す。
【0040】
(比較例1)
アクリロニトリル/酢酸ビニル=92/8(重量比)、分子量90、000のアクリロニトリル系ポリマー50重量%と、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸/スチレン=52/40/7/1からなる酸価47の樹脂系ポリマー4重量%と、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=90/10(重量比)の組成を有するメタクリル樹脂(商品名「アクリペットMDK」、三菱レイヨン(株)製;分子量85000、ガラス転移温度90℃)46重量%をDMAcに加熱溶解し、固形分25重量%の紡糸原液を得た。
【0041】
該紡糸原液を実施例1と同条件で紡糸し、単繊維繊度2.2dtexの扁平繊維に賦形した。走査型電子顕微鏡で繊維断面を観察したところ、ほぼ丸形の形状であった。原綿を3mmにカットし、実施例1と同様にして原綿の叩解性、熱接着性を評価した結果を表1に示す。
【0042】
(比較例2)
アクリロニトリル/酢酸ビニル=92/8(重量比)、分子量90、000のアクリロニトリル系ポリマー50重量%と、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸/スチレン=52/40/7/1からなる酸価47の樹脂系ポリマー40重量%と、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=90/10(重量比)の組成を有するメタクリル樹脂(商品名「アクリペットMDK」、三菱レイヨン(株)製;分子量85000、ガラス転移温度90℃)10重量%をDMAcに加熱溶解し、固形分25重量%の紡糸原液を得た。該紡糸原液を用いる以外は実施例1と同じ条件で、繊維に賦形したが、紡糸時に糸切れが多発した。走査型電子顕微鏡で繊維断面を観察したところ、ほぼ丸形の形状であった。原綿を3mmにカットし、実施例1と同様にして原綿の叩解性、熱接着性を評価した結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0003556510
【0044】
【発明の効果】
本発明の繊維は、割繊性が良好なアクリル系繊維であり、かつ、熱融着を有するため、単独あるいは他の素材と混合し、紙や不織布に加工したとき、十分な繊維間接着力を発現し、実用上十分な強力な乾紙強力を発現することができる。

Claims (5)

  1. アクリロニトリルを50重量%以上含有したアクリロニトリル系ポリマーを40〜70重量%、酸価が30〜100mgKOH/gのアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂が5〜30重量%、及びガラス転移温度Tgが30〜100℃のアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂20〜40重量%から構成されることを特徴とするアクリル系バインダー繊維。
  2. 繊維断面形状が扁平であり、扁平率が2〜20である請求項1に記載のアクリル系バインダー繊維。
  3. 叩解処理により割繊、極細化した際の最小濾水度が200ml以下である請求項1又は2に記載のアクリル系バインダー繊維。
  4. 平均分子量が50万〜500万のポリエチレングリコールが、0.02〜2重量%含有される請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系バインダー繊維。
  5. 平均粒子径10nm〜1μmのシリカ微粒子を0.1〜10重量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリル系バインダー繊維。
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