JP2008092869A - フラボノイド組成物、その製造方法および用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るフラボノイド組成物は、ルチンおよび/またはルチン誘導体(成分A)と、ジヒドロケルセチンおよび/またはジヒドロケルセチン誘導体(成分B)とを含有する。上記成分Aとしては、ルチンとデキストリンとの共存下にシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させて得られる、α−グルコシルルチンおよびイソケルシトリンを含有する組成物(酵素処理ルチン)であることが好ましい。また、上記成分Bとしてはジヒドロケルセチンとしてタキシフォリンが好適に用いられる。本フラボノイド組成物は酵素処理ルチンと比較し、同じ抗酸化力当たりの色価が改善されているため、食品、化粧品分野への利用価値が高い。
【選択図】なし
Description
フラボノイド組成物の成分
<ルチン>
ルチン(rutin)は、下記構造式[1]に示すとおり、ケルセチン(quercetin)をアグリコン(非糖部分)とし、その3位の水酸基にルチノースがβ結合した構造を有するフラボノール配糖体である。
が、水、酸性水溶液には難溶である。室温では、1リットルの水に僅か0.1g程度しか
溶けない。酸性領域では無色に近いが、中性からアルカリ性領域では淡黄色を呈する。
本発明における「ルチン誘導体」とは、ルチン及びイソケルシトリンのグリコシル基にさらに糖鎖が結合した化合物およびイソケルシトリンの総称である。このような誘導体は、前述の特許文献1や公知の手法を利用して形成することが可能である。
の3位の水酸基にグルコースがβ結合した構造、すなわち前述のルチンのルチノース単位からラムノース単位が外れた構造を有するフラボノール配糖体である。
ジヒドロケルセチンは、ケルセチンの2位および3位に水素が添加された、下記構造式[3]で表される化合物である。2位および3位の立体配置により4種類の立体異性体が存在するが、その1種である下記構造式[3a]で表される化合物はタキシフォリン(taxifolin)と呼ばれる。
本発明のフラボノイド組成物は、少なくとも、ルチンおよび/またはルチン誘導体(以下「成分A」と表記することがある)と、ジヒドロケルセチンおよび/またはジヒドロケルセチン誘導体(以下「成分B」と表記することがある)とを含有する。これらの配合比は、フラボノイド組成物の用途に応じて適宜調整することができるが、例えば、上記成分A100重量部に対して、上記成分Bが1〜45重量部、好ましくは10〜45重量部の割合で配合されたフラボノイド組成物は、色価と、抗酸化能、紫外線吸収能などの機能性とにバランスよく優れ、食品、化粧品に添加して利用しやすい組成物となる。
上述のような配合組成をもつ本発明のフラボノイド組成物は各種の方法により製造することが可能であり、製造方法は特に限定されるものではない。ルチン、ルチン誘導体、ジヒドロケルセチン、ジヒドロケルセチン誘導体などの各成分をそれぞれ調製または入手し、所定の割合で混合することにより、本発明のフラボノイド組成物を製造することが可能である。これらの各成分の一部は上市されており、例えば、酵素処理ルチンとしては、モノグルコシルルチンおよびイソケルシトリンを含有する東洋精糖(株)製「αGルチンPS」などの商品が挙げられ、ジヒドロケルセチンとしては、松心材から抽出した「タキシフォリン」((株)Techservice)などの商品が挙げられる。
載の酵素処理イソクエルシトリンなどを用いて、これにジヒドロケルセチンおよび/またはジヒドロケルセチン誘導体を添加する態様で、本発明のフラボノイド組成物を得ることも可能である。
α−グルコシルルチン、モノグルコシルルチン、イソケルシトリン、あるいはこれらを含有する組成物である「酵素処理ルチン」は、ルチンなどを原料として各種の酵素処理を組み合わせ、必要に応じて単離、精製して調製することが可能である。
<ジヒドロケルセチン、及びジヒドロケルセチン誘導体の製造方法>
ジヒドロケルセチンの一種のタキシフォリンは、カラマツの心材のチップやベイマツ樹皮の粉砕品から温水やメタノール、エタノール等の有機溶剤、含水有機溶剤で抽出し、吸着樹脂、イオン交換樹脂等によって精製、さらに必要により結晶化して得られる。また、ケルセチンを還元しても得られる。
前述のように、ルチン誘導体は、ルチンと同様にケルセチンをアグリコンとし、抗酸化能、紫外線吸収能などを有する。また、α−グルコシルルチンなどは、ルチンやイソケルシトリンに比べ水への溶解度が約5000倍に著しく高まっており、しかも、ルチンやイソケルシトリンと共存させたときにこれらの水への溶解性をも高める作用があることが知られている。
たないよう低量の添加にとどめるなど、利用できる幅が狭かった。
また本フラボノイド組成物はアスコルビン酸、アスコルビン酸ソーダ、カテキン、クロロゲン酸、フェルラ酸、等の水溶性抗酸化剤、カロチノイド系物質やビタミンEなどの油溶性抗酸化剤と併用して用いることにより相加的、相乗的な抗酸化能を発揮することができる。更に本フラボノイド組成物は脂質代謝改善、血糖値上昇抑制、グリケーション抑制、尿酸値上昇抑制、血管強化を目的とした機能性飲食品に好適に用いられる。
ベイマツ樹皮微粉砕2kgに対し10倍量の温水を加え、一晩攪拌した後ろ過を行い抽出
液とした。得られた抽出液を多孔性吸着剤(オルガノ(株)製「アンバーライトXAD-7」
) 1Lを充填させた樹脂カラムに2L/hrで通液させ、次に2Lの温水で洗浄をした。その後10%エタノール濃度含水液2Lを流して樹脂へ吸着した成分を溶出させ、更に2Lの水で押し出しを行い、溶出液と押出し液をまとめて回収液4Lを得た。本液中の固形分は60g、タキシフォリンの含有割合は51%であった。本液を濃縮した後、静置させ、結晶を十分生じさせてからろ過を行った。得られたケーキは含水アルコール中にて加温溶解し、活性炭を加え、再びろ過を行った。水溶液中にて再結晶化し、タキシフォリン10gが得られた。
ルチン誘導体としての「αGルチンPS」(東洋精糖(株)製)と、ジヒドロケルセチンとして上記のようにして調製したタキシフォリンとを、1/9,3/7,5/5,7/3,9/1で配合して得られた粉末を、それぞれフラボノイド組成物A,B,C,D,Eとした。各フラボノイド組成物1重量部に、イオン交換水9重量部を加え、60℃で5分間加熱して溶解性(外観)を評価した。結果は次表の通りである。
実施例1の本発明品1(フラボノイド組成物D)を、1質量%、10質量%、25質量%、50質量%の濃度となるようにイオン交換水と混合し、90℃の熱水下での溶解性を評価した。結果は次表の通りである。
[実施例2] 色調の改善
実施例1の本発明品1(フラボノイド組成物D)、αGルチンPS、タキシフォリンを各々50%エタノールで50ppmになるように溶解し、各0.2mlにトリス緩衝液0.8
mlを添加・混合したものを試料とした。また、ブランクとしてトリス緩衝液1.0ml
を準備した。各試料およびブランクにつき、ミキサーで攪拌しながらDPPH試薬(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl0.0198gを99.5%エタノール100mlに溶解した
。)を1ml加え、約5秒間攪拌を継続した。正確に20分間、室温・暗所に静置後、分光光度計にて517nmの吸光度を測定し、次式よりDPPHラジカル消去率を算出して抗酸化力とした。
結果は次表の通りである。
次に、αGルチンPSと実施例1の本発明品1(フラボノイド組成物D)が同じ抗酸化力を示す濃度になるよう、pH6.5の酢酸緩衝液にてそれぞれ500ppm、400ppmに
調整後、分光光度計にて420nmの吸光度を測定した。結果は次表の通りである。
[実施例3] フレーバーの劣化防止
実施例1の本発明品1(フラボノイド組成物D)を、ヨーグルト中に100ppmとなる
ように混合し、日光下に置くことでヨーグルトのフレーバーの劣化防止を評価した。結果は次表の通りである。
[実施例4] 退色防止
濃度0.05質量%のクチナシ黄色素溶液(クエン酸緩衝液pH3.3)に、同じ抗酸化力を示す濃度になるよう、実施例1の本発明品1(フラボノイド組成物D)を溶液重量あたり40mg/kg加えたものと、αGルチンPSを50mg/kg加えたもの、さらに無添加区を準備した。
[実施例5] クリーム
下記の処方によりクリームを調製した。調製方法は次の通りである。イオン交換水にプロピレングリコール、苛性カリおよびエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩を加えて溶解し、70℃に保った(水相)。その他の成分を混合して加熱溶解して70℃に保ち(油相)、水相を油相に徐々に加えて70℃で予備乳化を行い、ホモミキサーにて均一に乳化した後、よくかき混ぜながら30℃まで冷却した。
ステアリン酸 6.0/ステアリルアルコール 3.0/イソプロピルミリステート 18.0/グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0/プリピレングリコール 10.0/苛性カリ 0.2/エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩 0.01/酢酸トコフェロール 0.1/ブチルパラペン 適量/香料 適量/イオン交換水 適量/実施例1の本発明品1(フ
ラボノイド組成物D) 0.05。
[実施例6] 機能性飲食品
実施例1と同様の方法で得られた抽出液を、実施例1と同様に多孔性吸着剤(オルガノ
(株)製「アンバーライトXAD-7」) 1Lを充填させた樹脂カラムに2L/hrで通液させ、
次に2Lの温水で洗浄をした。その後50%エタノール濃度含水液2Lを流して樹脂へ吸着した成分を溶出させ、更に2Lの水で押し出しを行い、溶出液と押出し液をまとめて回収液4Lを得た。該回収液全量に、「αGルチンPS」(東洋精糖(株)製)140gを加え濃縮濾過乾燥し酵素処理ルチン含有松抽出物195gを得た。本品中のタキシフォリン含有量は30.5g
、含有率は15.3%であった、本品は脂質代謝改善、血糖値上昇抑制、グリケーション抑制、尿酸値上昇抑制、血管強化を目的とした機能性飲食品として好適に用いられる。
Claims (5)
- ルチンおよび/またはルチン誘導体とジヒドロケルセチンおよび/またはジヒドロケルセチン誘導体とを含有することを特徴とするフラボノイド組成物。
- 前記ルチンおよび/またはルチン誘導体が、ルチン、イソケルシトリン、または酵素処理ルチンであり、
上記酵素処理ルチンとは、ルチンとデキストリンとの共存下にシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させて得られる、α−グルコシルルチンを含有する組成物である
ことを特徴とする請求項1に記載のフラボノイド組成物。 - 前記ルチンおよび/またはルチン誘導体100重量部に対して、前記ジヒドロケルセチンおよび/またはジヒドロケルセチン誘導体が1〜45重量部の割合で配合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフラボノイド組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のフラボノイド組成物を含有することを特徴とする飲食品または化粧品。
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