JP5646815B2 - ルチン誘導体組成物及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents
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Description
このようなαGルチンの開発により、抗酸化、退色防止、風味劣化防止等の機能を飲食物、化粧品分野等へ利用する動きが一気に広まってきた。
さらに、本発明は、色素、乳酸菌飲料、ビタミンC類、油脂含有食品、飲食物、化粧品、医薬品、飼料の何れかであって、酵素処理ルチン及び/又は藤茶抽出物を含まないものに対する効果的な品質劣化防止方法を提供することを目的としている。
本発明では、前記酵素処理ルチンが、ルチンに糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体からルチンに糖(グルコース)を転移させることにより得られる、α-グルコシルルチン含有物であることが望ましい。
本発明のルチン誘導体組成物は、前記藤茶抽出物中にジヒドロミリセチン量が20〜98重量%含まれていることが好ましい。
本発明のルチン誘導体組成物は、色素の退色・変色防止用であることが好ましい。
本発明のルチン誘導体組成物は、ビタミンCの分解抑制用であることが好ましい。
本発明のルチン誘導体組成物は、前記ルチン誘導体がさらにビタミンEを含有することを特徴とする。
本発明の飲食物、化粧品、医薬品または飼料は、前記ルチン誘導体組成物を含むことを特徴とする。
さらに、本発明は、色素、乳酸菌飲料、ビタミンC類、油脂含有食品、飲食物、化粧品、医薬品、飼料の何れかであって、酵素処理ルチン及び/又は藤茶抽出物を含まないものに対する効果的な品質劣化防止方法を提供することができる。
〔ルチン誘導体組成物〕
本発明に係るルチン誘導体組成物は、後述するような酵素処理ルチンと藤茶抽出物とを含んでなることを特徴とする。
本発明のルチン誘導体組成物は、酵素処理ルチンと、藤茶抽出物とが、酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と藤茶抽出物中のジヒドロミリセチン量(b)との重量比((a)/(b))で6/4〜9/1、好ましくは7/3〜8/2、さらに好ましくは7.5/2.5〜8/2(但し(a)+(b)=10とする。)となる量で含まれていることが望ましい。
なお、本発明において、「品質劣化防止」とは、対象物の品質の低下を防ぐことを言い、具体的には、対象物の色合い、風味、呈味、香りの低下、対象物の酸化、分解、腐敗等を防ぐことを言う。
この場合、ビタミンEは、ルチン誘導体組成物100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは、50〜150重量部の量で用いることが望ましい。
さらに、ルチン誘導体組成物の持つ飲食物の劣化防止効果とビタミンEの持つ飲食物の劣化防止効果が顕著に増強され、相乗効果を有するルチン誘導体組成物を提供することができるため好ましい。
本発明における酵素処理ルチンとは、ルチンに、糖供与体としての澱粉あるいはその部分加水分解物(例:デキストリン、マルトース)を加えてなる組成物に、アミラーゼ、グリコシダーゼ、トランスグリコシダーゼなどのグルコース残基転移酵素を作用させて澱粉あるいはその部分分解物からルチンに糖(グルコース)を転移(付加)させることにより得られる、α-グルコシルルチンを含有する組成物(α-グルコシルルチン含有物)のことを言う。
ここで、α-グルコシルルチンとは、以下の一般式(1)で表わされ
本発明における藤茶抽出物とは、抽出原料として使用する藤茶(学名:Ampelopsis grossedentata(Hand.−Mazz.)W.T.Wang、またはAmpelopsis cantoniensis(Hook.et Arn.)Panch.)から抽出されたものである。
本発明のルチン誘導体組成物はさらにビタミンEが配合されていることが好ましい。
ビタミンE(Vitamin E)は、脂溶性ビタミンの一種であり、小麦ハイ芽油不ケン化物より有効成分が単離される。小麦ハイ芽油不ケン化物にアロファン酸を作用させると3種のアロファン酸エステルが単離され、そのうち有効な2種が、α‐トコフェロールおよびβ―トコフェロールである。トコフェロールはこの他にもγ、σ型が存在する。
本発明のビタミンEとしては、特に制限されないが、ミックストコフェロール(α、β、γ、σ型のトコフェロールが混在したもの)、ある一つの型のトコフェロールのみでもかまわない。これらは天然の植物から抽出した精製品でも未精製品中に含まれたものでもよく、合成品でも良い。また、油脂、デキストリン等により希釈された製剤として使用しても良い。市販品としては理研ビタミン(株)製の(商品名:「理研オイルスーパー80」、トコフェロール64%含有)、などが例示できる。
さらに、ビタミンEは酸化防止剤としても用いることができる。このような、ビタミンEとしてはdl−α−トコフェロール等が挙げられる。
本発明のルチン誘導体組成物中にさらに必要に応じて、酸化防止剤等任意の助剤を混合してもよい。
酸化防止剤としては、例えばL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸、カフェ酸、クロロゲン酸、亜硫酸ナトリウム、カテキン、エラグ酸、カンゾウ油性抽出物、クエルセチン、フェルラ酸、ブドウ種子抽出物、ローズマリー抽出物、ルチン、クローブ抽出物、ヤマモモ抽出物などが挙げられる。助剤としては、例えばアラニン等のアミノ酸類、クエン酸等の有機酸及びその塩類、リン酸及びその塩類、重合リン酸塩類、グリセリン脂肪酸エステル、フィチン酸などが挙げられる。
本発明に係るルチン誘導体組成物は、以下に詳述するように、色素の退色・変色防止、ビタミン類の光分解防止、酸化防止等の用途に使用でき、香料の劣化防止、美白用、老化防止用、乳酸飲料の良好な香りの長期間持続用及び劣化防止用、ビタミンC類の分解防止用、菓子類、バターなどの油脂含有食品の劣化防止用、などとして好適に用いられる。
退色防止の対象となる色素としては、例えば、以下のものが挙げられる。
本発明における色素は、天然色素、合成色素等いずれでもかまわないが、例えば、カロチノイド系色素、フラボノイド系色素、アントシアニン系色素、アントラキノン系色素、ベタシアニン系色素、ジケトン系色素、アザフィロン系色素及びポルフィリン系色素から選ばれる天然物を起源とする色素が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上が組合わさったものでもよい。
カロチノイド系色素は、ニンジン、カボチャ、トマト、卵黄、バター等の植物、動物、微生物界を通じて広く分布する黄〜赤色を呈する色素である。例えばα−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、カプサンチン、カプソルビン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、ロドキサンチン、リコピン、クリプトキサンチン、クロセチン、クロシン、ビキシン、ノルビキシン等の化合物、アナトー色素、トウガラシ色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カニ色素、イモ、デュナリエラ、ニンジン又はパーム油から抽出した抽出カロチン色素、トマト色素、パプリカ色素、ファフィア色素、ヘマトコッカス色素、マリーゴールド色素、クチナシ黄色色素又はその他動物、植物若しくは微生物由来のカロチノイド色素などが挙げられる。
アザフィロン系色素は、子のう菌類ベニコウジカビの菌体より含水エタノール又は含水プロピレングリコールで抽出して得られる赤色を呈する色素であり、色素主成分はモナスコルブリン、アンカフラビンなどである。例えばベニコウジ色素、ベニコウジ黄色色素などが挙げられる。
本発明における乳酸菌飲料とは、乳などを乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、又は、主要原料とした飲料(但し、ここでは、ルチン誘導体組成物を不含のものをいう。)のことを言い、「カルピス」(カルピス(株)製)、「ヤクルト」((株)ヤクルト製)等が挙げられる。
ビタミンC類の代表例であるビタミンC(Vitamin C)は、水溶性ビタミンの1種であり、L−アスコルビン酸とも呼ばれ、本発明におけるビタミンC類としては、ビタミンCまたはその塩、またはその他の各種誘導体を用いることができ、市販されているものを特に限定されることなく使用することができる。ビタミンCの誘導体としては、グルコシル化アスコルビン酸、リン酸化アスコルビン酸などが挙げられる。アスコルビン酸には、酸化型および還元型があるが、そのいずれも用い得る。
ビタミンC類に対し、ルチン誘導体組成物を上記の量で用いると、ビタミンC類の熱や光による分解を効率よく抑制することができるため好ましい。
本発明における油脂含有食品は、油脂を含む食品であればいずれでもかまわないが、食品用油脂類、乳、乳製品類、ソース類、パン類、パイ類、ケーキ類、菓子類、ルウ類、調味液類、氷菓類、麺類、加工食品、米飯類、ジャム類、缶詰類及び飲料類などの油脂含有食品を言う。
本発明の飲食物としては、前記ルチン誘導体組成物を含む限り、特に限定されるものではないが、例えば、発酵食品、パン類、漬物、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品(加工乳、脱脂粉乳等)等の加工食品;菓子類等の嗜好食品;油脂類、甘味料、調味料、香辛料等の調理・調味用材料;サプリメント等の健康食品(機能性食品);特別用途食品(病者用食品、高齢者用食品、育児用食品);特定保健用食品;ゲル化剤や膨張剤等の加工材料;保存食;非常食;宇宙食;
水、清涼飲料水、アルコール飲料、茶、コーヒー等の飲料等が挙げられる。
本発明の化粧品としては、前記ルチン誘導体組成物を含む限り、特に限定されるものではないが、例えば、パウダー、乳液、リキッド、クリーム状のファンデーション、日焼け止め、スキンローション、クリーム類、口紅、芳香剤等の化粧品などが挙げられる。
本発明の医薬品としては、前記ルチン誘導体組成物を含む限り、特に限定されないが、例えば、各種医薬品、医薬部外品、例えば錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬、歯磨き、口中清涼剤、口臭防止剤、ドリンク剤、漢方石鹸、洗剤、シャンプー、リンス、頭髪剤、育毛剤等が挙げられる。
本発明の飼料としては、前記ルチン誘導体組成物を含む限り、各種キャットフード、ドッグフード、観賞魚の餌、養殖魚の餌などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明の好適態様についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
酵素処理ルチンを100mg精秤後、水約100mlを加えて溶解後、さらに水を加え正確に200mLに定容し、グルコアミラーゼ(グルクザイムNL4.2、天野製薬(株)製)を2.9U加え、55℃で1時間反応後加熱によりグルコアミラーゼを失活させ、その後ろ過したものを「ルチン試料溶液」とする。
検出器:Waters996 PDA(日本ウォーターズ株式会社製);
ポンプ:HITACHI L−6300 Intelligent Pump(株式会社日立製作所製);
カラムオーブン:HITACHI L−5025 Column Oven(株式会社日立製作所製);
測定波長:254nm(ルチン測定時)、290nm(ジヒドロミリセチン測定時);
カラム:CAPCELL PAK C18(ODS)(資生堂株式会社製);
カラム温度:40℃;
移動相:HPLC用蒸留水/アセトニトリル/リン酸=800/200/1;
流速:0.5mL/min;
(計算式)
・ルチン換算量(%)=(試料溶液のモノグルコシルルチンピーク面積+試料溶液のルチンピーク面積+試料溶液中のイソケルシトリン面積)/標準ルチンのピーク面積×標準ルチン濃度/試料溶液の固形分濃度×100
・ジヒドロミリセチン量(%)=試料溶液のジヒドロミリセチンピーク面積 /標準ジヒドロミリセチンのピーク面積×標準ジヒドロミリセチン濃度/試料溶液の固形分濃度×100
ルチン誘導体組成物を100mg精秤後、水を加えて精確に200mLに定容し、さらにグルコアミラーゼ(グルクザイムNL4.2、天野製薬(株)製)を2.3U加え、55℃で1時間反応後加熱によりグルコアミラーゼを失活させ、その後ろ過したものを「試料溶液」とする。
<藤茶抽出物の製造法>
藤茶乾燥葉100gに水2,000mlを加え、80〜90℃で1時間抽出した後、ガーゼ及び3μmのフィルター(No.2 、アドバンテック社製)でろ過して抽出液(b1)を得た。ろ過残査を同様に処理し(すなわち、ろ過残渣に、水2,000mlを加え、80〜90℃で1時間抽出した後、ガーゼ及び3μmのフィルターでろ過し、得られた抽出液(b2)を上記の抽出液(b1)と合わせて200mlの多孔性樹脂(HP-20、三菱化成社製)に通液し、さらに1,000mlの水で該樹脂を洗浄した後、樹脂中に残存している吸着成分を80%エタノール600mlで溶出させた。
得られた溶出液を減圧下で脱アルコール、濃縮、乾燥して藤茶抽出物(X)を得た。藤茶抽出物(X)は、ジヒドロミリセチンを80重量%含有していた。
<ルチン誘導体組成物の製造法1>
ルチン誘導体として酵素処理ルチン(商品名「αGルチンPS」、東洋精糖(株)製、ルチン換算量80重量%)160gと、調製例1で得られた藤茶抽出物(X)(ジヒドロミリセチン80重量%)40gを採取し、60%含水エタノール800mLを加え、60〜70℃で攪拌し溶解させた。次に減圧下でアルコールを除去した後さらに濃縮し、精密ろ過を行い、乾燥・粉砕してルチン誘導体組成物187gの粉末を得た(以下、「本発明品」と言う。)。
<ルチン誘導体組成物の製造法2>
酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と藤茶抽出物中のジヒドロミリセチン量(b)との重量比{(a)/(b)}が5/5〜9/1となるよう酵素処理ルチン(商品名「αGルチンPS」、東洋精糖(株)製、ルチン換算量80%)と、調製例1で得られた藤茶抽出物(X)を配合した以外は実施例1と同様の方法にて得られた粉末をそれぞれルチン誘導体組成物A,B,C,D,Eとした。
結果を表1に示す。
<溶解性>
本発明品(実施例2で得られたルチン誘導体組成物D)と調製例1で得られた藤茶抽出物(X)との溶解性を比較した。
なお、表2中において、「総固形分」とは、溶液中のジヒドロミリセチンの濃度が0.50、1.0、2.0%となるようにイオン交換水と本発明品または藤茶抽出物(X)を混合した際に用いた本発明品または藤茶抽出物(X)の固形分のことを言う。
<カロチノイド系色素の退色防止>
パプリカ色素(三菱化学フーズ社製、極大吸収482nm)0.1g、マリ−ゴールド色素(富士フレーバー社製、極大吸収458nm)0.4gをpH3.0の緩衝液500mlに溶解した(以下、「色素溶液」という。)。
比較対照に色素溶液のみの無添加区および本発明品のそれぞれの濃度に対応した等モル量の藤茶抽出物または酵素処理ルチン(αGルチンPS)を色素溶液に添加した藤茶抽出物添加区または酵素処理ルチン添加区を作製した。各試験液は日光を照射し色素の退色を目視にて確認した後に分光光度計にて色素の吸光度を測定した。値は冷蔵保存をした未照射無添加区の色素の極大吸収を100%として試験液中の色素の残存率(%)を求めた。
色素残存率(%)=照射添加区の吸光度/未照射無添加区の吸光度×100
<アントシアン系色素の褐変防止>
ナスを長方形に切り、20mLクエン酸緩衝液(pH3.2)とともにガラス瓶に詰めた。さらに、以下表4に示す濃度で塩化鉄、本発明品を加えた。試験Aは、塩化鉄、本発明品ともに無添加、試験Bは、塩化鉄のみ80ppm加え、試験Cは、塩化鉄を80ppm、本発明品を150ppm加えたものである。これを20℃、暗所で2週間保存し、ナス皮の色調と付け汁の色調を目視評価した。
結果を表4に示す。
<乳酸飲料の劣化防止>
市販の乳酸菌飲料(「カルピス」、カルピス(株)製)に本発明品を加え、本発明品を40、80ppmの濃度となるように調整した。比較対照には乳酸菌飲料のみの無添加区、および、本発明品のそれぞれの濃度に対応した藤茶抽出物または酵素処理ルチン(αGルチンPS)を乳酸菌飲料に添加した藤茶抽出物添加区または酵素処理ルチン添加区を作製した。各試験液は日光を10時間照射(照射区)した後、官能検査に供した。官能検査はパネル6名による乳酸菌飲料に何も添加しない(無添加区)を10時間冷蔵保存した時の乳酸菌飲料の香り、劣化臭、好みを4.00とした時を基準に評点法によって行った。
結果を表5に示す。
<ビタミンCの分解防止>
ビタミンCおよび本発明品を各0.2%濃度になるようにpH6.0の緩衝液で調整し、40℃・暗所、冷蔵・1500lxの条件で保存した。ここで、冷蔵・1500lxの条件とは、蛍光灯(FL15 EX-NTT、三菱オスラム社製)で照射しながら3〜5℃の冷蔵庫内で保存した状態をいう。2、4日後のビタミンC濃度の変化をビタミンC定量用キット((株)シマ研究所製)を用い、分光光度計(日本分光(株)製、V550)にて測定し、スタート時の濃度を100として残存率(%)を求めた。対照として、ビタミンC 0.2%のみの試験液(無添加区)を調製し比較した。
結果を表6に示す。
<クッキーの酸化防止>
薄力粉:120g、べーキングパウダー:小さじ1/2、砂糖:60g、ラード:60g、卵:1/2ヶ、水:少量、ア−モンドパウダ−:小さじ1、黒ゴマ:適量に、本発明品0.06gとミックストコフェロールを0.03g加えて180〜190℃で15分間焼いてクッキーを製造した。このクッキーをビニール袋に入れ密封した後、60℃・暗所に保存して経時的に1,2,3週間後のPOV(過酸化物価)を食品衛生検査指針に記載の(試験方法:過酸価物価(クロロホルム法))に基づいて測定した。
結果を表7に示す。
<油脂含有食品(バター)の劣化防止>
市販バター(「北海道バター」、森永乳業(株)製)200gを湯煎で溶解し30gずつ分割した後、下記表8に示す試験区となるように所定量の本発明品、ビタミンE、酵素処理ルチンを加え、日光下で7時間放置し(日光下)官能検査に供した。官能検査はパネル6名により、バターのみ(無添加)を冷暗所(4℃)で7時間放置した場合を基準(「0」)とし評点法で行った。なお、基準値より評点が劣る場合は、マイナス(−)を付した。また、バターの劣化防止試験において、オフフレーバーとは、通常バターにはあってはならないフレーバーのことを言う。
結果を表8に示す。
<油脂含有食品(チョコレート)の劣化防止>
市販チョコレート(「ミルクチョコレート」、明治製菓(株)製)325gを湯煎で溶解した後、ホイップクリーム(「ホイップ植物性脂肪」、MEGMILK社製)200mlを同様に加熱してチョコレートに加え混合した。これを保温状態(温度:60℃)で30gずつに分割し、下記表9に示す試験区となるように所定量の本発明品、ビタミンEを加え日光下で6時間放置した後、官能検査に供した。官能検査はパネル6名により、チョコレートとホイップクリームの混合物のみ(無添加)を冷暗所(4℃)で6時間放置した場合を基準(「0」)とし評点法で行った。なお、基準値より評点が劣る場合は、マイナス(−)を付した。また、チョコレートの劣化防止試験において、オフフレーバーとは、通常チョコレートにはあってはならないフレーバーのことを言う。
結果を表9に示す。
<化粧用クリーム>
下記の組成によりクリームを調製した。以下の数値は、配合量(質量%)を表す。調製方法は、まず、イオン交換水にプロピレングリコール、苛性カリおよびエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩を加えて溶解し、70℃に保った(水相)。次にその他の成分を混合して加熱溶解して70℃に保ち(油相)、水相に油相を徐々に加えて70℃で予備乳化を行い、ホモミキサーにて均一に乳化した後、よくかき混ぜながら30℃まで冷却した。
ステアリン酸;6.0、ステアリルアルコール;3.0、イソプロピルミリステート;18.0、グリセリンモノステアリン酸エステル;3.0、プロピレングリコール;10.0、苛性カリ;0.2、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩;0.01、酢酸トコフェロール;0.1、ブチルパラペン;適量、香料;適量、イオン交換水;適量、本発明品;0.05。
ルチン誘導体組成物は、化粧用クリームの白色および物性を損なうことなくフラボノイドを含有するクリームに利用することができた。
Claims (12)
- 酵素処理ルチンと藤茶抽出物とが、前記酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と藤茶抽出物中のジヒドロミリセチン量(b)との重量比((a)/(b))で6/4〜9/1(但し(a)+(b)=10とする。)となる量で含まれていることを特徴とするルチン誘導体組成物。
- 前記酵素処理ルチンが、ルチンに糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体からルチンに糖(グルコース)を転移させることにより得られる、α-グルコシルルチン含有物であることを特徴とする請求項1に記載のルチン誘導体組成物。
- 前記酵素処理ルチン中のルチン換算量が10〜85重量%であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物。
- 前記藤茶抽出物中にジヒドロミリセチン量が20〜98重量%含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物。
- 色素の退色・変色防止用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物。
- 前記色素が、カロチノイド系色素、アントシアニン系色素、フラボノイド系色素、アントラキノン系色素、ポルフィリン系色素、ベタシアニン系色素、ジケトン系色素およびアザフィロン系色素から選ばれる1種または2種以上の色素であることを特徴とする請求項5に記載のルチン誘導体組成物。
- 乳酸菌飲料の劣化防止用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物。
- ビタミンC、その塩、グルコシル化アスコルビン酸またはリン酸化アスコルビン酸の分解抑制用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物。
- 前記ルチン誘導体組成物がさらにビタミンEを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物。
- 油脂含有食品の劣化抑制用であることを特徴とする請求項1〜4、9のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物。
- 請求項1〜4、9のいずれか1項に記載のルチン誘導体組成物を含むことを特徴とする飲食物、化粧品、医薬品または飼料。
- 色素、乳酸菌飲料、ビタミンC、ビタミンCの塩、グルコシル化アスコルビン酸、リン酸化アスコルビン酸、油脂含有食品、飲食物、化粧品、医薬品、飼料の何れかであって、酵素処理ルチン及び/又は藤茶抽出物を含まないものに、
対応する不含の成分である酵素処理ルチン及び/又は藤茶抽出物を、
該色素、乳酸菌飲料、ビタミンC、ビタミンCの塩、グルコシル化アスコルビン酸、リン酸化アスコルビン酸、油脂含有食品、飲食物、化粧品、医薬品または飼料中の酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と藤茶抽出物中のジヒドロミリセチン量(b)との重量比((a)/(b))が6/4〜9/1(但し(a)+(b)=10とする。)となるように添加することを特徴とする、色素、乳酸菌飲料、ビタミンC、ビタミンCの塩、グルコシル化アスコルビン酸、リン酸化アスコルビン酸、油脂含有食品、飲食物、化粧品、医薬品、飼料の品質劣化防止方法。
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