JP2002038151A - 水溶性抗酸化剤及び天然色素の褪色防止剤 - Google Patents

水溶性抗酸化剤及び天然色素の褪色防止剤

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JP2002038151A
JP2002038151A JP2000228783A JP2000228783A JP2002038151A JP 2002038151 A JP2002038151 A JP 2002038151A JP 2000228783 A JP2000228783 A JP 2000228783A JP 2000228783 A JP2000228783 A JP 2000228783A JP 2002038151 A JP2002038151 A JP 2002038151A
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soluble antioxidant
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Yoshiharu Igarashi
喜治 五十嵐
Hideyuki Tsuda
英之 津田
Tadashi Katabami
忠 方波見
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体に対して安全性が高く、既存
の抗酸化性組成物より効果の高い、天然物から得られる
水溶性の抗酸化剤、褪色防止剤を提供することにある。
また、紅花の葉及び/又は茎の有効利用法を提供するこ
と。 【解決手段】 紅花の葉及び/又は茎を水又は含
水アルコールで抽出して得られる成分を有効成分とする
水溶性抗酸化剤は強い抗酸化活性を呈し、及び該水溶性
抗酸化剤からなる天然色素の褪色防止剤は優れた天然色
素の褪色防止効果を呈することを見出し、本発明を完成
するに至った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紅花の葉及び/又
は茎を水又は含水アルコールで抽出して得られる成分と
する水溶性抗酸化剤、褪色防止剤、及び酸化防止方法、
褪色防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】油脂類及び特に不飽和二重結合を有した
油脂を含有する飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、
飼料などは、空気中の酸素によって酸敗し、またこのと
きに生じる酸化物などは有毒であることが知られてい
る。このような酸化による品質劣化を防ぐために、通
常、何らかの抗酸化剤が使用されている。
【0003】これまで、BHA(ブチルヒドロキシアニ
ソール)やBHT(ブチルヒドロキシトルエン)などの
合成酸化防止剤が多用されてきたが、これらは、優れた
酸化防止効果を持ちながらも動物実験で発ガン性を示す
データが報告され、一般に食品添加物としての使用が見
合わされる傾向がある。
【0004】このような事情から、天然由来の抗酸化剤
が強く望まれ、ビタミンE(トコフェロール)やビタミ
ンC(L−アスコルビン酸)が広く用いられてきた。し
かしながらビタミンEは、(1)脂溶性であるため適用
範囲が限定される、(2)価格が高い、(3)元来、植
物油に高濃度で含有されているため、植物油には更に添
加してもその酸化安定性の向上がほとんど望めない等の
点から、また、ビタミンCは、金属イオンの存在下でプ
ロオキシダント(酸化促進剤)として作用する場合があ
り、条件によっては脂肪の過酸化をむしろ促進する点か
ら、いずれも効果に十分満足の行くものではなかった。
【0005】そのため、人体に対する安全性と経済性の
観点から、入手が容易で安価な天然物に由来し、強い抗
酸化活性を有する新規製品の開発が切望されてきた。
【0006】天然物から得られる抗酸化剤として、これ
までに、ローズマリー抽出物、茶抽出物、コーヒー豆抽
出物、ブドウ種子抽出物、甘草抽出物、リンゴ未熟果抽
出物、ヤマモモ抽出物などが開発されており、本出願人
もヒマワリ種子抽出物を開発した。
【0007】また、本発明の紅花の抗酸化作用に関して
は、今までに特開昭60−149393号公報、特開平
05−43873号公報、特開平05−229956号
公報、特開平06−16530号公報、特開平07−1
73465号公報、特開平09−87620号公報など
に開示されている。
【0008】例えば、特開昭60−149393号公報
では、ベニバナを組織培養後ヘキサンにて抽出すること
によるビタミンEの製造方法が開示されている。
【0009】また、特開平05−43873号公報で
は、紅花の花弁から抽出される抗酸化成分であるカルサ
ミンを有効成分とする抗酸化剤について述べている。本
発明の抽出物は熱水で抽出させていても良いが、カルサ
ミンは、熱水に容易に分解することから、本願発明とは
有効成分が異なる。
【0010】さらに、特開平05−229956号公
報、特開平06−16530号公報では、紅花の溶媒抽
出物を有効成分とする抗酸化剤について述べている。し
かし、当該特許明細書中で「紅花とは、双子葉植物網、
合弁花亜網、ききょう目、キク科ベニバナ属の学名をカ
ルタムス チンクトリウス エル(Carthamus
Tinctorius L.)ベニバナ又はクレノアイ
と呼ばれる植物の花である。」と述べており、紅花の花
に注目し、その中に含まれる成分を有効成分とするもの
であり、本願発明とは異なる。
【0011】特開平09−87620号公報では、紅
花、月見草、ごま、ひまわりからなる群から選ばれた1
または2以上の植物の種子を発芽させた子葉を処理して
作られる子葉処理体について述べており、これは、ビタ
ミンEやβ―カロテン、カロテン、リノレン酸、リノー
ル酸などの脂溶性化合物を含み、本願発明の紅花の葉、
茎から得られる抽出物とは全く物性が異なる。
【0012】以上の通り、これまで産業廃棄物として廃
棄されてきた紅花の葉や茎を有効に利用する方法につい
ては、全く知られていなかった。
【0013】天然色素、特にβ−カロテン、アスタキサ
ンチン、カンタキサンチン、カプサンチン、リコピン等
のカロチノイド系色素やアントシアニン系色素、ヘム色
素、キノン系色素などは光あるいは空気中で酸化を受
け、速やかに褪色する。このため従来より褪色防止剤と
して、ビタミンC(L−アスコルビン酸)や、その他ビ
タミンE(α−トコフェロール)やルチンなどが使用さ
れている。
【0014】しかしながら、L−アスコルビン酸の効果
は充分なものとは言えず、色素によってはむしろ褪色が
促進されることが知られている。さらに、α−トコフェ
ロールやルチンなどは水に溶けにくいことからその使用
に当たっては自ずと制限を受けていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】人体に対して安全性が
高く、既存の抗酸化性組成物より効果の高い、天然物か
ら得られる水溶性の抗酸化剤、褪色防止剤を提供するこ
とにある。また、紅花の葉及び/又は茎の有効利用法を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するため、鋭意研究した結果、紅花の葉、茎の
熱水抽出物が、強い抗酸化活性、褪色防止効果を有する
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明は、
【0017】(1) 紅花の葉及び/又は茎を水又は含
水アルコールで抽出して得られる成分を有効成分とする
水溶性抗酸化剤、
【0018】(2) 紅花の葉及び/又は茎を水又は含
水アルコールで抽出して得られる成分が、0.1重量%
以上のルテオリン−7−グルコサイドを有効成分として
含有する成分である(1)に記載の水溶性抗酸化剤、
【0019】(3) (1)又は(2)に記載の水溶性
抗酸化剤からなる天然色素の褪色防止剤、
【0020】(4) 天然色素が、カロチノイド系色
素、アントシアニン系色素、ヘム色素、キノン系色素か
らなる群から選ばれる1種以上の色素であることを特徴
とする(3)に記載の褪色防止剤、
【0021】(5) 飲食品類、医薬品、医薬部外品、
飼料又は化粧品に、紅花の葉及び/又は茎を水又は含水
アルコールで抽出して得られる成分を添加することを特
徴とする飲食品類、医薬品、医薬部外品、飼料又は化粧
品の酸化防止方法、
【0022】(6) 紅花の葉及び/又は茎を水又は含
水アルコールで抽出して得られる成分が、0.1重量%
以上のルテオリン−7−グルコサイドを有効成分として
含有する成分である(5)に記載の酸化防止方法、
【0023】(7) 天然色素に、紅花の葉及び/又は
茎を水又は含水アルコールで抽出して得られる成分を有
効成分とする褪色防止剤を添加することを特徴とする天
然色素の褪色防止方法、
【0024】(8) 紅花の葉及び/又は茎を水又は含
水アルコールで抽出して得られる成分が、0.1重量%
以上のルテオリン−7−グルコサイドを有効成分として
含有する成分である(7)に記載の褪色防止方法、を提
供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】本発明において用いられる「紅花の葉及び
/又は茎」とは、双子葉植物網、合弁花亜網、ききょう
目、キク科ベニバナ属の学名をカルタムス チンクトリ
ウスエル(Carthamus Tinctorius
L.)ベニバナ又はクレノアイと呼ばれる植物の葉及
び/又は茎を意味する。また、「茎」の語には、茎だけ
でなく根茎の意味も含まれるものとする。
【0027】本発明の水溶性抗酸化剤を得るには、紅花
の葉及び/又は茎を十分に乾燥させ、適当な大きさにな
るまで粉砕する。これらに対し、5〜30倍量、より好
ましくは、10〜20倍量の水又は含水アルコールを加
える。この際、水で抽出する場合は50〜100℃に加
熱するか、オートクレーブ(120℃、2気圧)を行
う。また、含水アルコールで抽出する場合は、20〜8
0%のアルコール溶液好ましくは、30〜65%のアル
コール溶液とし、室温〜70℃好ましくは45〜55℃
で加温抽出することにより抽出される。含水アルコール
のアルコールとしては、エタノール、メタノール、イソ
プロピルアルコール、ブタノール等が挙げられるが、好
ましくはエタノールが挙げられる。
【0028】抽出時間は、1〜2時間以上が好ましい。
この抽出液を減圧濃縮乾燥して粉末化するか、ペースト
状もしくは含水エタノール溶媒として本発明の水溶性抗
酸化剤を得ることができる。
【0029】紅花の葉及び/又茎から上述の方法により
得られる抽出物は、ルテオリン−7−グルコサイドを有
効成分として、抽出物に対し0.1〜10重量%、好ま
しくは0.5〜10重量%含む。
【0030】抗酸化力を高めるためにはルテオリン−7
−グルコサイドを、吸着樹脂やイオン交換樹脂等を用い
る等、公知慣用の方法で濃縮、精製することによってル
テオリン−7−グルコサイドの含有量を高めればよい。
しかし、その達しうる含有量には自ずと限界はあろう
が、高いこと自体による不都合はないので、基本的にル
テオリン−7−グルコサイドに上限を設ける必要はな
く、紅花の葉及び/又茎から上述の方法により得られる
抽出物は、0.1重量%以上であればよい。
【0031】本発明の抗酸化剤の使用量は、酸化防止対
象物に対し、通常0.001〜5重量%であり、好まし
くは0.01〜0.5重量%である。
【0032】本発明の抗酸化剤は、単独でも使用可能で
あるが、必要に応じてBHAやBHT等の合成抗酸化剤
やビタミンEやビタミンC、ローズマリー抽出物、茶抽
出物、ブドウ種子抽出物、甘草抽出物、リンゴ未熟果抽
出物、コーヒー豆抽出物、ヤマモモ抽出物、ヒマワリ種
子抽出物等の天然物から得られる抗酸化剤を本発明の効
果を損なわない程度、配合し併用することができる。
【0033】本発明の抗酸化剤は、その製剤化にあた
り、上記構成成分の有効量に、適当量の無毒性担体を配
合し、慣用の製造方法を用いて調製することができる。
即ち、散剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁
剤、乳剤、アンプル、注射剤等様々な剤形に調製され
る。
【0034】この場合、製剤化するに際しては、無毒性
担体、例えば、ショ糖エステル、脂肪酸モノグリセリ
ド、レシチン等の界面活性剤、乳化剤、アラビアガム、
ゼラチン、ソルビット等の結合剤、ショ糖、乳糖、デン
プン、マンニット、軽質無水ケイ酸、アルミン酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸
水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウ
ム等の賦形剤、ステアリン酸マグネシウム、硬化油等の
滑沢剤、食塩、サッカリン、オレンジ油、
【0035】甘草エキス、クエン酸、ブドウ糖、メント
ール、リンゴ酸等の矯味剤、矯臭剤、ココナッツ油、オ
リーブ油、ごま油、大豆油、紅花油、菜種油、アルコー
ル、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の懸濁剤、希釈剤、湿
潤剤等のセルロース、糖類などの炭水化物誘導体、アク
リル酸メチル、メタアクリル酸共重合体等のポリビニル
誘導体、その他皮膜形成剤、コーティング助剤等の成分
を用いて慣用の方法で調製され、使用に供される。
【0036】本発明の抗酸化剤は、特に、飲食品に適用
するのがよいが、その他、医薬品、医薬部外品、煙草、
飼料、化粧品、油脂加工品、石油製品等に添加し使用す
ることができる。
【0037】飲食品としては、例えば、しょう油、粉末
しょう油、味噌、粉末味噌、もろみ、マヨネーズ、ドレ
ッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、ソー
ス、ケチャップ、焼肉のたれ、カレールー、シチューの
素、スープの素、だしの素、複合調味料等の各種調味
料、せんべい、あられ、おこし、まんじゅう、あん類、
【0038】カステラ、飴等の各種和菓子、パン、ビス
ケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バター
クリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョ
コレート、チューインガム、キャラメル、キャンデー、
ゼリー等の各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベッ
ト、アイスキャンデー等の氷菓、果実のシロップ漬、水
蜜等のシロップ類、フラワーペースト、ピーナツペース
ト、フルーツペースト等のペースト類、ジャム、マーマ
レード、シロップ漬、糖菓等の果実、野菜の加工食品
類、漬物類、ハム、ソーセージ等の蓄肉製品類及びその
ひもの、食肉ハム、
【0039】魚肉ソーセージ、かまぼこ、竹輪、天ぷら
等の魚貝製品類及びその干物、ウニ、イカの塩辛、さき
するめ、ふぐのみりん干等の各種珍味類、のり、山菜、
するめ、小魚、貝類で製造される佃煮類、煮豆、ポテト
サラダ、昆布巻等のそう菜食品、魚肉、蓄肉、果実、野
菜の瓶詰め、缶詰、果実酒等の酒類、ジュース類、乳酸
飲料、乳酸菌飲料等の清涼飲料水、プリンミックス、ホ
ットケーキミックス、即席飲食品等の各種飲食物、嗜好
品に使用できる。
【0040】また、ラード、ヘッド、オリーブ油、ひま
し油、椿油、茶実油、アボガド油、ごま油、綿実油、小
麦胚芽油、ヒマワリ油、大豆油、サフラワー油、月見草
油等の動植物油脂類やリノール酸、リノレン酸、オレイ
ン酸等の不飽和脂肪酸及びそのエステルあるいは、不飽
和アルコール等に対して使用でき、バター、マーガリ
ン、ドレッシング、ショートニング等の油脂加工品、即
席めん、ドーナッツ、油揚げ菓子、チョコレート等の油
脂含有食品等に使用することができる。
【0041】その他、医薬品及び医薬部外品としては、
口紅、スキンローション、クリーム類、乳液、シャンプ
ー、リンス、石鹸、トローチ、肝油ドロップ、口中清涼
剤、うがい薬等に自由に使用できる。
【0042】さらに、本発明の抗酸化剤は、飲食品、特
に、野菜類、果実類、魚介類、蓄肉類及びそれらの加工
品に含まれる天然色素、例えば、β−カロテン、アスタ
キサンチン、カンタキサンチン、カプサンチン、リコピ
ン等のカロチノイド系色素やアントシアニン系色素、ヘ
ム色素、キノン系色素等の褪色防止剤として利用でき
る。
【0043】本発明の抗酸化剤は単独、もしくは他の抗
酸化剤などと混合し、これを飲食品、化粧品等に含有さ
せることによって優れた抗酸化剤と、天然色素の褪色防
止剤を提供することができる。また、従来廃棄されてい
た紅花の葉及び/又は茎を利用することから低コストで
生産することができる特徴がある。
【0044】
【実施例】以下に、試験例、実施例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り
これらに限定されるものではない。
【0045】(実施例1) 水溶性抗酸化剤の製造方法 十分に乾燥した紅花の葉及び茎10.0gに水200m
lを加えて、80〜90℃にて1時間抽出した。得られ
た抽出液を桐山漏斗でろ過し、水50mlでろ過残渣を
洗浄後、エバポレーターにて減圧濃縮し、真空乾燥機に
て完全に乾固させ、淡い黄緑色粉末の抽出物3.1gを
得た。
【0046】得られた水溶性抗酸化剤の成分分析を以下
の条件で行い、図1に示すHPLCチャートを得た。
【0047】分析方法:高速液体クロマトグラフィー法 使用カラム:Inertsil ODS-2(登録商標、ジーエルサイ
エンス株式会社製)10μ、4.6×250mm 溶媒:水−メタノール=70−30(体積比)pH2.
7(リン酸にて調整) 流速:0.8ml/min 検出器:UV 265nm
【0048】有効成分を調べるため、図1の25分近辺
のメインピークを分取し、単離・構造解析を行ったとこ
ろ、この化合物は、下記構造式で表されるルテオリン−
7−グルコサイドであり、その含有割合は抽出物に対し
1.5重量%であった。
【0049】表1に該化合物の13C−NMR(DMSO
−d6)の解析結果を、表2に該化合物の1H−NMR
(DMSO−d6)の解析結果を示す。
【0050】
【化1】
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】(実施例2) 水溶性抗酸化剤の製造方法 十分に乾燥した紅花の葉10.3gに水200mlを加
えて、80〜90℃にて1時間抽出した。得られた抽出
液を桐山漏斗でろ過し、水50mlでろ過残渣を洗浄
後、エバポレーターにて減圧濃縮し、真空乾燥機にて完
全に乾固させ、淡い黄緑色粉末の抽出物2.9gを得
た。
【0054】(実施例3) 水溶性抗酸化剤の製造方法 十分に乾燥した紅花の茎、根茎10.3gに水200m
lを加えて、80〜90℃にて1時間抽出した。得られ
た抽出液を桐山漏斗でろ過し、水50mlでろ過残渣を
洗浄後、エバポレーターにて減圧濃縮し、真空乾燥機に
て完全に乾固させ、淡い黄緑色粉末の抽出物0.2gを
得た。
【0055】(実施例4) 水溶性抗酸化剤の製造方法 十分に乾燥した紅花の葉及び茎10.1gに50%含水
エタノール200mlを加えて、50℃にて1時間抽出
した。得られた抽出液を桐山漏斗でろ過し、50%含水
エタノール80mlでろ過残渣を洗浄後、エバポレータ
ーにて減圧濃縮し、真空乾燥機にて完全に乾固させ、粘
ちょう性固体の抽出物4.3gを得た。
【0056】(比較例1)<紅花の花抽出物> 十分に乾燥した紅花の花10.6gに50%含水エタノ
ール200mlを加えて、室温で5日間放置した。得ら
れた抽出液を桐山漏斗でろ過し、50%含水エタノール
80mlでろ過残渣を洗浄後、エバポレーターにて減圧
濃縮した。さらに、凍結乾燥機にて完全に乾固させ、黄
褐色の粉末4.1gを得た。
【0057】得られた水溶性抗酸化剤の成分分析を実施
例1と同様の方法で行い、図2に示すHPLCチャート
を得た。
【0058】図1と図2から、本願発明の紅花の葉及び
/又は茎から得られる水溶性抗酸化剤と、紅花の花から
得られる水溶性抗酸化剤とは成分が異なることがわかっ
た。
【0059】(試験例1)<抗酸化活性試験> 実施例1で得られた水溶性抗酸化剤をロダン鉄活性試験
法により評価した。即ち、2.5%のリノール酸(9
9.5%エタノール溶液)1ml、0.05Mリン酸緩
衝液(pH7.0)2ml、蒸留水2mlの混液をねじ
口試験管(径34×80mm)に入れ、さらに、被検定
サンプルを目的濃度になるよう添加し、37℃遮光下に
て保存した。
【0060】比較試験例として、ヒマワリ種子抽出物
(「ヘリアントS−100」(登録商標、大日本インキ
化学工業株式会社製、ヒマワリ種子抽出物20重量%含
有))、茶抽出物(「茶抽出物40」(登録商標、タマ
生化学株式会社製、ポリフェノール40重量%以上含
有)、BHA(和光純薬工業株式会社、試薬特級)、ア
スコルビン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社、試薬
特級)、紅花の花抽出物の有効成分である黄色色素(和
光純薬工業株式会社製、食品添加物試験用)を使用し
た。
【0061】上述の被検定サンプル0.1ml、75%
エタノール4.8ml、チオシアン酸アンモニウム水溶
液0.05mlの混液に0.02Mの塩化第一鉄(II)
(3.5%塩酸水溶液)0.05mlを加えてから3分
後、500nmにおける吸光度を経時的に測定した。通
常、この方法において吸光度0.3はリノール酸の酸敗
分岐点とされていることから、サンプルの吸光度が、こ
の値に達するまでの期間(日数)を誘導日数として抗酸
化活性の強さの評価を行った。尚、コントロールとして
は、被検定サンプルを添加していないもの(無添加)を
用いた。
【0062】その結果を表3に示す。尚、供試サンプル
は、全量で100ppmになるよう配合した。また、表
中の数値は、500nmでの吸光度を表す。
【0063】
【表3】
【0064】本願発明の水溶性抗酸化剤は、優れた抗酸
化作用を呈した。
【0065】(試験例2)<褪色防止試験> β-カロテンの褪色防止活性を、実施例1で得られた水
溶性抗酸化剤、比較試験例としてヘリアントS−100
(大日本インキ化学工業株式会社登録商標、ヒマワリ種
子抽出物20重量%含有)、茶抽出物40(タマ生化学
株式会社登録商標、ポリフェノール40重量%以上含
有)、BHA、アスコルビン酸ナトリウムを用いて比較
した。尚、コントロールとしては、被検定サンプルを添
加してないものを用いた。
【0066】試験方法は、まず初めに水溶性β-カロテ
ン(三共株式会社製)0.03重量%及びソルビン酸カ
リウム(防腐剤)0.1重量%の混合水溶液を調製し、
この溶液に被検定サンプルを所定濃度になるように添加
後、pHを6.0に調整し、25℃、4500lux下
で保存した。経時的に当該保存水溶液5mlと酢酸エチ
ル5mlとをねじ口試験管(Φ15×85mm)に入れ
よく振り混ぜた。完全に2層に分離した後で、酢酸エチ
ル層を抜きとり、450nmでの吸光度を測定した。4
50nmでの吸光度をβ−カロテンの量としてその残存
率を活性の評価に用いた。β−カロテンの残存率は、以
下の式で求めた。
【0067】
【式1】
【0068】この結果を表4に示す。尚、供試サンプル
は、全量で300ppmになるよう配合した。また、表
中の数値は、β-カロテンの残存率を示す。
【0069】
【表4】
【0070】(試験例3)<カロチノド系色素を含有す
る飲食品の褪色防止試験> 市販の冷凍紅鮭(頭部及び腹部除去済み)をチルド条件
下で解凍し、3枚におろして切り身を作った。この切り
身100gに12%(重量)食塩水(pH6.5)と、
該食塩水に対し被検定サンプル0.1重量%を添加し1
0℃、遮光下で18時間浸漬した。切り身を水切り後、
ビニールパックし、4℃、5000luxで保存した。
1週間後、目視及び異臭確認を行った。その結果を表5
に示す。
【0071】色調の程度は、10人のパネラーによるパ
ネル試験を実施し、もとの色調を維持しているものを+
3、やや褪色したものを+2、かなり褪色したものを+
1、完全に褪色したものを0として、下記の評価点の式
にしたがって評価し、
【0072】また、臭いは、もとの臭いを維持している
ものを+3、やや異臭がするものを+2、異臭がするも
のを+1、かなり異臭がするものを0として、下記の評
価点の式にしたがって評価した。
【0073】評価点=(3×N3+2×N2+1×N1
+0×N0)÷N (但し、N;パネラー数、N3;+3と判定した人数、
N2;+2と判定した人数、N1;+1と判定した人
数、N0;0と判定した人数。)
【0074】
【表5】
【0075】本願発明の水溶性抗酸化剤が、紅鮭の褪色
防止剤として優れた効果を有することが分かった。
【0076】(試験例4)<FDニンジンの褪色防止試
験−β−カロテン含有> 各被検定サンプル0.5重量%入りの水溶液100ml
を沸騰させ、これに短冊状に切断した市販のニンジン5
0gを入れ5分間ボイルした。水切り冷却後、凍結乾燥
し、4℃、5000luxで保存した。2週間後、目視
及び異臭確認を行った。
【0077】この結果を表6に示す。色調の程度、臭い
は試験例3と同様により評価した。
【0078】
【表6】
【0079】色調的には、実施例1とアスコルビン酸N
aは差がなかったが、茶抽出物は、ニンジンの表面が黒
ずんでいた。
【0080】本願発明の水溶性抗酸化剤は優れた褪色防
止作用を呈することが明らかとなった。
【0081】
【発明の効果】本発明の紅花の葉及び/又は茎を水又は
含水アルコールで抽出して得られ水溶性抗酸化剤は、強
い抗酸化作用を呈し、また、優れた天然色素の褪色防止
効果を呈した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 紅花の葉及び茎の熱水抽出物のHPLCチャ
ートの図である。縦軸はピークの高さ、横軸は時間(mi
n)を表す。
【図2】 紅花の花の50%エタノール抽出物のHPL
Cチャートの図である。縦軸はピークの高さ、横軸は時
間(min)を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 2/52 A23L 2/38 C 4C083 2/58 A61K 7/00 K 4H025 2/38 47/22 A61K 7/00 C09K 15/08 47/22 A23L 2/00 F C09K 15/08 M Fターム(参考) 4B016 LC03 LG08 LG16 LP02 LP06 LP11 4B017 LC01 LC03 LG15 LL03 LL07 LP01 4B018 MA07 MC04 MD61 ME06 MF01 4B042 AC01 AC02 AG16 AH01 AK11 AP07 4C076 AA16 AA36 DD69S FF36 FF65 4C083 AA111 AD391 BB47 CC05 CC13 CC38 CC39 FF01 4H025 AA83 BA01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紅花の葉及び/又は茎を水又は含水アル
    コールで抽出して得られる成分を有効成分とする水溶性
    抗酸化剤。
  2. 【請求項2】 紅花の葉及び/又は茎を水又は含水アル
    コールで抽出して得られる成分が、0.1重量%以上の
    ルテオリン−7−グルコサイドを有効成分として含有す
    る成分である請求項1に記載の水溶性抗酸化剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の水溶性抗酸化剤
    からなる天然色素の褪色防止剤。
  4. 【請求項4】 天然色素が、カロチノイド系色素、アン
    トシアニン系色素、ヘム色素、キノン系色素からなる群
    から選ばれる1種以上の色素であることを特徴とする請
    求項3に記載の褪色防止剤。
  5. 【請求項5】 飲食品類、医薬品、医薬部外品、飼料又
    は化粧品に、紅花の葉及び/又は茎を水又は含水アルコ
    ールで抽出して得られる成分を添加することを特徴とす
    る飲食品類、医薬品、医薬部外品、飼料又は化粧品の酸
    化防止方法。
  6. 【請求項6】 紅花の葉及び/又は茎を水又は含水アル
    コールで抽出して得られる成分が、0.1重量%以上の
    ルテオリン−7−グルコサイドを有効成分として含有す
    る成分である請求項5に記載の酸化防止方法。
  7. 【請求項7】 天然色素に、紅花の葉及び/又は茎を水
    又は含水アルコールで抽出して得られる成分を有効成分
    とする褪色防止剤を添加することを特徴とする天然色素
    の褪色防止方法。
  8. 【請求項8】 紅花の葉及び/又は茎を水又は含水アル
    コールで抽出して得られる成分が、0.1重量%以上の
    ルテオリン−7−グルコサイドを有効成分として含有す
    る成分である請求項7に記載の褪色防止方法。
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