JP4258618B2 - 退色抑制剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は退色抑制剤及び退色抑制方法に関する。より詳細には本発明は天然色素を含む飲食物、特に加熱処理して製造される飲食物の退色抑制に特に有効に使用できる退色抑制剤及び退色抑制方法に関する。さらに本発明は、当該退色抑制剤を含有することによって有意に退色が抑制されてなる着色製品、特に着色飲食物並びに色素製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、飲食物の着色には広く天然色素や合成色素が用いられているが、近年では、その安全で健康的なイメージから天然色素が多く用いられるようになっている。
【0003】
しかしながら、天然色素は、合成色素に比較すると熱や光の影響を受けて比較的容易に退色又は変色する傾向がある。このため天然色素を含む飲食物、化粧品並びに医薬品等の各種製品は、製造、流通及び保存等の各段階で熱や光の影響を受けて徐々に退色又は変色し商品価値が著しく低下するという問題がある。そして、その退色現象は気温の高い夏場において特に顕著である。
【0004】
熱に対する退色を防止するためには冷所製造、冷所流通及び冷所保存が求められるが、現実には室温下または加熱を伴う工程を経て製造がされる場合や冷所流通または冷所保管がなされない場合がよくある。また商品が消費者に渡った後は、様々な環境下におかれることがあり、それを管理することは事実上不可能である。このため、従来より、このような飲食物にも使用できるように高温条件下で退色しにくい色素(熱退色耐性色素)が要望されていた。
【0005】
また近年のPETボトルの普及に伴い、商品陳列における蛍光灯照射や野外における太陽光照射によっても退色しにくい色素(光退色耐性色素)が要望されている。この為、従来より光(蛍光灯及び太陽光)に対する退色を抑制する方法や退色抑制剤に関して、多くの提案がなされている。例えば、アントシアニン系色素の退色抑制剤として、クロロゲン酸/カフェ酸(例えば、特許文献1等参照のこと)、アピゲニンなどのフラボン系化合物(例えば、特許文献2等参照のこと)、ミリセチン、ケンフェロール、フィチン酸(例えば、特許文献3等参照のこと)、南天の葉エキス(例えば、特許文献4等参照のこと)などが提案されている。またパプリカ色素の退色抑制剤として、褐変反応生成物(例えば、特許文献5及び6等参照のこと)、モリン(例えば、特許文献7等参照のこと)、ローズマリー又はセージの抽出物(例えば、特許文献8等参照のこと)などが提案されており、更にカロチノイド系色素の退色抑制剤として、南天の葉抽出エキス(例えば、特許文献9等参照のこと)、及び柑橘類のエタノール抽出物(例えば、特許文献10等参照のこと)も提案されている。
【0006】
しかし、これらの化合物や植物抽出物の退色抑制効果は十分満足できるものではなく、特に熱によって生じる退色に対する抑制効果はほとんどなく、あっても非常に弱いという問題がある。
【0007】
一方、セリ科植物に属する植物、例えばアニス(Pimpinella anisum Linne)に関しては、その種子の極性溶媒抽出物にラードやリノール酸等の油脂や脂肪酸の酸化を防止する作用があること(例えば、特許文献11等参照のこと)、及び、アニスの葉や茎の極性溶媒抽出物に、BHTと同等に、リノール酸の自動酸化を抑制する作用があることが報告されている(例えば、特許文献12等参照のこと)。また同様にセリ科植物に属する植物であるクミン(Cuminum cyminum Linne)の抽出液が、食品や化粧品に含まれる油分の酸化防止や皮膚上での酸化防止に有効であることが報告されている(例えば、特許文献13等参照のこと)。
【0008】
しかしながら、上記の公開特許公報にはアニス抽出物あるいはクミン抽出物に退色抑制作用があることについては全く記載されていない。また、現在食品業界において、酸化防止作用と退色抑制作用とは互いに一義的に関連する作用ではないことも周知となっている。例えば、酸化防止剤として周知なビタミンCが、逆にアントシアニン系の天然色素の退色を促進することはよく知られている事実である(例えば、特許文献14及び15、非特許文献1等参照のこと)。また、ハマメリタンニンは、全く酸化防止作用がないにも関わらず退色防止作用を有することが知られている(例えば、特許文献16等参照のこと)。
【0009】
【特許文献1】
特開昭58−065761号公報
【0010】
【特許文献2】
特開昭55−013771号公報
【0011】
【特許文献3】
特開昭62−19068号公報
【0012】
【特許文献4】
特開平08−224068号公報
【0013】
【特許文献5】
特開昭57−031962号公報
【0014】
【特許文献6】
特開昭56−41259号公報
【0015】
【特許文献7】
特開昭54−52740号公報
【0016】
【特許文献8】
特開昭57−102955号公報
【0017】
【特許文献9】
特開平08−224068号公報
【0018】
【特許文献10】
特開昭59−85272号公報
【0019】
【特許文献11】
特開平03−224468号公報
【0020】
【特許文献12】
特開平01−152184号公報
【0021】
【特許文献13】
特開平10−226787号公報
【0022】
【特許文献14】
特開昭58−065761号公報
【0023】
【特許文献15】
特開昭62−003775号公報、
【0024】
【特許文献16】
特開平06−207172号公報
【0025】
【非特許文献1】
「天然着色料ハンドブック」(株)光琳(1979)pp.277,288-289,299
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色素、特に天然色素の退色を有意に抑制することのできる退色抑制剤並びに退色抑制方法を提供することである。特に本発明は、熱または光の影響を受けて生じる退色現象を抑制するのに有効な退色抑制剤並びに退色抑制方法を提供することを目的とする。また本発明は、かかる退色抑制剤を含有することにより退色現象が有意に抑制されてなる各種の製品、具体的には色素製剤および着色飲食物を提供することを目的にする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねていたところ、セリ科に属する植物、特にアニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)といった植物の水または極性有機溶媒による抽出物が、各種天然色素の熱および光による退色の抑制に極めて有効であることを見いだし、本発明に至った。
【0028】
すなわち、本発明はセリ科植物に属する植物の抽出物を有効成分とする退色抑制剤である。なお、当該退色抑制剤に関する発明には下記の態様が包含される:
(1)セリ科に属する植物の抽出物を有効成分として含有する退色抑制剤。
(2)セリ科に属する植物の水、アルコールまたはこれらの混合物による抽出物を有効成分として含有する上記退色抑制剤。
(3)アニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の抽出物を有効成分として含有する上記退色抑制剤。
(4)アニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の種子または果実の抽出物を有効成分として含有する上記退色抑制剤。
(5)対象とする色素が天然色素である上記退色抑制剤。
(6)対象とする色素がアントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素またはキノン系色素の天然色素である、上記退色抑制剤。
(7)熱によって生じる退色の抑制に使用される、上記の退色抑制剤。
(8)光照射によって生じる退色の抑制に使用される、上記の退色抑制剤。
【0029】
さらに本発明は、上記退色抑制剤を含有する着色飲食物である。当該発明には下記の態様が含まれる:
(a)セリ科に属する植物の抽出物を含有する着色飲食物。
(b)セリ科に属する植物の水、アルコールまたはこれらの混合物による抽出物を含有する着色飲食物。
(c)アニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の抽出物を含有する着色飲食物。
(d)アニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の種子または果実の抽出物を含有する着色飲食物。
(e)着色飲食物が天然色素で着色されてなるものである上記の着色飲食物。
(f)着色飲食物がアントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素及びキノン系色素よりなる群から選択される1種または2種以上の天然色素で着色されてなるものである上記の着色飲食物。
(g)セリ科に属する植物の抽出物を含む着色飲食物であって、該着色飲食物を退色抑制の対象色素の極大吸収波長における吸光度が0.05〜1となるように調整した場合に、退色抑制剤を0.001〜10000ppmの割合で含む着色飲食物。
【0030】
また本発明は、上記退色抑制剤を含有する着色製品である。ここで着色製品としては色素製剤、医薬品、医薬部外品、化粧品及び飼料等を例示することができる。好ましくは色素製剤である。かかる発明には下記の態様が含まれる:
(イ)セリ科に属する植物の抽出物を含有する着色製品、好ましくは色素製剤。
(ロ)セリ科に属する植物の水、アルコールまたはこれらの混合物による抽出物を含有する着色製品、好ましくは色素製剤。
(ハ)アニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の抽出物を含有する着色製品、好ましくは色素製剤。
(ニ)アニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の種子または果実の抽出物を含有する着色製品、好ましくは色素製剤。
(ホ)天然色素の色素製剤である上記の着色製品、好ましくは色素製剤。
(ヘ)色素がアントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素及びキノン系色素よりなる群から選択される少なくとも1種の天然色素を含有するものである、上記の着色製品、好ましくは色素製剤。
(ト)セリ科に属する植物の抽出物を0.001〜50重量%の割合で含む上記の着色製品、好ましくは色素製剤。
(チ)セリ科に属する植物の抽出物を含む着色製品であって、該着色製品を退色抑制の対象色素の極大吸収波長における吸光度が0.05〜1となるように調整した場合に、退色抑制剤を0.001〜10000ppmの割合で含むものである着色製品。
【0031】
さらに本発明は、色素または色素を含有する組成物を上記の退色抑制剤と共存させることを特徴とする該色素または色素含有組成物の退色抑制方法である。当該退色抑制方法には下記に掲げる態様を含めることができる。
(i) 色素または色素含有組成物をセリ科に属する植物の抽出物と共存させることを特徴とする該色素または色素含有組成物の退色抑制方法。
(ii)色素または色素含有組成物をセリ科に属する植物の水、アルコールまたはそれらの混合物による抽出物と共存させることを特徴とする該色素または色素含有組成物の退色抑制方法。
(iii)色素または色素含有組成物をアニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)、及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の抽出物と共存させることを特徴とする該色素または色素含有組成物の退色抑制方法。
(iv)色素または色素含有組成物をアニス(Pimpinella anisum Linne)、クミン(Cuminum cyminum Linne)、コリアンダー(Coriandrum sativun Linne)、及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)よりなる群から選択される植物の1種または2種以上の種子または果実の抽出物と共存させることを特徴とする該色素または色素含有組成物の退色抑制方法。
(v)色素が天然色素である上記の退色抑制方法。
(vi)色素がアントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素及びキノン系色素よりなる群から選択される少なくとも1種の天然色素を含有するものである上記の退色抑制方法。
(vii)色素含有組成物が天然色素を含有する着色製品である上記の退色抑制方法。
(viii)色素含有組成物が天然色素を含有する色素製剤または着色飲食物である上記の退色抑制方法。
(ix)色素の退色が光照射によって生じるものである上記の退色抑制方法。
(x)色素の退色が熱によって生じるものである上記の退色抑制方法。
(xi)着色飲食物を退色抑制の対象色素の極大吸収波長における吸光度が0.05〜1となるように調整した場合に、0.001〜10000ppm の割合でセリ科に属する植物の抽出物(乾固物換算)が含まれるように、着色飲食物にセリ科に属する植物の抽出物を配合することからなる上記の退色抑制方法。
(xii)色素製剤に対し、該製剤100重量%中に0.01〜50重量%の割合でセリ科に属する植物の抽出物(乾固物換算)が含まれるように、セリ科に属する植物の抽出物を配合することからなる上記の退色抑制方法。
【0032】
なお、本発明において退色とは色素の着色退行並びに変色を含む広い概念で用いられる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(1)退色抑制剤
本発明の退色抑制剤は、有効成分としてセリ科に属する植物の抽出物を含有することを特徴とするものである。なお、( )内は植物の別名である。
【0034】
セリ科に属する植物としては、アニス、チドメグサ、ケチドメ、ノチドメ、ミヤマチドメグザ、ヒメチドメ、オオチドメ(ヤマチドメ)、オオバチドメ、ツボクサ(クツクサ)、ウマノミツバ(オニミツバ)、ヤマナシウミノミツバ、クロバナウマノミツバ、フキヤミツバ、シャク(コシャク)、ヤブニンジン(ナガジラミ)、オヤブジラミ、ヤブジラミ、コエンドロ、カサモチ、ミシマサイコ、ホタルサイコ(ホタルソウ、ダイサイコ)、ハクサンサイコ(トウゴクサイコ)、レブンサイコ、エキサイゼリ(オバゼリ)、ドクゼリ(オオゼリ)、イワセントウソウ、シムラニンジン、ミツバクサ、カノツメソウ(ダケゼリ)、ヒカゲミツバ、エゾボウフウ、ムカゴニンジン、ヌマゼリ(サワゼリ)、タニミツバ、セロリ、ミツバ、セントウソウ(オウレンダマシ)、ミヤマセントウソウ、イブキボウフウ、セリ、ウイキョウ、イノンド、マルバトウキ、ハマゼリ(ハマニンジン)、センキュウ、イブキゼリ、シラネニンジン、ヤマウイキョウ(イワウイキョウ、シラヤマニンジン)、オオカサモチ(オニカサモチ)、ニホントウキ(トウキ)、イワテトウキ、ホソバトウキ、イワニンジン、イシヅチボウフウ、イヌトウキ、ヤクシマノダケ、ウバタケニンジン、ツクシゼリ、シラネセンキュウ(スズカゼリ)、ハナビゼリ、シシウド、ヨロイグサ(オオシシウド)、エゾノヨロイグサ、エゾニュウ、ハマウド(オニウド、クジラグサ)、ムニンハマウド、アシタバ(ハチジョウソウ)、オオバセンキュウ、アマニュウ、ノダケ、ヒメノダケ、ヤマゼリ、ミヤマニンジン、ミヤマゼンコ、エゾノシシウド、ミヤマセンキュウ、カラフトニンジン、ヤリモドキ、ハマボウフウ(ヤオヤボウフウ)、ボタンボウフウ、カワラボウフウ(ヤマニンジン、ジラカワボウフウ)、ハクサンボウフウ、アメリカボウフウ、ハナウド(ゾウジョウジビャクシ)、オオハナウド、ボウフウ、ニンジン(ナニンジン)、クミン、コリアンダー、キャラウェイ、フェンネル、アンゼリカ、パセリ、及びディル等が知られている。
【0035】
本発明が対象とするセリ科植物としては、特にアニス、ボウフウ、ハマボウフウ、ニンジン(ナニンジン)、セリ、ミツバ、シシウド、ニホントウキ(トウキ)、クミン、コリアンダー、キャラウェイ、フェンネル、アンゼリカ、及びディルが、中でもアニス、ボウフウ、ハマボウフウ、ニンジン(ナニンジン)、シシウド、ニホントウキ(トウキ)、クミン、コリアンダー、キャラウェイ、フェンネル、アンゼリカ、及びディルを好適に使用することができる、より好ましくはアニス、クミン、コリアンダー、キャラウェイである。
【0036】
本発明の退色抑制剤は、上記セリ科に属する植物の中から選択される少なくとも1種の植物の溶媒抽出物を有効成分として含有する。当該植物はその全草またはその一部(例えば、種子、果実、果皮(外皮)、葉、茎、根、花、蕾など)のいずれをも使用することができ、使用する植物の種類に応じて適宜決定することができる。例えば、植物としてアニス、クミンを使用する場合は種子、果実、葉及び茎、好ましくは種子を;植物としてコリアンダー、キャラウェイを使用する場合は種子、果実、葉及び茎、好ましくは果実を;植物としてフェンネル、セロリまたはディルを使用する場合は種子または果実を;植物としてボウフウ、シシウド、ハマボウフウ、トウキ、ニンジンまたはアンゼリカを使用する場合は根部を;植物としてパセリ、セリ、セロリまたはミツバを使用する場合は葉または茎を、好適に使用することができる。
【0037】
当該セリ科植物の植物体の全草または一部はそのまま(生)若しくは破砕物(生)にして抽出操作に付してもよいし、また乾燥後、必要に応じて粉砕して粉体状にして抽出操作に付してもよい。
【0038】
上記抽出に用いられる溶媒としては、特に制限されず、水、低級アルコール、多価アルコール、非極性有機溶媒および極性有機溶媒を広く用いることができる。より具体的には低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルコール;多価アルコールとしては、グリセリン、ポリエチレングリコール等;非極性有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和炭化水素あるいはヘキセン、ヘプテン等の不飽和炭化水素等;極性有機溶媒としては、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル等が使用される。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用することもできる。例えば脂肪分の多い原料などの場合は、非極性有機溶媒で脱脂抽出処理した後、各種任意の溶媒で抽出処理してもよいし、また含水有機溶媒を用いて抽出処理することもできる。好適には、人体への安全性と取扱性の点からエタノールなどの低級アルコール、水またはこれらの混合物を挙げることができる。なお、低級アルコール(例えばエタノール)と水との混合物(含水アルコール、例えば含水エタノール)を使用する場合のアルコールの含有割合としては10〜90容量%、好ましくは40〜70容量%の範囲を例示することができる。
【0039】
抽出方法としては、一般に用いられる方法を採用することができる。制限はされないが、例えば上記の溶媒中にセリ科植物の植物体の全草またはその一部〔そのまま(生)若しくはその粗末や細切物等の破砕物、又はこれらの乾燥物〕を浸漬する方法、加温し攪拌しながら抽出を行い、濾過して抽出液を得る方法、加温しながら環流抽出する方法等を挙げることができる。なお、浸漬法による場合は、加熱条件下、室温又は冷却条件下のいずれの条件下で浸漬を行ってもよい。
【0040】
得られた抽出物(抽出液)は、必要に応じて、ろ過、遠心分離または圧搾などの各種の固液分離手段に供され、溶媒に不溶な固形物が除去される。かくして得られる抽出液は、使用の態様に応じて、そのまま用いるか、溶媒を留去して一部濃縮若しくは乾燥(減圧乾燥、凍結乾燥を含む)してペースト(またはエキス粘稠物)若しくは粉末状態(またはエキス乾燥物)で用いることもできる。
【0041】
また抽出液を濃縮若しくは乾燥した後、該濃縮物若しくは乾燥物をさらに非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤(例えば、水やエタノールまたはこれらの混合物)に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。
【0042】
また、抽出液は、必要に応じて濃縮若しくは乾燥した後に、脱臭または脱色を目的として精製処理を行ってもよい。かかる精製方法は、特に制限されず、慣用されている精製法を任意に組み合わせて実施することができ、具体的には各種の樹脂処理法(吸着法、イオン交換法など)、超臨界抽出法、膜処理法(限外濾過膜処理法、逆浸透膜処理法、イオン交換膜処理法など)、溶媒分画法および活性炭処理法等を例示することができる。
【0043】
本発明の退色抑制剤は、前述するセリ科に属する植物の抽出物、好ましくはアニス、クミン、コリアンダーまたはキャラウェイの抽出物(抽出液そのもの、その濃縮物、乾固物または精製物の別を問わない)を含有するものであればよく、これらの抽出物だけからなるものであってよいが、当該抽出物以外の成分として、希釈剤、担体またはその他の添加剤を含有していてもよい。なお、上記のセリ科に属する植物の抽出物は、1種類の植物の抽出物であってもよいし、また2種類以上の植物の抽出物(混合物)であってもよい。
【0044】
希釈剤または担体としては、本発明の効果を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、デキストリン、水飴、液糖などの糖類;エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール;アラビアガム等の多糖類;または水を挙げることができる。また添加剤としては、抗酸化剤、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。
【0045】
使用上の利便等から、これらの希釈剤、担体または添加剤を用いて退色抑制剤を調製する場合は、セリ科に属する植物の抽出物(乾固物として換算)が、退色抑制剤100重量%中に固形換算で0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%の割合で含まれるように調製することが望ましい。
【0046】
なおここで添加剤として用いられる抗酸化剤としては、食品添加物として用いられるものを広く例示することができ、例えば、制限はされないが、L−アスコルビン酸及びその塩等のアスコルビン酸類;エリソルビン酸及びその塩等のエリソルビン酸類;亜硫酸ナトリウムやピロ亜硫酸カリウムなどの亜硫酸塩類;α−トコフェロールやミックストコフェロール等のトコフェロール類;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)等;アスコルビン酸パルミチン酸エステルなどのアスコルビン酸エステル類;アオイ花抽出物、カンゾウ油性抽出物、食用カンナ抽出物、チョウジ抽出物、リンゴ抽出物、精油除去ウイキョウ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セージ抽出物、セリ抽出物、チャ抽出物、ドクダミ抽出物、生コーヒー豆抽出物、ヒマワリ種子抽出物、ピメンタ抽出物、ブドウ種子抽出物、ブルーベリー葉抽出物、へゴ・イチョウ抽出物、ペパー抽出物、ホウセンカ抽出物、ヤマモモ抽出物、ユーカリ葉抽出物、リンドウ根抽出物、ルチン(抽出物)(小豆前全草,エンジュ,ソバ全草抽出物)、ローズマリー抽出物等の各種植物の抽出物;その他、酵素処理ルチン、ルチン分解物(ケルセチン)、酵素処理イソクエルシトリン、ルチン酵素分解物(IQC)、菜種油抽出物、コメヌカ油抽出物、コメヌカ酵素分解物、没食子酸及びそのエステル類等を挙げることができる。好ましくは、ヤマモモ抽出物、ルチン(抽出物)、生コーヒー豆抽出物、ローズマリー抽出物等の植物抽出物;酵素処理ルチン、ルチン酵素分解物(IQC)、酵素処理イソクエルシトリン等を挙げることができる。
【0047】
本発明の退色抑制剤は、その形態を特に制限するものではなく、例えば粉末状、顆粒状、錠剤状などの固体状;液状、乳液状等の溶液状;またはペースト状等の半固体状の任意の形態に調製することができる。
【0048】
本発明の退色抑制剤が対象とする色素には、合成色素及び天然色素の別を問わず、広範囲の色素が含まれる。
【0049】
合成色素には、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、緑色3号等のタール色素;三酸化二鉄や二酸化チタンなどの無機顔料;ノルビキシンNa・K、銅クロロフィル、銅クロロフィリンNa及び鉄クロロフィリンNa等の天然色素誘導体;並びにβ−カロチン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5'−リン酸エステルNa、及びオレンジB、シトラスレッドNo.2、キノリンイエロー、レッド2G、パテントブルーV、グリーンS、ブリリアントブラックBN、ブラックPN、ブラウンFK、ブラウンHT、リソールルビンBK、リボフラビン−5'−リン酸エステル、銅クロロフィリン等の合成天然色素などの合成着色料が含まれる。
【0050】
天然色素には、アナトー色素、クチナシ黄色素、デュナリエラカロチン、マリーゴールド色素、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、トマト色素及びパプリカ色素等のカロチノイド系色素;アカネ色素、コチニール色素、シコン色素及びラック色素等のキノン系色素;赤キャベツ色素、シソ色素、ハイビスカス色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、紫イモ色素、赤ダイコン色素、紫コーン色素、エルダーベリー色素及びボイセンベリー色素等のアントシアニン系色素;カカオ色素、コウリャン色素、シタン色素、タマネギ色素、タマリンド色素、カキ色素、カロブ色素、カンゾウ色素、スオウ色素、ベニバナ赤色素及びベニバナ黄色素等のフラボノイド系色素;クロロフィリン、クロロフィル及びスピルリナ色素等のポルフィリン系色素;ウコン色素等のジケトン系色素;赤ビート色素等のベタシアニン系色素;紅麹色素等のアザフィロン系色素;その他、リボフラビン、紅麹黄色素、カラメル、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、抹茶、果汁、野菜ジュース、金、銀、アルミニウム系色素が含まれる。好ましくはアントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素及びキノン系色素であり、より好ましくは赤キャベツ色素、紫イモ色素及び紫コーン色素等のアントシアニン系色素;ベニバナ色素、タマネギ色素、カカオ色素、タマリンド色素等のフラボノイド系色素;パプリカ色素、アナトー色素、ニンジンカロチン色素等のカロチノイド系色素、及びアカネ色素、コチニール色素、シコン色素及びラック色素等のキノン系色素である。
【0051】
本発明の退色抑制剤は、各種の色素、好ましくは上に掲げる各種の色素、特に天然色素を含有するものに広く適用することができ、これらの色素の退色を抑制若しくは防止するのに有用である。本発明の退色抑制剤が適用される具体的なもの(着色製品)としては、上記色素を含有するものであれば特に制限されないが、例えば色素製剤、食品(飲食物)、化粧品、医薬品、医薬部外品、飼料等を挙げることができる。好ましくは色素製剤及び食品(飲食物)である。これらの製品(着色製品)に対する発明の退色抑制剤の用法については、下記(2)において詳述する。
【0052】
(2)退色抑制剤を含む着色製品
本発明は、前述のセリ科植物の、抽出物の有効成分を退色抑制剤として利用した着色製品を提供する。当該着色製品は、セリ科植物の抽出物を含有することによって中に含まれる色素の退色現象が有意に抑制されてなるという効果を奏することができる。
【0053】
なお、ここで「着色」とは、製品に人為的に色素を添加して着色した意味のみならず、例えば果汁等のように食品等の製品材料に本来含まれる色素に由来して着色しているものまでも広く包含する趣旨で用いられる。また、ここでいう「着色製品」には色素により着色した各種の製品、具体的には色素製剤、色素を含む飲食物、色素を含む化粧品、色素を含む医薬品、色素を含む医薬部外品及び色素を含む飼料が包含される。好ましくは色素製剤、及び飲食物である。
【0054】
本発明が対象とする色素製剤としては、前述する合成色素または天然色素を1種又は2種以上を含むものを挙げることができる。好ましくは、上記に掲げた天然色素を1種又は2種以上含む色素製剤である。好ましくは、アントシアニン系色素、フラボノイド色素、カロチノイド色素及びキノン系色素よりなる群から選択される少なくとも1種の天然色素を含む色素製剤である。
【0055】
当該色素製剤に配合される退色抑制剤の割合は、本発明の効果を奏する限り特に制限されないが、色素製剤100重量%(固形換算)中に配合されるセリ科植物抽出物(乾固物)の配合割合に換算して0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲を例示することができる。
【0056】
なお、当該色素製剤は、色素及びセリ科植物抽出物に加えて、さらに抗酸化剤、キレート剤、香料又は香辛料抽出物を含んでいても良い。
【0057】
本発明の色素製剤は、製造の任意の工程で、退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤を配合することを除けば、各種色素製剤の慣用方法に従って製造することができる。退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤の配合方法やその順番に特に制限はないが、色素が熱や光の影響を少なからず受けることを鑑みれば、色素製剤の製造工程の初期、好ましくは熱処理工程前または光暴露前に各種の材料とともに配合することが望ましい。
【0058】
本発明が対象とする化粧品としては、色素を含むスキン化粧料(ローション、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品等を;医薬品としては色素を含む各種錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ剤、うがい薬等を;医薬部外品としては色素を含む歯磨き剤、口中清涼剤、口臭予防剤等を;また飼料としては色素を含むキャットフードやドッグッフード等の各種ペットフード、観賞魚若しくは養殖魚の餌等を一例として挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0059】
これらの化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料などの各種製品は、それらの製造の任意の工程で退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤を配合することを除けば、各種製品の慣用方法に従って製造することができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料に対する退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または退色抑制剤の配合時期は特に制限されないが、色素が熱や光の影響を少なからず受けることを鑑みれば、製造工程の初期、好ましくは熱処理工程前または光暴露前に各種材料とともに配合することが望ましい。
【0060】
本発明が対象とする飲食物としては着色したもの、好ましくは前述する色素に基づいて色を有するものであれば特に制限されず、例えば乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、粉末飲料、スポーツ飲料、サプリメント飲料等の飲料類;紅茶飲料、緑茶、ブレンド茶等の茶飲料類(以上、飲料);カスタードプリン、ミルクプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;ミルクアイスクリーム、果汁入りアイスクリーム及びソフトクリーム、アイスキャンディー等の冷菓類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類(以上、菓子類);コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;浅漬け、醤油漬け、塩漬け、味噌漬け、粕漬け、麹漬け、糠漬け、酢漬け、芥子漬、もろみ漬け、梅漬け、福神漬、しば漬、生姜漬、梅酢漬け等の漬物類;セパレートドレッシング、ノンオイルドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;バター、マーガリン、チーズ、ホイップクリーム等の酪農・油脂製品類;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び麩、田麩等の種々の加工食品を挙げることができる。好ましくはゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類及び乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、粉末飲料等の飲料類である。
【0061】
本発明の飲食物は、製造の任意の工程で退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤を配合することを除けば、各種飲食物の慣用の製造方法に従って製造することができる。退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または退色抑制剤の配合方法やその順番に特に制限はないが、色素が熱や光の影響を少なからず受けることを鑑みれば、これらのセリ科植物抽出物または退色抑制剤を製造工程の初期、好ましくは熱処理工程または光暴露前に配合することが好ましい。
【0062】
例えば、冷菓類の場合は、まず主原料としての牛乳、クリーム、練乳、粉乳、糖類、果実または餡等に退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤、酸類、乳化剤及び安定剤を加え、次いで香料を加えて冷菓ミックス液を調製し、このミックス液に色素を添加混合し、殺菌、冷却後フリージングして容器に充填し、冷却または凍結して最終製品を調製する方法を挙げることができる。
【0063】
また、ガム類の場合は、加熱し柔らかくしたガムベースに砂糖、ブドウ糖、退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤、及びクエン酸等を加え、次いでその中に香料及び色素を加え練合し、次に圧延ローラーで適当な厚さにして、室温まで冷却後、切断して最終製品を調製する方法を挙げることができる。
【0064】
また、デザート類の場合は、主原料の砂糖、水飴、退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤、クエン酸及び凝固剤(ペクチン、寒天、ゼラチン、カラギナンなど)を適当な割合で混合し、その中に香料並びに色素を加え、加熱溶解した後、容器に充填し、冷却して最終製品であるデザート(ゼリー)を調製する方法を挙げることができる。
【0065】
キャンディー類の場合は、例えば砂糖、水飴等の主原料に水を加え加熱し溶解した後放冷し、退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤を添加し、次いで香料及び色素を加え、成型し、室温まで冷却して最終キャンディーを調製する方法を挙げることができる。
【0066】
また飲料の場合は、主原料としての糖類、果汁または酸類等に退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤や安定剤等を加え、次いでこの飲料に香料及び必要に応じて色素を添加混合した後、殺菌、冷却して容器に充填する方法を挙げることができる。
【0067】
漬物類の場合は、漬物とする野菜、海藻、キノコまたは果物等の主原料に、食塩や糖類等の各種調味料、保存料、及び退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤等の副原料を加えて漬物を調製し、この漬物に香料及び必要に応じて色素を添加混合した後、容器に充填し、殺菌、冷却し最終製品を調製する方法を挙げることができる。
【0068】
タレ類やドレッシング類の場合は、植物油、醤油、果汁、糖類、果汁、醸造酢または食塩等を主原料とし、これに退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物または本発明の退色抑制剤及び安定剤または乳化剤等を加え、このドレッシング液に香料及び必要により色素を添加混合した後、殺菌、冷却後容器に充填して最終製品を調製する方法を挙げることができる。
【0069】
飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の各種着色製品に対する本発明の退色抑制剤の添加量は、それらに含まれる色素の退色現象が防止できる量であれば特に制限されない。本発明の退色抑制剤の有効成分であるセリ科植物の種類を考慮し、また着色製品に含まれる色素の種類及びその含量、対象物の種類及びそれに含まれる成分などを考慮して適宜選択、決定することができる。例えば上記着色製品を、退色抑制対象とする色素の極大吸収波長における吸光度が0.05〜1となるように調整した場合に、該着色製品にセリ科植物抽出物(乾固物)が少なくとも0.001ppmとなるように、例えば0.001ppm〜10000ppmの範囲で含まれるように、退色抑制剤を配合することができる。より好ましくは少なくとも0.05ppm、例えば0.05〜1000ppmの範囲となるように、さらに好ましくは少なくとも0.1ppm、例えば0.1〜100ppmの範囲となるように、退色抑制剤を配合することが望ましい。
【0070】
なお、後述する実施例に示すように、退色抑制剤(セリ科植物の抽出物)の添加配合量に依存して退色抑制効果が向上する。従って、上記配合割合の上限は退色抑制効果以外の他の観点(例えば味並びに粘度等の対象物の物性等)から一応の目安として設定されたものであり、本発明の効果からいえば対象物(着色製品)への退色抑制剤の配合割合の上限は上記に何ら制限されるものではない。
【0071】
(3)退色抑制方法
また本発明は、色素または色素を含む各種の組成物の退色抑制方法を提供する。
本発明が対象とする色素は、前述する合成色素及び天然色素である。好ましくは前述する各種の天然色素であり、より好ましくはアントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素及びキノン系色素である。さらに好ましくは赤キャベツ色素、紫イモ色素及び紫コーン色素等のアントシアニン系色素;ベニバナ色素、タマネギ色素、カカオ色素、タマリンド色素等のフラボノイド系色素;パプリカ色素、アナトー色素、ニンジンカロチン色素等のカロチノイド系色素;及びアカネ色素、コチニール色素、シコン色素及びラック色素等のキノン系色素である
また、ここでいう色素を含む各種の組成物(色素含有組成物)とは、上記記載の合成色素及び天然色素、好ましくは天然色素を含む組成物を広く意味するものであり、具体的には、前述する、色素製剤、飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の各種着色製品を挙げることができる。
【0072】
本発明は、これらの色素または該色素含有組成物を前述する本発明の退色抑制剤(セリ科植物抽出物)、好ましくはアニス植物抽出物、クミン植物抽出物、コリアンダー植物抽出物及びキャラウェイ植物抽出物よりなる群から選択される1種又は2種以上の抽出物と共存させることにより実施することができる。ここで共存の態様としては、両者が接触した状態で存在する状態が形成されるものであれば特に制限されない。例えば、かかる共存状態は色素またはこれを含む組成物に上記退色抑制剤または退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物を配合して両者を混合することによって形成することができる。例えば、色素を含む組成物が色素製剤または飲食物である場合は、退色抑制剤または退色抑制作用を有するセリ科植物抽出物を当該色素製剤または飲食品の製造時に材料成分の一つとして配合することによって行うことができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の他の着色製品についても同様である。
【0073】
色素または色素含有組成物に対する退色抑制剤(セリ科植物抽出物)の使用割合としては、本発明の効果を発揮する範囲であれば特に制限されず、対象とする色素の種類に応じて適宜調節することができる。通常、色素(乾固物)100重量部に対する退色抑制剤の使用割合は、固形換算で、セリ科植物抽出物(乾固物)の割合に換算して10〜5000重量部、好ましくは10〜1000重量部を例示することができる。また色素含有組成物に対する退色抑制剤の使用割合は、特に制限されないが、該色素含有組成物を、退色抑制の対象色素の極大吸収波長における吸光度が0.05〜1となるように調整した場合に、その中にセリ科植物抽出物(乾固物)が通常0.001〜10000ppm、好ましくは0.05〜1000ppm、より好ましくは0.1〜100ppmの割合で含まれるような範囲を挙げることができる。
【0074】
当該本発明の退色抑制方法によれば、色素又は色素含有組成物に熱退色耐性並びに光退色耐性を付与することができる。
【0075】
ここで熱退色耐性とは、熱の影響を受けても退色しにくい性質をいう。具体的には、色素または色素含有組成物が、製造工程または保存工程で熱を受ける条件下におかれた場合に、退色抑制剤を配合しない色素または色素含有組成物に比して、退色が有意に抑制される性質をいう。
【0076】
例えば、上記「熱を受ける条件」としては、製造時における温度(20〜100℃で5分〜24時間)、殺菌時における温度(110〜140℃で1秒〜60分、又は60〜100℃で数分〜5時間)、室温以上の温度での短期〜長期保存(20〜70℃、1日〜1年)するような条件を例示することができる。
【0077】
また、光退色耐性とは、太陽光または人工光(蛍光灯など)の影響を受けても退色しにくい性質をいう。具体的には、色素または色素含有組成物が、通常の保存状態で受け得る光(太陽光、蛍光灯など)条件下におかれた場合に、退色抑制剤を配合しない色素または色素含有組成物に比して、退色が有意に抑制される性質をいう。
【0078】
例えば、上記条件としては、色素または色素含有組成物が、太陽光に5分から数時間晒される、あるいは、蛍光灯照射を1日から6ヶ月晒されるような条件を例示することができる。
【0079】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例及び実験例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記に記載する処方の単位は特に言及しない限り、%は重量%を、また部は重量部を意味するものとする。また、各処方中*を付記した製品は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品を意味する。
【0080】
実施例1 退色抑制剤(アニス種子抽出物)
アニス種子(乾燥物)1kgを粉砕後、40容量%エタノール水溶液7Lを加えて75℃に維持しながら5時間攪拌した。得られた抽出混合物を室温まで冷却後、吸引濾過し不溶性固形分を除去して、抽出液5.5Lを得た。当該抽出液に活性炭を0.2%となる割合で配合し、1時間攪拌処理した後、ろ過し、次いで濃縮乾固することにより乾燥状態のアニス種子抽出物105gを得た。これに40容量%エタノール水溶液を、アニス種子抽出物(乾固物)の含有量が10%になるように配合した(1.05kg)。これを退色抑制剤1として下記の実験に使用した。
【0081】
実施例2 退色抑制剤(クミン種子抽出物)
クミン種子末(乾燥物)100gにヘキサン500mlを加えて還流し、脱脂した。次いで得られた残渣に、40容量%エタノール水溶液2Lを加えて75℃に維持しながら3時間攪拌した。得られた抽出混合物を室温まで冷却した後、吸引ろ過して不溶性固形分を除去し、抽出液1.7Lを得た。当該抽出液に活性炭を2g加え、1時間攪拌後、ろ過し、次いで減圧濃縮乾固することにより乾燥状態のクミン種子抽出物9gを得た。これにエタノール及びグリセリンを、クミン種子抽出物(乾固物)の含有量が10%となるように配合し(90g:グリセリン20容量%、エタノール20容量%含有)、これを退色抑制剤2として下記の実験に使用した。
【0082】
実施例3 退色抑制剤(コリアンダー果実抽出物)
コリアンダー果実(乾燥物)100gを粉砕後、50容量%エタノール水溶液600mlを加えて50℃に維持しながら5時間攪拌した。得られた抽出混合物を室温まで冷却後、吸引濾過し不溶性固形分を除去して、抽出液420mlを得た。当該抽出液を減圧濃縮後、ヘキサンを加えて混合後分層し、水層を、珪藻土を用いてろ過した後、減圧濃縮乾固し、濃縮乾固物8gを得た。これにエタノール及びグリセリンを、コリアンダー果実抽出物(乾固物)の含有量が10%となるように配合し(80g:グリセリン30容量%、エタノール20容量%含有)、これを退色抑制剤3として下記の実験に使用した。
【0083】
実施例4 退色抑制剤(キャラウェイ果実抽出物)
キャラウェイ果実(乾燥物)100gを粉砕後、60容量%エタノール水溶液500mlを加えて80℃に維持しながら5時間攪拌した。得られた抽出混合物を室温まで冷却後、吸引濾過し不溶性固形分を除去して、抽出液450mlを得た。当該抽出液に活性炭を0.2%となる割合で配合し、この中で1時間攪拌処理した後、ろ過し、次いで濃縮乾固させることにより乾燥状態のキャラウェイ果実抽出物8gを得た。これにエタノールを、キャラウェイ果実抽出物(乾固物)の含有量が10%となるように配合し(80g:エタノール30容量%含有)、これを退色抑制剤4として下記の実験に使用した。
【0084】
参考例1 クロロゲン酸含有製剤
クロロゲン酸(東京化成工業株式会社製)10gを40容量%エタノール水溶液に溶解し、クロロゲン酸含有製剤;100gを調製した。
【0085】
参考例2 ミリシトリン含有製剤
ヤマモモ乾燥葉(小枝を少し含む)200gを粉砕し、メタノール1Lを加えて60℃に維持しながら4時間攪拌して抽出した。この混合物を室温まで冷却後、吸引濾過した。残渣にメタノール150mlを加えて洗浄しろ過液と洗浄液を合わせ、これを、ロータリーエバポレーターを用いて100mlまで減圧濃縮した。黒緑色を呈した濃縮液を分液ロートに移し、水150mlを加えた後、エチルエーテルで3回洗浄した。得られた水層を減圧濃縮し、濃縮物にメタノールを加えて晶析し、黄褐色の析出物を得た。これをメタノールから再結晶を行うことにより、ミリシトリン2.5gを得た。その収得物を、エタノールに溶解し、ミリシトリン含有製剤;25g(ミリシトリン10%含有エタノール製剤)を調製した。
【0086】
参考例3 酵素処理イソクエルシトリン含有製剤
水100L(温度55℃)にルチン(ナカライテスク社製)500gを分散し、これにナリンギナーゼ(天野製薬株式会社、商品名ナリンギナーゼ「アマノ」)を50g添加した。この系はpH7であった。これを5時間、50℃に保持したのち、濃縮し、50Lとした。冷却したところイソクエルシトリンが沈殿した。沈殿物を濾別して集め、乾燥することによりイソクエルシトリン320gを得た。このイソクエルシトリン320gに100Lの水を加え、コーンスターチ800gを添加し、均質にし、これにCGTase(天野製薬株式会社、商品名コンチザイム)200mlを添加し、温度55℃、pH6.8にて12時間保持した。この溶液を吸着樹脂カラム(三菱化成(株)製、ダイヤイオンHP-21)に通してケルセチン−3−O−配糖体を吸着させ、ついで50容量%メタノール水溶液で脱着させた。脱着液を濃縮乾固して、糖転移ルチン550gを得た。この固形物は、未反応のイソクエルシトリンおよびグルコース残基数の異なる配糖体を含むクエルセチン−3−O−配糖体混合物であった。この固形物を酵素処理イソクエルシトリンとした。濃縮乾固物に、40容量%アルコールを加え、酵素処理イソクエルシトリン含有製剤;3660g(酵素処理イソクエルシトリン15%含有)を調製した。
【0087】
実験例1 紫イモ色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00 (部)
クエン酸(結晶) 0.09
クエン酸三ナトリウム pH調整量(pH3.1)
退色抑制剤1又は2 表1
紫イモ色素製剤 ( サンレッドYM , 色価 80)* . 05
全 量 100.00 部。
【0088】
なお、上記において「色価80」は、pH3の希釈緩衝液(McIlvaine Buffer)での極大吸収波長(10mmセル、可視部)における吸光度を測定し、測定液の希釈倍率を乗じた値の1/10の値を示す(以下の実験例においても同じ)。また上記処方に従って調製した色素含有組成物の吸光度は紫イモ色素の極大吸収波長530nmにおいて0.38であった。
【0089】
上記の処方に従って各成分を混合して調製した色素含有組成物を、93℃に加熱達温後に500mlのペットボトルに入れ、冷却して紫イモ色素着色シロップを作成した。これを試験対象品として、保温機器(東京理化器械株式会社 EYELA WFO−600D)を用いて50℃で6日間保温して、熱の影響による色素の退色現象(熱退色耐性)を観察した。なお、比較試験として、退色抑制剤1又は2の代わりに、クロロゲン酸含有製剤、ミリシトリン含有製剤または蒸留水(無添加系)を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物についても同様に加熱保温して、熱の影響による色素の退色現象(熱退色耐性)を観察した。結果を表1に示す。なお、熱退色耐性は試験後(保温6日後)の紫イモ色素の極大吸収波長(530nm)における吸光度を測定し、試験前(保温前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0090】
【表1】
Figure 0004258618
【0091】
表1の結果から、酸化防止効果が知られているクロロゲン酸含有製剤及びミリシトリン含有製剤は、紫イモ色素(アントシアニン系色素)の熱退色抑制に、ほとんど効果を示さなかったが、本発明の退色抑制剤1(アニス種子抽出物)及び退色抑制剤2(クミン種子抽出物)は、熱の影響による紫イモ色素の退色を効果的に抑制することがわかった。
【0092】
実験例2 赤キャベツ色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00 (部)
クエン酸(結晶) 0.09
クエン酸三ナトリウム pH調整量(pH3.1)
退色抑制剤(表2) 0.01−0.1
赤キャベツ色素製剤(サンレッド RCF, 色価 60 * . 05
全 量 100.00 部
なお、上記処方に従って調製した色素含有組成物の吸光度は赤キャベツ色素の極大吸収波長である536nmにおいて0.28であった。
【0093】
上記の処方に従って各成分を混合して調製した色素含有組成物を93℃に加熱達温後、50ml容無色透明ガラスビンに入れ、赤キャベツ色素着色シロップを作成した。これを試験対象品として、保温機器(東京理化器械 株式会社 EYELA WFO−600D)を用いて37℃で60日及び50℃で7〜14日間保温して、熱の影響による色素の退色現象(熱退色耐性)を観察した。また、別に試験対象品をフェードメーター(スガ試験機株式会社製FAL−3型、照射量38.3mw分/cm2)の照射光の下に4時間おいて、色素の退色現象(光退色耐性)を観察した。なお、比較試験として、退色抑制剤の代わりに蒸留水を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物(無添加系)についても同様に加熱保温または光照射して、熱または光の影響による色素の退色現象(熱退色耐性)を観察した。その結果を表2に示す。なお、熱退色耐性及び光退色耐性は試験後(保温後、光照射後)の極大吸収波長(536nm)における吸光度を測定し、試験前(保温前、光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0094】
【表2】
Figure 0004258618
【0095】
表2の結果から、本発明の退色抑制剤1(アニス種子抽出物)、退色抑制剤2(クミン種子抽出物)及び退色抑制剤3(コリアンダー果実抽出物)を添加した色素含有組成物は、37℃・60日、50℃・7日〜14日保存、及びフェードメーター照射4時間後であっても、退色抑制剤を添加しない場合(無添加系)に比して有意に赤キャベツ色素(アントシアニン系色素)の退色(熱退色、光退色)が抑制されていた。
【0096】
実験例3 クチナシ黄色素の退色防止効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00 (部)
クエン酸(結晶) 0.09
クエン酸三ナトリウム pH調整量(pH3.1)
退色抑制剤1又は2 表3
クチナシ黄色素製剤(サンエロー NO.3, 色価 85 * . 05
全 量 100.00 部
なお、上記処方に従って調製した組成物の吸光度はクチナシ黄色色素の極大吸収波長440nmにおいて0.38であった。
【0097】
上記の処方に従って各成分を混合して調整した組成物を93℃に加熱達温後、50ml容無色透明ガラスビンに入れ、冷却してクチナシ黄色素着色シロップを作成した。これを試験対象品として、保温機器(東京理化器械株式会社EYELA WFO−600D)を用いて50℃で1日間保温して、熱の影響による色素の退色現象(熱退色耐性)を観察した。なお、比較試験として、退色抑制剤の代わりに、ミリシトリン含有製剤、酵素処理イソクエルシトリン含有製剤、または蒸留水を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物(比較組成物)についても同様に加熱保温して、熱の影響による色素の退色現象(熱退色耐性)を観察した。その結果を表3に示す。なお、熱退色耐性は試験後(保温1日後)のクチナシ黄色素の極大吸収波長(440nm)における吸光度を測定し、試験前(保温前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0098】
【表3】
Figure 0004258618
【0099】
表3の結果から、ミリシトリン含有製剤及び酵素処理イソクエルシトリン含有製剤には殆ど熱退色抑制効果がなかったのに対し、本発明の退色抑制剤1及び退色抑制剤2を添加したクチナシ黄色色素含有組成物は、いずれもミリシトリン含有製剤及び酵素処理イソクエルシトリン含有製剤に比較して、熱による退色が有意に抑制されていた。
【0100】
実験例4 ピーチソーダ
下記の処方からなる各成分を混合後、ビンに充填してピーチソーダを作成した。
<処方>
水 100.00 ml
果糖ブドウ糖液糖(Brix75度) 5.00 ml
スクラロース 0.007 g
本発明の退色抑制剤1 0.1 ml
ピーチフレーバー 0.3 ml
紫コーン色素(サンレット゛NO.5F, 色価60)* 0.025ml
クエン酸 pH調整量(pH3.1)
炭酸水
全 量 200.00 ml。
【0101】
これを50℃で20日間保温し、熱の影響による色素の退色現象(熱退色耐性)を測定した。また別途、冷所(5〜10℃)、10000ルクスの蛍光灯照射を3日間行い、光の影響による色素の退色現象(光退色耐性)も観察した。また比較試験として、上記処方のうち、本発明の退色抑制剤1の代わりに蒸留水を添加してピーチソーダを調製したもの(無添加系)についても同様にして実験を行った。これらの結果を表4に示す。なお、熱退色耐性及び光退色耐性は試験後(保温後、光照射後)の紫コーン色素の極大吸収波長(514nm)における吸光度を測定し、試験前(保温前、光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0102】
【表4】
Figure 0004258618
【0103】
この結果からわかるように、本発明の退色抑制剤1を使用して調製したピーチソーダは、熱退色耐性及び光退色耐性において非常に優れていた。
【0104】
実験例5 ストロベリーゼリー
下記の処方に従って、各成分を混合して80℃で加熱溶解後、カップに充填し、5℃で1時間冷却しストロベリーゼリーを作った。
<処方>
水 28.0 g
ペクチン 1.0 g
果糖ぶどう糖液糖 50.0 g
本発明の退色抑制剤3 5.0 g
クエン酸 0.4 g
水飴 50.0 g
赤キャベツ色素(サンレット゛RCA, 色価80)* 0.1 ml
クエン酸ナトリウム pH調整量(pH4.2)
ストロベリー香料 適 量。
【0105】
これを35℃の恒温器で7日間保持して、赤キャベツ色素の退色現象(熱退色耐性)を肉眼観察した。また、別途、ストロベリーゼリーを冷所(5〜10℃)での10000ルクスの蛍光灯照射を3日間実施して、光の影響による赤キャベツ色素の退色現象(光退色耐性)を肉眼で観察した。また比較実験として、上記処方のうち、本発明の退色抑制剤3の代わりに水を添加してストロベリーゼリーを調製したもの(無添加系)についても同様に実験を行った。これらの結果を表5に示す。なお、調製直後のストロベリーセリーは、明るい赤色を有していた。
【0106】
【表5】
Figure 0004258618
【0107】
表5から明らかなように、本発明の退色抑制剤3を使用して調製したストロベリーゼリーは、加温や光照射後でも、熱や光による色調変化(退色)を殆ど受けず調製直後の色調を有していた。また当該ゼリーは色素残存率の点からも熱退色耐性及び光退色耐性に非常に優れていた。
【0108】
実験例 ノンオイルドレッシング(梅ジソタイプ)
下記の処方からなる各成分を混合し濾過した後、ビンに充填し90℃で30分間殺菌してノンオイルドレッシング(赤キャベツ色素含有組成物)を調製した。
<処方>
醸造酢(酸度4.2%) 14.00(kg)
リンゴ酢(酸度5%) 6.00
マルトオリゴ糖 10.00
魚醤調味料 5.00
清酒 5.00
レモン透明果汁 7.00
L−グルタミン酸ナトリウム 1.00
梅肉 5.00
果糖ブドウ糖液糖 8.00
食塩 2.00
シソフレーク 0.10
黒コショウ末 0.05
カツオ調味料(サンライクカツオパウダーU)* 0.60
ビーフ調味料(サンライクビーフエキスQS)* 0.30
シソフレーバー* 0.20
赤キャベツ色素(サンレッドRCA, 色価80)* 0.10
本発明の退色抑制剤1 0.05
清 水
全 量 100.00kg。
【0109】
これを37℃で10日間保温した後、赤キャベツ色素の退色現象(熱退色耐性)を色調並びに色素残存率の両面から観察した。また比較実験として、上記処方のうち、本発明の退色抑制剤1の代わりに水を添加して調製したもの(無添加系)についても同様に実験を行った。これらの結果を表6に示す。
【0110】
【表6】
Figure 0004258618
【0111】
この結果から明らかに、本発明の退色抑制剤1を添加した赤キャベツ色素含有組成物は、色素の鮮やかさが保持されており、色素残存率も高い値を示し、優れた熱退色耐性を示した。
【0112】
実験例7 果汁入り飲料
下記の処方からなる各成分を混合濾過した後、ビンに充填し90℃で30分間殺菌して果汁入り飲料を調製した。
<処方>
果糖ブドウ糖液糖 6.200(kg)
スクラロース 0.009
パノースシロップ 2.000
濃縮1/5グレープ果汁(ホワイト種) 2.200
クエン酸(結晶) 0.225
グレープフレーバー* 0.100
本発明の退色抑制剤2 0.030
ブドウ果皮色素製剤(サンレット゛NO.2L, 色価32)* 0.100
清 水
全 量 100.00 kg。
【0113】
37℃で10日間保温した後、ブドウ果皮色素の退色現象(熱退色耐性)を色素残存率の点から調べた。また比較実験として、上記処方のうち、本発明の退色抑制剤2の代わりに水を添加して調製したもの(無添加系)についても同様に実験を行った。なお、熱退色耐性は、試験後(保温後)のブドウ果皮色素の極大吸収波長(530 nm)における吸光度を測定し、試験前(保温前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。結果を表7に示す。
【0114】
【表7】
Figure 0004258618
【0115】
この結果から明らかなように、本発明の退色抑制剤2を添加したブドウ果皮色素含有組成物は、優れた熱退色耐性を示した。
【0116】
実施例5 赤キャベツ色素製剤
色価80の赤キャベツ色素製剤(サンレッドRC*)を80部、本発明の退色抑制剤1(アニス種子抽出物:実施例1)を20部の割合で混合し、攪拌溶解させて退色しにくい赤色キャベツ色素製剤(溶液)を調製した。
【0117】
実施例6 β-カロテン色素製剤
0.3%β-カロテン色素製剤(スーパーネオクラ NB*)を99部、本発明の退色抑制剤2(クミン種子抽出物:実施例2)を1部の割合で混合し、攪拌溶解させ、退色しにくいβ-カロテン色素製剤(溶液)を調製した。
【0118】
実施例7 紫イモ色素製剤
色価80の紫イモ色素製剤(サンレッド YM*)を90部、本発明の退色抑制剤3(コリアンダー果実抽出物:実施例3)を10部の割合で混合し、攪拌溶解させ、退色しにくい紫イモ色素製剤(溶液)を調製した。
【0119】
実施例8 クチナシ黄色素製剤
色価150のクチナシ黄色素製剤(サンエロー NO.3L*)を80部、本発明の退色抑制剤4(キャラウェイ果実抽出物:実施例4)を20部の割合で混合し、攪拌溶解させ、退色しにくいクチナシ黄色素製剤(溶液)を調製した。
【0120】
実施例9 コチニール色素製剤
色価83のコチニール色素製剤(サンレッド NO.1F*)を90部、本発明の退色抑制剤1(アニス種子抽出物:実施例1)を10部の割合で混合し、攪拌溶解させて退色しにくいコチニール色素製剤(溶液)を調製した。
【0121】
実施例10 ベニバナ黄色色素製剤
色価160のベニバナ黄色色素製剤(サンエロー NO.2A*)を80部、本発明の退色抑制剤2(クミン種子抽出物:実施例2)を20部の割合で混合し、攪拌溶解させ、退色しにくいベニバナ黄色色素製剤(溶液)を調製した。
【0122】
実施例11 ハードキャンデー
水20g、砂糖60g及び水飴40gの混合物を150℃まで加熱溶解し、煮詰めて100gにした後、120℃まで冷却し、ベニバナ黄色色素0.07g、クチナシ青色色素0.03g、クエン酸0.5g、抹茶フレーバー0.15g、退色抑制剤1(アニス種子抽出物:実施例1)0.05gを添加し、成型後、室温まで冷却してハードキャンデーを調製した。
【0123】
実施例12 アセロラ飲料
果糖ブドウ糖液糖30g、砂糖10g、クエン酸0.4g、アセロラフレーバー0.2g、クチナシ赤色色素0.1g、及び退色抑制剤3(コリアンダー果実抽出物:実施例3)0.02gを混合後、これに炭酸水を総量100gになるよう添加し、100mlのガラス瓶に詰めアセロラ飲料を調製した。
【0124】
実験例7 退色抑制剤(アニス種子抽出物)
アニス種子(乾燥物)100gを粉砕後、60v/v%エタノール水溶液500mlを加えて60℃に維持しながら5時間攪拌した。得られた抽出混合物を室温まで冷却後、吸引濾過し不溶性固形物を除去し、粗抽出液を約400ml得た。この粗抽出液を40℃以下、減圧下で濃縮乾固した後、35v/v%エタノール水溶液2Lを加え、吸着樹脂セパビーズSP-207(三菱化学(株)製、35v/v%エタノール水溶液で通液置換済み)50mlにSV=2、温度20℃の条件で通液した。さらに、35v/v%エタノール水溶液150mlを通液し(SV=2、温度20℃)、樹脂処理液を回収した。
【0125】
この回収液を40℃以下、減圧下で濃縮乾固することにより乾燥状態のアニス種子抽出物9gを得た。これに35v/v%エタノール水溶液を、アニス種子抽出物(乾燥物)の含有量が10%になるように配合した(90g)。これを退色抑制剤5として下記実験に使用した。
【0126】
実験例8 赤キャベツ色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00(部)
クエン酸(結晶) 0.2
クエン酸三ナトリウム pH調整量(pH3)
退色抑制剤5 表1
赤キャベツ色素製剤(サンレッド RCFU, 色価 60 . 07
全量 100.00 部。
【0127】
上記の処方に従って各成分を混合して調製した色素含有成分を、93℃に加熱達温後に110ml容の無色透明ガラス瓶に入れ、冷却して赤キャベツ色素着色シロップを作成した。これを試験対象品として、保温機器(ヤマト科学株式会社 INCUBATOR IC-102)を用いて50℃で7〜14日間保温して、熱による色素の退色現象(熱退色耐性)を観察した。また、別に試験対象品をフェードメーター(スガ試験機株式会社製キセノンロングライフフェードメーターXWL-75R、照射量600W/m2、照射温度20℃)の照射光の下に1時間30分〜3時間おいて、色素の退色現象(光退色耐性)を観察した。なお比較試験として、退色抑制剤5の代わりに蒸留水を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物(無添加系)についても同様に加温保管し、また光照射して、熱及び光の影響による色素の退色現象を観察した。その結果を表8に示す。なお、熱退色耐性及び光退色耐性は試験後(保温後、光照射後)の極大吸収波長(536nm)における吸光度を測定し、試験前(保温前、光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0128】
【表8】
Figure 0004258618
【0129】
表8の結果から、退色抑制剤5(アニス種子抽出物)を添加した色素含有組成物は、50℃7日〜14日保存、及びフェードメーター照射1時間30分〜3時間後であっても、退色抑制剤5を添加しない場合(無添加系)に比して有意に赤キャベツ色素(アントシアニン系色素)の退色(熱退色、光退色)が抑制されていた。
【0130】
実験例8 ビートレッド色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00(部)
クエン酸三ナトリウム 0.20
クエン(結晶) pH調整量(pH7)
退色抑制剤5 0.24
ビートレッド色素製剤(粉末サンレッド LF 、色価 160 * . 025
全 量 100.00 部。
【0131】
上記の処方に従って各成分を混合して調製した色素含有成分を、70℃に加熱達温後に110ml容の無色透明ガラス瓶に入れ、冷却してビートレッド着色シロップを作成した。これを試験対象品として、フェードメーター(スガ試験機株式会社製キセノンロングライフフェードメーターXWL-75R、照射量600W/m2、照射温度20℃)の照射光の下に1時間おいて、色素の退色現象(光退色耐性)を観察した。なお比較試験として、退色抑制剤5の代わりに蒸留水を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物(無添加系)についても同様に光照射して、光の影響による色素の退色現象を観察した。その結果を表9に示す。なお、光退色耐性は試験後(光照射後)の極大吸収波長(533nm)における吸光度を測定し、試験前(光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0132】
【表9】
Figure 0004258618
【0133】
表9の結果から、退色抑制剤5(アニス種子抽出物)を添加した色素含有組成物は、フェードメーター照射1時間後であっても、退色抑制剤を添加しない場合(無添加系)に比して有意にビートレッドの退色(光退色)が抑制されていた。
【0134】
実験例9 クチナシ赤色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00(部)
クエン酸(結晶) 0.20
クエン三ナトリウム pH調整量(pH3.5)
退色抑制剤5 0.24
クチナシ赤色素製剤(サンレッド NO.2771 、色価 50.5 . 08
全量 100.00 部。
【0135】
上記の処方に従って各成分を混合して調製した色素含有成分を、93℃に加熱達温後に110ml容の無色透明ガラス瓶に入れ、冷却してクチナシ赤色素着色シロップを作成した。これを試験対象品として、フェードメーター(スガ試験機株式会社製キセノンロングライフフェードメーターXWL-75R、照射量600W/m2、照射温度20℃)の照射光の下に4時間おいて、色素の退色現象(光退色耐性)を観察した。なお比較試験として、退色抑制剤5の代わりに蒸留水を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物(無添加系)についても同様に光照射して、光の影響による色素の退色現象を観察した。その結果を表10に示す。なお、光退色耐性は試験後(光照射後)の極大吸収波長(535nm)における吸光度を測定し、試験前(光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0136】
【表10】
Figure 0004258618
【0137】
表10の結果から、退色抑制剤5(アニス種子抽出物)を添加した色素含有組成物は、フェードメーター照射4時間後であっても、退色抑制剤5を添加しない場合に比して有意にクチナシ赤色素の退色(光退色)が抑制されていた。
【0138】
実験例10 クチナシ青色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00(部)
クエン酸(結晶) 0.20
クエン三ナトリウム pH調整量(pH3.5)
退色抑制剤5 0.24
クチナシ青色素製剤(サンレッド NO.2756 、色価 60 . 07
全量 100.00 部。
【0139】
実験例9と同様の方法にて、光の影響によるクチナシ青色素の退色現象を観察した。その結果を表11に示す。なお、光退色耐性は試験後(光照射後)の極大吸収波長(600nm)における吸光度を測定し、試験前(光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0140】
【表11】
Figure 0004258618
【0141】
表11の結果から、退色抑制剤5(アニス種子抽出物)を添加した色素含有組成物は、フェードメーター照射4時間後であっても、退色抑制剤5を添加しない場合に比して有意にクチナシ青色素の退色(光退色)が抑制されていた。
【0142】
実験例11 アントシアニン系色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00(部)
クエン酸(結晶) 0.20
クエン三ナトリウム pH調整量(pH3)
退色抑制剤5 0.24
アントシアニン系色素 表12
全量 100.00 部。
【0143】
上記の処方に従って各成分を混合して調製した各色素含有成分を、93℃に加熱達温後に110ml容の無色透明ガラス瓶に入れ、冷却してアントシアニン系色素着色シロップを作成した。これを試験対象品として、フェードメーター(スガ試験機株式会社製キセノンロングライフフェードメーターXWL-75R、照射量600W/m2、照射温度20℃)の照射光の下に3時間おいて、色素の退色現象(光退色耐性)を観察した。なお比較試験として、退色抑制剤5の代わりに蒸留水を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物(無添加系)についても同様に光照射して、光の影響による色素の退色現象を観察した。その結果を表12に示す。なお、光退色耐性は試験後(光照射後)の各色素の極大吸収波長における吸光度を測定し、試験前(光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0144】
【表12】
Figure 0004258618
【0145】
表12の結果から、退色抑制剤5(アニス種子抽出物)を添加した色素含有組成物は、フェードメーター照射3時間後であっても、退色抑制剤を無添加の場合に比して有意にアントシアニン系色素の退色(光退色)が抑制されていた。
【0146】
実験例12 カロチノイド系色素の退色抑制効果
果糖ブドウ糖液糖 13.00(部)
クエン酸(結晶) 0.20
クエン三ナトリウム pH調整量(pH3)
退色抑制剤5 0.24
カロチノイド系色素 表13
全量 100.00 部。
【0147】
実験例11と同様の方法で、カロチノイド系色素着色シロップを作成した。これを試験対象品として、フェードメーター(スガ試験機株式会社製キセノンロングライフフェードメーターXWL-75R、照射量600W/m2、照射温度20℃)の照射光の下に4時間おいて、色素の退色現象(光退色耐性)を観察した。なお比較試験として、退色抑制剤5の代わりに蒸留水を配合する以外は上記の処方に従って調製した色素含有組成物(無添加系)についても同様に光照射して、光の影響による色素の退色現象を観察した。その結果を表13に示す。なお、光退色耐性は試験後(光照射後)の各色素の極大吸収波長における吸光度を測定し、試験前(光照射前)の吸光度を100%とした場合の残存率(%)で評価した。
【0148】
【表13】
Figure 0004258618
【0149】
表13の結果から、退色抑制剤5(アニス種子抽出物)を添加した色素含有組成物は、フェードメーター照射4時間後であっても、退色抑制剤を無添加の場合に比して有意にカロチノイド系色素の退色(光退色)が抑制されていた。
【0150】
【発明の効果】
本発明によれば、セリ科植物、特にアニス、クミン、コリアンダー及びキャラウェイよりなる群から選択される植物の1種又は2種以上の抽出物を着色製品に配合することによって、該製品に含まれている色素、特に天然色素の退色を効果的に抑制することができる。特に該製品の製造工程及び製造後(流通、保存中)の、熱並びに光による色素の退色抑制に有効である。

Claims (5)

  1. アニス(Pimpinella anisum Linne)種子、クミン(Cuminum cyminum Linne)種子、コリアンダー(Coriandrum sativunLinne)果実、及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)果実よりなる群から選択される植物の1種又は2種以上の、
    メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、又はブタノールを10〜90容量%含有する含水アルコールによる抽出物
    を有効成分として含有する退色抑制剤。
  2. 退色抑制の対象色素が、アントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素またはキノン系色素である請求項1記載の退色抑制剤。
  3. アントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素またはキノン系色素、及び請求項1又は2に記載の退色抑制剤を含有する色素製剤
  4. 色素または色素を含む組成物をアニス(Pimpinella anisum Linne)種子、クミン(Cuminum cyminum Linne)種子、コリアンダー(Coriandrum sativunLinne)果実、及びキャラウェイ(Carum carvi Linne)果実よりなる群から選択される植物の1種又は2種以上の、
    メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、又はブタノールを10〜90容量%含有する含水アルコールによる抽出物
    と共存させることを特徴とする、当該色素または色素を含む組成物の退色抑制方法。
  5. 色素が、アントシアニン系色素、フラボノイド系色素、カロチノイド系色素またはキノン系色素である請求項4に記載の退色抑制方法。
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