JP4207844B2 - 色素の安定化剤および安定化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蝶豆から得られる抽出物を有効成分とする色素の安定化方法、安定化された色素製剤、色素の安定化剤の製造方法、ならびに色素の安定化剤に関する。
本発明で得られる色素の安定化剤は、混合することによって一般の色素を安定化させる色素製剤となる。さらに、蝶豆の色素自体も、一旦単離分離した後、同様に混合することによって、素抽出物よりも色素の安定化した色素製剤となる。このように安定化された色素製剤は、食品用添加剤及び安定化剤、着色剤、調色剤、化粧品用素材、医薬用素材、医薬部外品素材、一般インキ用素材などとして有用である。
食用色素は、従来から安価、安定、高色価のため、タール系を中心とする合成着色料の占める割合が高かったが、最近それらの安全性に疑いがもたれはじめてから使用が大幅に制限されだした。それに伴って、伝統的に用いられ、安全だと考えられている天然着色料が再び見直されつつある。例えば、食用品、化粧品、医薬品、医薬部外品、一般インキなどの分野で広く利用されている。
色素としては、安全性の確認された、タール系色素、カロチノイド系色素、アントシアニン系色素、キノン系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、モナスカス色素、その他の天然物を起源とする、あるいは人工的な合成が加えられた色素が広く利用されている。しかし、これらの色素は光、酸化、還元、熱反応などにより、経時的に色調の変化、退色などを伴い、商品価値を著しく低下させるなどの使用上のトラブルが生じている。
上述のトラブルを解決する目的で退色防止、および安定性向上に有効な特定成分を配合する幾つかの提案がなされている。
例えば、フラボノイド類を加える方法としては、ブドウ果汁色素にフラボン系、フラボノール系物質であるカテキン、ルチン、ケルセチンを加えることでのアントシアニン色素の安定化(特許文献1特開昭55−13771号公報)などが提案されている。
有機酸類を加える方法としては、クロロゲン酸、カフェー酸等の抗酸化性を利用したアントシアニン系色素の褐色防止剤(特許文献2特公平1−22872号公報)、クロロゲン酸類を有効成分とするクチナシ青色素、ベニバナ黄色色素の退色防止剤(特許文献3特公平11−2904968号公報)などが提案されている。
ビタミン類を加える方法としては、ビタミンAやニコチン酸アミドを加えることによるアントシアニン色素の色調の安定化(特許文献4特開平9−84564号公報)などが提案されている。
糖類、蛋白質類を加える方法としては、イリドイド配糖体の色素を酵素処理して生産される青色色素(クチナシ青色色素)にサイクロデキストリン類を添加する色素の安定化方法(特許文献5特開平1−163268号公報)、紅花黄色色素(カルタミン含有着色料)に、ソルビット、システインもしくはその酸塩、あるいはグリシンもしくはその酸塩を色素成分に対して約0.01重量部以上配合するカルタミン含有着色料の安定化方法(特許文献6特公昭50−13299号公報)などが提案されている。
フィチン類を加える方法としては、ミリセチンなどのフラボン類とケンフェロールなどのフラボノール類にフィチンやフィチン酸を添加する方法(特許文献7特開昭62−19068号公報)、赤キャベツ色素を飲料などに添加する際にルチン、ケルセチン、フィチン、フィチン酸を添加する安定化法(特許文献8特公平5−67271号公報)、フィチン酸、糖類をアントシアニン色素に添加する安定化方法(特許文献9WO01−048491)などが提案されている。
幾つかの安定化剤を複合して加える方法としては、水溶性フラボノールと水溶性抗酸化剤を用いた天然色素の安定化法(特許文献10特開平2−110164号公報)、フラボノールとアスコルビン酸などの水溶性抗酸化剤とリン酸塩を加えることによるアントシアニン色素の安定化方法(特許文献11特開平2−214780公報)、酵素処理ルチン、水溶性抗酸化剤、塩類の組み合わせによるブドウ色素の安定化(特許文献12特開平8−112076公報)などが提案されている。
植物抽出物を添加する方法として、ヤマモモ科植物の抽出物(特許文献13特開平6−234935号公報)、南天の葉抽出エキス(特許文献14特開平8−224068号公報)、マンサク科に属するハマメリスの抽出物であるハマメリタンニン(特許文献15特開平6−207172号公報)などが提案されている。
しかしながら、これらの数多くの提案は、いずれも必ずしも満足すべき結果が得られていないのが現状である。
その他、添加剤を使用しない方法としては、ワイルドブルーベリーのアントシアニン色素の安定化方法として二酸化炭素ガスで加圧封入する方法(特許文献16特開平6−125750号公報)が提案されているが、この方法は専用設備が必要になるなど実用性が低い。
天然色素の中において特に、アントシアニン系色素は、他のカロチノイド系色素やフラボノイド系色素と比較して熱や光に不安定であることが知られており、変色及び退色が問題となっている。
アントシアニン色素とは、発色団はアグリコンであるアントシアニジンであり、結合する水酸基、メトキシ基の数あるいは結合の位置によって、シアニジン、デルフィニジン、ペオニジン、ペラルゴニジン、マルビジンおよびペチュニジンと命名される色素が存在する。これらの色素の中でも安定性に違いがある。特許文献17特開昭63−110259号公報記載のように、ツユクサ科植物のセブリナ・ブルブシーやセブリナ・ベンジュラ、ムラサキゴテン、ムラサキオモテから抽出されるアシル化アントシアニン類や、特許文献18特開昭64−74271号公報記載の赤キャベツに含まれるアシル化アントシアニンは通常のアントシアニンより安定であることを見出している。同様に、非特許文献1月刊フードケミカル1998年7月号35−39ページには、「耐光性の良い色素はエルダベリー色素、紫キャベツ色素、紫サツマイモ色素であり、中でも紫サツマイモは特出している」と記載されている。また、「ブルーベリー色素は他のアントシアニン色素と比較して、熱、光に対して不安定である。これはブルーベリーに含まれるアントシアニンはアシル化されていないアントシアニンであり、ポリフェノールがほとんど含まれていないためである。」と記載している。これは、アシル化されたアントシアニンがアシル化されていないアントシアニンよりも安定性に優れていることを提示している。
最近になって、寺原典彦らによって蝶豆(Clitoria ternatea)の花弁から安定なアントシアニン色素が得られることが報告されている(特許文献19および非特許文献2参照)。
ただし、これらの事例は、それぞれのアントシアニン色素間における安定性の比較であって実用化において十分の安定性が確保されるかどうかは別問題である。この問題を解決する為に昔から現在に至るまで多くの安定化方法、退色防止方法が提案され検討されているのである。
特開昭55−13771号公報 特公平1−22872号公報 特公平11−2904968号公報 特開平9−84564号公報 特開平1−163268号公報 特公昭50−13299号公報 特開昭62−19068号公報 特公平5−67271号公報 WO01−048491 特開平2−110164号公報 特開平2−214780 特開平8−112076 特開平6−234935号公報 特開平8−224068号公報 特開平6−207172号公報 特開平6−125750号公報 特開昭63−110259号公報 特開昭64−74271号公報 特開平3−223298号公報 月刊フードケミカル1998年7月号35−39 南九州大学園芸学部研究報告−第23号(1993年)
従来の技術では色素の退色、変色防止効果は弱いか、または防止できる色素が限定されており、添加量、使用用途などにも制約があった。例えば、フラボノール類は水に対する溶解度が低いために変色、退色防止効果を十分に発揮することができない。ローズマリーやセージなどの天然物から得られる抽出物には原料に特有の臭気を有するため、使用に制約ができる。酸化防止剤として広く用いられているアスコルビン酸やエリソルビン酸などを添加する方法では、カロチノイド系色素の退色は抑制されるが、一方、アントシアニン系色素では効果を発揮できない。また、カテキン類からなる茶抽出物やコーヒーやヒマワリ種子に含まれるクロロゲン酸やカフェー酸誘導体などが色素の変色防止および退色防止に使用されるが、その効果はあまりにも弱い。それゆえに、使用制限がなく、安定化効力が強く、広範囲の色素に使用することができる天然物由来の安定化剤の開発が望まれている。さらに、経時で沈殿などが発生せず、退色しにくい色素製剤の開発が望まれているのである。
本発明者は、上記載の多くの課題を解決すべく鋭意研究した結果、豆科に属する蝶豆(Clitoria ternatea)の花または萼から水および/または水溶性有機溶剤で抽出することによって得られる抽出物さらにカラム処理および/または水溶性有機溶剤で抽出して得られるテルナチン類以外の内在成分である抽出物と各種色素とを混合する操作をすることによって安定化に顕著な効果を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、豆科に属する蝶豆(Clitoria ternatea)の花または萼から水および/または水溶性有機溶剤で抽出してなる抽出物さらにカラム処理および/または水溶性有機溶剤で抽出して得られるテルナチン類以外の内在成分である抽出物と、色素とを混合することを特徴とする色素の安定化方法に関する。
また、本発明は、水溶性有機溶剤が、エタノールまたはアセトンである上記色素の安定化方法に関する。
また、本発明は、抽出物が、クマル酸誘導体を含有する上記色素の安定化方法に関する。
また、本発明は、色素が、タール系色素、カロチノイド系色素、アントシアニン系色素、キノン系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、および、モナスカス色素から選ばれる1種または2種以上を含有する上記色素の安定化方法に関する。
また、本発明は、豆科に属する蝶豆(Clitoria ternatea)の花または萼から水および/または水溶性有機溶剤で抽出してなる抽出物さらにカラム処理および/または水溶性有機溶剤で抽出して得られるテルナチン類以外の内在成分である抽出物と、色素とを混合することを特徴とする、上記安定化方法で安定化した色素製剤の製造方法に関する。
また、本発明は、上記製造方法で製造されてなる色素製剤に関する。
また、本発明は、上記安定化方法で色素を安定化するための色素の安定化剤の製造方法であって、豆科に属する蝶豆(Clitoria ternatea)の花または萼から水および/または水溶性有機溶剤で抽出してなる抽出物さらにカラム処理および/または水溶性有機溶剤で抽出して得られるテルナチン類以外の内在成分である抽出物とする色素の安定化剤の製造方法に関する。
また、本発明は、上記製造方法で製造されてなる色素の安定化剤に関する。
蝶豆から抽出されるクマル酸誘導体と思われる抽出物は、色素に混合するという操作を行うことにより、その色素を安定化することができた。
また、蝶豆から抽出した色素に関しても同様に、一旦精製した色素に前記抽出物を混合することにより、粗抽出物で発生していた沈殿、異臭などの不都合を解決した、かつ、退色しにくい色素とすることができた。
(蝶豆について)
本発明に使用する蝶豆(学名:Clitoria ternatea L. 英名:Butterfly pea)は、名前のようにマメ科(Leguninosae)に属している。蝶豆は、熱帯地域で広く栽培され、その植物体は緑肥、牧草、カバークロップに用いられる。根、茎および葉の煎じ液は利尿剤、虫下し、湿布、下剤などに利用されるが大量に用いると有毒である。
蝶豆の花は、長さ1.5〜3cmの蝶形で鮮青色を有し、一般に観賞用として栽培されている。東南アジアの原産で、インドネシアでは米を青色に染めるのに利用している。また、この花から抽出した青色色素は、マレーシアにおいてマットやライスケーキなどの染色に、あるいはタイでは菓子の色付けに昔から利用されている。
蝶豆の花の色素成分は共通の骨格(デアシルテルナチン)をもつ色素混合物でテルナチン(Ternatin)A〜Fと命名されている(特許文献19特開平3−223298号公報)。テルナチン類は、アントシアニン系色素の分類において現在、もっとも安定な色素であるとされている。これは、色素成分のみに着目しその構造とアントシアニン系色素の中での安定性を特定したものであり、その機能性および効能に関して特定したものではない。
本発明者は、これらの情報を原点として、蝶豆植物体のテルナチン類以外の内在成分に関する研究を鋭意行った。その結果、蝶豆の花または萼に、本発明における色素の安定化剤として有用な化合物が存在することを発見した。
(抽出方法について)
以下、本発明における色素の安定化剤として有用な化合物の抽出方法を、一例を交えて説明する。なお、一例では、段階的に何回も抽出操作を行っているので、抽出するたびに、安定化剤としての純度が向上している。しかし、実用的には、目的の安定化が実現する程度の純度および濃度であればよく、以下のすべての抽出操作が必要ということではない。しかし、後述の沈殿発生などの問題を回避するには、2つ以上の抽出操作が推奨される。
段階的抽出方法1として、蝶豆の乾燥花弁を水、または、水溶性有機溶剤、または、水と水溶性有機溶剤との混合溶剤に1昼夜浸すことで有用な化合物を抽出する。その後、デカンテーション、遠心分離、ろ過などの方法により花弁、夾雑物、有機溶剤などを除去することで、テルナチン類を含む抽出液1(粗抽出液)が得られる。抽出液1の液体クロマトグラフを図1に示した。テルナチン類の色素は530nmの波長で分析し、254nmの波長でテルナチン類の色素とそれ以外、即ち、色素以外の化合物の分析を行った。
図1においてテルナチン類は実線で示され、色素以外の成分は破線で示される。一目してわかるように、テルナチン類以外に約5種類の物質が存在することがわかる。本発明は、約5種類の色素成分以外の物質における機能性および効能に注目したものである。以下、この約5種類の色素成分以外の物質を、本発明の安定化剤の有効成分と称する。
抽出液1は定法によって濃縮、粉末化することは容易であるが、例えば、水で希釈、溶解した場合多量の沈殿を生じたり、蝶豆独特の臭気を発生させたり、生菌数が多すぎたりするために、このままでは商品としての利用価値が低い。特に沈殿が発生することは大きな問題である。
段階的抽出方法2として、さらに、抽出液1をカラムに供し、テルナチン類と色素成分以外の物質を分離することもできる。基本的にはカラム中にテルナチン類が吸着され、色素成分以外の物質は水、酸性水などで洗浄除去される。色素成分以外の物質が十分除去された後、含水溶剤あるいは溶剤によってテルナチン類をカラムから脱離させることで、テルナチン類の色素成分を主成分とする抽出液2が得られる。抽出液2の液体クロマトグラフの結果を図2に示した。図1との比較において色素成分以外の物質が除去されていることが一目できる。本発明の安定化剤の有効成分は検出されない。
この状態まで精製された色素製剤が、テルナチン類を高濃度で含有する蝶豆の青色色素である。これが寺原らの提示している蝶豆色素の抽出方法であり、蝶豆に存在するテルナチン類以外の物質は、不必要な物質として、除去、廃棄されていたのである。
段階的抽出方法3として、上記載の段階的抽出方法2によって得られるカラムから洗浄除去された溶液中に存在する安定化剤の有効成分に関する抽出方法について説明する。
カラムから溶出される洗浄液を回収し、定法である加熱濃縮、膜濃縮、凍結乾燥、スプレードライなどの方法によって濃縮乾固することで褐色の粉末(抽出粉末1)を得ることができる。これは、粉末にしなくても液体の状態でも使用できる。抽出粉末1中には糖類、蛋白質類、有機酸類など様々な物質が存在する。本発明における安定化剤の有効成分は、抽出粉末1からメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンなどの水溶性有機溶剤によって簡便に抽出される。例として抽出粉末1をエタノールで洗浄抽出し、その後、定法によってエタノールを除去することで淡い黄白色粉末(抽出粉末2)が容易に得られる。この抽出粉末2が、本発明における安定化剤の有効成分である。その液体クロマトグラフを図3に示した。254nmでの分析結果を示した。テルナチン類などの色素成分は存在しないので530nmの結果は除外した。上記載の約5種類の色素成分以外の物質が抽出されていることは明らかである。リテンションタイムで20分過ぎに検出される物質が、有効成分の主要成分であることが判る。これらの物質は、p−フェニレン基を有するためクマル酸誘導体であることが分析の結果推察される。図4、図5にこの主要成分の13CNMRと1HNMRのチャート(重メタノール溶媒)を示した。
なお、ここで得られた抽出粉末1または抽出粉末2を上記載の抽出液2に添加すると、テルナチン類の安定性は高くなり、その効能が検証された(実施例1参照)。
最後に、段階的抽出方法4として、上記とは異なる抽出液1からの有効成分の抽出方法について説明する。当該方法は、沈殿発生や異臭などの問題を回避するために有効である。沈殿や異臭は、抽出液1に含まれる蛋白質や多糖類によるものと考えられ、これが経時で抽出液1から分離してくるものと考えられる。これらは、水溶性有機溶剤には溶けにくいため、当該方法により除去することにより、商品的価値の高い色素安定剤とすることができる。
まず、抽出液1は、定法によって粉末化あるいは含水ペースト状まで濃縮される。抽出液1を粉末化した場合は、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトンなどの水溶性有機溶剤に溶解させることによって、有効成分は簡便に抽出される。定法によりこの溶解液を粉末化し抽出粉末3とすることができる。この方法は、段階的抽出方法3の中で記載した抽出粉末1から抽出粉末2を得る方法と同じである。この場合、色素成分は、水溶性有機溶剤不溶物として、除去される。
また、抽出液1を含水ペースト状まで濃縮した場合は、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトンなどの水溶性有機溶剤に溶解させることによって抽出粉末4とすることができる。この場合、色素成分は、水とともに抽出される。抽出粉末4は、青色に着色しているため、例えば、黄色色素に混合した場合は、全体として緑色となるが、実施例で証明するように黄色色素の安定化に寄与し、結果として緑色の退色挙動を抑えることが可能となる。
抽出粉末3および4も、色素安定化の効能を有し、使用時に沈殿、異臭などのトラブルを生じることの無いテルナチン類を含有する安定化剤が得られ、調色、着色用の安定化剤として使用することができる。抽出粉末4の液体クロマトグラフを図6に示した。
ここで得られた粉末を上記載の抽出液2に添加すると、テルナチン類の安定性は高くなった。一方、ここで得られた水溶性有機溶剤不溶成分、即ち、水だけに溶解性を示す化合物を抽出液2に添加した場合、テルナチン類の安定性に変化は認められなかった。
以上、述べた通り、蝶豆の花あるいは萼中には、テルナチン類とクマル酸誘導体が主成分として存在している。アントシアニン系色素であるテルナチン類を選択的に抽出する方法に従って得られる青色色素は段階的抽出方法2において得られる抽出液2であり、従来、この成分のみが色素として有用であり、それ以外の成分は不要物質とされ除去、廃棄されてきた。この抽出液2に段階的抽出方法3または段階的抽出方法4で得られるクマル酸誘導体を安定化剤の主成分として含有する抽出粉末1、抽出粉末2、抽出粉末3を1種類または2種類以上の混合粉末として添加することでテルナチン類の安定性は高くなり、本発明においてその効能が初めて検証された。
従来、蝶豆の花弁からアントシアニン系色素であるテルナチン類を選択的に抽出する方法では、テルナチン類の色素成分のみを回収し、色素成分以外の物質を除去することが目的であった。本発明は、除去されるべき色素成分以外の物質に着目し、その物質の効果について検討したものである。従って、色素の安定化に寄与できる量の有効成分が安定化剤中に存在していればその効果が発現される。即ち、色素の安定化を阻害せず、使用に関して沈殿、臭気などの問題が生じない限りにおいて、安定化剤の中に、糖類、蛋白質類、有機酸類、テルナチン類などが含有していても良いのである。ただし、抽出液1(粗抽出液)のレベルでは、沈殿、臭気の問題は、解決できていない。実用的には、ある程度の糖類、蛋白質類の量をコントロールすることが肝要である。
本発明で使用される蝶豆は、新鮮な生の状態でも乾燥状態でもどちらでも良い。蝶豆の植物体としては、葉、茎、根、花、萼、種子などが挙げられるが、有効成分量の多さあるいは抽出処理のし易さから判断して、花あるいは萼を利用するのが好ましい。さらに品種としては、日本産、タイ産、中国産、マレーシア産、ミャンマー酸、ベトナム産など蝶豆の種類、品種に限定されることなく如何なる種類でも良い。
(抽出溶剤など)
本発明で使用される植物体からの抽出溶剤としては、水、酸性水、水溶性有機溶剤などが使用できる。酸性水にするための酸性物質としては、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸や酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸、もしくは緩衝液でもよく、濃度は0.001〜1重量%であればよい。緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液、ピロリン酸ナトリウム緩衝液、グリシン−ナトリウム緩衝液、グッドバッファーなどがあるが、これらに限定されるものではない。pHは2〜7が好ましいがこれらに限定されるものではない。水溶性有機溶剤としては、食品添加物製造の認可を受けた溶剤を使用することが望ましい。例えば、エタノール、アセトン、プロピルアルコールなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの水溶性有機溶剤と水との混合溶剤も使用でき、その混合比は自由であるが、その後の抽出工程を考慮して1〜50重量%で調整するのが好ましい。抽出は、室温で行ってもよいし、加熱してもよい。
粗抽出物からの抽出には、水溶性有機溶剤を使用するのが好ましい。このときの水溶性有機溶剤も前述の水溶性有機溶剤から1種または2種以上を使用する。この場合は、水溶性の沈殿になりやすいものを除去する目的であるから、水の含有量は少ないことが好ましい。
本発明で使用されるカラムに使用する吸着剤としては、次のようなものが挙げられる。マクロポーラスな芳香族系吸着剤として、スチレン、ビニルピロリドンなどのビニルモノマーにジビニルベンゼンのような架橋性のモノマーを配合して得られる網状構造を有する樹脂を粒子状にしたものが使用でき、製品名としては、ダイヤモンドシャムロックケミカル社のデュオライトS−30、ES−33、S−37、S−862、S−861、S−587、S−761など、ロームアンドハース社のアンバーライトXAD−2、XAD−4、XAD−7、XAD−8、XAD−16、XAD−1180、XAD−2000、XAD−2010など、三菱化学株式会社のダイヤイオンHP−10、HP−20、HP−21、HP−40、セパビーズSP−850など、ダウケミカル社のダウエックスXUS−40323、XUS−40285など、北越炭素工業株式会社のKS、HS、AF、L−1など、ISP社のポリクラールSB−100、ポリクラールスーパーR、ポリクラール10など、東ソー株式会社のトヨパールHW−40などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、芳香族系修飾型吸着剤としては、スチレンとジビニルベンゼンから得られる架橋構造を有する樹脂に、塩素原子、臭素原子などの電子吸引性基を含有させたものを粒子状にしたものが使用でき、製品名としては、三菱化成工業株式会社のセパビーズSP−207、SP−207などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、これらは単独使用のみではなく、複数の組み合わせで使用しても良い。
本発明で使用される洗浄液としては、水、酸性水、溶剤などが使用できる。酸性物質としては、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸や酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸、もしくは緩衝液でもよく、濃度は0.001〜1重量%であればよい。緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液、ピロリン酸ナトリウム緩衝液、グリシン−ナトリウム緩衝液、グッドバッファーなどがあるが、これらに限定されるものではない。pHは2〜7が好ましいがこれらに限定されるものではない。洗浄液の溶剤としては、食品添加物製造の認可を受けた溶剤を使用することが望ましい。例えば、エタノール、アセトン、プロピルアルコールなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの溶剤と水との混合溶媒も使用でき、その混合比は容量比で1〜99:99〜1であれば、製品の形態に応じて自由に選択できる。
本発明者は、上記方法によって一旦単離したのち、色素に再び混合することによって、蝶豆に存在するテルナチン類を安定化することができるクマル酸誘導体を有効成分とする安定化剤を得ることができた。
更に、本発明者は、蝶豆から得られたクマル酸誘導体を有効成分として含有する抽出物がテルナチン類の安定性を向上させるだけではなく、各種色素の安定化に顕著な効果を発揮することを見出した。
(色素)
本発明で使用できる色素としては、タール系色素、カロチノイド系色素、アントシアニン系色素、キノン系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、モナスカス色素、その他の天然物を起源とする色素、あるいは人工的な合成が加えられた色素を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、天然色素を含有する植物体、動物体、微生物体またはその加工品、搾汁液、水もしくは有機溶剤による抽出液または上記搾汁液、抽出液の精製加工品を挙げることができる。
本発明で使用できる食用タール色素としては、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色40号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用できる医薬品、医薬部外品、化粧品用タール色素としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、および前記載色素のアルミニウムレーキ、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、だいだい色205号、だいだい色206号、だいだい色207号、黄色201号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、褐色201号、紫色201号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号,紫色401号、黒色401号
および前記載色素のレーキ色素などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用できる天然色素誘導体としては、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンナトリウム、ノルビキシンカリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。天然系合成色素としては、β−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、リボフラビンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用できるカロチノイド系色素としては、アナトー色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カニ色素、イモ、デュナリエラ、ニンジンまたはパーム油から抽出した抽出カロチン色素、トマト色素、パプリカ色素、ファフィア色素、ヘマトコッカス色素、マリーゴールド色素またはその他の動物、植物若しくは微生物由来のカロチノイド系色素が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用できるアントシアニン系色素としては、チョウマメ色素、赤キャベツ色素、赤米色素、エルダベリー色素、カウベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、ストロベリー色素、スイートチェリー色素、チェリー色素、ハイビスカス色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、ブルーベリー色素、ブラックベリー色素、プラム色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明で使用できるキノン系色素としては、コチニール色素、シコン色素、ラック色素などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明に使用できるフラボノイド系色素としては、カキ色素、カロブ色素、カンゾウ色素、シタン色素、スオウ色素、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色色素などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用できるベタイン系色素としては、ビートレッド色素が挙げられるが、これに限定されない。本発明で使用できるモナスカス系色素としては、ベニコウジ色素、ベニコウジ黄色色素などが挙げられるが、これらに限定されない。その他の色素として、ウコン色素、クサギ色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、スピルリナ青色素などが挙げられるが、これらに限定されない。
(安定化剤)
本発明で得られる色素の安定化剤は、上記載のようにマメ科に属する蝶豆から抽出される抽出物を有効成分とするものであり、該有効成分中にはクマル酸誘導体を固形成分として少なくとも全体の固形分の1重量%以上含有していることが望ましい。本発明における色素の安定化剤は、これらの有効成分の100重量%から成っていてもよく、またはこれら有効成分と適当な希釈剤もしくは担体もしくはテルナチン類をはじめとする上記載の色素との組成物の形態であっても良い。希釈剤もしくは担体の例として、例えばアラビアガム、デキストリン、グルコース、シュークロース、グラニュー糖などの固体希釈剤もしくは担体、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、界面活性剤などの液体希釈剤もしくは担体を例示することができるが、これらに限定されない。該組成物中の有効成分の濃度は厳密には限定されないが、通常全体の固形分の約1重量%から約50重量%の範囲が好適である。本発明の安定化剤には所望により従来既知の抗酸化剤などを配合することもできる。さらに、該安定化剤は、任意の剤形に調整することができる。例えば、粉末状、顆粒状、液状、乳液状、ペースト状などが挙げられるが、これらに限定されない。該安定化剤は、各種食品、各種医薬品、各種医薬部外品、化粧品など、含まれる原料由来の色素または添加された色素の安定化の目的として使用することができる。
色素の安定化に使用する蝶豆からの抽出物の使用量は、対象とする色素の種類、その濃度または形態によって異なるので注意が必要である。前記色素類に対する本発明の安定化剤の添加量は、該安定化剤に有効成分として含有されるクマル酸誘導体の濃度等によって任意に選択することができる。
本発明によって得られる色素の安定化剤は、各種食品に使用することができる。例えば、おかき、せんべい、おこし、饅頭、飴などの和菓子、クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、スポンジケーキ、カステラ、ドーナツ、ワッフル、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、チョコレート、キャラメル、キャンデー、チューインガム、ゼリー、ホットケーキ、パンなどの各種洋菓子、ポテトチップス、えびせんなどのスナック菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベットなどの氷菓、乳酸飲料、濃厚乳性飲料、果汁飲料、無果汁飲料、果肉飲料、機能性飲料、透明炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、果実着色炭酸飲料などの清涼飲料水などの嗜好飲料、ワイン、ワインソーダ、リキュール、カクテルなどのアルコール飲料、フルーツヨーグルト、チーズ、バターなどの乳製品、豆乳などの大豆加工食品、マーマレード、ジャム、コンサーブ、果実のシロップ漬、フラワーペースト、ピーナツペースト、フルーツペーストなどのペースト類、漬物類、ハム、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセージ、ビーフジャーキーなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、蒲鉾、ちくわ、はんぺん、てんぷらなどの魚介類製品またはその干物、うに、いかの塩辛、貝の干物などの各種珍味類、のり、小魚、貝類、するめ、野菜、山菜、昆布などで作られる佃煮類、即席カレー、レトルトカレーなどのカレー類、ケチャップ、マヨネーズなどの各種調味料類、各種レンジ食品または冷凍食品などの各種食品に含まれる原料由来の色素または添加された色素の安定化または着色、調色の目的に使用することができるが、これらに限定されない。
本発明によって得られる色素の安定化剤は、各種医薬品、医薬部外品、化粧品にも使用することができる。例えば、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬、歯磨き粉、口中清涼剤、口臭防止剤、スキンローション、クリーム類、口紅、石鹸、シャンプー、染毛剤などに含まれる原料由来の色素または添加された色素の安定化または着色、調色の目的に使用することができるが、これらに限定されない。さらに、飼料として、各種キャットフード、ドッグフード、観賞魚の餌、養殖魚の餌などに含まれる原料由来の色素または添加された色素の安定化または着色、調色の目的に使用することができるが、これらに限定されない。
その他、色鉛筆、クレヨン、絵の具などの文房具、剥製、置物、おもちゃなどの日用品に含まれる原料由来の色素または添加された色素の安定化または着色、調色の目的に使用することができるが、これらに限定されない。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
(抽出例1)
蝶豆乾燥花弁1Kgに20%エタノール水10Kgを加え、室温にて10時間抽出した後、ろ過し、残さおよび夾雑固形分を除去した。この抽出液を60℃で減圧濃縮および乾燥し、青色粉末を120g得た。これを抽出物iとする。抽出物iの成分は図1に示された液体クロマトグラフに準ずる。
(抽出例2)
抽出例1で得られた抽出物iの青色粉末40gにエタノール500gを加え、40℃にて1時間攪拌しながら抽出した後、ろ過し、不要物を除去した。この抽出液を60℃で減圧濃縮および乾燥し、濃黄白色粉末25gを得た。これを抽出物iiとする。抽出物iiの成分は図6に示された液体クロマトグラフに準ずる。
(抽出例3)
抽出例1で得られた抽出物iの青色粉末40gに水500gを加え、室温にて1時間攪拌しながら可溶化させた。不溶成分をろ過した後、可溶化液約500gを三菱化学株式会社製のHP−20樹脂をつめたカラムに供した。1500gの水でカラムを洗浄し、吸着溶出液約500g、洗浄液約1500gの合計約2000gの溶出液を得た。この溶出液を膜濃縮に供し、約300gまで加水しながら濃縮し処理を施した後、60℃で減圧濃縮および乾燥処理を行った結果、淡黄白色粉末21gを得た。これを抽出物iiiとする。抽出物iiiの成分は図3に示された液体クロマトグラフに準ずる。
カラムに吸着された青色色素成分を500gの50%エタノールにて溶出した後、60℃で減圧濃縮および乾燥し、濃青色粉末9gを得た。これを抽出物ivとする。抽出物ivの成分は図2に示された液体クロマトグラフに準ずる。
抽出例3で得られた抽出物ivは、本発明の安定化剤を含有しないテルナチン類から構成される青色色素成分である。これに、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物ii、抽出物iiiを添加し、テルナチン類の安定性を比較した。
抽出物ivの粉末1重量部に対して抽出物ii、抽出物iiiをそれぞれ1重量部、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部となるように純水を加えて100重量部とした溶液を検体とした。また、抽出物ivの粉末1重量部、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部となるように純水を加えて100重量部とした溶液を比較検体とした。
このように調整した検体を、それぞれ100ml容量の無色透明なガラス瓶に充填し、60℃の恒温室に14日間放置した後、色素残存率を次式によって算出し、耐熱性を比較した。
色素残存率(%)=(熱処理後の可視部極大吸収波長での吸光度÷熱処理前の可視部極大吸収波長での吸光度)×100
結果を表1に示した。
安定化剤として各抽出物を添加した時の熱安定性の比較
Figure 0004207844

抽出例3で得られた抽出物ivは、本発明の安定化剤を含有しないテルナチン類から構成される青色色素成分である。これに、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物ii、抽出物iiiを添加し、テルナチン類の安定性を比較した。
抽出物ivの粉末1重量部に対して抽出物ii、抽出物iiiをそれぞれ1重量部、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部となるように純水を加えて100重量部とした溶液を検体とした。また、抽出物ivの粉末1重量部、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部となるように純水を加えて100重量部とした溶液を比較検体とした。
このように調整した検体を、それぞれ100ml容量の無色透明なガラス瓶に充填し、フェドメーターを用いて8時間紫外線を照射した後、色素残存率を次式によって算出し、耐光性を比較した。
色素残存率(%)=(紫外線照射後の可視部極大吸収波長での吸光度÷紫外線照射前の可視部極大吸収波長での吸光度)×100
結果を表2に示した。
安定化剤として各抽出物を添加した時の光安定性の比較
Figure 0004207844


実施例1および実施例2の結果から明らかなように、抽出物ii、抽出物iiiは、抽出物ivのテルナチン類色素を安定化させる効果を発揮した。
グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、色価E10%=60に調整された表3に示す各種色素1重量部、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物ii、抽出物iiiおよび安定化剤の比較例としてクロロゲン酸、アスコルビン酸をそれぞれ1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。
このように調整した色素溶液を、それぞれ100ml容量の無色透明なガラス瓶に充填し、フェドメーターを用いて8時間紫外線を照射した後、色素残存率を次式によって算出し、耐光性を比較した。
色素残存率(%)=(紫外線照射後の可視部極大吸収波長での吸光度÷紫外線照射前の可視部極大吸収波長での吸光度)×100
結果を表3に示した。
各種色素に対する光安定性の比較
Figure 0004207844


グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、色価E10%=60に調整された表3に示す各種色素1重量部、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物ii、抽出物iiiおよび安定化剤の比較例としてクロロゲン酸、アスコルビン酸をそれぞれ1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。
このように調整した色素溶液を、それぞれ100ml容量の無色透明なガラス瓶に充填し、60℃の恒温室に14日間放置した後、色素残存率を次式によって算出し、耐熱性を比較した。
色素残存率(%)=(熱処理後の可視部極大吸収波長での吸光度÷熱処理前の可視部極大吸収波長での吸光度)×100
結果を表4に示した。
各種色素に対する熱安定性の比較
Figure 0004207844


実施例3および実施例4の結果から明らかなように、抽出物ii、抽出物iiiは、クロロゲン酸、アスコルビン酸と比較して各種色素を安定化させる効果を発揮した。
グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物iiを1重量部、色価E10%=50のクチナシ青色色素4重量部と色価E10%=250のベニバナ黄色色素6重量部から構成される緑色色素1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。また、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物iiiの青色色素粉末4重量部(色価E10%=50に調整)と色価E10%=250のベニバナ黄色色素6重量部から構成される緑色色素1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。
比較溶液として、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、色価E10%=50のクチナシ青色色素4重量部と色価E10%=250のベニバナ黄色色素6重量部から構成される緑色色素1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。
このように調整した色素溶液を、それぞれ100ml容量の無色透明なガラス瓶に充填し、フェドメーターを用いて16時間紫外線を照射した後、緑色の変化を目視にて観察した。
本発明の安定化剤成分を含有する抽出物ii、抽出物iiiを含有する色素溶液は、緑色を維持していたが、無添加の場合は、黄色が退色して青色に変化していた。
グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物iiを1重量部、色価E10%=50のクチナシ青色色素4重量部と色価E10%=250のベニバナ黄色色素6重量部から構成される緑色色素1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。また、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、本発明の安定化剤成分を含有する抽出物iiiの青色色素粉末4重量部(色価E10%=50に調整)と色価E10%=250のベニバナ黄色色素6重量部から構成される緑色色素1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。
比較溶液として、グラニュー糖12重量部、クエン酸0.01重量部、色価E10%=50のクチナシ青色色素4重量部と色価E10%=250のベニバナ黄色色素6重量部から構成される緑色色素1重量部となるように純水を加えて100重量部とした色素溶液を調整した。
このように調整した色素溶液を、それぞれ100ml容量の無色透明なガラス瓶に充填し、60℃の恒温室に14日間放置した後、色素残存率を次式によって算出し、耐熱性を比較した。
本発明の安定化剤成分を含有する抽出物ii、抽出物iiiを含有する色素溶液は、緑色を維持していたが、無添加の場合は、黄色が退色して青色に変化していた。
実施例5および実施例6の結果から明らかなように、抽出物ii、抽出物iiiが、ベニバナ黄色色素あるいはクチナシ青色色素の安定化に顕著に寄与していることが判った。



抽出液i(抽出液1の例)の液体クロマトグラフ 抽出液iv(抽出液2)の液体クロマトグラフ 抽出物iii(抽出粉末2)の液体クロマトグラフ 抽出物iii(抽出粉末2)の13C−NMR 抽出物iii(抽出粉末2)の1H−NMR 抽出物ii(抽出粉末4)の液体クロマトグラフ

Claims (7)

  1. 豆科に属する蝶豆(Clitoria ternatea)の花または萼から水および/または水溶性有機溶剤で抽出してなる抽出物さらにカラム処理および/または水溶性有機溶剤で抽出して得られるテルナチン類以外の内在成分である抽出物と、色素とを混合することを特徴とする前記色素の安定化方法。
  2. 前記水溶性有機溶剤が、エタノールまたはアセトンである請求項1記載の色素の安定化方法。
  3. 前記抽出物が、クマル酸誘導体を含有する請求項1または2記載の色素の安定化方法。
  4. 前記色素が、タール系色素、カロチノイド系色素、アントシアニン系色素、キノン系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、および、モナヌスカ色素から選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1〜3いずれか記載の色素の安定化方法。
  5. 豆科に属する蝶豆(Clitoria ternatea)の花または萼から水および/または水溶性有機溶剤で抽出してなる抽出物さらにカラム処理および/または水溶性有機溶剤で抽出して得られるテルナチン類以外の内在成分である抽出物と、色素とを混合することを特徴とする色素製剤の製造方法。
  6. 請求項1〜4いずれか記載の安定化方法で色素を安定化するための色素の安定化剤の製造方法であって、豆科に属する蝶豆(Clitoria ternatea)の花または萼から水および/または水溶性有機溶剤で抽出してなる抽出物さらにカラム処理および/または水溶性有機溶剤で抽出して得られるテルナチン類以外の内在成分である抽出物とする色素の安定化剤の製造方法。
  7. 請求項6記載の製造方法で製造されてなる色素の安定化剤。
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