JP4256615B2 - 酵素処理イソケルシトリン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、酵素処理イソケルシトリン組成物に関する。詳しくはイソケルシトリンと、α−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量とを所定の範囲の組成割合(重量比)で含有する酵素処理イソケルシトリン組成物、その製造方法、さらにはこの組成物を用いた食品の酸化防止方法および色素の退色防止方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ルチン(rutin)は、下記式[I]で表されるようにケルセチン(quercetin、クエルセチンともいう)をアグリコンとし、その3位の水酸基に、L-ラムノシル-(α1→6)-グルコースがβ-結合したフラボノール配糖体である。
【0003】
【化1】
【0004】
ルチンはソバの全草、イチジク、アオギリ、タバコの葉などに含まれる。ルチンは、ビタミンCとともに脆弱化した血管を正常に戻し、出血を防止するビタミンPとしての作用を有し、さらに消炎・鎮痛作用、骨密度の向上作用を有するほか、紫外線吸収、酸化防止、着色・退色防止などの作用も有する。
ルチンは、フェノール性物質であり、空気中では不安定である。また、ルチンは、アルカリ性水溶液には可溶であるが、水、酸性水溶液に難溶であり、室温では、1リットルの水に僅かに0.1g程度しか溶けないため、その利用分野が限定されている。そこで、ルチンの水溶性を高めるための種々の方法およびその誘導体が提案されており、ルチンに糖を転移(付加)させたα-グルコシルルチン混合物が開発され、市販されている(特許第2926411号)。
【0005】
ルチンにα−1,6−ラムノシダーゼ(E.C. 3.2.1.40)を作用させると、下記式〔II〕に示すように、その炭素3位置に結合しているルチノース残基から、ラムノース単位のみが1つ外れてグルコース単位1つのみ残っているルチン誘導体、すなわちイソケルシトリン(isoquercitrin、イソクエルシトリンともいう)が生成する。さらにイソケルシトリンのグルコース残基が外れると、アグリコンのケルセチンを生成するため、その生理活性はルチンの活性と同様である。
【0006】
【化2】
【0007】
しかし、イソケルシトリンはルチンと同じく水に難溶であり、またイソケルシトリンは苦味を呈するため利用分野が限定されていた。特開平1-213293号にはイソケルシトリンにデンプン質を加え、これにシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させることにより、イソケルシトリンに等モル以上の量のグルコースを転移させて水易溶性フラボノール配糖体を製造する方法が開示されている。しかし該公報では、水易溶性フラボノール配糖体の苦味の改善について何ら言及されていない。さらに、イソケルシトリンとα−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量が特定の範囲内にあるときに苦味が一段と改善されることについては何も記載されていない。
【0008】
本発明者らは、水溶性イソケルシトリンの幅広い利用を図るためにその苦味改善に関する研究を進め、飲食物に含有されたときに該飲食物に水易溶性フラボノール配糖体に起因する苦味による呈味の劣化を生ぜずにケルセチンの多彩な生理・抗酸化作用が期待できる酵素処理イソケルシトリン組成物を開発して本発明を完成するに至った。
【0009】
なお、ルチンへのグルコース転移は、一部の特定の糖転移酵素のみしか効率よく行われない。これはおそらくルチンのグルコースの6位にラムノースが結合した立体構造に原因があると考えられる。一方、ラムノースの外れたイソケルシトリンへのグルコース転移は、グルコース転移活性を有する酵素であれば、その多くの酵素において高率でグルコース転移が行われことから、本発明による方法は汎用性の高い技術であるといえる。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、苦味がなく、水溶解性に優れしかもルチン類と同様の生理活性を示す酵素処理イソケルシトリン組成物を提供することを目的とする。さらに本発明は、その製造方法ならびに酵素処理イソケルシトリン組成物を用いた食品の酸化防止方法および色素の退色防止方法を提供することを目的とする。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物は、イソケルシトリンと、α−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量とを30/70〜2/98(重量比)の範囲の組成割合で含有する組成物である。
本発明による方法は、イソケルシトリンと、α−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量とを30/70〜2/98(重量比)の範囲の組成割合で含有する酵素処理イソケルシトリン組成物の製造方法であって、デンプン質の存在下に、イソケルシトリンに糖転移酵素を作用させることにより、必要ならば生成した酵素反応物をさらに吸着樹脂を用いるクロマトグラフィーで精製することにより、得られることを特徴としている。
【0012】
本発明による食品の酸化防止方法は、食品に上記の酵素処理イソケルシトリン組成物を添加することを特徴としている。
本発明による色素の退色防止方法は、色素に上記の酵素処理イソケルシトリン組成物を添加することを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物、その製造方法、酵素処理イソケルシトリン組成物による食品の酸化防止方法および色素退色防止方法について具体的に説明する。
本明細書において、「酵素処理イソケルシトリン組成物」とは、イソケルシトリンに糖供与体の存在下、糖転移酵素を作用して得られるもので、イソケルシトリンおよび種々の程度にグルコシル化されたα−グルコシルイソケルシトリンの混合物をいう。
酵素処理イソケルシトリン組成物
イソケルシトリンは、ルチンと同様に水に難溶性の化合物であり、苦味を呈するため、その用途は限られる。本発明者らは、イソケルシトリンのグルコース残基にさらにグルコースを転移すると、苦味が減少することを見出した。
【0014】
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物は、イソケルシトリンに酵素グリコシダーゼ、トランスグリコシダーゼなどの糖転移作用によりデンプン、デキストリンなどからグルコースをルチンのグルコース残基に転移した水溶性ケルセチン配糖体であり、下記式(III)に示すようにグルコース数の異なるα‐グルコシルイソケルシトリンの混合物である。
【0015】
【化3】
【0016】
(但し、式(III)中、Gはグルコース残基、nは1〜数十の整数を表わす)酵素処理イソケルシトリン組成物は、α-位のグルコース残基数(n)が1〜数十の範囲、平均ではnが4〜5程度のα-グルコシルイソケルシトリンの混合物である。
酵素処理イソケルシトリン組成物はイソケルシトリン、ルチンに比べてその溶解性(水溶性、脂溶性)は向上し、さらに耐熱性、長期保存性などの安定性も改善されている。例えば水、アルコール等に対する溶解度については、水100g当り50g以上溶解し、また濃度50%のアルコール100g当り20g以上溶解する。このように酵素処理イソケルシトリン組成物の溶解度は、イソケルシトリン、ルチンに比べて約5,000倍と著しく水溶性に優れる。
【0017】
この酵素処理イソケルシトリン組成物は、イソケルシトリンとα−グルコシルイソケルシトリンとを含有する混合物であり、イソケルシトリンと、α−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量が30/70の重量割合を下回る場合(言い換えると、イソケルシトリン換算量当たり未反応のイソケルシトリンが30重量%を超える場合)、イソケルシトリンに起因する苦味が飲食物への利用の妨げとなっている。そのため、イソケルシトリンと、α−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量とを、好ましくは30/70〜2/98、より好ましくは20/80〜2/98、特に好ましくは10/90〜2/98(重量比)の範囲の組成割合で含有することにより、イソケルシトリンによる苦味の低減が図られ、飲食物に任意に利用できる。なお、イソケルシトリン含量が30%を超えると水への溶解性が低下して長期保存においては析出し、飲食物の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。逆にイソケルシトリン含量を2%未満にするためには、酵素処理イソケルシトリン組成物から未反応物として残っているイソケルシトリンを除去する精製操作を繰り返すか、または原理の異なる複数の方法を組み合わせて精製するなどして極めて煩雑な工程が必要となる。これは必然的に製造コストの上昇につながってしまう。したがって、食品の呈味への影響をとくに考慮する必要性がある場合には、20/80〜2/98(重量比)の範囲内で適宜選択すればよい。とくに、10/90〜2/98(重量比)の範囲内にあれば、本発明の効果が大抵の場合に望ましく達成できるであろう。
【0018】
酵素処理イソケルシトリン組成物を含む飲食物が摂取され生体内で生理活性型に変換されると、イソケルシトリン、ルチンと同様の薬理・生理作用を示す。すなわち毛細血管の強化、出血予防等のいわゆるビタミンP作用のほか、血中のコレステロールおよび中性脂質の低下作用による動脈硬化、高血圧などの改善、骨密度向上作用などの諸作用を発揮することとなる。さらに酵素処理イソケルシトリン組成物についても、ケルセチンの分子構造には何の変化も与えていないため、他のルチン類と同様に抗酸化作用、紫外線吸収作用、退色防止・風味改善作用などの機能も見出されており、食品、医薬品などに添加すれば、酸化防止、退色防止、品質保持の目的に用いることができる。この水可溶性のイソケルシトリンの糖付加誘導体、すなわち酵素処理イソケルシトリン組成物の安全性は高く、有用な機能性素材である。
酵素処理イソケルシトリン組成物の製造方法
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物は、糖供与体の存在下に、適当な糖転移酵素をイソケルシトリンに作用させることにより、イソケルシトリンのグルコースにさらにグルコースを転移させて調製することができる。
【0019】
すなわち、前記の式(II)で表わされる、水に極めて難溶(溶解度:水100g当り0.01g程度)であるイソケルシトリンをアルカリ条件下で溶解し、糖付与体および糖転移酵素を加えて糖(グルコース)の転移(付加)酵素反応を起こさせる。なお、このようにして得られた反応物には、通常、種々の程度にグルコースが付加したα-グルコシルイソケルシトリン混合物とともに、未反応のイソケルシトリンあるいはイソケルシトリンの分解物であるケルセチン等も少量含まれている。なお、この明細書中においては、その趣旨に反しない限り、α-グルコシルイソケルシトリンの混合物というときは、モノグルコシルイソケルシトリン、イソケルシトリンを含む。
【0020】
糖供与体として、デンプンあるいはその部分加水分解物(例:デキストリン、アミロース、アミロペクチン、マルトース)、澱粉糖化物、澱粉液化物、シクロデキストリンなどが用いられる。この中で、糖鎖が比較的長くしかも分岐構造の少ないデキストリンが好ましい。DE(Dextrose Equivalent)が2〜15のデキストリンが好ましく、特に好ましくはDE2〜10のデキストリンである。糖供与体は、イソケルシトリン100gに対し、通常100〜600g、好ましくは200〜600g加える。
【0021】
グルコース残基転移酵素として、例えばアミラーゼ、グリコシダーゼ、トランスグリコシダーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼなどが挙げられる。なかでも糖転移の速さから、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(E.C.2.4.1.19)が好ましい。この酵素は、バチルス属、クレプシーラ属などの細菌により産生されるが、いずれの起源の酵素であってもよい。
【0022】
グルコース残基転移酵素は、イソケルシトリンおよび糖供与体との混合物、100g当り、通常、0.01〜10gの量で、好ましくは0.2〜1gの量で用いられる。
用いられる酵素の種類、活性などの違いにより一概に決定されないが、例えば、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼでは、イソケルシトリン含有溶液のpHは、無機酸または有機酸を用いて11以下、好ましくは5〜8程度に調節することが好ましい。また、このα−グルコシル化反応の際には、35〜65℃程度の温度で、1〜60時間程度保持することが好ましい。酵素反応の進行を促進するためには、生成したグルコシルイソケルシトリンを反応系外に分離することが望ましい。あるいは、糖転移酵素を固定化したものを使用することによっても反応を促進することができる。その場合、バッチ式で繰り返し使用することも、連続式で反応に使用することもできる。
【0023】
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物を上記のようにイソケルシトリンを原料とするほかに、ルチンから出発して調製することも可能である。
この場合、ルチンにα-1,6-ラムノシダーゼ(E.C.3.2.1.40)を作用させて、イソケルシトリンに変えてから上記の方法に従って酵素処理イソケルシトリン組成物を得ることを特徴としている。ここで用いられる酵素は、α-1,6-ラムノシダーゼ活性を有する酵素であれば、いずれもルチンをイソケルシトリンに変えることができる。このような酵素として田辺製薬(株)のヘスペリジナーゼ2号、ナリンジナーゼ、天野製薬(株)のセルラーゼA「アマノ」3などを挙げることができる。
【0024】
例えば、田辺製薬(株)のナリンジナーゼは、水にルチンを1%の割合で懸濁させたスラリー100g当り、通常、0.001〜1.0gの量で、好ましくは0.001〜0.1gの量で、換言すれば、スラリー中のルチン含有量100g当り、通常、0.1〜100gの量で、好ましくは0.1〜10gの量で用いられる。このような量でナリンジナーゼを用いると、効率的(変換効率98%程度)にルチンをイソケルシトリンに変換することができる。
【0025】
ルチンにα-1,6-ラムノシダーゼなどの酵素を作用させる際には、用いられる酵素の種類、活性などの違いにより一概に決定されないが、通常、例えば、ナリンジナーゼでは、酵素反応溶液のpHを3〜7に維持し、温度、反応時間を上記イソケルシトリンのα−モノグルコシル化反応の場合と同様に保持することが望ましい。
【0026】
なお、イソケルシトリン、ルチンまたはその誘導体、酵素標品は市販のものを使用できる。
上記の酵素処理液より、沈殿しているイソケルシトリンをろ別分離し、必要によりアルコール、アルカリ剤、吸着樹脂などを用いて所望するレベルまでに精製することができる。上記酵素処理イソケルシトリン溶液を得る際にα−グルコシルイソケルシトリン含有量とイソケルシトリンの残存含量とが所望する含有比に近い状態になるように酵素処理の条件を調整して、その後の精製工程を簡単なものあるいは不必要とすることも可能である(後述の実施例1および2を参照)。
【0027】
クロマトグラフィーによる精製法では、吸着樹脂を用いる方法が効率よく行うことができる。このための吸着樹脂として、非極性樹脂、HP−20、HP−50、XAD−2など、中間極性樹脂としてXAD−7などが例示される。
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物の形態は特に限定されず、水溶性の特徴を生かし、酵素反応液そのままを液状品として、あるいはペースト状もしくは顆粒状にして用いてもよく、特に液状品は使用上便利なようにその濃度を適宜調節できるため好都合である。あるいは凍結乾燥または減圧乾燥などにより粉末状に乾燥してもよい。必要に応じて増量剤、賦形剤と混合して顆粒状、球状、キューブ、タブレット状などに成型して使用に供することができる。成型する場合には必要量の水などを添加して混捏し、必要により濃縮、乾燥などをすればよい。
酵素処理イソケルシトリン組成物による食品の酸化防止
ルチンと同様に水に難溶性であり、しかも苦味を呈するイソケルシトリンに代わって、本発明の酵素処理イソケルシトリン組成物を広範な飲食物の酸化防止のために使用できる。すなわち本発明の酵素処理イソケルシトリン組成物は水溶性であるがゆえにドリンク剤をはじめ、あらゆる形態の飲食物に容易にしかも均一に含有させることが可能である。酵素処理イソケルシトリン組成物を食品に添加することにより、酵素処理イソケルシトリン組成物本来の生理作用に加えて酸化反応に起因する異味異臭の発生、変色または毒性物質の生成などを有効に防止し、その品質あるいは栄養価を維持することができる。このように多面的な作用を発揮する食品用の抗酸化剤は他に例を見ない。
【0028】
上記酵素処理イソケルシトリン組成物による酸化防止方法を適用できる飲食物としては、一般食品のほか、健康食品、機能性食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養強化食品などの各種食品などが挙げられる。
その酵素処理イソケルシトリン組成物を含有する飲食物において、酵素処理イソケルシトリン組成物の含有割合は、任意の量で含めることができる。例えば食品総体量について0.001〜10重量%の範囲で含めてもよい。本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物を含有する飲食物では使いやすさなどの観点から、酵素処理イソケルシトリン組成物の総量は、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%の割合で含有させる。
【0029】
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物を含有する飲食物について、実施例を含め、以下に有用な利用態様を例として挙げるが、酵素処理イソケルシトリン組成物の飲食物への利用はこれらに限定されるわけではない。
例えば、乳酸飲料においては、光に当たると含有される成分の一部が変質、反応し不快臭を僅かながら発するようになる。果汁飲料では、保存中に澱が生成することがある。酵素処理イソケルシトリン組成物を添加することによりこうした化学作用などに基づく変質を効果的に防止することができる。
【0030】
飲食物には本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物を単独で用いてもよいが、本発明の目的を損なわない範囲で他の物質を配合してもよい。例えば、各種アミノ酸、ビタミン類を加えて栄養滋養の強化を図ってもよく、特にビタミンCを配合することにより毛細血管の抵抗性増強などのビタミンP作用において相乗効果を発揮させることができる。
【0031】
さらに酵素処理イソケルシトリン組成物を含有する飲食物の嗜好性および品質向上のために甘味料、増量剤、香味料などの各種成分を1種または2種以上を必要に応じて配合できる。
以上述べたような一般飲食物(健康食品、機能性食品、栄養強化食品等を含む)、さらには嗜好品、医薬品などに本発明の酵素処理イソケルシトリン組成物を使用するには、その製品が完成するまでの工程のうち適切な段階で、この酵素処理イソケルシトリン組成物を添加することができる。例えば、酵素処理イソケルシトリン組成物を添加する際に他の配合成分と混合、混和、混捏してもよく、飲食物などに酵素処理イソケルシトリン組成物を浸透、溶解、散布、塗布、噴霧、注入などしてもよく、また液状の酵素処理イソケルシトリン組成物を飲食物に浸漬してもよく、そのために従来から公知の方法が適宜採用される。
【0032】
酵素処理イソケルシトリン組成物中の酸化防止に関わるイソケルシトリンの起源は、もともと天然物由来の化合物であり、昔から食に供されてきた植物から抽出されたものであり、極めて安全性に優れている。したがって、副作用、摂取量の制限は少なく、継続的摂取の弊害も通常の場合にはほとんどないと考えられる。
色素の退色防止方法
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物は色素に添加して用いることにより、あるいは食品、染料、画材、香料、ペンキなどの色素含有物に添加(配合)して用いることにより、例えばこの色素で染色された衣料などの退色を防止できる。
【0033】
イソケルシトリンは特有の紫外部吸収スペクトルを持ち、従来から、紫外線で退色の起きやすい色素、とくに天然色素の退色防止に利用が試みられてきたが、イソケルシトリンは水への溶解度が低くまた、苦味があるために使いづらいという欠点があった。
これに対してα−グルコシルイソケルシトリンを高含量で含む本発明の酵素処理イソケルシトリン組成物は、水溶性であって沈澱を生じにくく、苦味も低減しているため色素の退色防止に幅広く利用できる。特にパプリカ、クチナシ、β-カロチン、アスタキサンチン等のカロチノイド系色素に有効であるが、赤キャベツ、ムラサキイモ等のアントシアニン色素、ブドウ果皮、ベニバナ黄、ベニバナ赤、赤ダイコン等のフラボノイド色素、ビートレッド、ウコン色素、クチナシ青、紅麹色素等にも効果的に使うことができる。
【0034】
このような酵素処理イソケルシトリン組成物を色素の退色防止に用いる場合、色素で着色された試料重量当たり、0.001〜0.2重量%、好ましくは0.005〜0.1重量%、より好ましくは0.01〜0.05重量%の量で使用することが望ましい。
この場合、酵素処理イソケルシトリン組成物、L-アスコルビン酸(またはL-アスコルビン酸ソーダ)の何れか1つまたは2つ以上を使用することにより、上記色素の退色防止に相乗効果が得られる。天然物由来の本組成物は、色素を使用する幅広い組成物に添加することができるが、色素を使用する化粧品にも好適である。 たとえば、口紅、歯磨き、リップクリーム、白粉、香水などに好ましく使用することができる。
【0035】
また、このように本発明の酵素処理イソケルシトリン組成物は、特有の紫外部吸収特性を持つため、たとえばUVカット剤などの化粧品においては、特に有用である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の例において、「%」は、特にその趣旨に反しない限り「重量%」の意味である。
【0037】
【実施例1】
・酵素処理イソケルシトリン組成物の調製
イソケルシトリン100gを水900gに分散させ、苛性ソーダを加え溶解した。デキストリン(DE8)300gを加え溶解し、60℃まで加温しながら硫酸水でpH8.5に調整した。糖転移酵素としてシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(天野製薬(株)、セルラーゼA「アマノ」3)を3000U加え2時間反応させた後、硫酸水でpH6.0とし22時間反応させた。HPLCで測定した結果、下記の式(1)で表される反応率は65%であった。この酵素反応液を加熱して酵素を失活させた(I液)。吸着樹脂(商品名HP−20)200mlをカラムに充填し、60%エチルコールで洗い、その後充分に水洗したところにI液を通し通過液を回収した(II液)。II液の反応率を上記と同様に測定したところ82%であった。吸着樹脂を再度60%エチルアルコールで洗い、その後充分に水洗したところにII液を通し通過液を回収した(III液)。III液の反応率を上記と同様に測定したところ93%であった。
【0038】
【数1】
【0039】
* α−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量の面積を意味する。
<HPLCの分析条件>
カラム:C18
溶離液:水/メタノール/酢酸=65/30/5
検 出:254nm
流 速:0.5ml/分
・呈味質の比較試験
実施例1の方法に基づき製造したI、II、III液それぞれの凍結乾燥物を用い、イソケルシトリン換算量(すなわち、グルコシルイソケルシトリン中のイソケルシトリン換算重量)が0.050%になるようにイオン交換水に溶解し、パネラー10名でイオン交換水を対照に呈味の比較試験を行なった。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
I液に較べ、未反応イソケルシトリンの少ないII液は、異味(苦味、えぐみ)が少なく、さらに未反応イソケルシトリンの少ないIII液はII液よりも一層、異味が少なかった。
【0042】
【実施例2】
イソケルシトリン100gを水900gに分散させ、苛性ソーダを加えて溶解した。β-サイクロデキストリン(塩水港精糖(株)製)300gとデキストリン(DE8)200gを加えて溶解し、60℃まで加温しながら硫酸水でpH6.0に調整した。糖転移酵素(シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ)を5000U、加え24時間反応させた。HPLCで測定した結果、反応率は82.5%であった。この反応液を加熱し酵素を失活させた(IV液)。吸着樹脂(商品名HP−20)200mlをカラムに充填し、60%エチルコールで洗い、その後充分に水洗したところにIV液を通し通過液を回収した(V液)。V液の反応率を上記と同様に測定したところ93%であった。
【0043】
【実施例3】
濃度0.05重量%のクチナシ黄色素溶液(クエン酸緩衝液、pH3.3)に酵素処理イソケルシトリン(実施例1のII液の乾燥品)を溶液重量当たり400mg/kgの量で加えたもの(本発明品(イ))と、さらにL−アスコルビン酸を上記クチナシ黄色素溶液重量当たり200mg/kgの量で添加したもの(本発明品(ロ))、上記クチナシ黄色素溶液に酵素処理イソケルシトリンを添加せず、L−アスコルビン酸のみを上記クチナシ黄色素溶液重量当たり200mg/kgの量で添加したもの(対照区(イ))と、上記クチナシ黄色素溶液に何も添加しなかったもの(対照区(ロ))とを準備した。
【0044】
次いで、これらを密閉容器中にて加熱殺菌処理した後、5℃下、蛍光灯照射(照度:7000ルクス)下に保存し、クチナシ黄色素の残存率%を0日後(試験開始直後)、2日後、4日後について分光光度計(442nm)で測定した。
結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
クチナシ黄色素溶液に酵素処理イソケルシトリンを添加することにより、呈味に影響を及ぼすことなくクチナシ黄色素の退色が有意に抑制された。またL−アスコルビン酸との相乗効果も見られた。
【0047】
【実施例4】
・グレープフルーツゼリー
グレープフルーツ果汁(1/6濃縮)0.5重量部、グレープフルーツさのう1.0重量部、マルチトール6.0重量部、酵素処理ステビア0.04重量部、pH調整剤0.9重量部、ベニバナ黄色0.01重量部、酵素処理イソケルシトリン組成物(実施例1のII液乾燥品)0.01重量部に水を加えて全量を100重量部とし、グレープフルーツゼリーを調製した。
【0048】
本グレープフルーツゼリーを透明ガラス瓶に密封し、室温下、日中蛍光灯の光が当たる所に6ヶ月間保存したが風味の変化もほとんどなく、色調の変化も少なかった。このように本ゼリーは長期間でも退色しなかったことから、酵素処理イソケルシトリン組成物による酸化防止および退色防止の効果が示された。さらにこのグレープフルーツゼリーの摂取によりイソケルシトリンの有する生理機能が期待できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物は、苦味がなく、水溶解性に優れ、しかもルチン類と同様の生理作用が発揮される組成物である。
また本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物は、水溶液中でも安定であるため、任意の形態の飲食物、医薬品などに容易にしかも均一に含有させることが可能であり、広範な利用が期待できる。
【0050】
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物を飲食物に添加すると、苦味などの悪影響を及ぼすことなく食品の酸化防止効果が発揮される。
本発明に係る酵素処理イソケルシトリン組成物を色素に添加すると、苦味などの悪影響を及ぼすことなく色素の退色防止効果が発揮される。
Claims (3)
- デンプン質の存在下に、イソケルシトリンに糖転移酵素を作用させることにより、生成した酵素反応物をさらに吸着樹脂を用いるクロマトグラフィーで精製して得られ、イソケルシトリンと、α−グルコシルイソケルシトリンのイソケルシトリン相当量とを10/90〜2/98(重量比)の範囲の組成割合で含有する、苦味の低減された酵素処理イソケルシトリン組成物。
- 食品に添加され食品の酸化防止に用いられる、請求項1に記載の酵素処理イソケルシトリン組成物。
- 色素に添加され色素の退色防止に用いられる、請求項1に記載の酵素処理イソケルシトリン組成物。
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