JP2002199896A - 3”−α−モノグルコシルナリンジン含有組成物、その製造方法およびその利用方法 - Google Patents
3”−α−モノグルコシルナリンジン含有組成物、その製造方法およびその利用方法Info
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Abstract
リンゲニン配糖体全量のうちの60重量%以上である
3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物。ナリン
ジンがナリンゲニン配糖体の10重量%〜30重量%、
3",4'-α-グルコシルナリンジンおよび4'-α-グル
コシルナリンジンの合計量が10重量%以下であること
が望ましい。 【効果】本発明により得られる、3"-α-モノグルコシ
ルナリンジンを高含量で含有する組成物は、抗酸化能を
有し、苦味が強化され、水溶性に優れ、ナリンジンの白
濁が生じにくいなどナリンジンの諸特性が改善されてい
る。該組成物は、飲食物、医薬品、化粧品などに含有さ
せて利用できる。
Description
ナリンジン含有組成物、その製造方法およびその利用方
法に関する。さらに詳しくは、すっきりした強い苦味を
呈し、抗酸化能を有する3"-α-モノグルコシルナリン
ジン含有組成物、その製造方法およびその利用方法に関
する。
式[I]:
7,4'-トリヒドロキシフラバノン)の7位の水酸基
に、L-ラムノシル-(α1→2)-グルコースがβ-結合
したものをいう。このナリンジンは柑橘類の未熟な果皮
に含まれ、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整、コレ
ステロール低下等の生理作用のほか、生体の恒常性を維
持するTNFの誘導活性も有することが見出されてい
る。ナリンジンの用途は、苦味剤、抗酸化剤、ビタミン
P強化剤等として飲食物などに使用され、循環器系疾患
等の予防剤として医薬品に用いられ、また抗酸化剤、紫
外線吸収剤等として化粧品に配合されている。
性水溶液には可溶であるが、水、酸に難溶であり、室温
では、1リットルの水に僅かに1g(約0.1W/V%)程度
しか溶けないため、その利用分野が限定される。そこ
で、ナリンジンの水溶性を高めるための種々の方法が提
案されており、例えば、特開平4-13691号公報に
は、澱粉部分分解物(α-グルコシル糖化合物)共存下
でナリンジンに糖転移酵素(α-グルコシル転移活性を
有する酵素、例えば、シクロデキストリングルカノトラ
ンスフェラーゼ(CGTase)など)を作用させて、下記式
[II]で示されるα-グルコシルナリンジンを生成さ
せ、これを分取することによる、α-グルコシルナリン
ジンの製造方法が開示されている。
シルナリンジンについては、これまで式[I]で示され
るナリンジンのグルコースの3"位の位置にグルコース
(G)がα-1,4結合していることが確認されていた
(THE FIRST INTERNATIONAL CONGRESS ON "VITAMINS AN
D BIOFACTORS IN LIFE SCIENCE" Kobe, September 19,1
991, Oral Session, 4-IV-5)。
に示されるように、ナリンジンのグルコースの3"位の
位置にグルコース(G)がα-1,4結合で順次n個
(n=1〜20個)結合した化合物、またはこれらグル
コース結合数の異なるα-グルコシルナリンジンの混合
物(「酵素処理ナリンジン」とも言われる。)が生成し
ていると考えられていた。
れた酵素処理ナリンジンには、3"-α-グルコシルナリ
ンジンの他に、新規配糖体として、その4'位もα-グル
コシル化された3",4'-α-グルコシルナリンジンや、
ナリンジンの4'位のみがα-グルコシル化された4'-α
-グルコシルナリンジンが含まれており、これら4'位が
α-グルコシル化された化合物は、酵素処理ナリンジン
全体の12%(モル比)ほど含有されていることが報告さ
れた(日本農芸化学会大会講演要旨集、2000年度、
66頁)。
ジン含有物の苦味、性質などについて鋭意研究を重ねた
ところ、上記酵素処理ナリンジンに含まれる成分のう
ち、3"-α-モノグルコシルナリンジンは、元のナリン
ジンに比べてその苦味が著しく強化されており、ナリン
ジンと同様に抗酸化能も示すのに対して、上記新規配糖
体の3",4'-α‐グルコシルナリンジンならびに4'-α
-グルコシルナリンジンは、苦味の増強が認められず、
また、抗酸化能もほとんど示さないことを見出した。さ
らに澱粉部分分解物の共存下でナリンジンに糖転移酵素
を作用させて得られる、主成分の3"-α-グルコシルナ
リンジンと、3",4'-α-グルコシルナリンジン、4'-
α-グルコシルナリンジン、未反応ナリンジンなどとを
含有する溶液に、α-グルコシダーゼ、あるいはα-グル
コシダーゼとグルコアミラーゼとを作用させれば、3"-
α-モノグルコシルナリンジンを高含量で含み、すっき
りした強い苦味を呈し、抗酸化能を有する3"-α-モノ
グルコシルナリンジン含有組成物が、簡単かつ収率よく
調製できることなどを見出して本発明を完成するに至っ
た。
するとともに、水への溶解性が改良され、苦味がさらに
増強された新規なナリンゲニン配糖体組成物を提供し、
ナリンジンまたはその誘導体の利用・用途を拡大するこ
とを目的とする。すなわち、3"-α-モノグルコシルナ
リンジンの含量を高めることによって、すっきりした強
い苦味を呈し、抗酸化能を有する3"-α-モノグルコシ
ルナリンジン含有組成物を提供することを目的としてい
る。
に、さらに別異の簡単な酵素処理を施すことにより、
3"-α-モノグルコシルナリンジンを高含量で含み、す
っきりした強い苦味を呈し、抗酸化能を有する3"-α-
モノグルコシルナリンジン含有組成物を簡単かつ収率よ
く調製できる、3"-α-モノグルコシルナリンジン含有
組成物の製造方法を提供することを目的としている。
シルナリンジン含有組成物の利用方法を提供することを
目的としている。
リンジン含有組成物は、ナリンゲニン配糖体を含む組成
物であって、ナリンゲニン配糖体全量のうち、60重量
%以上が、3"-α-モノグルコシルナリンジンであり、
3",4'-α-グルコシルナリンジンおよび4'-α-グル
コシルナリンジンの合計量が10重量%以下であること
を特徴としている。
3"-α-モノグルコシルナリンジンがナリンゲニン配糖
体全量の60重量%以上であり、ナリンジンが10重量
%〜30重量%、3",4'-α-グルコシルナリンジンおよ
び4'-α-グルコシルナリンジンの合計量が10重量%
以下であることが望ましい。 さらに、本発明に係る3"-α-モノグルコシルナリンジ
ン含有組成物は、3"-α-モノグルコシルナリンジンを
主成分とするナリンジン配糖体組成物の示す苦味が、同
一重量%濃度のナリンジンと比較して増強されているこ
とを特徴としている。
ナリンジン含有組成物の製造方法は、澱粉部分分解物の
共存下でナリンジンに糖転移酵素を作用させて得られる
α-グルコシルナリンジン配糖体含有溶液に、α-グルコ
シダーゼ活性またはグルコアミラーゼ活性を有する酵素
を添加して作用させて3"-α-モノグルコシルナリンジ
ンを得ることを特徴としている。
粉部分分解物の共存下でナリンジンに糖転移酵素を作用
させて得られるα-グルコシルナリンジン配糖体含有溶
液に、α-グルコシダーゼ活性を有する酵素とグルコア
ミラーゼ活性を有する酵素とを添加して作用させて3"-
α-モノグルコシルナリンジンを得ることを特徴として
いる。
澱粉部分分解物の共存下でナリンジンに糖転移酵素を作
用させて得られるα-グルコシルナリンジン配糖体含有
溶液に、α-グルコシダーゼ活性を有する酵素、あるい
はこのα-グルコシダーゼ活性を有する酵素とグルコア
ミラーゼ活性を有する酵素とを添加して作用させること
により得られる3"-α-モノグルコシルナリンジンを含
有する酵素処理液を、多孔性吸着樹脂と接触させて3"-
α-モノグルコシルナリンジンを含有する配糖体混合物
を該樹脂に吸着させ、次いで、有機溶媒で3"-α-モノ
グルコシルナリンジンを溶出して3"-α-モノグルコシ
ルナリンジンを得ることを特徴としている。
改良方法は、上記の3"-α-モノグルコシルナリンジン
含有組成物を、飲食物または医薬品に添加することを特
徴としている。また、本発明による色素あるいは色素含
有物の褪色防止方法は、上記3"-α-モノグルコシルナ
リンジン含有組成物を、色素あるいは色素含有物に添加
することを特徴としている。
化粧品の酸化防止方法は、上記3"-α-モノグルコシル
ナリンジン含有組成物を、飲食物、医薬品または化粧品
に含有させることを特徴としている。本発明によれば、
3"-α-モノグルコシルナリンジンを高含量で含み、す
っきりした強い苦味を呈し、抗酸化能を有する3"-α-
モノグルコシルナリンジン含有組成物が提供される。
リンジンに、さらに別異の簡単な酵素処理を施すことに
より、3"-α-モノグルコシルナリンジンを高含量で含
み、すっきりした強い苦味を呈し、抗酸化能を有する
3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物が、簡単
かつ収率よく調製できる。また本発明によれば、上記
3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物の利用方
法が提供される。
グルコシルナリンジン含有組成物、その製造方法および
その利用方法について具体的に説明する。本明細書で
は、「酵素処理ナリンジン」とは、ナリンジンおよび澱
粉部分分解物、例えばデキストリンとを含有する液に糖
転移酵素、例えば、シクロデキストリングルカノトラン
スフェラーゼ(CGTase)を作用させることにより得られ
るものを言い、ナリンジンの3"位置にグルコースが複
数個付加した生成物である3"-α-グルコシルナリンジ
ンを主成分として含み、その他に、その4'位もα-グル
コシル化された3",4'-α-グルコシルナリンジンや、
ナリンジンの4'位のみがα-グルコシル化された4'-α
-グルコシルナリンジンをも含むことが多い。
ン」とは、上記「酵素処理ナリンジン」の溶液をさらに
別異の酵素(例:α-グルコシダーゼ、グルコアミラー
ゼ)で処理して得られるものを言い、主成分の3"-α-
モノグルコシルナリンジンと、少量の未反応ナリンジン
とを含有し、3",4'-α-グルコシルナリンジンまた
は、4'-α-グルコシルナリンジンをほとんど含まな
い。この「酵素処理モノグルコシルナリンジン」は、本
発明に係る3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成
物に包含される。
成物]本発明に係る3"-α-モノグルコシルナリンジン含
有組成物は、ナリンゲニン配糖体を含む組成物であっ
て、ナリンゲニン配糖体全量のうちの60重量%以上
が、3"-α-モノグルコシルナリンジンであり、3",
4'-α-グルコシルナリンジンおよび4'-α-グルコシル
ナリンジンの合計量が、ナリンゲニン配糖体の10重量
%以下であることを特徴としている。
3"-α-モノグルコシルナリンジンがナリンゲニン配糖
体全量の60重量%以上であり、ナリンジンが10重量
%〜30重量%、3",4'−α-グルコシルナリンジンお
よび4'-α-グルコシルナリンジンの合計量が10重量
%以下であることが望ましい。 本発明の上記組成物において、具体的にはナリンゲニン
配糖体全量のうちの60重量%以上、好ましくは70重
量%以上が3"-α-モノグルコシルナリンジンであるこ
とがとくに望ましい。
ナリンジン含有組成物では、3"-α-グルコシルナリン
ジンの4'位がα-グルコシル化された成分である3",
4'-α-グルコシルナリンジンおよびナリンジンの4'位
がα-グルコシル化された成分である4'-α-グルコシル
ナリンジンの量が、ナリンゲニン配糖体の10重量%以
下であることが望ましい。換言すると、上記組成物で
は、3"-α-モノグルコシルナリンジンが、3"-α-グル
コシルナリンジン、3",4'-α-グルコシルナリンジン
および4'-α-グルコシルナリンジンの合計量の90重
量%以上を占め、好ましくは95〜100重量%を占め
ている。
ンジン含有組成物は、3"-α-モノグルコシルナリンジ
ンを高含量で含み、しかもすっきりしたその苦味が強化
されている。すなわち、本発明に係る組成物は、3"-α
-モノグルコシルナリンジンを主成分とするナリンジン
配糖体組成物の示す苦味が、同一重量%濃度のナリンジ
ンと比較して1.3〜1.5倍に増強されている。
によれば、3"-α-モノグルコシルナリンジンが、元の
ナリンジンに比べて苦味をきわめて強く呈し、ナリンジ
ンと同様に抗酸化能も示す。これと対照的に、上記酵素
処理ナリンジンに含まれる成分の新規配糖体の3",4'
-α-グルコシルナリンジンまたは4'-α-グルコシルナ
リンジンは、苦味の増強が認められず、また、抗酸化能
もほとんど示さないことが見出されている。本発明に係
る3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物におい
て、これら3",4'-α‐グルコシルナリンジンおよび/
または4'-α-グルコシルナリンジンの含有割合が多い
と、組成物の単位重量当りに示す苦味の程度および抗酸
化能は、著しく低下することになる。したがって、ナリ
ンジン誘導体組成物の有用性をさらに増すには、ナリン
ジンの生理的諸作用および抗酸化能を保持するととも
に、水などへの溶解性が改良され、しかも強化されたさ
わやかな苦味を発揮させる配合を有する組成物が好適で
あり、本発明に係る3"-α-モノグルコシルナリンジン
含有組成物がこの目的に適うものと言える。
コシルナリンジン含有組成物は、組成物の具える諸特性
に基づき、多様な用途に利用することが可能である。例
えば、苦味料、飲食物(健康食品、機能性食品等も含
む)および医薬品の風味改善剤、色素の退色防止剤、感
受性疾患の予防剤、治療剤(抗感受性疾患剤)、美肌
剤、美白剤等の用途に好適に使用できる。
係る上記3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物
(すなわち、上記「酵素処理モノグルコシルナリンジ
ン」を包含する組成物)を以下、別の観点から説明す
る。本発明の組成物には、主成分の3"-α-モノグルコ
シルナリンジンと、少量の未反応ナリンジンとが含まれ
ている。したがって、従来の酵素処理ナリンジンと比べ
ると、本発明の組成物中に含まれるナリンゲニン配糖体
の種類は少なく、分子組成が比較的一様であることも特
徴である。すなわち、この組成物に高含量で含有される
3"-α-モノグルコシルナリンジンは、ナリンジンの7-
O-ネオヘスペリドシドのグルコース3"位にのみにグル
コースが1個だけ付加したもので、ナリンゲニンの4'
位はフェノール性水酸基である(式[II]において、Gが
n=1に相当)。このために、3"-α-モノグルコシル
ナリンジン含有組成物は、抗酸化作用や苦味を示すので
あろうと考えられる。これに対して、上記3",4'-α-
グルコシルナリンジンや4'-α-グルコシルナリンジン
では、何れも、ナリンジンの4'位のOH基がグルコシ
ル基により塞がれているために抗酸化能を示さないので
あろうと考えられる。
ち、ナリンジンとデキストリンなどとを含有する液に糖
転移酵素のCGTaseなどを作用させて得られるものは、種
々の糖鎖からなる配糖体(3"-α-グルコシルナリンジ
ンなど)の混合物であるのに対して、本発明に係る組成
物の主成分である3"-α-モノグルコシルナリンジンは
単一化合物であるために、その物理的化学的性質を利用
しやすく、産業利用の観点から好都合である。
成物の製造方法]次に、このような本発明に係る3"-α-
モノグルコシルナリンジン含有組成物の製造方法につい
て説明する。本発明において使用する原料および酵素標
品の規格、性状ならびに使用量、酵素反応の条件、酵素
処理後の精製法などにより、得られる組成物の組成、収
量などは大きく変化する。とくに未反応物として残存す
るナリンジン量、抗酸化能のない3",4'-α-グルコシ
ルナリンジン量、4'-α-グルコシルナリンジン量など
をなるべく少なくするような製造工程の設計と管理が望
ましい。
コシルナリンジン含有組成物を製造するに際して、澱粉
部分分解物の共存下でナリンジンに糖転移酵素を作用さ
せて得られる溶液(酵素処理ナリンジン溶液)に、α-
グルコシダーゼ活性を有する酵素、またはグルコアミラ
ーゼ活性を有する酵素を添加して作用させ、あるいは、
α-グルコシダーゼとグルコアミラーゼの各活性を有す
る酵素類を同時にまたは別々に作用させている。
ン」についてまず始めに説明する。 <酵素処理ナリンジン>α-グルコシダーゼなどの酵素
処理の対象となる溶液としては、通常、澱粉部分分解物
の共存下でナリンジンに糖転移酵素を作用させて得られ
る溶液(酵素処理ナリンジン溶液)が用いられる。この
ような酵素処理ナリンジンは、主成分の3"-α-グルコ
シルナリンジンを含有し、さらに3",4'-α-グルコシ
ルナリンジンおよび/または4'-α-グルコシルナリン
ジン、未反応ナリンジンなどを含有していることが多
い。本発明では、このような成分すなわち3"-α-グル
コシルナリンジンを含有し、さらに必要により3",4'
-α-グルコシルナリンジンおよび/または4'-α-グル
コシルナリンジン、未反応ナリンジンなどを含有するも
のであれば、その含量比、濃度などは特に限定されな
い。好ましくは、処理すべき溶液中の3"-α-グルコシ
ルナリンジン濃度が、0.1〜30重量%、好ましくは
1〜10重量%であり、ナリンジン濃度が、0.02〜
15重量%、好ましくは0.2〜5重量%であり、3"-
α-グルコシルナリンジン/ナリンジン(重量比)が、
10〜1500/1〜750、好ましくは5〜50/1
〜25であるものが望ましい。
含有する溶液としては、例えば、次に示すものが挙げら
れる。特開平4-13691号公報に記載されているよ
うに、ナリンジンに澱粉部分分解物(α-グルコシル糖
化合物)共存下で糖転移酵素(α-グルコシル転移活性
を有する酵素)を作用させてなり、α-グルコシルナリ
ンジン(3"-α-グルコシルナリンジン、3",4'-α-
グルコシルナリンジン、あるいは4'-α-グルコシルナ
リンジン)と未反応のナリンジンとを含有しているも
の、すなわち、「酵素処理ナリンジン」の溶液である。 <グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼの各活性を有
する酵素類>グルコアミラーゼ活性を有する酵素(3"-
位のグルコースを切断する酵素)としては、具体的に
は、例えば、グルコアミラーゼ(グルクザイムNL4,
2,天野製薬(株)製)、セルラーゼA<アマノ>3
[天野製薬(株)製]、グルコチーム(長瀬産業(株)
製)、ユニアーゼ30((株)ヤクルト製)、ナリンギ
ナーゼ(田辺製薬(株)製)等のように、α-1,4グ
ルコシル結合をグルコース単位で切断しうる酵素が挙げ
られる。
リンジンの主に4'-位のグルコースを切断する酵素)と
しては、具体的には、例えば、セルラーゼA<アマノ>
3、トランスグルコシダーゼ、<アマノ>(天野製薬
(株)製)等が挙げられる。これらの酵素のうちグルコ
アミラーゼ活性を有する酵素、例えば、グルコチーム
は、上記「酵素処理ナリンジン」溶液中のα-グルコシ
ルナリンジン100重量部当たり、好ましくは0.01〜10
重量部、さらに好ましくは0.2〜1重量部程度の量で用
いられる。
素、例えばトランスグルコシダーゼ<アマノ>は、上記
「酵素処理ナリンジン」溶液中のナリンジン100重量
部当たり、好ましくは0.001〜10重量部、さらに好まし
くは0.01〜1重量部程度の量で用いられる。また、これ
らの酵素を、上記「酵素処理ナリンジン」溶液中のα-
グルコシルナリンジンなどに作用させるには、通常、p
H3〜7、好ましくはpH4〜5で、通常40〜70
℃、好ましくは50〜60℃の温度で、通常0.5〜48
時間、好ましくは6〜24時間程度保持すればよい。
ラーゼ活性を有する酵素の加水分解作用を受けて、この
α-グルコシルナリンジンのナリンゲニン骨格7位にβ
−結合しているグルコース基の3"位にさらにα-1,4
結合でn個順次結合(n=1〜20個)しているグルコ
ースが、3"位の1個を残して加水分解され、上記式[I
I]中、n=1の3"-α-モノグルコシルナリンジンにな
る。
ジン(モノグルコシルナリンジンも含む。)に作用させ
ても、その3"位にα−結合しているグルコースのう
ち、3"位の1個目のグルコースはほとんど加水分解さ
れない。しかし、α-グルコシダーゼは、酵素処理ナリ
ンジンに少量成分として含有されている4'位にグルコ
ースがα−結合したα-グルコシルナリンジンの当該グ
ルコースを加水分解する。またモノグルコシルナリンジ
ンにおいてナリンゲニン骨格の7位にβ−結合している
グルコースを加水分解することはない。
溶液への上記各酵素の作用は、α-グルコシダーゼ、グ
ルコアミラーゼのいずれかを単独で作用させてもよく、
またα-グルコシダーゼとグルコアミラーゼの両者を作
用させてもよい。このようにα-グルコシダーゼとグル
コアミラーゼの両者を作用させる場合には、グルコアミ
ラーゼとα-グルコシダーゼを任意の順序に、または各
活性を有する酵素を同時に添加してもよい。またこれら
の各酵素は一度にあるいは少量ずつ添加することができ
る。本発明では、これらのうち、グルコアミラーゼとα
-グルコシダーゼの各活性を有する酵素を、同時に、上
記「酵素処理ナリンジン」溶液に添加する方法が、酵素
処理効率が高い上に、簡便で好ましい。
ラムノシダーゼ活性、α-グルコシダーゼ活性のうち2
つ以上の活性を有する酵素(例:セルラーゼA<アマノ
>3[天野製薬(株)製])も用いることができる。 <精製>本発明では、上述した方法で得られる3"-α-
モノグルコシルナリンジン含有組成物をそのまま使用す
ることもできるが、多孔性吸着樹脂を用いて3"-α-モ
ノグルコシルナリンジン含有組成物から、3"-α-モノ
グルコシルナリンジン以外のα-グルコシル糖化合物な
どの夾雑成分を除いて用いてもよい。さらにイオン交換
樹脂(H型、OH型)などで脱塩、脱色して用いてもよ
い。
組成物において、さわやかな苦味を強く呈する3"-α-
モノグルコシルナリンジンの比率が高められる。また、
上記3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物か
ら、例えばクロマトグラフィーによって分離するなどの
公知方法によって3"-α-モノグルコシルナリンジンを
分取してもよい。すなわち、多孔性吸着樹脂に3"-α-
モノグルコシルナリンジンとナリンジンを吸着させた
後、溶出させる含水アルコール等の含水溶出剤の溶剤含
有率を変えて、3"-α-モノグルコシルナリンジンとナ
リンジンを分離する方法などにより3"-αーモノグルコ
シルナリンジン含有組成物から3"-α-モノグルコシル
ナリンジンを分取して用いてもよい。このように3"-α
-モノグルコシルナリンジンを純粋に近い状態にまで精
製することも可能であるが、その精製に要するコストと
実際の利用上の要件との兼ね合いにより選択されるであ
ろう。
得られた3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物
は、水難溶性のナリンジンと同等の抗酸化能を有すると
ともに、水への溶解が良好であり、しかもさわやかな苦
味がナリンジンよりも強化されている特徴を有する。そ
うした特徴は、上記組成物が、ナリンジンと同等の苦味
を呈するが抗酸化能を発揮しない3",4'-α-グルコシ
ルナリンジン、あるいは4'-α-グルコシルナリンジン
をきわめて低い含量としていることに基づく。
した苦味、抗酸化能などに着目して、多方面において種
々の利用形態が可能である。以下、このものが最も有用
に利用される態様を例として挙げるが、該組成物の用途
がこれらに限定されるわけではない。3"-α-モノグル
コシルナリンジン含有組成物中の3"-α-モノグルコシ
ルナリンジンは、食品等から体内に摂取吸収されると生
体内酵素の作用を受けて元のナリンジンに戻り、ビタミ
ンPとしての諸機能を発揮することができる。したがっ
て、例えば、ビタミンP強化剤、循環器系疾患、感受性
疾患等の予防剤、治療剤(抗感受性疾患剤)などの医薬
品に、ナリンジンに代わって3"-α-モノグルコシルナ
リンジン含有組成物を利用することができる。さらに
3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物は、コレ
ステロール低下作用、血圧低下作用、抗アレルギー作用
などを有するので、健康食品あるいは機能性食品等に
3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物を利用す
ることができる。
スとグルコースとの1→2結合の点にあると言われる。
3"-α-モノグルコシルナリンジンは、ナリンジンに比
較してすっきりとした苦味をさらに強く呈する。後述す
るように、同一モル濃度において3"-α-モノグルコシ
ルナリンジンは、ナリンジン、3",4'-グルコシルナリ
ンジン、4'-α-グルコシルナリンジンよりも約2倍の苦
味を示すことが本発明者らの本研究により明らかとなっ
た。本発明に係る組成物においては、3"-α-モノグル
コシルナリンジンをナリンゲニン配糖体全量の60重量%
以上に相当する量を含む。したがって、本発明に係る
3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物の示す苦
味は、同一重量%濃度のナリンジンと比較して1.3〜1.5
倍に増強されている。このため苦味料として飲食物に添
加することにより、その味覚に深みを与えて洗練された
風味とすることができ、しかもナリンジンを用いる場合
に比べより少量ですむ。したがって、3"-α-モノグル
コシルナリンジンを高含量で含む組成物は、飲食物(健
康食品、機能性食品等を含む)、あるいは医薬品など人
や動物が経口摂取するものに少量添加することにより、
飲食物、医薬品などの苦味を補強したり、また酸味、塩
から味、渋味、青臭み、エグ味を低減するなどして、風
味を大きく改善できる。
ム、果汁飲料などの飲食物に適量添加することによりさ
わやかな苦味を付与できる。さらに苦味を賞味する飲食
物のみならず、柑橘系のゼリー、ジュース、アイスクリ
ーム、ジャム、缶詰等に添加することによりその本物ら
しさを高めることができる。また、甘味料に少量の本組
成物を併用すれば、飲食物に平板な甘味ではなくまろや
かな甘味を付与する効果がある。
に、飲食物(健康食品、機能性食品等を含む)、あるい
は医薬品など広範に使用することができるが、該組成物
中に高含量で含まれる3"-α-モノグルコシルナリンジ
ンが有する抗酸化能が、これらの配合された物品の品質
保持にも有用である。たとえば、経口投与される医薬品
などの食味改善と抗酸化性の強化にも使用できる。その
ような医薬品としては、たとえば、経腸栄養剤、補助栄
養剤、水薬、シロップ剤などが挙げられる。さらに、飲
食物(健康食品、機能性食品等を含む)などにおいて
も、その添加により脂質の酸敗、香料または色素の酸化
変質、光による劣化変質などに対して防止する効果を発
揮することが期待される。
ンジン含有組成物は、医薬部外品、外用医薬品、化粧品
などに配合すれば、抗酸化作用の発揮が期待できる。す
なわち、この3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組
成物を、色素に添加して用いることにより、あるいは染
料、画材、香料、食品、ペンキなどの色素含有物に添加
(配合)して用いることにより、例えばこの色素で染色
された衣料などの退色を防止できる。
を持ち、可視部に目立った吸収がないためほとんど無色
であり、従来から、紫外線で退色の起きやすい色素、と
くに天然色素の退色防止に利用が試みられてきたが、ナ
リンジンは水への溶解度が低いために使いづらいという
欠点があった。これに対して本発明に係る、3"-α-モ
ノグルコシルナリンジンを高含量で含む組成物は、沈澱
を生じにくい水溶性のものであるため、色素の退色防止
に幅広く利用できる。特にパプリカ、クチナシ、β-カ
ロチン、アスタキサンチン等のカロチノイド系色素に有
効であるが、赤キャベツ、ムラサキイモ等のアントシア
ニン色素、ブドウ果皮、ベニバナ黄、ベニバナ赤、赤ダ
イコン等のフラボノイド色素、ビートレッド、ウコン色
素、クチナシ青、紅麹色素等にも効果的に使うことがで
きる。
ジンを高含量で含む組成物を色素の退色防止に用いる場
合、色素で着色された試料重量当たり、0.001〜0.2重量
%、好ましくは0.005〜0.1重量%、より好ましくは0.01
〜0.05重量%の量で使用することが望ましい。この場
合、酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジン、L-アス
コルビン酸(またはL-アスコルビン酸ソーダ)の何れ
か1つまたは2つ以上を使用することにより、上記色素
の退色防止に相乗効果が得られる。天然物由来の本組成
物は、色素を使用する幅広い組成物、製剤に添加するこ
とができるが、色素を使用する化粧品にも好適である。
たとえば、口紅、歯磨き、リップクリーム、白粉、香水
などに好ましく使用することができる。
ナリンジンを高含量で含む本発明の組成物は、特有の紫
外部吸収特性を持つとともに、色が極めて薄いなどの特
質を持つため、たとえばUVカット剤などの化粧品にお
いては、特に有用である。
リンジン含有組成物は、3"-α-モノグルコシルナリン
ジンを高含量で含むため、ナリンジンと同様に抗酸化能
を有するとともに、ナリンジンに比べて、さわやかな苦
味が著しく強化され、水溶性に優れ、白濁(結晶析出)
が生じにくいなどナリンジンの諸特性が改善されてい
る。
ルナリンジン含有組成物の製造方法によれば、かかる優
れた特性を有する3"-α-モノグルコシルナリンジン含
有組成物が、前記「酵素処理ナリンジン」から収率よく
簡単に得られる。さらに、本発明に係る3"-α-モノグ
ルコシルナリンジン含有組成物は、飲食物、医薬品、化
粧品、添加物などに広範に使用できる。本組成物は、増
強された苦味を活かして飲食物などの風味を改善するこ
とのほか、ナリンジンと同様、添加された色素や香料の
酸化による品質劣化または光による劣化を防止する効果
を発揮する。
品などにおいて天然物由来の添加物として位置付けられ
るので、生体親和性が高く安全であり、しかも製造コス
トは、上昇しないなどの利点も有する。
ナリンジン含有組成物の製造方法について実施例に基づ
いてさらに具体的に説明するが、本発明は、このような
実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下
の例において、「%」は、特にその趣旨に反しない限り
「重量%」の意味である。
200gを500mLの水に加熱溶解し、2N水酸化ナトリウ
ム水溶液でpH7.0に調整し、バチルス・ステアロサー
モフィルス由来のシクロデキストリングルカノトランス
フェラーゼ(株式会社 林原生物化学研究所製)をデキ
ストリン1g当たり15単位加えて、68℃で48時間反応さ
せた。反応終了後、酵素を加熱失活させてから、ろ過し
て「酵素処理ナリンジン溶液」(A液)を得た。
に基づいて計算すると、ナリンジンの反応率は74%であ
り、未反応のナリンジンは、26%であった。HPLCク
ロマトグラムを図1に示す。
グルコアミラーゼ(グルコチーム(天野製薬(株)
製))を1.0g加えて、55℃で24時間反応させた。反応
終了後、酵素を加熱失活させてから、ろ過してグルコア
ミラーゼ処理ナリンジン溶液(B液)を得た。B液を上
記条件にてHPLCによる分析をおこなった。HPLC
クロマトグラムを図2に示す。
ゼ反応処理することにより、図1の酵素処理ナリンジン
のピーク群は、3"‐α-モノグルコシルナリンジンと未
反応ナリンジンおよび3",4'-α-ジグルコシルナリン
ジンと4'-α-モノグルコシルナリンジンのピークに集
約されていることが分かる。したがって、B液にはこれ
らの配糖体が含まれており、3"位置に2個以上のグル
コースが付加した配糖体は実質的に含まれない。
は、該ピークのクロマトグラフィー分取画分について酸
性条件下で加水分解し、ナリンゲニンと単糖とのモル比
が1:3であることを確認することで行った。 <α-グルコシダーゼ反応>B液の一部をpH4.5に調整
し、α-グルコシダーゼ(トランスグルコシダーゼL<ア
マノ>)を1mL加えて、55℃で24時間反応させた。反
応終了後、酵素を加熱失活させてから、ろ過して「酵素
処理モノグルコシルナリンジン」の溶液(C液)を得
た。C液を上記条件にてHPLC分析した。HPLCク
ロマトグラムを図3に示す。
ーゼ反応処理することによって、図2のグルコアミラー
ゼ処理ナリンジンのピーク群中に存在していた3",4'
-α-ジグルコシルナリンジンと4'-α-モノグルコシル
ナリンジンのピークはほぼ消失しており、モノグルコシ
ルナリンジンと未反応ナリンジンとの2ピークに集約さ
れていることが分かる。このC液は、「酵素処理モノグ
ルコシルナリンジン」の溶液に相当するものであり、C
液中の混合物は、本発明に係る3"-α-モノグルコシル
ナリンジン含有組成物に包含されるものである。
クロマトグラムのピークの濃度比から求めた配糖体骨格
のナリンゲニン比の分析結果を表1に示す。この表1の
値とナリンジン配糖体のそれぞれの分子量から算出した
A液、B液、C液のナリンゲニン配糖体比を表2に示
す。さらに、表1から算出したB液、C液のナリンジン
配糖体比の結果を表3に示す。
溶液に相当)およびC液(「酵素処理モノグルコシルナ
リンジン」の溶液に相当)を凍結乾燥してそれぞれ粉末
にした後に、各0.10%水溶液を調製した。パネル8名に
てこの2つの水溶液の苦味強度を比較したところ、全員
がA液からの調製液に較べ、明らかにC液からの調製液
の方が苦味が強いと判定した。
リンジン、3",4'-α-ジグルコシルナリンジン、4'-
α-モノグルコシルナリンジン画分を分取し、試薬ナリ
ンジンを対照にして同一モル濃度にてパネル8名による
苦味の官能検査を行った。その結果、もとのナリンジン
と比較して、3"-α-モノグルコシルナリンジンは、苦
味度がほぼ2倍に増強されていた。これに対して、
3",4'-α-ジグルコシルナリンジン、4'-α-モノグ
ルコシルナリンジン画分には苦味の増強は見られなか
た。
溶液(A液相当)を調製し、pH4.5に調整後、グルコ
アミラーゼ(グルコチーム(天野製薬(株)製))1.0
gおよびα-グルコシダーゼ(トランスグルコシダーゼL
<アマノ>)1mL加えて、55℃で24時間反応させた。
反応終了後、酵素を加熱失活させてから、ろ過して「酵
素処理モノグルコシルナリンジン」の溶液(C液相当)
を得た。
(XAD−7)が充填され、高濃度のエタノール水溶液
で活性化しておいたカラムに上記酵素処理モノグルコシ
ルナリンジン溶液(C液相当)を通過させ、次いでカラ
ム容量の2倍量の水で洗浄してから50%(v/v)エタ
ノール水溶液3Lで樹脂への吸着成分を溶離させた。溶
離液のエタノールを除いてから、乾燥し酵素処理モノグ
ルコシルナリンジン58gを得た。本品を実施例1と同様
の条件でHPLC分析したところ、含まれている成分は3"-
α-モノグルコシルナリンジンとナリンジンのみで、そ
の他の成分はほとんど検出されなかった。本品は、本発
明に係る3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物
に包含されるものである。
ルナリンジンを用いて、表4に示した配合組成の低カロ
リータイプのグレープフルーツジュース(配合品A)を調
製した。なお、対照として、この酵素処理モノグルコシ
ルナリンジンを配合しなかった以外は配合品Aと同様で
あるグレープフルーツジュース(比較品)も調製した。
た配合品Aは、比較品に較べてグレープフルーツ本来の
苦味が保たれており、味に深みがあり好ましい風味であ
った。
ロリ、水がらし、キャベツ、ほうれん草)100gに対
し、実施例2で調製した「酵素処理モノグルコシルナリ
ンジン」を20mg(0.02%)添加混合し(試験区)、無
添加のジュース(対照区)と呈味比較した。
なくなるとともに、ほど良いさわやかな苦味が全体の味
をまとめ上げ、スッキリした味になり、飲みやすくなっ
ていた。
酸緩衝液、pH3.3)に、酵素処理モノグルコシルナリ
ンジン(実施例2で得られた「酵素処理モノグルコシル
ナリンジン」)を最終含有量が0.02〜0.04重量%となる
ように添加してから、表5に示すような酵素処理ルチン
(成分組成:α-モノグルコシルルチン77.5重量%、イ
ソケルシトリン14.5重量%、糖類5.2重量%、水分2.8重
量%含有、商品名「αGルチンPS」東洋精糖株式会社
製)、およびL-アスコルビン酸のいずれか一方、また
は両方を同時に添加した。次いで、密閉容器中で加熱殺
菌処理をした後、5℃、蛍光灯照射(照度7,000ル
クス)下で保持し、一日おきにクチナシ黄色素の残存率
(%)を、分光光度計で442nmの波長にて色素溶液の
吸光度を測定することにより算出した。
なお、無添加の区を対照区(試験番号9)として、併せ
て表5に示した。また、酵素処理ルチンのみ添加した区
を試験番号10とし、L-アスコルビン酸のみ添加した
区を試験番号11として、併せて表5に示した。表5に
よれば、酵素処理モノグルコシルナリンジンをクチナシ
黄色素溶液に添加することにより、クチナシ色素残存率
は大幅に向上したことが分かる。また、酵素処理モノグ
ルコシルナリンジンとともに酵素処理ルチン、L-アス
コルビン酸のいずれか一方を単独で用いるか、あるいは
両方を併用することにより相乗効果が得られたことが分
かる。
ン溶液(A液)のHPLCクロマトグラムである。横軸
は溶出時間(分)を表す。
処理ナリンジン溶液(B液)のHPLCクロマトグラム
である。横軸は溶出時間(分)を表す。
コシルナリンジン溶液(C液)のHPLCクロマトグラ
ムである。横軸は溶出時間(分)を表す。
Claims (9)
- 【請求項1】ナリンゲニン配糖体を含む組成物であっ
て、ナリンゲニン配糖体全量のうち、60重量%以上が
3"-α-モノグルコシルナリンジンであり、3",4'-α
-グルコシルナリンジンおよび4'-α-グルコシルナリン
ジンの合計量が、10重量%以下であることを特徴とす
る3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物。 - 【請求項2】3"-α-モノグルコシルナリンジンがナリ
ンゲニン配糖体全量の60重量%以上であり、ナリンジ
ンが10重量%〜30重量%、3",4'-α-グルコシル
ナリンジンおよび4'-α-グルコシルナリンジンの合計
量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1に
記載の3"-α-モノグルコシルナリンジン含有組成物。 - 【請求項3】3"-α-モノグルコシルナリンジンを主成
分とするナリンジン配糖体組成物の示す苦味が、同一重
量%濃度のナリンジンと比較して増強されていることを
特徴とする請求項1または2に記載の3"-α-モノグル
コシルナリンジン含有組成物。 - 【請求項4】澱粉部分分解物の共存下でナリンジンに糖
転移酵素を作用させて得られるα-グルコシルナリンジ
ン配糖体含有溶液に、α-グルコシダーゼ活性またはグ
ルコアミラーゼ活性を有する酵素を添加して作用させて
3"-α-モノグルコシルナリンジンを得ることを特徴と
する請求項1〜3の何れかに記載の3"-α-モノグルコ
シルナリンジン含有組成物の製造方法。 - 【請求項5】澱粉部分分解物の共存下でナリンジンに糖
転移酵素を作用させて得られるα-グルコシルナリンジ
ン配糖体含有溶液に、α-グルコシダーゼ活性を有する
酵素とグルコアミラーゼ活性を有する酵素とを添加して
作用させて3"-α-モノグルコシルナリンジンを得るこ
とを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の3"-α-
モノグルコシルナリンジン含有組成物の製造方法。 - 【請求項6】澱粉部分分解物の共存下でナリンジンに糖
転移酵素を作用させて得られるα-グルコシルナリンジ
ン配糖体含有溶液に、α-グルコシダーゼ活性を有する
酵素、あるいはこのα-グルコシダーゼ活性を有する酵
素とグルコアミラーゼ活性を有する酵素とを添加して作
用させて得られる3"-α-モノグルコシルナリンジンを
含有する酵素処理液を、 多孔性吸着樹脂と接触させて3"-α-モノグルコシルナ
リンジンを含有する配糖体混合物を該樹脂に吸着させ、
次いで、 有機溶媒で3"-α-モノグルコシルナリンジンを溶出し
て3"-α-モノグルコシルナリンジンを得ることを特徴
とする請求項1〜3の何れかに記載の3"-α-モノグル
コシルナリンジン含有組成物の製造方法。 - 【請求項7】請求項1〜3の何れかに記載の3"-α-モ
ノグルコシルナリンジン含有組成物を、飲食物または医
薬品に添加することを特徴とする飲食物または医薬品の
風味改良方法。 - 【請求項8】請求項1〜3の何れかに記載の3"-α-モ
ノグルコシルナリンジン含有組成物を、色素あるいは色
素含有物に添加することを特徴とする色素あるいは色素
含有物の褪色防止方法。 - 【請求項9】請求項1〜3の何れかに記載の3"-α-モ
ノグルコシルナリンジン含有組成物を、飲食物、医薬品
または化粧品に含有させることを特徴とする飲食物、医
薬品または化粧品の酸化防止方法。
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- 2001-05-29 JP JP2001160817A patent/JP3967563B2/ja not_active Expired - Lifetime
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