JP2008086269A - 緑色野菜容器詰飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】緑色野菜を含有する容器詰飲料において、通常の流通形態であっても、野菜本来の緑色を保持し、しかも野菜飲料の本来の香味を保持した容器詰飲料を提供すること。
【解決手段】100メッシュ パス画分が80重量%以上になるように微細化した緑色野菜粉砕物を含む液に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物由来の銅及び/又は亜鉛の飲料中の濃度が、0.1〜100ppmになるように添加・調整することにより、緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料を提供する。本発明により、容器詰飲料を製造するに際して行われる加熱殺菌の後、或いは、製品の流通・保存後も緑色野菜の緑色を安定的に保持し、しかも、香味に優れた緑色野菜容器詰飲料を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、緑色野菜の緑色を安定的に保持した緑色野菜容器詰飲料、すなわち、緑色野菜を含有する容器詰飲料において、該容器詰飲料を製造するに際して行われる加熱殺菌の後、或いは、製品の流通・保存後も緑色野菜の緑色を安定的に保持した緑色野菜容器詰飲料に関する。
近年、消費者の健康に対する関心が高まり、野菜類を摂取する機会が増えている。野菜を手軽に摂取する手段の一つとして、容器詰野菜ジュース等の飲料は、人気のある商品となっている。しかしながら、緑色野菜をジュースのような飲料として製品化する場合、緑色野菜の特徴というべき緑色を、緑色野菜飲料の製造の際の加熱殺菌の後、或いは、緑色野菜飲料製品の流通・保存後においても保持させることが非常に困難であることから、野菜ジュースであっても緑色野菜以外の野菜を使用したり、外観が見えない紙パックや缶容器で販売することが行なわれている。
これらの緑色野菜を含有する飲料等の退色を防止する方法として、近年いくつかの提案がなされている。例えば、特開昭56−109578号公報には、葉緑素を含む緑色野菜の搾汁と、有機酸を含む果汁又は有機酸液とを、各別に凍結させて混合するに当たり、両者が直接接触することのないような状態で、全体を凍結させ、冷凍状態で流通し、飲用時に、これを希釈・溶解するようにして、緑色野菜の緑色を保持した緑色野菜ジュースの退色防止処理法が開示されている。このような冷凍状態での販売は一部実用化もされているが、販売機会が限られること、購入後、溶解する必要があることなどから汎用的な技術とはなっていない。
また、特開昭59−224674号公報には、緑色の退色防止手段として、搾汁液のpH調整を行い、これに香味の劣化を防止するために、ホウレン草、パセリ、セロリー搾汁液のような野菜搾汁液を混合した冷蔵状態で流通する緑色野菜ジュースが開示されている。しかしながら、この方法では、pH調整だけによるためその効果に限界があり、また、飲料の香味上の制約、低温流通による販売機会の限定などの問題が避けられないものとなっている。更に、特開2002−78469号公報には、野菜汁と水溶性食物繊維を所定量の割合で配合することにより、えぐみと水っぽさを解消すると共に経時的な色調及び風味の劣化を防止した野菜飲料が開示されている。しかしながら、この方法は、水っぽさの解消が主体となっており、色調の変化抑制については、付随的な効果しか得られないという問題を残している。また、その効果についても、野菜飲料全般の色を対象としており、緑色に限定しているものではない。
また、特開2002−119265号公報には、β―カロチンと青色色素を配合することで、着色により色の減退を予防した緑色飲料が開示されている。しかしながら、この方法に限らず色素を添加する方法は、実際に実用化されているものもあるが、野菜飲料に色素を添加することは消費者の印象としても良くなく、また、香味への影響もあって、好ましいとはいえないものとなっている。
一方で、従来より、緑色植物等の緑色の退色を防止するために、緑色植物等に含まれるクロロフィル中のマグネシウムを、銅や鉄等の重金属で置換して安定化する方法が知られている。例えば、特開平10−14530号公報(特許2872971号公報)には、退色した植物等を、60〜100℃の加熱状態で、5〜25分、亜鉛イオン及び鉄イオン等を含む溶液に浸漬して、植物の緑色を復元或いは保持する方法が開示されている。
更に、特開2004−201639号公報には、抹茶のようなクロロフィル含有食品に、亜鉛含有酵母を添加して、80〜150℃で20分程度の加熱処理をすることにより、クロロフィルの退色を防止したクロロフィル含有食品が開示されている。
一般的に銅や鉄等の重金属は独特の金属臭味を有し、飲用に用いる場合には、極力、これらの添加率を低く抑えた方が香味的に好ましい。よって、緑色植物等の緑色の退色を防止するために、銅や鉄等の重金属を添加する際には、如何にこれらの重金属の添加率を低く抑え、かつ、効率的にクロロフィル中のマグネシウムを置換させるかが重要である。しかしながら、クロロフィル中のマグネシウムを銅や鉄等の重金属で置換して安定化する方法として提案されている上記のような方法は、この点が考慮されてはいなかった。
特開昭56−109578号公報。 特開昭59−224674号公報。 特開平10−14530号公報(特許2872971号公報)。 特開2002−78469号公報。 特開2002−119265号公報。 特開2004−201639号公報。
本発明の課題は、緑色野菜を含有する容器詰飲料において、通常の流通形態であっても、特別な着色料を使用することなく、野菜本来の緑色を保持し、しかも野菜飲料の本来の香味を保持した容器詰飲料を提供すること、すなわち、容器詰飲料を製造するに際して行われる加熱殺菌の後、或いは、製品の流通・保存後も緑色野菜の緑色を安定的に保持し、しかも、香味に優れた緑色野菜容器詰飲料を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決し、色調及び香味に優れた緑色野菜容器詰飲料を提供すべく鋭意検討する中で、緑色野菜原料を、特定の粒度に微細化した緑色野菜粉砕物とし、該緑色野菜粉砕物を含む液に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物を添加することにより、特別な着色料を使用することなく、色調及び香味に優れた緑色野菜容器詰飲料を提供することが可能であることを見い出した。つまり、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを添加する従来の方法では、重金属イオンの置換効率が低くなるが、この方法では、重金属イオンの置換効率が高くなるため、添加する銅及び/又は亜鉛の濃度が非常に低濃度で、緑色野菜の緑色を安定化させることができ、その結果、香味についても優れた緑色野菜容器詰飲料を提供することが可能となった。
本発明は、100メッシュ パス画分が80重量%以上になるように微細化した緑色野菜粉砕物を含む液に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物由来の銅及び/又は亜鉛の飲料中の濃度が、0.1〜100ppmになるように添加・調整された緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料からなる。本発明において、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物としては、銅及び/又は亜鉛のグルコン酸塩が特に好ましい例として挙げることができる。本発明は、用いられる緑色野菜原料として、ケール若しくは大麦若葉を用いる場合に、特に優れた緑色野菜の容器詰飲料を提供することができる。
すなわち具体的には本発明は、(1)100メッシュ パス画分が80重量%以上になるように微細化した緑色野菜粉砕物を含む液に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物由来の銅及び/又は亜鉛の飲料中の濃度が、0.1〜100ppmになるように添加・調整された緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料や、(2)銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物が、銅及び/又は亜鉛のグルコン酸塩であることを特徴とする上記(1)記載の緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料や、(3)緑色野菜原料が、ケール若しくは大麦若葉であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料からなる。
本発明により、特別な着色料を使用することなく、通常の流通形態であっても、野菜本来の緑色を保持し、しかも野菜飲料の本来の香味を保有する緑色野菜容器詰飲料を提供することができる。すなわち、本発明により、容器詰飲料を製造するに際して行われる加熱殺菌の後、或いは、製品の流通・保存後も緑色野菜の緑色を安定的に保持した野菜飲料本来の香味を有する緑色野菜容器詰飲料を提供することができる。
本発明は、100メッシュ パス画分が80重量%以上になるように微細化した緑色野菜粉砕物を含む液に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物由来の銅及び/又は亜鉛の飲料中の濃度が、0.1〜100ppmになるように添加・調整された緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料からなる。
(緑色野菜原料)
本発明の緑色野菜容器詰飲料の製造において用いられる緑色野菜原料としては、緑色を有する食用植物であればいずれも使用可能であるが、ほうれん草、セロリ、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、レタス、パセリ、モロヘイヤ、ピーマン、きゅうり、小麦若葉、桑葉、明日葉、イグサ、ゴーヤなどが好適な緑色野菜原料として挙げられる。特に好適な例としては、一般的に青汁と呼ばれるケール、大麦若葉の例を挙げることができる。これらの緑色野菜原料は、収穫後、通常の方法で洗浄、ブランチングしたのち、必要に応じて乾燥する。乾燥方法は、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥など、公知の乾燥手段を適宜選択することができる。
(粉砕粒度)
本発明の緑色野菜原料は、乾燥或いは未乾燥の状態で、特定粒度に粉砕して用いられる。粉砕は、乾燥、未乾燥のいずれの場合も、通常用いられる公知の粉砕方法を用いて粉砕することができる。該粉砕方法としては、ミキサー、ジューサー、石臼、ボールミル、ハンマーミル、ジェットミルなどの公知の粉砕機を用いることができる。粉砕物は、そのまま若しくは一旦殺菌後、飲料原料として使用することができる。この緑色野菜粉砕物は、飲料原料として、原料調合の場面で適量添加することができる。本発明における緑色野菜粉砕物の粉砕粒度は、100メッシュパス画分が80重量%以上になるように粉砕される。好ましくは200メッシュパス画分が、90重量%以上である。未乾燥のものに関しても、乾燥品同様、規定のメッシュを通過させた後、通過画分、未通過画分を乾燥して秤量し、その重量比を計算することで特定する。粒度がこれ以上大きくなると退色抑制効果が弱くなり、本発明の効果が得られない。
(銅イオン、亜鉛イオン添加物)
本発明において、銅イオン、亜鉛イオンを供給する添加物としては、飲料中に銅イオン、亜鉛イオンを供給することができる可食性のものであれば、特に限定はないが、銅・亜鉛を含有する塩や、銅、亜鉛を高含有する酵母等の微生物を挙げることができる。特に好ましい銅イオン、亜鉛イオン添加物としては、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛を挙げることができる。グルコン酸銅及びグルコン酸亜鉛は、両者を混合して使用することも可能である。最終的に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンの飲料中の濃度が0.1〜100ppmになるように添加する。好ましくは銅イオンの場合、1〜10ppm、亜鉛イオンの場合、10〜100ppmである。
(飲料の製造)
本発明において、飲料を製造するには、例えば、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛等、銅イオン、亜鉛イオンを供給する添加物を水に溶解(分散)し、所定粒度の緑色野菜粉砕物と混合する。その他、必要に応じて、緑色以外の野菜搾汁液をはじめ、果汁、乳類、糖類、酸味料、乳化剤、増粘剤、安定剤、香料など通常の飲料で使用できる原料を添加することができる。pHは特に制限はなく、酸性からアルカリ性域までいずれのpHでも効果は期待できる。原料調合後、緑色野菜飲料本来の香味の変質を起こさない範囲であり、かつ、当該調合液に必要な強度の殺菌を行い容器に充填する。場合によっては容器に充填してから殺菌を行なう。特に酸性域の場合、殺菌前においては、時間の経過とともに一時的に緑色が退色する傾向にあるが、退色したものであっても、殺菌を行うことで、本来の緑色に戻すことができる。その際には、殺菌強度が強い方が、より鮮やかな緑色が維持できるが、強い加熱処理により、緑色野菜飲料本来の香味の変質を起こすこととなるので、色調と香味のバランスを考慮した上で、殺菌強度を決定する必要がある。本発明の容器詰飲料の効果が特に発揮されるのは、ビン若しくはペットボトルのような透明容器入緑色野菜飲料として提供された場合であり、その場合が最も好ましい適用例となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(ミネラル比較)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)1重量%に各種ミネラルをそれぞれ添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、透明ビン容器に充填してから121℃20分の殺菌を行なった。なお、ミネラルとしては、銅(グルコン酸銅)、亜鉛(グルコン酸亜鉛)、鉄(クエン酸第一鉄Na)、ナトリウム(塩化Na)、カリウム(塩化K)、マグネシウム(塩化Mg)、カルシウム(乳酸Ca)を使用し、銅・亜鉛・鉄として10ppm、ナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムとして100ppmとなるよう添加した。いずれのサンプルも殺菌前pHは6〜7であり、殺菌後pHは5〜6の範囲にあった。殺菌直後の液色をミネラル無添加と目視で比較した。
その結果、銅と亜鉛では緑色が保持できていた。特に銅の緑色は鮮やかであり好ましかった。一方、鉄、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムではミネラル無添加品と同様に茶色に変色していた。
(ミネラル酵母)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)1重量%に銅含有酵母、亜鉛含有酵母をそれぞれ添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、透明ビン容器に充填してから121℃20分の殺菌を行なった。なお、銅含有酵母、亜鉛含有酵母は、それぞれの酵母由来の銅・亜鉛の濃度が実施例1のグルコン酸銅、グルコン酸亜鉛を使用した場合と同じとなるように添加した。いずれのサンプルも殺菌前pHは6〜7であり、殺菌後pHは5〜6の範囲にあった。殺菌直後の液色を酵母無添加品と目視で比較した。
その結果、亜鉛含有酵母ではグルコン酸亜鉛添加時とほぼ同等レベルで緑色が保持できていた。銅含有酵母は、グルコン酸銅より銅含有量の低いものを使用したため、必然的に添加量が多くなり、酵母由来の色調寄与が大きくなった。このため、単純にグルコン酸銅添加時と比較して緑色の安定化を評価することが困難であったが、ある一定の効果は認められた。因みに、この点については、銅含有量の比較的多い酵母を選択することで、解決することができる。
(ミネラル添加率1)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)1重量%にグルコン酸銅、グルコン酸亜鉛をそれぞれ添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、透明ビン容器に充填してから121℃20分の殺菌を行った。なお、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛はそれぞれ銅、亜鉛として0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmとなるよう添加した。銅添加品の殺菌前pHは、0.1ppm、1ppm、10ppm添加時で6〜7、100ppm添加時で5〜6、1000ppm添加時で4〜5の範囲にあり、亜鉛添加品の殺菌前pHは、0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm添加時で6〜7、1000ppm添加時で5〜6の範囲にあった。銅添加品の殺菌後pHは、0.1ppm、1ppm、10ppm添加時で5〜6、100ppm添加時で4〜5、1000ppm添加時で3〜4の範囲にあり、亜鉛添加品の殺菌後pHは、いずれも5〜6の範囲にあった。殺菌直後の液色について銅、亜鉛無添加品と目視で比較した。
その結果、銅については、1ppm、10ppm、100ppm添加時において、亜鉛については、10ppm、100ppm、1000ppm添加時において、それぞれ無添加品より緑色を保持できていた。因みに銅については、10ppm添加時において、亜鉛については100ppm及び1000ppm添加時において最も鮮やかな緑色となった。
(ミネラル添加率2)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)0.1重量%にグルコン酸銅、グルコン酸亜鉛をそれぞれ添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、透明ビン容器に充填してから121℃20分の殺菌を行った。なお、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛はそれぞれ銅、亜鉛として0.1ppm、1ppmとなるよう添加した。銅・亜鉛いずれの添加品も殺菌前pHは0.1ppm添加時で7〜8、1ppm添加時で6〜7の範囲にあった。銅添加品の殺菌後pHは、0.1ppm添加時で6〜7、1ppm添加時で5〜6の範囲にあり、亜鉛添加品の殺菌後pHはいずれも6〜7の範囲にあった。殺菌直後の液色について銅、亜鉛無添加品と目視で比較した。その結果、銅・亜鉛いずれについても、無添加品より緑色を保持できていた。
(香味)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)1重量%にグルコン酸銅、グルコン酸亜鉛をそれぞれ添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、透明ビン容器に充填してから121℃20分の殺菌を行った。なお、グルコン酸銅、グルコン酸亜鉛はそれぞれ銅、亜鉛として0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmとなるよう添加した。銅添加品の殺菌前pHは、0.1ppm、1ppm、10ppm添加時で6〜7、100ppm添加時で5〜6、1000ppm添加時で4〜5の範囲にあり、亜鉛添加品の殺菌前pHは、0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm添加時で6〜7、1000ppm添加時で5〜6の範囲にあった。銅添加品の殺菌後pHは、 0.1ppm、1ppm、10ppm添加時で5〜6、100ppm添加時で4〜5、1000ppm添加時で3〜4の範囲にあり、亜鉛添加品の殺菌後pHは、いずれも5〜6の範囲にあった。殺菌直後の香味について銅、亜鉛無添加品と比較した。
その結果、銅・亜鉛いずれも添加率が高くなるにつれ、いずれも独特の金属臭味が強く感じられた。因みに銅については10ppm、亜鉛については100ppmまでを飲用適と判断した。
(pH)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)1重量%にグルコン酸銅、さらにはクエン酸、重曹をそれぞれ添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、それぞれ、80℃10分及び121℃20分の殺菌を行った。なお、グルコン酸銅は銅として10ppmとなるよう添加した。クエン酸添加品の殺菌前pHは3〜4の範囲にあり、殺菌後pHに変化はなかった。また、重曹添加品の殺菌前pHは8〜9の範囲にあり、殺菌後pHは7〜8の範囲にあった。殺菌直後の液色についてそれぞれ銅無添加品と目視で比較した。その結果、いずれも無添加品より緑色を保持できていた。因みに、クエン酸添加品は殺菌前において、時間の経過とともに一時的に緑色が退色したが、殺菌を行うことで緑色が元に戻った。
(殺菌1)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)1重量%にグルコン酸銅を添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、透明ビン容器に充填してから111℃10分、121℃10分、121℃20分の殺菌を行った。また、137℃30秒の殺菌を行った後、ペットボトルに充填した。なお、グルコン酸銅は銅として10ppmとなるよう添加した。いずれのサンプルも殺菌前pHは6〜7の範囲にあり、殺菌後pHは5〜6の範囲にあった。殺菌直後の液色について銅無添加品と目視で比較した。その結果、いずれも無添加品より緑色を保持できていた。
(殺菌2)
国産ケール粉末(100メッシュパス画分80重量%以上)1重量%にグルコン酸銅、さらにはクエン酸を添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、透明ビン容器に充填してから80℃10分、111℃10分、121℃10分、121℃20分の殺菌行った。また、90℃60秒の殺菌を行なった後、ペットボトルに充填した。なお、グルコン酸銅は銅として10ppmとなるよう添加した。いずれのサンプルも殺菌前pHは3〜4の範囲にあり、殺菌後pHに変化はなかった。殺菌直後の液色について銅無添加品と目視で比較した。その結果、いずれも無添加品より緑色を保持できていた。因みに111℃10分、121℃10分、121℃20分の殺菌を行ったものは80℃10分、90℃60秒の殺菌を行ったものより鮮やかな緑色を保持できていた。
(粉砕粒度)
国産大麦若葉粗粉砕物(30メッシュパス画分80重量%以上)と粉末(100メッシュパス画分80重量%以上及び200メッシュパス画分90重量%以上)をそれぞれ1重量%にグルコン酸銅を添加した後、水で規定量までメスアップした。その後、121℃20分の殺菌を行った。なお、グルコン酸銅は銅として10ppmとなるよう添加した。粗粉砕物使用品の殺菌前pHは7〜8の範囲にあり、殺菌後pHは6〜7の範囲にあった。粉末使用品の殺菌前pHは6〜7の範囲にあり、殺菌後pHは5〜6の範囲にあった。粗粉砕物使用品については殺菌直後に100メッシュパス画分80重量%以上に粉砕した後、殺菌直後の液色について目視で比較した。
その結果、いずれも緑色を保持できていたが、粗粉砕物使用品の色調は粉末使用品より劣っていた。また。粉末使用品の中でも200メッシュパス画分90重量%以上使用品は100メッシュパス画分80重量%以上使用品より鮮やかな緑色を保持できていた。
国産大麦若葉粉末(200メッシュパス画分90重量%以上)を使用する以外は、実施例1と同様にして、銅、亜鉛を添加したサンプルを作成した。5℃、50℃、光照射10000ルクス(10℃)それぞれの環境下で1週間及び2週間保存した後、外観を目視で確認した。いずれも殺菌直後から大きな色調の変化はなく、緑色を保持できていた。また、クエン酸を添加しpHを3〜4に調整したものについても同様の保存試験を行ったが、同じ結果が得られた。

Claims (3)

  1. 100メッシュ パス画分が80重量%以上になるように微細化した緑色野菜粉砕物を含む液に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物由来の銅及び/又は亜鉛の飲料中の濃度が、0.1〜100ppmになるように添加・調整された緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料。
  2. 銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物が、銅及び/又は亜鉛のグルコン酸塩であることを特徴とする請求項1記載の緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料。
  3. 緑色野菜原料が、ケール若しくは大麦若葉であることを特徴とする請求項1又は2記載の緑色野菜の緑色を安定化させた容器詰飲料。
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