JP6790151B2 - 長期間緑色を保持可能な容器詰青汁飲料 - Google Patents

長期間緑色を保持可能な容器詰青汁飲料 Download PDF

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Description

本発明は、所定量の銅イオンとカルシウムイオンとを含有する、長期間緑色を保持可能な容器詰青汁飲料、その製造方法等に関する。
青汁飲料は簡易に野菜成分を摂取できる健康飲料として消費者に認知されている。近年、健康志向のさらなる高まりを受け、青汁飲料が更に注目を集めている。
青汁などの緑色飲料には、その鮮やな緑色が経時的に劣化するという問題が潜在的に存在しており、従来、そのような変色を抑制するために、亜鉛イオンや銅イオンなどの二価の金属イオンの添加などが検討されてきた(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−165439号公報
特許文献1では、緑色を保持する観点からは亜鉛イオンや銅イオンの濃度を30〜50ppmとすることが好ましい旨記載されている。この濃度範囲であれば青汁飲料における緑色を長期間保持することができるものの、このような金属イオンの濃度が増大するにつれて金属味などの不快味も増大し、所望とする青汁飲料の呈味バランスが損なわれるという問題が顕在化した。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、緑色を長期間保持することが可能な青汁飲料等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、二価の金属イオンの中から銅イオンを選択し、従来緑色保持効果がないと考えられていたカルシウムイオンと組み合わせ、各濃度が所定の範囲に調節された青汁飲料を調製したところ、緑色の保持が長期間実現可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]銅イオンを2.5〜15ppm、カルシウムイオンを6〜200ppm含有する、容器詰青汁飲料。
[2]銅イオンの濃度がカルシウムイオンの濃度未満である、[1]に記載の容器詰青汁飲料。
[3]カルシウムイオンの濃度が銅イオンの濃度の2〜12倍の範囲にある、[1]又は[2]に記載の容器詰青汁飲料。
[4]更に飲食品に添加可能な微生物を含み、当該微生物に銅イオンが含まれている、[21]〜[3]のいずれかに記載の容器詰青汁飲料。
[5]カルシウムイオンが、青汁の原料及びその他の原料に由来する、[1]〜[4]のいずれかに記載の容器詰青汁飲料。
[6]その他の原料として、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム及び塩化カルシウムから成る群から選択されるカルシウム製剤を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の容器詰青汁飲料。
[7]更にクロロフィルを10〜50ppm含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の容器詰青汁飲料。
[8]青汁の原料が大麦若葉である、[1]〜[7]のいずれかに記載の容器詰青汁飲料。
[9]製造時の前記青汁飲料が、ハンターLab表色系において0.6〜1.3の範囲内の−a/b値を示す、[1]〜[8]のいずれかに記載の容器詰青汁飲料。
[10]亜鉛イオンの含有量が0.1ppm未満である、[1]〜[9]のいずれかに記載の容器詰青汁飲料。
[11]銅イオンを2.5〜15ppm、カルシウムイオンを6〜200ppm含有する、容器詰青汁飲料の緑色保持剤。
[12]容器詰青汁飲料を製造する方法であって、
銅イオンの含有量を2.5〜15ppmに、カルシウムイオンの含有量を6〜200ppmに調節する工程を含む、方法。
[13]容器詰青汁飲料の緑色を保持する方法であって、
銅イオンの含有量を2.5〜15ppmに、カルシウムイオンの含有量を6〜200ppmに調節する工程を含む、方法。
本発明によれば、銅イオンとカルシウムイオンを所定の濃度とすることで、青汁飲料に特有の緑色を長期間自然な色として保持することが可能になる。銅イオンとカルシウムイオンに加え、更にクロロフィルの量も所定の範囲に調節することにより、高温下でも緑色保持効果を維持しつつ、銅イオンなどの金属イオンのマスキングも実現することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
(容器詰青汁飲料)
第一の実施形態において、容器詰青汁飲料は、銅イオンを2.5〜15ppm、カルシウムイオンを6〜200ppm含有する。
本明細書で使用する場合、青汁飲料とは、青汁などの原料として一般的に使用される緑色野菜を主要な原料として調製される飲料を意味する。
緑色野菜の例としては、大麦若葉、小麦若葉、ケール、モリンガ、明日葉、よもぎ、ゴーヤ、クワ若葉、ホウレンソウ、モロヘイヤ、メキャベツなどが挙げられる。これらの中でも、大麦若葉、ホウレンソウ、モロヘイヤ、メキャベツ、ケールが好ましく、大麦若葉、ケールがさらに好ましく、大麦若葉が特に好ましい。大麦の種類は限定されず、六条大麦、二条大麦、裸麦、皮麦等を使用することができる。農作物には抹茶や緑茶等の茶も含まれる。また、緑色野菜と同様にクロロフィルを豊富に含むユーグレナ、スピルリナ、及びクロレラも原料として使用可能である。
青汁の原料として一般的に用いられる大麦を例に、その茎葉の粉砕物から粉末を得て、最終的に青汁飲料を製造する方法を例示する。例えば、大麦の茎葉から粉末を得る場合、まず茎葉を乾燥処理及び粉砕処理にかけることにより粉砕物が得られる。乾燥処理又は粉砕処理のいずれかの処理が他の処理に先行して行われるが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕処理を行う回数は1回でも複数回でもよい。2回以上の粉砕処理を行う場合、最初に粗粉砕処理を行い、その後、より細かく粉砕する微粉砕処理を組合せることが好ましい。
乾燥粉末は、植物体全部又はその一部、例えば、茎や葉などの可食部を乾燥し、それをミル及び臼等の機械的手法によって粉砕するか、あるいは植物体全部又はその一部を粉砕してから得られた粉砕物を乾燥することにより得ることができる。また、植物体全部又はその一部の搾汁液を乾燥することなどにより乾燥粉末を得てもよい。
得られた粉砕物は、更に必要に応じブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理にかけられる。これにより粉末状の物質が得られる。ブランチング処理は野菜等を加熱してその変質や変色を防ぐ工程であり、その条件は当業者が適宜決定することができる。また、ブランチングを経ることで、得られる搾汁液などの呈味がより向上する傾向にある。
乾燥粉末の重量は、最終製品によって変動する。通常の青汁飲料の場合、例えば、飲料の重量あたり0.2〜3.0質量%、好ましくは0.4〜2質量%程度の乾燥粉末が配合される。
乾燥粉末は、分散性の観点から、好ましくは粒径70μm以下が90%以上のもの、より好ましくは粒径50μm以下が90%以上のもの、特に好ましくは粒径35μm以下が90%以上のものが使用される。このような乾燥粉末は、例えば、原料をジェットミル等で破砕して得ることができる。また、ここでいう粒径とは、例えばレーザ回折・散乱法にて水を溶媒として測定することができる。
青汁飲料に含まれる銅イオンとカルシウムイオンは、大麦若葉などの青汁飲料の原料に由来するか、別途添加したものを利用することができる。青汁飲料における銅イオンの濃度は、2.5〜15ppm、好ましくは3〜10ppm、より好ましくは3〜5ppmであり、カルシウムイオンの濃度は6〜200ppm、好ましくは7〜100ppm、より好ましくは7〜35ppm、である。銅イオンとカルシウムイオンの濃度は各々独立して上記範囲内で調節されるが、銅イオンの濃度は、カルシウムイオンの濃度未満であることが好ましい。
各イオンを上記範囲に調節するために、飲食品に配合可能な無機塩類を添加することができる。銅イオンの無機塩類として、例えば、グルコン酸塩、硫酸塩等の銅塩類が挙げられる。飲食品に配合可能な微生物、乳酸菌や酵母などの中から、銅を豊富に含むものを選んで青汁飲料に添加してもよい。銅塩類の代わりに、銅を含有する乳酸菌や酵母を添加するのが好ましい。
カルシウムイオンの無機塩類として、例えば、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム及び塩化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム製剤が例示される。乳酸カルシウムが特に好ましい。
青汁飲料にはその他の金属イオンが配合されていてもよい。例えば、亜鉛イオンは青汁飲料の緑色を保持する成分として知られており、銅イオンとカルシウムイオンの組み合わせによる緑色保持効果を阻害しない範囲で添加してもよい。亜鉛は、それ単体で添加しても良いが、グルコン酸塩、硫酸塩、塩化亜鉛、クエン酸塩等の水溶性塩の形態で添加するか、あるいは亜鉛を高濃度に含有させた乳酸菌や酵母として配合することが好ましい。
金属味低減の観点から、亜鉛イオンの濃度は0.1ppm未満であることが好ましい。
青汁飲料は、大麦若葉等などの緑色野菜に含まれる葉緑素の主成分に由来するクロロフィルを10〜50ppm含有していもよい。この範囲内であれば、銅イオンとカルシウムイオンによる緑色保持効果が高温下でも顕著で、尚且、金属味、特に銅イオンの金属味もマスキングされ得る。なお、本明細書において、クロロフィルの含有量はクロロフィルαとクロロフィルβの総量で表される。
本実施形態に係る青汁飲料の色調は、鮮やかではあるが、自然な緑色であることが好ましい。ここで、本実施形態に係る青汁飲料において、ハンターLab表色系のa値とb値を用いて液色の緑色度を−a/bで表すことができ、L、a、bの値は市販の一般的な分光色差計を用いて青汁飲料を測定することができる。−a/bは1に近いほど鮮やかな緑色であることを示す。しかしながら、−a/bと、製品として好ましい青汁飲料の緑色とは必ずしも相関しないため、本実施形態に係る青汁飲料においては、緑色を−a/bとパネラーによる目視で評価するものとした。本実施形態に係る青汁飲料の−a/bは、0.6〜1.3であることが好ましい。−a/bがかかる範囲にあれば、青汁飲料の緑色が鮮やかではあるが「自然な緑色」ということができる。
本実施形態に係る青汁飲料は、容器に充填された形、すなわち容器詰飲料で提供される。この場合において、使用される容器は特に限定されず、PETボトル、プラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常用いられる飲料用容器であればよい。なお、本実施形態に係る青汁飲料は、沈殿が生じ難く外観が良好であるため、透明の飲料用容器(例えば、PETボトル等)を用いてもよい。なお、本実施形態に係る青汁飲料が容器に充填された容器詰飲料として提供される場合、通常は希釈せずにそのまま飲用できるものであるが、これに限定されるものではない。
本実施形態にあっては、前述した成分の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、ビタミン類、ミネラル分、甘味付与剤、香料、酸味料、糊料、機能性成分等を含有してもよい。例えば、銅イオンやカルシウムイオンが高濃度である場合、それらの金属味をマスキングするために、甘味付与剤や香料などが使用され得る。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等が挙げられる。
ミネラル分としては、例えば、マグネシウム、カリウム、クロム、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン等が挙げられる。これらは、無機塩として配合されてもよく、他の原料(例えば、前述した緑系植物由来物)の含有成分として配合されてもよい。
甘味付与剤としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等の糖類;砂糖、グラニュー糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等の甘味料;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料;ソルビトール等の糖アルコールなどが挙げられ、さらにシュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。
香料としては、例えば、柑橘その他果実から抽出した香料、植物の種実、根茎、木皮、葉等またはこれらの抽出物、乳または乳製品から得られる香料、合成香料等が挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸等が挙げられる。
糊料としては、例えば、ペクチン、セルロース、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、ガラクトマンナン類、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等が挙げられるが、一部の食物繊維については本発明の沈殿防止効果を阻害しないように配合されるべきである。
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、ヒアルロン酸、プラセンタ、牡蠣エキス、キトサン、プロポリス、ローヤルゼリー、トコフェロール、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、霊芝、アガリクス等が挙げられる。これらの添加物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本実施形態に係る青汁飲料は、その他、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、着色料(色素)、油、pH調整剤、品質安定剤、増粘剤等を含有してもよい。更に、カルシウムイオンと銅イオン以外の緑色保持に有効な成分を青汁飲料に添加することができる。
青汁飲料の糖度(Brix)は、本発明の効果を損なわない限り、目的とする最終製品に応じて当業者が適宜調節できる。例えば、青汁飲料中のBrixを、約0.5〜8.0、好ましくは約1.0〜7.0、より好ましくは約1.0〜3.0の範囲に調節してもよい。本明細書で使用するBrixは特に断らない限り屈折糖度計を用いて測定した値を意味する。
なお、本実施形態に係る青汁飲料は、本発明の効果を損なわない限り、果汁を10質量%未満、又は2質量%未満含有してもよい。
本実施形態に係る青汁飲料のpHは、長期間にわたって自然な緑色を保持する観点から、好ましくは6〜8、より好ましくは6〜7.7、特に好ましくは6.2〜7.5である。青汁飲料のpHがこの範囲にあると、調合時から流通時までクロロフィルの分解が生じにくくなるため、長期間にわたって自然な緑色を保持することができる。なお、青汁飲料のpHは、常法に従ってpHメーターにて測定することができる。
本実施形態に係る青汁飲料の粘度は特に限定されないが、すっきりとした飲み心地を得る観点からは、20℃における粘度が1〜10mPa・sであることが好ましく、1.2〜8mPa・sであることがさらに好ましく、1.3〜6mPa・sであることが特に好ましい。なお、青汁飲料の粘度は、常法に従って、TVB−10型粘度計(東機産業社製)等の粘度計を用いて測定することができる。
(緑色保持剤)
第二の実施形態において、容器詰青汁飲料の緑色保持剤は銅イオンを2.5〜15ppm、カルシウムイオンを6〜200ppm含有する。これらのイオン濃度は、容器詰青汁飲料中の各イオン濃度を考慮して適宜決定される。緑色保持剤は、亜鉛イオンなどの公知の緑色保持成分を更に含有していてもよい。
(製造方法)
第三の実施形態において、容器詰青汁飲料を製造する方法は、銅イオンの含有量を2.5〜15ppmに、カルシウムイオンの含有量を6〜200ppmに調節する工程を含む。これらのイオン濃度は、容器詰青汁飲料中の各イオン濃度を考慮して適宜決定される。銅イオン、カルシウムイオンに加えて、亜鉛イオンなどの公知の緑色保持成分を更に配合してもよい。
限定することを意図するものではないが、配合工程以外の青汁飲料の製造に必要な工程、例えば大麦若葉等の原料などの調製工程については上述した工程や公知の工程を使用することができる。
(緑色保持方法)
第四の実施形態において、容器詰青汁飲料の緑色を保持する方法は、銅イオンの含有量を2.5〜15ppmに、カルシウムイオンの含有量を6〜200ppmに調節する工程を含む。これらのイオン濃度は、容器詰青汁飲料中の各イオン濃度を考慮して適宜決定される。銅イオン、カルシウムイオンに加えて、亜鉛イオンなどの公知の緑色保持成分を更に配合してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
下記表に記載の配合割合となるように、大麦若葉(乾燥粉末、佐々木食品社製、クロロフィル含有量4500ppm、カルシウム3500ppm)、銅(オリエンタル酵母社製、イーストミネラル銅、銅含有量1.1質量%)及び亜鉛(オリエンタル酵母社製、イーストミネラル亜鉛、亜鉛含有量5.9質量%)をそれぞれ配合し、純水でメスアップし、各1000gの青汁飲料液を作成した。pHは、炭酸水素ナトリウムを用いて5.8に調整した。
得られた青汁飲料液をそれぞれ超高温加熱(UHT)殺菌機で殺菌し、200mlPETボトルに充填し、青汁飲料を得た(実施例1〜11、比較例1〜3)。殺菌は、F0値30以上(139.0℃±2.0℃、60秒以上)で出口品温が136.0℃以上となるように行った。
(クロロフィル含有量)
各青汁飲料中のクロロフィル含有量は、分光光度計(島津社製UV1650PC)を用いた吸光光度法によって以下の波長で測定した。
Chl a=13.43*A663.8−3.47*A646.8
Chl b=22.90*A646.8−5.38*A663.8
Chls a+b=19.43*A646.8+8.05*A663.8nm
。なお、クロロフィル含有量は、クロロフィルa及びクロロフィルbの合計値を示す。
(銅含有量、亜鉛含有量、カルシウム含有量)
各青汁飲料中の銅含有量、亜鉛含有量及びカルシウム含有量は、ICP発光分析法(原子吸光光度法)によって測定した。測定にはAgilent社製バリアンVISTA-PRO(Ax)型を使用した。
(Lab、−a/b及びΔE)
分光色差計(日本電色工業社製,SE7700)を用いて各青汁飲料のLabを測定した。そして得られた値から、−a/b(緑色度)及びΔE([(L(加温前)−L(加温
後))2+(a(加温前)−a(加温後))2+(b(加温前)−b(加温後))21/2)を算出した。なお、−a/bの数値は、「1」に近いほど鮮やかな緑色を示し、ΔEの数値は、高い程液色の変化が生じでいると判断した。
下記表の記載に基づき調製した青汁飲料サンプルを野菜飲料の開発業務に従事する、官能試験の専門パネラー7人によって、下記の評価項目に従って官能評価を実施し、最も多かった評価を採用した。また、45℃の環境で1週間保管した後、再度同様に官能評価を実施した。なお、パネラーは事前に銅を添加していない従来品相当サンプル(比較例1)を官能評価し、評価基準を共有した。
<官能評価項目>
目視 ○:緑色の変化があまり見られない
△:やや緑色の変化が見られるものの、許容範囲(比較例1よりも良好)
×:緑色の変化が見られる(比較例1と同等、あるいはそれ以上)
青汁の香味劣化
○:香味の劣化があまり見られない
△:やや香味の劣化が見られるものの、許容範囲(比較例1よりも良好)
×:香味の劣化が見られる(比較例1と同等、あるいはそれ以上)
Cuの金属味の強さ
○:金属味をあまり感じない(比較例1と同等)
△:やや金属味を感じるが、許容範囲
×:金属味を感じる
Caの苦味の強さ
○:苦味をあまり感じない(比較例1と同等)
△:やや苦味を感じるが、許容範囲
×:苦味を感じる
(銅イオンの濃度についての検討)
青汁飲料の全質量を基準として、大麦若葉の乾燥粉末の含有量が1質量%となるようにそれぞれの試料を調製した結果を以下の表1に示す。カルシウム濃度はいずれも35.0ppmとなるようカルシウム製剤(扶桑化学工業社製、乳酸カルシウム)調整した。
Figure 0006790151
銅イオンの濃度が0〜2.0ppmの試料はいずれも、製造直後から−a/b値が0.6未満と低く、目視の結果も良好ではなかった。一方、銅イオンの濃度が3.0ppm以上の試料はいずれも−a/b値が高く、目視の結果も緑色が鮮やかであった。なお、銅イオンが15ppm以上の試料は−a/b値や目視の結果が悪くなかったが、銅特有の金属味が強く、飲料に適さないものであった(結果は示さず)。
(カルシウムイオンの濃度についての検討)
表1の結果より、銅イオンは3.0〜10.0ppm程度の濃度範囲で緑色保持効果を有することが確認できたことから、銅イオンの濃度を上限値及び下限値付近で固定しつつ、カルシウムイオンの濃度のみ異なる青汁飲料を調製し、カルシウムイオンの濃度の影響を確認した。結果を以下の表2に示す。
Figure 0006790151
表2の試料は表1の試料との比較でカルシウムイオンの濃度が異なるが、いずれも良好な−a/b値を示し、目視の結果も緑色が鮮やかであった。一方、結果は示さないが、カルシウムイオンの濃度が表2の範囲外である場合、緑色保持が劣るという傾向が確認された。
(大麦若葉の濃度の検討)
表1と表2の結果から銅イオンとカルシウムイオンの濃度が所定の範囲内の場合に高いい緑色保持効果が確認されたことから、続いて、大麦若葉の量が少ない試料を調製してその効果を確認した。結果を以下の表3に示す。
Figure 0006790151
表3に示すとおり、大麦若葉の量を減少させても銅イオンとカルシウムイオンの組み合わせによる緑色保持効果が維持された。更に、上記の試料は、45℃の環境で1週間保管した後でも−a/b値が0.6以上で尚且目視の結果も良好であった。
表3の試料はカルシウムイオン濃度が同じであるにもかかわらず、大麦若葉の量が0.1ppmの試料(実施例9)において銅イオンの金属味が強調されていた。このことから、大麦若葉が所定量配合されている場合に銅イオンの金属味がマスキングされることも明らかとなった。

Claims (11)

  1. 銅イオンを2.5〜15ppm、カルシウムイオンを6〜200ppm含有し、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム及び塩化カルシウムから成る群から選択されるカルシウム製剤を含む、容器詰青汁飲料。
  2. 銅イオンの濃度がカルシウムイオンの濃度未満である、請求項1に記載の容器詰青汁飲料。
  3. カルシウムイオンの濃度が銅イオンの濃度の2〜12倍の範囲にある、請求項1又は2に記載の容器詰青汁飲料。
  4. 更に飲食品に添加可能な微生物を含み、当該微生物に銅イオンが含まれている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰青汁飲料。
  5. カルシウムイオンが、青汁の原料及びカルシウム製剤に由来する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰青汁飲料。
  6. 更にクロロフィルを10〜50ppm含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の容器詰青汁飲料。
  7. 青汁の原料が大麦若葉である、請求項1〜のいずれか1項に記載の容器詰青汁飲料。
  8. 製造時の前記青汁飲料が、ハンターLab表色系において0.6〜1.3の範囲内の−a/b値を示す、請求項1〜のいずれか1項に記載の容器詰青汁飲料。
  9. 亜鉛イオンの含有量が0.1ppm未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の容器詰青汁飲料。
  10. 容器詰青汁飲料を製造する方法であって、
    銅イオンの含有量を2.5〜15ppmに、カルシウムイオンの含有量を6〜200ppmに調節する工程を含み、
    カルシウムイオンの含有量が、青汁の原料と、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム及び塩化カルシウムから成る群から選択されるカルシウム製剤とで調節される、方法。
  11. 容器詰青汁飲料の緑色を保持する方法であって、
    銅イオンの含有量を2.5〜15ppmに、カルシウムイオンの含有量を6〜200ppmに調節する工程を含み、
    カルシウムイオンの含有量が、青汁の原料と、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム及び塩化カルシウムから成る群から選択されるカルシウム製剤とで調節される、方法。
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