JP6867443B2 - 緑系植物低含有飲料およびその製造方法 - Google Patents

緑系植物低含有飲料およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、緑系植物由来物を低含有量で含む緑系植物低含有飲料に関するものであり、特に緑系植物由来物の含有量が低いにもかかわらず光劣化が抑制された緑系植物低含有飲料に関するものである。また、本発明は、緑系植物低含有飲料の製造方法および光劣化抑制方法にも関する。
近年の食生活の変化に伴い、現代人は野菜の摂取量が減少する傾向にある。そのような野菜不足を、野菜を搾汁して野菜飲料として手軽に摂取することで補う動きがある。また、緑黄色野菜の代わりに、所謂「青汁」の原料として使用されるケール、大麦若葉、小麦若葉、明日葉、クワ若葉などの、クロロフィルを含有する植物(本明細書において「緑系植物」ということがある。)が、食品素材として注目される傾向にある。これらの緑系植物は、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類などを豊富に含み、健康食品素材として注目を浴びている。中でも大麦若葉は代表的な素材であり、大麦若葉や茎部を微粉砕して得た液状の大麦若葉の青汁、大麦若葉や茎部をそのまま乾燥粉末化した大麦若葉乾燥粉末や、さらに搾汁を濃縮化あるいは乾燥粉末化して得られたペースト状のものや搾汁乾燥粉末など、多様な形態の緑系植物含有食品が提案されている。
しかしながら、乾燥粉末形態は、食物繊維が丸ごと入って健康に良い反面、飲用前に水に溶解させるなどの手間がかかる。また水に溶かしても繊維分がザラザラした食感となり、のど越しが悪いため飲用しにくいといった問題がある。一方で、緑系植物を容器詰飲料にすると、野菜飲料のように手軽に摂取できるが、常温で保存した場合には、特有の鮮やかな緑色が保持できず、商業的販売には適さなかった。
このような中、特許文献1には、微細化した緑色野菜粉砕物を含む液に、銅イオン及び/又は亜鉛イオンを供給する添加物を所定量添加・調整することで、緑色野菜の緑色が安定化された容器詰飲料が開示されている。
特開2008−086269号公報
従来の緑系植物を含む飲料は、特許文献1に代表されるように、緑系植物に由来する成分を高濃度(例えば、1質量%以上)含有するが、かかる成分に起因したザラツキやえぐみなどが感じられることがあり、すっきりとした味わいが得られ難く、飲みやすい飲料とはいえなかった。
この点に関し、本発明者らは、緑系植物の含有量を減らすことについて検討したところ、以下に述べるような光による劣化が顕著になってしまうことが判明した。
すなわち、近年の容器詰飲料の商業的販売においては、例えばコンビニエンスストア等の店頭において、光が照射される状態で長期間陳列されることが多く、特に光による劣化(緑色の退色等)が抑制された容器詰飲料が求められている。
ここで、緑系植物を含む容器詰飲料において、すっきりとした味わいを得ようとして緑系植物由来物の含有量を抑えると、光を透過しやすくなるため、光による劣化が特に顕著になってしまうものと考えられた。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、緑系植物由来物の含有量が抑えられることですっきりとした味わいを有しながらも、光による劣化が抑制された緑系植物低含有飲料を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために本発明者らが鋭意研究した結果、亜鉛とアスコルビン酸とを所定量併用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
(1)緑系植物由来物を低含有量で含む緑系植物低含有容器詰飲料であって、
緑系植物由来物の含有量[A]が0.10〜0.60質量%であり、
さらに、亜鉛と、アスコルビン酸とを含有し、亜鉛の含有量[B]が0.0010〜0.0060質量%であり、アスコルビン酸の含有量[C]が0.0040〜0.080質量%である
ことを特徴とする緑系植物低含有容器詰飲料。
(2)前記緑系植物由来物として少なくとも大麦若葉由来物を含有することを特徴とする(1)に記載の緑系植物低含有容器詰飲料。
(3)前記亜鉛として少なくとも亜鉛含有酵母を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の緑系植物低含有容器詰飲料。
(4)緑系植物由来物を低含有量で含む緑系植物低含有容器詰飲料の製造方法であって、
さらに、亜鉛と、アスコルビン酸とを含有させ、
緑系植物由来物の含有量[A]が0.10〜0.60質量%となるように、亜鉛の含有量[B]が0.0010〜0.0060質量%となるように、かつ、アスコルビン酸の含有量[C]が0.0040〜0.080質量%となるように、緑系植物由来物の含有量[A]、亜鉛の含有量[B]およびアスコルビン酸の含有量[C]を調整する
ことを特徴とする緑系植物低含有容器詰飲料の製造方法。
本発明の緑系植物低含有飲料は、緑系植物由来物の含有量が抑えられることですっきりとした味わいを有しながらも、光による劣化が抑制されたものとなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、緑系植物由来物と、亜鉛と、アスコルビン酸とを含有するものである。
前述のとおり、緑系植物由来物を含む飲料において、亜鉛などの金属イオンを含有させて緑色の退色を抑制する技術は知られていた。しかし、後述する実施例にて示すとおり、緑系植物由来物が低濃度の場合は、高濃度の場合と比較して光劣化が進行しやすく、亜鉛を含有するだけでは光劣化を十分に抑制できないことを本発明者らは見出した。これに対し、本実施形態においては、所定濃度の亜鉛とアスコルビン酸との相乗効果により、緑系植物由来物の含有量が低い緑系植物低含有飲料においても、光による劣化を抑制することができる。
ここで、本明細書において、緑系植物低含有飲料の「光劣化」とは、光を長期間照射し続けたときの劣化を意味し、具体的には、緑色の色調の変化が包含される。好ましくは、さらに緑系植物低含有飲料の香味の変化(薬品臭の発生)が包含される。ただし、本実施形態における「光劣化」は、これらの変化のみに限定されるものではない。なお、光の照射条件の詳細は、後述する実施例にて示すとおりである。
また、本明細書において、緑系植物低含有飲料の「すっきり」とした味わいとは、緑系植物由来物の成分に起因したざらつき、苦味、臭みが抑制された状態をいう。本実施形態において、すっきりとした味わいは、主に緑系植物由来物の含有量を低く抑えることにより達成される。また、本実施形態の「すっきり」とした味わいには、加熱殺菌により生じ得るえぐみや、不快な塩味(えんみ)が抑制された状態を含むことが好ましい。これらは、緑系植物由来物の含有量を低く抑えることに加え、亜鉛およびアスコルビン酸の含有量を所定の範囲に調整することにより達成することができる。
1.緑系植物低含有飲料
(緑系植物由来物)
本実施形態において原料として用いられる緑系植物由来物とは、緑系植物に由来する成分である。ここで、緑系植物とは、ケール、大麦若葉、小麦若葉、明日葉、クワ若葉、ホウレンソウ、モロヘイヤ、メキャベツ等の、主に緑葉を可食部とする野菜である。これらは1種を単独で、または複数を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、大麦若葉、ホウレンソウ、モロヘイヤ、メキャベツ、ケールが好ましく、大麦若葉、ケールがさらに好ましく、大麦若葉が特に好ましい。
これらの緑系植物は、飲料への配合に適した形態に加工され、緑系植物由来物として緑系植物低含有飲料に配合される。このような加工された形態としては、例えば、緑系植物の葉部や茎部等の可食部をそのまま乾燥後、ミル及び臼等の機械的手法により粉末化したもの、葉部や茎部等の可食部を搾汁したもの、当該搾汁した搾汁液を濃縮化あるいは乾燥粉末化して得られたペースト状のもの、搾汁乾燥粉末などを水等の溶媒に溶解させたものなどを例示することができ、中でも可食部をそのまま乾燥後粉末化したものが好ましい。
また、乾燥粉末(可食部をそのまま乾燥後粉末化したもの、搾汁液を乾燥粉末化したもののいずれであってもよい。)としては、分散性の観点から、粒径70μm以下が90%以上の乾燥粉末を用いることが好ましく、粒径50μm以下が90%以上の乾燥粉末を用いることがさらに好ましく、粒径35μm以下が90%以上の乾燥粉末が特に好ましい。このような乾燥粉末は、例えば、原料をジェットミル等で破砕して得ることができる。また、ここでいう粒径とは、例えばレーザ回折・散乱法にて水を溶媒として測定することができる。
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料において、緑系植物由来物の含有量[A]は、固形分に換算して0.10〜0.60質量%であり、好ましくは0.15〜0.48質量%であり、特に好ましくは0.18〜0.40質量%である。緑系植物由来物の含有量[A]が0.10質量%以上であることで、緑系植物低含有飲料を飲用したときに緑系植物に含まれる栄養を十分に摂取することができる。一方、緑系植物由来物の含有量[A]が0.60質量%以下であると、緑系植物由来物に起因したザラツキ、苦み、臭み等が抑制されることで緑系植物低含有飲料がすっきりとした味わいを有し、飲みやすいものとなる。また、一般の緑系植物含有飲料においては、加熱殺菌処理による変色(褐変)が生じるという課題があったが、緑系植物由来物の含有量[A]が0.60質量%以下であると、かかる変色が抑制されるという効果も合わせて奏する。
なお、緑系植物由来物の含有量[A]が0.60質量%以下であると、光劣化が生じやすいという問題があったが、本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、さらに亜鉛およびアスコルビン酸を含有するため、光劣化が抑制されたものとなり、特に光による緑色の退色が効果的に抑制されたものとなる。
また、緑系植物由来物として大麦若葉由来物を含有する場合、緑系植物由来物の合計含有量に対する大麦若葉由来物の含有量の比(大麦若葉由来物/緑系植物由来物)は、質量ベースで0.3〜1であることが好ましく、0.5〜0.9であることがさらに好ましく、0.6〜0.85であることが特に好ましい。この範囲に調整することで、大麦若葉の香りを活かしたすっきりとした緑系植物低含有飲料を得ることができる。
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料には、通常、緑系植物の成分である食物繊維が含まれるが、適宜添加することもできる。緑系植物低含有飲料における食物繊維の含有量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。緑系植物低含有飲料における食物繊維の含有量が1.0質量%以下であると、食物繊維に起因したザラツキが抑制され、緑系植物低含有飲料の味わいがよりすっきりとしたものとなり、特に0.1〜0.5質量%の範囲に調整することでさらにすっきりしたものとなる。一方、緑系植物低含有飲料における食物繊維の含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、0.04質量%以上とすることができ、また0.07質量%以上とすることができ、さらには0.1質量%以上とすることができる。なお、食物繊維の含有量は、例えば、食品衛生検査指針に収載の酵素−HPLC法や酵素−重量法により測定することができる。
(亜鉛)
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、亜鉛をさらに含有する。亜鉛を含有することにより、後述するアスコルビン酸との組み合わせにおいて、光劣化を抑制することができ、特に光照射後の緑色の退色を抑制することができる。亜鉛は、それ単体で添加しても良いが、グルコン酸塩、硫酸塩、塩化亜鉛、クエン酸塩等の水溶性塩の形態で添加するか、あるいは亜鉛を高濃度に含有させた亜鉛含有酵母の状態で含有させることが好ましく、さらにはグルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛および亜鉛含有酵母を使用することがさらに好ましく、亜鉛含有酵母を含有させることが特に好ましい。
亜鉛の含有量[B]は、イオン量として0.0010〜0.0060質量%であり、好ましくは0.0020〜0.0050質量%であり、特に好ましくは0.0027〜0.0045質量%である。亜鉛含有量[B]が0.0010質量%以上であると、緑系植物低含有飲料の光劣化を抑制することができ、また栄養素としての亜鉛を十分に摂取することができる。一方、亜鉛含有量[B]が0.0060質量%以下であると、緑系植物低含有飲料において不快な塩味(塩味)が抑制され、すっきりとした味わいが好ましいものとなる。亜鉛の含有量[B]は、例えば、ICP発光分光法により測定することができる。
また、亜鉛含有量[B]が高いと、光劣化を十分に抑制することができるうえに、栄養素として、特に高齢者に不足しがちな栄養素として、亜鉛を十分に摂取することができる。ただし、子供では亜鉛の過剰摂取が問題となることがあり、亜鉛摂取量の適切な管理が求められている。ここで、本実施形態においては、亜鉛とアスコルビン酸とを組み合わせて使用するため、亜鉛摂取量を適切に管理すべく亜鉛含有量[B]を低く抑えても、より具体的には0.0060質量%以下であっても、光劣化を抑制することができる。亜鉛摂取量の適切な管理という観点を重視する場合は、例えば、亜鉛含有量[B]を0.0020質量%以下としてもよく、本実施形態においては亜鉛含有量[B]がこのように低くても光劣化を効果的に抑制することができる。
(アスコルビン酸)
本実施形態において用いるアスコルビン酸は、L−アスコルビン酸のほか、ナトリウム、カリウムやカルシウムとの塩、脂肪酸とのエステル体、糖等とのエーテル体といったL−アスコルビン酸の誘導体などが含まれる。中でも、本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムおよびL−アスコルビン酸カルシウムからなる群より選択される1種又は2種以上のアスコルビン酸を含有することが好ましい。アスコルビン酸は、緑系植物低含有飲料の光劣化を抑制する効果に優れ、前述した亜鉛との併用により相乗効果を発揮する。また、アスコルビン酸を用いると、雑味が高まる等といった緑系植物低含有飲料のすっきりとした味わいを阻害することがなく、さらにアスコルビン酸の含有量が後述する範囲であると、緑系植物低含有飲料のすっきりとした味わいが増すという効果も奏する。
アスコルビン酸の含有量[C]は、0.0040〜0.080質量%であり、好ましくは0.0040〜0.060質量%であり、特に好ましくは0.0040〜0.040質量%である。ここで、アスコルビン酸の含有量[C]は、例えば、食品衛生検査指針に収載の高速液体クロマトグラフィー法により総アスコルビン酸量として測定することができ、アスコルビン酸塩または誘導体の場合はL−アスコルビン酸量に換算した値である。
アスコルビン酸の含有量[C]が0.0040質量%以上であることで、緑系植物由来物の含有量が緑系植物低含有飲料であっても、亜鉛との相乗効果により、緑系植物低含有飲料の光劣化を抑制することができる。また、所定量のアスコルビン酸を含有させると、緑系植物低含有飲料のすっきりとした味わいが増し、特に優れた飲料となる。
一方、本発明者らの検討の結果、アスコルビン酸含有量[C]を高めると、光劣化を抑制することはできるものの、加熱殺菌によりえぐみが生じてしまい、すっきりとした味わいが得られなくなる傾向にあることが判明した。このえぐみは、加熱殺菌処理において緑系植物由来物中の成分とアスコルビン酸とを共存させたときに生じるものと推察されるところ、緑系植物由来物の含有量が高い従来の緑系植物含有飲料(例えば、青汁飲料)においては、緑系植物由来物に起因したザラツキ、苦み、臭みが強く感じられるため、このようなえぐみの発生は認識されていなかった。これに対し、本実施形態においては、アスコルビン酸の含有量[C]を0.080質量%以下としているため、加熱殺菌により生じ得るえぐみが抑制されたものとなる。特に0.060質量%以下であるとこのえぐみをより抑制することができ、さらに0.040質量%以下であると、緑系植物低含有飲料のすっきりとした味わいが特に優れたものとなる。
(その他の添加剤等)
本実施形態にあっては、前述した原料の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、ビタミン類、ミネラル分、甘味付与剤、香料、酸味料、糊料、機能性成分等を含有してもよい。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等が挙げられる。
ミネラル分としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン等が挙げられる。これらは、無機塩として配合されてもよく、他の原料(例えば、前述した緑系植物由来物)の含有成分として配合されてもよい。
甘味付与剤としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等の糖類;砂糖、グラニュー糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等の甘味料;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料;ソルビトール等の糖アルコールなどが挙げられ、さらにシュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。
香料としては、例えば、柑橘その他果実から抽出した香料、植物の種実、根茎、木皮、葉等またはこれらの抽出物、乳または乳製品から得られる香料、合成香料等が挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸等が挙げられる。
糊料としては、例えば、ペクチン、セルロース、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、ガラクトマンナン類、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等が挙げられる。
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、ヒアルロン酸、プラセンタ、牡蠣エキス、キトサン、プロポリス、ローヤルゼリー、トコフェロール、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、霊芝、アガリクス等が挙げられる。
これらの添加物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、その他、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、着色料(色素)、油、pH調整剤、品質安定剤等を含有してもよい。
なお、本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、果汁の含有量が10質量%未満であってよく、また2質量%未満であってよく、さらには果汁を全く含有しなくてもよい。果汁の含有量が2質量%以上であると、果汁に由来する風味や酸味等が強くなる傾向にあり、本実施形態の緑系植物低含有飲料において、すっきりとした味わいが得られなくなるおそれがある。
(pH)
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、pHが6〜8であることが好ましく、6〜7.7であることがさらに好ましく、6.2〜7.5であることが特に好ましい。緑系植物低含有飲料のpHがこの範囲にあると、調合時から流通時までクロロフィルの分解が生じにくくなるため、長期間にわたって自然な緑色を保持することができる。なお、緑系植物低含有飲料のpHは、常法に従ってpHメーターにて測定することができる。
(Brix)
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、Brixが0.03〜2であることが好ましく、0.05〜1であることがさらに好ましく、0.07〜0.5であることが特に好ましい。緑系植物低含有飲料のBrixがこの範囲にあると、すっきりとした飲み心地を得ることができる。なお、緑系植物低含有飲料のBrixは、常法に従って屈折糖度計にて測定することができる。
(粘度)
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、20℃における粘度が1〜10mPa・sであることが好ましく、1.2〜8mPa・sであることがさらに好ましく、1.3〜6mPa・sであることが特に好ましい。緑系植物低含有飲料の粘度がこの範囲にあると、すっきりとした飲み心地を得ることができる。なお、緑系植物低含有飲料の粘度は、常法に従って、TVB−10型粘度計(東機産業社製)等の粘度計を用いて測定することができる。
(緑色度)
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料の色調は、鮮やかではあるが、自然な緑色であることが好ましい。ここで、本実施形態の緑系植物低含有飲料において、ハンターLab表色系のa値とb値を用いて液色の緑色度を−a/bで表すことができ、L、a、bの値は市販の一般的な分光色差計を用いて緑系植物低含有飲料を測定することができる。−a/bは1に近いほど鮮やかな緑色であることを示す。しかしながら、−a/bと、製品として好ましい緑系植物低含有飲料の緑色とは必ずしも相関しないため、本実施形態の緑系植物低含有飲料においては、緑色を−a/bとパネラーによる目視で評価するものとした。本実施形態の緑系植物低含有飲料の−a/bは、0.8〜1であることが好ましく、0.82〜0.98であることが特に好ましい。−a/bがかかる範囲にあれば、緑系植物低含有飲料の緑色が鮮やかではあるが「自然な緑色」ということができる。
(容器)
本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、容器に充填された形で提供されること、すなわち容器詰飲料であることが好ましい。この場合において、使用される容器は特に限定されず、PETボトル、プラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常用いられる飲料用容器であればよい。なお、本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、光による劣化が生じ難く外観が良好であるため、透明の飲料用容器(例えば、PETボトル等)を用いてもよい。なお、本実施形態に係る緑系植物低含有飲料が容器に充填された容器詰飲料として提供される場合、通常は希釈せずにそのまま飲用できるものであるが、これに限定されるものではない。
以上述べた本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、緑系植物由来物の含有量が0.60質量%以下に抑えられているにもかかわらず、所定量の亜鉛およびアスコルビン酸の相乗効果により、光による劣化が抑制されたものとなる(本発明の光劣化抑制方法に該当)。また、本実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、緑系植物由来物の含有量が0.60質量%以下に抑えられていることから、すっきりとした味わいが得られるものとなる。
2.緑系植物低含有飲料の製造方法
前述した実施形態に係る緑系植物低含有飲料は、緑系植物由来物、亜鉛およびアスコルビン酸を所定量含有させる以外、従来公知の方法により製造することができる。
例えば、所定の硬度を有する天然水や、イオン交換水等を原料水として用い、緑系植物由来物と、亜鉛と、アスコルビン酸と、さらに必要に応じて前述した他の成分とを添加して攪拌し、必要に応じてpHの調整を行い、飲料原液を調製する。なお、原料の添加の順序は特に制限されないが、緑系植物由来物を含む水溶液等に早い段階で亜鉛およびアスコルビン酸を添加しておけば、緑系植物低含有飲料の色調を保持する効果が早くから発揮されるため、特に好ましい。
このようにして飲料原液を調製した後、均質化して殺菌処理を行い、容器に充填する工程により製造することにより、上記の実施形態に係る緑系植物低含有飲料を製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、製造例、試験例等を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の製造例、試験例等に何ら限定されるものではない。
〔緑系植物含有飲料の製造〕
大麦若葉の生葉を収穫後、乾燥させてジェットミルで粉砕し、粒径27μm以下の粒子が全体の90%以下となる大麦若葉粉末を得た。得られた大麦若葉粉末と、市販の亜鉛含有酵母(亜鉛含有量:5.75質量%)と、アスコルビン酸ナトリウムとを、表1〜4に示す配合比に沿って脱イオン水に配合し、さらに必要に応じて重炭酸ナトリウムを加えてpHが7.0〜7.5となるように調整し、飲料原液を調製した。かかる飲料原液をUHT殺菌(138℃、30秒)し、200mLPETボトルに充填して緑系植物含有飲料を得た。試験区9および26の20℃における粘度について粘度計(東機産業社製,TVB−10型粘度計)を用いて測定したところ、試験区9の粘度は1.66mPa・sであり、試験区26の粘度は8.68mPa・sであった。得られた緑系植物含有飲料を、光(10,000lux、5℃)照射下で1週間保管した。
〔pH,BxおよびLabの測定〕
上記製造例で得られた各緑系植物含有飲料について、調合時(UHT殺菌前の飲料原液)のpHおよびBxを、pHメーター(堀場製作所社製,F−52型・卓上pHメーター)、および屈折糖度計(アタゴ社製,Digital Refractometers,RX5000α−Bev)にて測定した。
また、調合時、UHT殺菌後および光1週間保管後の3段階において、分光色差計(日本電色工業社製,SE7700)を用いてLabを測定した。そして緑色度−a/bを算出するとともに、殺菌による緑色度の変化量(調合時の緑色度−殺菌後の緑色度)および光1週間保管による緑色度の変化量(殺菌後の緑色度−光1週間保管後の緑色度)を算出した。
結果を表1〜4に示す。
〔官能評価〕
上記製造例で得られた各緑系植物含有飲料について、飲料の開発を担当する訓練された4人のパネラーによる官能評価試験を行った。色およびすっきり感については、製造時、レトルト殺菌後および光1週間保管後の3段階において、下記基準に従って評価した。パネラー4人の平均値を表1〜4に示す。
=色の評価=
5:鮮やかな緑
4:↑
3:許容範囲
2:↓
1:悪い(緑でない)
=すっきり感の評価=
5:ごくすっきり
4:↑
3:許容範囲
2:↓
1:ザラつく、またはえぐい
また、試験区6〜13については、光1週間保管後での香味も合わせて評価した。評価は下記基準に従って行った。結果を表2に示す。
=香味の評価=
5:異臭全くなし
4:↑
3:許容範囲
2:↓
1:薬品臭がごく強い
Figure 0006867443
Figure 0006867443
Figure 0006867443
Figure 0006867443
表1の比較例である試験区1〜5に示すように、大麦若葉粉末が0.3質量%という低濃度の緑系植物含有飲料では、亜鉛濃度を高めても、光照射後において色調(緑色)を十分に保持することができなかった。これに対し、表2〜4に示すように、実施例である試験区7〜12、試験区15〜20、試験区22〜24の緑系植物含有飲料は、亜鉛に加えてアスコルビン酸が所定量添加されており、光照射においても自然な緑色が十分に保持され、光による劣化が抑制されていることが示された。更に、かかる緑系植物含有飲料は、比較例である亜鉛濃度が高い試験区5、アスコルビン酸含有量を高めた試験区13、試験区21、緑系植物由来物の含有量が多い試験区25、試験区26と比較して、すっきりとした味わいを有するものであった。
本発明の緑系植物低含有飲料は、光による劣化が抑制されており、例えばコンビニエンスストア等の店頭で長期間陳列された後でも、良好な緑色が保持されたものとなるため、これまでの緑系植物低含有飲料では困難であった新たな販売形態にて提供することが可能となる。また、本発明の緑系植物低含有飲料は、すっきりとした味わいを有しごくごくと飲めるものとなるため、緑系植物低含有飲料の飲用シーンの拡大にもつながるものである。

Claims (4)

  1. 緑系植物由来物を低含有量で含む緑系植物低含有容器詰飲料であって、
    緑系植物由来物の含有量[A]が0.10質量%以上0.50質量%未満であり、
    さらに、亜鉛と、アスコルビン酸とを含有し、亜鉛の含有量[B]が0.0010〜0.0060質量%であり、アスコルビン酸の含有量[C]が0.0040〜0.080質量%であり、
    容器が透明である
    ことを特徴とする緑系植物低含有容器詰飲料。
  2. 前記緑系植物由来物として少なくとも大麦若葉由来物を含有することを特徴とする請求項1に記載の緑系植物低含有容器詰飲料。
  3. 前記亜鉛として少なくとも亜鉛含有酵母を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の緑系植物低含有容器詰飲料。
  4. 緑系植物由来物を低含有量で含む緑系植物低含有容器詰飲料の製造方法であって、
    さらに、亜鉛と、アスコルビン酸とを含有させ、
    緑系植物由来物の含有量[A]が0.10質量%以上0.50質量%未満となるように、亜鉛の含有量[B]が0.0010〜0.0060質量%となるように、かつ、アスコルビン酸の含有量[C]が0.0040〜0.080質量%となるように、緑系植物由来物の含有量[A]、亜鉛の含有量[B]およびアスコルビン酸の含有量[C]を調整し、
    透明の容器に充填する
    ことを特徴とする緑系植物低含有容器詰飲料の製造方法。
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