JP2020039257A - 青汁飲料用の沈殿防止剤 - Google Patents

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純平 中瀬
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裕子 矢作
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Abstract

【課題】青汁飲料等の水溶液における乾燥粉末の沈殿防止手段の提供。【解決手段】本発明は、水溶液における野菜又は果物の乾燥粉末の沈殿防止剤であって、難水溶性食物繊維と、水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維とを有効成分とする、沈殿防止剤、を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、広く、青汁飲料などの野菜等の乾燥粉末を含む水溶液用の沈殿防止剤と、同沈殿防止剤を含有する青汁飲料とに関する。
青汁飲料は、簡易に野菜成分を摂取できる健康食品として利用されている。このような青汁飲料は、一般に、流通の際には植物の緑葉を主原料とする乾燥粉末の状態で保管され、飲用直前に水などに溶解して調製される(例えば、特許文献1参照)。
植物の乾燥粉末を配合することで調製される青汁飲料においては、粉末の分散とその沈殿予防のために、発酵セルロースやジェランガム、グアーガムのような増粘多糖類、あるいはゲル化剤が使用されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第5892451号公報 特開2014−054202号公報
近年の健康志向の拡大に伴い、青汁飲料の市場も更なる広がりを見せている。そのような志向を有する消費者は、原材料や添加物が天然の状態に近く、加工の程度が少ないものを好む傾向がある。そのため、青汁飲料の業界においては、原材料等をより天然な代替物質に置き換える要求が常に存在している。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、より天然に近い物質を有効成分とする、青汁飲料等の水溶液における乾燥粉末の沈殿防止剤等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために食品に配合される天然材料を多数検討したところ、難水溶性食物繊維と、水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維とを組み合わせることで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]水溶液における野菜又は果物の乾燥粉末の沈殿防止剤であって、
難水溶性食物繊維と、水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維とを有効成分とする、
沈殿防止剤。
[2]難水溶性食物繊維が、シトラスファイバー、リンゴファイバー、オート麦ファイバー及びビートファイバーら成る群から選択される1種又は2種以上である、[1]に記載の沈殿防止剤。
[3]水溶性食物繊維が、寒天及び/又は蒟蒻粉である、[1]又は[2]に記載の沈殿防止剤。
[4]難水溶性食物繊維と水溶性食物繊維との乾燥重量比が2:98〜98:2である、[1]〜[3]のいずれかに記載の沈殿防止剤。
[5]青汁飲料における難水溶性食物繊維の含有量が乾燥重量を基準にして0.01〜0.5質量%、水溶性食物繊維の含有率が乾燥重量を基準にして0.001〜1.0質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の沈殿防止剤。
[6]水溶液が青汁飲料である、[1]〜[5]のいずれかに記載の沈殿防止剤。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の沈殿防止剤を含有する青汁飲料。
[8]大麦若葉乾燥粉末を含む、[7]に記載の青汁飲料。
[9]安定剤を含まない、[7]又は[8]に記載の青汁飲料。
[10]大麦若葉乾燥粉末の含有量が乾燥重量を基準にして0.2〜2.0質量%である、[7]〜[9]のいずれかに記載の青汁飲料。
[11]容器に充填されている、[7]〜[10]のいずれかに記載の青汁飲料。
[12]青汁飲料を製造する方法であって、
難水溶性食物繊維と、青汁飲料中でゲル化する水溶性食物繊維とを添加する工程を含む、方法。
[13]青汁飲料の沈殿を防止する方法であって、
難水溶性食物繊維と、青汁飲料中でゲル化する水溶性食物繊維とを添加する工程を含む、方法。
難水溶性食物繊維と水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維は単独では野菜粉末の沈殿を防ぐことはできない。しかしながら、本発明によれば、難水溶性食物繊維と、水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維とを組み合わせることで野菜粉末の沈殿を防ぐことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
(沈殿防止剤)
第一の実施形態において、本願は、野菜又は果物の乾燥粉末の水溶液中での沈殿防止剤であって、難水溶性食物繊維と、水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維とを有効成分とする、沈殿防止剤、を提供する。
本明細書で使用する場合、野菜又は果物の乾燥粉末とは、青汁などの原料として一般的に使用される緑色野菜のみならず、その他の農作物及び/又は果物類又はその一部に由来する粉末を意味する。
緑色野菜の例としては、大麦若葉、小麦若葉、ケール、明日葉、クワ若葉、ホウレンソウ、モロヘイヤ、メキャベツなどが挙げられる。これらの中でも、大麦若葉、ホウレンソウ、モロヘイヤ、メキャベツ、ケールが好ましく、大麦若葉、ケールがさらに好ましく、大麦若葉が特に好ましい。大麦の種類は限定されず、六条大麦、二条大麦、裸麦、皮麦等を使用することができる。農作物には抹茶や緑茶等の茶も含まれる。また、緑色野菜と同様にクロロフィルを豊富に含むユーグレナ、スピルリナ、及びクロレラも乾燥粉末の原料として使用可能である。
乾燥粉末は、野菜や果物の植物体全部又はその一部、例えば、茎や葉などの可食部を乾燥し、それをミル及び臼等の機械的手法によって粉砕するか、あるいは植物体全部又はその一部を粉砕してから得られた粉砕物を乾燥することにより得ることができる。また、植物体全部又はその一部の搾汁液を乾燥することなどにより乾燥粉末を得てもよい。
青汁の原料として一般的に用いられる大麦を例に、その茎葉の粉砕物から粉末を得る方法を例示する。例えば、大麦の茎葉から粉末を得る場合、まず茎葉を乾燥処理及び粉砕処理にかけることにより粉砕物が得られる。乾燥処理又は粉砕処理のいずれかの処理が他の処理に先行して行われるが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕処理を行う回数は1回でも、2回以上の処理を組合せてもよいが、最初に粗粉砕処理を行い、その後、より細かく粉砕する微粉砕処理を組合せることが好ましい。
得られた粉砕物は、更に必要に応じブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理にかけられる。これにより粉末状の物質が得られる。ブランチング処理は野菜等を加熱してその変質や変色を防ぐ工程であり、その条件は当業者が適宜決定することができる。また、ブランチングを経ることで、得られる搾汁液などの呈味がより向上する傾向にある。
乾燥粉末の重量は、最終製品によって変動する。通常の青汁飲料の場合、例えば、飲料の重量あたり0.2〜3.0質量%、好ましくは0.4〜2質量%程度の乾燥粉末が配合される。
乾燥粉末は、分散性の観点から、好ましくは粒径70μm以下が90%以上のもの、より好ましくは粒径50μm以下が90%以上のもの、特に好ましくは粒径35μm以下が90%以上のものが使用される。このような乾燥粉末は、例えば、原料をジェットミル等で破砕して得ることができる。また、ここでいう粒径とは、例えばレーザ回折・散乱法にて水を溶媒として測定することができる。
本明細書で使用する場合、水溶液とは、溶質が水である液体であって、上記粉末を分散させるのに適した液体や、野菜の搾汁液などの水性の液体を意味する。好ましい態様において、水溶液は青汁飲料等の飲食品組成物である。
本明細書で使用する場合、難水溶性食物繊維とは、水に不溶であるか、あるいは極めて限定的な溶解性を示す食物繊維を意味する。難水溶性食物繊維の例として、シトラス由来のファイバー(シトラスファイバー)、リンゴ由来のファイバー(リンゴファイバー)、オート麦ファイバー、ビートファイバーなどが挙げられる。
難水溶性食物繊維は市販されており、例えば、シトラスファイバーは商品名「Citri−Fi(登録商標)100」(Fiberstar社製)や、「HERBACEL(登録商標)AQ(登録商標) Plus Citrusfaser」(Herbafood社製)の名前で市販されているものを使用することができる。
リンゴファイバーは、リンゴ果実由来のパルプ(リンゴ果汁搾汁残渣または果汁を含むパルプ)を乾燥・粉末化したものであり、例えば、商品名「VITACEL AF401/30」(レッテンマイヤージャパン社製)の名前で市販されているものを使用することができる。
水溶液における難水溶性食物繊維の含有量は、乾燥重量を基準にして、0.001〜1.0質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲内で調節される。
難水溶性食物繊維は、水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維との組み合わせることで、野菜又は果物の乾燥粉末が水溶液中で沈殿するのを防止することができる。一方、難水溶性食物繊維に代えて水溶性食物繊維のみを水溶液中に添加した場合、かかる沈殿防止効果は得られない。
本明細書では、水溶液中で粘度を増大させる性質が高いものを水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維と判断する。食用で尚且つ加工されていない繊維が好ましい。
このような水溶性食物繊維として、寒天又は蒟蒻粉が挙げられる。寒天が特に好ましい。寒天と組み合わせた場合、難水溶性食物繊維は、その量が多いほど、糖度の低い溶液において高い沈殿防止効果を示す。
蒟蒻粉は、寒天と組み合わせることでその沈殿防止効果が増大する。蒟蒻粉と寒天の組み合わせは、寒天単独では沈殿防止効果が低い糖度が高い溶液においても優れた沈殿防止効果を発揮する。
水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維は寒天や蒟蒻粉に限られない。例えば、本来難水溶性であるセルロースをエーテル化することで水溶性としたセルロースエーテルを水溶性食物繊維として使用することもできる。
寒天、蒟蒻粉は市販のものを使用することができる。寒天は、例えば「ウルトラ寒天イーナ」や「カリコリカン」(いずれも伊那食品工業株式会社製)の商品名で販売されている。蒟蒻粉は、旭東化学産業株式会社などから入手できる。
水溶液における水溶性食物繊維の含有量は、乾燥重量を基準にして、0.001〜1.0質量%、好ましくは0.005〜0.3質量%の範囲内で調節される。
難水溶性食物繊維と水溶性食物繊維の合計量は所望とする効果を奏する限り限定されなが、例えば、乾燥重量で計算した場合、水溶液に対して合計で0.002〜2.0質量%、好ましくは0.015〜0.8質量%の範囲で適宜調節される。合計量が0.1%以上、好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.3%以上の場合に顕著な沈殿防止効果が得られる。水溶性食物繊維を複数種類使用した場合、水溶性食物繊維を単独で使用した場合より少ない量で沈殿防止が得られる場合がある。
配合比は、乾燥重量で計算した場合、2:98〜98:2、好ましくは5:95〜95:5の範囲内で適宜調節される。しかしながら、難水溶性食物繊維の割合が50%以上の場合に高い沈殿防止効果が奏される傾向にあるため、有効成分のうち、難水溶性食物繊維が90%以上、特に95%以上占めることが好ましい。
(青汁飲料)
第二の実施形態において、本願は、沈殿防止剤を含有する青汁飲料、を提供する。
青汁飲料の原料としては、上述したような緑色野菜や、それらと同様にクロロフィルを豊富に含むユーグレナ、スピルリナ、及びクロレラが挙げられる。
本実施形態に係る青汁飲料において、上記原料の含有量[A]は、固形分に換算して0.10〜0.60質量%であり、好ましくは0.15〜0.48質量%であり、特に好ましくは0.18〜0.40質量%である。原料の含有量[A]が0.10質量%以上であることで、青汁飲料を飲用したときに原料に含まれる栄養を十分に摂取することができる。一方、原料の含有量[A]が0.60質量%以下であると、原料に起因したザラツキ、苦み、臭み等が抑制されることで青汁飲料がすっきりとした味わいを有し、飲みやすいものとなる。また、一般の青汁飲料においては、加熱殺菌処理による変色(褐変)が生じるという課題があるが、原料の含有量[A]が0.60質量%以下であると、かかる変色が抑制されるという効果も合わせて奏する。
また、原料として大麦若葉由来物を含有する場合、原料の合計含有量に対する大麦若葉由来物の含有量の比(大麦若葉由来物/全原料)は、大麦若葉の香りを活かしたすっきりとした青汁飲料を得る観点から、質量ベースで0.3〜1であることが好ましく、0.5〜0.9であることがさらに好ましく、0.6〜0.85であることが特に好ましい。
本実施形態に係る青汁飲料は、沈殿防止効果以外の効果を期待して、上記繊維以外の成分、例えば亜鉛をさらに含有してもよい。亜鉛を含有することにより、後述するアスコルビン酸との組み合わせにおいて、光劣化を抑制することができ、特に光照射後の緑色の退色を抑制することができる。亜鉛は、それ単体で添加しても良いが、グルコン酸塩、硫酸塩、塩化亜鉛、クエン酸塩等の水溶性塩の形態で添加するか、あるいは亜鉛を高濃度に含有させた亜鉛含有酵母の状態で含有させることが好ましく、さらにはグルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛および亜鉛含有酵母を使用することがさらに好ましく、亜鉛含有酵母を含有させることが特に好ましい。
亜鉛の含有量[B]は、イオン量として0.0010〜0.0060質量%であり、好ましくは0.0020〜0.0050質量%であり、特に好ましくは0.0027〜0.0045質量%である。亜鉛含有量[B]が0.0010質量%以上であると、青汁飲料の光劣化を抑制することができ、また栄養素としての亜鉛を十分に摂取することができる。一方、亜鉛含有量[B]が0.0060質量%以下であると、青汁飲料において不快な塩味(塩味)が抑制され、すっきりとした味わいが好ましいものとなる。亜鉛の含有量[B]は、例えば、ICP発光分光法により測定することができる。
また、亜鉛含有量[B]が高いと、光劣化を十分に抑制することができるうえに、栄養素として、特に高齢者に不足しがちな栄養素として、亜鉛を十分に摂取することができる。ただし、子供では亜鉛の過剰摂取が問題となることがあり、亜鉛摂取量の適切な管理が求められている。ここで、本実施形態においては、亜鉛とアスコルビン酸とを組み合わせて使用するため、亜鉛摂取量を適切に管理すべく亜鉛含有量[B]を低く抑えても、より具体的には0.0060質量%以下であっても、光劣化を抑制することができる。亜鉛摂取量の適切な管理という観点を重視する場合は、例えば、亜鉛含有量[B]を0.0020質量%以下としてもよく、本実施形態においては亜鉛含有量[B]がこのように低くても光劣化を効果的に抑制することができる。
(アスコルビン酸)
本実施形態において用いるアスコルビン酸は、L−アスコルビン酸のほか、ナトリウム、カリウムやカルシウムとの塩、脂肪酸とのエステル体、糖等とのエーテル体といったL−アスコルビン酸の誘導体などが含まれる。中でも、本実施形態に係る青汁飲料は、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムおよびL−アスコルビン酸カルシウムからなる群より選択される1種又は2種以上のアスコルビン酸を含有することが好ましい。アスコルビン酸は、青汁飲料の光劣化を抑制する効果に優れ、前述した亜鉛との併用により相乗効果を発揮する。また、アスコルビン酸を用いると、雑味が高まる等といった青汁飲料のすっきりとした味わいを阻害することがなく、さらにアスコルビン酸の含有量が後述する範囲であると、青汁飲料のすっきりとした味わいが増すという効果も奏する。
アスコルビン酸の含有量[C]は、0.0040〜0.080質量%であり、好ましくは0.0040〜0.060質量%であり、特に好ましくは0.0040〜0.040質量%である。ここで、アスコルビン酸の含有量[C]は、例えば、食品衛生検査指針に収載の高速液体クロマトグラフィー法により総アスコルビン酸量として測定することができ、アスコルビン酸塩または誘導体の場合はL−アスコルビン酸量に換算した値である。
アスコルビン酸の含有量[C]が0.0040質量%以上であることで、緑系植物由来物の含有量が青汁飲料であっても、亜鉛との相乗効果により、青汁飲料の光劣化を抑制することができる。また、所定量のアスコルビン酸を含有させると、青汁飲料のすっきりとした味わいが増し、特に優れた飲料となる。
一方、本発明者らの検討の結果、アスコルビン酸含有量[C]を高めると、光劣化を抑制することはできるものの、加熱殺菌によりえぐみが生じてしまい、すっきりとした味わいが得られなくなる傾向にあることが判明した。このえぐみは、加熱殺菌処理において緑系植物由来物中の成分とアスコルビン酸とを共存させたときに生じるものと推察されるところ、緑系植物由来物の含有量が高い従来の緑系植物含有飲料(例えば、青汁飲料)においては、緑系植物由来物に起因したザラツキ、苦み、臭みが強く感じられるため、このようなえぐみの発生は認識されていなかった。これに対し、本実施形態においては、アスコルビン酸の含有量[C]を0.080質量%以下としているため、加熱殺菌により生じ得るえぐみが抑制されたものとなる。特に0.060質量%以下であるとこのえぐみをより抑制することができ、さらに0.040質量%以下であると、青汁飲料のすっきりとした味わいが特に優れたものとなる。
本実施形態にあっては、前述した原料の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、ビタミン類、ミネラル分、甘味付与剤、香料、酸味料、糊料、機能性成分等を含有してもよい。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK及びビタミンB群等が挙げられる。
ミネラル分としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン等が挙げられる。これらは、無機塩として配合されてもよく、他の原料(例えば、前述した緑系植物由来物)の含有成分として配合されてもよい。
甘味付与剤としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等の糖類;砂糖、グラニュー糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等の甘味料;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料;ソルビトール等の糖アルコールなどが挙げられ、さらにシュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよい。
香料としては、例えば、柑橘その他果実から抽出した香料、植物の種実、根茎、木皮、葉等またはこれらの抽出物、乳または乳製品から得られる香料、合成香料等が挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸等が挙げられる。
糊料としては、例えば、ペクチン、セルロース、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、ガラクトマンナン類、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等が挙げられるが、一部の食物繊維については本発明の沈殿防止効果を阻害しないように配合されるべきである。
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、ヒアルロン酸、プラセンタ、牡蠣エキス、キトサン、プロポリス、ローヤルゼリー、トコフェロール、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、霊芝、アガリクス等が挙げられる。これらの添加物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本実施形態に係る青汁飲料は、その他、各種エステル類、乳化剤、保存料、調味料、着色料(色素)、油、pH調整剤、品質安定剤等を含有してもよい。更に、有効成分以外にも、沈殿防止効果を発揮する成分を更に青汁飲料に添加することができる。
青汁飲料の糖度(Brix)は当業者が適宜調節できるが、例えば、特定の糖度にすることでより良好な沈殿防止効果が得られる場合がある。沈殿を効率的に防止する観点から、青汁飲料中のBrixを、約0.5〜8.0、好ましくは約1.0〜7.0、より好ましくは約1.0〜3.0の範囲に調節してもよい。本明細書で使用するBrixは特に断らない限り屈折糖度計を用いて測定した値を意味する。
なお、本実施形態に係る青汁飲料は、果汁の含有量が10質量%未満、又は2質量%未満であってよく、さらには果汁を全く含有しなくてもよい。果汁の含有量が2質量%以上であると、果汁に由来する風味や酸味等が強くなる傾向にあり、本実施形態の青汁飲料において、すっきりとした味わいが得られなくなるおそれがある。
本実施形態に係る青汁飲料のpHは、長期間にわたって自然な緑色を保持する観点から、好ましくは6〜8、より好ましくは6〜7.7、特に好ましくは6.2〜7.5である。青汁飲料のpHがこの範囲にあると、調合時から流通時までクロロフィルの分解が生じにくくなるため、長期間にわたって自然な緑色を保持することができる。なお、青汁飲料のpHは、常法に従ってpHメーターにて測定することができる。
本実施形態に係る青汁飲料は、すっきりとした飲み心地を得る観点から、20℃における粘度が1〜10mPa・sであることが好ましく、1.2〜8mPa・sであることがさらに好ましく、1.3〜6mPa・sであることが特に好ましい。なお、青汁飲料の粘度は、常法に従って、TVB−10型粘度計(東機産業社製)等の粘度計を用いて測定することができる。
本実施形態に係る青汁飲料の色調は、鮮やかではあるが、自然な緑色であることが好ましい。ここで、本実施形態の青汁飲料において、ハンターLab表色系のa値とb値を用いて液色の緑色度を−a/bで表すことができ、L、a、bの値は市販の一般的な分光色差計を用いて青汁飲料を測定することができる。−a/bは1に近いほど鮮やかな緑色であることを示す。しかしながら、−a/bと、製品として好ましい青汁飲料の緑色とは必ずしも相関しないため、本実施形態の青汁飲料においては、緑色を−a/bとパネラーによる目視で評価するものとした。本実施形態の青汁飲料の−a/bは、0.8〜1であることが好ましく、0.82〜0.98であることが特に好ましい。−a/bがかかる範囲にあれば、青汁飲料の緑色が鮮やかではあるが「自然な緑色」ということができる。
本実施形態に係る青汁飲料は、容器に充填された形で提供されること、すなわち容器詰飲料であることが好ましい。この場合において、使用される容器は特に限定されず、PETボトル、プラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常用いられる飲料用容器であればよい。なお、本実施形態に係る青汁飲料は、沈殿が生じ難く外観が良好であるため、透明の飲料用容器(例えば、PETボトル等)を用いてもよい。なお、本実施形態に係る青汁飲料が容器に充填された容器詰飲料として提供される場合、通常は希釈せずにそのまま飲用できるものであるが、これに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
試験1:有効成分の検討
九州産の大麦若葉の乾燥粉末1.0質量%、ケールピューレ(宮崎農協果汁社製)1.0質量%を純水1Lに添加し、十分に分散させ、下記表1に記載の通りに難水溶性食物繊維、水溶性食物繊維又はそれらの組み合わせを添加した後、純水を加えBrix1.0の青汁飲料液2Lを得た。また九州産の大麦若葉の乾燥粉末3.0質量%、ケールピューレ(宮崎農協果汁社製)1.0質量%を純水1Lに添加し、十分に分散させ、下記表1に記載の通りに難水溶性食物繊維、水溶性食物繊維又はそれらの組み合わせを添加した後、純水を加えBrix3.0の青汁飲料液2Lを得た。
得られた青汁飲料液をそれぞれUHT殺菌機で殺菌し、200mlPETボトルに充填し、青汁飲料を得た。
表1に記載に基づき調製した青汁飲料サンプルを37℃の環境で1週間保管した後、野菜飲料の開発業務に従事する、官能試験の専門パネラー7人によって、目視による沈殿の有無を実施した。
沈殿評価は、下記の評価項目で実施した。コントロールとして、難水溶性食物繊維、水溶性食物繊維を添加していない青汁飲料を37℃の環境で1週間保管したサンプルを用いた。
<沈殿の有無>
◎:沈殿の発生がほとんど確認されなかった。
○:沈殿の発生は確認されたが、コントロールよりは少なかった。
×:コントロールと同等以上の沈殿が発生していた。
Figure 2020039257
難水溶性食物繊維と水溶性食物繊維はそれぞれ単独で沈殿防止効果を示さなかったが、それぞれ一種類以上組み合わせることで顕著な沈殿防止効果が確認された。また、コントロールは沈殿が一旦発生すると分散し難い傾向がったが、沈殿防止効果が確認されたサンプルについては、沈殿が生じても容器を上下に数回振ることで容易に沈殿が分散した。そのため、難水溶性食物繊維と水溶性食物繊維を添加することにより凝集改善効果も確認された。
試験2:配合比率の検討
沈殿防止効果が確認された難水溶性食物繊維と水溶性食物繊維の組み合わせについて、配合比率の検討を行った。
九州産の大麦若葉の乾燥粉末1.0質量%、ケールピューレ(宮崎農協果汁社製)1.0質量%を純水1Lに添加し、十分に分散させ、下記表2に記載の通りにシトラスファイバー、リンゴファイバー、寒天をそれぞれ添加した後、純水を加えBrix1.0の青汁飲料液2Lを得た。また九州産の大麦若葉の乾燥粉末3.0質量%、ケールピューレ(宮崎農協果汁社製)1.0質量%、ショ糖4.0質量%を純水1Lに添加し、十分に分散させ、下記表2に記載の通りにシトラスファイバー、リンゴファイバー、オート麦ファイバー、ビートファイバー及び寒天をそれぞれ添加した後、純水を加えBrix7.0の青汁飲料液2Lを得た。
得られた青汁飲料液をそれぞれUHT殺菌機で殺菌し、200mlPETボトルに充填し、青汁飲料を得た。更に試験1と同様に37℃、1週間保管した後、目視による沈殿の有無を評価した。なお、コントロールには、シトラスファイバー、リンゴファイバー、オート麦ファイバー、ビートファイバー及び寒天を添加していない青汁飲料を37℃、1週間保管したものを使用した。
なお、表中のシトラスファイバー割合(%)、リンゴファイバー割合(%)、オート麦ファイバー割合(%)、ビートファイバー割合(%)及び寒天割合(%)は、本発明における沈殿防止剤における配合割合を示し、沈殿防止剤の合計配合量は飲料液に対する割合を示す。
Figure 2020039257
Figure 2020039257
Figure 2020039257
いずれの難水溶性食物繊維も寒天との組み合わせにおいて高い沈殿防止効果を発揮した。沈殿防止効果はBx1.0の薄い青汁において顕著であった。
続いて、寒天に加え、蒟蒻粉を配合したサンプルを調製して沈殿防止効果を確認した。
九州産の大麦若葉の乾燥粉末1.0質量%、ケールピューレ(宮崎農協果汁社製)1.0質量%を純水1Lに添加し、十分に分散させ、下記表5に記載の通りにシトラスファイバー、リンゴファイバー、オート麦ファイバー、ビートファイバー寒天、蒟蒻粉をそれぞれ添加した後、純水を加えBrix1.0の青汁飲料液2Lを得た。また九州産の大麦若葉の乾燥粉末3.0質量%、ケールピューレ(宮崎農協果汁社製)1.0質量%、ショ糖4.0質量%を純水1Lに添加し、十分に分散させ、下記表5に記載の通りにシトラスファイバー、リンゴファイバー、寒天及び蒟蒻粉をそれぞれ添加した後、純水を加えBrix7.0の青汁飲料液2Lを得た。
更に試験1及び2と同様に37℃、1週間保管した後、目視による沈殿の有無を評価した。なお、コントロールには、シトラスファイバー、リンゴファイバー、オート麦ファイバー、ビートファイバー寒天及び蒟蒻粉を添加していない青汁飲料を37℃、1週間保管したものを使用した。
Figure 2020039257
Figure 2020039257
Figure 2020039257
Figure 2020039257
表2〜4では、難水溶性食物繊維が多くなるにつれて、特にBx1.0の薄い青汁において沈殿防止効果が高まる傾向にあったが、蒟蒻粉を配合すると、難水溶性食物繊維の量を減少させても沈殿防止効果が向上することが明らかとなった。また、蒟蒻粉による沈殿防止効果はBx7.0の濃い青汁において特に顕著であった。
試験3:配合量の検討
実施例3で使用したシトラスファイバーと寒天の組み合わせを95:5の比率のまま用い、有効成分の配合量の検討を行った。
Figure 2020039257
続いて、実施例13で使用したシトラスファイバー、寒天及び蒟蒻粉の組み合わせを55:5:30の比率のまま用い、有効成分の配合量の検討を行った。
Figure 2020039257
いずれの組み合わせも、配合量の増減に関係なく高い沈殿防止効果を発揮した。

Claims (13)

  1. 水溶液における野菜又は果物の乾燥粉末の沈殿防止剤であって、
    難水溶性食物繊維と、水溶液中でゲル化する水溶性食物繊維とを有効成分とする、
    沈殿防止剤。
  2. 難水溶性食物繊維が、シトラスファイバー、リンゴファイバー、オート麦ファイバー及びビートファイバーら成る群から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の沈殿防止剤。
  3. 水溶性食物繊維が、寒天及び/又は蒟蒻粉である、請求項1又は2に記載の沈殿防止剤。
  4. 難水溶性食物繊維と水溶性食物繊維との乾燥重量比が2:98〜98:2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の沈殿防止剤。
  5. 青汁飲料における難水溶性食物繊維の含有量が乾燥重量を基準にして0.01〜0.5質量%、水溶性食物繊維の含有率が乾燥重量を基準にして0.001〜1.0質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の沈殿防止剤。
  6. 水溶液が青汁飲料である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の沈殿防止剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の沈殿防止剤を含有する青汁飲料。
  8. 大麦若葉乾燥粉末を含む、請求項7に記載の青汁飲料。
  9. 安定剤を含まない、請求項7又は8に記載の青汁飲料。
  10. 大麦若葉乾燥粉末の含有量が乾燥重量を基準にして0.2〜2.0質量%である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の青汁飲料。
  11. 容器に充填されている、請求項7〜10のいずれか一項に記載の青汁飲料。
  12. 青汁飲料を製造する方法であって、
    難水溶性食物繊維と、青汁飲料中でゲル化する水溶性食物繊維とを添加する工程を含む、方法。
  13. 青汁飲料の沈殿を防止する方法であって、
    難水溶性食物繊維と、青汁飲料中でゲル化する水溶性食物繊維とを添加する工程を含む、方法。
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