JP2008062525A - ノズルプレート、インクジェットヘッドおよびこれらの製造方法 - Google Patents

ノズルプレート、インクジェットヘッドおよびこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズルプレートおよびインクジェットヘッドの生産歩留まりを向上させること。
【解決手段】本発明のインクジェットヘッドを構成するノズルプレート1a、1bは、プレート11と、プレート11を覆う撥水膜12とを備え、撥水膜12に覆われたプレート11の面は、光学的方法によって、線状の疵が検出されない状態に表面加工されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ノズルプレート、ノズルプレートを備えたインクジェットヘッドおよびこれらの製造方法に関する。
複数のノズルを備えたインクジェットヘッドを用いて所望の位置にインクを塗布するインクジェット装置は、家庭用プリンターとして普及している。近年では、微細な金属配線の形成、有機EL(electroluminescence)素子の形成およびカラーフィルタの作製など産業的な用途へのインクジェット装置の適用が注目を集めている。インクジェット装置の産業的な用途への適用は、インクの着弾位置を高精度に制御すること、ノズルプレートの清浄度を長期間維持すること、およびノズル孔を構成する材料の耐薬品性の向上などがさらに必要であると考えられる。
インクジェット装置のインクの吐出方式としては、圧電方式および熱変換方式がよく知られている。圧電方式とは、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などを圧電体として用い、力学的な作用(圧電体の歪みによるインク室内の体積の変化)を利用してインクを吐出する方式である。熱変換方式は、ノズル内に配置したヒータを通電加熱することによって瞬間的に気泡を発生させ、発生した気泡の圧力を利用してインクを吐出する方式である。
図7を用いて従来の圧電方式のインクジェットヘッドの構成について説明する。
インクジェットヘッド108は、インク吐出機構105およびノズルプレート107から構成されており、ノズルプレート107はヘッド本体105に接合されている。また、ヘッド本体105は、圧電素子101およびカバー用圧電体102を備えている。
圧電素子101は、互いに異なる分極方向を有する上部101Aおよび下部101Bから構成されている。また、圧電素子101は、上部101Aおよび下部101Bを用いて形成される隔壁101Cを備えている。さらに、圧電素子101には、隔壁101Cのそれぞれによって区分される複数の溝が形成されている。なお、隔壁101Cの向かい合う壁面には、それぞれ1組の電極対が形成されている(図示せず)。
圧電素子101の上記溝と、圧電素子101の上部に形成されているカバー用圧電体102とに囲まれた空間がインク流路103である。また、カバー用圧電体102には、インク室104がインク流路103と接続するよう形成されており、インク室104からインク流路103へインクが供給される。
ここで、インク流路103のそれぞれと、ノズル孔106のそれぞれとを位置合わせした上で、ヘッド本体105およびノズルプレート107は接合されている。
なお、インクジェットヘッド108は、インク室104の側方からインクを供給するためのインク供給部(図示せず)を備えている。
隔壁101Cの上記電極対間に、それぞれ電圧を印加することによって、隔壁101Cが駆動して、インク流路103内の体積が変化する。これにより、インク流路103内のインクに加わる圧力が変化するので、インクはノズル孔106から吐出される。
圧電方式を採用したインクジェットヘッドを用いる場合、吐出されたインクの着弾位置を高精度に制御するためには、インクを垂直に吐出することが可能なノズル孔を、ノズルプレートに形成する必要がある。インクを垂直に吐出するためには、ノズル孔を所望の形状に形成されていること、およびノズル孔のそれぞれが同一の形状を有していることが要求される。ノズル孔を所望の形状に形成する方法としては、例えば、ノズルプレートの基材として、紫外線の吸収性に優れるポリイミドなどの高分子フィルムを用い、エキシマレーザを用いたアブレーションによって該高分子フィルムにノズル孔を形成する方法が挙げられる。
また、ノズル孔から漏れたインクがノズル孔近傍に付着し、液滴を形成することがある。ノズル孔近傍のインク液滴と、吐出されたインクとが干渉することによって、インクを垂直に吐出することができなってしまう。この不具合を回避するため、普通、撥水性材料を用いたノズルプレートの基材表面のコーティング(撥水膜の形成)などの撥液処理が、ノズルプレートの基材表面に施されている。これ以外にもさまざまな方法を用いて、ノズルプレート表面は清浄な(インクが付着していない)状態が維持されている。
例えば、吐出されたインクから微量なインクミストが発生し、インクミストがノズルプレート表面に付着する、または、着弾したインクが飛び散って、ノズルプレートにその飛沫が付着することがある。ノズルプレートに付着したインクを除去するため、ワイパーを用いてノズルプレート表面のクリーニングを行うこともある。ワイパーを用いたクリーニングはワイピングと呼ばれ、具体的には、ワイパーをノズルプレートに接触させ、ワイパーとノズルプレートとを逆方向に移動させることである。
ここで、ノズルプレートの清浄度を維持するために形成される撥水膜は、インクジェットヘッドの製造工程において、擦れなどによって物理的損傷を受け易い。例えば、上述したエキシマレーザを用いたノズル孔の形成工程およびノズルプレートとヘッド本体との接合工程などさまざまな工程において撥水膜は損傷を受ける可能性がある。撥水膜の損傷を抑制するためのノズルプレートの製造方法として、粘着性テープなどの保護部材を撥水膜へ貼り付ける方法が特許文献1に開示されている。
しかし、特許文献1の方法では、ノズルプレートの洗浄工程およびインクジェットヘッドの性能を評価する工程において、上記保護部材を取り外さなければならず、インクジェットヘッドの出荷時まで該保護部材を貼り付けておくことができない。このため、インクジェットヘッドの製造工程において、撥水膜が損傷を受ける可能性がある。
インクジェットヘッドの製造工程には、撥水膜が疵(撥水性を損なうような疵)を有するか否かを、検査する工程が含まれている。撥水膜上の疵の有無を検査する工程は、普通、光学顕微鏡などを用いて行われる。この工程において「疵有り」と判定された、ノズルプレートまたはインクジェットヘッドは、不良品として廃棄される。
特開平7−156410号公報(平成7年6月20日公開) 特開平7−81074号公報(平成7年3月28日公開)
しかし、疵の有無を検査する工程において、光学顕微鏡などを用いてノズルプレートを観察する場合、ノズルプレートの基材表面の疵と、ノズルプレートの撥水膜上の撥水性を損なう疵とを判別することができない。特に、撥水膜が薄い場合、および撥水膜が光学的に透明に近い場合など、上述の2つの疵を判別するのは困難である。
ノズルプレートの基材表面の疵は、その上に撥水膜が形成されるため、特に撥水膜の撥水性を損なうことはない。一方、ノズルプレートの撥水膜の疵は、著しく撥水性を劣化させる。従って、検査によって検出を所望する疵は撥水膜が有する疵であり、検査によって選別を所望する不良品は、撥水膜に疵を有するノズルプレートおよびインクジェットヘッドである。
上述の通り、ノズルプレートの基材表面の疵と、ノズルプレートの撥水膜の疵とを判別することが困難であるため、ノズルプレートの基材表面に疵を有するノズルプレートおよびインクジェットヘッドの両方を不良品として廃棄していた。結果として、ノズルプレートの基材表面の疵が、不良品ではないにも拘らず、ノズルプレートおよびインクジェットヘッドの廃棄率を高める原因となっていた。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルプレートの基材表面の疵と、撥水膜の疵とを判別可能にすることによって、確実に不良品のみを選別し、ノズルプレートおよびインクジェットヘッドの生産歩留まりを向上させることである。
上記課題を解決するため、本発明のノズルプレートは、プレートと、該プレートを覆う撥水膜とを備え、該撥水膜に覆われた該プレートの面は、光学的方法によって、線状の疵が検出されない状態に、表面加工されている。
ノズルプレートの製造工程およびインクジェットヘッドの製造工程において、撥水膜は他の部材と接触することによって物理的に損傷を受ける。撥水膜に形成される損傷の痕(疵)は、ほとんどの場合、線状を有している。よって、撥水膜上の疵と、プレート上の疵とを判別することが困難なのは、プレート上に線状の疵(連続した凹凸など)が存在している場合である。
ここで、光学的方法によって「線状の疵が検出されない状態」とは、光学的方法を用いて100〜1000倍程度の高倍率でプレート表面を観察しても、プレート表面に線状のコントラストが存在することを確認できない状態である。表面加工後のプレート表面が有する具体的な形状としては、線状の疵が有する凹凸の除去によって平坦化された形状、線状の疵が有する凹凸の段差をなだらかになました(凹凸とプレート表面との高低差が縮小された)形状、またはプレート表面に線状とは異なる一様な荒れが形成された形状などである。また、光学的方法とは、レンズを用いてプレート表面を拡大して観察する方法であり、具体的な観察手段としては、例えば、光学顕微鏡およびCCD撮像装置などが挙げられる。
また、プレート表面を「線状の疵が検出されない状態」にすることによって、ノズルプレート表面(撥水膜上)の線状の疵を検査する際、プレート上の線状の疵は検出されないため、撥水膜上に存在する線状の疵のみを選択的に検出することができる。
よって、撥水膜表面に線状の疵を有するノズルプレートのみを不良品と看做すことができ、プレート上にのみ線状の疵を有するノズルプレートを誤って、不良品と看做すような事態を回避することができる。つまり、良品であるにも関わらず不良品として廃棄されるノズルプレートの数が減少する。
従って、生産歩留まりを向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートにおいて、撥水膜に覆われたプレートの上記面全体は粗面加工されている。
上記構成により、プレート上に存在していた線状の疵は、粗面加工によって掻き消されている、または目立たなくされているため、撥水膜を介してプレート上の線状の疵が検出されることはない。なお、粗面加工した後のプレートの表面荒れの高低差は、粗面加工する前のプレートの表面荒れの高低差より大きくてもよい。
また、プレート表面を粗面加工することにより、ノズルプレート表面に表面荒れを形成することができる。このため、実装したノズルプレート表面をワイパーによってクリーニングする際、ノズルプレート表面と、ワイパーとの接触面積を減少させる一方で、接触圧力を上昇させることができる。つまり、ノズルプレート表面と、ワイパーとの接触条件を変えることができる。
ここで、ノズルプレート表面をワイパーによってクリーニングする際、ワイパーがスティックスリップ現象を起こすことがある。スティックスリップ現象とは、いわゆるビビリと呼ばれる現象であり、ワイパーがスティックスリップ現象を起こすことによって、ノズルプレートのクリーニングを正常に行うことができなくなる。また、スティックスリップ現象は、ノズルプレート表面と、ワイパーとの接触条件(接触面積、押圧条件、掃引速度、接触する材料など)によりその発生頻度が異なることが分かっている。
よって、プレート表面を粗面加工することにより、スティックスリップ現象の発生頻度を変化させることができる。掃引速度、押圧条件およびワイパーの材料などに合わせて、スティックスリップ現象の発生頻度が減少し得るよう、プレート表面における表面荒れの高さおよび粗さを適宜変更すればよい。この結果、ノズルプレート表面を長期間に渡って清浄な状態に維持することができる。
以上のことから、上記効果と同様の効果に加え、インクの吐出条件を長期間に渡って良好に維持し得るという効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートにおいて、上記プレートは高分子材料から構成されている。
プレートの材料としては、Siなどを用いることができるが、高分子材料は、安価な上、加工が容易であるため、プレートの材料として用いることが多い。
しかし、高分子材料から構成されたプレートは比較的柔らかく、他の材料から構成されたプレートより、作製段階において疵が付きやすい。このため、従来では、良品であるにも関わらず不良品と判定されて排除されるノズルプレートの数が非常に多くなる。
ここで、上述のようにプレートの表面が線状の疵が検出されない状態されているため、良品を誤って不良品と判定することがない。
よって、プレートを高分子材料で構成した場合、特に生産歩留まりを大きく向上させることができる効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートにおいて、上記高分子材料はポリイミドであることが好ましい。
ポリイミドは薬品による腐食や変性に対して耐性を有しているため、用途に応じて多様なインクを吐出させるインクジェットヘッドのノズルプレートに好適に使用できる。
また、ポリイミドは耐熱性の材料であるので、高温条件下おいてもプレート表面が溶融を起こして表面性が劣化(表面形状の変化など)する恐れが少ない。プレートが高温条件下におかれる場合としては、例えば、蒸着法を用いて撥水膜を形成するとき、撥水膜を高温にて焼成するとき、および、プレートと撥水膜との間に撥水膜の密度を向上させ、密着性を高め得る層をスパッタ法にて成膜するときなどである。
よって、薬品耐性および耐熱性のノズルプレートを作製することができるという効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートにおいて、上記撥水膜は、フッ素系シランカップリング剤を用いて形成されていることが好ましい。
シランカップリング剤は加水分解によってシラノール基を形成し、シラノール基とプレート上の水酸基とが縮合反応によって強固に化学結合する。つまり、プレートと、シランカップリング剤とは強固に密着する。疎水性のフッ素原子を含むフッ素系シランカップリング剤と、プレートとを結合させることによって、ノズルプレートの表面(撥水膜)に撥水性を付与することができる。
上述のように撥水膜がプレートと強固に結合するため、耐摩耗性および剥がれに対する抵抗性に優れている。よって、ノズルプレートに付着したインクの除去のためにワイパーなどを用いて、機械的にノズルプレートを繰り返し擦ったとしても、撥水膜の撥水性を長く維持することができる。
また、撥水膜を構成するフッ素系シランカップリング剤は2〜3nmの分子長を有しており、撥水膜が有する膜厚は非常に薄い。このため、フッ素系シランカップリング剤を用いて形成された撥水膜は、光学的にほぼ透明である。撥水膜が透明な場合、光学的な方法によってプレート上の疵と、撥水膜上の疵とを判別することができない。このため、不良と判定されるノズルプレートが、他の材料を用いて撥水膜を形成した場合よりも、非常に多くなる。
ここで、プレートの表面が線状の疵が検出されないよう形成されているため、良品を誤って不良品と看做すことがない。
よって、ノズルプレートの生産歩留まりをさらに向上させ、耐久性に優れ、清浄度を長く維持し得る撥水膜を備えたノズルプレートを提供できるという効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートは、上記プレートおよび撥水膜の間に、該撥水膜を密に形成するための、30nm以下の厚さを有する密着層をさらに備えていてもよい。
フッ素系シランカップリング剤は、膜または層の表面に露出している水酸基が多いほど、その膜または層に対してより密に配列される。このため、プレートと、撥水膜との間に、表面に多くの水酸基を露出させた層を形成することによって、撥水膜はプレートを密に覆うことができる。結果として、撥水膜の撥水性の向上に繋がる。
また、密着層の厚さが30nmよりも大きい場合、所望の形状にノズルを形成することが困難である。この理由は以下の通りである。密着層を構成するための材料としては、例えば、SiO、TiOなどの無機酸化物が挙げられる。普通、これらの無機酸化物は、構成原子間の結合エネルギーが高いため、エキシマレーザを用いたノズル形成(アブレーション加工)が困難である。結果として、インクの吐出角度を厳密に調節し得ない。
しかし、本願発明者らは、無機酸化物を用いて密着層を形成する場合であっても、厚みが30nm以下であれば、ノズルを加工する際に、ノズルの形状を良好に維持できることを確認している。
よって、上記効果に加え、より優れた撥水性、および所望のノズル形状の形成を実現できるという効果を奏する。
また、本発明に係るインクジェットヘッドは、上記ノズルプレートを備えている。
ノズルプレートの撥水膜は、インクジェットヘッドの製造工程(ノズル孔の形成工程、ノズルプレートとインクジェット本体との接合工程など)において他の部材との接触などによって、線状の疵が形成されやすい。
しかし、プレート上の線状の疵は、検出されない状態に形成されているので、線状の疵を有する撥水膜を備えたインジェットヘッドのみを容易に判別し得る。
よって、インクジェットヘッドの生産歩留まりを向上させることができるという効果を奏する。
上記課題を解決するために本発明のノズルプレートの製造方法は、プレートに撥水膜を形成する工程を包含し、撥水膜を形成する該工程の前に、該プレートの該撥水膜によって覆う面に存在する線状の疵を除去する工程を包含する。
ノズルプレートの製造工程(ノズル孔を形成する工程、ノズルプレートを所望のサイズに切り出す工程など)において撥水膜に形成される疵は、他の部材との擦れによって形成される線状の疵がほとんどであるため、プレート上の線状の疵を除去すれば、撥水膜の疵と、プレートの疵とを判別し得る。
ここで、「線状の疵を除去する」とは、光学的方法を用いて、検査対象に線状のコントラストが存在していることを確認できない状態にすることであり、プレート表面が有する具体的な形状としては、線状の疵が有する凹凸の除去によって平坦化された形状、線状の疵が有する凹凸の段差をなだらかになました(凹凸とプレート表面との高低差が縮小された)形状、またはプレート表面に線状とは異なる一様な荒れが形成された形状などである。
プレート上から線状の疵が除去されているため、撥水膜上の線状の疵のみを選択的に検出することができる。これにより、撥水性を低下させる損傷を有しているノズルプレートと、良品とを容易に判別することができる。
よって、上記ノズルプレートと同様の効果を奏する。
また、プレートの表面に撥水膜を形成する工程と、該プレートを用いてノズル孔を有するノズルプレートを作製する工程と、ノズルプレート表面の疵の有無を検査する工程と、を有するインクジェットヘッドの製造方法においては、プレートの表面に撥水膜を形成する工程の前に、プレートの表面に初期から存在する線状の疵を除去することになる。
このため、プレートに撥水膜を形成する工程以降、例えば、該撥水膜付のプレートにノズル孔を形成した後、ノズルプレートを所望のサイズに切り出す工程や、前記ノズルプレートをインクジェットヘッドの本体と接合する工程、等の前記撥水膜を形成した後のインクジェットヘッドの製造工程において発生するノズルプレート表面の線状の疵を、さらに後段に設定される検査工程において検出できる。さらには、プレートの表面に初期から存在する線状の疵によって、インクジェットヘッドを不良品と判定させることがなくなり、結果として良品率を向上させることができる。
また、本発明のノズルプレートの製造方法において、撥水膜を形成したプレートにノズル孔を形成する工程と、ノズル孔を形成する該工程の後、光学的手法によってノズルプレート表面の線状の疵の有無を検査する工程をさらに包含する。
上述のように、プレート上の線状の疵が除去されているので、光学的方法によってプレート表面を検査しても、プレート表面に線状のコントラストが検出されることはない。なお、光学的方法とは、レンズを用いてプレート表面を拡大して観察する方法であり、具体的な観察手段としては、例えば、光学顕微鏡およびCCD撮像装置などである。
よって、上記ノズルプレートの製造方法と同様の効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートの製造方法において、線状の疵を除去する上記工程は、線状の該疵を平坦化する処理を含んでいる。
上記構成により、プレート表面が有する線状の疵が平坦化されているため、プレート表面から線状の疵が検出されることはない。
また、線状の疵が、ノズル孔の形成を所望するプレート上の領域に存在する場合、ノズル孔を所望の形状に形成し得ない恐れがある。このため、プレート表面が平坦化されていることによって、所望の形状を有するノズル孔を容易に形成することができる。
よって、安定したインクの吐出性能を有するノズル孔の形成が容易になるという効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートの製造方法において、プレート表面の線状の疵を除去する上記工程は、該プレートのアルカリ溶液への浸漬を含んでいることが好ましい。
上記方法であれば、プレートをエッチング液に浸漬させるという、簡便かつ安価な手法を用いてプレート上の線状の疵を除去することができる。
また、プレートを構成する材料が高分子材料のように可堯性に富む材料であれば、エッチング溶液槽にプレートを丸めて挿入することによって、大面積のプレートをエッチング溶液に浸漬させることができる。このため、大面積のプレートが有する線状の疵を、一度のエッチング処理にて、除去することができる。
製造工程の簡略化、および製造効率の向上を達成することができるという効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートの製造方法において、プレート表面の線状の疵を除去する上記工程は、該プレートにプラズマ処理をすることを含み、プレート表面の線状の疵を除去する該工程、および撥水膜を形成する上記工程は、同一装置内にて行われることが好ましい。
プラズマ処理によってプレート表面の線状の疵を除去する工程、およびプレート上に撥水膜を形成する工程を、同一装置内にて行うので、2つの工程を連続的に行うことができる。
また、2つの工程を同一装置内にて行うので、プレートの搬送、撥水層を形成する装置へのセッティングなどが不要であるため、線状の疵を除去したプレートに再度、線状の疵が形成されることを防ぐことができる。
よって、製造工程の簡略化および生産歩留まりのさらなる向上を達成するという効果を奏する。
また、本発明のノズルプレートの製造方法は、プレート表面の線状の疵を除去する上記工程の後に、該プレートの線状の疵を除去した面に対して、該撥水膜を密に形成するための、30nm以下の厚さを有する密着層を形成する工程をさらに包含し、プレート表面の線状の疵を除去する該工程、密着層を形成する該工程、および撥水膜を形成する上記工程は、同一装置内にて行われることが好ましい。
上記構成によれば、プレート表面の線状の疵を除去する工程、密着層を形成する工程および撥水膜を形成する工程を連続的に行うことができる。また、3つの工程を同一装置で行うことができるので、プレートの疵を除去した後、再度プレート上に疵がつくこと防ぐことができる。また、プレートの搬送時に撥水膜が他の部材と接触するような機会を減少させることができる。
さらに、プレート上の疵を除去する工程に含まれるプラズマ処理は、処理装置内部を真空状態にして行う。このため、密着層を形成する工程および撥水膜を形成する工程に用いる手法がスパッタ法および蒸着法などの真空雰囲気にて行う手法であれば、大気開放の必要がなく、連続的に装置内部の雰囲気を変更することができる。
よって、製造工程の所要時間を大幅に短縮、製造工程の簡略化、および生産歩留まりのさらなる向上を実現することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記方法を用いて作製されたノズルプレートを接合する工程を包含する。
ノズルプレートの撥水膜は、インクジェットヘッドの製造工程(ノズル孔の形成工程、ノズルプレートとインクジェット本体との接合工程など)において他の部材との接触などによって、線状の疵が形成されやすい。
しかし、プレート上の線状の疵が除去されているので、線状の疵を有する撥水膜を備えたインジェットヘッドのみを容易に判別し得る。
よって、インクジェットヘッドの生産歩留まりを向上させることができるという効果を奏する。
以上のように本発明ノズルプレートはプレートと、該プレートを覆う撥水膜とを備え、該撥水膜に覆われた該プレートの面は、光学的方法によって、線状の疵が検出されない状態に、表面加工されているので、ノズルプレートの検査工程において、プレート表面からは疵が検出されず、ノズルプレートの撥水膜が有する線状の疵(凹凸など)を検出することができる。よって、良品を不良品と看做して廃棄してしまうことがないので、ノズルプレートおよびインクジェットヘッドの生産歩留まりを実質的に向上させ得る。
また、本発明のノズルプレートの製造方法は、プレートに撥水膜を形成する工程を包含し、撥水膜を形成する該工程の前に、該プレートの該撥水膜によって覆う面に存在する線状の疵を除去する工程を包含しているので、ノズルプレートの検査工程において、プレート表面からは疵が検出されず、ノズルプレートの撥水膜が有する線状の疵(凹凸など)のみを検出することができる。よって、上記ノズルプレートが奏する効果と同様の効果を奏する。
以下に図1〜3を参照して本発明の実施の形態について説明する。実施の形態において行う説明は本発明の理解を容易にするための例示であって、本発明に含まれ得る範囲を制限するものではない。本発明に含まれ得る範囲は、添付の「特許請求の範囲」の記載に従って解釈されるべきものであり、「特許請求の範囲」の記載と実質同一のもの、ならびに「特許請求の範囲」および本明細書の記載から当業者であれば容易に想到し得る、変更および組み合わせなどを含む。
〔実施の形態1〕
本発明に係るノズルプレート1aおよび1bについて図1を参照して以下に説明する。
図1(a)は、ノズルプレート1aが備える膜の構成を示した図であり、ノズル孔形成前のノズルプレート1aは、基材となるプレート11、プレート1の面11aへのインクの付着を抑制するための撥水膜12を備えている。また、ノズルプレート1aは、プレート11と、撥水膜12との間に撥水膜12を構成する撥水性材料を密に配列させるための密着層13を、さらに備えている。
プレート11は、インクを塗布する対象物と向かい合う面11aと、面11aの反対側にインクジェットに接合するための面とを有している。面11aの表面は、撥水膜12の形成後に光学的方法によって、線状の疵が検出されないような状態に表面加工されている。
ここで、光学的方法によって、「線状の疵が検出されない状態」とは、光学的な検査方法を用いて、検査対象に線状のコントラストが存在することを確認できない状態であり、プレート11表面が有する具体的な形状としては、線状の疵が有する凹凸の除去によって平坦化された形状、線状の疵が有する凹凸部の段差をなだらかになました(凹凸とプレート11表面との高低差が縮小された)形状、またはプレート11表面に線状とは異なる一様な荒れが形成された形状などである。上述のような表面の状態を有している面11aを覆うよう撥水膜12を形成することによって、撥水膜12上に存在する線状の疵のみを選択的に検出することができる。
なお、「線状の疵」とは、線形状を有していればよく、直線、曲線、折れ線(折れ曲がり線)およびこれらの複数の組み合わせであってもよい。
また、撥水膜12上に存在する疵は、ノズルプレートの製造工程において、撥水膜12と、他の部材との擦れなどによって形成される。撥水膜12の疵は、撥水膜12の撥水性を劣化させてしまうので、ノズルプレート1aのインクを吐出する面にインクが付着し易くなる。結果として、ノズル孔からインク塗布対象物に対して垂直にインクを吐出する精度を低下させてしまう。よって、撥水膜12上に撥水性を損なうような疵のあるノズルプレート1aは不良品として廃棄される。
しかし、撥水膜12は非常に薄く、かつ透明な材料から形成されることが多く、撥水膜12上の疵と、プレート11上の疵とを判別するのは非常に困難である。このため、疵の検査を行って不良品を選別する際、プレート11上にのみ疵を有しているノズルプレート1aを誤って廃棄してしまうことがある。実際には、プレート11上の疵は、ノズルプレート1aの品質に重大な影響を与えないため、良品と看做しても問題はない。
また、ノズルプレートの製造工程において形成される撥水膜12表面の疵は、他の部材との接触(擦れ)によって形成されることが多いので、連続した凹凸が線状に並んだ形状であることが非常に多い。このため、プレート11の面11aが、撥水膜12を介して線状の疵を検出し得ないよう形成されていれば、撥水膜12上の疵と、プレート11の面11a上の疵とを判別し得ない可能性は非常に低い。
以上のように、プレート11の面11aが、線状の疵が検出されないよう形成されているため、プレート11を基材として用いた場合、ノズルプレート1aの実質的な生産歩留まりを向上させることができる。
プレート11の面11aを線状の疵が検出されないよう形成(線状の疵を除去)する方法は、プレート11の面11aの平坦化および粗化などである。プレート11の面11aの平坦化または粗化は、プレート11のエッチングによって行うことができる。また、プレート11の面11aにおける線状の疵を除去(平坦化または粗化)するためには、プレート11の材料に応じて、以下に例示するような従来公知のエッチングの手法から適宜選択すればよい。
プレート11のエッチングには、ウェットエッチングおよびドライエッチングのどちらを用いてもよい。
ウェットエッチングの手法としては、アルカリ溶液への浸漬などが挙げられ、採用し得るアルカリ溶液としては、例えば、ポリイミドフィルムをプレート11として用いた場合、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン、ヒドラジン1水和物、ジメチルアミン溶液、N,N−ジメチルホルムアミドから構成されるエッチング液、エタノールアミンならびに水酸化カリウムから構成されるエッチング液などを挙げることができる。また、市販のエッチング溶液を用いてもよく、例えば、ポリイミドケミカルエッチング液TPE3000(東レエンジニアリング社製)などを挙げることができる。
ドライエッチングの手法としては、プラズマ処理などが挙げられ、採用し得るプラズマ処理の手法としては、例えば、Arなどの希ガスを用いたプラズマを発生させ、交流電界を印加することによって該プラズマ内の荷電粒子をプレート11に衝突させる物理的なエッチングなどの手法が挙げられる。また、プレート11が高分子材料から構成されている場合、上記希ガスにOを添加して物理的および化学的エッチングを行ってもよい。具体的には、生成した活性状態のO原子またはO分子を、プレート11を構成する高分子材料に作用させることによってエッチングを行う。物理的および化学的エッチングを行うことによって、プレート11のエッチング処理の時間を短縮できる。
なお、プレート11としてポリイミドフィルムを用い、ポリイミドケミカルエッチング液TPE3000へプレート11を浸漬(プレート11の両面を10μm程度エッチング)した場合、プレート11の面11aは平坦化される。また、アッシング処理(酸素を添加したプラズマ処理)を行った場合、プレート11の面11aは粗化される。
ここで、プレート11の面11aの平坦化または粗化を行った場合、それぞれ疵の除去に加え、以下のような利点がある。
プレート11の面11aを平坦化することによって、面11aの線状の疵に起因する凹凸が除去されているため、ノズル孔を形成する工程において、容易にノズル孔を所望の形状に形成することができる。
プレート11表面を粗面加工することにより、表面に荒れを有するノズルプレート1aを形成することができる。このため、実装したノズルプレート1a表面をワイパーによってクリーニングする際、ノズルプレート表面と、ワイパーとの接触条件を変えることができる。よって、ノズルプレートのクリーニングの精度を低下させるワイパーがスティックスリップ現象を起こすことを抑制し得る。
よって、プレート11表面を粗面加工することにより、ワイパーがスティックスリップ現象を起こす頻度を変化させることができる。掃引速度、押圧条件およびワイパーの材料に合わせて、ワイパーがスティックスリップ現象を起こす頻度を減少させ得るよう、粗面加工によって形成するプレートの表面荒れの高さを適宜変更すればよい。この結果、ノズルプレート表面を長期間に渡って清浄な状態に維持することができる。
プレート11の材料としては、高分子材料およびSiなど従来公知のさまざまな材料を採用し得るが、248nmの波長を有するエキシマレーザを用いた加工が容易である高分子材料を採用することが好ましい。高分子材料の中でも、上記エキシマレーザを用いた加工が特に容易であること、耐熱性であること、薬品による腐食および変性などに耐性であることから、プレート11の材料としてポリイミドを採用することがより好ましい。高分子材料の中でもポリイミドは(1)ノズルプレート1aの製造工程(密着層の形成、撥水膜の焼成など)にて行われる熱処理によって、溶融に伴う表面の形状の変化を起こしにくい(耐熱性に特に優れる)こと、(2)薬品との接触によって腐食および変性などを起こしにくい(耐薬品性に優れる)ため、インクとして採用し得る材料の選択範囲が広いこと、などがプレート11としてポリイミドフィルムを用いた場合の利点として挙げることができる。
プレート11として用いるポリイミドフィルムは、市販のフィルムから選択すればよく、例えば、宇部興産社製ユーピレックス、カネカ社製アピカル、デュポン社製カプトンなどが挙げられる。
また、プレート11は、構成する材料に応じて適切な厚さに形成すればよい。例えば、ポリイミドフィルムをプレート11として用いる場合、厚さ20μm〜100μm程度に形成すればよい。厚さ20μmを下回るとノズルプレート1aの強度が低下してしまう。また、厚さ100μmを上回ると、ノズル孔形成のためのエキシマレーザを用いた加工時間が長くなるため、生産効率を低下させる。つまり、厚さ20μm〜100μm程度に形成したポリイミドフィルムは、適度な強度を維持し、かつ短い時間でノズル加工することができる。
撥水膜12は、プレート11の面11aに撥水性を付与できる膜であればよく、プレート11の材料などに応じて、従来公知の材料または試薬から好適なものを適宜選択して形成されてもよい。撥水膜12は、フッ素系シランカップリング剤を用いて形成されることが好ましい。フッ素系シランカップリング剤を用いて形成した撥水膜12は、プレート11と化学的に結合するため、機械的な力(摩擦など)による剥がれを生じにくい。よって、ワイパーを用いたノズルプレート表面のクリーニングを繰り返し行っても撥水性が劣化することがない。つまり、ワイピング耐性に優れた撥水膜12を形成することができる。
フッ素系シランカップリング剤は、Si原子を含有するフッ素ポリマーであって、該Si原子は、加水分解を受けることによってシラノール基(Si−OH)を形成するような側鎖を、少なくとも1つ有している。撥水膜12を形成するために用い得るフッ素系シランカップリング剤は、一般に、YSiX4−n(n=1、2、3)で表される化合物であり、好ましくは、YSiXで表される化合物である。なお、Yはフッ素原子を含む側鎖から構成されている。
上記化学式の内、Yはフッ素原子を含む側鎖であればよく、例えば、Yは、CFCFCFCFCHCH、CFCFCFCFCFCFCHCH、CFCFCFCFCFCFCFCFCHCH、CFCFCFCFCFCFCFCFCFCFCHCH、(CFCFCFCFCFCFCHCH、(CFCFCFCFCFCFCFCFCHCH、または(CFCFCFCFCFCFCFCFCFCFCHCHなどから選択されてもよい。
また、Yが直鎖状であって、その直鎖が長いシランカップリング剤は、高い撥水性を有している。このため、例えば、Yは、CFCFCFCFCFCFCFCFCHCHまたはCFCFCFCFCFCFCFCFCFCFCHCHなどから選択されることが好ましい。Yが直鎖状であって、その直鎖が長いシランカップリング剤は、プレート11表面に高い密度で配列させることができるため、結果として、臨界表面エネルギーの低いCF基が撥水膜表層において高密度に配列し得るためであると考えられる。
また、Xは加水分解を受けてシラノール基を形成する性質を有していればよく、例えば、XはCl、OCHまたはOCHCHなどから選択されてもよい。
なお、シランカップリング剤一分子中にシラノール基が3つ存在する場合、自己縮合を起こすことによって、プレート11と結合しない分子を多数、生じることがある。これを回避するために、シラノール基同士の反応性を調節し得るよう、Si原子は加水分解しないCHを1または2つ有していてもよい。
そして、撥水膜12を構成するフッ素系シランカップリング剤としては、上記XおよびYを組み合わせた各種Si化合物から適宜選択すれば良い。
また、撥水膜12を形成するためのフッ素系シランカップリング剤として、YSiX4−n(n=1、2、3)で表される化合物以外の化合物を用いてもよく、例えば、Si原子を2つ以上有するものから選択されてもよい。
例えば、
で表される化合物は、加水分解によってシラノール基を形成するSi原子を2つ有しているため、プレート11との結合をより強固なものにすることができる。
フッ素系シランカップリング剤を用いた撥水膜12の形成の方法としては、例えば、以下のような手順によって行えばよい。(1)プレート11に対して紫外線照射または軽度のアッシング処理を行い、反応基(水酸基)をプレート11表面に露出させ、(2)プレート11表面に露出させた水酸基と、加水分解を受けたフッ素系シランカップリング剤とを縮合反応させる。
なお、(1)のようにプレート11に紫外線照射または軽度のアッシング処理を行っても、撥水膜12を密に形成することができない(表面に露出する水酸基の数が少ない)場合、表面上に水酸基を密に露出させ得る密着層13を、プレート11と、撥水膜12の間に設けてもよい。密着層13の詳細な説明は、撥水膜12に関する記載の後に行っている。
(2)の方法としては、従来公知の方法を採用すればよく、例えば、ディッピング、スピンコートまたは蒸着法などを挙げることができる。
(2)において、高濃度のフッ素系シランカップリング剤を用いた場合、フッ素系シランカップリング剤同士の縮合反応が進行し易くなる。これにより、プレート11の面11aに対して高密度撥水膜12を形成することが困難になる。よって、有機溶媒を用いてフッ素系シランカップリング剤を適当な濃度に希釈することが好ましい。
フッ素系シランカップリング剤を希釈するための有機溶媒としては、フッ素系溶剤(クロロフルオロカーボンおよびパーフルオロヘキサンなど)、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ベンゼン、トルエンおよびクロロホルムなどが挙げられる。
なお、市販の希釈済フッ素系シランカップリング剤を用いてもよく、例えば、オプツールDSX(ダイキン工業社製)およびフロロサーフFG−5010(フロロテクノロジー社製)などが挙げられる。市販の製品を用いれば、フッ素系シランカップリング剤を合成する必要がないため、簡便である。
フッ素系シランカップリング剤の濃度は、20%を下回る程度であることが好ましい。ディッピングまたはスピンコートのように溶液をプレート11の面11aに接触させて撥水膜12を形成する場合、フッ素系シランカップリング剤の濃度は、1%以下であることが好ましい。
また、ディッピングまたはスピンコートのように溶液をプレート11の面11aに接触させて撥水膜12を形成した場合、撥水膜の形成後、フッ素系シランカップリング剤を希釈するための有機溶媒を用いて洗浄することが好ましい。上記洗浄を行うことによって、プレート11の面11aに残留した余剰のシランカップリング剤を除去することができる。
また、プレート11または密着層12と結合させたフッ素系シランカップリング剤にシロキサンネットワークを形成させることによって、形成した撥水膜12を安定化してもよい。形成した撥水膜12を安定化する方法としては、例えば、約50〜100℃で約1〜2時間加熱処理を行うこと、または、常温で約1日以上、大気雰囲気中に放置することなどが挙げられる。
なお、プレート11の面11aにのみ撥水性が付与されていることが好ましい。つまり、プレート11の面11aとは反対側の面(プレート11の裏面)と、フッ素系シランカップリング剤とは、結合していないことが好ましい。これは、プレート11の裏面にフッ素系シランカップリング剤が回りこむことによって、プレ−ト11裏面に撥水性が付与されるという問題が生じるためである。
スピンコートによって撥水膜12を形成する場合、フッ素系シランカップリング剤が、プレート11の面11aにのみ塗布すればよい。例えば、プレート11を、プレート11より大きなガラス板に載置し、プレート11の外周全域を粘着性テープを用いて貼着固定した状態で、フッ素系シランカップリング剤を含む溶液をスピンコートによって塗布すればよい。また、例えば、プレート11の裏面側全体を粘着テープおよびレジストなどで覆った状態で、スピンコートによってフッ素系シランカップリング剤を含む溶液を塗布すればよい。
また、プレート11全体に撥水性の膜を形成し、プレート11の裏面側に形成された撥水性の膜を除去しても良い。例えば、粘着テープをプレート11の面11aに貼着することによって保護した状態で、プラズマアッシングを用いてプレート11の裏面側に形成された撥水性の膜だけを除去すればよい。
上述したように、一般に、上記紫外線照射またはアッシング処理を行っても、プレート11の面11aに露出させ得る水酸基の密度が低いため、十分な撥水性を有する撥水膜12を形成することは困難である。このため、プレート11と、撥水膜12の間に、水酸基を高密度に露出させ得る材料(SiO、TiOなどの無機酸化物)から構成される密着層13を形成することが好ましい。
なお、上記無機酸化物は構成原子間の結合エネルギーが高いため、248nmの波長を有するエキシマレーザを用いて加工することが困難である。上記無機酸化物から構成される密着層13は、極力薄く形成されていることが好ましく、例えば、厚さ30nm以下に形成されていることが好ましい。密着層13の厚さが30nmを上回る場合、ノズル孔を所望の形状に形成することが困難になる。また、密着層13に上記シランカップリング剤を密に配列させるためには、密着層13の厚さが、約5nm以上に形成されていることが好ましい。プレート11の表面粗さ、密着層13の成膜条件、および密着層13の成膜方法などによって多少異なるが、密着層13の厚さが5nmを下回る場合、密着層13を連続膜として形成することが困難である。密着層13を連続膜として形成いえない場合、密着層13に配列されるフッ素系シランカップリング剤の密度が小さくなる恐れがある。
密着層13を形成する方法としては、所定の膜厚を有する上記無機酸化物の膜を形成することができる方法であればよく、例えば、スパッタ法などを挙げることができる。スパッタ法を用いて密着層13を形成する場合、無機酸化物をターゲットとして用い、スパッタ成膜すればよい。また、Si、Tiなど酸化されていない無機物をターゲットとして用いてもよい。この場合、酸素を導入しながらスパッタ成膜を行う反応性スパッタ法を用いてもよく、酸化されていない無機物膜に対して酸化プラズマを用いた酸化処理を行ってもよい。
また、ノズルプレート1aは、プレート11上に形成した撥水膜12を覆う保護膜を備えていることが好ましい(図示せず)。上記保護膜を備えることによって、ノズルプレート1aの搬送、ノズルプレート1aへのノズル孔の形成、および、ノズル孔を形成したノズルプレートの切断などの際、他の部材との接触によって撥水膜12が損傷を受けることを回避することができる。
次に、図1(b)に示すようにノズル孔14を形成したノズルプレート1bは、図1(a)のノズルプレート1aにノズル孔14を形成したものである。
ノズル孔14は、ノズルプレート1bを接合する部材が有するインク流路のピッチに合わせて、そのピッチおよび数を適宜選択してノズルプレート1bに形成されている。ノズル孔14は、ノズルプレート1bの撥水膜12が形成された面(またはその反対側の面)から見ると円形を有している。
また、ノズル孔14の直径は、所望するインク吐出量に応じて適宜選択すればよい。ノズル孔14は、例えば、エキシマレーザの照射によって形成すればよい。この場合、ノズル孔14の形成を所望しない領域をマスクすることによって、所望の直径を有するノズル孔14を、ノズルプレート1bの所望の場所に形成することができる。つまり、ノズル孔14の直径は、マスクサイズによって規定されている。
なお、ノズルプレート1bをインクジェットヘッドに用いる場合、ノズル孔14を直径10μm〜100μmを有するよう形成すればよい。
〔実施の形態2〕
本発明に係るノズルプレートの製造方法について図2を参照して以下に説明する。
図2に示すように、第1工程として、プレート11を準備する(S21)。
第1工程はプレート11の準備であり、実施の形態1において示した材料からプレート11を形成するのであっても、市販のフィルムなどを購入してプレート11として用いるのであってもよい。準備したプレート11は、形成工程および搬送において擦れなどによる線状の疵(線状に並んだ凹凸など)を有していることが十分に予想される。実施の形態1において説明したように、プレート11の疵は、実装したときの動作に重大な悪影響を与えないにも関わらず、ノズルプレート1aおよび1bの疵の検査工程において不良品と判定される可能性が高い。よって、生産歩留まりを向上させるために、撥水膜12の形成工程の前にプレート11の疵を除去する工程を行う。
上記目的のために第2工程において、プレート11の面11aの線状の疵を除去する(S22)。
第1工程において準備したプレート11が有する面の内、インクを塗布する対象物と対向させる面(面11a)に存在する線状の疵を除去する。本明細書において「線状の疵を除去」するとは、実施の形態1において説明した「光学的方法によって、線状の疵が検出されない状態」にすることと同義に用いている。よって、プレート表面が有する具体的な形状としては、線状の疵が有する凹凸の除去によって平坦化された形状、線状の疵が有する凹凸とプレート表面との高低差が縮小された形状、またはプレート表面に表面荒れが形成された形状などである。従って、プレート11の面11aの線状の疵を除去することによって、ノズルプレート1a、1bの生産歩留まりを向上させ得る。
線状の疵を除去する方法として採用し得る方法は、実施の形態1において説明した通りである。
第3工程として、線状の疵を除去したプレート11の面11aに撥水膜12を形成する(S25)。
撥水膜12は、実装時においてノズルプレート1bのインク吐出側の面にインクが付着することを抑制し、インク吐出側の面の清浄度を維持するために形成されることは、実施の形態1において説明した。
また、撥水膜12の形成方法および撥水膜12を構成する材料として好適に採用し得るものについても、実施の形態1において説明した通りである。
なお、フッ素系シランカップリング剤を用いて撥水膜12を形成する場合、S23と、S25との間に、密着層13を形成する工程(S23a)を設けてもよい。これにより、ノズルプレートの撥水性をより向上させることができる。
第4工程として、撥水膜12によって覆われているプレート11にノズル孔14を形成する(S27)。
ここで、S27において、撥水膜12に疵が付き易い。よって、S27を行う前に、撥水膜12上に粘着性のテープを貼着することによって、撥水膜を保護することが好ましい。
S27の終了によって、ノズルプレート1bの形成が完了する。
ここで、ノズルプレート1b表面の検査は、光学顕微鏡を用いてノズルプレート1bの形成完了直後(ノズルプレート1bの切り出し前)に行えばよい。この場合、フィルム状のノズルプレート1bを検査するので、平らで取り扱い易く、光学顕微鏡にて高倍率で仔細に検査を行うことができる。また、例えば、ノズルプレート1bをヘッド本体に接合することによって、インクジェットヘッドを形成した後、実態顕微鏡を用いてノズルプレート1b部分の検査を行ってもよい。この場合、インクジェットヘッドは立体的な構造物であるため、光学顕微鏡を用いて仔細に検査することが困難だが、すでに製品としての最終形態となっているので、撥水膜12にさらに疵が付く危険性が低い。もちろん、1つのノズルプレート1bに対して、上述の2つの検査をそれぞれ行ってもよい。
〔実施の形態3〕
本発明に係るインジェットヘッドについて図3を参照して以下に説明する。
図3に示すように、インクジェットヘッド2は、実施の形態1および2において説明したノズルプレート1bと、インクジェット本体3から構成されている。なお、ノズルプレート1bは、インクジェット本体3に合わせて、予め、エキシマレーザやナイフを用いて切断したものを用いている。なお、ノズルプレート1bと、インクジェット本体3とは、接着剤を用いて接着されている。
圧電素子4は、互いに異なる分極方向を有する上部41および下部42から構成されている。また、圧電素子4は、上部41および下部42を用いて形成される隔壁43を備えている。さらに、圧電素子4には、隔壁43のそれぞれによって区分される複数の溝が形成されている。なお、隔壁43の向かい合う壁面には、それぞれ1組の電極対が形成されている(図示せず)。
圧電素子4の上記溝と、圧電素子4の上部41に形成されているカバー用圧電体6とに囲まれた空間がインク流路5である。また、カバー用圧電体6には、インク室61がインク流路5と接続するよう形成されており、インク室61からインク流路5へインクが供給される。
隔壁5によって区切られている複数のインク流路5のそれぞれに対向するよう、ノズルプレート1bにはノズル孔14が形成されており、上記電極対に電圧を印加することにより隔壁5が駆動しインク流路5内に充填されているインクがノズル孔14を介して吐出される。
〔その他の構成〕
なお、本発明は、以下の構成であっても実現可能である。
(第1の構成)
撥水膜が表面に形成されたノズルプレートを有するインクジェットヘッドであって、前記ノズルプレートが、ノズルプレート用基材に存在する線状の疵を表面処理によって除去されてなるノズルプレートであるインクジェットヘッド。
(第2の構成)
前記ノズルプレートの基材が高分子材料である第1の構成に係るインクジェットヘッド。
(第3の構成)
前記ノズルプレートの基材がポリイミドである第2の構成に係るインクジェットヘッド。
(第4の構成)
前記ノズルプレート表面に形成する撥水膜は、フッ素系シランカップリング剤を用いて形成された第1〜3のいずれか1つの構成に係るインクジェットヘッド。
(第5の構成)
前記ノズルプレート表面には、30nm以下の密着層を介して撥水膜が形成されている第4の構成に係るインクジェットヘッド。
(第6の構成)
ノズルプレート用基材の表面に撥水膜を形成する工程と、該ノズルプレート用基材を用いてノズル孔を有するノズルプレートを作製する工程と、前記ノズルプレート表面の疵の有無を検査する工程と、を有するインクジェットヘッドの製造方法であって、前記ノズルプレート用基材の表面に撥水膜を形成する工程の前に、前記ノズルプレート用基材の表面に存在する線状の疵を除去する工程を有するインクジェットヘッドの製造方法。
(第7の構成)
前記線状の疵を除去する工程は、前記疵を平坦化する工程である第6の構成に係るインクジェットヘッドの製造方法。
(第8の構成)
前記線状の疵を除去する工程は、ノズルプレート用基材表面全体を粗化する工程であるだい6の構成に係るインクジェットヘッドの製造方法。
(第9の構成)
前記線状の疵を除去する工程は、アルカリ溶液に浸漬する工程である第6〜8のいずれか1つの構成に係るインクジェットヘッドの製造方法。
(第10の構成)
前記線状の疵を除去する工程は、プラズマ処理を行う工程であり、前記ノズルプレート用基材の表面に撥水膜を形成する工程は、前記プラズマ処理を行ったプラズマ処理装置内部で行う第6〜9のいずれか1つの構成に係るインクジェットヘッドの製造方法。
(第11の構成)
前記プラズマ処理を行う工程の後に、前記プラズマ処理を行ったプラズマ処理装置を用いて、ノズルプレート用基材表面に30nm以下の密着層を形成する工程を有する第10の構成に係るインクジェットヘッドの製造方法。
図4を用いてプレートを薬液処理によってエッチング処理した実験結果を以下に示す。
プレートとして、宇部興産社製ユーピレックス50Sを約A5サイズ程度のサイズに切り出したものを用いた。プレートを、約80℃のポリイミドケミカルエッチング液TPE3000(東レエンジニアリング社製)に4分間浸漬した。上記エッチング液への浸漬により、プレートの両面は約10μmエッチング処理された。
図4は、エッチング処理前および処理後のプレートの顕微鏡写真である。なお、長方形の加工跡はサイズ100μm×500μmで、観察場所を特定するためのマーキングとして形成した。エッチング処理前のプレート表面には、直線および曲線など線状の疵が観察されたが、エッチング処理後のプレート表面には疵は検出されなかった。これにより、エッチング処理によって疵が除去されることが確認された。
また、接触式段差計を用いて、エッチング処理前および処理後のプレート表面の粗さを計測した。エッチング処理前および処理後のプレート表面の表面粗さ(P−V)はともに0.1μm以下と平滑であり、エッチング処理によって、ノズル孔形成時に、ノズル孔を所望の形状に形成し得ないような影響を与える表面荒れは発生していなかった。
図5を用いて密着層の材料してSiOを選択した場合、所望のノズル孔を形成し得る密着層の厚さを調べた結果について説明する。
図5は、ノズルプレート撥水膜が形成されていない面に対して、エキシマレーザ(波長248nm)を照射した後のノズル孔周辺のSEM観察写真である。なお、エキシマレーザは、約0.6J/cmのエネルギーで、約500回照射した。
プレートとして、ユーピレックスS50(宇部興産社製)を用いた。4つのプレートにSiOから構成される密着層を、それぞれ異なる厚さ(3、5、30、100nm)になるよう、スパッタ法を用いて成膜した。密着層の形成後、蒸着法を用いてフッ素系シランカップリング剤を用いて撥水膜を形成した。
密着層の膜厚が3、5、30nmである場合、加工後のノズル孔周辺に、加工ムラなどは観察されなかった。一方、密着層の膜厚が100nmである場合、ノズル孔のエッジにバリのような加工ムラが観察され、ノズル孔は真円性が著しく低下した形状を有していた。つまり、密着層の膜厚が30nmを超えると、ノズル孔を所望の形状に形成することが非常に困難になることが分かった。
本来、SiOはエキシマレーザ(波長248nm)では加工が困難であるため、極力密着層の膜厚は薄く形成されることが好ましく、30nm以下の膜厚であれば所望の形状を有するノズル孔の形成が可能である。
図6を用いてノズル孔形成後のノズルプレート表面を、図7を用いて撥水膜形成後のノズルプレート表面を観察した結果について説明する。
図6は、ノズル孔形成後のノズルプレート表面を、画像測定器QV−Apex202(ミツトヨ社製)を用いて撮像したCCD画像である。なお、上記CCD画像は、リング照明および透過・落射照明を組み合わせて光量調整を行ったあとに撮像したものである。
ノズルプレートには、複数のノズル孔が加工形成されており、ノズル孔は、それぞれ直径20μmを有し、約200μmのピッチで直線上に配置されている。上記画像測定器を用いてノズル孔周辺の疵の有無を検査し、良品判定を行った。
図6(a)は不良と判定されたノズルプレートの画像であり、このノズルプレートは、ノズル孔のエッジ部分に接する疵を有していることが観察された。なお、上記疵は、直線、曲線および折れ線など複雑な線状の疵であった。
図6(b)は良品と判定されたノズルプレートの画像であり、ノズル孔周辺(エッジ部を含む)に線状の疵が検出されなかった。また、ノズルプレート表面全体においても撥水膜の撥水性を損なうような疵は検出されなかった。
図7は、撥水膜形成後のノズルプレート表面の疵を撮影した光学顕微鏡写真である。写真の上方には、左端から右端にかけて直線状の疵が観察され、下方には、直線、曲線および折れ線が組み合わさったような複雑な疵が観察された。このような疵がノズル孔周辺に存在する場合、不良と判定する。
図6および7に示すように、ノズルプレート表面には、製造工程において形成された疵が観察され、該疵は単に直線状のものだけではなく、曲線および折れ線などの形状を有していることが分かった。
本発明によれば、ノズルプレートの生産歩留まりを向上させることできる。このため、従来のインクジェットヘッドに適用可能である。例えば圧電方式によってインク吐出を行うインクジェット装置に適用することができる。
(a)は、本発明に係るノズルプレート(ノズル孔形成前)を示す断面図である。(b)は、本発明に係るノズルプレート(ノズル孔形成後)を示す断面図である。 本発明に係るノズルプレートの製造方法に含まれる工程のフローチャートである。 本発明に係るインクジェットヘッドを説明する立体図である。 エッチング処理前およびエッチング処理後のプレート表面を撮影したCCD画像である。 異なる厚さのSiO2層を有する4つのノズルプレートにそれぞれ形成したノズル孔の形状を撮影したSEM写真である。 (a)は、検査によって不良と判定されたノズルプレート表面のCCD画像であり、(b)は、検査によって良品と判定されたノズルプレート表面のCCD画像である。 疵を有するノズルプレート表面の光学顕微鏡を用いた観察結果を撮影した写真である。 圧電方式を採用したインクジェットヘッドを説明する立体図である。
符号の説明
1a ノズルプレート
1b ノズルプレート
2 インクジェットヘッド
3 ヘッド本体
4 圧電素子
5 インク流路
6 カバー用圧電体
11 プレート
12 撥水膜
13 密着層
14 ノズル孔
41 圧電素子上部
42 圧電素子下部
43 隔壁
61 インク室

Claims (14)

  1. インクジェットヘッドを構成するノズルプレートにおいて、
    プレートと、
    該プレートを覆う撥水膜とを備え、
    該撥水膜に覆われた該プレートの面は、光学的方法によって、線状の疵が検出されない状態に表面加工されている
    ことを特徴とするノズルプレート。
  2. 撥水膜に覆われたプレートの上記面全体が粗面加工されていることを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
  3. 上記プレートが高分子材料から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のノズルプレート。
  4. 上記高分子材料がポリイミドであることを特徴とする請求項3に記載のノズルプレート。
  5. 上記撥水膜が、フッ素系シランカップリング剤を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のノズルプレート。
  6. 上記プレートおよび撥水膜の間に、該撥水膜を密に形成するための、30nm以下の厚さを有する密着層をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のノズルプレート。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のノズルプレートを備えていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  8. プレートに撥水膜を形成する工程を包含する、インクジェットヘッドを構成するノズルプレートの製造方法であって、
    撥水膜を形成する該工程の前に、該撥水膜を形成する該プレートの面上に存在する線状の疵を除去する工程
    を包含することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  9. 撥水膜を形成したプレートにノズル孔を形成する工程と、
    ノズル孔を形成する該工程の後、光学的手法によってノズルプレート表面の線状の疵の有無を検査する工程
    をさらに包含することを特徴とする請求項8に記載のノズルプレートの製造方法。
  10. 線状の疵を除去する上記工程が、線状の該疵を平坦化する処理を含んでいることを特徴とする請求項8または9に記載のノズルプレート。
  11. プレート表面の線状の凹凸を除去する上記工程が、該プレートのアルカリ溶液への浸漬を含んでいることを特徴とする請求項8または9に記載のノズルプレートの製造方法。
  12. プレート表面の線状の疵を除去する上記工程が、該プレートにプラズマ処理をすることを含み、
    プレート表面の線状の疵を除去する該工程、および撥水膜を形成する上記工程が、同一装置内にて行われる
    ことを特徴とする請求項8または9に記載のノズルプレートの製造方法。
  13. プレート表面の線状の疵を除去する上記工程の後に、線状の疵を除去した該プレート表面に対して、該撥水膜を密に形成するための、30nm以下の厚さを有する密着層を形成する工程をさらに包含し、
    プレート表面の線状の疵を除去する該工程、密着層を形成する該工程、および撥水膜を形成する上記工程が、同一装置内にて行われる
    ことを特徴とする請求項12に記載のノズルプレートの製造方法。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法により作製されたノズルプレートを、インク吐出機構と接合する工程を包含するインクジェットヘッドの製造方法。
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