JP2007253485A - 撥液膜被覆部材、液体噴出装置の構成部材、液体噴出ヘッドのノズルプレート、液体噴出ヘッドおよび液体噴出装置 - Google Patents
撥液膜被覆部材、液体噴出装置の構成部材、液体噴出ヘッドのノズルプレート、液体噴出ヘッドおよび液体噴出装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ノズルプレート等の基材表面に形成される下地膜を更に有効活用することが可能な部材を提供する。
【解決手段】ノズルプレート18等の基材の表面に、ノズルプレート18等の基材の表面の凹凸を平坦化するシリコーン材料のプラズマ重合膜22等の下地膜と、前記下地膜表面に金属アルコキシドが重合した分子膜24等の撥液膜とを有することを特徴とする。好ましくは前記金属アルコキシドがフッ素を含む長鎖高分子基24bを有する。前記下地膜は、基材に応じ、シリコーン材料のプラズマ重合膜22以外に、SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または、酸化鉄を含む構成とすることができる。
【選択図】図3
【解決手段】ノズルプレート18等の基材の表面に、ノズルプレート18等の基材の表面の凹凸を平坦化するシリコーン材料のプラズマ重合膜22等の下地膜と、前記下地膜表面に金属アルコキシドが重合した分子膜24等の撥液膜とを有することを特徴とする。好ましくは前記金属アルコキシドがフッ素を含む長鎖高分子基24bを有する。前記下地膜は、基材に応じ、シリコーン材料のプラズマ重合膜22以外に、SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または、酸化鉄を含む構成とすることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は撥液膜被覆部材、液体噴出装置の構成部材、液体噴出ヘッドのノズルプレート、液体噴出ヘッドおよび液体噴出装置に係り、特に液体噴出ヘッドのノズルプレート基材の表面は勿論、その他の液体噴出装置の構成部材(金属以外の樹脂系部材、複合材料部材を含む)の表面に、下地膜と金属アルコキシドの分子膜からなる撥液膜とを有する液体噴出装置に関する。
液滴をノズル吐出口から媒体に対して噴出させる液体噴出ヘッドの一実施形態であるインクジェットプリンタヘッドはノズルプレートを有し、このノズルプレートにインクを噴出するための微細なインク吐出口が微小間隔を隔てて複数形成されている。このノズルプレート表面にインクが付着すると、その後に噴出されたインクが付着インクの表面張力や粘性等の影響を受けて噴出軌道が曲げられてしまい、所定の位置にインクを塗布することができなくなるという問題がある。このため、ノズルプレート表面にインクの付着を防止する撥液処理をする必要があるところ、従来、この撥液処理により形成された撥液膜とノズルプレート等の基材表面との密着性を高くする等のため、基材の表面に下地膜と下地膜表面に金属アルコキシドの撥液膜とを有する部材が提案された(特許文献1参照)。
特開2004−351923号公報
ところで、上記の下地膜は、特許文献1に記載の効果以外にも別個の効果を有するのではないかと考えられたが、特許文献1の出願当時には実験的な裏付けがなかった。このため、上記の下地膜については、これを更に有効活用する余地が残されていた。
そこで、本発明は、ノズルプレート等の基材表面に形成される下地膜を更に有効活用することが可能な部材を提供することを目的とする。また、前記部材からなる液体噴出装置の構成部材を提供し、さらに前記部材からなる液体噴出ヘッドのノズルプレート、このノズルプレートを使用した液体噴出ヘッドおよび液体噴出装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、ノズルプレート等の基材表面に形成される下地膜を更に有効活用することが可能な部材を提供することを目的とする。また、前記部材からなる液体噴出装置の構成部材を提供し、さらに前記部材からなる液体噴出ヘッドのノズルプレート、このノズルプレートを使用した液体噴出ヘッドおよび液体噴出装置を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
(1)基材の表面に下地膜と前記下地膜表面に金属アルコキシドの撥液膜とを有する部材であって、前記下地膜は、前記基材の表面の凹凸を平坦化する、ことを特徴とする部材。
(2)前記撥液膜が、金属アルコキシドが重合した分子膜からなることを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(3)前記金属アルコキシドはフッ素を含む長鎖高分子基を有することを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(4)前記金属アルコキシドは撥液基を有する金属酸塩であることを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(5)前記金属アルコキシドはシランカップリング剤であることを特徴とする前記(1)
に記載の部材。
(1)基材の表面に下地膜と前記下地膜表面に金属アルコキシドの撥液膜とを有する部材であって、前記下地膜は、前記基材の表面の凹凸を平坦化する、ことを特徴とする部材。
(2)前記撥液膜が、金属アルコキシドが重合した分子膜からなることを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(3)前記金属アルコキシドはフッ素を含む長鎖高分子基を有することを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(4)前記金属アルコキシドは撥液基を有する金属酸塩であることを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(5)前記金属アルコキシドはシランカップリング剤であることを特徴とする前記(1)
に記載の部材。
(6)前記下地膜がシリコーン材料のプラズマ重合膜、SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または酸化鉄を含むことを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(7)前記下地膜の表面を酸化処理と水素処理とによりOH基で終端し、前記下地膜表面に金属アルコキシドを前記OH基と反応させて成膜したことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の部材。
(8)前記下地膜の表面をプラズマまたは紫外線照射してOH基で終端し、前記下地膜表面に金属アルコキシドを前記OH基と反応させて成膜したことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の部材。
(7)前記下地膜の表面を酸化処理と水素処理とによりOH基で終端し、前記下地膜表面に金属アルコキシドを前記OH基と反応させて成膜したことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の部材。
(8)前記下地膜の表面をプラズマまたは紫外線照射してOH基で終端し、前記下地膜表面に金属アルコキシドを前記OH基と反応させて成膜したことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の部材。
(9)前記基材が金属材料または複合材料であることを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(10)前記基材が樹脂系材料であることを特徴とする前記(1)に記載の部材。(11)前記金属材料がステンレス鋼であることを特徴とする前記(9)に記載の部材。(12)前記複合材料が、ケイ素、サファイアまたは炭素を含むことを特徴とする前記(9)に記載の部材。
(13)前記樹脂系材料が、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、アクリロントリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、チタン酸カリウム繊維複合樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、オレフィン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、プロロプレンゴム、シリコーンゴムまたはブチルゴムであることを特徴とする前記(10)に記載の部材。
(10)前記基材が樹脂系材料であることを特徴とする前記(1)に記載の部材。(11)前記金属材料がステンレス鋼であることを特徴とする前記(9)に記載の部材。(12)前記複合材料が、ケイ素、サファイアまたは炭素を含むことを特徴とする前記(9)に記載の部材。
(13)前記樹脂系材料が、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、アクリロントリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、チタン酸カリウム繊維複合樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、オレフィン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、プロロプレンゴム、シリコーンゴムまたはブチルゴムであることを特徴とする前記(10)に記載の部材。
(14)前記基材が少なくとも400℃の耐熱性を備えたものである場合、前記下地膜を加熱するとともに金属アルコキシド溶液に浸漬して、前記下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜を成膜したことを特徴とする前記(1)に記載の部材。
(15)前記下地膜の加熱温度は200〜400℃としたことを特徴とする前記(14)に記載の部材。
(15)前記下地膜の加熱温度は200〜400℃としたことを特徴とする前記(14)に記載の部材。
(16)前記(1)〜(14)のいずれかに記載の部材からなる液体噴出ヘッドのノズルプレート。
(17)前記(16)に記載の液体噴出ヘッドのノズルプレートを使用して形成したことを特徴とする液体噴出ヘッド。
(18)前記(17)に記載の液体噴出ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴出装置。(19)ヘッドキャップ、ヘッドクリーニング用ワイパ、ヘッドクリーニング用ワイパの保持レバー、ギア、プラテンまたはキャリッジである前記(1)〜(8)、(10)および(13)のいずれかに記載の部材。
(20)前記(19)に記載の部材を備えたことを特徴とする液体噴出装置。
(17)前記(16)に記載の液体噴出ヘッドのノズルプレートを使用して形成したことを特徴とする液体噴出ヘッド。
(18)前記(17)に記載の液体噴出ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴出装置。(19)ヘッドキャップ、ヘッドクリーニング用ワイパ、ヘッドクリーニング用ワイパの保持レバー、ギア、プラテンまたはキャリッジである前記(1)〜(8)、(10)および(13)のいずれかに記載の部材。
(20)前記(19)に記載の部材を備えたことを特徴とする液体噴出装置。
本発明の構成においては、基材の表面に形成される下地膜により、基材の表面の凹凸(ノズルプレートの表面における凹凸のほか、ノズル穴における壁面の凹凸やノズル先端部分のカエリによる凹凸などを含む)が平坦化される。基板の表面の凹凸が平坦化されると、撥液膜が平坦化されるため、本発明の構成においては、インク吐出時の流路抵抗を低減することが可能となる。また、本発明の構成においては、下地膜によって基材の表面の凹凸が平坦化されるため、基材の表面の摩擦抵抗が低減し、液体噴射ヘッド表面の耐擦性(付着したインクを拭き取るためのワイパー動作時に、劣化が進行する程度)が向上する。よって、本発明の構成によれば、基材の表面に形成される下地膜を、流路抵抗や摩擦抵抗の低減に向けて活用していくことが可能となる。
上記のように、本発明の構成においては、基材の表面に下地膜を形成する。基材の材質としては、特に限定されず、金属材料、複合材料、樹脂系材料のいずれでも使用可能である。なお、基材の表面粗さ(Ra)は、65nm以下、好ましくは35nm以下の表面粗さであればより有効である。
前記下地膜は、基材に対応して、シリコーン材料のプラズマ重合膜、SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または酸化鉄を含有するものが、適宜選択・適用される。前記下地膜の表面を酸化処理と水素処理とにより、具体的には、プラズマまたは紫外線照射した後大気に曝すことにより、OH基で終端し、表面をOH基化し、この下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜を成膜すると、前記OH基と金属アルコキシドの撥液膜とが結合して、高密度で密着性の高い金属アルコキシドの撥液膜を成膜できる。
さらに、前記基材が少なくとも400℃の耐熱性を備えたものである場合、前記下地膜を加熱するとともに金属アルコキシド溶液に浸漬して、前記下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜を成膜すると、下地膜の表面に均一な膜厚のアルコキシシランの重合した分子膜を成膜することができる。
前記下地膜は、基材に対応して、シリコーン材料のプラズマ重合膜、SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または酸化鉄を含有するものが、適宜選択・適用される。前記下地膜の表面を酸化処理と水素処理とにより、具体的には、プラズマまたは紫外線照射した後大気に曝すことにより、OH基で終端し、表面をOH基化し、この下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜を成膜すると、前記OH基と金属アルコキシドの撥液膜とが結合して、高密度で密着性の高い金属アルコキシドの撥液膜を成膜できる。
さらに、前記基材が少なくとも400℃の耐熱性を備えたものである場合、前記下地膜を加熱するとともに金属アルコキシド溶液に浸漬して、前記下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜を成膜すると、下地膜の表面に均一な膜厚のアルコキシシランの重合した分子膜を成膜することができる。
この分子膜では、その金属アルコキシドに由来する金属原子が、酸素原子を介して下地膜と結合する。また、本発明に使用する金属アルコキシドがフッ素を含む長鎖高分子基を有するものである場合、その金属アルコキシドに由来する金属原子と結合するフッ素を含む長鎖高分子基は表面側に位置する。このとき、分子膜の状態は金属原子が三次元的に結合し、フッ素を含む長鎖の高分子基同士は複雑に絡み合った状態となっている。このため、分子膜は高密度な状態となり、分子膜にインクが浸透し難くなる。
このため、本発明に係る撥液膜被覆部材、優れた撥液性を保持することができ、長期間にわたって撥液性を維持できる。また撥液膜は高密度のために耐擦性に優れている。
このため、本発明に係る撥液膜被覆部材、優れた撥液性を保持することができ、長期間にわたって撥液性を維持できる。また撥液膜は高密度のために耐擦性に優れている。
以下に、本発明の撥液膜被覆部材の製造プロセスの概要を述べる。
本発明の撥液膜被覆部材は、少なくとも、1.基材の洗浄、2.下地膜の成膜、3.下地膜の表面活性化処理、4.金属アルコキシド撥液膜の成膜、5.加湿乾燥処理、6.アニール処理の工程により製造される。
「1.基材の洗浄」は、基材上に下地膜を成膜する際に不都合な、基材上の不要物を取り除くこと等を目的に行なわれる。詳細な洗浄条件は、基材の材質、形状、大きさ等に応 じて適宜選択されるべきものである。
「2.下地膜の成膜」における詳細な成膜条件は、基材の材質・形状・大きさ、下地膜の種類・厚さ等に応じて適宜選択されるべきものである。
「3.下地膜の表面活性化処理」は、下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜がより強く結合させるためのOH基を付与する目的で行なわれるほか、基材の表面の凹凸を平坦化する目的で行われる。具体的には、下地膜表面のプラズマまたは紫外線照射処理等が挙げられる。詳細な処理条件は、下地膜の種類・厚さ、成膜する金属アルコキシドの種類等に応じて適宜選択されるべきものである。
本発明の撥液膜被覆部材は、少なくとも、1.基材の洗浄、2.下地膜の成膜、3.下地膜の表面活性化処理、4.金属アルコキシド撥液膜の成膜、5.加湿乾燥処理、6.アニール処理の工程により製造される。
「1.基材の洗浄」は、基材上に下地膜を成膜する際に不都合な、基材上の不要物を取り除くこと等を目的に行なわれる。詳細な洗浄条件は、基材の材質、形状、大きさ等に応 じて適宜選択されるべきものである。
「2.下地膜の成膜」における詳細な成膜条件は、基材の材質・形状・大きさ、下地膜の種類・厚さ等に応じて適宜選択されるべきものである。
「3.下地膜の表面活性化処理」は、下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜がより強く結合させるためのOH基を付与する目的で行なわれるほか、基材の表面の凹凸を平坦化する目的で行われる。具体的には、下地膜表面のプラズマまたは紫外線照射処理等が挙げられる。詳細な処理条件は、下地膜の種類・厚さ、成膜する金属アルコキシドの種類等に応じて適宜選択されるべきものである。
「4.金属アルコキシド撥液膜の成膜」における詳細な成膜条件は、金属アルコキシドの種類、目的とする撥液性等に応じて適宜選択されるべきものである。
「5.加湿乾燥処理」は、金属アルコキシドを重合させて分子膜とする為に高温高湿雰囲気下に置くものである。詳細な処理条件は、金属アルコキシドの種類、目的とする撥液性等に応じて適宜選択されるべきものである。
「6.アニール処理」は、前記金属アルコキシドの重合反応を終端させる為に上記 「5.加湿乾燥処理」よりも高い温度で処理するものである。詳細な処理条件は、金属アルコキシドの種類、目的とする撥液性等に応じて適宜選択されるべきものである。
「5.加湿乾燥処理」は、金属アルコキシドを重合させて分子膜とする為に高温高湿雰囲気下に置くものである。詳細な処理条件は、金属アルコキシドの種類、目的とする撥液性等に応じて適宜選択されるべきものである。
「6.アニール処理」は、前記金属アルコキシドの重合反応を終端させる為に上記 「5.加湿乾燥処理」よりも高い温度で処理するものである。詳細な処理条件は、金属アルコキシドの種類、目的とする撥液性等に応じて適宜選択されるべきものである。
本発明に係る液体噴出ヘッドは、上述したノズルプレートを用いて形成したことを特徴としている。
また、本発明に係る液体噴出装置は、上述した液体噴出ヘッド備えた、または、ヘッドキャップ、ヘッドクリーニング用ワイパ、ヘッドクリーニング用ワイパの保持レバー、ギア、プラテンもしくはキャリッジを用いて形成したことを特徴としている。
また、本発明に係る液体噴出装置は、上述した液体噴出ヘッド備えた、または、ヘッドキャップ、ヘッドクリーニング用ワイパ、ヘッドクリーニング用ワイパの保持レバー、ギア、プラテンもしくはキャリッジを用いて形成したことを特徴としている。
以下に本発明に係る撥液膜被覆部材、液体噴出装置の構成部材、液体噴出ヘッドのノズルプレート、液体噴出ヘッドおよび液体噴出装置について説明する。
なお、以下に記載する下地層の形成および金属アルコキシドの成膜方法は本発明の実施の一形態として、基材となる液体噴出ヘッドのステンレス鋼で構成されているノズルプレートに成膜する例について説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
なお、以下に記載する下地層の形成および金属アルコキシドの成膜方法は本発明の実施の一形態として、基材となる液体噴出ヘッドのステンレス鋼で構成されているノズルプレートに成膜する例について説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
図1に液体噴出ヘッド(液体噴出装置の一部材)の一実施例であって、ノズル吐出口から噴出する液滴としてインク滴を用いるインクジェットプリンタヘッド10の断面図を示す。インクジェットプリンタヘッド10にはインクをヘッド内部へ導入するインク導入口12が設けられている。このインク導入口12はインク溜り14と接続しており、このインク溜り14においてインクを溜めるように形成されている。また、インク溜り14は圧力室16と連通しており、圧力室16のインク吐出側はノズルプレート18に設けられたインク吐出口20と接続している。
また、圧力室16の壁面の一部には圧力を加えられる構成となっている。この構成は、例えば、圧力室16の壁面の一部を振動板で形成するとともに、その外側に励振電極17(圧電素子)を設ける。そして励振電極17に電圧を印加すると、静電気力により振動板が振動して、圧力室の内圧が変化する。この内圧によりインクがインク吐出口20より吐出される。
また、ノズルプレート18はステンレス鋼で構成されているもの(本実施の形態ではSUS316)を用いた。このノズルプレート18の表面およびインク吐出口20の内部表面には、シリコーン材料をプラズマ重合することによりプラズマ重合膜22が成膜されている。このプラズ重合膜22が下地膜の一例として、ノズルプレート18の表面の凹凸を平坦化する。このプラズマ重合膜22の表面には撥液性を有する金属アルコキシドの分子膜24が成膜されている。
この金属アルコキシドの分子膜24は撥水性および撥油性を有していればいかなるもの
でもよいが、好ましくはフッ素を含む長鎖高分子基(以下、長鎖RF基という)を有する金属アルコキシドのまたは撥液基を有する金属酸塩の単分子膜である。
前記金属アルコキシドとしては、例えばTi、Li、Si、Na、K、Mg、Ca、St、Ba、Al、In、Ge、Bi、Fe、Cu、Y、Zr、Ta等を使用する様々なものがあるが、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等が一般的に用いられる。本実施形態ではケイ素を用いた物を使用し、好ましくはフッ素を含む長鎖RF基を有するアルコキシシラン、または撥液基を有する金属酸塩がよい。
この金属アルコキシドの分子膜24は撥水性および撥油性を有していればいかなるもの
でもよいが、好ましくはフッ素を含む長鎖高分子基(以下、長鎖RF基という)を有する金属アルコキシドのまたは撥液基を有する金属酸塩の単分子膜である。
前記金属アルコキシドとしては、例えばTi、Li、Si、Na、K、Mg、Ca、St、Ba、Al、In、Ge、Bi、Fe、Cu、Y、Zr、Ta等を使用する様々なものがあるが、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等が一般的に用いられる。本実施形態ではケイ素を用いた物を使用し、好ましくはフッ素を含む長鎖RF基を有するアルコキシシラン、または撥液基を有する金属酸塩がよい。
長鎖RF基としては、分子量は1000以上であり、例えば、パーフルオロアルキル鎖、パーフルオポリエーテル鎖等が挙げられる。
この長鎖RF基を有するアルコキシシランとして、例えば、長鎖RF基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
本発明の撥液膜として適している長鎖RF基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ヘプタトリアコンタフルオロイコシルトリメトキシシランなどが挙げられが、製品としては オプツールDSX(商標、ダイキン工業社製)、KY−130(商標、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ化炭素基(RF基)はアルキル基より表面自由エネルギーが小さいため、金属アルコキシドにRF基を含有させることにより、形成する撥液膜の撥液性を向上させることができると共に、耐薬品性、耐候性、耐摩擦性等の特性も向上させることができる。
また、RF基としては、長鎖構造が長いものが、より撥液性を持続させることができる。
また撥液基を有する金属酸塩として、例えばアルミネートおよびチタネート等が挙げられる。
この長鎖RF基を有するアルコキシシランとして、例えば、長鎖RF基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
本発明の撥液膜として適している長鎖RF基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ヘプタトリアコンタフルオロイコシルトリメトキシシランなどが挙げられが、製品としては オプツールDSX(商標、ダイキン工業社製)、KY−130(商標、信越化学工業社製)が挙げられる。
フッ化炭素基(RF基)はアルキル基より表面自由エネルギーが小さいため、金属アルコキシドにRF基を含有させることにより、形成する撥液膜の撥液性を向上させることができると共に、耐薬品性、耐候性、耐摩擦性等の特性も向上させることができる。
また、RF基としては、長鎖構造が長いものが、より撥液性を持続させることができる。
また撥液基を有する金属酸塩として、例えばアルミネートおよびチタネート等が挙げられる。
このように構成されるインクジェットプリンタヘッド10を用いて、図6に示すインクジェットプリンタを形成する。
次に、基材となるノズルプレート18表面にシリコーン材料のプラズマ重合膜22を成膜する装置について説明する。図2にプラズマ重合膜22の成膜装置の説明図を示す。成膜装置30はチェンバ32を備え、このチェンバ32にポンプ34が接続されている。チェンバ32の上部には電極36が設けられ、この電極36に高周波電源38が接続されている。この高周波電源38は、例えば300W程度の電力を出力する。また電極36と対向するチェンバ32の下部にはノズルプレート18を載置する温度調整可能なステージ40が設けられている。
さらに、チェンバ32にはガス供給管42および原料供給管44が接続されている。ガス供給管42にはアルゴンガス供給源46が流量制御弁(図示しない)を介して接続されている。この流量制御弁によりチェンバ32へ供給されるガスの流量を調整可能にしている。また原料供給管44にはプラズマ重合膜22の原料を収納する原料容器50が接続されている。この原料容器50の下部にはヒータ52が設置され、液体原料54を気化可能としている。
プラズマ重合膜22の原料としては、シリコーン油、アルコキシシラン、具体的には、ジメチルポリシロキサン等が挙げられ、製品としては、TSF451(ジーイー東芝シリコーン社製)、SH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等を用いることができる。
そして気化された原料はチェンバ32の負圧により吸引され、原料供給管44を通ってチェンバ32に供給される。
そして気化された原料はチェンバ32の負圧により吸引され、原料供給管44を通ってチェンバ32に供給される。
次に、ノズルプレート18表面へシリコーン材料をプラズマ重合させたプラズマ重合膜22の成膜方法およびプラズマ重合膜22表面への金属アルコキシドの分子膜24の成膜方法について説明する。なお、本実施の形態ではプラズマ重合膜22の原料にシリコーン(ジメチルポリシロキサン)を用い、金属アルコキシドにフッ素を含む長鎖高分子基を有するアルコキシシラン(ヘプタトリアコンタフルオロイコシルトリメトキシシラン)を用いた例を説明する。
まず、ノズルプレート18表面にシリコーンを重合してプラズマ重合膜22を成膜する。このプラズマ重合膜22は成膜装置30を使用して成膜する。はじめにノズルプレート18をチェンバ32内のステージ40上に配置する。そしてチェンバ32内をポンプ34により設定値まで減圧する。このとき、ステージ40の温度を調整してノズルプレート18上で原料の重合が促進される温度、例えば25℃以上(本実施の形態では40℃)に保持する。チェンバ32内が設定値まで減圧された後、アルゴンガスをチェンバ32内に供給して、チェンバ32内を一定の圧力、例えば7Pa程度に保持する。そして、電極36に接続した高周波電源38より、例えば100W程度の電力を印加して、チェンバ32内にアルゴンプラズマを生成する。また、原料容器50内のシリコーンはヒータ52により加熱されて気化し、上述したようにチェンバ32内の負圧により吸引されて、原料供給管44を通ってチェンバ32内に供給される。そして、アルゴンプラズマにより、気化されたシリコーンの結合の弱い部分を切断して重合反応し、ノズルプレート18表面にプラズマ重合膜22が成膜される。また、ノズルプレート18にはインク吐出口20が設けられているが、プラズマ重合で成膜することによりインク吐出口20の内部にもプラズマ重合膜22が成膜される。このプラズマ重合膜22の表面はシリコーンを構成するメチル基で終端され、このメチル基はシリコン原子と結合している。
このようにしてノズルプレート18表面に成膜されたプラズマ重合膜22をアニールする。このアニールは、例えば窒素雰囲気中において150℃以上450℃以下(本実施の形態では200℃)でアニールすると、ノズルプレート18表面のプラズマ重合膜22にて架橋反応が進む。これにより、プラズマ重合膜22の硬度が増し、ノズルプレート18とプラズマ重合膜22との密着性も強固になる。
次に、このプラズマ重合膜22の表面をプラズマによりエッチングする。このエッチングは酸化処理、すなわち、プラズマ重合膜22の表面を終端するメチル基とシリコン原子との結合を切断して、このシリコン原子に酸素原子を結合させるために行われる。このプラズマによる処理はプラズマ重合膜22の表面をアルゴン、窒素、または酸素等のプラズマに曝すことにより行われる。また、プラズマ重合膜22をプラズマに曝すかわりに、エキシマレーザや重水素ランプ等により紫外線を照射して行うこともできる。この酸化処理に、例えばアルゴンプラズマを用いるときは、プラズマ重合膜22の表面を1分程度アルゴンプラズマに曝す。この酸化処理の後に、酸素原子に水素原子を結合させる処理、すなわち、プラズマ重合膜22を大気に曝すことにより、プラズマ重合膜22の表面を終端する酸素原子に水素原子を結合させてOH基化する。このとき、プラズマ重合膜22表面のOH基の数は、ノズルプレート18のみからなる表面のOH基の数よりも遥かに多くなる。
このようにして形成されたノズルプレート18上のプラズマ重合膜22表面に撥水性および撥油性を有する金属アルコキシドの分子膜24を成膜する。
本実施の形態では金属アルコキシドとして、長鎖RF基を有するアルコキシシランを用いた例を説明する。このアルコキシシランとして、前述のヘプタトリアコンタフルオロイコシルトリメトキシシランを用いた。
まず、アルコキシシランをシンナー等の溶媒(本実施の形態では 製品名HFE−7200(住友スリーエム社製)を用いた)と混合して例えば0.1wt%の濃度の溶液にする。
まず、アルコキシシランをシンナー等の溶媒(本実施の形態では 製品名HFE−7200(住友スリーエム社製)を用いた)と混合して例えば0.1wt%の濃度の溶液にする。
次に、プラズマ重合膜22が成膜されたノズルプレート18を200〜400℃の範囲に加熱して、前記溶液に浸漬する。これにより、金属を金属アルコキシド溶液に浸漬させると、すぐに金属表面に金属アルコキシドの重合した分子膜を成膜することができるため、金属に前記分子膜を成膜する時間を短縮できる。また厚く高密度な分子膜を得ることができる。このため、耐擦性にすぐれた分子膜を得ることができる。
また、200℃未満で浸漬する場合は、例えば、0.5秒間浸漬し、そして浸漬が終了した後に、ノズルプレート18を、例えば、2mm/sec.程度の速さで引き上げる。図3および図4にノズルプレート18上のプラズマ重合膜22表面にアルコキシシランの重合した分子膜24の概念図を示す。図3はプラズマ重合膜22と分子膜24との結合を示す概念図であり、図4は分子膜24の状態を示す概念図である。ノズルプレート18をアルコキシシラン溶液に浸漬させると、ノズルプレート18上のプラズマ重合膜22表面にアルコキシシランの重合した分子膜24が成膜される。この分子膜24のシリコン原子24aは酸素原子を介してプラズマ重合膜22と結合し、このシリコン原子24aと結合するフッ素を含む長鎖の高分子24b(以下、長鎖RF基という)は表面側に位置している。このとき、分子膜24の状態はシリコン原子24aが三次元的に結合し、長鎖RF基24b同士は複雑に絡み合った状態となっている。このため、分子膜24は高密度な状態となり、分子膜24にインク26が浸透しにくくなる。
以上に述べた方法により成膜した分子膜24表面の耐擦試験を行った。耐擦性試験はインクに浸した吸収体で分子膜24の表面を1000回擦ったものである。その結果、分子膜24の表面は剥がれることなく、また擦りの回数を重ねても表面のインクは5秒以内に弾かれ撥インク性を損なわれなかった。
このような実施の形態によれば、ノズルプレート18表面およびインク吐出口20の内部表面へのプラズマ重合によりシリコーン材料のプラズマ重合膜22を成膜できる。このプラズマ重合膜の表面を終端するメチル基の数は、ノズルプレート18表面のOH基の数よりも遥かに多い。また、プラズマ重合膜22の表面に紫外線を照射してメチル基を切断し、酸素原子を結合させる。そして、プラズマ重合膜22を大気に曝すことにより、表面をOH基化する。これにより、プラズマ重合膜22表面のOH基の数は、ノズルプレート18表面のOH基の数よりも遥かに多くなる。
また、プラズマ重合膜22が成膜されたノズルプレート18を加熱してアルコキシシラン溶液に浸漬する場合、プラズマ重合膜22の表面に撥液性を有する分子膜24が成膜される。このため、ノズルプレート18を引き上げるときには撥液性の分子膜24によりアルコキシシラン溶液が弾かれるので、ノズルプレート18を乾燥させる工程を必要としない。また、ノズルプレート18をアルコキシシラン溶液に浸漬させることにより、プラズマ重合膜22の表面に膜厚の均一な分子膜24を得ることができる。
また、長鎖RF基を有するアルコキシシラン等のシランカップリング剤を使用するために、成膜に多くの化学反応を必要としない。そしてノズルプレート18を加熱してアルコキシシラン溶液に浸漬させる場合、プラズマ重合膜22の表面にアルコキシシランを重合する時間が短くなり、従来技術に比べて長時間の重合時間を必要としない。
また、アルコキシシラン溶液の濃度は0.1wt%であり、この濃度で高密度な分子膜24を成膜できる。これに対して、従来技術に用いられる溶液の濃度は0.3wt%程度であり、この溶液から得られる分子膜は本実施の形態に比べて膜厚が薄く密度が低い。このため、本実施の形態に係る金属アルコキシドの成膜方法は低コストで成膜を行える。
また、分子膜24はプラズマ重合膜22の表面を終端するOH基と反応して結合するので、密度が高い分子膜を得ることができる。これに対して、従来技術は終端するOH基の少ないノズルプレート上に分子膜を成膜するので、密度の低い膜しか得られない。また本実施形態のものは、重合により得られた分子膜24はシリコン原子24aが三次元的に結合し、長鎖RF基24bが複雑に絡み合った構造をしているために、膜厚が厚く、高密度な膜を得ることができる。これに対して、従来技術はシリコン原子がノズルプレートと二次元的に結合しているので膜厚が薄くなる。また、密度が低いので互いに絡み合った長鎖RF基が液体に浸漬されることにより、絡み合いが解れてしまうので撥液性が持続しない。しかし、本実施の形態では、密度が高いので長鎖RF基24bが複雑に絡み合っており、液体に浸漬しても長鎖RF基24bが解れない。このため、インク26の成分は分子膜24の内部に浸透しにくくなり、長期間にわたり撥液性を有することができ、顔料系のインクが付着してもすぐに弾く。またインクジェットプリンタの印刷を開始するときに行うワイピングに、付着したインクを取り除く特別な技術を必要とせず、簡易にワイピングを行うことができる。
図5に、ノズルプレート18の一例であるSUS316と、SUS316に形成された下地膜の一例であるプラズマ重合膜22と、撥液膜の一例であるプラズマ重合膜22に形成された撥液性を有する分子膜24と、のTEM画像のトレースの一例を示す。なお、図5には、SUS316、プラズマ重合膜22、分子膜24のほかに、分析前の表面処理として使用したタングステン55、及び空間56も示されている。図5に示すように、SUS316の表面とプラズマ重合膜22の表面とでは、プラズマ重合膜22の表面の方が凹凸の高さが低くなっており、細かい凹凸が無くなって全体的になだらかになっている。具体的に、触針段差計にて表面粗さ(Ra)及び膜厚について測定を行うと、SUS316の表面粗さ(Ra)は50nm程度であり、プラズマ重合膜22の膜厚は100〜300nm程度であった。このとき、プラズマ重合膜22の表面粗さ(Ra)25nm程度であり、SUS316の表面の凹凸は、約2分の1に改善された。
図6にインクジェットプリンタヘッド10を用いたインクジェットプリンタの一例を示す。本発明の撥液処理を行ったノズルプレート18は耐久性に優れており、耐有機溶剤性に優れた撥インク膜が成膜されたものは工業用途にも利用できる。
本実施の形態では、ステンレス鋼を用いたノズルプレート18をシランカップリング剤の溶液に浸漬させる形態として説明したが、他の形態としてノズルプレート18の材料にステンレス鋼以外の金属、例えば、ニッケルや鉄など、すべての金属に適用できる。また材料には金属以外の物質、例えばガラス、シリコン系材料等も用いることができる。
なお、基材がステンレス鋼以外の前記複合材料または樹脂系材料であるインクジェットプリンタの部材、例えば、ヘッドキャップ、ヘッドクリーニング用ワイパ、ヘッドクリーニング用ワイパの保持レバー、ギア、プラテンまたはキャリッジ等の部材には、前記下地膜がシリコーン材料のプラズマ重合膜以外にも、SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または酸化鉄等を含むものを適用することができる。
上記SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または酸化鉄等を含む下地膜は、プラズマ重合の他、液体成膜(塗布、スプレー、浸漬等)、蒸着、スパッタリング等により形成される。
上記SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または酸化鉄等を含む下地膜は、プラズマ重合の他、液体成膜(塗布、スプレー、浸漬等)、蒸着、スパッタリング等により形成される。
なお、上記実施の形態では、インク吐出口から圧力室に貯留されているインクを噴出させるインク滴吐出素子として圧電素子を用いて説明したが、圧力室内に設けた発熱素子によってインク滴を噴出させる実施形態であっても本発明を適用できる。また、上記実施の形態では、液体噴出ヘッドとしてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を一例として説明したが、本発明は、広く液体噴出ヘッド及び液体噴出装置全般を対象としたものである。液体噴出ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴出ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴出ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴出ヘッド等を挙げることができる。
10 インクジェットプリンタヘッド、12 インク導入口、14 インク溜り、16 圧力室、18 ノズルプレート、20 インク吐出口、22 プラズマ重合膜、24 分子膜、24a シリコン原子、24b フッ素を含む長鎖の高分子基、26 インク、30 成膜装置、32 チェンバ、34 ポンプ、36 電極、38 高周波電源、40 ステージ、42 ガス供給管、44 原料供給管、46 アルゴンガス供給源、50 原料容器、52 ヒータ、54 液体原料、55 タングステン、56 空間
Claims (20)
- 基材の表面に下地膜と前記下地膜表面に金属アルコキシドの撥液膜とを有する部材であって、
前記下地膜は、前記基材の表面の凹凸を平坦化する、
ことを特徴とする部材。 - 前記撥液膜が、金属アルコキシドが重合した分子膜からなることを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記金属アルコキシドはフッ素を含む長鎖高分子基を有することを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記金属アルコキシドは撥液基を有する金属酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記金属アルコキシドはシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記下地膜がシリコーン材料のプラズマ重合膜、SiO2、ZnO、NiO、SnO2、Al2O3、ZrO2、酸化銅、酸化銀、酸化クロム、または酸化鉄を含むことを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記下地膜の表面を酸化処理と水素処理とによりOH基で終端し、前記下地膜表面に金属アルコキシドを前記OH基と反応させて成膜したことを特徴とする請求項1または2に記載の部材。
- 前記下地膜の表面をプラズマまたは紫外線照射してOH基で終端し、前記下地膜表面に金属アルコキシドを前記OH基と反応させて成膜したことを特徴とする請求項1または2に記載の部材。
- 前記基材が金属材料または複合材料であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記基材が樹脂系材料であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記金属材料がステンレス鋼であることを特徴とする請求項9に記載の部材。
- 前記複合材料が、ケイ素、サファイアまたは炭素を含むことを特徴とする請求項9に記載の部材。
- 前記樹脂系材料が、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、アクリロントリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、チタン酸カリウム繊維複合樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、オレフィン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、プロロプレンゴム、シリコーンゴムまたはブチルゴムであることを特徴とする請求項10に記載の部材。
- 前記基材が少なくとも400℃の耐熱性を備えたものである場合、前記下地膜を加熱するとともに金属アルコキシド溶液に浸漬して、前記下地膜上に金属アルコキシドの撥液膜を成膜したことを特徴とする請求項1に記載の部材。
- 前記下地膜の加熱温度は200〜400℃としたことを特徴とする請求項14に記載の部材。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の部材からなる液体噴出ヘッドのノズルプレート。
- 請求項16に記載の液体噴出ヘッドのノズルプレートを使用して形成したことを特徴とする液体噴出ヘッド。
- 請求項17に記載の液体噴出ヘッドを備えたことを特徴とする液体噴出装置。
- ヘッドキャップ、ヘッドクリーニング用ワイパ、ヘッドクリーニング用ワイパの保持レバー、ギア、プラテンまたはキャリッジである請求項1〜8、10および13のいずれかに記載の部材。
- 請求項19に記載の部材を備えたことを特徴とする液体噴出装置。
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2006
- 2006-03-23 JP JP2006081531A patent/JP2007253485A/ja active Pending
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