JP2009066798A - 撥液層の形成方法及びノズルプレートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた転落性を有する撥液層の形成方法、及び、ノズルプレートの製造方法を提供する。
【解決手段】撥液層11Bの形成方法では、水酸基発現工程と、塗布工程と、溶媒洗浄工程と、がこの順に行われ、ノズルプレート基材11Aの表面にフッ素系シランカップリング剤からなる撥液層11Bが形成される。水酸基発現工程では、ノズルプレート基材11Aの表面に水酸基を発現させる処理が行われる。塗布工程では、ノズルプレート基材11Aの表面にフッ素系シランカップリング剤が塗布される。溶媒洗浄工程では、ノズルプレート基材11Aを常温に保持したままの状態でフッ素系シランカップリング剤の溶媒でノズルプレート基材11Aが洗浄される。
【選択図】図2
【解決手段】撥液層11Bの形成方法では、水酸基発現工程と、塗布工程と、溶媒洗浄工程と、がこの順に行われ、ノズルプレート基材11Aの表面にフッ素系シランカップリング剤からなる撥液層11Bが形成される。水酸基発現工程では、ノズルプレート基材11Aの表面に水酸基を発現させる処理が行われる。塗布工程では、ノズルプレート基材11Aの表面にフッ素系シランカップリング剤が塗布される。溶媒洗浄工程では、ノズルプレート基材11Aを常温に保持したままの状態でフッ素系シランカップリング剤の溶媒でノズルプレート基材11Aが洗浄される。
【選択図】図2
Description
この発明は、付着した液体の転落角が小さい撥液層の形成方法、及び、付着した液体の転落角が小さい撥液層を備えたノズルプレートの製造方法に関する。
一般的にインクジェット装置には、ノズルプレートを備えたインクジェットヘッドが設けられている。ノズルプレートは、平板状を呈し、直線状に配列された複数のノズル孔を有する。インクジェットヘッドは、インクをノズル孔に供給するとともに、ノズル孔からインク液滴が吐出されるように、インク内に圧力パルスを発生させる手段を備え、数pLから数十pL程度の微量なインク液滴を吐出することができる。
このようなインクジェット装置において、高精度な印刷を行うためには、ノズル孔から吐出されたインク液滴を精度よく被印刷体に着弾させることが必要である。そのためには、ノズル孔と被印刷体との相対位置を正確に制御する必要がある。さらに、吐出するインク液滴の量を制御して微小化させること、及び、インク液滴の吐出方向を正確に制御することが必要である。
その中でも、インク液滴の吐出方向を正確に制御するためには、インク液滴をノズルプレートに対して垂直方向に吐出する必要がある。しかし、吐出されたインク液滴とノズル孔近傍に付着したインクとが干渉する等の原因によって、インク液滴を安定的に垂直方向に吐出することは容易ではない。
例えば、ノズルプレートの吐出面上におけるノズル孔近傍にインク液滴が溜まっている状態で吐出を行うと、新たに吐出されたインク液滴がそのインク溜まりに接触する場合がある。そのような場合には、新たに吐出されたインク液滴の吐出方向が変化してしまう。また、インク溜まりが乾燥した場合も同様に、インク液滴の吐出方向が変化してしまい、さらにはノズル孔が目詰まりを起こしてインク液滴が吐出できなくなるといった弊害が生じる場合もある。
そのため、従来のノズルプレートでは、ノズルプレートの吐出面にインクが付着することを防止するために、ノズルプレートを構成する基材に撥液処理を行っている。
近年、インクジェット技術の開発が進むにつれて、その応用分野も幅広く発展し、種々の吐出材料がインクとして用いられている。その中でも、顔料や樹脂成分を含むインクはノズルプレートに付着し易いので、このような吐出材料を使用する場合は特に高い撥液性を有する撥液層をノズルプレートに設ける必要がある。
ところが撥液層を有するノズルプレートであっても、インクの吐出時に飛び散った微量なインク液滴が、ノズルプレートの吐出面に付着する場合がある。上述したように付着したインク液滴、及び、インク液滴が乾燥してできる付着物は、吐出精度の低下を引き起こす原因となる場合がある。このため、一般的にインクジェット装置には、ノズルプレートの吐出面に付着したインク液滴及び付着物を除去するため、ワイピングブレードでワイピングを行うクリーニング機構が設けられている。
ノズルプレートの吐出面に撥液層が予め形成されていると、吐出面に付着したインク液滴をワイピングによって除去し易くなる。
ノズルプレートに撥液層を形成する目的は、ノズル孔の近傍にインク溜まりが発生することを抑制することと、インク液滴が乾燥してできる付着物がノズルプレートに固着することを防止することでノズルプレートのクリーニングを容易にすることと、である。ノズルプレートに撥液層を形成することで、ノズルプレートは、高い吐出精度を長期的に保持することができる。
撥液層を形成する撥液材料としては、シリコン系又はフッ素系の材料が主として用いられるが、フッ素系とシリコン系とを比較した場合、フッ素系の材料の方が高い撥液性を示すので、種々のフッ素系撥液材料の採用が検討されている。
また、撥液層を形成する撥液材料としては、高い撥液性を有することに加えて、基材との間で高い密着性を有することも重要である。ノズルプレートのクリーニング時に受けることがある物理的ダメージや、インクの種類によっては受けることがある浸漬等の化学的なダメージによって、撥液層が基材から剥離してしまうことを抑制するためである。
上述のような理由から、従来のインクジェットヘッドには、種々のフッ素系撥液材料の中でも、水酸基等の反応基を表面に有する酸化物結合層(密着層)を介して基材と化学的に強固に結合させるため、密着性、耐磨耗性に優れるフッ素系シランカップリング剤を撥液材料として用いた技術がある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の技術では、フッ素系シランカップリング剤を基材と化学的に結合させることによって、インクの浸漬後も撥液層のノズルプレートからの剥離が起こることを防止し、初期の接触角を維持できるとしている。
また、撥液層の接触角をさらに高めるべく、基材と化学的に未反応で付着しているだけのフッ素系シランカップリング剤を除去するというフッ素系シランカップリング剤の成膜方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平6−171094号公報
特開平6−210857号公報
しかし、上述の特許文献1,2の技術では、密着性の向上という点以外に撥液層の特性としては、撥液性(接触角)のみに着眼したものであり、ノズルプレート上に付着したインクの転落性(転落角)に着眼したものではない。ノズルプレート上からインクを除去するためには、撥液性のみでなく転落性も重要である。
微粒子分散系のインク、例えば、顔料や銀ナノ粒子を含有するインクを使用する場合、ノズルプレート上においてインクが乾燥することで発生した付着物は、インク若しくは溶媒に接触しても溶解し難いので、ワイピングブレードによるワイピングによって物理的に除去する必要がある。このとき、ワイピングブレードの接触によって撥液層が受けるダメージを軽減するため、ノズルプレートの吐出面をインクで濡らした状態でワイピングを行うことが一般的である。
しかし、上述のようなノズルプレートの吐出面をインクで濡らした状態でのワイピングを行い、インク液溜まりを除去することができた場合でも、数μm程度の付着物が残留してしまう場合がある。これは、すでにノズルプレート上に発生していた付着物を除去できなかったのではなく、ワイピング時に供給したインクが目視不可能な程度に微量にノズルプレート上に残留することがあり、この微量なインクが乾燥して付着物になるのである。
上述の、ノズルプレートの吐出面をインクで濡らした状態でワイピングを行った場合に数μm程度の付着物が残留することがあるという課題は、インクジェットヘッドのうちワイピング時にワイピングブレードが当接する部分に段差部がある場合に、その段差部近傍にインクが溜まりやすくなるため、特に顕著に現れる。
上述のように、ワイピング前に存在していた付着物についてはワイピングによって全て除去できたとしても、ワイピングによって新たな付着物を発生させてしまう場合がある。
ノズル孔近傍に付着物が存在すれば、付着物に吐出インクが引きずられ、インク液滴の吐出精度が低下する虞がある。また、付着物を核としてインク溜まりが発生しやすくなるので、吐出精度をさらに低下させるとともに、付着物の発生をさらに促進させることとなる。
ワイピング時にワイピングブレードを濡らすために供給されたインクは、ワイピングブレードの進行方向の前面に保持されずにワイピングブレードの進行方向の側部などを伝ってワイピングブレードの後面に回りこみ、ワイピングブレードがこのインクを引きずりながらワイピングが行われる場合がある。
ワイピングにおいて、ワイピングブレードの後面に回りこんだインク液滴がワイピングブレードの移動に追随するようにワイピングを行えば、ノズルプレート上に微量なインクが残らず、付着物の発生が抑制される。
ワイピング時にインク液滴がワイピングブレードの動きに追随できるか否かは、撥液層の撥液性(接触角)ではなく、撥液層上における液滴の移動しやすさ、すなわち、転落性(転落角)が大きく影響する。
この発明の目的は、優れた転落性を有する撥液層の形成方法、及び、ノズルプレートの製造方法を提供することにある。
この発明の撥液層の形成方法は、上述の課題を解決するために以下のように構成される。
(1)この発明の撥液層の形成方法は、水酸基発現工程と、塗布工程と、溶媒洗浄工程と、をこの順に行い、基材の表面にフッ素系シランカップリング剤からなる撥液層が形成される。水酸基発現工程では、基材の表面に水酸基を発現させる処理が行われる。塗布工程では、水酸基発現工程より後に基材の表面にフッ素系シランカップリング剤が塗布される。溶媒洗浄工程では、塗布工程の後、基材を常温に保持したままの状態でフッ素系シランカップリング剤の溶媒で基材が洗浄される。
この構成における水酸基発現工程では、自身の表面に多くの水酸基を有する材料で基材が形成されている場合は、表面の油脂汚れを除去する洗浄などの処理が行われる。また、通常は表面に十分な水酸基を有しない材料で基材が形成されている場合は、例えば酸素プラズマ処理によって表面に水酸基を発現させることができる材料であれば、水酸基発現工程において酸素プラズマ処理が行われる。さらに、酸素プラズマ処理などを用いても基材の表面に水酸基を十分に発現できない場合は、水酸基発現工程において、基材の表面に無機酸化物からなる密着層が形成される。使用する基材の表面の水酸基の保有状況に応じて、適宜の処理を選択すればよい。
上述の水酸基発現工程によって基材の表面に発現した水酸基と、フッ素系シランカップリング剤とが化学的に強固に結合する。
他方、基材の表面にフッ素系シランカップリング剤を塗布した後、加熱処理などを行うことなく常温に保持したままの状態でフッ素系シランカップリング剤の溶媒で基材を洗浄することで、基材と結合していない余剰なフッ素系シランカップリング剤のみが除去される。これによって、最も臨界表面エネルギが小さい末端部のフッ化炭素基が、基材の表面に整然と配列された状態で基材の表面を被覆し、膜ムラのない厚さが均一な撥液層が形成される。
(2)水酸基発現工程では、基材の表面に無機酸化物からなる密着層が形成される。
この構成においては、基材の表面に無機酸化物からなる密着層が形成される。無機酸化物の表面には、多くの水酸基が存在するので、基材とフッ素系シランカップリング剤との間に、無機酸化物からなる密着層を形成することで、基材とフッ素系シランカップリング剤とが密着層を介して強固に結合する。
(3)この発明のノズルプレートの製造方法は、上述の撥液層の形成方法を用いて製造される。
この構成においては、基材の表面に発現した水酸基とフッ素系シランカップリング剤とが化学的に強固に結合する一方、基材の表面にフッ素系シランカップリング剤を塗布した後、加熱処理などを行うことなく常温に保持したままの状態でフッ素系シランカップリング剤の溶媒で基材を洗浄することで、基材と結合していない余剰なフッ素系シランカップリング剤のみが除去される。
これによって、最も臨界表面エネルギが小さい末端部のフッ化炭素基が、基材の表面に整然と配列された状態で基材の表面を被覆し、膜ムラのない厚さが均一な撥液層が形成される。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)基材の表面にフッ素系シランカップリング剤を塗布した後、加熱処理などを行うことなく常温に保持したままの状態でフッ素系シランカップリング剤の溶媒で基材を洗浄することで、最も臨界表面エネルギが小さい末端部のフッ化炭素基が、基材の表面に整然と配列された状態で基材の表面を被覆し、膜ムラのない厚さが均一な撥液層を形成することができる。したがって、優れた転落性を有する撥液層を形成することができる。
(2)基材とフッ素系シランカップリング剤とを強固に結合させることができるので、撥液層が基材から剥がれ落ちることを抑制することができる。したがって、撥液層を備えた基材の耐久性を向上させることができる。
(3)優れた転落性を有するノズルプレートを形成することができる。
以下に、この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態に係るノズルプレート11を備えたインクジェットヘッド10の構成を示す説明図である。なお、図1では、ノズルプレート11がカバープレート14に接着される前の状態を示している。また、インクジェットヘッド10については内部構造がわかるように断面の図を示している。
インクジェットヘッド10は、ノズルプレート11、ピエゾ素子13、カバープレート14等から構成されている。一般的にインクジェットヘッドは、ピエゾ方式とサーマル方式に大別される。前者は、電圧をかけることで変形する圧電素子(ピエゾ素子)を用い、ピストンのような仕組みを作って、インクを吐出する方式である。後者は、インクにヒータで高熱を加え、インクを瞬間的に気化させ、このとき発生する泡によって、インクをノズル孔より吐出させる方式である。
この実施形態に係るインクジェットヘッド10はピエゾ方式であるが、この発明に係る方法は、サーマル方式や他の方式のインクジェットヘッドにも適用することができる。
ノズルプレート11は、複数のノズル孔12を有する。ノズルプレート11は、ノズル孔12がインク流路15に連通する状態で、ピエゾ素子13とカバープレート14とが接着してなるヘッド部に接着される。ピエゾ素子13は、分極方向が異なる上部13A及び下部13Bのそれぞれの素子からなる。これらピエゾ素子13A,13Bに電圧を印加することによって、ピエゾ素子13A、13Bの隔壁を駆動し、隔壁によって囲まれた部分(インク流路15)の体積を変化させる。これにより、インク流路15内の圧力が変化し、インク流路15に供給されているインクがノズル孔12から吐出される。
カバープレート14は、インクを収容するインク室16を備え、ピエゾ素子13Aに接着されている。
図2(A)に示すように、ノズルプレート11は、ノズルプレート基材11A、及び、撥液層11Bを備えている。ノズルプレート基材11Aは、この発明の基材に相当する。ノズルプレート基材11Aは、表面に多くの水酸基を有する材料で形成されている。ノズルプレート基材11Aを形成する材料として例えば、鉄、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属材料やガラス等が挙げられる。
自身の表面に多くの水酸基を有する材料でノズルプレート基材11Aを形成する場合、水酸基発現工程として、表面の油脂汚れなどを除去するための洗浄処理が行われる。自身の表面に多くの水酸基を有する材料でノズルプレート基材11Aを形成し、表面の油脂汚れなどを除去することで、ノズルプレート基材11Aと撥液層11Bとが強固に結合しやすくなる。
なお、ノズルプレート基材11Aの材料については、フッ素系シランカップリング剤と反応するために十分な水酸基を有するものであれば、上述したものに限らず、使用者が適宜選択することができる。
したがって、上記以外の材料であっても、酸素プラズマ処理を施すことで表面に水酸基を発現させることができる材料であれば、ノズルプレート基材11Aの材料として使用可能である。酸素プラズマ処理によって水酸基を発現できる材料として、シリコンウエハ、酸化ジルコニウム等の無機材料や、ポリイミド、ポリプロピレン等の樹脂材料が挙げられる。
ただし、水酸基が存在する部分については、ノズルプレート基材11Aとフッ素系シランカップリング剤とが化学的に強固に結合できるが、水酸基が不十分であると良好な密着性及び撥液性が得られない場合があるので、所望する耐摩耗性や撥液性によって、ノズルプレート基材11Aの材料を選択する、若しくは、ノズルプレート基材11Aと撥液層11Bとの間に密着層11Cを形成する等の適切な処理を施す必要がある。
撥液層11Bは、フッ素系シランカップリング剤に類する撥液層材料から構成されている。フッ素系シランカップリング剤は、YnSiX4−n(n=1、2、3)で表されるケイ素化合物であり、Xはノズルプレート基材11Aの吐出面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な基からなる。そして、Yの本数によって用途が異なり、例えば、n=1のものはカップリング剤として、n=2はシロキサンポリマーの原料、n=3はシリル化剤あるいはポリマーのエンドキャッピング剤として用いられている。
特に、Yにフッ化炭素鎖を含むシランカップリング剤は、フッ素系シランカップリング剤と称され、撥水性と撥油性の両性質を有しており、撥液、防汚、防臭、潤滑などを目的とする表面処理剤として広く用いられている。
なお、フッ化炭素化合物とは、電気陰性度の最も大きなフッ素が炭素と結合し、炭素が最も酸化された状態となっているため、耐酸化性に優れ、不燃性で、化学的に極めて安定であるという特徴を有する。また、電気陰性度が高いため、炭素とフッ素との間の結合エネルギが大きく、さらにフッ素原子が水素原子よりも10%程度大きいだけであるため、炭素とフッ素との間の結合距離が短い。
しかも、フッ化炭素鎖は炭素数13のねじれ周期を持つ剛直な棒状の構造をしている。この剛直な棒の内部にある炭素骨格は、その表面に隙間なく存在するフッ素原子で覆われ、つまり炭素鎖がフッ素製のサヤを被せたような状態になっている。したがって、フッ化炭素化合物は炭素とフッ素とが分子内で極めて強く結合している反面、分子間は極めて弱い相互作用しか示さないことから上述した特性を有している。
本発明の撥液層材料としては、カップリング剤として使用されるYSiX3で表される化合物であって、Yにフッ化炭素鎖を含むフッ素系シランカップリング剤であればよい。
例えば、Yとしては、CF3(CF2)n(CH2)2(n=3、5、7、9)、(CF3)2CF(CF2)n(CH2)2(n=4、6、8)、CF3(CF2)n(C6H4)(CH2)2(n=0、3、5、7)が挙げられる。
一般的に、フッ素系シランカップリング剤の撥液性を示すフッ化炭素鎖は、直鎖で、且つ、そのフッ化炭素鎖が長いほど、撥液性が良好であることが知られている。したがって、上述したYの中でも、CF3(CF2)7(CH2)2やCF3(CF2)9(CH2)2を撥液層材料として用いることが望ましい。
また、Xは、ノズルプレート基材11Aの吐出面の水酸基や吸着水と縮合して結合するために、加水分解性の結合基である必要があり、例えば、Cl、OCH3、OCH2CH3が挙げられる。ただし、ノズルプレート基材11Aとの反応性を抑制する必要がある場合は、Xが3基とも上述したものである必要はなく、1基又は2基が加水分解性のないCH3等であってもよい。
以上のように、本発明のフッ系シランカップリング剤からなる撥液層材料としては、上述したX、Yの組み合わせのうち、所望とする撥液性やノズルプレート基材11Aとの反応性等によって、使用者が適宜使用する撥液層材料を選択することができる。
撥液層11Bとしてフッ素系シランカップリング剤を、表面に水酸基を有するノズルプレート基材11Aに塗布すると、結合基の1つがノズルプレート基材11Aの水酸基と縮合反応する。その結果、SiとOが化学的に結合したシロキサン(−Si−O−)結合によって、ノズルプレート基材11Aとフッ素系シランカップリング剤とが強固に結合するため、高い密着性が発現する。
また、残る2基の結合基は水との反応で水酸基に変わり、シラノール(−Si−OH)基となって、隣り合うフッ素系シランカップリング剤のシラノール(−Si−OH)基と縮合反応するので、フッ素系シランカップリング剤同士の間にもシロキサン(−Si−O−)ネットワークが形成される。
上述したフッ素系シランカップリング剤のうち、Y=CF3(CF2)n(CH2)2を用いた場合を例として、撥液化されたノズルプレート基材11Aの吐出面における面構造を図3に模式的に示す。
フッ素系シランカップリング剤の結合基はノズルプレート基材11Aと縮合反応し、フッ素系シランカップリング剤は、シロキサン(−Si−O−)結合111Bによって、ノズルプレート基材11Aと化学的に結合している。
また、他の一端のフッ化炭素鎖112Bがノズルプレート基材11Aの吐出面を覆うような構造となって、ノズルプレート基材11Aの吐出面上に撥液層11Bを形成する。その結果、フッ化炭素鎖112Bの持つ撥液性、不燃性、化学的不活性等の特性が、ノズルプレート基材11Aの吐出面に付与される。また、各フッ素系シランカップリング剤同士もシロキサン(−Si−O−)結合111Bによって、強固に結合している。
また、この実施形態では、ノズルプレート基材11Aの吐出面上に撥液層11Bを形成しているが、図2(B)に示すように、ノズルプレート基材11Aの吐出面と撥液層11Bとの間に密着層11Cを設けてもよい。密着層11Cを設けることで、酸素プラズマ処理等を用いてもノズルプレート基材11Aの吐出面に十分な水酸基を発現できない場合に、ノズルプレート基材11Aの吐出面上に多くの水酸基を発現させることができ、ノズルプレート基材11Aと撥液層11Bとの密着性を確保できる点で有効である。
密着層11Cを形成する密着層材料としては、例えば、アルミナやチタニア、シリコン酸化物といった無機酸化物が望ましい。無機酸化物の表面には、多くの水酸基が存在するため、フッ素系シランカップリング剤の密着層として好適である。そのため、フッ素系シランカップリング剤が密着層11Cの多くの水酸基と結合し、高密度な撥液層を形成できるので、ノズルプレート11は高い撥液性を得られる。さらに、ノズルプレート基材11Aと密着層11Cとの密着性が高められ、撥液層11Cの物理的及び化学的な耐久性が向上する。
また、無機酸化物は一般的に自由エネルギが大きく、化学的に安定であるため、密着層11C自体の耐薬液性が向上する。
なお、密着層11Cの形成方法は特に限定されることはなく、例えば、無機酸化物をノズルプレート基材11Aの吐出面上にスパッタ成膜して形成するスパッタ法や、アルミニウムやチタン、シリコン等の未酸化状態の材料を用いて、酸素を導入しながらスパッタ成膜を行う反応性スパッタ法がある。
また、アルミニウムやチタン、シリコン等の単体をスパッタ法により成膜した後、酸素プラズマ等を用いて酸化処理を行うことで、無機酸化物の密着層を形成することもできる。
つぎに、フッ素系シランカップリング剤からなる撥液層11Bを備えたノズルプレート11の製造方法について説明する。
この発明では、フッ素系シランカップリング剤の塗布後、ノズルプレート基材11Aに対して、加熱処理を施さずに即ち常温に保持したままの状態で、溶媒洗浄を行うことで、撥液層11Bを形成することを特徴としている。例えば、この実施形態では、塗布工程、溶媒洗浄工程、加熱処理工程の順に実施される。
以下に、各工程について説明する。
(1)塗布工程
フッ素系シランカップリング剤の撥液性を示すフッ化炭素基は、そのフッ素の数が多いほど表面エネルギが小さく、すなわち、固体表面の接触角で比較すれば、CF3>CF2>CFの順に、接触角が大きくなる。したがって、フッ素系シランカップリング剤の分子同士が絡み合ってノズルプレート基材11Aの表面を分厚く被覆しているより、図3に示すように、末端のCF3基が整然と表面に発現するように、フッ素系シランカップリング剤がノズルプレート基材11Aの表面に過不足なく、単分子膜の状態で配列している方が、撥液性が向上する。
フッ素系シランカップリング剤の撥液性を示すフッ化炭素基は、そのフッ素の数が多いほど表面エネルギが小さく、すなわち、固体表面の接触角で比較すれば、CF3>CF2>CFの順に、接触角が大きくなる。したがって、フッ素系シランカップリング剤の分子同士が絡み合ってノズルプレート基材11Aの表面を分厚く被覆しているより、図3に示すように、末端のCF3基が整然と表面に発現するように、フッ素系シランカップリング剤がノズルプレート基材11Aの表面に過不足なく、単分子膜の状態で配列している方が、撥液性が向上する。
すなわち、使用する撥液層溶液は、フッ素系シランカップリング剤の濃度が高すぎると、フッ素系シランカップリング剤同士のシロキサン(−Si−O−)結合が進行しやすく、フッ素系シランカップリング剤の分子同士が絡み合ってしまい、かえって撥液性を劣化させてしまう虞があるため、有機溶媒などで所定の濃度に希釈することが望ましい。
ここで使用することのできる溶媒としては、クロロフルオロカーボン、パーフルオロヘキサンなどのフッ素系溶剤やメタノール、エタノール、酢酸エチル、ベンゼンなどが挙げられ、例えば、1%以下の低濃度に希釈することが好ましい。
このように調製したフッ素系シランカップリング剤溶液の塗布方法として、刷毛塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、蒸着法などを挙げられる。塗布方法については特に限定されることはないが、塗りムラの起こらないように塗布することが重要である。
(2)溶媒洗浄工程
フッ素系シランカップリング剤溶液をノズルプレート基材11Aの表面に塗布後、次に、溶媒洗浄を行う。ここで、使用する溶媒は、フッ素系シランカップリング剤を希釈できる溶媒であって、具体的には上述のように、例えば、クロロフルオロカーボン、パーフルオロヘキサンなどのフッ素系溶剤やメタノール、エタノール、酢酸エチル、ベンゼンが挙げられる。
フッ素系シランカップリング剤溶液をノズルプレート基材11Aの表面に塗布後、次に、溶媒洗浄を行う。ここで、使用する溶媒は、フッ素系シランカップリング剤を希釈できる溶媒であって、具体的には上述のように、例えば、クロロフルオロカーボン、パーフルオロヘキサンなどのフッ素系溶剤やメタノール、エタノール、酢酸エチル、ベンゼンが挙げられる。
溶媒洗浄後に、さらに純水で水洗することが望ましい。
(3)加熱処理工程
溶媒洗浄後または水洗後に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、シロキサン(−Si−O−)ネットワークの構築を促進する効果がある。この実施形態のように、溶媒洗浄後に加熱処理を行えば、必要量のフッ素系シランカップリング剤のみに対し、シロキサン(−Si−O−)結合を促進させることができる。
溶媒洗浄後または水洗後に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、シロキサン(−Si−O−)ネットワークの構築を促進する効果がある。この実施形態のように、溶媒洗浄後に加熱処理を行えば、必要量のフッ素系シランカップリング剤のみに対し、シロキサン(−Si−O−)結合を促進させることができる。
しかしながら、シロキサン(−Si−O−)ネットワークの形成には必ずしも加熱処理は必要ではなく、十分な乾燥時間(シロキサン(−Si−O−)ネットワークの反応時間に相当する時間)を設けた場合には、加熱処理を施したものと比較して、撥液性(接触角)、転落性(転落角)の差異は見られない。
すなわち、短時間で撥液層を形成する必要がある場合は加熱処理を行えばよく、加熱処理を行う場合は、例えば、オーブンやホットプレートなどを用いて、50℃〜200℃で、1時間〜2時間程度行えばよい。
また、加熱処理を施さない場合は、乾燥時間を十分に設けることによって、シロキサン(−Si−O−)ネットワークの構築を完了させることができる。乾燥方法は、例えば、常温大気雰囲気中で1日程度放置すればよい。さらに好ましくは、高湿の雰囲気中で放置すれば、シラノール(−Si−OH)への加水分解を促進させながら、シロキサン(−Si−O−)結合を行わせることができる。
なお、加熱処理を行い、積極的にシロキサンネットワークの構築を進め、反応が完了し終わっている場合には、必ずしも乾燥工程を設ける必要はなく、加熱処理後、すぐに使用することが可能である。
上述した撥液層の形成方法を用いて撥液性を有するノズルプレート11を作製し、さらにノズル孔を形成する工程(ノズル孔形成工程)について説明する。
撥液層材料、ノズルプレート基材11A、密着層材料、およびそれらの塗布、成膜方法については、上述したものの中から、使用者が適宜選択して使用すればよく、以下に示すのは一例である。
この実施形態では、ノズルプレート基材11Aとして、ポリイミドフィルム(宇部興産社製ユーピレックスS50)を使用した。ポリイミドフィルムは、機械強度、耐熱性、耐薬液性に優れるという特徴を有し、またレーザ加工性も良好であるため、ノズルプレート基材11Aとして好適である。ポリイミドフィルムは中性洗剤による洗浄を行い、表面の油脂汚れを除去した後、洗剤成分が残留することのないよう純水を用いて十分に水洗する。上述のポリイミドフィルム上に、シリコン酸化物をターゲットとし、RFスパッタによって10nm膜厚で密着層を成膜する。
撥液層材料としては、フッ素系シランカップリング剤(ダイキン工業株式会社製オプツールDSX)を用い、希釈剤として1、1、1、2、2、3、3、4、5、5、5-ウン
デカフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(ダイキン工業株式会社製デムナムソルベントSOL−1)を用いて、200倍に希釈したものを使用した。
デカフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン(ダイキン工業株式会社製デムナムソルベントSOL−1)を用いて、200倍に希釈したものを使用した。
オプツールDSXは、それ自体がフッ素炭素系化合物が溶媒によって20%希釈されたものであるので、作製した撥液層溶液のフッ素炭素系化合物濃度は0.1%である。
撥液層溶液は調製後、作製した密着層付きノズルプレート基材11Aに、スピンコート(回転数500rpm、30秒)により塗布する。その後すぐに、デムナムソルベントSOL−1に2分間浸漬した後、純水で1分間水洗したものを、大気雰囲気中で1日放置し、乾燥させる。
次に、撥液層11Bが形成されたノズルプレート11に対し、エキシマレーザ加工装置を用いてノズル孔12を形成する。
インクジェットヘッド10用のノズルプレート11のノズル孔12は、一般的に直径10μm〜100μmの非常に小さな円形に形成される。また、ノズル孔12の直径のばらつきは、インク液滴の吐出体積のばらつきや吐出精度の劣化に繋がり、ノズル孔の形状のばらつきもまた吐出精度を劣化させるので、ノズル孔12の非常に高い加工精度が求められる。
また、ノズルプレート基材11Aの材質によっては、CO2レーザなどを用いた発熱を伴う加工を行うと、ノズル孔12のエッジ部分が溶解するなど形状が劣化する恐れがあり、吐出精度に対して悪影響を及ぼす危険性がある。
これに対して、エキシマレーザは、発振波長が約200nmの紫外光であり、熱を発生させることなく、加工材料を蒸発によって切除するというアブレーション作用による加工を行うことができるため、ノズル孔12をエッジのダレがない、精度の高い円形に加工することができる。上述のように、エキシマレーザ加工は、加工精度に優れ、また比較的簡便にノズル孔12を形成することができるので、ノズル孔の加工に好適である。
さらに、上述のように、ノズルプレート基材11Aとして、紫外線エネルギ領域の波長を吸収する高分子材料を用いれば、エキシマレーザの加工精度を劣化させることなく、ノズル孔径、形状のそろったノズル孔12をより安定的に形成することができる。
しかしながら、高分子材料の表面には水酸基が十分に存在しない場合があり、このような場合には、上述したように密着層11Cを介して撥液層11Bを形成することで、ノズルプレート基材11Aと撥液層11Bとの密着性を高めておくことによって、ノズル孔12の加工時に撥液層11Bがノズルプレート11から剥がれたり、浮き上がったりすることを防止することができる。
また、インク液滴の着弾精度の向上、さらにはその維持のためにも、ノズルプレート11の表面は撥液性を有することが求められ、一方で、ノズル孔12の内壁は親液性を有することが求められる。
上述のように、インクジェットヘッド10は、ノズル孔12内部に供給されたインクを圧力パルスによってノズル孔12から押し出すことによって、インク液滴を吐出させる。インクジェットヘッド10を駆動させ、各ノズル孔12から均一な速度、体積、吐出方向のインク液滴を吐出させるためには、ノズル孔12の内部にインク液滴が留まり、ノズル孔12の部分でメニスカスが形成されていることが重要である。メニスカスを形成するためには、ノズル孔12内部が親液性、ノズルプレート11の表面が撥液性という親撥液コントラストがはっきりと形成されている必要がある。
ノズル孔12の形成方法としては一般的に、ノズル孔12を加工した後で撥液処理を施す方法と、ノズルプレート11を撥液処理した後でノズル孔12を加工する方法とが考えられる。しかしながら、前者の場合は、ノズル孔12内部まで撥液化されてしまうので、撥液処理後にノズル孔12を親液処理する必要が生じたり、ノズル孔12内部が撥液化されないように詰め物をして、撥液処理後に詰め物を除去する処理が必要となったりする。
したがって、この発明のように、ノズルプレート11に撥液層11Bを形成した後、ノズル孔12を加工すれば、ノズル孔12の内部を改めて親液処理する必要がなく、ノズル孔12の形成と同時に親撥液コントラストが形成される。
さらに、前者では、ノズル孔12内部を均一に親液化することが難しく、ノズル孔12内の一部で撥液性が残ってしまったり、詰め物の除去時にノズル孔12の形状が劣化したりするなどの問題がある。このような状態では、吐出の不安定性や吐出精度の劣化などが引き起こされる危険性がある。
これに対して、この発明では、加工精度が高いエキシマレーザを用いてノズル孔12を加工するので、高精度な形状のノズル孔12が形成され、ノズル孔12のエッジ部においても精度良く親撥液コントラストが形成され、さらに加工後にノズル孔12にダメージを与えることなく、ノズルプレート11を形成することができる。
この実施形態では、波長248nm、照射パワー約0.6J/cm2のエキシマレーザ加工装置によって、直径20μmのノズル孔12を形成した。なお、ノズル孔12の加工は、ノズルプレート基材11Aの2個の主面のうち、撥液層11Bが形成されていない面側から加工を行う。加工するノズル孔径は、マスクサイズによって規定され、所望とするインクの吐出量に応じて適宜設定することが可能である。ノズル孔形成工程は、密着層付きのノズルプレート基材11A上に撥液層11Bを形成した後に、行われる。
(実施例1)
以下、この発明の撥液層の形成方法およびノズルプレートの製造方法について、実施例を通じてさらに具体的に説明する。
以下、この発明の撥液層の形成方法およびノズルプレートの製造方法について、実施例を通じてさらに具体的に説明する。
上述のように、ノズルプレート基材の材料は、表面に水酸基を有する材料であれば特に限定されない。ノズルプレート基材の材料として、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケル、ステンレスといった金属材料やガラスなどの他、シリコンウエハ、酸化ジルコニウムなどの無機材料や、ポリイミド、ポリプロピレンなどの樹脂材料などが挙げられるが、この実施例では、ノズルプレート基材として熱酸化膜を有するシリコン基板を用いた場合について説明する。上述のシリコン基板の表面には、緻密なシリコン酸化物層が形成されており、十分な水酸基を有しているので、高密度にフッ素系シランカップリング剤を成膜することができる。
使用したノズルプレート基材は、エレクトロニクスエンドマテリアルズコーポレーション社製のシリコン基板であり、直径は150mm、厚みは625μm、表層に形成されているシリコン酸化物層の厚みは500nmである。これを50mm角に切り出したものをノズルプレート基材として使用した。
撥液層材料は、ダイキン工業株式会社製オプツールDSXを用い、希釈剤としてダイキン工業株式会社製デムナムソルベントSOL-1を用いて、200倍に希釈したものを使
用した。上述のように、オプツールDSXは、それ自体がフッ化炭素系化合物が溶媒によって20%希釈されたものであり、作製した撥液層溶液のフッ化炭素系化合物濃度は0.1%と非常に希薄である。
用した。上述のように、オプツールDSXは、それ自体がフッ化炭素系化合物が溶媒によって20%希釈されたものであり、作製した撥液層溶液のフッ化炭素系化合物濃度は0.1%と非常に希薄である。
このように調製した撥液層溶液を、ノズルプレート基材上にスピンコート(回転数500rpm、30秒)した後すぐに、デムナムソルベントSOL-1(溶媒)に2分間浸漬
した。その後、純水で1分間水洗したものを、100℃のオーブン中で2時間加熱処理を行った。
した。その後、純水で1分間水洗したものを、100℃のオーブン中で2時間加熱処理を行った。
上述のようにして製造したノズルプレートの試料の他に、スピンコート後、溶媒洗浄を行うまでの時間を、1時間、2時間、5時間、24時間、1週間と変えて、それ以外の条件は上記手順と同様にして作製した試料も作製した。また、溶媒洗浄を行わずに、撥液層材料の塗布後、加熱処理のみを行った試料も比較例として作製した。
次に、ノズルプレートの各試料について、接触角及び転落角の測定を行い、撥液層の性能比較を行った。接触角及び転落角の測定には、協和界面科学社の接触角計(Drop Master700)を用いた。接触角は、試料上に純水1.3μLを滴下し、水滴が試料表面となす角度をθ/2法によって算出した値である。転落角の測定では、試料上に純水1.8μLを滴下し、約40秒で0°から90°まで連続的に試料台を傾斜させる。このとき、滴下した純水をCCDカメラにより観察し、水滴が動き始めるときの試料台の傾斜角度を転落角とした。
図4に、各試料の接触角及び転落角の測定結果を示す。
接触角は撥液性を表し、転落角は転落性を表す。図4において、破線は接触角についての実験結果を表し、左側の縦軸に対応しており、実線は転落角についての実験結果を表し、右側の縦軸が対応している。なお、図示していないが、溶媒洗浄を行わなかった試料についても実験を行い、接触角114°、転落角90°以上という結果を得た。
各試料について、撥液性(接触角)を比較すると、どの試料についても接触角は113°以上となり高い撥液性が得られた。接触角113°以上という値は、優れた撥水材料として知られるテフロン(登録商標、PTFE)の接触角約109°を上回る。なお、接触角については、溶媒洗浄を行ったことによる効果、および塗布工程後溶媒洗浄までの時間依存性は見られなかった。
一方、転落角については、溶媒洗浄を行わなかった試料とスピンコート(塗布工程)後すぐ(略0時間)に溶媒洗浄を行った試料とを比較すると、溶媒洗浄を行わなかった試料では90°以上と転落性が悪いのに対し、スピンコート後すぐに溶媒洗浄を行った試料では13°と非常に良好な転落角が得られた。
これによって、同一のノズルプレート基材の材料、密着層材料および撥液層材料を使用した場合でも、塗布工程後に溶媒洗浄を行うことによって、転落性を向上できることが確認された。
さらに、スピンコート(塗布工程)後から溶媒洗浄を行うまでの時間を変えた試料を比較すると、図4に示すように、溶媒洗浄を行うまでの時間が短いほど転落角が小さく、転落性が良好であることが分かる。また、この結果から、フッ素系シランカップリング剤を塗布後、溶媒洗浄を5時間以内に行うことによって、転落角90°以下の撥液層を形成することができ、さらに1時間以内に溶媒洗浄することにより、転落角40°以下というより良好な転落性が得られることがわかる。
このように、加熱処理を施すことなく溶媒洗浄を行った場合でも、撥液材料を塗布したノズルプレート基材11Aの撥液性が消失することはないことが実験によって確認できた。また、塗布工程と溶媒洗浄工程との間に、加熱処理を行った場合と行わなかった場合とで撥液層の転落性を比較すると、加熱処理を行った場合は転落角が90°以上であったのに対して、加熱処理を行わなかった場合は転落角が13°と格段に小さくなった。
上述の実験結果は、以下のようなメカニズムによるものであると考察する。
加熱処理を施すことなく溶媒洗浄を行った場合でも、撥液材料を塗布したノズルプレート基材11Aの撥液性が消失していなかったことから、表面に十分な水酸基を有するノズルプレート基材11Aにフッ素系シランカップリング剤溶液を塗布した時点で、フッ素系シランカップリング剤とノズルプレート基材11Aとの結合は速やかに進行していると考えられる。したがって、その後に溶媒洗浄を行っても、ノズルプレート基材11Aとすでに反応したフッ素系シランカップリング剤まで除去されることはなく、ノズルプレート基材11Aと結合していないフッ素系シランカップリング剤のみが除去されると考えられる。
すなわち、溶媒洗浄を行うことで、ノズルプレート基材11A上の水酸基よりも数多く存在する余剰なフッ素系シランカップリング剤のみが除去され、最も臨界表面エネルギの小さな末端部のCF3基がノズルプレート基材11Aの表面を被覆するような構造をとり易くなると考えられる。さらに、余剰なフッ素系シランカップリング剤が除去されたことによって、膜ムラのない均一な撥液層11Bが形成され、転落性が向上したと考察する。
これに対し、フッ素系シランカップリング剤を塗布後に加熱処理を施すと、フッ素系シランカップリング剤とノズルプレート基材11Aとの縮合反応が促進するのみならず、余剰なフッ素系シランカップリング剤同士の縮合反応もが促進することとなり、シロキサン(−Si−O−)ネットワークが不規則に形成されると考えられる。上述したように、シロキサン(−Si−O−)結合は非常に安定であるため、その後、溶媒洗浄を行っても、余剰なフッ素系シランカップリング剤を十分に除去することができない場合や、フッ素系シランカップリング剤同士のシロキサン(−Si−O−)結合が不完全な部分のみが除去される場合があり、それらの場合は膜ムラが生じてしまうので、転落性が不良になったものと考察する。
溶媒洗浄工程は、フッ素系シランカップリング剤を塗布(塗布工程)後、できるだけ早く行うことが望ましく、例えば、5時間以内に行うことが望ましく、さらには1時間以内に行うことがより望ましい。
上述のように、溶媒洗浄後には、さらに純水で水洗することが望ましい。
上述のように、フッ素系シランカップリング剤は、ノズルプレート基材11Aとの結合については速やかに進行して速やかに結合し終えると考えられるが、フッ素系シランカップリング剤同士の縮合反応は、フッ素系シランカップリング剤とノズルプレート基材11Aとの結合の完了後も進行しているものと考えられる。フッ素系シランカップリング剤のノズルプレート基材11Aとのシロキサン(−Si−O−)結合は、ノズルプレート基材11Aとの密着性を向上させ、フッ素系シランカップリング剤間のシロキサン(−Si−O−)ネットワークは撥液層自体の耐久性や耐薬液性を向上させる。
したがって、溶媒洗浄によって余剰なフッ素系シランカップリング剤を除去した後に、さらに水洗を行うことで、必要量のフッ素系シランカップリング剤のみに対し、結合基の加水分解を促進させることができる。その結果、隣り合うフッ素系シランカップリング剤のシラノール(−Si−OH)基同士が、すみやかにシロキサン(−Si−O−)ネットワークを構築することができる。シロキサン(−Si−O−)結合が短時間に完了すれば、シラノール(−Si−OH)基が雰囲気中の他分子などと好ましくない反応をすることを抑制することができるので、より良好な膜質の撥液層を形成することが可能となる。
一般的に、固体表面張力が小さい材料は撥液性が高いと言われる。撥液性が高い表面では液滴はより球形に近づこうとし、接触面積が小さくなり、接触面積が小さくなれば、基材との摩擦が小さくなり、転落角も小さくなると考えられる。しかしながら、固体表面張力が小さい材料は撥液性が高く、転落角も小さい傾向があることは事実であるが、必ずしも表面張力の小さい撥液性の高い材料が転落角も小さい材料であるとは限らない。
本発明における実施例1においても、上述したように、同一の基材、密着層材料および撥液層材料を使用した場合であっても、撥液層の形成方法によって、撥液性は同程度の高い値が得られていても、転落性が大幅に異なるという結果が得られている。
また、このような撥液層をインクジェット用のノズルプレートに形成する場合、特に樹脂と顔料とを含有するインクのように、液体の付着力が大きな作用を及ぼすインクを使用する場合では、単にノズルプレートと液体との静的な接触角のみでワイピング性能の良し悪しを評価することは不適切である。
上述した内容について確認するため、次のような確認実験を行った。
転落性の良好な試料(スピンコート後すぐ溶媒洗浄を行った試料、転落角13°)と転落性の悪い試料(非洗浄試料、転落角90°以上)を、顔料インクに浸漬することによって、ノズルプレートがワイプ時にインクで濡れる状況を再現した。
上述のインクは、有機溶剤を溶媒として、顔料と合成樹脂とをそれぞれ10%程度分散させたものであり、常温での表面張力は約30mN/mであり、粘度は約10cPである。
1時間程度浸漬した後、インクから約20mm/秒の速度で引き上げ、顕微鏡観察を行うと、図5に示すような1μm程度の付着物40が確認された。図5は転落性が良好な試料についての写真であるが、転落性が悪い試料についても同程度の付着物40が確認されたため、写真を省略する。なお、このとき両試料とも目視レベルでのインク液滴は残留しておらず、これは両試料とも113°以上という高い撥液性を有しているためであると考えられる。
両試料について、浸漬に使用したものと同一のインクを垂らし、ゴムブレード(ワイピングブレード)を用いて、手動でのワイピングを行った。なお、このゴムブレードは、幅16.1mm、厚み0.5mmであり、ゴム硬度は70度である。
ワイピング後に再び顕微鏡観察を行った結果について、転落性が良好な試料について図6に、転落性が悪い試料について図7に示す。図6に示すように、転落性の良好な試料では、付着物40を除去することができたが、転落性の悪い試料では、図7に示すように、付着物40がスジ状に残り、除去することができなかった。
なお、両試料とも、インクを垂らさずにワイピングを行った場合には、付着物40は除去されることを確認してある。このことより、インクより引き上げた時点ですでに発生していた付着物40については、ワイピングによって、物理的に除去することができると考えられる。
この実験の結果について、図8に示すワイピングの模式図を用いて、次のように考察する。上述の確認実験より、インクから引き上げた時点で発生していた付着物40は、ゴムブレード33によるワイピングを行えば、ゴムブレード33のエッジ部分の物理的接触によって、撥液層11B表面より除去することができているはずである。
しかしながら、図8に示すように、ゴムブレードを濡らすために供給したインク41は、ゴムブレード33のワイピング方向(図9における矢印方向)前面に保持された状態でワイピングが行われているのではなく、ゴムブレード33側方などを伝わってゴムブレード33のワイピング方向の後面にも回りこみ、実際にはゴムブレード33のワイピング方向の後面に位置するインク41を引きずりながらワイピングが行われている。
転落性が悪い試料では、このゴムブレード33に引きずられるインク41がゴムブレード33の移動に追随することができずに離間し、目視不可能な程度微量に撥液層11B上に残留してしまう。この微量なインクが乾燥した結果、新たに付着物43となってワイピング操作後の撥液層11B上に発生するものと考えられる。
このことを支持するように、図7にはゴムブレードのワイピング方向(図7における矢印方向)に沿ってスジ状に付着物40が確認されている。つまり、図7に示されているスジ状の付着物43は、新たな付着物43に相当すると考えられる。これに対して、転落性が良好な試料では、ゴムブレード33のワイピング方向の後面に回り込んだインク41がゴムブレード33の動きに追随して、容易に撥液層11B上を移動することができるので、ワイピング後に新たな付着物43が発生することなく、付着物40を除去できたと考えることができる。
以上のことより、転落性の良好な撥液層11B上ではワイピングにより付着物40の除去が可能であることが示され、この発明の課題とするインクジェットヘッド10に用いるノズルプレート11の転落性の重要性が確認できた。
上述の確認実験では、ノズルプレート基板11Aとして熱酸化シリコン基板を用いた結果を記載したが、ポリイミドやポリプロピレンなどの樹脂材料をノズルプレート基材11Aに用いた構成のノズルプレート11でも同様の転落性の効果を確認した。また、ノズルプレート基材11Aと密着層11Bとの間に密着層11Cを設けた構成についても同様の転落性の効果を確認した。
(実施例2)
次に、ノズルプレート11について、密着層11Cの平均の膜厚(厚さ)とノズル孔12の加工精度との関係について行った実験結果を図9に示す。
次に、ノズルプレート11について、密着層11Cの平均の膜厚(厚さ)とノズル孔12の加工精度との関係について行った実験結果を図9に示す。
ノズルプレート基材11Aは、宇部興産社製のユーピレックスS50を用い、密着層11Cの形成前に、中性洗剤による洗浄を行い、表面の油脂汚れを除去した後、洗剤成分が残留することのないよう純水を用いて十分に水洗したものを使用した。密着層材料としてシリコン酸化物(SiO2)を用い、RFスパッタにより密着層11Cの平均の厚さが3nm、5nm、30nm、100nmを有するノズルプレート11の4個の試料を形成した。
なお、各試料の撥液層11Bは、真空蒸着法を用いて形成し、平均の厚さが2nmである。また、撥液層11Bの形成工程(水酸基発現工程)において各試料の撥液層11Bの厚さのばらつきが異なってしまうのを避けるため、撥液層11Bの形成は、同一バッチで処理を行った。したがって、4個の試料の厚さのばらつきは、略同一である。
撥液層11Bを形成後、大気雰囲気中で1日以上放置する時間を設け、その後、エキシマレーザを用いてノズル孔12を形成した。ノズル孔12は、ノズルプレート基材11Aの撥液層11Bが形成された面の裏面側から、波長248nm、照射パワー約0.6J/cm2で直径が約20μmの円形に形成した。
図9は、ノズルプレート11の撥液層11Bが形成された吐出面側におけるノズル孔12周辺の観察写真である。観察写真は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮像した。図9(A)〜(D)は、密着層11Cの平均の厚さが3nm、5nm、30nm、100nmの各試料の観察写真である。
図9(A)〜(C)に示すように、密着層11Cの平均の厚さが3nm〜30nmである場合は、ノズル孔12の形状に加工ムラが見られないが、図9(D)に示すように、密着層11Cの平均の厚さが100nmである場合は、ノズル孔12のエッジ部にバリのような加工ムラが観察され、真円度が著しく低下したことが分かる。
シリコン酸化物からなる密着層11Cの平均の厚さが大きい場合は、エキシマレーザ(波長248nm)では加工が困難であるからである。したがって、密着層11Cの平均の厚さは極力薄くすべきであり、30nm以下にすることで、ノズル孔12を高精度に形成することができる。
一方、密着層11Cの平均の厚さが3nmの場合は、加工ムラがないが、シリコン酸化物からなる密着層11Cがポリイミドフィルムからなるノズルプレート基材11Aを完全に被覆できない。密着層11Cの連続膜を形成するための条件は、ノズルプレート基材11Aの表面粗さと関係する。一般的に市販されているポリイミドフィルムの表面粗さは、概ね3nm以下であるので、5nm以上の膜厚があれば、連続膜を形成できると考えられる。
したがって、ノズルプレート11の吐出面の転落性を高くするためには、密着層11Cの平均の厚さを5nm以上に形成するべきであることがわかる。密着層11Cの平均の厚さを5nm以上にすることで、ノズルプレート基材11Aを密着層11Cで満遍なく被覆できるので、撥液層11Bも満遍なく再現性よく形成することができる。
以上の試験結果から、密着層11Cの膜厚は、ノズル孔12の高い加工精度と、ノズルプレート11の良好な転落性とをともに満足させるべく、5nm以上30nm以下に設定することが望ましい。
この発明の撥液層の形成方法によって形成した撥液層は、ノズルプレート基材の材料および撥液層材料を選択することにより、例えば、自動車用の窓ガラスや液晶ディスプレイ、光学レンズ表面などに対する表面処理用途に適用することが可能である。また、インクジェットヘッドのノズルプレートに適用すれば、ワイピングによる付着物の除去を可能とし、吐出安定性に優れるインクジェットヘッドを製造することができる。
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 インクジェットヘッド
11 ノズルプレート
11A ノズルプレート基材
11B 撥液層
11C 密着層
12 ノズル孔
11 ノズルプレート
11A ノズルプレート基材
11B 撥液層
11C 密着層
12 ノズル孔
Claims (8)
- 基材の表面に水酸基を発現させる処理を行う水酸基発現工程と、
前記基材の前記表面にフッ素系シランカップリング剤を塗布する塗布工程と、
前記基材を常温に保持したままの状態で前記フッ素系シランカップリング剤の溶媒で前記基材を洗浄する溶媒洗浄工程と、をこの順に行い、
前記基材の前記表面に前記フッ素系シランカップリング剤からなる撥液層を形成することを特徴とする撥液層の形成方法。 - 前記水酸基発現工程では、前記基材の前記表面に無機酸化物からなる密着層を形成することを特徴とする請求項1に記載の撥液層の形成方法。
- 前記水酸基発現工程では、前記基材の前記表面に酸素プラズマ処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の撥液層の形成方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の撥液層の形成方法を用いて製造されることを特徴とするノズルプレートの製造方法。
- 前記水酸基発現工程では、無機酸化物からなり平均の厚さが5nm以上30nm以下である密着層を、紫外線エネルギを吸収する高分子材料からなる基材の表面に形成し、
前記撥液層の形成方法を用いた撥液層形成工程より後に、撥液層が形成された基材にエキシマレーザによってノズル孔を形成するノズル孔形成工程をさらに行うことを特徴とする請求項4に記載のノズルプレートの製造方法。 - 前記溶媒洗浄工程は、前記塗布工程の実施後、5時間以内に行われることを特徴とする請求項4または5に記載のノズルプレートの製造方法。
- 前記溶媒洗浄工程は、前記塗布工程の実施後、1時間以内に行われることを特徴とする請求項4または5に記載のノズルプレートの製造方法。
- 前記溶媒洗浄工程より後に前記基材を水洗する水洗工程をさらに行うことを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載のノズルプレートの製造方法。
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