JP2004284121A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】撥水性、耐摩耗性、密着性及び耐インク性に優れたインクジェット記録ヘッドが得られることを課題とする。
【解決手段】ダイヤモンドライクカーボン膜23を先にノズルプレート22の表面に形成することで、後から形成するフッ素系樹脂膜25の密着性が向上する。また、フッ素系樹脂膜25は、耐摩耗性、耐インク性に優れており、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にフッ素系樹脂膜25を形成することによって、密着性、耐摩耗性及び耐インク性に優れた撥水層60が形成される。この構成によって、ダイヤモンドライクカーボン膜27の高密着性がインクの浸透による接着剤29の密着性の破壊を防止するため、ノズルプレート22と連通孔プレート24の密着性が高くなる。
【選択図】 図4
【解決手段】ダイヤモンドライクカーボン膜23を先にノズルプレート22の表面に形成することで、後から形成するフッ素系樹脂膜25の密着性が向上する。また、フッ素系樹脂膜25は、耐摩耗性、耐インク性に優れており、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にフッ素系樹脂膜25を形成することによって、密着性、耐摩耗性及び耐インク性に優れた撥水層60が形成される。この構成によって、ダイヤモンドライクカーボン膜27の高密着性がインクの浸透による接着剤29の密着性の破壊を防止するため、ノズルプレート22と連通孔プレート24の密着性が高くなる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被印字面にインク滴を吐出して印字を行うインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体あるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等の被印刷物に記録を行う、いわゆるインクジェット方式の記録装置は、小型で安価、静寂性等種々の利点がある。これらの理由から、最近ではレポート用紙、コピー用紙等に記録するインクジェット記録装置が数多く市販されており、記録装置の分野で大きな位置を占めるようになった。
【0003】
中でも、圧電素子を用いて圧力室内の圧力を変化させてインク滴を吐出するピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーの作用でインクを膨張させインク滴を吐出する熱インクジェット方式の記録装置は、高速印字、高解像度が得られる等、多くの利点を有している。
【0004】
これらのインクジェット方式の記録装置において、インクジェット記録ヘッドでは、ノズルからインク滴を吐出した際、インク滴がノズル周囲に付着したり、また、ノズルからインクが盛り上がるオーバーシュート現象によるインク漏れが生じる。このため、インク吐出方向が傾いたり、インク滴径および速度がばらつくことがあり、これによって、インクジェット記録ヘッドの印字性能が著しく低下する場合がある。そこで、インク滴がノズル周囲に付着するのを防ぐため、ノズル表面に撥水膜を施すことが行われている。
【0005】
ここで、ノズルプレートの表面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、その上からフッ素化ダイヤモンドライクカーボン膜を形成する構成が開示されている(特許文献1)。しかし、フッ素化ダイヤモンドライクカーボン膜は耐摩耗性に弱いため、ノズルの目詰まりを防止する目的で、吐出口周辺をブレードでワイピングすることもしばしば行われ、このときフッ素化ダイヤモンドライクカーボン膜が剥離あるいは摩耗する等の問題が発生している。
【0006】
また、ノズルプレートに積載する金属プレートとの接合に接着剤が使用されているが、ノズルプレートに高分子樹脂のポリイミド等を用いた場合、接着剤だけでは耐インク性が低く、インクが接着剤に浸透して接着剤の密着力が弱くなってしまう。これによって、ノズルヘッド全体の密着性に影響を及ぼしてしまうことがある。
【0007】
【特許文献1】
特許第2983679号(第2−5項、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、撥水性、耐摩耗性、密着性及び耐インク性に優れたインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの表面に形成された撥水膜と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記撥水膜は、前記ノズルプレートの表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜と、前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に形成されたフッ素系樹脂膜と、で構成されたことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ノズルプレートの表面にはダイヤモンドライクカーボン膜が形成されており、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面にはフッ素系樹脂膜が形成されている。
【0011】
ダイヤモンドライクカーボン膜は密着性に優れており、このダイヤモンドライクカーボン膜を先にノズルプレートの表面に形成することで、後から形成するフッ素系樹脂膜の密着性が向上する。
【0012】
また、フッ素系樹脂膜は、耐摩耗性、耐インク性に優れており、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面にフッ素系樹脂膜を形成することによって、密着性、耐摩耗性及び耐インク性に優れた撥水膜が形成される。
【0013】
請求項2に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの裏面に積層され、前記インクを貯留するインク室が形成された連通孔プレートと、前記ノズルプレートと前記連通孔プレートとを接着する接着剤と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ノズルプレートにダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記連通孔プレートを接着剤で接着したことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、ノズルプレートの裏面には連通孔プレートが積層されており、ノズルプレートと連通孔プレートとは接着剤で接着されている。このとき、ノズルプレートと接着剤との間にはダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。
【0015】
この構成によって、ダイヤモンドライクカーボン膜の高密着性がインクの浸透による接着剤の密着性の破壊を防止するため、ノズルプレートと連通孔プレートの密着性が高くなる。
【0016】
請求項3に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの両面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜と、前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に形成されたフッ素系樹脂膜と、前記ノズルプレートの裏面に積層され、前記インクを貯留するインク室が形成された連通孔プレートと、前記ノズルプレートと前記連通孔プレートとを接着する接着剤と、を有することを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、ノズルプレートの両面にはダイヤモンドライクカーボン膜が形成され、ノズルプレートの表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜の表面にはフッ素系樹脂膜が形成されている。また、ノズルプレートの裏面には連通孔プレートが積層されており、ノズルプレートの裏面のダイヤモンドライクカーボン膜と連通孔プレートは接着剤で接着固定されている。
【0018】
ノズルプレートの両面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成することによって、ダイヤモンドライクカーボン膜形成時の応力による反りが打ち消され、インクジェット記録ヘッドの作成工程上、効率が良い。
【0019】
請求項4に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、前記ノズルプレートは、ポリイミド樹脂で形成されたことを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、ノズルプレートは、耐熱性に優れたポリイミド樹脂で形成されることによって、ノズルプレートの表面及び裏面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成する際のプラズマCVD法による熱処理時においても、溶融して変形または変質することがない。また、機械的強度及び耐薬品性にも優れており、エッチング等の過酷な環境や長期の使用にも安定した特性を示す。
【0021】
さらに、ノズルプレートにポリイミド樹脂を用いることで、被印刷物がノズルヘッドに当接した場合の緩衝材としても効果がある。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッド12が搭載されたインクジェットプリンタ10が示されている。
【0023】
インクジェット記録ヘッド12は、ノズル36(図2参照)が形成されたノズルプレート22が、記録用紙Pと対向するようにキャリッジ14上に搭載されている。このキャリッジ14は、主走査機構16によって主走査方向(矢印Aで示す)に移動される。これにより、インクジェット記録ヘッド12は、副走査機構18によって副走査方向(矢印Bで示す)へ搬送される記録用紙Pへ、画像情報に応じてインク滴を吐出することにより、記録用紙Pの全面に画像の記録を行う。
(インクジェット記録ヘッドの概略説明)
図2に示すように、インクジェット記録ヘッド12は、ノズルプレート22、連通孔プレート24、26、供給路プレート28、30、圧力発生室プレート32、および振動板34の合計7枚のプレートを位置合わせして積層し、接着剤等の接合手段によって接合することにより形成されている。
【0024】
ノズルプレート22には、インクを吐出するノズル36が設けられており、連通孔プレート24、26には、連通孔38、40がそれぞれ形成されている。また、供給路プレート28、30には供給孔42、44が形成されている。これらのノズル36、連通孔38、40、供給孔42、44は連通孔プレート24、26、供給路プレート28、30が積層された状態で連通し、圧力発生室プレート32に形成された圧力発生室48に繋がっている。
【0025】
一方、連通孔プレート24、26には、それぞれインクプール51、52が形成され、図示しないインク供給孔から供給されたインクが貯留されている。また、供給路プレート28には、このインクプール52と連結するように供給孔54が形成されている。さらに、供給路プレート30には供給溝56が形成されて、連通孔プレート24、26、供給路プレート28、30が積層された状態で、インクプール51、52と圧力発生室48とを連通させている。
【0026】
圧力発生室プレート32上には振動板34が積層され、振動板34の上には圧力発生手段としての単板型の圧電素子58が取り付けられている。圧電素子58は、圧力発生室48に相当する領域に接着されており、はんだ68を介してフレキシブル配線基板70と接続されている。この構成により、駆動電圧波形が圧電素子58に印加されると、圧電素子58と共に振動板34がたわみ変形して圧力発生室48のインクを加圧し、ノズル36からインク滴を吐出させる。
【0027】
また、ノズルプレート22のインクが吐出される側の面(表面)には撥水層60が形成されており、この撥水層60によってノズル36周囲のインク漏れ等が防止でき、ノズル36から吐出するインク滴が常にノズルプレート22に対して垂直に吐出されるようになる。
(インクジェット記録ヘッドの製造方法)
以上が、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッド12の構成であり、次に、このインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。
【0028】
ノズルプレート22の一方の面(表面)及び他方の面(裏面)のそれぞれにプラズマ処理を施す。ノズルプレート22には、機械的強度、耐薬品性、薄膜化に優れた合成樹脂である熱硬化性のポリイミド等が使用される。
【0029】
本実施例で使用されるポリイミド製のノズルプレート22の場合、ノズルプレート22の表面をプラズマガスに曝すことによる前処理を行うことによって、この後に形成するダイヤモンドライクカーボン膜23の密着強度が強化される。
【0030】
プラズマ処理に使用されるガスとしては、例えば、フッ素(F)含有ガス、水素ガス(H2)および酸素ガス(O2)等が挙げられる。フッ素(F)含有ガスおよび水素ガス(H2)を用いると、ノズルプレート22の表面はフッ素終端または水素終端され、この後に形成するダイヤモンドライクカーボン中の炭素との結合が安定する。また、酸素ガス(O2)を用いてプラズマ処理を行うと、ノズルプレート22の表面の有機物等の汚れが効率よく除去できるので、後から形成するダイヤモンドライクカーボン膜23がノズルプレート22の表面に付着しやすくなる。
【0031】
なお、プラズマ処理は同種類または異なる種類のプラズマを用いて複数回行っても構わない。例えば、最初にノズルプレート22の表面を酸素ガスプラズマに曝してノズルプレートの表面の汚れを除去した後、フッ素含有ガスプラズマまたは水素ガスプラズマに曝すことによって、ノズルプレートの表面に形成するダイヤモンドライクカーボン膜23の密着性が高まる。
【0032】
次に、図3(A)に示すように、ノズルプレート22の両面にダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成する。ダイヤモンドライクカーボン膜23、27は、天然ダイヤモンドと同じ炭素のSP3結合とグラファイトと同じ炭素のSP2結合、それに水素との結合を含むアモルファス構造となっており、高硬度で摩擦係数が小さく、撥水性、耐摩耗性、化学的安定性に優れている等の特徴を有する。また、比較的低温で容易に形成できるプラズマCVD法等によって形成可能であることから、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成する際にノズルプレート22に熱的損傷を与えることがない。ダイヤモンドライクカーボン膜23、27の厚さは、0.05〜1μmの範囲とされ、0.1〜0.5μmで形成することが好ましい。0.05μmより膜の厚さが薄いときには密着性が弱くなり、1μmよりも大きいときには、ノズルヘッド全体が厚くなってしまい、インクの吐出に影響を及ぼしてしまう。
【0033】
ここで、プラズマCVD法によってダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成する工程を説明する。
【0034】
図5に示すように、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27は、プラズマCVD装置80を用いてノズルプレート22に形成される。
【0035】
プラズマCVD装置80は成膜室82を有しており、成膜室82内には電極84と、この電極84に対向するようにして電極86が設けられている。電極86は接地されており、電極84にはマッチングボックス91を介して高周波電源92が接続されている。また、電極84には、電極84上に設置された被成膜物を加熱するためのヒーター85が付設されている。
【0036】
まず、電極84に、被成膜物であるノズルプレート22を、被成膜面22Aを電極86側に向けて設置する。成膜室82には、圧力調整弁87を介して排気ポンプ88が接続されており、この排気ポンプ88を運転させて成膜室82の内部を所定の圧力(成膜圧力)まで減圧する。
【0037】
一方、成膜室82の外にはガス供給部90が設置されており、ガス供給部90を介して成膜室82内に原料ガスが導入されるようになっている。ガス供給部90は、成膜室82にガスを送る供給パイプ101から分岐して設けられた弁93、マスフローコントローラ95及び成膜用のガスボンベ97(例えば、メタン(CH4))とで構成されている。
【0038】
マッチングボックス91を介して高周波電源92から電極84に高周波電力が導入されると、マスフローコントローラ95で投入量が調整されたメタン(CH4)が成膜室82へ導入され、メタンガスのプラズマ化が行われる。これによって、ノズルプレート22の被成膜面22Aにダイヤモンドライクカーボン膜23、27が形成される。
【0039】
なお、先に説明したノズルプレート22の表面にフッ素含有ガスプラズマまたは水素ガスプラズマを曝す、前処理の工程においても、ガスボンベ97をフッ素含有ガスまたは水素ガスのガスボンベと交換して、同様にして成膜室82にフッ素含有ガスまたは水素ガスを導入すればよい。
【0040】
原料ガスには、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成するものとして、炭化水素化合物等のガスが挙げられる。
【0041】
炭化水素化合物としては、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)等のアルカン、シクロプロパン(C3H8)、シクロブタン(C4H8)等のシクロアルカン、エチレン(C2H4)、プロペン(C3H6)、ブテン(C4H8)等のアルケン、アセチレン(C2H4)等のアルキン等が挙げられる。
【0042】
これらの炭化水素化合物は単独で使用してもよく、二種類以上を混合して使用しても良い。
【0043】
さらに、上記ガスの他に、キャリアガスとして水素(H2)ガスや不活性ガスのヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)またはクリプトン(Kr)等のガスが使用されることもある。
【0044】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27の形成方法として、プラズマCVD法以外にスパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いることも可能である。
【0045】
次に、図3(B)に示すように、ノズルプレート22の表面に形成したダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に、スピンコート法を用いてフッ素系樹脂膜25を形成する。フッ素系樹脂膜25として、4フッ化エチレン−6フッ化プロプレン共重合樹脂(FEP)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)を用いることが好ましい。
【0046】
このフッ素系樹脂膜25は、0.5〜2μmの厚みで形成される。好ましくは1μmの厚みで形成される。フッ素系樹脂膜25の厚みが0.5μmよりも薄いときには、耐摩耗性、耐擦過性が弱くなってしまう。また、2μmよりも厚くした場合には、ノズルヘッド全体が厚くなってしまい、インクの吐出に影響を及ぼす恐れがある。
【0047】
次に、図4(A)に示すように、連通孔プレート24にスピンコート法を用いて接着剤29を塗布し、図4(B)に示すように、連通孔38に付着した接着剤29を取り除く。
【0048】
接着剤29としては、熱可塑性高分子樹脂及び熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性高分子樹脂としては、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂等が挙げられる。本実施形態においては、熱可塑性樹脂のポリイミドが使用される。さらに、接着剤29の塗布厚は、密着性を考慮すると5μmが適当とされる。
【0049】
次に、図4(C)に示すように、ノズルプレート22の裏面に連通孔プレート24を接合し、図6(A)に示すように、エキシマレーザLでノズルプレート22にノズル36を穿設する。また、ノズルプレート22に接合された連通孔プレート24に、連通孔プレート26、供給路プレート28、供給路プレート30、圧力発生室プレート32を接合し、図6(B)に示すように、圧力発生室プレート32の開口を覆うようにして振動板34を接合する。
【0050】
次に、図6(C)に示すように、マトリックス状に圧電素子58がサンドブレスト加工された固定基板78を上にして、圧電素子58を振動板34に接着する。固定基板78と圧電素子58は、所定の温度で加熱したとき、発泡して接着力が大幅に低下する性質を有する熱発泡性接着フィルムを用いて接着されている。また、圧電素子58の両面には電極層がスパッタリングなどで予め形成されており、共通電極として兼用する振動板34と導電性接着剤で接着することで、圧電素子58と振動板34とは電気的に接続される。
【0051】
次に、図6(D)に示すように、固定基板78を加熱して熱発泡性接着フィルムの接着力を低減させて固定基板78を剥離し、図6(E)に示すように、各圧電素子58毎にはんだ68を介してフレキシブル配線基板70を接合する。
【0052】
最後に、図示しないインク供給装置等を取付けることにより、本実施形態のインクジェット記録ヘッド12が完成する。
【0053】
次に、本発明の実施の形態の作用について説明する。
【0054】
図2に示すように、インクジェット記録ヘッド12には、インクプール50から圧力発生室48、供給孔44、42、連通孔40、38およびノズル36へと連続するインクの通路が形成されており、インク供給装置(図示省略)から送られてきたインクは、振動板34に形成されたインク供給孔(図示省略)を介してインクプール51、52に貯留され、インク供給孔54及び供給溝56を経て、圧力発生室48内に充填される。
【0055】
ここで、画像情報に応じた駆動電圧波形が圧電素子58に印加されると、圧電素子58は振動板34と共に変形して圧力発生室48を膨張または圧縮させる。これによって、圧力発生室48に体積変化が生じ、圧力発生室48内に圧力波が発生する。この圧力波の作用によってインクが運動し、インクがノズル36から外部へ吐出される。
【0056】
図4(C)に示すように、ノズルプレート22の表面にはダイヤモンドライクカーボン膜23が形成されており、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にはフッ素系樹脂膜25が形成されている。
【0057】
ダイヤモンドライクカーボン膜23は密着性に優れており、このダイヤモンドライクカーボン膜23を先にノズルプレート22の表面に形成することで、後から形成するフッ素系樹脂膜25の密着性が向上する。
【0058】
また、フッ素系樹脂膜25は、耐摩耗性、耐インク性に優れており、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にフッ素系樹脂膜25を形成することによって、密着性、耐摩耗性及び耐インク性に優れた撥水層60が形成される。
【0059】
一方、ノズルプレート22の裏面には連通孔プレート24が積層されており、ノズルプレート22と連通孔プレート24とは接着剤29で接着されている。このとき、ノズルプレート22と接着剤29との間にはダイヤモンドライクカーボン膜27が形成されている。
【0060】
この構成によって、ダイヤモンドライクカーボン膜27の高密着性がインクの浸透による接着剤29の密着性の破壊を防止するため、ノズルプレート22と連通孔プレート24の密着性が高くなる。
【0061】
なお、本実施形態においては、ノズルプレート22の材質として熱硬化性のポリイミド樹脂を用いたが、熱硬化性樹脂としてはポリイミド樹脂の他にもポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン等が使用される。また、熱硬化性樹脂に限らず、シリコンウエハー、ステンレス板、合成樹脂等を使用してもよい。
【0062】
ここで、実施例として、図4(C)に示すように、インクジェット記録ヘッド12のノズルプレート22に撥水層60を形成し、この撥水層60の評価を行った。
<実施例1>
ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜条件(プラズマCVD法)
高周波電力 13.56MHz 100W
成膜用ガス メタン(CH4) 200sccm
成膜圧力 0.1Torr
ノズルプレート22の表面にダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に撥水膜として4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
<実施例2>
ノズルプレート22の裏面にダイヤモンドライクカーボン膜27を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜27の表面に接着剤としてエポキシ樹脂をスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
【0063】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜27の成膜条件は実施例1と同様とした。
<実施例3>
ノズルプレート22の表面にダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に撥水膜として4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
【0064】
また、ノズルプレート22の裏面にダイヤモンドライクカーボン膜27を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜27の表面に接着剤としてポリイミドをスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
【0065】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27の成膜条件は実施例1と同様とした。
<比較例1>
ノズルプレート22の表面に撥水膜として4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
<比較例2>
ノズルプレート22の裏面に接着剤としてエポキシ樹脂をスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
<比較例3>
ノズルプレート22の表面にダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に撥水膜としてシリコン樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
【0066】
また、ノズルプレート22の裏面に接着剤としてポリイミドをスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
【0067】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜23の成膜条件は実施例1と同様とした。
【0068】
実施例1〜3および比較例1〜3の成膜状態を下記表1に示す。
【0069】
【表1】
評価方法
上記各実施例および比較例のノズルプレート22を用いて、実施例1、3及び比較例1、3では撥水性、密着性、耐摩耗性および耐インク性の評価、実施例2、3および比較例2、3では密着性および耐インク性の評価を行った。また、各評価には下記インクAを用いて測定を行った。評価は一般環境下(温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H)にて行った。
【0070】
このインクにおける表面張力は30mN/mであった。
【0071】
撥水性の評価
撥水層のインクに対する接触角を同膜上の5箇所で測定し、その平均値で評価を行った。評価基準は以下の通りである。
【0072】
○: 60°以上
△: 50°以上60°未満
× : 50°未満
密着性の評価
膜密着性は、テープ剥離試験(JIS K5400−1990)の基盤目法を用いて評価した。評価基準は以下の通りである。
【0073】
◎: 9〜10点
○: 7〜8点
△: 5〜6点
× : 5点以下
耐摩耗性の評価
撥水層を10000回ワイピングし、その後のインクに対する接触角を測定し、評価を行った。ワイピングは撥水層をインクに浸漬しながらポリウレタンブレードで擦ることにより行った。評価基準は以下の通りである。
【0074】
◎: 65°以上
○: 60°以上65°未満
△: 50°以上60°未満
× : 50°未満
耐インク性の評価
ノズルプレート22を70℃の環境下でインクに浸漬し、300時間後の撥水層および接着層61の状態および撥水層60のインクに対する接触角を測定することにより評価を行った。評価基準は以下の通りである。
【0075】
◎: 剥離なしおよび接触角が65°以上
○: 剥離なしおよび接触角が60°以上65°未満
△: 若干剥離あり
× : 完全に剥離
評価結果を表に示す。
【0076】
【表2】
この評価結果から分かるように、ノズルプレート22の表面の撥水層60として、ダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にフッ素系樹脂25を形成することによって、撥水性、密着性、耐摩耗性ともに優れた撥水層60を得ることができる。
【0077】
また、ノズルプレート22と連通孔プレート24とを接着する接着剤29と、ノズルプレート22との間にダイヤモンドライクカーボン膜27を形成することによって、ノズルプレート22と連通孔プレート24との間に、密着性および耐インク性に優れた接着層61が得られる。
【0078】
【発明の効果】
本発明は上記構成にしたので、撥水性、耐摩耗性、密着性及び耐インク性に優れたインクジェット記録ヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを搭載するインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す側面の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す側面の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す側面の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る撥水膜を形成するプラズマCVD装置を示すである。
【図6】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す側面の断面図である。
【符号の説明】
10 インクジェットプリンタ
12 インクジェット記録ヘッド
22 ノズルプレート
23 ダイヤモンドライクカーボン膜 (撥水膜)
24 連通孔プレート
25 フッ素系樹脂膜(撥水膜)
27 ダイヤモンドライクカーボン膜
29 接着剤
36 ノズル(吐出口)
38 連通孔(インク室)
60 撥水層
61 接着層
【発明の属する技術分野】
本発明は、被印字面にインク滴を吐出して印字を行うインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体あるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等の被印刷物に記録を行う、いわゆるインクジェット方式の記録装置は、小型で安価、静寂性等種々の利点がある。これらの理由から、最近ではレポート用紙、コピー用紙等に記録するインクジェット記録装置が数多く市販されており、記録装置の分野で大きな位置を占めるようになった。
【0003】
中でも、圧電素子を用いて圧力室内の圧力を変化させてインク滴を吐出するピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーの作用でインクを膨張させインク滴を吐出する熱インクジェット方式の記録装置は、高速印字、高解像度が得られる等、多くの利点を有している。
【0004】
これらのインクジェット方式の記録装置において、インクジェット記録ヘッドでは、ノズルからインク滴を吐出した際、インク滴がノズル周囲に付着したり、また、ノズルからインクが盛り上がるオーバーシュート現象によるインク漏れが生じる。このため、インク吐出方向が傾いたり、インク滴径および速度がばらつくことがあり、これによって、インクジェット記録ヘッドの印字性能が著しく低下する場合がある。そこで、インク滴がノズル周囲に付着するのを防ぐため、ノズル表面に撥水膜を施すことが行われている。
【0005】
ここで、ノズルプレートの表面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、その上からフッ素化ダイヤモンドライクカーボン膜を形成する構成が開示されている(特許文献1)。しかし、フッ素化ダイヤモンドライクカーボン膜は耐摩耗性に弱いため、ノズルの目詰まりを防止する目的で、吐出口周辺をブレードでワイピングすることもしばしば行われ、このときフッ素化ダイヤモンドライクカーボン膜が剥離あるいは摩耗する等の問題が発生している。
【0006】
また、ノズルプレートに積載する金属プレートとの接合に接着剤が使用されているが、ノズルプレートに高分子樹脂のポリイミド等を用いた場合、接着剤だけでは耐インク性が低く、インクが接着剤に浸透して接着剤の密着力が弱くなってしまう。これによって、ノズルヘッド全体の密着性に影響を及ぼしてしまうことがある。
【0007】
【特許文献1】
特許第2983679号(第2−5項、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、撥水性、耐摩耗性、密着性及び耐インク性に優れたインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの表面に形成された撥水膜と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記撥水膜は、前記ノズルプレートの表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜と、前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に形成されたフッ素系樹脂膜と、で構成されたことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ノズルプレートの表面にはダイヤモンドライクカーボン膜が形成されており、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面にはフッ素系樹脂膜が形成されている。
【0011】
ダイヤモンドライクカーボン膜は密着性に優れており、このダイヤモンドライクカーボン膜を先にノズルプレートの表面に形成することで、後から形成するフッ素系樹脂膜の密着性が向上する。
【0012】
また、フッ素系樹脂膜は、耐摩耗性、耐インク性に優れており、ダイヤモンドライクカーボン膜の表面にフッ素系樹脂膜を形成することによって、密着性、耐摩耗性及び耐インク性に優れた撥水膜が形成される。
【0013】
請求項2に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの裏面に積層され、前記インクを貯留するインク室が形成された連通孔プレートと、前記ノズルプレートと前記連通孔プレートとを接着する接着剤と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、前記ノズルプレートにダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記連通孔プレートを接着剤で接着したことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、ノズルプレートの裏面には連通孔プレートが積層されており、ノズルプレートと連通孔プレートとは接着剤で接着されている。このとき、ノズルプレートと接着剤との間にはダイヤモンドライクカーボン膜が形成されている。
【0015】
この構成によって、ダイヤモンドライクカーボン膜の高密着性がインクの浸透による接着剤の密着性の破壊を防止するため、ノズルプレートと連通孔プレートの密着性が高くなる。
【0016】
請求項3に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの両面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜と、前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に形成されたフッ素系樹脂膜と、前記ノズルプレートの裏面に積層され、前記インクを貯留するインク室が形成された連通孔プレートと、前記ノズルプレートと前記連通孔プレートとを接着する接着剤と、を有することを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、ノズルプレートの両面にはダイヤモンドライクカーボン膜が形成され、ノズルプレートの表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜の表面にはフッ素系樹脂膜が形成されている。また、ノズルプレートの裏面には連通孔プレートが積層されており、ノズルプレートの裏面のダイヤモンドライクカーボン膜と連通孔プレートは接着剤で接着固定されている。
【0018】
ノズルプレートの両面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成することによって、ダイヤモンドライクカーボン膜形成時の応力による反りが打ち消され、インクジェット記録ヘッドの作成工程上、効率が良い。
【0019】
請求項4に記載の本発明のインクジェット記録ヘッドは、前記ノズルプレートは、ポリイミド樹脂で形成されたことを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、ノズルプレートは、耐熱性に優れたポリイミド樹脂で形成されることによって、ノズルプレートの表面及び裏面にダイヤモンドライクカーボン膜を形成する際のプラズマCVD法による熱処理時においても、溶融して変形または変質することがない。また、機械的強度及び耐薬品性にも優れており、エッチング等の過酷な環境や長期の使用にも安定した特性を示す。
【0021】
さらに、ノズルプレートにポリイミド樹脂を用いることで、被印刷物がノズルヘッドに当接した場合の緩衝材としても効果がある。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッド12が搭載されたインクジェットプリンタ10が示されている。
【0023】
インクジェット記録ヘッド12は、ノズル36(図2参照)が形成されたノズルプレート22が、記録用紙Pと対向するようにキャリッジ14上に搭載されている。このキャリッジ14は、主走査機構16によって主走査方向(矢印Aで示す)に移動される。これにより、インクジェット記録ヘッド12は、副走査機構18によって副走査方向(矢印Bで示す)へ搬送される記録用紙Pへ、画像情報に応じてインク滴を吐出することにより、記録用紙Pの全面に画像の記録を行う。
(インクジェット記録ヘッドの概略説明)
図2に示すように、インクジェット記録ヘッド12は、ノズルプレート22、連通孔プレート24、26、供給路プレート28、30、圧力発生室プレート32、および振動板34の合計7枚のプレートを位置合わせして積層し、接着剤等の接合手段によって接合することにより形成されている。
【0024】
ノズルプレート22には、インクを吐出するノズル36が設けられており、連通孔プレート24、26には、連通孔38、40がそれぞれ形成されている。また、供給路プレート28、30には供給孔42、44が形成されている。これらのノズル36、連通孔38、40、供給孔42、44は連通孔プレート24、26、供給路プレート28、30が積層された状態で連通し、圧力発生室プレート32に形成された圧力発生室48に繋がっている。
【0025】
一方、連通孔プレート24、26には、それぞれインクプール51、52が形成され、図示しないインク供給孔から供給されたインクが貯留されている。また、供給路プレート28には、このインクプール52と連結するように供給孔54が形成されている。さらに、供給路プレート30には供給溝56が形成されて、連通孔プレート24、26、供給路プレート28、30が積層された状態で、インクプール51、52と圧力発生室48とを連通させている。
【0026】
圧力発生室プレート32上には振動板34が積層され、振動板34の上には圧力発生手段としての単板型の圧電素子58が取り付けられている。圧電素子58は、圧力発生室48に相当する領域に接着されており、はんだ68を介してフレキシブル配線基板70と接続されている。この構成により、駆動電圧波形が圧電素子58に印加されると、圧電素子58と共に振動板34がたわみ変形して圧力発生室48のインクを加圧し、ノズル36からインク滴を吐出させる。
【0027】
また、ノズルプレート22のインクが吐出される側の面(表面)には撥水層60が形成されており、この撥水層60によってノズル36周囲のインク漏れ等が防止でき、ノズル36から吐出するインク滴が常にノズルプレート22に対して垂直に吐出されるようになる。
(インクジェット記録ヘッドの製造方法)
以上が、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッド12の構成であり、次に、このインクジェット記録ヘッドの製造方法について説明する。
【0028】
ノズルプレート22の一方の面(表面)及び他方の面(裏面)のそれぞれにプラズマ処理を施す。ノズルプレート22には、機械的強度、耐薬品性、薄膜化に優れた合成樹脂である熱硬化性のポリイミド等が使用される。
【0029】
本実施例で使用されるポリイミド製のノズルプレート22の場合、ノズルプレート22の表面をプラズマガスに曝すことによる前処理を行うことによって、この後に形成するダイヤモンドライクカーボン膜23の密着強度が強化される。
【0030】
プラズマ処理に使用されるガスとしては、例えば、フッ素(F)含有ガス、水素ガス(H2)および酸素ガス(O2)等が挙げられる。フッ素(F)含有ガスおよび水素ガス(H2)を用いると、ノズルプレート22の表面はフッ素終端または水素終端され、この後に形成するダイヤモンドライクカーボン中の炭素との結合が安定する。また、酸素ガス(O2)を用いてプラズマ処理を行うと、ノズルプレート22の表面の有機物等の汚れが効率よく除去できるので、後から形成するダイヤモンドライクカーボン膜23がノズルプレート22の表面に付着しやすくなる。
【0031】
なお、プラズマ処理は同種類または異なる種類のプラズマを用いて複数回行っても構わない。例えば、最初にノズルプレート22の表面を酸素ガスプラズマに曝してノズルプレートの表面の汚れを除去した後、フッ素含有ガスプラズマまたは水素ガスプラズマに曝すことによって、ノズルプレートの表面に形成するダイヤモンドライクカーボン膜23の密着性が高まる。
【0032】
次に、図3(A)に示すように、ノズルプレート22の両面にダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成する。ダイヤモンドライクカーボン膜23、27は、天然ダイヤモンドと同じ炭素のSP3結合とグラファイトと同じ炭素のSP2結合、それに水素との結合を含むアモルファス構造となっており、高硬度で摩擦係数が小さく、撥水性、耐摩耗性、化学的安定性に優れている等の特徴を有する。また、比較的低温で容易に形成できるプラズマCVD法等によって形成可能であることから、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成する際にノズルプレート22に熱的損傷を与えることがない。ダイヤモンドライクカーボン膜23、27の厚さは、0.05〜1μmの範囲とされ、0.1〜0.5μmで形成することが好ましい。0.05μmより膜の厚さが薄いときには密着性が弱くなり、1μmよりも大きいときには、ノズルヘッド全体が厚くなってしまい、インクの吐出に影響を及ぼしてしまう。
【0033】
ここで、プラズマCVD法によってダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成する工程を説明する。
【0034】
図5に示すように、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27は、プラズマCVD装置80を用いてノズルプレート22に形成される。
【0035】
プラズマCVD装置80は成膜室82を有しており、成膜室82内には電極84と、この電極84に対向するようにして電極86が設けられている。電極86は接地されており、電極84にはマッチングボックス91を介して高周波電源92が接続されている。また、電極84には、電極84上に設置された被成膜物を加熱するためのヒーター85が付設されている。
【0036】
まず、電極84に、被成膜物であるノズルプレート22を、被成膜面22Aを電極86側に向けて設置する。成膜室82には、圧力調整弁87を介して排気ポンプ88が接続されており、この排気ポンプ88を運転させて成膜室82の内部を所定の圧力(成膜圧力)まで減圧する。
【0037】
一方、成膜室82の外にはガス供給部90が設置されており、ガス供給部90を介して成膜室82内に原料ガスが導入されるようになっている。ガス供給部90は、成膜室82にガスを送る供給パイプ101から分岐して設けられた弁93、マスフローコントローラ95及び成膜用のガスボンベ97(例えば、メタン(CH4))とで構成されている。
【0038】
マッチングボックス91を介して高周波電源92から電極84に高周波電力が導入されると、マスフローコントローラ95で投入量が調整されたメタン(CH4)が成膜室82へ導入され、メタンガスのプラズマ化が行われる。これによって、ノズルプレート22の被成膜面22Aにダイヤモンドライクカーボン膜23、27が形成される。
【0039】
なお、先に説明したノズルプレート22の表面にフッ素含有ガスプラズマまたは水素ガスプラズマを曝す、前処理の工程においても、ガスボンベ97をフッ素含有ガスまたは水素ガスのガスボンベと交換して、同様にして成膜室82にフッ素含有ガスまたは水素ガスを導入すればよい。
【0040】
原料ガスには、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27を形成するものとして、炭化水素化合物等のガスが挙げられる。
【0041】
炭化水素化合物としては、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)等のアルカン、シクロプロパン(C3H8)、シクロブタン(C4H8)等のシクロアルカン、エチレン(C2H4)、プロペン(C3H6)、ブテン(C4H8)等のアルケン、アセチレン(C2H4)等のアルキン等が挙げられる。
【0042】
これらの炭化水素化合物は単独で使用してもよく、二種類以上を混合して使用しても良い。
【0043】
さらに、上記ガスの他に、キャリアガスとして水素(H2)ガスや不活性ガスのヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)またはクリプトン(Kr)等のガスが使用されることもある。
【0044】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27の形成方法として、プラズマCVD法以外にスパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いることも可能である。
【0045】
次に、図3(B)に示すように、ノズルプレート22の表面に形成したダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に、スピンコート法を用いてフッ素系樹脂膜25を形成する。フッ素系樹脂膜25として、4フッ化エチレン−6フッ化プロプレン共重合樹脂(FEP)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂等が挙げられる。特に、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)を用いることが好ましい。
【0046】
このフッ素系樹脂膜25は、0.5〜2μmの厚みで形成される。好ましくは1μmの厚みで形成される。フッ素系樹脂膜25の厚みが0.5μmよりも薄いときには、耐摩耗性、耐擦過性が弱くなってしまう。また、2μmよりも厚くした場合には、ノズルヘッド全体が厚くなってしまい、インクの吐出に影響を及ぼす恐れがある。
【0047】
次に、図4(A)に示すように、連通孔プレート24にスピンコート法を用いて接着剤29を塗布し、図4(B)に示すように、連通孔38に付着した接着剤29を取り除く。
【0048】
接着剤29としては、熱可塑性高分子樹脂及び熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性高分子樹脂としては、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、珪素樹脂等が挙げられる。本実施形態においては、熱可塑性樹脂のポリイミドが使用される。さらに、接着剤29の塗布厚は、密着性を考慮すると5μmが適当とされる。
【0049】
次に、図4(C)に示すように、ノズルプレート22の裏面に連通孔プレート24を接合し、図6(A)に示すように、エキシマレーザLでノズルプレート22にノズル36を穿設する。また、ノズルプレート22に接合された連通孔プレート24に、連通孔プレート26、供給路プレート28、供給路プレート30、圧力発生室プレート32を接合し、図6(B)に示すように、圧力発生室プレート32の開口を覆うようにして振動板34を接合する。
【0050】
次に、図6(C)に示すように、マトリックス状に圧電素子58がサンドブレスト加工された固定基板78を上にして、圧電素子58を振動板34に接着する。固定基板78と圧電素子58は、所定の温度で加熱したとき、発泡して接着力が大幅に低下する性質を有する熱発泡性接着フィルムを用いて接着されている。また、圧電素子58の両面には電極層がスパッタリングなどで予め形成されており、共通電極として兼用する振動板34と導電性接着剤で接着することで、圧電素子58と振動板34とは電気的に接続される。
【0051】
次に、図6(D)に示すように、固定基板78を加熱して熱発泡性接着フィルムの接着力を低減させて固定基板78を剥離し、図6(E)に示すように、各圧電素子58毎にはんだ68を介してフレキシブル配線基板70を接合する。
【0052】
最後に、図示しないインク供給装置等を取付けることにより、本実施形態のインクジェット記録ヘッド12が完成する。
【0053】
次に、本発明の実施の形態の作用について説明する。
【0054】
図2に示すように、インクジェット記録ヘッド12には、インクプール50から圧力発生室48、供給孔44、42、連通孔40、38およびノズル36へと連続するインクの通路が形成されており、インク供給装置(図示省略)から送られてきたインクは、振動板34に形成されたインク供給孔(図示省略)を介してインクプール51、52に貯留され、インク供給孔54及び供給溝56を経て、圧力発生室48内に充填される。
【0055】
ここで、画像情報に応じた駆動電圧波形が圧電素子58に印加されると、圧電素子58は振動板34と共に変形して圧力発生室48を膨張または圧縮させる。これによって、圧力発生室48に体積変化が生じ、圧力発生室48内に圧力波が発生する。この圧力波の作用によってインクが運動し、インクがノズル36から外部へ吐出される。
【0056】
図4(C)に示すように、ノズルプレート22の表面にはダイヤモンドライクカーボン膜23が形成されており、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にはフッ素系樹脂膜25が形成されている。
【0057】
ダイヤモンドライクカーボン膜23は密着性に優れており、このダイヤモンドライクカーボン膜23を先にノズルプレート22の表面に形成することで、後から形成するフッ素系樹脂膜25の密着性が向上する。
【0058】
また、フッ素系樹脂膜25は、耐摩耗性、耐インク性に優れており、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にフッ素系樹脂膜25を形成することによって、密着性、耐摩耗性及び耐インク性に優れた撥水層60が形成される。
【0059】
一方、ノズルプレート22の裏面には連通孔プレート24が積層されており、ノズルプレート22と連通孔プレート24とは接着剤29で接着されている。このとき、ノズルプレート22と接着剤29との間にはダイヤモンドライクカーボン膜27が形成されている。
【0060】
この構成によって、ダイヤモンドライクカーボン膜27の高密着性がインクの浸透による接着剤29の密着性の破壊を防止するため、ノズルプレート22と連通孔プレート24の密着性が高くなる。
【0061】
なお、本実施形態においては、ノズルプレート22の材質として熱硬化性のポリイミド樹脂を用いたが、熱硬化性樹脂としてはポリイミド樹脂の他にもポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン等が使用される。また、熱硬化性樹脂に限らず、シリコンウエハー、ステンレス板、合成樹脂等を使用してもよい。
【0062】
ここで、実施例として、図4(C)に示すように、インクジェット記録ヘッド12のノズルプレート22に撥水層60を形成し、この撥水層60の評価を行った。
<実施例1>
ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜条件(プラズマCVD法)
高周波電力 13.56MHz 100W
成膜用ガス メタン(CH4) 200sccm
成膜圧力 0.1Torr
ノズルプレート22の表面にダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に撥水膜として4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
<実施例2>
ノズルプレート22の裏面にダイヤモンドライクカーボン膜27を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜27の表面に接着剤としてエポキシ樹脂をスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
【0063】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜27の成膜条件は実施例1と同様とした。
<実施例3>
ノズルプレート22の表面にダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に撥水膜として4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
【0064】
また、ノズルプレート22の裏面にダイヤモンドライクカーボン膜27を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜27の表面に接着剤としてポリイミドをスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
【0065】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜23、27の成膜条件は実施例1と同様とした。
<比較例1>
ノズルプレート22の表面に撥水膜として4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
<比較例2>
ノズルプレート22の裏面に接着剤としてエポキシ樹脂をスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
<比較例3>
ノズルプレート22の表面にダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面に撥水膜としてシリコン樹脂をスピンコート法により膜厚1μmで塗布した。
【0066】
また、ノズルプレート22の裏面に接着剤としてポリイミドをスピンコート法により膜厚5μmで塗布した。
【0067】
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜23の成膜条件は実施例1と同様とした。
【0068】
実施例1〜3および比較例1〜3の成膜状態を下記表1に示す。
【0069】
【表1】
評価方法
上記各実施例および比較例のノズルプレート22を用いて、実施例1、3及び比較例1、3では撥水性、密着性、耐摩耗性および耐インク性の評価、実施例2、3および比較例2、3では密着性および耐インク性の評価を行った。また、各評価には下記インクAを用いて測定を行った。評価は一般環境下(温度23±0.5℃、湿度55±5%R.H)にて行った。
【0070】
このインクにおける表面張力は30mN/mであった。
【0071】
撥水性の評価
撥水層のインクに対する接触角を同膜上の5箇所で測定し、その平均値で評価を行った。評価基準は以下の通りである。
【0072】
○: 60°以上
△: 50°以上60°未満
× : 50°未満
密着性の評価
膜密着性は、テープ剥離試験(JIS K5400−1990)の基盤目法を用いて評価した。評価基準は以下の通りである。
【0073】
◎: 9〜10点
○: 7〜8点
△: 5〜6点
× : 5点以下
耐摩耗性の評価
撥水層を10000回ワイピングし、その後のインクに対する接触角を測定し、評価を行った。ワイピングは撥水層をインクに浸漬しながらポリウレタンブレードで擦ることにより行った。評価基準は以下の通りである。
【0074】
◎: 65°以上
○: 60°以上65°未満
△: 50°以上60°未満
× : 50°未満
耐インク性の評価
ノズルプレート22を70℃の環境下でインクに浸漬し、300時間後の撥水層および接着層61の状態および撥水層60のインクに対する接触角を測定することにより評価を行った。評価基準は以下の通りである。
【0075】
◎: 剥離なしおよび接触角が65°以上
○: 剥離なしおよび接触角が60°以上65°未満
△: 若干剥離あり
× : 完全に剥離
評価結果を表に示す。
【0076】
【表2】
この評価結果から分かるように、ノズルプレート22の表面の撥水層60として、ダイヤモンドライクカーボン膜23を形成し、ダイヤモンドライクカーボン膜23の表面にフッ素系樹脂25を形成することによって、撥水性、密着性、耐摩耗性ともに優れた撥水層60を得ることができる。
【0077】
また、ノズルプレート22と連通孔プレート24とを接着する接着剤29と、ノズルプレート22との間にダイヤモンドライクカーボン膜27を形成することによって、ノズルプレート22と連通孔プレート24との間に、密着性および耐インク性に優れた接着層61が得られる。
【0078】
【発明の効果】
本発明は上記構成にしたので、撥水性、耐摩耗性、密着性及び耐インク性に優れたインクジェット記録ヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを搭載するインクジェットプリンタを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す側面の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す側面の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す側面の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る撥水膜を形成するプラズマCVD装置を示すである。
【図6】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造工程を示す側面の断面図である。
【符号の説明】
10 インクジェットプリンタ
12 インクジェット記録ヘッド
22 ノズルプレート
23 ダイヤモンドライクカーボン膜 (撥水膜)
24 連通孔プレート
25 フッ素系樹脂膜(撥水膜)
27 ダイヤモンドライクカーボン膜
29 接着剤
36 ノズル(吐出口)
38 連通孔(インク室)
60 撥水層
61 接着層
Claims (4)
- インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの表面に形成された撥水膜と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記撥水膜は、前記ノズルプレートの表面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜と、
前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に形成されたフッ素系樹脂膜と、
で構成されたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、前記ノズルプレートの裏面に積層され、前記インクを貯留するインク室が形成された連通孔プレートと、前記ノズルプレートと前記連通孔プレートとを接着する接着剤と、を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記ノズルプレートにダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記連通孔プレートを接着剤で接着したことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートと、
前記ノズルプレートの両面に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜と、
前記ダイヤモンドライクカーボン膜の表面に形成されたフッ素系樹脂膜と、
前記ノズルプレートの裏面に積層され、前記インクを貯留するインク室が形成された連通孔プレートと、
前記ノズルプレートと前記連通孔プレートとを接着する接着剤と、
を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - 前記ノズルプレートは、ポリイミド樹脂で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
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JP2003077156A JP2004284121A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | インクジェット記録ヘッド |
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