JP2003072085A - 撥インク処理方法、インクジェットヘッドのノズルプレート、インクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタ - Google Patents

撥インク処理方法、インクジェットヘッドのノズルプレート、インクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタ

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JP2003072085A
JP2003072085A JP2001269213A JP2001269213A JP2003072085A JP 2003072085 A JP2003072085 A JP 2003072085A JP 2001269213 A JP2001269213 A JP 2001269213A JP 2001269213 A JP2001269213 A JP 2001269213A JP 2003072085 A JP2003072085 A JP 2003072085A
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jet head
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JP2001269213A
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Takuya Miyagawa
拓也 宮川
Yoshinori Ota
吉則 太田
Hiroki Honma
洋希 本間
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐有機溶剤性に優れた撥インク膜を形成しうる
撥インク処理方法の提供を目的とする。また、耐有機溶
剤性に優れたインクジェットヘッドのノズルプレート、
インクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタの
提供を目的とする。 【解決手段】ヘキサメチルジシロキサン(1)若しくは
ポリジメチルシロキサン(2)、またはヘキサフェニル
ジシロキサン(3)若しくはポリジフェニルシロキサン
(4)をプラズマ重合して、ノズルプレートの表面に薄
膜を形成し、撥インク性を付与する構成とした。また、
ポリジメチルシロキサン(2)またはポリジフェニルシ
ロキサン(4)の薄膜をノズルプレートの表面に形成
し、撥インク性を付与した構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥インク処理方
法、インクジェットヘッドのノズルプレート、インクジ
ェットヘッドおよびインクジェットプリンタに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図4(1)にインクジェット式プリンタ
のインクジェットヘッド1の断面図を示す。インクジェ
ット式プリンタのヘッド1には、インク2を噴射するた
め、多数の微細なノズル3が微小間隔を隔てて形成され
ている。
【0003】インクジェット式プリンタでは、図4
(2)に示すように、ヘッド1のノズルプレート4の表
面4aに、インク5が付着することがある。そして、そ
の後に噴射されたインク6が付着インク5に接触する
と、付着インク5の表面張力や粘性等の影響を受けるた
め、インク6の噴射軌道が曲げられてしまい、所定の位
置にインクを塗布することができなくなるという問題が
ある。従って、ノズルプレート4の表面4aにインク5
の付着を防止するための処理をしておく必要がある。
【0004】そこで本願出願人は、PFC(パーフルオ
ロカーボン)ガスとCF4(四フッ化炭素)ガスとの混
合ガスをプラズマ化して、図5(1)に示すようにノズ
ルプレート4の表面にフッ素樹脂重合膜8を形成するこ
とにより、撥インク処理を行う方法を開発し特許出願し
ている。この方法は、従来のフッ素樹脂とニッケルとの
共析メッキによる撥インク処理方法に比べて、高い撥イ
ンク性を発揮しうるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】インクジェット式プリ
ンタでは、待機中にノズル内でインクが固化するため、
動作を開始する前に外側からノズル内のインクを吸引す
る作業を行っている。その際、図5(1)に示すよう
に、吸引されたインクがノズルプレート4の表面に残留
する場合があり、このインク5を取り除く作業が必要と
なる。そこで、ワイピングを行っている。ワイピング
は、ゴム製のワイパ9により、ノズルプレート4の表面
をぬぐうようにして行っている。
【0006】ところで近時インクジェットヘッドは、民
生用プリンタのみならず、液晶表示装置用カラーフィル
タの製造など工業応用が検討されている。そして、民生
用プリンタの場合には水性インクを使用するが、工業応
用の場合には有機溶剤を含むインクを使用する場合が多
くなる。ところが上述したフッ素樹脂重合膜は、インク
を吸収し膨潤して弱くなり、数回のワイピングにより簡
単に剥がれてしまう。これにより、親インク性を有する
ステンレス製のノズルプレートが露出し、当該部分にイ
ンクが付着する。その結果、その後に噴射されたインク
の軌道が曲げられてしまい、所定の位置にインクを塗布
することができなくなるという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に着目し、耐有機溶剤
性に優れた撥インク膜を形成しうる撥インク処理方法の
提供を目的とする。また、撥インク性またはインク移動
性に優れた撥インク膜を形成しうる撥インク処理方法の
提供を目的とする。また本発明は、耐有機溶剤性または
インク移動性に優れたインクジェットヘッドのノズルプ
レート、インクジェットヘッドおよびインクジェットプ
リンタの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る撥インク処理方法は、シリコーン油を
プラズマ重合して、撥インク性を有する薄膜を形成する
構成とした。シリコーン油をプラズマ重合して形成され
るシリコーン樹脂の分子構造の骨格は、無機材料のシロ
キサン結合であるため、耐有機溶剤性に優れた撥インク
膜を形成することができる。
【0009】また前記シリコーン油は、ポリジメチルシ
ロキサンまたはポリジフェニルシロキサンである構成と
した。ポリジメチルシロキサンはメチル基を、ポリジフ
ェニルシロキサンはベンゼン環をそれぞれ有しているた
め、有機材料と同等の接触角を有する、撥インク性に優
れた撥インク膜を形成することができる。また、インク
移動性に優れた撥インク膜を形成することができる。
【0010】また、ヘキサメチルジシロキサンまたはヘ
キサフェニルジシロキサンをプラズマ重合して、撥イン
ク性を有する薄膜を形成する構成とした。これにより、
耐有機溶剤性におよびインク移動性に優れた撥インク膜
を形成することができる。
【0011】一方、本発明に係るインクジェットヘッド
のノズルプレートは、請求項1ないし3のいずれかに記
載の撥インク処理方法を使用して形成した構成とした。
また、シリコーン樹脂の薄膜をノズルプレートの表面に
形成し、撥インク性を付与した構成とした。なお前記シ
リコーン樹脂は、ポリジメチルシロキサンまたはポリジ
フェニルシロキサンである構成とするのが好ましい。こ
れにより、耐有機溶剤性およびインク移動性に優れたイ
ンクジェットヘッドのノズルプレートを提供することが
できる。
【0012】一方、本発明に係るインクジェットヘッド
は、請求項4ないし6のいずれかに記載のインクジェッ
トヘッドのノズルプレートを使用して形成した構成とし
た。これにより、耐有機溶剤性およびインク移動性に優
れたノズルプレートを有するインクジェットヘッドを提
供することができる。
【0013】一方、本発明に係るインクジェットプリン
タは、請求項7に記載のインクジェットヘッドを備えた
構成とした。これにより、耐有機溶剤性およびインク移
動性に優れたインクジェットヘッドのノズルプレートを
有するインクジェットプリンタを提供することができ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る撥インク処理方法、
インクジェットヘッドのノズルプレート、インクジェッ
トヘッドおよびインクジェットプリンタの好ましい実施
の形態を、添付図面にしたがって詳細に説明する。なお
以下に記載するのは本発明の実施形態の一態様にすぎ
ず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】図1に実施形態に係るインクジェットヘッ
ドの側面断面図を示す。インクジェットヘッド10の基
板80はシリコン材料等で構成し、その内部および表面
にインク通路82を形成する。さらに基板80の表面
に、ステンレス材料やシリコン材料等で構成したノズル
プレート28を接着する。そして基板80のインク通路
82に連続して、ノズルプレート28を貫通する複数の
ノズル70を形成する。なお、ノズルプレート28の厚
さは80μm程度とし、ノズル70の先端部分の直径は
数十μm程度とする。なお、基板80とノズルプレート
28とを熱膨張率の同じ材料で構成すれば、インク通路
82とノズル70とのずれを防止することができる。
【0016】また、インク通路82の壁面の一部を振動
板(不図示)で形成するとともに、その外側に励振電極
(不図示)を設ける。そして励振電極に電圧を印加する
と、静電気力により振動板が静電吸引されて振動する。
この振動板の振動により、インク通路82に内圧変動が
発生し、ノズル70からインクが噴射される。このイン
クジェットヘッドを用いて、図6に示すインクジェット
プリンタを形成する。
【0017】ノズルプレート28の表面32には、撥イ
ンク膜68としてシリコーン樹脂重合膜を形成する。シ
リコーン樹脂重合膜として、図2(2)の化学式で表さ
れるポリジメチルシロキサンの薄膜、または図2(4)
の化学式で表されるポリジフェニルシロキサンの薄膜を
形成する。シリコーン樹脂の分子構造の骨格は無機材料
のシロキサン結合であり、後述するように良好な耐有機
溶剤性を確保することができる。またノズルプレートと
の密着性も確保することができる。
【0018】一方で、シロキサンは接触角が小さく、撥
インク性が低いと考えられている。表1に、フッ素樹脂
とシリコーン樹脂との比較結果を示す。
【表1】 なお接触角とは、静止インクの自由表面が固体壁に接す
る場所でインク面と固体面とのなす角をいい、固体面の
撥インク性が強いほど鈍角となる。またインク移動性の
評価は、各重合膜の上に直径1.5mm程度のn−ヘキ
サデカンの液滴を配置し、爪楊枝の先端でこの液滴を移
動させることにより行った。液滴が爪楊枝に追随して移
動した場合が○の評価であり、一旦塗れ広がってから縮
んだ場合が△の評価である。
【0019】表1から、シリコーン樹脂はフッ素樹脂よ
り接触角が小さいことがわかる。もっとも、シロキサン
と同等の二酸化ケイ素(SiO2)の接触角が20度程
度であるのに対して、ポリジメチルシロキサンはメチル
基を、ポリジフェニルシロキサンはベンゼン環をそれぞ
れ有しているため、有機材料と同等の接触角を得ること
ができる。なお、上記シリコーン樹脂のメチル基または
ベンゼン環をフッ素で置換すれば、極めて大きな接触角
を得ることができる。
【0020】ところで、インクジェットヘッドに本来必
要な撥インク性とは、インクの流れ易さを示すインク移
動性である。表1により、このインク移動性について
は、シリコーン樹脂の方がフッ素樹脂より優れているこ
とがわかる。以上により、シリコーン樹脂はフッ素樹脂
に比べて、同等以上の特性を有するといえる。
【0021】シリコーン樹脂は、そのモノマーか、また
は重合度の小さいシリコーン油を液体原料として、後述
する方法により重合し成膜する。ポリジメチルシロキサ
ンの薄膜は、図2(1)の化学式で表されるヘキサメチ
ルジシロキサンか、または重合度の小さいポリジメチル
シロキサンを液体原料として、重合し成膜する。なお、
ポリジメチルシロキサンは重合度n=4までのものが常
温で液体であり、それ以上のものが固体となる。一方、
ポリジフェニルシロキサンの薄膜も同様に、図2(3)
の化学式で表されるヘキサフェニルジシロキサンか、ま
たは重合度の小さいポリジフェニルシロキサンを液体原
料として、重合し成膜する。なお、ポリジフェニルシロ
キサンは重合度n=2〜3までのものが常温で液体であ
り、それ以上のものが固体となる。
【0022】次に、成膜処理装置について説明する。図
3に成膜処理装置の説明図を示す。成膜処理装置20と
して、まず真空チャンバ22を形成し、真空ポンプ24
に接続する。真空チャンバ22の下面には、ノズルプレ
ート28を載置する処理ステージ26を設置する。なお
処理ステージ26は温度調節可能に形成する。また真空
チャンバ22の上面には、絶縁体54を介して高周波電
極50を設置する。高周波電極50の直径は例えば15
0mm程度とし、処理ステージとの距離は例えば160
mm程度とする。高周波電極50は、例えば出力100
W程度の高周波電源52に接続する。一方、真空チャン
バ22の壁面は接地する。
【0023】さらに、真空チャンバ22内に原料ガスを
供給する原料ガス供給手段33を設ける。まず、シリコ
ーン樹脂のモノマーまたは重合度の小さいシリコーン油
などの液体原料34を収納する容器36を設ける。容器
36の下部にはヒータ37を設置し、液体原料34のガ
ス化を可能とする。また容器36は、原料ガス供給配管
38により真空チャンバ22と接続する。そして容器3
6内の原料ガスは、真空チャンバ22の負圧により吸引
され、原料ガス供給配管38を通って真空チャンバ22
内に供給される。
【0024】またアルゴンガス供給源46を設け、アル
ゴンガス供給配管40により真空チャンバ22と接続
し、真空チャンバ22内にアルゴンガスを供給可能とす
る。なお、各供給配管38,40には流量制御弁(Ma
ss Flow制御弁)49を設け、真空チャンバ22
内に流入する各ガスの流量を調整可能とする。さらに原
料ガス供給配管の流量制御弁49には、結露防止用ヒー
タ48を接続する。また、真空チャンバ22には排気ポ
ンプ(不図示)を接続し、使用後のガスを排気処理装置
(不図示)に供給して排気可能とする。
【0025】次に、実施形態に係る撥インク処理方法に
ついて説明する。撥インク処理は、図2に示す成膜処理
装置を使用し、撥インク性を有する薄膜を形成すること
によって行う。なお、以下にはポリジメチルシロキサン
の薄膜を形成する場合を例にして説明するが、ポリジフ
ェニルシロキサンの薄膜を形成する場合も同様である。
【0026】まず、ノズルプレート28の表面32を上
にした状態で、真空チャンバ22内の処理ステージ26
上に配置する。なお、温度調整可能に形成した処理ステ
ージ26により、ノズルプレート28を低温に保持し、
シリコーン樹脂の重合を促進させるのが好ましい。次に
真空ポンプ24により、真空チャンバ22内を例えば
0.001Torr程度まで真空引きする。このように
真空チャンバ22内を真空引きするので、大気中に含ま
れる水分子等により重合反応が遮断されることがなく、
分子量の大きなシリコーン樹脂重合膜を形成することが
できる。
【0027】本実施形態においては、液体原料34とし
てヘキサメチルジシロキサンまたは重合度の小さいポリ
ジメチルシロキサンを使用する。これらは常温で液体と
して存在し、ヒータ37で100℃程度に加熱すること
によりガス化する。上述したように真空チャンバ22に
接続した容器36は負圧となるため、液体原料34を比
較的低温でガス化させることができる。さらに、結露防
止用ヒータ48により150℃程度の温度に加熱して、
原料ガスを真空チャンバ22内に供給する。一方、アル
ゴンガスも真空チャンバ22内に供給する。原料ガスと
アルゴンガスとの合計流量は例えば100ccm程度と
し、各ガス供給後の真空チャンバ22内の圧力を例えば
0.2Torr程度に保持する。
【0028】次に、高周波電極50により真空チャンバ
22内に高周波電圧を印加する。これにより、真空チャ
ンバ22内に導入されたアルゴンガスがプラズマ化さ
れ、アルゴンラジカルなどのプラズマ粒子が発生する。
このプラズマ粒子が、ヘキサメチルジシロキサンまたは
重合度の小さいポリジメチルシロキサンのメチル基を切
断して重合反応させる。なお、アルゴンガスは分子量が
小さいので、高周波電極から放出された電子と容易に衝
突することがなく、放電を広げて維持することができ
る。このような高周波電圧の印加を15分間程度行い、
500オングストローム程度の厚さのシリコーン樹脂重
合膜を形成する。
【0029】なお、上記のようにシリコーン樹脂重合膜
を形成した後、アニール処理を行うのが好ましい。これ
により、シリコーン樹脂重合膜の一部に含まれる液体原
料が蒸発し、シリコーン樹脂重合膜が硬化して、ワイピ
ングに対する耐久性を向上させることができる。なお、
アニール処理の温度は300〜400℃程度とする。下
限温度を300℃とするのは、それ以下の温度では液体
原料が蒸発しないからである。また上限温度を400℃
とするのは、それ以上の温度ではシリコーン樹脂重合膜
が分解してしまうからである。なお上記は大気圧下での
温度条件であり、真空状態では下限温度および上限温度
ともに低くなると考えられる。
【0030】以上に述べたように、ノズルプレートの表
面にシリコーン樹脂重合膜を形成し、このノズルプレー
トをキシレンに7日間浸漬した後、ワイピング試験を行
った。なお、キシレンは代表的な有機溶剤であり、工業
用インクの代替物である。またワイピングに使用したワ
イパは、耐インク性に優れたポリプロピレンゴムによ
り、厚さ1mm程度および幅10mm程度に形成したも
のである。ワイピングの回数は、インクジェットヘッド
の工業用途への使用頻度を考慮して、600回とした。
その結果、ノズルプレートの表面に形成したシリコーン
素樹脂重合膜は、キシレンを吸収して膨潤することはな
かった。また、600回のワイピングにより剥がれるこ
となく、成膜当初の状態を維持しうることが確認され
た。
【0031】この点、従来のフッ素樹脂重合膜による撥
インク処理では、インクを吸収し膨潤して弱くなり、数
回のワイピングによりフッ素樹脂重合膜が剥がれてしま
った。そして当該部分にインクが付着し、その後に噴射
されたインクの軌道を曲げてしまい、所定の箇所に印刷
をすることができなくなるという問題があった。
【0032】しかし、実施形態に係る撥インク処理方法
では、ヘキサメチルジシロキサン若しくはポリジメチル
シロキサン、またはヘキサフェニルジシロキサン若しく
はポリジフェニルシロキサンをプラズマ重合して、ノズ
ルプレートの表面に薄膜を形成し、撥インク性を付与す
る構成とした。また、実施形態に係るインクジェットヘ
ッドのノズルプレートは、ポリジメチルシロキサンまた
はポリジフェニルシロキサンの薄膜をノズルプレートの
表面に形成し、撥インク性を付与した構成とした。
【0033】ヘキサメチルジシロキサン若しくはポリジ
メチルシロキサン、またはヘキサフェニルジシロキサン
若しくはポリジフェニルシロキサンをプラズマ重合して
形成される、ポリジメチルシロキサンまたはポリジフェ
ニルシロキサンの分子構造の骨格は、無機材料のシロキ
サン結合であるため、耐有機溶剤性に優れた撥インク膜
を形成することができる。またノズルプレートとの密着
性も確保することができる。従って、インクを吸収して
膨潤することがなく、ワイピングによってその被膜が剥
がれることがない。
【0034】なお、有機溶剤を含む工業用インクは、従
来のフッ素樹脂重合膜に吸収されるだけでなく、ノズル
プレートの材料自体を浸食する場合があった。この点、
シリコーン樹脂重合膜の場合は、耐有機溶剤性を有する
ため、ノズルプレートの保護膜としても機能する。従っ
て、ノズルプレートの耐久性を向上させ、製造コストを
削減することができる。
【0035】また、ポリジメチルシロキサンはメチル基
を、ポリジフェニルシロキサンはベンゼン環をそれぞれ
有しているため、有機材料と同等の接触角を有する、撥
インク性に優れた撥インク膜を形成することができる。
また、良好なインク移動性を有する撥インク膜を形成す
ることができる。従って、ノズルプレートの表面にイン
クが付着することがない。これにより、インクの噴射軌
道が曲げられることがなく、所定の位置にインクを塗布
することができる。
【0036】図6に本発明を用いたインクジェットヘッ
ドを備えたインクジェットプリンタの一例を示す。本発
明の撥インク処理を行ったノズルプレートを備えたもの
は、耐久性に優れており、耐有機溶剤性に優れた撥イン
ク膜が形成されたものは工業用途にも応用される。
【0037】
【発明の効果】ヘキサメチルジシロキサン若しくはポリ
ジメチルシロキサン、またはヘキサフェニルジシロキサ
ン若しくはポリジフェニルシロキサンをプラズマ重合し
て、撥インク性を有する薄膜を形成する構成としたの
で、耐有機溶剤性に優れた撥インク膜を形成しうる撥イ
ンク処理方法を提供することができる。また、耐有機溶
剤性に優れたインクジェットヘッドのノズルプレート、
インクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットヘッドの側面断面図である。
【図2】(1)はヘキサメチルジシロキサンの化学式で
あり、(2)はポリジメチルシロキサンの化学式であ
り、(3)はヘキサフェニルジシロキサンの化学式であ
り、(4)はポリジフェニルシロキサンの化学式であ
る。
【図3】成膜処理装置の説明図である。
【図4】インク噴射状態の説明図であり、(1)は正常
なインク噴射状態であり、(2)はインクの噴射軌道が
曲げられた状態である。
【図5】ワイピング状態の説明図である。
【図6】インクジェットプリンタの斜視断面図である。
【符号の説明】
1………インクジェットヘッド、2………インク、3…
……ノズル、4………ノズルプレート、4a………表
面、5………付着インク、6………インク、8………シ
リコーン樹脂重合膜、9………ワイパ、10………イン
クジェットヘッド、20………成膜処理装置、22……
…真空チャンバ、24………真空ポンプ、26………処
理ステージ、28………ノズルプレート、32………表
面、33………原料ガス供給手段、34………液体原
料、36………容器、38………原料ガス供給配管、4
0………アルゴンガス供給配管、46………アルゴンガ
ス供給源、48………結露防止用ヒータ、49………流
量制御弁、50………高周波電極、52………高周波電
源、54………絶縁体、68………撥インク膜、70…
……ノズル、80………基板、82………インク通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 洋希 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF93 AG07 AP12 AP13 AP60

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコーン油をプラズマ重合して、撥イ
    ンク性を有する薄膜を形成することを特徴とする撥イン
    ク処理方法。
  2. 【請求項2】 前記シリコーン油は、ポリジメチルシロ
    キサンまたはポリジフェニルシロキサンであることを特
    徴とする請求項1に記載の撥インク処理方法。
  3. 【請求項3】 ヘキサメチルジシロキサンまたはヘキサ
    フェニルジシロキサンをプラズマ重合して、撥インク性
    を有する薄膜を形成することを特徴とする撥インク処理
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の撥
    インク処理方法を使用して形成したことを特徴とするイ
    ンクジェットヘッドのノズルプレート。
  5. 【請求項5】 シリコーン樹脂の薄膜をノズルプレート
    の表面に形成し、撥インク性を付与したことを特徴とす
    るインクジェットヘッドのノズルプレート。
  6. 【請求項6】 前記シリコーン樹脂の薄膜は、ポリジメ
    チルシロキサンまたはポリジフェニルシロキサンからな
    ることを特徴とする請求項5に記載のインクジェットヘ
    ッドのノズルプレート。
  7. 【請求項7】 請求項4ないし6のいずれかに記載のイ
    ンクジェットヘッドのノズルプレートを使用して形成し
    たことを特徴とするインクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のインクジェットヘッド
    を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
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Cited By (7)

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