JP2007125849A - 液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズルプレート表面に膜厚が均一で密着性、耐擦透性、及びノズル加工性に優れた撥水層を形成する。
【解決手段】液滴を吐出するためのノズルを形成する前の第1のプレート34表面に、スパッタ法でSiO膜48Aを形成し、このSiO膜48Aの上にフッ素系撥水膜48Bを蒸着法で形成した後、加熱により重合処理して撥水層48を形成する。その後、第2のプレート36の段差部52にレーザ加工によりノズル33を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、インクジェット記録方式に代表されるような液滴を吐出して画像記録などを行う液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置に関する。
従来、複数のノズルから液滴を吐出し、用紙等の記録媒体に印字を行う液滴吐出装置には、インクジェット記録装置があり、このインクジェット記録装置は、小型で安価、静寂性等の種々の利点があり、広く市販されている。特に、圧電素子を用いて圧力室内の圧力を変化させてインク滴を吐出するピエゾインクジェット方式や、熱エネルギーの作用でインクを膨張させてインク滴を吐出する熱インクジェット方式の記録装置は、高速印字、高解像度が得られる等、多くの利点を有している。
このようなインクジェット方式の記録装置においては、複数のノズルからインク滴を吐出した際に、インク滴がノズルの周辺に付着するのを防ぐため、ノズル表面に撥水膜が塗布されている。しかし、この撥水膜は、用紙がジャム等により浮き上がると、紙擦れにより擦傷ダメージを受けてしまい、インク吐出方向が傾いたり、インク滴径及び速度にばらつきが生じるなど、インクの吐出性能が悪化する。
この対策として、例えば、ノズルプレートに形成されたノズルの周囲に円形状の段差を設けたインクジェット記録ヘッドが提案されている。このインクジェット記録ヘッドは、ノズルを形成したノズルプレートに、ノズルに対応した円形状の開孔を有する金属プレートを接着することで、ノズルの周囲に円形状の段差を形成し、ノズル周辺の撥水膜に用紙が接触しないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
このような段差を設けた記録ヘッドでは、段差の底部へ撥水膜を均一に形成するために蒸着法によって撥水膜を形成することが考えられるが、蒸着法ではノズルプレートとの密着性が不十分となる。
一方、密着性を改善させるために、撥水膜の下地としてSiO膜を形成したものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2ではSiO膜の厚みが小さいためにSiO膜の特徴である硬さが不十分となり、記録媒体と擦れたときの耐擦過性が劣るという問題がある。
また、通常、撥水膜を形成した後のノズルプレートのノズル加工には、紫外線領域のレーザ波長を持つレーザ(例えば、エキシマレーザ)を撥水膜が形成された面側から照射することにより行われる。しかし、撥水膜には紫外領域の波長を吸収しないフッ素系樹脂が適用されることが多いため、撥水膜の膜厚が薄い場合は問題ないが、撥水膜の膜厚が厚い場合にはノズル加工が困難になる。それゆえ、撥水膜を形成した後のノズル加工を容易とするためには、撥水膜の膜厚は薄い方が好ましい。
以上のことから、従来では、密着性、耐擦過性及びノズル加工性のすべてを満足する撥水膜を得ることができなかった。
特許第3108771号公報 特開2003−341070号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ノズルプレート表面に密着性、耐擦過性、及びノズル加工性に優れた撥水層が得られる液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体に液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドであって、前記ノズルプレートの表面に、SiO膜とフッ素系撥水膜からなる撥水層が形成され、前記SiO膜の膜厚をtとしたとき、
30nm<t≦100nm
に設定されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、ノズルプレートの表面に、SiO膜とフッ素系撥水膜からなる撥水層を形成し、SiO膜の膜厚tを30nm<t≦100nmに設定することによって、耐擦過性、密着性、及びノズル加工性に優れた撥水層を形成することが可能である。SiO膜の膜厚tが30nm以下であると、SiO膜の膜厚が小さいために耐擦過性が不十分となる。また、SiO膜の膜厚tが100nmより大きいと、応力及び膜厚が大きいために密着性、及びノズル加工性が不十分となる。
請求項2に記載の発明は、記録媒体に液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、前記ノズルプレート表面にスパッタ法でSiO膜を形成し、前記SiO膜の上にフッ素系撥水膜を蒸着法で形成した後、加熱により前記フッ素系撥水膜を重合処理して撥水層としたことを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、ノズルプレート表面にスパッタ法でSiO膜を形成し、SiO膜の上にフッ素系撥水膜を蒸着法で形成した後、加熱により重合処理することで、フッ素系撥水膜の分子間の結合により密着性に優れた撥水層を形成することが可能となる。また、ノズルプレート表面に段差を形成した場合でも、段差底部に均一な膜厚の撥水層を形成することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法により製造された液滴記録ヘッドであって、前記SiO膜の膜厚をtとしたとき、
30nm<t≦100nm
に設定されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明では、ノズルプレート表面のSiO膜の膜厚tを30nm<t≦100nmに設定することによって、耐擦過性、密着性、及びノズル加工性に優れた撥水層を形成することが可能である。
請求項4に記載の発明に係る液滴吐出装置は、請求項1又は請求項3に記載の液滴吐出ヘッドを備えることを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、請求項1又は請求項3に記載の液滴吐出ヘッドを備えているので、ノズルの周囲に耐擦過性、密着性、及びノズル加工性に優れた撥水層が得られる。このため、液滴吐出ヘッドのノズルから液滴を吐出する際に、記録媒体がノズルの周辺に接触しても撥水層の損傷や磨耗が抑制され、安定した液滴の吐出が可能である。
本発明によれば、ノズルプレート表面に、密着性、耐擦過性、及びノズル加工性に優れた撥水層を形成できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のインクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)32を備えたインクジェット記録装置(液滴吐出装置)10を示す概略構成図である。また、図2は、インクジェット記録装置10におけるインクジェット記録ユニット30の記録ヘッド配置を示す概略図であり、図3は、インクジェット記録装置10におけるインクジェット記録ユニット30による印字領域を示す図である。
図1に示すインクジェット記録装置10は、用紙を送り出す用紙供給部12と、用紙の姿勢を制御するレジ調整部14と、インク滴(液滴)を吐出して用紙(記録媒体)Pに画像形成する記録ヘッド部16とこの記録ヘッド部16のメンテナンスを行なうメンテナンス部18とを備える記録部20と、記録部20で画像形成された用紙を排出する排出部22とから基本的に構成される。
用紙供給部12は、用紙が積層されてストックされているストッカ24と、ストッカ24から1枚ずつ枚葉してレジ調整部14に搬送する搬送装置26とから構成されている。
レジ調整部14は、ループ形成部28と用紙の姿勢を制御するガイド部材29が備えられており、この部分を通過することによって用紙のコシを利用してスキューが矯正されると共に搬送タイミングが制御されて記録部20に進入する。
排出部22は、記録部20で画像が形成された用紙が排紙ベルト23を介してトレイ25に収納するものである。
記録ヘッド部16とメンテナンス部18の間には、用紙Pが搬送される用紙搬送路が構成されている。用紙搬送路に沿って複数のスターホイール17と搬送ロール19が配置されており、スターホイール17と搬送ロール19とで用紙Pを挟持しつつ連続的に(停止することなく)搬送する。そして、この用紙Pに対して、記録ヘッド部16からインク滴が吐出され用紙Pに画像が形成される。
メンテナンス部18は、インクジェット記録ユニット30(インクジェット記録ヘッド32)に対して対向配置されるメンテナンス装置21で構成されており、インクジェット記録ユニット30(インクジェット記録ヘッド32)に対するキャッピングや、ワイピング、さらにダミージェットやバキューム等の処理を行うことができる。
図2に示すように、インクジェット記録ユニット30のそれぞれは、用紙搬送方向と直交する方向に配置された、複数のインクジェット記録ヘッド32を備えている。インクジェット記録ヘッド32には、マトリックス状に複数のノズル33が形成されている。用紙搬送路を連続的に搬送される用紙Pに対し、ノズル33からインク滴を吐出することで、用紙P上に画像が記録される。なお、インクジェット記録ユニット30は、たとえば、いわゆるフルカラーの画像を記録するために、YMCKの各色に対応して、少なくとも4つ配置されている。
図3に示すように、それぞれのインクジェット記録ユニット30のノズル33による印字領域幅は、このインクジェット記録装置10での画像記録が想定される用紙Pの用紙最大幅PWよりも長くされており、インクジェット記録ユニット30を紙幅方向に移動させることなく用紙Pの全幅にわたる画像記録が可能とされている(いわゆるFull Width Array(FWA))。ここで、印字領域とは、用紙の両端から印字しないマージンを引いた記録領域のうち最大のものが基本となるが、一般的には印字対象となる用紙最大幅PWよりも大きくとっている。これは、用紙が搬送方向に対して所定角度傾斜して(スキューして)搬送されるおそれがあること、また縁無し印字の要請が高いためである。
次に、以上のような構成のインクジェット記録装置10において用いることができるインクジェット記録ヘッド32について詳細に説明する。図4は、本発明の第1実施形態であるインクジェット記録ヘッド32を示す概略断面図である。図5は、インクジェット記録ヘッド32の製造方法の製造工程の一例を示す工程図である。
インクジェット記録ヘッド32は、図4に示すように、第1のプレート34、第2のプレート36、プールプレート38、連通孔プレート40,42と、圧力室プレート44と、及び振動板46とが位置合わせして積層され、熱融着や接着剤などによって接合されている。そして、第2のプレート36上の第1のプレート34の表面には、撥水層48が形成されている。
この撥水層48は、第1のプレート34の表面に形成されたSiO膜48Aと、このSiO膜48Aの上に形成されたフッ素系撥水膜48Bとから構成されている。SiO膜48Aの膜厚をtとしたとき、30nm<t≦100nmに設定されており、好ましくは35nm≦t≦70nm、より好ましくは40nm≦t≦50nmに設定される。SiO膜48Aを形成した後、フッ素系撥水膜48Bを形成することで、耐擦過性、密着性、及びノズル加工性に優れた撥水層48が得られる。SiO膜48Aの膜厚tが30nm以下であると、SiO膜48Aの膜厚が小さいために耐擦過性が不十分となる。また、SiO膜48Aの膜厚tが100nmより大きいと、応力及び膜厚が大きいために密着性、及びノズル加工性が不十分となる。
本実施形態では、SiO膜48Aとフッ素系撥水膜48Bは、(株)T&K製ナノスB(商品名)を用いている。また、フッ素系撥水膜48Bの膜厚は、10nm以上、30nm以下が好ましい。フッ素系撥水膜48Bの膜厚が10nmより小さいと、膜が薄すぎるために耐磨耗性が不十分となる。また、フッ素系撥水膜48Bの膜厚が30nmより大きいと、下地であるSiO膜48Aとの距離が遠い分子が多くなるため、密着性が不十分となる。
なお、本発明において「ノズルプレート」は、少なくともノズルが設けられるプレートを意味し、ノズルプレートが2以上のプレートが積層されたものである場合には、ノズルが設けられるプレート及びこのプレートの撥水膜が設けられる側の面に設けられるプレートを意味する。本実施形態では、「ノズルプレート」は、ノズルが設けられる第2のプレート36と、この第2のプレート36上に設けられる第1のプレート34とからなる。
第2のプレート36には、インクを吐出するノズル33が形成されている。第2のプレート36に接合された第1のプレート34には、ノズル33の周囲に段差孔52が形成されている。この段差孔52によって、ノズル33の周辺のノズル面54が第1のプレート34のプレート面56(撥水層48が形成された第1のプレート34の表面)から凹状に後退している。これにより、印字時に浮き上がった用紙Pがプレート面56に接触せず、ノズル33の周辺の撥水層48が傷つかない。この撥水層48はノズル33の周辺にインクが付着するのを防止するものであり、この撥水層48により、ノズル33から吐出するインク滴が常にプレート面56に対して垂直に吐出される。
また、図4に示すように、プールプレート38には、ノズル33と通じる連通孔58が形成されている。また、連通孔プレート40,42には、連通孔60,62がそれぞれ形成されている。これらのノズル33、連通孔58、及び連通孔60,62は、第2のプレート36とプールプレート38と連通孔プレート40,42が積層された状態で連通し、圧力室プレート44に形成された圧力室64に繋がっている。
一方、プールプレート38には、インクプール66が形成され、図示しないインク供給孔から供給されたインクが貯留されている。また、連通孔プレート40,42には、それぞれインクプール66と連結するように供給孔68,70が形成されている。これらのインクプール66、供給孔68,70及び圧力室64は、プールプレート38と連通孔プレート40,42と圧力室プレート44が積層された状態で連通している。振動板46には(圧力室プレート44と接合される面とは反対の面に)、圧力室64の上方に圧力発生手段としての単板型の圧電素子50が取り付けられており、図示しないフレキシブル配線基板から駆動電圧が印加されるように構成されている。
このようなインクジェット記録ヘッド32では、インクプール66から供給孔68,70、圧力室64、連通孔60,62、連通孔58及びノズル33へと連続するインクの流路が形成されており、インク供給孔(図示省略)から供給されインクプール66に貯留されたインクは、供給孔68,70を経て圧力室64内に充填される。そして、圧電素子50に駆動電圧が印加されると、圧電素子50とともに振動板46がたわみ変形して圧力室64を膨張又は圧縮させる。これによって、圧力室64に体積変化が生じ、圧力室64内に圧力波が発生する。この圧力波の作用によってインクが運動し、ノズル33から外部へインク滴が吐出される。
次に、インクジェット記録ヘッド32の製造方法について説明する。
まず、図5(A)に示すように、ノズル33を形成する前の板状の第2のプレート36と、段差孔52を形成する前の板状の第1のプレート34とを熱融着により接合する。2枚の第2のプレート36と第1のプレート34とを熱融着により接着剤を用いずに接合することで、接着剤を塗布する必要がなく、効率良く接合することができる。第2のプレート36には、機械的強度、耐薬品性、薄膜化に優れた合成樹脂が用いられ、図5に示す例ではポリイミドが用いられている。ポリイミドを用いることで、従来のSUSよりも加工しやすく、またインクに吐出エネルギーを与えた際にダンパ効果によりクロストークを抑制するという利点がある。第1のプレート34には、金属プレート、樹脂フィルム、液晶フィルム、又は樹脂プレートなどが用いられる。図5に示す例ではSUSが用いられている。
次いで、図5(B)に示すように、板状の第1のプレート34の表面に、レジスト80を形成する。このレジスト80は、マスクを通してパターニングした後に不用部分を除去することで、段差孔52の位置に対応した孔部80Aが形成される。
次いで、図5(C)に示すように、エッチングにより第1のプレート34に段差孔52のパターンを形成し、レジスト80を除去する。この段差孔52の深さは、例えば5μm〜20μmに設定されている。
次いで、図5(D)に示すように、第2のプレート36の裏面に、連通孔58が形成されたプールプレート38を熱融着により接合する。熱融着することで、接合の際に接着剤を用いない。この熱融着には、通常、300〜360℃の熱処理が施される。本実施形態では330℃の熱処理を施し、熱融着を行った。なお、本実施形態では、熱融着により接合した形態を説明したが、接着剤で接合してもよい。この場合の接合には、例えば200℃の熱処理が施される。
次いで、図5(E)に示すように、第1のプレート34の表面、すなわちインクジェット記録ヘッド32(図1参照)の吐出側表面に、スパッタ法により膜厚が30nm〜100nmのSiO膜48Aを形成する。スパッタ法とは、イオン衝撃によって被膜生成源の表面から被膜材料(ターゲット)を構成する原子、分子が飛び出し、周囲の物体を被膜することを利用して、物体表面に薄膜を形成させる方法である。さらに、SiO膜48Aの上に蒸着法により膜厚が10nm〜30nmのフッ素系撥水膜48Bを形成した後、フッ素系撥水膜48Bを加熱により重合させる。このときの加熱温度は例えば50℃に設定している。
スパッタ法によりSiO膜48Aを形成し、その上に蒸着法によりフッ素系撥水膜48Bを形成することで、第1のプレート34の表面のみならず、段差孔52内(底部も含む)にも均一な膜厚で、且つ、膜厚ムラの小さい撥水層48を形成することができる。
ここで、フッ素系撥水膜48Bの主成分であるフッ素樹脂としては、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂等のフッ素系樹脂が用いられる。特に、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)が好ましい。図5に示す例では、フッ素樹脂として、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)が用いられている。
次いで、図5(F)に示すように、プールプレート38の後方から(撥水層48形成面の反対面側から)、図示しないエキシマレーザで第2のプレート36にノズル33を穿設する。このノズル33は、段差孔52の孔径より小さい口径に形成する。図5に示す例では、ノズルの口径は約25μm、段差孔52の直径は100μm〜400μmに設定されている。なお、このようなノズル33と段差孔52は所定のパターンで複数形成されている。
ここで、図5に示す例では、ノズル加工を行う際、エキシマレーザを用いたが、紫外線領域の波長を持つレーザであれば、特に制限はなく、例えば、YAG3倍波、YAG4倍波レーザなども用いることができる。なお、加工性を鑑みると、エキシマレーザが最も好適である。
このようにして図5(F)に示す第1の積層プレートを作製し、そして、図4に示すように、別工程で、予め、連通孔プレート40,42と、圧力室プレート44とを接合し、さらに圧力室プレート44の開口を覆うように振動板46が接合した第2の積層プレートを準備し、これと第1の積層プレートとを、互いの連通孔プレート40とプールプレート38とが対向するように接合した。このようにして、インクジェット記録ヘッド32を作製する。
次に、インクジェット記録ヘッド32の密着性、ノズル加工性、及び耐擦過性を評価するために行ったテストについて説明する。
このテストでは、記録ヘッドを図5に示すプロセスにより作製し、下地であるSiO膜48Aの膜厚を10nm、40nm、120nmに変えたときの密着性、ノズル加工性、及び耐擦過性を評価した。また、フッ素系撥水膜48Bの膜厚は20nmとした。SiO膜48Aとフッ素系撥水膜48Bの膜厚は、ノズルプレート面内3点について表面形状測定機(日本真空技術株式会社製、DEKTAK3030ST)を用いて測定距離100μm、触針荷重1mgfの条件で測定し、平均値を求めたものである。なお、膜厚を測定するための記録ヘッドサンプルには、ノズルプレート表面に、撥水膜形成前に予め膜厚測定する箇所にマスキングテープを貼り付けておいた。
なお、記録ヘッドのノズルプレートは、第2のプレート36が厚み25μmのポリイミドフィルムであり、第1のプレート34が厚み15μmのSUSからなるものである。
ノズル加工に際しては、エキシマレーザー(波長248nm)を撥水膜が形成された面の反対側面から照射して直径25μmの細孔(ノズル)を形成した。
このテストにおいて、密着性は、超音波を28kHz、100W、10minの条件で印加してSiO膜48Aの剥離を調査したものであり、剥離が発生しないときは○、剥離が発生したときは×として評価した。
ノズル加工性は、図5(F)に示すようにエキシマレーザで第2のプレート36にノズル33を穿設したとき、加工性が良くノズル孔が均一に形成できるときは○、加工性が悪くノズル孔が不均一になるときは×として評価した。
また、得られた記録ヘッドを富士ゼロックス社製の液滴吐出装置に取り付け、記録ヘッドのノズル面のワイピングによるメンテナンスが連続印字と連続印字との間に行われるように連続10枚の印字動作を合計5回繰り返し実施し、記録ヘッドの耐擦過性を評価した。そして、撥水層48に擦り傷がほとんど発生しないときは○、擦り傷が多くて使用できない場合は×として評価した。このテストの結果を表1に示す。
Figure 2007125849

表1に示すように、SiO膜48Aの膜厚を40nmとしたときに、密着性、ノズル加工性、及び耐擦過性のすべてが良好となることが確認された。また、SiO膜48Aの膜厚を10nmとしたときは耐擦過性が不十分であり、120nmとしたときは密着性、ノズル加工性が悪化することが確認された。
以上説明したように図5に示すインクジェット記録ヘッド32では、ノズルプレート表面にスパッタ法でSiO膜48Aを形成し、その上に蒸着法でフッ素系撥水膜48Bを形成した後、加熱によりフッ素系撥水膜48Bを重合させて撥水層48を形成するので、膜厚ムラを小さくすることができると共に、密着性、耐擦過性、及びノズル加工性に優れた撥水層48が得られる、このため、図5に示す工程を経て作製されたインクジェット記録ヘッド32は、インクの吐出不良などの不具合の発生を抑制することができる。
なお、図1等に示した例では、紙幅対応のFWAの例について説明したが、本発明のインクジェット記録ヘッドは、これに限定されず、主走査機構と副走査機構を有するPartial Width Array(PWA)の装置にも適用することができる。
また、図1等に示した例では、記録媒体として用紙P上へ画像(文字を含む)を記録するものであったが、本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置は、これに限定されるものではない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりする等、工業用的に用いられる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置全般に適用することができる。
本発明の一実施形態であるインクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を備えたインクジェット記録装置(液滴吐出装置)を示す概略構成図である。 図1に示すインクジェット記録装置におけるインクジェット記録ユニットの記録ヘッド配置を示す概略図である。 図1に示すインクジェット記録装置におけるインクジェット記録ユニットによる印字領域を示す図である。 本発明の一実施形態であるインクジェット記録ヘッドを示す概略断面図である。 本発明の一実施形態であるインクジェット記録ヘッドの製造方法の製造工程を示す工程図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
16 記録ヘッド部
30 インクジェット記録ユニット
32 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
33 ノズル
34 第1のプレート(ノズルプレート)
36 第2のプレート(ノズルプレート)
38 プールプレート
48 撥水層
48B フッ素系撥水膜
48A SiO
52 段差孔
54 ノズル面
56 プレート面

Claims (4)

  1. 記録媒体に液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドであって、
    前記ノズルプレートの表面に、SiO膜とフッ素系撥水膜からなる撥水層が形成され、
    前記SiO膜の膜厚をtとしたとき、
    30nm<t≦100nm
    に設定されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 記録媒体に液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記ノズルプレート表面にスパッタ法でSiO膜を形成し、前記SiO膜の上にフッ素系撥水膜を蒸着法で形成した後、加熱により前記フッ素系撥水膜を重合処理して撥水層としたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  3. 請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法により製造された液滴記録ヘッドであって、
    前記SiO膜の膜厚をtとしたとき、
    30nm<t≦100nm
    に設定されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項1又は請求項3に記載の液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする液滴吐出装置。
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