JP2001150686A - インクジェットプリンタヘッド製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタヘッド製造方法

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JP2001150686A
JP2001150686A JP33894699A JP33894699A JP2001150686A JP 2001150686 A JP2001150686 A JP 2001150686A JP 33894699 A JP33894699 A JP 33894699A JP 33894699 A JP33894699 A JP 33894699A JP 2001150686 A JP2001150686 A JP 2001150686A
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film
orifice
fluorine
ink
excimer laser
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JP33894699A
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Isao Suzuki
伊左雄 鈴木
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Original Assignee
Toshiba TEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィスが形成されるベースフィルム上フ
ッ素含有膜をエキシマレーザ光によるアブレーションが
可能となるように極力薄くしても、一連のヘッド製造工
程においてフッ素含有膜を傷つけず、良好なるオリフィ
スを形成できるようにする。 【解決手段】 エキシマレーザ光によるアブレーション
が可能な樹脂製のベースフィルム51の片面にフッ素含
有膜52を形成する工程と、エキシマレーザ光によるア
ブレーションが可能で片面に粘着剤53が塗布された樹
脂製の保護フィルム54をベースフィルム51のフッ素
含有膜52面側に貼り合せてフィルム体55を形成する
工程と、フィルム体55を所望の形状に切断する工程
と、切断されたフィルム体55のベースフィルム51側
の外面を圧力発生室7の端面3aに接着する工程と、フ
ィルム体55にエキシマレーザ光を照射してオリフィス
を形成する工程と、ベースフィルムから保護フィルムを
剥離する工程と、よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エキシマレーザ光
を用いたインクジェットプリンタヘッドのオリフィス形
成における孔明け加工方法に関し、特に高画質化に求め
られるオリフィス形状を実現できるインクジェットプリ
ンタヘッド製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェットプリンタヘッドに
おけるインクオリフィスであるオリフィス(吐出口又は
ノズルとも称する)は、電鋳と呼ばれるメッキ法により
オリフィスプレートに形成されていたが、インクジェッ
トプリンタヘッドの全体的な製造プロセスにおいては、
このオリフィスが形成されたオリフィスプレートを、イ
ンクジェットプリンタヘッド筐体における端部の所定の
部位に接着させるようにしている。
【0003】しかし、通常のインクジエットプリンタヘ
ッドは、12dot/mm(≒300dpi)以上の印字
の解像度が要請されることから、上述のオリフィスの配
列ピッチ(複数のオリフィスの孔間隔)も約80μm以
下であり、非常に微細な構造になっている。そのため、
上述のようなオリフィス形成済みのオリフィスプレート
をインクジェットプリンタヘッド筐体に接着する工程に
おいて、接着剤が既に形成されているオリフィス内に流
れ込んで、孔詰まりを起こしてしまい、インク飛翔に障
害をもたらす。このような障害を防ぐためにオリフィス
の配列ピッチを狭められず、結果として、ドット間隔が
まばらになり、印字の鮮明さが損なわれる等の課題があ
った。
【0004】このような課題を解決するために、インク
ジェットプリンタヘッドを製造する際に、高分子樹脂か
らなるオリフィスプレートをインクジェットプリンタヘ
ッド筐体の端部の所定の部位へ接着した後に、レーザ光
を利用するレーザ光加工によって、オリフィスを形成す
る方法も提案されている。
【0005】例えば、特開平5−330064号公報に
よれば、オリフィスプレートに対してインク吐出側から
レーザ光を照射してオリフィスに逆テーパ部分のみを形
成する技術が開示されている。また、特開平6−872
16号公報によれば、撥インク膜上に被覆層を添着し、
裏面側からレーザ光を照射することでノズル(オリフィ
ス)を形成する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術ではオリフィス周辺の撥インク膜に対する保護な
どについて十分な検討がなされていない。実際のヘッド
製造工程で撥インク膜へダメージを与えてしまうと、吐
出不良につながる大きな問題を引き起こす。
【0007】最近では、フルカラー画像を形成するため
にインクジェットプリンタの普及が急速に拡大してお
り、その印字品質の向上もますます高い要求がされてい
るので、各オリフィスの孔ピッチを狭めつつインク滴を
高い直進性をもって飛翔させるようなオリフィスを形成
することが必要となっている。
【0008】このように、インクジエットプリンタを用
いて高画質な印字を得るために、インクジエットプリン
タヘッドに関しては、オリフィスでの孔加工精度の向上
と孔周辺の良好な撥インク膜の形成によって、インク滴
の吐出精度(吐出の直進性)を高めて印字の滲みを抑制
することが要請されているが、上記の公知例では、この
ような課題を必ずしも十分に解決しているとはいい難い
ものである。
【0009】特に、オリフィスプレートにおいてオリフ
ィスのインク吐出側に形成された撥インク性を有するフ
ッ素含有膜は、一般的に柔らかく製造工程中に傷つきや
すく、そのため、傷部位が存在するとインクの飛翔方向
や吐出量の安定性を損なうこととなる。また、フッ素含
有膜は撥インク特性に優れているが、エキシマレーザ光
の波長に対して透過率が高く、そのレーザ光を吸収しな
いので、アブレージョン(蒸発)し難い。そのため加工
が困難であることから、その膜厚を厚くすると、オリフ
ィスプレートのオリフィス孔周辺に食いちぎられたよう
なバリ等を生じてしまい、滑らかなオリフィス孔の形成
が困難となってしまう。そこで、フッ素含有膜自体を薄
くする必要があるが、上述したように、薄い膜は傷つき
やすく、製造工程中での撥インク膜へのダメージが発生
しやすく、オリフィス周辺の撥インク膜が不均一になる
ことによりインクの飛翔が不安定になり、吐出特性への
悪影響が生じてしまう。
【0010】そこで、本発明は、オリフィスが形成され
るベースフィルム上の撥インク性を有するフッ素含有膜
をエキシマレーザ光によるアブレーションが可能となる
ように極力薄くしても、一連のヘッド製造工程において
フッ素含有膜を傷つけることなく、良好なるオリフィス
を形成することができ、インク滴の吐出精度の高いイン
クジェットプリンタヘッドを作製することができるイン
クジェットプリンタヘッド製造方法を提供することを目
的とする。
【0011】加えて、本発明は、生産性を向上させ得る
インクジェットプリンタヘッド製造方法を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
エキシマレーザ光によるアブレーションが可能な樹脂製
のベースフィルムの片面にフッ素含有膜を形成する工程
と、エキシマレーザ光によるアブレーションが可能で片
面に粘着剤が塗布された樹脂製の保護フィルムを前記ベ
ースフィルムの前記フッ素含有膜が形成された面側に貼
り合せてフィルム体を形成する工程と、前記フィルム体
を所望の形状に切断する工程と、切断された前記フィル
ム体の外面のうちで前記ベースフィルム側の外面を圧力
発生室端面に接着する工程と、前記フィルム体にエキシ
マレーザ光を照射してオリフィスを形成する工程と、前
記ベースフィルムから前記保護フィルムを剥離する工程
と、よりなる。
【0013】従って、製造工程の最初から最後までフッ
素含有膜は保護フィルムにより覆われて保護されている
ので、エキシマレーザ光によるアブレーションが可能な
程度にフッ素含有膜を薄くしても、製造工程において撥
インク性を有するこのフッ素含有膜を傷つけることがな
く、良好な状態のままエキシマレーザ光によりオリフィ
スを形成することができ、インク滴の吐出精度を高める
ことができる。また、フィルム体を形成した後で所望の
形状に切断するようにしているので、エキシマレーザ光
によるアブレーションが可能な保護フィルムの貼り合せ
を、複数のヘッド分一括して行えるため、生産性が高く
なり、安価なインクジェットヘッドを提供することがで
きる。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載のイ
ンクジェットプリンタヘッド製造方法において、前記ベ
ースフィルムの片面に形成するフッ素含有膜の厚さが2
μm以下である。
【0015】従って、フッ素含有膜の膜厚を、エキシマ
レーザ光による良好なアブレーションが可能な厚さ2μ
m程度に薄くしても、フッ素含有膜を傷つけることなく
オリフィスを形成できる。この場合、フッ素含有膜の厚
さを、0.1μm〜1μm程度とすれば、良好な撥イン
ク性とエキシマレーザ光によるより良好なアブレーショ
ンが可能となり、より好適となる。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載のインクジェットプリンタヘッド製造方法において、
前記フィルム体を所望の形状に切断する工程をプレス加
工により行うようにした。
【0017】従って、フィルム体を所望の形状に切断す
る工程はレーザ加工等によっても可能であるが、フッ素
含有膜が保護フィルムにより覆われているので、簡便な
プレス加工方法を用いても傷つけるようなことがなく、
よって、生産性が高く安価なインクジェットプリンタヘ
ッドを提供できる。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項1又は2記
載のインクジェットプリンタヘッド製造方法において、
オリフィスを形成する工程において前記フィルム体側か
ら前記圧力発生室側に向けてエキシマレーザ光を照射す
るようにした。
【0019】従って、フィルム体側から圧力発生室側に
向けてエキシマレーザ光を照射することによりオリフィ
スを形成することにより、ヘッド構造、特に圧力発生室
内の構造によらず、吐出側が小さく圧力発生室側が大き
いテーパを持ち効率よくインク吐出を行わせ得る形状の
オリフィスを良好に形成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態を図面に基
づいて説明する。まず、本実施の形態のインクジェット
プリンタヘッド製造方法により製造しようとするインク
ジェットプリンタヘッドユニット1の構成例を図1に示
す。まず、ベースプレート2上にはインクジェットプリ
ンタヘッド3及び駆動回路基板4が取り付けられてい
る。インクジェットプリンタヘッド3の先端側端面には
オリフィスプレート5が取り付けられるとともに、この
オリフィスプレート5にはインクを吐出させるための複
数個のオリフィス6が圧力発生室を形成するインク室7
(図2参照)に対応して、所定のピッチで形成されてい
る。
【0021】また、インクジェットプリンタヘッド3の
インク室7にインクを供給するインク供給管8が蓋体9
の所定の位置に取り付けられている。駆動回路基板4
は、インク室7に設けられているアクチュエータ(本実
施の形態ではインクジェットの方式を問わないため、特
に図示せず)を動作させることによりオリフィス6から
インクを吐出させるための駆動IC10等を搭載してい
る。11は、外部のコントローラ(図示せず)と接続す
るための接続ケーブルである。
【0022】図2に、インクジェットプリンタヘッド3
におけるオリフィスプレート5部分の水平断面構造を示
す。オリフィスプレート5には、壁12により仕切られ
た各インク室7の端面に位置する部位にオリフィス6が
形成されている。このオリフィス6は、インク吐出側
(外面側)からみて奥側が径の大きくなるテーパ形状
(立体的には、台形円錐状)をしている。インク吐出側
が径が小さくなるようなテーパ形状としているのは、イ
ンク室7のインクを吐出するために、インク室7に設け
られているアクチュエータを駆動し、インク室7内部の
圧力が高められたときに、効率よくインク吐出を行わせ
るためである。
【0023】なお、オリフィスプレート5にあっては、
そのインク吐出側(外面側)なる片面にはフッ素含有膜
13が形成され、撥インク特性を有するように構成され
ている。
【0024】ここに、本実施の形態で用いるインクジェ
ットプリンタヘッド3の製造方法に関しては、後述する
が、そのオリフィス6の形成に用いるレーザ加工装置2
1の構成及び作用について図3に基づいて説明する。こ
のレーザ加工装置21はエキシマレーザ光を利用して加
工するもので、まず、KrFエキシマレーザ光発振器2
2が設けられている。このKrFエキシマレーザ光発振
器22は、波長400nm以下の紫外域でパルス状のレ
ーザ光(エキシマレーザ光)を出力する。このKrFエ
キシマレーザ光発振器22から出力されるレーザ光の光
路上には、バリアブルアッテネータ23、アップコリメ
ータ24、イメージローテータ25、ミラー26が配置
され、さらにこのミラー26の反射光路上には、アレイ
レンズ照明系27、リレーレンズ28、マスク29及び
投影レンズ30が配置されている。一方、投影レンズ3
0の光軸方向には、xステージ31b及びzステージ3
1cが設けられ、このzステージ31c上に被加工物と
してオリフィスプレート5が載置されるようになってい
る。
【0025】ここで、アレイレンズ照明系27からリレ
ーレンズ28、マスク29、投影レンス30にかけたこ
の光学系の具体的構成について、図4を参照して説明す
る。同図に示すようにエキシマレーザ光の光路上には、
アレイレンズ照明系27、リレーレンス28、マスク2
9及び投影レンズ30が配置されている。アレイレンズ
照明系27は、図4及び図5に示すように2つのシリン
ドリカルレンズアレイ27a,27bを互いに垂直に交
わる方向に間隔L0を置いて配置したものである。
【0026】なお、これらのシリンドリカルレンズアレ
イ27a,27bの各集光面32(集光点を含む面)
は、シリンドリカルアレイレンズ27bから距離L1の
ところの同一面に一致するようになっている。
【0027】また、これらのシリンドリカルレンズアレ
イ27a,27bの集光面32をリレーレンズ28によ
り投影レンズ30の入射瞳(絞り)33の面に結像し、
これにより投影レンズ30に対して、テレセントリック
な条件が成立するようにアレイレンズ照明系27、リレ
ーレンズ28、入射瞳33、投影レンズ30に対してマ
スク29が配置されている。
【0028】なお、図3において、このレーザ加工装置
21は微細加工コントローラ41により制御される。即
ち、KrFエキシマレーザ光発振器22がレーザ制御に
基づくトリガ信号により制御され、バリアブルアッテネ
ータ23がフルエンス制御信号により制御され、イメー
ジローテータ25が回転速度制御信号により制御され、
xステージ31a及びyステージ31bはxyドライバ
42を利用して位置制御信号により制御される。また、
ミラー34に対してはセンサ43が設けられており、こ
のセンサ43により検出された信号がオートフォーカス
ユニット44に取り込まれ、zドライバ45を介してz
ステージ31cを制御するとともに、フォーカス制御信
号として微細加工コントローラ41に取り込まれるよう
に構成されている。
【0029】このようなテレセントリックな光学系を通
してレーザ光をインク吐出側から照射することにより、
オリフィスプレート5の板面に対して垂直な軸線を持
ち、かつ、奥側が径が大きくなる逆テーパ形状のオリフ
ィス6が加工される。
【0030】次に、上述したようなレーザ加工装置21
を用いてオリフィス6を形成する工程を含む本実施の形
態によるインクジェットプリンタヘッドの製造方法につ
いて図6及び図7に示す工程図を参照して説明する。
【0031】まず、図6(a)に示すように、最終的に
はオリフィスプレート5となる樹脂製のベースフィルム
51を用意し、その片面に撥インク特性を有するフッ素
含有膜52を均一に形成する。ここに、ベースフィルム
51の材料としては、エキシマレーザ光によるアブレー
ション加工が可能なもの、例えば、紫外域の波長を持つ
光に対して吸収係数の高いポリマ系の材料(例えば、ポ
リイミドなど)によるものが用いられている。フッ素含
有膜52は、例えば、フッ素樹脂を分散させた液体をス
ピンコータ等で塗布することにより形成される。含有さ
れるフッ素樹脂としては、例えば、デュポン製のFEP
120、旭硝子製のサイトップなどが用いられる。この
フッ素含有膜52の膜厚は、後述のように、2μm以下
とされている。
【0032】ついで、ベースフィルム51と同等の大き
さで、片面に粘着剤53が塗布された保護フィルム54
を用意し、この保護フィルム54を図6(b)に示すよ
うに、ベースフィルム51のフッ素含有膜52側の面に
粘着剤53により貼り合せ、フィルム体55を形成す
る。この貼り合せに際しては、両フィルム51,54間
に気泡やゴミなどが入り込まないようにする。また、保
護フィルム54の材料としても、エキシマレーザ光によ
りアブレーション可能なもの、即ち、紫外域の波長を持
つ光に対して吸収係数の高いポリマ系の材料が用いられ
ている。これにより、フィルム体55全体でもエキシマ
レーザ光によるアブレーションが可能な構成となってい
る。
【0033】ここに、これらのフィルム51,54の大
きさ(従って、フィルム体55の大きさ)が、インクジ
ェットヘッド複数台分の大きさに形成されていれば、個
々のインクジェットヘッドの大きさに合わせて切り出せ
ばよく、保護フィルム54の貼り合せ工程を複数台分一
括して行えることとなり、生産性が向上する。
【0034】つづいて、図6(c)に示すように、フィ
ルム体55を所望の形状(大きさ)に切り出す。切り出
されたベースフィルム51が個々のインクジェットヘッ
ド毎の最終的なオリフィスプレート5となる。この切り
出し工程は、レーザ光を利用した加工法でも可能である
が、本実施の形態では、より簡便なプレス加工方法が用
いられている。切り出しに際してフッ素含有膜52が露
出しているとプレス加工に際してこのフッ素含有膜52
の表面を傷つけたりその撥インク性を損なうこととなる
が、フッ素含有膜52の表面は保護フィルム54により
全面的に覆われているので、フッ素含有膜52にダメー
ジを与えることなく切り出すことができる。このように
して簡便な方法で切り出せるので、この点からも生産性
が向上する。
【0035】フィルム体55を切り出した後、切り出さ
れたフィルム体55を図6(d)(e)に示すようにイ
ンクジェットプリンタヘッド3に形成されているインク
室(圧力発生室)7の吐出側端面3aにベースフィルム
51側を配置させて接着剤より接着する。接着剤を硬化
させるときベースフィルム51(フィルム体55)をイ
ンク室7の吐出側端面3aに押し付けている必要がある
が、フッ素含有膜52は保護フィルム54により覆われ
ているので、フッ素含有膜52へのダメージなく接着す
ることができる。
【0036】引き続き、フィルム体55が接着されたイ
ンクジェットプリンタヘッド3をレーザ加工装置21の
ステージ31上にセットして、フィルム体55にエキシ
マレーザ光をインク吐出側(フィルム体55側)からイ
ンク室7に向けて照射することにより、インク室7毎に
対応するオリフィス6を形成する。図7(a)はテレセ
ントリックな光学系をもつレーザ加工装置21を用いて
整形したエキシマレーザ光をインク吐出側から照射した
場合にフィルム体55に形成されるオリフィス6の形状
を示す。ここで、アブレーション可能なフィルム51,
54を加工するために照射されるエキシマレーザ光は、
上述したテレセントリックな光学系を通過すると、集光
点を挟んでその進行方向に平行な断面形状が順テ―パ部
分6aと逆テ―パ部分6bとを有する鼓形状となるよう
にオリフィス6を形成する。
【0037】オリフィス6を形成した後、図7(b)に
示すように、粘着剤53が塗布された保護フィルム54
をベースフィルム51から剥離する。ここに、ベースフ
ィルム51が最終的なオリフィスプレート5ととなり、
最終工程で逆テ―パ部分6bのみによるオリフィス6を
有するインクジェットプリンタヘッド3が完成する。保
護フィルム54の剥離に際して、元々フッ素含有膜52
に対する粘着であり粘着力が強くないのでダメージを与
えることなく簡単に剥離できる。このようにして、製造
全工程においてフッ素含有膜52にダメージを与えるこ
となく吐出側が小さくインク室7側が大きいテーパをも
ったオリフィス6を形成することができる。
【0038】ところで、フッ素含有膜52について検討
する。一般的に、フッ素樹脂はエキシマレーザ光の波長
の透過率が高く、加工されにくいものであるため、フッ
素含有膜52の膜厚は、2μm以下であることが望まし
い。さらに好ましくは、膜厚1μm以下とすれば、エキ
シマレーザ光による加工後のオリフィス6周辺でのこの
フッ素含有膜52の滑らかさが良好となる。
【0039】一方、フッ素含有膜52が2μmよりも厚
い膜厚になると、ベースフイルム51が所定の孔加工さ
れるときにエキシマレーザ光により樹脂がアブレーショ
ンにより飛散すると同時に機械的にもぎ取られるため
に、孔(オリフィス6)周辺のフッ素含有膜52のバリ
等が生じてしまう。そのためオリフィス6周辺のフッ素
含有膜52が不均一になる。このようなフッ素含有膜5
2のバリ等が生ずるとインク飛翔が不安定になってしま
う。また、フッ素含有膜52が所定以下の厚さの場合
は、その撥インク効果が低下してしまうので、少なくと
も0.1μm程度の厚さは必要である。
【0040】何れにしても、フッ素含有膜52に対する
接触が生ずると、薄いこのフッ素含有膜52は傷つきや
すく、傷ついた場合には、その撥インク性にムラが生ず
るので、その取り扱いには注意を要するが、本実施の形
態では、このようなフッ素含有膜52を形成した後、最
終工程終了まで、粘着剤53付きの保護フィルム54を
貼り合せることにより保護されているので、各製造工程
において簡便な取り扱いが可能となる。
【0041】このようにして、本実施の形態のインクジ
ェットプリンタヘッド製造方法によれば、フッ素含有膜
52に傷など発生することなく、良好なオリフィス6を
形成することができ、インク滴が曲がることなく真っ直
ぐ吐出し、精度の良い印字を行えるインクジェットプリ
ンタヘッドを提供することができる。
【0042】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、製造工程
の最初から最後までフッ素含有膜を保護フィルムにより
覆い保護するようにしたので、エキシマレーザ光による
アブレーションが可能な程度にフッ素含有膜を薄くして
も、製造工程において撥インク性を有するこのフッ素含
有膜を傷つけることがなく、良好な状態のままエキシマ
レーザ光によりオリフィスを形成することができ、イン
ク滴の吐出精度を高めることができる。また、フィルム
体を形成した後で所望の形状に切断するようにしている
ので、エキシマレーザ光によるアブレーションが可能な
保護フィルムの貼り合せを、複数のヘッド分一括して行
えるため、生産性が高くなり、安価なインクジェットヘ
ッドを提供することができる。
【0043】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載のインクジェットプリンタヘッド製造方法において、
フッ素含有膜の膜厚を、エキシマレーザ光による良好な
アブレーションが可能な厚さ2μm程度に薄くしても、
フッ素含有膜を傷つけることなくオリフィスを形成でき
る。
【0044】請求項3記載の発明によれば、請求項1又
は2記載のインクジェットプリンタヘッド製造方法にお
いて、フィルム体を所望の形状に切断する工程はレーザ
加工等によっても可能であるが、フッ素含有膜が保護フ
ィルムにより覆われているので、簡便なプレス加工方法
を用いても傷つけるようなことがなく、よって、生産性
が高く安価なインクジェットプリンタヘッドを提供する
ことができる。
【0045】請求項4記載の発明によれば、請求項1又
は2記載のインクジェットプリンタヘッド製造方法にお
いて、フィルム体側から圧力発生室側に向けてエキシマ
レーザ光を照射することによりオリフィスを形成するこ
とにより、ヘッド構造、特に圧力発生室内の構造によら
ず、吐出側が小さく圧力発生室側が大きいテーパを持ち
効率よくインク吐出を行わせ得る形状のオリフィスを良
好に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すインクジェットプ
リンタヘッド全体の外観斜視図である。
【図2】インク室及びオリフィスを示す水平断面図であ
る。
【図3】レーザ加工装置を示す構成図である。
【図4】その光学系を展開して示す説明図である。
【図5】アレイレンズの構成を示す分解斜視図である。
【図6】インクジェットプリンタヘッド製造工程の前半
を示す斜視図である。
【図7】インクジェットプリンタヘッド製造工程の後半
を示す水平断面図である。
【符号の説明】
3a 端面 6 オリフィス 7 圧力発生室 51 ベースフィルム 52 フッ素含有膜 53 粘着剤 54 保護フィルム 55 フィルム体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エキシマレーザ光によるアブレーション
    が可能な樹脂製のベースフィルムの片面にフッ素含有膜
    を形成する工程と、 エキシマレーザ光によるアブレーションが可能で片面に
    粘着剤が塗布された樹脂製の保護フィルムを前記ベース
    フィルムの前記フッ素含有膜が形成された面側に貼り合
    せてフィルム体を形成する工程と、 前記フィルム体を所望の形状に切断する工程と、 切断された前記フィルム体の外面のうちで前記ベースフ
    ィルム側の外面を圧力発生室端面に接着する工程と、 前記フィルム体にエキシマレーザ光を照射してオリフィ
    スを形成する工程と、 前記ベースフィルムから前記保護フィルムを剥離する工
    程と、よりなることを特徴とするインクジェットプリン
    タヘッド製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ベースフィルムの片面に形成する前
    記フッ素含有膜の厚さが2μm以下であることを特徴と
    する請求項1記載のインクジェットプリンタヘッド製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記フィルム体を所望の形状に切断する
    工程をプレス加工により行うようにしたことを特徴とす
    る請求項1又は2記載のインクジェットプリンタヘッド
    製造方法。
  4. 【請求項4】 オリフィスを形成する工程において前記
    フィルム体側から前記圧力発生室側に向けてエキシマレ
    ーザ光を照射するようにしたことを特徴とする請求項1
    又は2記載のインクジェットプリンタヘッド製造方法。
JP33894699A 1999-11-30 1999-11-30 インクジェットプリンタヘッド製造方法 Pending JP2001150686A (ja)

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