JP2004235194A - 炭酸ガスレーザーによる孔あけ用補助シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機シートに、炭酸ガスレーザー孔あけ促進成分を配合した粘着剤単独を塗布するか、或いは炭酸ガスレーザー孔あけ促進成分を配合した樹脂をまず塗布して、更にその上に粘着剤単独又は粘着剤を添加した樹脂層を好適には20〜100μm付着させたものを配置し、室温で銅張板に加圧接着して、炭酸ガスレーザーを銅張板表面に直接照射してブラインドビア孔及び/又は貫通孔をあける。
【効果】室温でラミネートすることにより、ラミネート時の反りも無く、孔形状の良好な小径の孔を炭酸ガスレーザーで高速にあけることができ、孔あけ用補助シート剥離時も薄厚の銅張板の折れも発生しないで容易に剥離でき、作業性、量産性に優れていることが明白である。
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プリント配線板を製造する銅張板に炭酸ガスレーザーにてブラインドビア孔及び/又は貫通孔あけするために銅張板の表面に室温で張り合わせる孔あけ用補助シートに関するものであり、主として形成された孔は小型プリント配線板のブラインドビア孔及び/又はスルーホールとして使用され、得られた小径孔を有するプリント配線板は半導体プラスチックパッケージ、マザーボード等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体プラスチックパッケージ等に用いられる高密度のプリント配線板は、スルーホール用の貫通孔をドリルであけていた。近年、ますますドリルの径は小径となり、孔径は0.15mm以下となってきており、このような小径の孔をあける場合、ドリル径が細いため、孔あけ時にドリルが曲がる、折れが多い、加工速度が遅い等の欠点があり、作業性、生産性、信頼性等に問題のあるものであった。更に、上下の銅箔にあらかじめネガフィルムを使用して所定の方法で同じ大きさの孔をあけておき、炭酸ガスレーザーで上下を導通するスルーホールを形成しようとすると、上下の孔の位置にズレを生じ、ランドが形成しにくい、製造工程が増える等の欠点があった。
【0003】
ブラインドビア孔を形成する場合、予め表面の銅箔を所定の大きさにエッチングしておき、この孔に低エネルギーの炭酸ガスレーザーを照射して形成していた(例えば、特許文献1,2、3参照。)。一方、孔あけ用に、銅箔表面に黒色酸化銅処理等を施して、この上に直接炭酸ガスレーザーを照射して孔あけする方法があるが(例えば、特許文献4、5参照。)、これは処理の擦れによって孔の大きさ、形状が異なることがあり、問題のあるものであった。更に加工された樹脂等の残さが飛散して銅箔表面に付着し、これをそのまま加工して回路を形成するとパターン切れ、ショート等の問題を起こすことがあった。
【0004】
また銅張板表面に加熱して補助シートをラミネート接着すると反りが生じ、その後の孔あけで銅張板を炭酸ガスレーザーのXYテーブルにテープ等で止める必要があるために作業性が悪く、反面テープで止めない場合はXYテーブルから浮いた部分の孔形状が変形し、その後の不良が増え、信頼性が悪くなる等の問題が生じていた。加えて、厚さが厚い銅箔を使用した銅張板を用いた場合、高密度のプリント配線板の回路の幅とスペースとはますます狭くなってきた現在では、ライン/スペースが50μm/50μm以下となるものも作製されており、この場合もパターン切れ、或いはショート不良が多く、歩留りの悪いものであった。
【0005】
【特許文献1】特公平4−3676号公報
【特許文献2】特許第2805742号公報
【特許文献3】特開2000−31640号公報
【特許文献4】特開昭61−99596号公報
【特許文献5】特許第2881515号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、主として小径で形状の良好なブラインドビア孔及び/又は貫通孔を、炭酸ガスレーザーを銅張板に直接照射して形成するため、有機シートの少なくとも片面に室温にて粘着効果のある粘着剤単独或いは粘着剤入り樹脂層を形成して作製し、これを室温で銅張板に張り合わせることにより銅張板の反りが発生せず、剥離時にも簡単に剥離できる孔あけ用補助シートを提供するものである。
【0007】
【発明が解決するための手段】
本発明は、銅箔を除去できるに十分な炭酸ガスレーザーエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、直接炭酸ガスレーザーを銅張板表面に照射し、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張積層板、耐熱性フィルム銅張板等、その他の一般に公知の両面銅張板、多層板の銅箔を加工して貫通孔をあける孔あけにおいて、炭酸ガスレーザーが照射される銅張板の銅箔表面に、室温で加圧下に接着させることが可能な孔あけ用補助シートを用い、この銅張板の表面に直接炭酸ガスレーザーを照射してブラインドビア孔及び/又は貫通孔を形成することにより、張り合わせした銅張板は反りがないために孔形状に優れ、更に孔形成後に補助シートを剥離するのも簡単にでき、剥離時の薄い銅張板の折れ、銅張板への樹脂付着がなく、孔信頼性、作業性、量産性等に優れていることが確認できた。
【0008】
銅箔厚さが厚い場合には、孔あけされた銅張板は、孔部に銅箔のバリが発生するため、機械的研磨や薬液による内外層銅箔バリの除去を行う。機械的研磨は、特に薄い銅張板の場合には板が伸びるために寸法変化率が大きくなる等の問題が生じることがあり、好適には薬液での後処理を行い、銅箔の両表面を厚さ方向に平面的に一部の厚さをエッチング除去すると同時に、孔部に張り出した銅箔バリをエッチング除去して孔を形成することによって、孔部の金属メッキのバリによるメッキ異常等がなく、且つ、銅箔厚さが薄くなるために、その後の金属メッキでメッキアップして得られた表裏銅箔の細密回路形成において、ショートやパターン切れ等の不良の発生もなく、高密度のプリント配線板を作製することができた。更に炭酸ガスレーザーでの加工速度はドリルであける場合に比べて格段に速く、生産性も良好で、経済性にも優れているものが得られた。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、炭酸ガスレーザーを用いて銅張板にブラインドビア孔及/又は貫通孔、特に小径の孔をあけるために用いる孔あけ用補助シートに関するものであり、この補助シートを使用して孔あけされたプリント配線板は孔信頼性に優れ、半導体チップの搭載用、マザーボード用等として使用される。銅張板の炭酸ガスレーザーによる孔あけにおいて、炭酸ガスレーザーを照射する銅箔面に室温で圧着できる孔あけ用補助シートを接着させて配置し、この上から直接炭酸ガスレーザーを照射することにより、接着時の反りがないために孔あけ時の孔形状に優れ、且つ孔あけ後の補助材料剥離も容易にできるために、特に薄厚の銅張板において剥離時の樹脂残存、折れ等がなく、孔信頼性、作業性、量産性等に優れたものが得られる。この補助シートにおいて、有機シート両面に粘着剤入り樹脂層を付着させたものを銅張板の間に使用して複数枚銅張板を接着させて一度に炭酸ガスレーザーで貫通孔あけすることも可能であり、量産性にも優れている。
【0010】
炭酸ガスレーザー孔あけ用補助シートに使用する樹脂としては、粘着剤単独、或いはまず有機シート面に公知の樹脂層を形成し、更にその上に粘着剤層又は樹脂に粘着剤を配合した樹脂組成物層を形成したものが使用される。この有機シートに接着させる樹脂組成物には炭酸ガスレーザーの孔あけ加工を推進する成分を配合しておく。例えば、融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol 以上の金属化合物粉、カーボン粉、金属粉の1種或いは2種以上を3〜97vol%含む樹脂組成物を塗布し、この上に粘着剤単独或いは樹脂組成物に粘着剤を適当量配合したものを有機シート、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の少なくとも片面に付着させて孔あけ用補助シートとする。粘着剤単独を塗布する場合、粘着剤に上記の炭酸ガスレーザー孔あけ用金属化合物粉、金属粉或いはカーボン粉の1種或いは2種以上を配合し、これを有機シートに直接塗布する。炭酸ガスレーザーの貫通孔あけにおいては、銅張板の裏面に室温で圧着できるバックアップシートを使用するのが好ましい。
【0011】
本発明で使用する銅張板は、2層以上の銅の層を有する銅張板であり、熱可塑性樹脂銅張板、熱硬化性樹脂銅張板等、一般に公知の銅張板が使用可能である。熱硬化性樹脂銅張板としては、無機、有機基材の熱硬化性樹脂銅張積層板、その銅張積層板を内層に使用し、その外側に樹脂付き銅箔、或いは無機、有機基材補強熱硬化性樹脂プリプレグを配置し、更にその外側に、必要により銅箔を置いて、積層成形して得られる多層板等、一般に公知の構成の銅張板を含むものである。また、ポリイミドフィルム、液晶ポリエステルフィルム、ポリパラバン酸フィルム、全芳香族ポリアミドフィルム等の耐熱性フィルムに銅箔を接着させた銅張板、多層板等、一般に公知のものも使用できる。これらを組み合わせたリジットフレキ銅張板も使用できる。
【0012】
基材としては、一般に公知の無機、有機の繊維の織布、不織布が使用できる。具体的には、無機繊維としては、E、A、C、L、M、S、D、N、C、NE、クオーツ、高誘電率セラミック等の繊維が挙げられ、単独或いは、混抄で用いられる。有機繊維としては、全芳香族ポリアミド繊維、液晶ポリエステル繊維等が挙げられる。もちろん、無機、有機繊維の混抄基材も使用できる。
【0013】
本発明で使用される熱硬化性樹脂組成物の樹脂としては、一般に公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、 多官能性マレイミドーシアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂、シアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、1種或いは2種類以上が組み合わせて使用される。炭酸ガスレーザーでの孔形状の点からは、耐熱性の高い、ガラス転移温度150℃以上の樹脂組成物が好ましい。更に無機充填剤を添加するのが好ましい。耐熱性、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点から多官能性シアン酸エステル系樹脂組成物が好適である。
【0014】
本発明の好適な熱硬化性樹脂分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3−又は1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4−ジシアナトビフェニル、ビス(4−ジシアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0015】
これらのほかに特公昭41−1928、同43−18468、同44−4791、同45−11712、同46−41112、同47−26853及び特開昭51−63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類、シアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂等も用いられ得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0016】
エポキシ樹脂としては特に限定はなく、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂類等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。
【0017】
ポリイミド樹脂としては、一般に公知のものが使用され得る。具体的には、多官能性マレイミド類とポリアミン類との反応物、特公昭57−005406 に記載の末端三重結合のポリイミド類が挙げられる。
【0018】
これらの熱硬化性樹脂は、単独でも使用されるが、特性のバランスを考え、適宜組み合わせて使用するのが良い。
【0019】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelasticなゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン−イソプレンゴム、ポリエチレン−プロピレン共重合体、4−フッ化エチレン−6−フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー、スチレン化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の有機、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物はその硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0020】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0021】
炭酸ガスレーザーの照射で、孔形状を良好にするには、種々の添加剤を入れるのが好ましい。特に好ましくは無機充填剤を配合するが、この無機充填剤としては、一般に公知の球状、針状、不定形のものが使用できる。具体的には、天然シリカ、焼成シリカ、球状シリカ、アモルファスシリカ等のシリカ類;ホワイトカーボン、チタンホワイト、アエロジル、クレー、タルク、ウォラストナイト、天然マイカ、合成マイカ、カオリン、マグネシア、アルミナ、パーライト等が挙げられる。添加量は特に制限はないが、一般には10〜80重量%、好適には15〜60重量%である。
【0022】
また、炭酸ガスレーザーの照射で、光が分散しないように樹脂に黒色の染料、或いは顔料を添加することが好ましい。染料、顔料の種類は、一般に公知のものが使用され得る。添加量は、0.1〜10重量%が好適である。さらには、繊維の表面を黒色に染める方法、有機繊維の中に黒色の願料等を配合する方法等も使用し得る。
【0023】
銅張板の最外層の金属箔は、一般に公知のものが使用できる。好適には厚さ3〜12μmの銅箔、銅合金箔等が使用される。
【0024】
基材補強銅張積層板は、まず上記基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸、乾燥させてBステージとし、プリプレグを作製する。次に、このプリプレグを所定枚数用い、上下に銅箔を配置して、加熱、加圧下に積層成形し、両面銅張積層板とする。
【0025】
基材補強のないポリイミドフィルム等の銅張板は、ポリイミドフィルム基材等に接着剤を使用して銅箔を接着するか、或いは直接銅層を付着させる一般に公知の方法で作製される。
【0026】
熱可塑性樹脂は、一般に公知のものが使用される。具体的には、ポリカーボネート板、ポリフェニレンエーテル板等があるが、プリント配線板とする場合、炭酸ガスレーザーの熱加工の点からは熱硬化性樹脂の方が好ましい。
【0027】
銅張板の、炭酸ガスレーザーを照射する面の孔形成位置の銅箔表面に、融点900℃以上で且つ結合エネルギーが300kJ/mol 以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉の1種或いは2種以上を組み合わせたものを3〜97vol%含む樹脂組成物に粘着剤単独、或いは樹脂層と粘着剤層からなる樹脂組成物、又は粘着剤入り樹脂組成物をを有機シートの少なくとも片面に付着させてシートとしたものを接着配置し、この上から直接目的とする径まで絞った炭酸ガスーレーザービームを照射することによりブラインドビア孔及び/又は貫通孔あけを行なう。銅張板を1枚孔あけする場合、表面に上記孔あけ補助シートを配置し、室温でロール等にて圧着して一体化して使用する。銅張板を複数枚貫通孔あけする場合には、表層には有機シート片面に粘着剤単独、或いは樹脂層と粘着剤層となる樹脂組成物、又は粘着剤入り樹脂層を形成した補助シートを配置し、銅張板間には有機シート両面に該樹脂層を形成した補助シートを配置し、好適には裏面に金属箔片面に該樹脂層を形成したバックアップシートを配置し、これらを一度に室温で圧着して複数枚銅張板を一体化し、これを用いて貫通孔あけを行う。
【0028】
本発明で使用する、銅箔表面に使用する孔あけ補助材料の中の材料の1つである、融点900℃以上で且つ結合エネルギーが300kJ/mol 以上の金属化合物粉とは、一般に公知のものが使用できる。例えば、酸化物としてのチタニア類;マグネシア類;鉄酸化物;亜鉛酸化物;コバルト酸化物;スズ酸化物類等が挙げられ、非酸化物としては、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化チタン、硫酸バリウム等が挙げられる。その他、カーボンも使用できる。更には、一般に公知の金属粉が使用される。しかしながら、水、溶剤に溶解した場合、発熱、発火するようなものは使用しない。これらは、一般には平均粒子径5μm以下、好ましくは1μm以下である。孔あけ用補助シートに使用する樹脂組成物は必ずしもこれらに限定されるものではなく、公知の樹脂組成物を用いることが可能である。
【0029】
補助材料の有機物としては、特に制限はないが、ワニスとし、有機シート表面に塗布、乾燥した場合、剥離、欠落しないものを選択する。好ましくは、一般に公知の樹脂が使用される。特に、環境、或いは加工後の銅箔表面の洗浄除去の点からも、水溶性の樹脂、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、澱粉等の、一般に公知の樹脂が使用される。更に、必要により、前述の各種樹脂、添加剤等が適宜選択して添加し、使用され得る。
【0030】
上記粉体と有機物からなる組成物を作製する方法は、特に限定しないが、例えばニーダー等で無溶剤にて高温で練り、シート状に押し出す方法、溶剤或いは水に溶解する樹脂組成物を用い、これに粉体を加え、均一に攪拌混合し、塗料として銅箔表面に塗布、乾燥して皮膜とする方法、スプレーで銅箔面に直接吹きかける方法、フィルムに塗布、乾燥してシート状にする方法、有機、無機基材に含浸、乾燥して基材入りシートとする方法等、一般に公知の方法が使用し得る。樹脂層の厚さは、好適には20〜100μmとなるようにする。塗布するシートとしては、特に限定はなく一般に公知のものが使用できるが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、これらの混合品、多層フィルム等の一般に公知のフィルム類;ガラス織布、不織布基材補強積層シート等、一般に公知のシート類が使用され得る。巻き取りの点からはフィルム類が好適に使用される。シートの厚さは特に制限はないが、好適には 25〜200μmである。
【0031】
貫通孔を形成する場合には、炭酸ガスレーザーを照射する銅張板の銅箔面とは反対側の面に貫通した炭酸ガスレーザーを吸収するバックアップシートを用いるのが好ましく、これは銅張板を貫通した炭酸ガスレーザーが跳ね返って孔あけした銅張板に当たらないで、且つ突き抜けないで止まる素材であることが要求される。そのために、銅張板の、炭酸ガスレーザーを照射する面とは反対面の銅箔面に、好適には厚さ20〜100μmの粘着剤を配合した樹脂組成物層、好ましくは水溶性樹脂組成物層を、好適には厚さ50〜200μmの光沢のある金属箔に少なくとも部分的に付着したバックアップシートを配置して室温でラミネートして付着させた後、炭酸ガスレーザーの出力2〜60mJ、好適には4〜40mJから選ばれたエネルギーを、孔あけ用補助シートを張った銅張板の表面に直接照射して貫通孔をあけることにより、銅張板を貫通した炭酸ガスレーザーエネルギーがバックアップシートの樹脂層に吸収され、残りのエネルギーは、その下の光沢金属箔の表面でエネルギーの一部を反射して、金属に孔をあけることもなく、且つ跳ね返ったエネルギーもバックアップシートの樹脂層で吸収されて止まるため、銅張板の裏面の銅箔をキズ付けずに貫通孔をあけることができる。孔あけ用補助シート、バックアップシートは、加熱下に銅張板にラミネートできるが、銅張板が薄い場合は温度によっては孔あけ用補助シートとバックアップシートの熱膨張率が異なるために張り付けた後に銅張板の反りが発生するので室温での張り付けが好適である。
【0032】
孔あけ用補助シートに使用する樹脂組成物は特に限定はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、その混合物等、一般に公知のものが使用できる。環境、リサイクル等の面からは熱可塑性樹脂が好ましく、また水溶性樹脂が好ましい。これらの樹脂は特に限定はなく、上記の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性樹脂等が使用できる。もちろん、上記の各種添加剤、無機充填剤等も適宜配合され得る。
【0033】
本発明の孔あけ用補助シートに使用する粘着剤は、特に限定はなく、一般に公知のものが使用できる。具体的には、ゴム、架橋型アクリル、非架橋型アクリル、水溶性アクリル、ウレタン、酢酸ビニル、セルロース等が挙げられるが、好適には水溶性のものが使用される。これは有機シートの少なくとも片面に塗布するか、まず有機シートの少なくとも片面に薄く塗布し、この上に粘着剤層単独層或いは粘着剤を樹脂に配合した樹脂組成物層を形成し、有機シートとする。配合量は特に限定はないが、貫通孔あけ後に手で剥離できる接着性のある程度とする。
【0034】
粘着剤は一般には樹脂組成物内の1〜90重量%、好適には5〜50重量%である。混練方法は上記の補助材料を混練する方法、装置が使用できる。有機シート表面には、好ましくは樹脂層厚さ0.1〜100μm、更に好適には厚さ0.5〜50μmの樹脂層を形成し、その上に粘着剤単体、或いは粘着剤を配合した樹脂層を好適には1〜50μm付着して、好適には樹脂層総厚み20〜100μmとした孔あけ補助シートを配置して銅張板の裏面に室温でラミネートして付着させた後、表面から炭酸ガスレーザーの出力2〜60mJ、好適には4〜40mJから選ばれたエネルギーを、銅張板の上に照射してブラインドビア孔及び/又は貫通孔をあける。有機シートに付着させる粘着剤単独層の厚みの場合は特に限定はないが、好適には厚み20〜100μmとする。
【0035】
バックアップシート表面にも同様の粘着剤を使用したものが好適に使用される。樹脂組成物層を接着する金属箔は特に限定はないが、具体的にはアルミニウム、銅、スズ、鉄、ニッケル等、これらの合金等が挙げられるが、価格、作業性等の点から、アルミニウムが好適に使用される。この金属箔の厚さは特に限定はないが、作業性、価格等の点から厚さは20〜300μm、好適には30〜200μm、更に好適には50〜100μmの厚さのものを使用する。この金属箔の上に樹脂層を形成する方法は公知の方法が使用し得る。例えば、直接ロールコーターで金属箔上に塗布する方法、離型フィルムに樹脂層を形成し、これを連続的に金属箔にラミネートして貼り付ける方法等が挙げられる。金属箔表面は事前に物理的或いは薬液で処理を施して凹凸をつけていても良く、またプライマーで前処理していても良い。
【0036】
銅張板の銅箔厚さが一般に7μm以上であると炭酸ガスレーザーを照射して孔を形成した場合、表裏の孔周辺はバリが発生する。そのため、炭酸ガスレーザー照射後、銅箔の両表面を厚さ方向に平面的にエッチングし、同時にバリもエッチング除去し、且つ、薄くなった銅箔は細密回路形成に適しており、高密度のプリント配線板に適したものが得られる。
【0037】
本発明の孔部に発生した銅のバリをエッチング除去する方法としては、特に限定しないが、例えば、特開平02−22887、同02−22896、同02−25089、同02−25090、同02−59337、同02−60189、同02−166789、同03−25995、同03−60183、同03−94491、同04−199592、同04−263488で開示された、薬品で金属表面を溶解除去する方法(SUEP法と呼ぶ)による。エッチング速度は、0.02〜1.0μm/秒 で行う。銅箔のバリを機械研磨で削ることは可能であるが、銅張板が薄い場合、寸法変化が大きくなる等の問題点が生じ、又、バリも完全に取れない。
【0038】
炭酸ガスレーザーは、赤外線波長域にある9.3〜10.6μmの波長が一般に使用される。また、本発明の孔あけ補助シートは加工した残さの銅箔への付着防止上からも、UV−YAGレーザー、エキシマレーザー孔あけ時にも使用可能である。
【0039】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
(実施例1)
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン900部、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン100部を150℃に溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)400部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN−220F、住友化学工業<株>製)600部、黒色顔料8部を加え、均一に溶解混合した。更に触媒としてオクチル酸亜鉛0.4部を加え、溶解混合し、これに無機充填剤(商品名:焼成タルク、日本タルク<株>製)500部を加え、均一撹拌混合してワニスAを得た。このワニスAを厚さ100μmのガラス織布に含浸し150℃で乾燥して、ゲル化時間(at170℃)120秒、樹脂組成物含有量が49重量%のプリプレグ(プリプレグB)を作成した。厚さ12μmの電解銅箔を、上記プリプレグB1枚の上下に配置し、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、絶縁層厚み100μmの両面銅張積層板Cを得た。
【0040】
一方、水溶性ポリエステル樹脂水溶液に酸化銅粉(平均粒子径0.8μm)を配合して良く攪拌混合してワニスDとした後、これを厚さ50μmのPETフィルムの片面に厚さ40μmとなるように塗布、乾燥して、酸化銅粉30vol%の膜を形成した後、この上にウレタン粘着剤を厚さ5μmとなるように塗布、形成し孔あけ用補助シートEを作製した。また、厚さ100μmの金属光沢を有するアルミニウム箔の上に、水溶性ポリエステル樹脂及び粘着剤としてエマルジョン型アクリル粘着剤を10重量%となるように配合し、水に溶解したものを、厚さ50μmとなるように塗布し、加熱乾燥して水を飛ばし、バックアップシートFを作製した。
【0041】
上記両面銅張積層板Cの表面に孔あけ用補助シートE、裏面にバックアップシートFを配置し、室温で線圧6kgf/cmにて銅張板にラミネート接着し、この上から、孔径100μmの孔を直接炭酸ガスレーザーで、出力20mJで3ショット照射し貫通孔をあけた。SUEP法にて、孔周辺の銅箔バリを溶解除去すると同時に、表面の銅箔も4μmになるまで溶解した。この板に公知の方法にて銅メッキを15μm(総厚み:19μm)施した。この表面に、定法にて回路(ライン/スペース=40/40μmを200個)を、裏面にハンダボール用ランド等を形成し、プリント配線板を作製した。このプリント配線板の評価結果を表1に示す。
【0042】
(実施例2)
エポキシ樹脂(商品名:エピコート5045、ジャパンエポキシレジン<株>製)700部、及びエポキシ樹脂(商品名:ESCN220F)300部、ジシアンジアミド35部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解し、さらに実施例1の焼成タルクを800部加え、強制撹拌して均一分散し、ワニスGを得た。これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間150秒、樹脂組成物含有量47重量%のプリプレグ(プリプレグH)を作製した。このプリプレグHを2枚使用し、両面に18μmの電解銅箔を置き、190℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形して両面銅張積層板を作製した。絶縁層の厚みは200μmであった。この表裏に回路を形成して、黒色酸化銅処理を施し、内層板を作製した。又、厚さ80μmのガラス織布に上記ワニスGを含浸、乾燥してゲル化時間105秒、樹脂組成物含有量60重量%のプリプレグIを得た。このプリプレグIを上記内層板Hの上下に配置し、その外側に7μmの電解銅箔を置き、同様に積層成形して4層板Jを得た。
【0043】
一方、厚さ38μmのポリプロピレンフィルムの片面に上記ワニスGを塗布、乾燥して厚さ40μmの樹脂層を形成後、この上にポリビニルアルコール90部と澱粉10部及び粘着剤としてエマルジョン型酢酸ビニル粘着剤を15重量%となるように添加しワニスKとしたものを塗布、乾燥して厚さ20μm形成して孔あけ用補助材料Lを作製した。
【0044】
上記4層板Jの表層に孔あけ用補助材料Lを配置し、室温で線圧7kgf/cmで接着させ、裏面には厚さ1mmのガラスエポキシ積層板を置き、この上から、炭酸ガスレーザーの出力25mJ にて2ショット直接照射し、孔径90μmのブラインドビア孔をあけた。後は実施例1と同様にして加工し、プリント配線板を作製した。評価結果を表1に示す。
【0045】
(実施例3)
実施例1において、厚さ50μmのPETフィルムの片面に粘着剤として上記エマルジョン型アクリル粘着剤溶液中に硫酸バリウム(平均粒子径0.9μm)を20vol%となるように配合し、良く攪拌混合した後、これを厚さ40μmとなるように塗布し、孔あけ用補助シートMとした。銅張積層板Cの表面に孔あけ用補助シートMを配置し、室温で5kgf/cmの線圧でラミネート接着した。この裏側に厚さ1mmのガラスエポキシ積層板を置き、表面に直接炭酸ガスレーザーエネルギーを20mJで1ショット、更に5mJで1ショット照射してブラインドビア孔をあけた。この表面の銅箔を厚さ4μmまでSUEP法でエッチングし、定法で回路を形成し、プリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
【0046】
(実施例4)
実施例1において、ワニスDをPETフィルムの両面に厚さ50μmとなるように塗布、乾燥し、更にこの両表層にウレタン粘着剤を2μm塗布して孔あけ用補助材料Nを作製した。まず実施例1の孔あけ用補助材料Eを一番上の最外層に配置し、両面銅張積層板C、孔あけ用補助材料N、両面銅張積層板Cと順次に両面銅張積層板Cが5枚となるように配置し、最後にバックアップシートFを配置し、室温で線圧10kgf/cmにて全体を一体化し、この表層から炭酸ガスレーザーエネルギー25mJにて11ショット照射して貫通孔をあけた。後は実施例1と同様にSUEP処理を施し、公知の方法にて銅メッキを15μm(総厚み:19μm)施した。この表面に、定法にて回路(ライン/スペース=40/40μmを200個)を、裏面にハンダーボール用ランド等を形成し、プリント配線板を作製した。このプリント配線板の評価結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
実施例3の孔あけ用補助シートとして粘着剤を入れないでワニスOを調整し、これをPETフィルムに同様に塗工して同じ厚みで孔あけ用補助シートPを作製した。これを両面銅張積層板Cの表面に配置し、100℃にて線圧4kgf/cmでラミネート接着し、後は同様にしてブラインドビア孔を形成し、SUEP処理を行わずにデスミア処理、銅メッキを15μm付着し、同様に加工し、同様にプリント配線板した。評価結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
実施例2において粘着剤を使用せずにワニスQを調整し、これを用いて同様に孔あけ用補助シートRを作製し、表面に100℃で線圧6kgf/cmにてラミネート接着し、SUEP処理を行わずにデスミア処理、銅メッキを15μm付着し、同様に加工し、同様にプリント配線板した。評価結果を表1に示す。
【0049】
(比較例3)
実施例1において、表裏に黒色酸化銅処理を施し、これを厚さ1.6mmのステンレス板の上に置き、同様に炭酸ガスレーザーで貫通孔をあけた。これは裏面のステンレス板に反射し、裏面の孔形状は不定形が多く発生した。これを用い、SUEP処理を行わずにデスミア処理、銅メッキを15μm付着し、同様に加工し、同様にプリント配線板した。評価結果を表1に示す。
【0050】
(比較例4)
実施例2の4層板の銅箔表面に間隔500μmにて、孔径100μmの孔を銅箔をエッチングしてあけた。同様に裏面にも同じ位置に孔径100μmの孔をあけ、表面から炭酸ガスレーザーで、出力20mJにて8ショットかけ、スルーホール用貫通孔をあけた。後は比較例3と同様にして、SUEP処理を行わずにデスミア処理を施し、銅メッキを15μm施し、表裏に回路を形成し、同様にプリント配線板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0051】
(比較例5)
実施例1の両面銅張積層板Cを1枚用い、この表面に厚さ150μmのアルミニウム箔、裏面に厚さ1.6mmの紙フェノール積層板を配置し、径100μmのメカニカルドリルにて、回転数15万rpmで500μm間隔で孔をあけた。SUEPを行わずに同様に銅メッキを15μm施し、表裏に回路形成し、同様に加工してプリント配線板を作製した。途中でドリルの折れが1本発生した。評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
<測定方法>
1)銅張板に孔あけ用補助シートをラミネート接着した場合の反り : 定盤にて反りを観察した。
2) 銅張板から孔あけ用補助シートを剥離する際の折れ : 各実施例、比較例で孔あけ後に孔あけ用補助シートを剥離した場合の銅張板の折れを見た。
3)孔形状 : 孔あけした銅張板の銅箔をエッチングして、貫通孔上下、及び断面の観察を顕微鏡で行なった。
4)回路パターン切れ、及びショート : 実施例、比較例で、孔のあいていない板を同様に作製し、ライン/スペース=40/40μm の櫛形パターンを作成した後、拡大鏡でエッチング後の200パターンを目視にて観察し、パターン切れ、及びショートしているパターンの合計を分子に示した。
5)ガラス転移温度 : JIS C6481のDMA法にて測定した。
6)ブラインドビア孔、スルーホールのヒートサイクル試験 : 孔間隔1mmで作製した孔径100μmの各孔にランド径200μmを作製し、900孔を表裏交互につなぎ、1サイクルが、260℃・ハンダ・浸せき30秒→室温・5分 を1サイクルとして、200サイクル実施し、抵抗値の変化率の最大値を示した。
7)孔あけ加工時間 : 500μm間隔で100,000孔を加工する時間を測定し、1枚当たりの加工時間で表わした。時間は4捨5入し分単位で表示した。
【0054】
【発明の効果】
銅箔を炭酸ガスレーザーで除去できるに十分なエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、銅張板に炭酸ガスレーザーを照射し、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張板の銅箔を加工しブラインドビア孔及び/又は貫通孔をあける孔あけにおいて、孔あけ用補助シートとして、有機シートに、炭酸ガスレーザー孔あけ促進成分を配合した粘着剤単独を塗布するか、或いは炭酸ガスレーザー孔あけ促進成分を配合した樹脂をまず塗布して、更にその上に粘着剤単独又は粘着剤を添加した樹脂層を好適には20〜100μm付着させたものを配置し、室温で銅張板に加圧接着することにより銅張板の反りが無く、この表面から炭酸ガスレーザーで孔あけを行うことにより、形状が良好で信頼線に優れた孔が形成でき、更に薄板から補助シートを剥離する時も折れが発生せずに容易に剥離ができ、作業性、量産性等に優れていることが明らかである。また、銅張板のもとの銅箔の厚さ方向の一部をエッチング除去することにより、同時に孔部に発生した金属のバリをエッチング除去することにより、その後の銅メッキでメッキアップして得られた表裏銅箔の回路形成においても、ショートやパターン切れ等の不良発生もなく信頼性等に優れた高密度のプリント配線板を作製できた。また、加工速度はメカニカルドリルであけるのに比べて格段に速く、生産性についても大幅に改善できるものである。
Claims (2)
- 銅箔を炭酸ガスレーザーで除去できるに十分なエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、炭酸ガスレーザーを照射し、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張板の銅箔を加工して貫通孔をあける孔あけにおいて、銅張板の、炭酸ガスレーザーが照射される面の銅箔面に接着配置する炭酸ガスレーザーによる孔あけ用補助シートにおいて、その構成が有機シートに炭酸ガスレーザー孔あけ用樹脂組成物層を付着した構造であって、少なくとも銅張板に接着する層は粘着剤単体層或いは樹脂中に粘着剤が配合された層であり、室温で銅張板に圧着できることを特徴とする炭酸ガスレーザー孔あけ用補助シート。
- 該炭酸ガスレーザー孔あけ用補助シートの有機シート面に形成される樹脂組成物が、粘着剤単独或いは樹脂に融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol 以上の金属化合物粉、カーボン粉、金属粉の1種或いは2種以上を3〜97vol%を配合した樹脂組成物である請求項1記載の炭酸ガスレーザーによる孔あけ用補助シート。
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