JP2004228204A - レーザー貫通孔あけ用バックアップシート - Google Patents

レーザー貫通孔あけ用バックアップシート Download PDF

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Nobuyuki Ikeguchi
信之 池口
Hiroki Aoto
弘紀 青砥
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

【課題】特に厚さの薄い銅張板に炭酸ガスレーザーを照射して小径のスルーホール用貫通孔をあけるための、室温で銅張板裏面にラミネート接着できるバックアップシートを得る。
【解決手段】樹脂組成物に粘着剤を添加したものを金属箔表面に接着してバックアップシートとし、これを銅張板の裏面に配置して室温でラミネート接着し、炭酸ガスレーザーを銅張板表面に照射して貫通孔をあける。
【効果】室温でラミネートすることにより、ラミネート時の反りも無く、孔形状の良好な小径の貫通孔を炭酸ガスレーザーで高速にあけることができ、バックアップシート剥離時も薄厚の銅張板の折れも発生しないで容易に剥離でき、作業性、量産性に優れていることが明白である。

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プリント配線板を製造する銅張板に炭酸ガスレーザーにて貫通孔あけするために銅張板の裏面に室温で張り合わせる特殊バックアップシートに関するものであり、主として貫通孔は小型プリント配線板のスルーホールとして使用され、得られた小径スルーホールを有するプリント配線板は半導体プラスチックパッケージ、マザーボード等として使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体プラスチックパッケージ等に用いられる高密度のプリント配線板は、スルーホール用の貫通孔をドリルであけていた。近年、ますますドリルの径は小径となり、孔径は0.15mm以下となってきており、このような小径の孔をあける場合、ドリル径が細いため、孔あけ時にドリルが曲がる、折れが多い、加工速度が遅い等の欠点があり、作業性、生産性、信頼性等に問題のあるものであった。また、高密度のプリント配線板の回路の幅とスペースとはますます狭くなり、ライン/スペースが50μm/50μm以下となるものも作製されており、この場合もパターン切れ、或いはショート不良が多く、歩留りの悪いものであった。
【0003】
更に、上下の銅箔にあらかじめネガフィルムを使用して所定の方法で同じ大きさの孔をあけておき、炭酸ガスレーザーで上下を導通するスルーホールを形成しようとすると、上下の孔の位置にズレを生じ、ランドが形成しにくい、製造工程が増える等の欠点があった。加えて、炭酸ガスレーザーを照射して裏側の銅箔を貫通するためには高出力のエネルギーを必要とするために、裏側に厚い金属板を置き、レーザーを金属板にあてて止めるようにしている。この場合でも、金属板表面でレーザー光が反射して銅張板の裏側にあたり、形状が円形とならず、不良の原因となっていた。
【0004】
炭酸ガスレーザーでの貫通孔あけは、銅張板の銅箔表面に黒色酸化銅処理を施し、この裏面に、金属箔表面にホットメルトタイプの樹脂層を付着したバックアップシートを配置し、熱ロールにてラミネートさせて使用する方法があるが(例えば、特許文献1、2参照。)、この場合、樹脂層が表面酸化膜と密着性が強く、貫通孔あけ後に剥離しようとすると、薄い銅張板は折れが生じる等の問題点が生じ、また樹脂層が銅張板に剥離接着して残る等の問題点が発生していた。そして銅張板裏面に加熱してバックアップシートをラミネート接着すると反りが生じ、その後の孔あけで銅張板を炭酸ガスレーザーのXYテーブルにテープ等で止める必要があるために作業性が悪く、反面テープで止めない場合はXYテーブルから浮いた部分の孔形状が変形し、その後の不良が増え、信頼性が悪くなる等の問題が生じていた。
【0005】
【特許文献1】特開平11−346044号公報
【特許文献2】特開平11−347767号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、主として小径で形状の良好なスルーホール用貫通孔を、炭酸ガスレーザーを銅張板に照射して形成するため、金属箔に室温にて粘着効果のある粘着剤入り樹脂層を形成して作製し、これを室温で銅張板に張り合わせることにより銅張板の反りが発生せず、剥離時にも簡単に剥離できるバックアップシートを提供するものである。
【0007】
【発明が解決するための手段】
本発明は、銅箔を除去できるに十分な炭酸ガスレーザーエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、直接炭酸ガスレーザーを銅張板表面に照射し、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張積層板、耐熱性フィルム銅張板等、その他の一般に公知の両面銅張板、多層板の銅箔を加工して貫通孔をあける孔あけにおいて、炭酸ガスレーザーが照射される銅張板の銅箔表面に、薬液処理又は酸化金属処理を施すか、レーザー孔あけ補助材料を配置するか、或いはレーザー孔あけ用処理を施した金属箔を表面に張った銅張板を使用する等、更には5μm以下の厚さの銅箔を張った公知の炭酸ガスレーザー孔あけ用銅張板の表面に直接炭酸ガスレーザーを照射してスルーホール用貫通孔を形成する際に、炭酸ガスレーザーを照射する面とは反対側の面に、粘着剤入り樹脂層、好ましくは水溶性樹脂層が付着した金属箔をバックアップシートとして配置し、室温で銅張板にラミネート接着してから炭酸ガスレーザーで貫通孔あけすることにより、張り合わせした銅張板は反りがなく、炭酸ガスレーザーを照射した場合でも裏面の孔径が変形せず、更に貫通孔形成後にバックアップシートを剥離するのも簡単にでき、剥離時の薄い銅張板の折れ、銅張板への樹脂付着がなく、作業性、量産性等に優れていることが確認できた。
【0008】
銅箔厚さが厚い場合には、孔あけされた銅張板は、孔部に銅箔のバリが発生するため、機械的研磨や薬液による内外層銅箔バリの除去を行う。機械的研磨は、板の寸法変化率が大きくなる等の問題が生じることがあるため、好適には薬液での後処理を行い、もとの銅箔の厚さ方向の一部をエッチング除去することにより、同時に孔部に張り出した銅箔バリをエッチング除去してスルーホール用貫通孔を形成することによって、貫通孔の金属メッキのバリによるメッキ異常等がなく、且つ、銅箔厚さが薄くなるために、その後の金属メッキでメッキアップして得られた表裏銅箔の細密回路形成において、ショートやパターン切れ等の不良の発生もなく、高密度のプリント配線板を作製することができた。また、銅箔が例えば5μm以下と薄い場合には、そのまま炭酸ガスレーザーを直接照射しても孔は形成でき、孔部への銅箔バリは殆ど無いためにバリ取りの上記薬液処理を行うことは必須ではない。炭酸ガスレーザーでの加工速度はドリルであける場合に比べて格段に速く、生産性も良好で、経済性にも優れているものが得られた。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、炭酸ガスレーザーを用いて銅張板にスルーホール用貫通孔、特に小径の孔をあけるために用いるバックアップシートに関するものであり、特殊なバックアップシートを使用して孔あけされたプリント配線板は、半導体チップの搭載用、マザーボード用等として使用される。銅張板の炭酸ガスレーザーによる孔あけにおいて、銅箔が7μm以上と厚い場合にはレーザーを照射する銅箔面に、一般に公知の炭酸ガスレーザー孔あけ用薬液処理、酸化金属処理を施すか、融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol 以上の金属化合物粉、カーボン粉、金属粉の1種或いは2種以上を3〜97vol%含む有機物塗膜、又はシートを配置するか、また金属箔のシャイニー面に公知の孔あけ用金属処理を施した銅張板、銅箔厚さが5μm以下の厚さの銅箔を張った公知の炭酸ガスレーザー孔あけ用銅張板の上から炭酸ガスレーザーを直接銅箔表面に照射し、貫通孔を形成する方法、或いは、まず表面の銅箔を所定の大きさにエッチング除去し、次いで低出力で樹脂等の絶縁層を加工除去し、最後に出力を上げて裏面の銅箔を加工除去して貫通孔を形成する方法において、炭酸ガスレーザーを照射する面とは反対側の銅箔面に、好適には厚さ20〜100μmの粘着剤を配合した樹脂組成物層、好ましくは水溶性の樹脂を使用した樹脂組成物層を配置し、その樹脂組成物層に接するように金属箔、好適には表面光沢のある金属箔を接着したものを配置し、樹脂組成物面が銅箔側になるように配置して、室温で銅張板にラミネート接着してから炭酸ガスレーザーを表面に照射して貫通孔を形成する。
【0010】
本発明で使用する銅張板は、2層以上の銅の層を有する銅張板であり、熱可塑性樹脂銅張板、熱硬化性樹脂銅張板等、一般に公知の銅張板が使用可能である。熱硬化性樹脂銅張板としては、無機、有機基材の熱硬化性樹脂銅張積層板、その銅張積層板を内層に使用し、その外側に樹脂付き銅箔、或いは無機、有機基材補強熱硬化性樹脂プリプレグを配置し、更にその外側に、必要により銅箔を置いて、積層成形して得られる多層板等、一般に公知の構成の銅張板を含むものである。また、ポリイミドフィルム、液晶ポリエステルフィルム、ポリパラバン酸フィルム、全芳香族ポリアミドフィルム等の耐熱性フィルムに銅箔を接着させた銅張板、多層板等、一般に公知のものも使用できる。これらを組み合わせたリジットフレキ銅張板も使用できる。
【0011】
基材としては、一般に公知の無機、有機の繊維の織布、不織布が使用できる。具体的には、無機繊維としては、E、A、C、L、M、S、D、N、C、NE、クオーツ、高誘電率セラミック等の繊維が挙げられ、単独或いは、混抄で用いられる。有機繊維としては、全芳香族ポリアミド繊維、液晶ポリエステル繊維等が挙げられる。もちろん、無機、有機繊維の混抄基材も使用できる。
【0012】
本発明で使用される熱硬化性樹脂組成物の樹脂としては、一般に公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、 多官能性マレイミドーシアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、1種或いは2種類以上が組み合わせて使用される。炭酸ガスレーザーでの孔形状の点からは、耐熱性の高い、ガラス転移温度150℃以上の樹脂組成物が好ましい。更に無機充填剤を添加するのが好ましい。耐熱性、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂組成物が好適である。
【0013】
本発明の好適な熱硬化性樹脂分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3−又は1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−、1,4−、1,6−、1,8−、2,6−又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4−ジシアナトビフェニル、ビス(4−ジシアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモー4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0014】
これらのほかに特公昭41−1928、同43−18468、同44−4791、同45−11712、同46−41112、同47−26853及び特開昭51−63149等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類、シアナト化ポリフェニレンエーテル樹脂等も用いられ得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0015】
エポキシ樹脂としては特に限定はなく、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;ナフラレン環含有エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物、エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂類等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。
【0016】
ポリイミド樹脂としては、一般に公知のものが使用され得る。具体的には、多官能性マレイミド類とポリアミン類との反応物、特公昭57−005406 に記載の末端三重結合のポリイミド類が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独でも使用されるが、特性のバランスを考え、適宜組み合わせて使用するのが良い。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelasticなゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン−イソプレンゴム、ポリエチレン−プロピレン共重合体、4−フッ化エチレン−6−フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の有機、無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物はその硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0018】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0019】
炭酸ガスレーザーの照射で、孔形状を良好にするには、種々の添加剤を入れるのが好ましい。特に好ましくは無機充填剤を配合するが、この無機充填剤としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、天然シリカ、焼成シリカ、球状シリカ、アモルファスシリカ等のシリカ類;ホワイトカーボン、チタンホワイト、アエロジル、クレー、タルク、ウォラストナイト、天然マイカ、合成マイカ、カオリン、マグネシア、アルミナ、パーライト等が挙げられる。添加量は特に制限はないが、一般には10〜80重量%、好適には15〜60重量%である。形状は、球状、不定形、針状等、公知のものが使用できる。
【0020】
また、炭酸ガスレーザーの照射で、光が分散しないように樹脂に黒色の染料、或いは顔料を添加することが好ましい。染料、顔料の種類は、一般に公知のものが使用され得る。添加量は、0.1〜10重量%が好適である。さらには、繊維の表面を黒色に染める方法、有機繊維の中に黒色の願料等を配合する方法等も使用し得る。
【0021】
銅張板の最外層の金属箔は、一般に公知のものが使用できる。好適には厚さ3〜12μmの銅箔、銅合金箔等が使用される。
【0022】
基材補強銅張積層板は、まず上記基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸、乾燥させてBステージとし、プリプレグを作製する。次に、このプリプレグを所定枚数用い、上下に銅箔を配置して、加熱、加圧下に積層成形し、両面銅張積層板とする。
【0023】
基材補強のないポリイミドフィルム等の銅張板は、ポリイミドフィルム基材等に接着剤を使用して銅箔を接着するか、或いは直接銅層を付着させる一般に公知の方法で作製される。
【0024】
熱可塑性樹脂は、一般に公知のものが使用される。具体的には、ポリカーボネート板、ポリフェニレンエーテル板等があるが、プリント配線板とする場合、炭酸ガスレーザーの熱加工の点からは熱硬化性樹脂の方が好ましい。
【0025】
銅張板の、炭酸ガスレーザーを照射する面の孔形成位置の銅箔表面に、一般に公知の薬液処理又は酸化金属処理を施すか、融点900℃以上で、且つ結合エネルギーが300kJ/mol 以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉の1種或いは2種以上を組み合わせたものを3〜97vol%含む塗膜、又はシートとしたものを配置し、この上から直接目的とする径まで絞った炭酸ガスーレーザーを照射することにより貫通孔あけを行なう。
【0026】
本発明で使用する、銅箔表面に使用する孔あけ補助材料の中の1つである、融点900℃以上で、且つ、結合エネルギーが300kJ/mol 以上の金属化合物粉とは、一般に公知のものが使用できる。例えば、酸化物としてのチタニア類;マグネシア類;鉄酸化物;亜鉛酸化物;コバルト酸化物;スズ酸化物類等が挙げられ、非酸化物としては、炭化ケイ素、炭化タングステン、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化チタン、硫酸バリウム等が挙げられる。その他、カーボンも使用できる。更には、一般に公知の金属粉が使用される。しかしながら、水、溶剤に溶解した場合、発熱、発火するようなものは使用しない。これらは、一般には平均粒子径5μm以下、好ましくは1μm以下である。
【0027】
更には、銅箔表面を処理する酸化金属処理としては、黒色酸化銅処理、褐色酸化銅処理等、一般に公知の処理が用いられる。銅箔表面をニッケル、コバルト等の金属処理、或いはそれらの合金処理を施したものも使用できる。
【0028】
孔あけ処理は必ずしもこれらに限定されるものではなく、公知の処理が使用できる。
【0029】
補助材料の有機物としては、特に制限はないが、ワニスとし、離型フィルム表面に塗布、乾燥した場合、剥離、欠落しないものを選択する。好ましくは、樹脂が使用される。特に、環境、或いは加工後の銅箔表面の洗浄除去の点からも、水溶性の樹脂、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、澱粉等の、一般に公知の樹脂が使用される。更に、必要により、前述の各種樹脂、添加剤等が適宜選択して添加し、使用され得る。
【0030】
上記粉体と有機物からなる組成物を作製する方法は、特に限定しないが、例えばニーダー等で無溶剤にて高温で練り、シート状に押し出す方法、溶剤或いは水に溶解する樹脂組成物を用い、これに粉体を加え、均一に攪拌混合し、塗料として銅箔表面に塗布、乾燥して皮膜とする方法、スプレーで銅箔面に直接吹きかける方法、フィルムに塗布、乾燥してシート状にする方法、有機、無機基材に含浸、乾燥して基材入りシートとする方法等、一般に公知の方法が使用し得る。樹脂層の厚さは、好適には20〜100μmとなるようにする。塗布するフィルムは、特に限定しないが、例えばポリエチレンテレフタレート等のフィルムが好適に使用され得る。フィルムの厚さは、好適には 25〜200μmである。
【0031】
炭酸ガスレーザーを照射する銅張板の銅箔面とは、反対側の面には、貫通した炭酸ガスレーザーを吸収するバックアップシートが必要であり、これは銅張板を貫通した炭酸ガスレーザーが跳ね返って孔あけした銅張板に当たらないで、且つ突き抜けないで止まる素材であることが要求される。そのために本発明では、銅張板の、炭酸ガスレーザーを照射する面とは反対面の銅箔面に、好適には厚さ20〜100μmの粘着剤を配合した樹脂層、好ましくは水溶性樹脂層を、好適には厚さ50〜200μmの光沢のある金属箔に少なくとも部分的に付着したバックアップシートを配置して室温でラミネートして付着させた後、炭酸ガスレーザーの出力2〜60mJ、好適には4〜40mJから選ばれたエネルギーを、銅張板の表面に照射して貫通孔をあけることにより、銅張板を貫通した炭酸ガスレーザーエネルギーがバックアップシートの樹脂層に吸収され、残りのエネルギーは、その下の光沢金属箔の表面でエネルギーの一部を反射して、金属に孔をあけることもなく、且つ跳ね返ったエネルギーもバックアップシートの樹脂層で吸収されて止まるため、銅張板の裏面の銅箔をキズ付けずに貫通孔をあけることができる。バックアップシートは、加熱下に銅張板にラミネートできるが、銅張板が薄い場合は張り付けた後に銅張板の反りが発生するために、室温での張り付けが好適である。
【0032】
バックアップシートに使用する樹脂組成物は特に限定はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、その混合物等、一般に公知のものが使用できる。環境、リサイクル等の面からは熱可塑性樹脂が好ましく、また水溶性樹脂が好ましい。これらの樹脂は特に限定はなく、上記の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性樹脂等が使用できる。もちろん、上記の各種添加剤、無機充填剤等も適宜配合され得る。
【0033】
本発明のバックアップシートの樹脂層内には粘着剤を配合する。この粘着剤は、特に限定はなく、一般に公知のものが使用できる。具体的には、ゴム、架橋型アクリル、非架橋型アクリル、水溶性アクリル、ウレタン、酢酸ビニル、セルロース等が挙げられるが、好適には水溶性のものが使用される。配合量は特に限定はないが、貫通孔あけ後に手で剥離できる接着性のある程度とする。粘着剤は一般には樹脂組成物内の1〜90重量%、好適には5〜50重量%である。混練方法は上記の補助材料を混練する方法、装置が使用できる。 金属箔に付着させる粘着剤入り樹脂の厚みは特に限定はないが、好適には20〜100μmとする。
【0034】
この樹脂層は金属箔に少なくとも一部を接着させた形態で使用する。接着する金属箔は特に限定はないが、具体的にはアルミニウム、銅、スズ、鉄、ニッケル等、これらの合金等が挙げられるが、価格、作業性等の点から、アルミニウムが好適に使用される。この金属箔の厚さは特に限定はないが、作業性、価格等の点から厚さは20〜300μm、好適には30〜200μm、更に好適には50〜100μmの厚さのものを使用する。この金属箔の上に樹脂層を形成する方法は公知の方法が使用し得る。例えば、直接ロールコーターで金属箔上に塗布する方法、離型フィルムに樹脂層を形成し、これを連続的に金属箔にラミネートして貼り付ける方法等が挙げられる。金属箔表面は事前に物理的或いは薬液で処理を施して凹凸をつけていても良く、またプライマーで前処理していても良い。
【0035】
バックアップシートに使用する樹脂層の厚み、金属板の厚みは上記厚みに限定されるものではない。また、表側の炭酸ガスレーザーを照射する面の銅箔を、所定の大きさで予めエッチング除去しておき、まず、炭酸ガスレーザーの出力2〜19mJにて、樹脂等の絶縁層を加工除去し、次いでエネルギーを20〜60mJ/パルスに上げて貫通孔をあける場合にも、バックアップシートとして使用できる。更には、YAGレーザー等でも使用可能である。
【0036】
銅張板の銅箔厚さが7μm以上であると炭酸ガスレーザーを照射して貫通孔を形成した場合、表裏の孔周辺はバリが発生する。そのため、炭酸ガスレーザー照射後、銅箔の両表面を平面的にエッチングし、もとの金属箔の一部の厚さをエッチング除去することにより、同時にバリもエッチング除去し、且つ、薄くなった銅箔は細密回路形成に適しており、高密度のプリント配線板に適したものが得られる。
【0037】
本発明の孔部に発生した銅のバリをエッチング除去する方法としては、特に限定しないが、例えば、特開平02−22887、同02−22896、同02−25089、同02−25090、同02−59337、同02−60189、同02−166789、同03−25995、同03−60183、同03−94491、同04−199592、同04−263488で開示された、薬品で金属表面を溶解除去する方法(SUEP法と呼ぶ)による。エッチング速度は、0.02〜1.0μm/秒 で行う。銅箔のバリを機械研磨で削ることは可能であるが、銅張板が薄い場合、寸法変化が大きくなる等の問題点が生じ、又、バリも完全に取れない。
【0038】
炭酸ガスレーザーは、赤外線波長域にある9.3〜10.6μmの波長が一般に使用される。貫通させる場合、銅箔の厚さで適宜選択する。また、UV−YAGレーザー、エキシマレーザーでも孔あけ可能であり、本発明のバックアップシートは有効に使用できる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
(実施例1)
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン900部、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン100部を150℃に溶融させ、撹拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、ジャパンエポキシレジン<株>製)400部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN−220F、住友化学工業<株>製)600部、黒色顔料8部を加え、均一に溶解混合した。更に触媒としてオクチル酸亜鉛0.4部を加え、溶解混合し、これに無機充填剤(商品名:焼成タルク、日本タルク<株>製)500部を加え、均一撹拌混合してワニスAを得た。このワニスを厚さ100μmのガラス織布に含浸し150℃で乾燥して、ゲル化時間(at170℃)120秒、樹脂組成物含有量が49重量%のプリプレグ(プリプレグB)を作成した。厚さ12μmの電解銅箔を、上記プリプレグB 1枚の上下に配置し、200℃、20kgf/cm、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、絶縁層厚み100μmの両面銅張積層板を得た。この表面に酸化銅粉(平均粒子径0.8μm)をポリビニルアルコール水溶液に添加した塗料を厚さ60μmとなるように塗布、乾燥して、酸化銅粉30vol%の膜を形製した両面銅張積層板Cを得た。一方、厚さ150μmの金属光沢を有するアルミニウム箔の上に、水溶性ポリエステル樹脂及び粘着剤としてエマルジョン型アクリル粘着剤を10重量%となるように配合し、水に溶解したものを、厚さ60μmとなるように塗布し、110℃で30分間乾燥してバックアップシートを作製し、これを上記表層樹脂付き両面銅張積層板Cの下に置き、室温で線圧6kgf/cmで銅張板にラミネート接着し、この上から、間隔500μmで、孔径100μmの孔を900個直接炭酸ガスレーザーで、出力25mJで3ショツト照射し、70ブロックの貫通孔をあけた。SUEP法にて、孔周辺の銅箔バリを溶解除去すると同時に、表面の銅箔も4μmになるまで溶解した。この板に公知の方法にて銅メッキを15μm(総厚み:19μm)施した。この表面に、定法にて回路(ライン/スペース=40/40μmを200個)を、裏面にハンダボール用ランド等を形成し、プリント配線板を作製した。このプリント配線板の評価結果を表1に示す。
【0040】
(実施例2)
エポキシ樹脂(商品名:エピコート5045、ジャパンエポキシレジン<株>製)700部、及びエポキシ樹脂(商品名:ESCN220F)300部、ジシアンジアミド35部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解し、さらに実施例1の焼成タルクを800部加え、強制撹拌して均一分散した。これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間150秒、樹脂組成物含有量47重量%のプリプレグ(プリプレグD)を作製した。このプリプレグDを2枚使用し、両面に18μmの電解銅箔を置き、190℃、20kgf/cm、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形して両面銅張積層板を作製した。絶縁層の厚みは200μmであった。この表裏に回路を形成して、黒色酸化銅処理を施し、内層板を作製した。又、厚さ80μmの液晶ポリエステル繊維不織布に上記ワニスを含浸、乾燥してゲル化時間105秒、樹脂組成物含有量60重量%のプリプレグを得た。このプリプレグを上記内層板の上下に配置し、その外側に12μmの電解銅箔を置き、同様に積層成形して4層板を得た。一方、厚さ100μmのアルミニウム箔の上に上記ポリビニルアルコール60部と澱粉40部及び粘着剤としてエマルジョン型酢酸ビニル粘着剤を15重量%となるように添加し、良く攪拌混合したワニスを厚さ50μmとなるように塗布し、110℃で30分乾燥して水を飛ばし、バックアップシートを作製した。上記4層板の表層に黒色酸化銅処理を施した後、この下側に上記バックアップシートの樹脂側を向けて配置し、室温で線圧6kgf/cmで接着させ、この上から、炭酸ガスレーザーの出力25mJ にて7ショット照射し、孔径90μmの貫通孔をあけた。後は実施例1と同様にして加工し、プリント配線板を作製した。評価結果を表1に示す。
【0041】
(比較例1)
実施例1の両面銅張積層板を用い、バックアップシートとして1.6mmの表面光沢のあるステンレス板を用い、炭酸ガスレーザーで同様に孔あけを行なったが、突き抜けた光線が反射して貫通孔の中が削られていた。また裏面の孔周辺の銅箔が反射のために削られて形状が円形とならず、変形していた。また、銅箔表面に削られたステンレス粉が付着していた。これを用いてSUEP処理を行わずにデスミア処理、銅メッキを15μm付着し、同様に加工し、プリント配線板を作製した。評価結果を表1に示す。
【0042】
(比較例2)
実施例1の両面銅張積層板を用い、径100μmのメカニカルドリルにて、回転数15万rpm、送り速度25μ/rev.にて同様に300μ間隔で孔をあけた。SUEPを行わずに同様に銅メッキを15μm施し、表裏に回路形成し、同様に加工してプリント配線板を作製した。途中でドリルの折れが1本発生した。評価結果を表1に示す。
【0043】
(比較例3)
実施例2のバックアップシートにおいて、粘着剤を用いないで同様にバックアップシートを作製し、これを用いて4層板の裏面銅箔に温度100℃、5kgf/cmでラミネートして貼り付けた。これは反りが発生した。これを炭酸ガスレーザーのXYテーブル上にテープで貼り付けずに置き、同様に直接炭酸ガスレーザーで孔あけしたが、反りのため周囲の孔径は円形とならなかった。また、貫通孔あけ後にバックアップシートを剥離しようとすると接着力が強いために銅張板が一部折れ曲がり、更にバックアップシートの樹脂が一部4層板に残存した。後は比較例2と同様にして、SUEP処理を行わずにデスミア処理を施し、銅メッキを15μm施し、表裏に回路を形成し、同様にプリント配線板を作製した。評価結果を表1に示す。
【0044】
(表1)
Figure 2004228204
【0045】
<測定方法>
1) 銅張板からバックアップシートを剥離する際の折れ : 各実施例、比較例で貫通孔あけ後にバックアップシートを剥離した場合の銅張板の折れを見た。
2)バックアップシート剥離後の銅張板への樹脂残り : 目視にて観察した。
3)孔形状 : 孔あけした銅張板の銅箔をエッチングして、貫通孔上下、及び断面の観察を顕微鏡で行なった。
4)回路パターン切れ、及びショート : 実施例、比較例で、孔のあいていない板を同様に作製し、ライン/スペース=40/40μm の櫛形パターンを作成した後、拡大鏡でエッチング後の200パターンを目視にて観察し、パターン切れ、及びショートしているパターンの合計を分子に示した。
5)ガラス転移温度 : JIS C6481のDMA法にて測定した。
6)スルーホール・ヒートサイクル試験 : 各スルーホールにランド径200μmを作製し、900孔を表裏交互につなぎ、1サイクルが、260℃・ハンダ・浸せき30秒→室温・5分 を1サイクルとして、200サイクル実施し、抵抗値の変化率の最大値を示した。
7)孔あけ加工時間 : 63,000孔を形成する時間を測定し、1枚当たりの孔あけ時間を4捨5入で分で表示した。
【0046】
【発明の効果】
銅箔を炭酸ガスレーザーで除去できるに十分なエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、銅張板に炭酸ガスレーザーを照射し、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張板の銅箔を加工してスルーホール用貫通孔をあける孔あけにおいて、バックアップシートとして、粘着剤を添加した樹脂層を好適には20〜100μm付着させた金属箔を配置し、室温で銅張板にラミネート接着することにより銅張板の反りが無く、この表面から炭酸ガスレーザーで貫通孔あけを行うことにより、レーザーが貫通した後も、エネルギーを吸収して、炭酸ガスレーザーを止めることができ、更にバックアップシートを剥離する時も容易に剥離ができ、作業性、量産性等に優れていることが明らかになった。また、銅張板のもとの銅箔の厚さ方向の一部をエッチング除去することにより、同時に孔部に発生した金属のバリをエッチング除去し、スルーホールメッキ用孔を形成することにより、その後の銅メッキでメッキアップして得られた表裏銅箔の回路形成においても、ショートやパターン切れ等の不良発生もなく高密度のプリント配線板を作製できることができ、信頼性等に優れたものを得ることができた。また、加工速度はドリルであけるのに比べて格段に速く、生産性についても大幅に改善できるものである。

Claims (1)

  1. 銅箔を炭酸ガスレーザーで除去できるに十分なエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、炭酸ガスレーザーを照射し、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張板の銅箔を加工して貫通孔をあける孔あけにおいて、銅張板の、炭酸ガスレーザーが照射される面とは反対側の最外層銅箔面に接着配置するレーザー用バックアップシートにおいて、その構成が金属箔に樹脂層を付着した構造であって、銅箔面と接着する樹脂層に粘着剤が配合され、室温で銅張板に圧着できることを特徴とする炭酸ガスレーザー貫通孔あけ用バックアップシート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113498263A (zh) * 2020-04-02 2021-10-12 无锡深南电路有限公司 通孔加工方法、通孔加工设备及多层板材

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