JP2009215099A - 陽極接合方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

陽極接合方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可動イオンを含むガラス板とこれを挟む金属板とを容易に良好に陽極接合することができる陽極接合方法を提供する。
【解決手段】可動イオンを含むガラス板を金属板で挟む挟み工程と、前記ガラス板を前記金属板で挟んだ状態で加熱する加熱工程と、加熱した状態で、前記金属板の間に交流電圧を印加する印加工程と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、陽極接合方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
近年半導体などで培われた微細加工技術を用いて製造される微小な機械システム(MEMS(Micro Electro Mechanical System)、マイクロマシンとも称される。)の注目度が高まっている。これらのマイクロマシンの中で、シリコン基板と可動イオンを含む硼珪酸ガラス基板と(以降、ガラス基板と称する。)を接触させ、この状態で陽極接合によりシリコンウエハとガラス基板とを接合する技術がある。
陽極接合方法として、複数のシリコン基板の間にガラス基板を挟んで陽極接合する装置がある(特許文献1参照)。この装置においては、ガラス基板をシリコン基板より少し大きくしておき、ガラス基板がシリコン基板と重なり合う部分より外側にはみ出ている部分に陰極を接触させて接合を行っている。
特開平11−87611号公報
しかしながら、特許文献1に記載の陽極接合方法では、ガラス基板の周辺部に電極を設けてある。このように周辺部に電極を接触させる場合、接触不良することなく十分に接触させるためには、ある程度の押圧力を加える必要がある。この押圧力をガラス基板の周辺部に加えた場合、力を加えた端部の反対側の接合面に浮きが生じたり、重ねた基板の位置にずれが生じたりする。
これに対応するために、押圧力を加えるガラス基板の反対側の面を押圧力に対抗する様に支持する部材を設けることも考えられるが、この部材の厚みを接合の都度ガラス基板の下の部材の厚みと合わせる調整が必要になり、作業が煩雑になる。
また、ガラス基板に設けた電極には、例えばナトリウム等が析出し、これを取り除くための煩雑な作業が必要となるため製造効率が低下する。また、ガラス基板の電気抵抗が高いため、電極から接合部分までの距離が遠くなるに従って電界が弱まるため静電力が低下し、互いに密着する力が弱まり接合に要する時間が長くなる若しくは接合できなくなる。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、可動イオンを含むガラス板とこれを挟む金属板とを容易に良好に陽極接合することができる陽極接合方法及びこの陽極接合方法を用いた液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することである。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1. 可動イオンを含むガラス板を金属板で挟む挟み工程と、
前記ガラス板を前記金属板で挟んだ状態で加熱する加熱工程と、
加熱した状態で、前記金属板の間に交流電圧を印加する印加工程と、を含むことを特徴とする陽極接合方法。
2. 前記交流電圧の周波数は、1Hz以上5MHz以下であることを特徴とする1に記載の陽極接合方法。
3. 前記交流電圧の周波数は、10Hz以上1MHz以下であることを特徴とする2に記載の陽極接合方法。
4. 1乃至3の何れか一項に記載の陽極接合方法を用いて液滴吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
前記金属板は、シリコンからなるシリコン板であり、
前記挟み工程、前記加熱工程、前記印加工程を経て、前記ガラス板と前記シリコン板から液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
本発明の陽極接合方法によれば、可動イオンを含むガラス板とこれを挟む金属板とを容易に良好に陽極接合することができる。また、本発明の液滴吐出ヘッドの製造方法によれば、可動イオンを含むガラス板とこれを挟むシリコン板とを容易に良好に陽極接合することができる。
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
本発明に係わる陽極接合方法を用いた液滴吐出ヘッドの製造方法により製造される液滴吐出ヘッドについて説明する。
図2は液滴吐出ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッド100(以下、記録ヘッド100と称する。)の構成を分解斜視図(配線部は図示していない。)で示している。図2において、1は液滴吐出ヘッド用ノズルプレート(以下、ノズルプレートと称する。)、5は中間プレート、2はボディプレート、3は圧電素子、30はインク供給路を模式的に示している。また、図3は、この記録ヘッド100におけるノズルプレート1のY−Y’、中間プレート5のZ−Z’及びボディプレート2のX−X’の位置で接合した状態での断面を模式的に示している(配線部は図示していない。)。
ノズルプレート1には、インク吐出のためのノズル孔11を複数個配列してある。ノズル孔11の液滴を吐出する吐出口を有する面(以降、吐出面と称する。)13には撥液膜45がある。中間プレート5には、ノズル孔11に連通する中間貫通孔12が設けてある。中間貫通孔12の径は、ノズル孔11の径より大きい。
また、ボディプレート2には、中間プレート5を介してノズルプレート1を貼り合わせることで、圧力室となる圧力室溝24、インク供給路となるインク供給路溝23及び共通インク室となる共通インク室溝22、並びにインク供給口21が形成されている。
そして、ノズルプレート1のノズル孔11とボディプレート2の圧力室溝24とを一対一で対応させ、間に中間プレート5を挟んで、ノズルプレート1とボディプレート2と貼り合わせることで流路ユニットUが組み立てられる。
また、インク供給口21に連通するようにインク供給路30を結合してある。インク供給路30と別途準備するインク貯蔵部(図示しない)とをパイプ(図示しない)で接続することで流路ユニットUにインクを供給することができる。尚、以後、上記で説明に使用した圧力室溝、供給路溝、共通インク室溝の各符号はそれぞれ圧力室、供給路、共通インク室にも使用する。
図3が示す通り、流路ユニットUに圧電素子3を、圧力室24の容積を変化させてノズル孔11から液滴を吐出させるアクチュエータとして、ボディプレート2のノズルプレート1を有する面と反対の各圧力室24の底部25の面に結合してある。ボディプレート2と圧電素子3との間には、全ての圧電素子3と電気的に接続される共通電極40が設けてある。
図4は、記録ヘッド100の圧電素子3を設けてある側の様子を示す図であって、圧電素子3を駆動するための配線部及びその周辺を示している。ボディプレート2の底面に、フレキシブル基板42の一方の端部が固定されている。フレキシブル基板42は、個別配線PLと共通配線CLを備えている。各圧電素子3に一対一で対応する個別配線PLを全ての圧電素子3に接続し、共通配線を共通電極40に接続する。共通電極40とフレキシブル基板の共通配線との接続は、銀ペースト等の導電性接着剤CPにより接続してある。また、フレキシブル基板の個別配線PLと各圧電素子3との接続は、ワイヤボンディングによるワイヤWで接続してある。
別途用意する圧電素子3の駆動回路(図示しない)にフレキシブル基板42を接続し、共通配線CLと個別配線PLとの間に駆動パルス電圧を印加することで、各圧電素子3を独立して駆動することができる。駆動した圧電素子3から発生する振動が圧力室24の底部25に伝えられ、この底部25の振動により圧力室24内の圧力を変動させることで圧力室24内の液体をノズル孔11から液滴として吐出できる。
これまで説明した記録ヘッド100を製造することに関して説明する。製造工程のフロー図を図5に示す。図5に沿って記録ヘッド100の製造に関して適宜図面を参照しながら説明する。
(ノズルプレートの準備、ボディプレートの準備、中間プレートの準備)
図2に示す流路ユニットUを構成するノズルプレート1、中間プレート5、ボディプレート2をそれぞれ製造する。ノズルプレート1とボディプレート2を成す材料はSiとし、中間プレート5を成す材料は、可動イオンを含む硼珪酸ガラス(以降、硼珪酸ガラスと称する。)である。中間プレート5を成す材料は、硼珪酸ガラスの他、アルミナ珪酸ガラスが挙げられるが、これらに限らず、後述の接合時の温度に耐え、電圧を印加した際にイオンに分離して移動するナトリウム、カリウム等の金属酸化物を含むガラスであれば良い。各プレートをこれらの材料とすることで陽極接合を容易に行うことができる。
ノズルプレート1にノズル孔11を形成する方法、中間プレート5に中間貫通孔12を形成する方法、ボディプレート2に圧力室溝24等を形成する方法は、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)及びエッチング技術等を用いることができる。エッチング方法としては、ドライエッチングが好ましい。これらの方法により、ノズルプレート1、ボディプレート2及び中間プレート5を準備する。
図6は、ボディプレート2が第2のシリコン基板53に8個の形成されている様子、中間プレート5がガラス基板55に形成されている様子、及びノズルプレート1が第1のシリコン基板51に形成されている様子を模式的に示している。
第2のシリコン基板53、ガラス基板55及び第1のシリコン基板51それぞれに形成されているボディプレート2、中間プレート5、ノズルプレート1は、これらの基板を位置調整して重ね合わせて接合すると、図2に示す流路ユニットUを8個構成可能なように、各基板に配置されている。尚、第2のシリコン基板53、ガラス基板55及び第1のシリコン基板51の各基板に、重ね合わせ時に位置調整がしやすい様に十字等の位置合わせのための印を設けてもよい。
これら第2のシリコン基板53、ガラス基板55及び第1のシリコン基板51は、この順に重ねて位置合わせをして接合し、接合の後ダイシングソー等で切り出しすることにより流路ユニットUを8個得ることができる。
尚、3枚の基板を上記と逆の順に第1のシリコン基板51、ガラス基板55及び第2のシリコン基板53として重ねて陽極接合をしても良い。
第1のシリコン基板51、ガラス基板55及び第2のシリコン基板53は、陽極接合をする前に十分に洗浄して乾燥させ、接合面にゴミが無いようにするのが好ましい。また、洗浄及び乾燥するに先だって、第1のシリコン基板51、ガラス基板55及び第2のシリコン基板53の各接合面は、各表面粗さを10nm未満にするのが好ましい。具体的には、例えば各接合面をダイヤモンドペースト(粒径はおおよそ0.1μm〜0.3μmの範囲)等を用いたバフ研磨等により研磨を行う。各接合面の表面粗さを、例えば10nm未満にすることで、3枚のプレートをより良好に密着することができる。
ここで、表面粗さRaは、例えば、触針式表面粗さ計Dektak3030(Sloan Technology Veeco Instruments製、触針:ダイヤモンド製半径12.5μm、針圧:0.05mN)を使用して測定することができる。具体的には、任意の3箇所の各表面粗さを求め、その算術平均値として得ることができる。表面粗さを求める際の測定幅は3mmとする。
(陽極接合)
次に、これまでに準備したノズルプレート1を形成した第1のシリコン基板51、中間プレート5を形成したガラス基板55、ボディプレート2を形成した第2のシリコン基板53の3枚の基板を重ね合わせ、陽極接合して流路ユニットUを形成する。この3枚の基板を重ね合わせた様子を図1(断面図)に示す。尚、図1においては、ノズルプレート1のノズル孔11、中間プレート5の中間貫通孔12、ボディプレート2の圧力室溝24等は省略している。
図1に示す通り、固定台61の上のベース電極61a側から、第2のシリコン基板53、ガラス基板55、第1のシリコン基板51の順に各接合する面を対向させ、接合することで流路ユニットUが構成される様に位置関係を調整して重ね合わせる。固定台61には、ヒーター(図示しない)が備えてあり、ベース電極61aの上に重ねて配置される基板を加熱することができる。
次に第1のシリコン基板51に上電極65を設け、上電極65とベース電極61aとの間に交流電圧を印加して陽極接合を行う。図1において、75は交流電源、77はスイッチ(開いた状態)を示している。交流電源75の一方の出力線はスイッチ77を介して第1のシリコン基板51に接触させた上電極65に接続し、他方の出力線はベース電極61aに接続し、ガラス基板55には何れの出力線も接続しない。
ガラス基板55に電極を設ける必要がないため、電極付近に発生する析出物を除去する必要がなく、電極を設けるために必要な機械的強度が不要となるためガラス基板の厚みを薄くすることができる。また、ガラス基板に電極を設けるために、例えばガラス基板に重ねるシリコン基板の一部に切り欠きを設ける等が不要となってガラス基板やシリコン基板の形状の制約がなくなり、陽極接合を行う上でのそれぞれの基板形状の自由度が高くなる。更に、シリコン基板を介してガラス基板全体に電界を均一に印加できるので接合状態を均一にすることができる。
ベース電極61a及び上電極65は、例えばAu、Cu、Al、Niやこれらの合金等の金属が挙げられるが、後述の加熱に対する耐熱性が良好で且つ導電性が良好なものであればこれらに限定されない。
陽極接合時は、各基板間に印加する交流電圧により発生する静電力により各基板が密着する力が働くため、各基板を固定台61に対して押圧しなくても良い。
第1のシリコン基板51に上電極65を設ける位置は、ガラス基板55に対して導電率が十分に大きいため、ノズルプレート1が形成されていない場所、特にノズル孔近傍等の液滴の吐出に影響を与えない場所であれば特に限定しない。
陽極接合を行う上で、主な条件として陽極接合温度と印加する交流電圧、及び交流電圧の周波数がある。陽極接合温度は、350℃から550℃の範囲が好ましい。固定台61に備えてあるヒーターによる加熱によって、上述の温度範囲とすることで、ガラス基板55の中のNa+等の可動イオンを移動可能にすることができる。
また、交流電圧(実効値)は、ガラス基板55の中のNa+等の可動イオンの濃度によって若干異なるが、0.5kVから2kVの範囲が好ましい。0.5kV以下であると可動イオンの動きが遅く、接合に時間がかかってしまう。2kV以上では、高電圧に対する絶縁の確保だけでなく周囲の環境(たとえば湿度など)の条件によっては、接合する中間プレート5を貫通する形で放電が起こる場合があり、接合不良となる。
印加する交流電圧の周波数が低すぎると接合境界面に剥離の要因となる析出物が発生する。析出物は、ガラスに印加される電圧のマイナス側に発生し、ガラスのアルカリイオンが引き寄せられ高濃度となったもので接合境界付近のガラスは劣化した状態となっていると推測される。周波数を高くしてゆくと、析出物の発生が少なくなってゆく。これは電界の向きが頻繁に変わるため接合に係わる全体のアルカリイオン移動量が減ったため、あるいは析出場所が均一化され拡散したためと推察される。
周波数が高すぎると接合速度が低下し、製造効率が低下してしまう。これは、印加される電圧による電界方向の変化が速くなりすぎて静電力が低下し接合界面が密着しにくくなるためと推測される。また、定常的に放電が発生し、この放電現象により接合の進行を妨げられる。
印加する交流電圧の周波数が1Hz以上5MHz以下の範囲は、上述の析出物の発生や放電の発生の影響が少なく接合を効率良く行うことができ、好ましい。更に、周波数が10Hz以上1MHz以下の範囲は、析出物の発生や放電の発生がなく接合をより効率良く行うことができ、より好ましい。
陽極接合は、陽極接合温度でガラス基板55の中の可動イオンが高電界に引かれて移動拡散する現象であり、この現象が顕著なガラスが好ましい。好ましいガラスとしてテンパックス(登録商標)及びパイレックス(登録商標)がある。テンパックス(登録商標)及びパイレックス(登録商標)は、Na+を可動イオンとして持っており、Na2Oが高温時にNa+とO2-になって、O2-が相手側に拡散することで接合が成立する。
また、接合する3枚のプレートの熱膨張係数が近いことが好ましい。例えば、上記のガラスの他に通称ソーダガラス(青板ガラスとも称する。)を用いてもSiプレートとの陽極接合は可能であるが、互いの熱膨張係数の差により、接合後の室温までの冷却過程で生じる応力により割れ等の破損が生じてしまう場合がある。
(洗浄)
次に、ボディプレート2、中間プレート5、ノズルプレート1を陽極接合した流路ユニットU、特に撥液膜45を設けるノズルプレート1の吐出面13を十分に、例えば超音波洗浄等を用いてRCA洗浄法等で清浄にする。清浄した吐出面に撥液膜45を形成することで、吐出面13に対する撥液膜45の密着力を十分に確保することができ、耐久性を向上することができる。記録ヘッド稼働時に吐出面13の清掃のためヘッドクリーナーで擦って拭いても撥液膜が容易に剥がれることがなくなり、良好な液滴の吐出性能を長期に亘って維持することができる。超音波洗浄後、更に酸素プラズマによるアッシング処理(酸素プラズマ処理とも称する。)を行ってもよい。
(撥液膜形成)
次に吐出面に設ける撥液膜に関して説明する。図3に示すノズルプレート1の吐出面13に撥液膜45を設ける。撥液膜45を設けることで、ノズル孔11から液体が吐出面13に馴染むことによる染み出しや広がりを抑制することができる。具体的に撥液膜には、例えば液体が水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体が油性であれば撥油性を有する材料が用いられる。一般に、FEP(四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素化シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布方法、真空蒸着方法、浸漬方法で吐出面13に成膜する。撥液膜の厚みは、撥液膜の材料、形成方法により適宜決めればよい。
撥液膜45は、ノズルプレート1の吐出面13に直接成膜することができるが、撥液膜45の密着性を向上させるために下地層、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)膜を介して成膜するのが好ましい。TEOS膜は、プラズマCVD法でTEOSガスを用いて形成することができる。
尚、撥液膜45を形成する際に、吐出口をマスキングするのが好ましい。マスキングすることで、撥液膜が吐出口を塞ぐことがなくなり、撥液膜の形成後に吐出口部分の撥液膜を除去することなく良好な吐出口を得ることができる。
(電極形成)
次に、洗浄が終わった流路ユニットUの背面(ノズルプレート1がある側と反対側の面)の圧力室24の位置に該当する部分(所謂振動板として機能する部分)に共通電極40を設ける(図3及び図4参照)。共通電極40は、この上に接して設ける全ての圧電素子3に電圧を印加して駆動するための一方の電極となる。この共通電極40を成す材料は、電極となる材料であれば特に限定することはなく、例えば、Al、Au、Cu、Agが挙げられる。また、密着性を良くするためのCr等の下地層を設けてもよい。共通電極40を形成する方法は、特に限定することはなく、例えば公知のスパッタリングや真空蒸着がある。
(圧電素子結合)
次に、共通電極40の上に別途用意する圧電素子3を結合する。圧電素子3に電圧を印加する2つの面には、予めAu等の電極が設けてあり、この電極の一方の面を銀ペースト等の導電性接着剤を用いて共通電極40に結合する。
(配線)
次に、流路ユニットUに結合した各圧電素子3に電圧を供給するための配線を行う。図4に示す様なフレキシブル基板42を流路ユニットUの背面に接着剤等で固定する。フレキシブル基板42は、共通電極40に接続する共通配線CLと各圧電素子3に接続する個別配線PLとを含んでいる。共通配線CLは、銀ペースト等の導電性接着剤CPで共通電極40と電気的に接続し、各圧電素子3と個別配線PLとは、例えばAu線をワイヤWとしたワイヤボンディングにて接続する。
(インク供給路結合)
流路ユニットUに開口しているインク供給口21にインクを供給するためのインク供給路30を接着剤等で結合する。インク供給路30を流路ユニットUに設けることで、インク供給路30と別途設けるインク貯蔵部(図示しない)とをパイプで接続することができ、流路ユニットUにインクを供給することができる。
本実施形態では、陽極接合方法として、液滴吐出ヘッドの製造方法を例にガラス基板に金属としてシリコンを陽極接合しているが、シリコンの代わりに、アルミニウム、コバルト等としてもこれまで説明した通り図1に示すように配置して陽極接合をすることができる。
図2に示す記録ヘッド100を製造した。記録ヘッド100には、図4で示すフレキシブル基板42を設け、フレキシブル基板42と全ての圧電素子3とを電気的に接続し駆動可能とした。これに関して図5に示すフロー図に沿って図1、2、3、4、6を適宜参照しながら説明する。
(ノズルプレートを準備する工程、ボディプレートを準備する工程、中間プレートを準備する工程)
図2に示すノズルプレート1、中間プレート5、ボディプレート2を公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)とエッチング技術を用いて形成し各8個を準備した。ノズルプレート1及びボディプレート2は、それぞれの厚みを300μm及び500μm、直径3インチの第1及び第2のシリコン基板51、53を使用した。ノズルプレート1には、直径φ15μmのノズル孔11を128個設けた。ボディプレート2には、ノズル孔11に対応する圧力室となる圧力室溝24、インク供給路となるインク供給路溝23及び共通インク室となる共通インク室溝22、並びにインク供給口21を形成した。中間プレート5は、厚み350μm、直径3インチのテンパックス(登録商標)ガラスをガラス基板55として、直径φ60μmの中間貫通穴をノズル孔11に連通するように128個設けた。
各基板に図6に示すように、ノズルプレート1、中間プレート5、ボディプレート2を各8個ずつ形成した。各基板51、55、53におけるノズルプレート1、中間プレート5、ボディプレート2それぞれ位置は、各基板を図1に示す通りに重ねて接合することにより流路ユニットUを形成することができる様に配置されている。
(接合)
次に、ノズルプレート1と中間プレート5とボディプレート2とを陽極接合法を用いて接合した。陽極接合するために、それぞれの接合面をダイヤモンドペーストを用いたバフ研磨により研磨し、各接合面の表面粗さRaを10nm未満とした。表面粗さRaの測定は、触針式表面粗さ計Dektak3030(Sloan Technology Veeco Instruments製、触針:ダイヤモンド製半径12.5μm、針圧:0.05mN)を使用した。測定幅を3mmとし、任意の3箇所で表面粗さを測定し、この算術平均値を表面粗さRaとした。
次に、研磨を完了したノズルプレート1と中間プレート5とボディプレート2を備えた第1のシリコン基板51、ガラス基板55及び第2のシリコン基板53を十分に洗浄・乾燥した。この後、図1に示す様にヒーター(図示しない)を備えた固定台61の上にベース電極61aを設け、このベース電極61aの上に順に第2のシリコン基板53、ガラス基板55、第1のシリコン基板51を位置調整を行って重ね合わせた。
次に、第1のシリコン基板51の上に上電極65を載せた。交流電源75の一方の出力線はスイッチ77を介して第1のシリコン基板51に載せた上電極65に接続し、他方の出力線はベース電極61aに接続した。
ヒーターにより接合部が400℃に加熱し、この温度を維持した状態で交流電源75を用いて電圧1kVを30分間印加し、陽極接合を行った。交流電圧の周波数は、以降の表1に示す交流周波数を0.5Hzから20MHz範囲で11種類変化させた。具体的には、第1のシリコン基板51、ガラス基板55及び第2のシリコン基板53の3枚を1組として、交流周波数11種類の設定に対してそれぞれ5組の陽極接合を行った。
(超音波洗浄)
次に陽極接合を完了したボディプレート2、中間プレート5、ノズルプレート1で構成される流路ユニットUを超音波洗浄した。超音波洗浄は次の通りに行った。
(1)高周波超音波洗浄器(周波数0.7MHz)の液槽に70℃のアルカリ洗浄液を満たし、この洗浄液槽に流路ユニットUを15分間浸漬した。
(2)高周波超音波洗浄器(周波数0.7MHz)の液槽に70℃の純水を満たしアルカリ洗浄液から取りだした流路ユニットUを純水槽に10分間浸漬した。
次に、純水槽から取りだした流路ユニットUを70℃のオーブンに60分間入れ乾燥させた。次に、オーブンから取りだした流路ユニットUを酸素プラズマ(高周波電力300W)中に30分間置いて、アッシング処理を行った。
(撥液膜形成)
次に、撥水膜の下地膜としてTEOS膜を設けた。TEOSガスを用いたプラズマCVD法により、流路ユニットUを構成するノズルプレート1の吐出面に厚み1μmのTEOS膜を設けた。
次に、TEOS膜の上に撥水膜として厚み40nmのフッ素化シロキサン系撥水膜であるメルク社の撥水性蒸着材料「Evaporation substance WR1:パーフルオロアルキルシラン」を真空蒸着法により形成した。
(電極形成)
次に、図4で示す様にAlからなる共通電極40をスパッタ法により設けた後、共通電極40の上に銀ペーストからなる導電性接着剤を用いて圧電素子3を接着した。
次に、流路ユニットUにフレキシブル基板42を接着した。このフレキシブル基板42の共通配線CLと共通電極40とを銀ペーストからなる導電性接着剤CPで電気的に接続し、個別配線PLと各圧電素子3の電極とをAu線をワイヤWとしてワイヤボンディングにて電気的に接続した。
(圧電素子結合、配線、インク供給路結合)
次に、流路ユニットUにインク供給路30を接着剤にて結合した。以上により記録ヘッド100を完成した。完成した記録ヘッド100のフレキシブル基板42に、別途用意した圧電素子3を駆動する駆動回路を接続し、インク供給路30とインク貯蔵部とをパイプで接続し、インク(水溶性)が吐出できるようにした。
(試験及び評価)
印加した交流電圧の周波数が11種類で、各5組40個の記録ヘッド100を用いて、それぞれ1000万回インクの吐出を行った。記録ヘッド100においては、試験当初と試験終了後で接合部に関する不具合(例えば、貼り合わせ部分からのインク漏れ等)の有無を確認した。各種類で総個数40個に対して、不具合がない良品率が95%以上であったものを◎印、70%以上95%未満のものを○印、接合はできたが良品率が70%未満のものを△印として表1の評価欄に示す。
これまで説明した記録ヘッドの製造、試験及び評価において、陽極接合条件の接合部の温度及び印加電圧のみを(1)接合部の温度を350℃、電圧1.5kV、(2)接合部の温度を500℃、電圧0.5kV、に変更し、(1)、(2)それぞれの条件で更に製造、試験及び評価を行った。その結果、表1と同じであった。
Figure 2009215099
表1の結果より、印加する交流電圧の周波数が0.5Hz以上20MHz以下の範囲において陽極接合を行うことができ、周波数が1Hz以上5MHz以下の範囲において実用的と考えられる陽極接合を行うことができることが確認できた。更に、10Hz以上1MHz以下の範囲においてはより確実に陽極接合を行うことができることが確認できた。
陽極接合を説明する図である。 液滴吐出ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドの構成を示す分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの断面を示す図である。 インクジェット式記録ヘッドの圧電素子3を駆動するための配線部及びその周辺を示す図である。 インクジェット式記録ヘッドの製造工程のフローを示す図である。 ボディプレート、中間プレート、ノズルプレートそれぞれ複数個がシリコン基板、ガラス基板に形成されている様子を示す図である。
符号の説明
100 記録ヘッド
1 ノズルプレート
2 ボディプレート
3 圧電素子
5 中間プレート
11 ノズル孔
12 中間貫通孔
13 吐出面
21 インク供給口
22 共通インク室溝
23 インク供給路溝
24 圧力室溝
30 インク供給路
40 共通電極
42 フレキシブル基板
45 撥液膜
51 第1のシリコン基板
53 第2のシリコン基板
55 ガラス基板
61 固定台
61a ベース電極
65 上電極
75 交流電源
77 スイッチ
CL 共通配線
CP 導電性接着剤
PL 個別配線
U 流路ユニット
W ワイヤ

Claims (4)

  1. 可動イオンを含むガラス板を金属板で挟む挟み工程と、
    前記ガラス板を前記金属板で挟んだ状態で加熱する加熱工程と、
    加熱した状態で、前記金属板の間に交流電圧を印加する印加工程と、を含むことを特徴とする陽極接合方法。
  2. 前記交流電圧の周波数は、1Hz以上5MHz以下であることを特徴とする請求項1に記載の陽極接合方法。
  3. 前記交流電圧の周波数は、10Hz以上1MHz以下であることを特徴とする請求項2に記載の陽極接合方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の陽極接合方法を用いて液滴吐出ヘッドを製造する液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記金属板は、シリコンからなるシリコン板であり、
    前記挟み工程、前記加熱工程、前記印加工程を経て、前記ガラス板と前記シリコン板から液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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