JP4844114B2 - 液体吐出ヘッドの製造方法及び液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッドの製造方法及び液体吐出ヘッド Download PDF

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Description

本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法及びこれにより製造された液体吐出ヘッドに関する。
インクジェット記録方式は、ノンインパクト記録方式の1つであり、高速記録が可能であると共に、種々の記録媒体に対して記録が可能であり、しかも、高精細な画像が得られる。このような利点から、インクジェット記録方式は、コンピュータの周辺機器としてのプリンタばかりでなく、複写機、写真、各種印刷、産業用高精細パターニング等の記録手段として近年用途を拡大しながら急速に普及している。
このよう記録ヘッドには、インク等液体を飛翔させるためのノズルと、このノズルに連通する圧力発生室のインク等液体に吐出のためのエネルギーを与えるエネルギー発生手段とを備えている。そして、エネルギー発生手段として電気機械変換素子である圧電素子(ピエゾ素子)を用いた液体吐出ヘッドは、圧電素子が発生した圧力波の伝搬によってノズル先端のメニスカスを制御して液滴を吐出させるもので、このような圧電素子の機械エネルギーを液体に伝搬させる振動板を備えている。
この振動板は、振動板上に電気機械変換素子を配置して振動板を変形させる場合、その厚みが薄ければ薄い程、変形量を容易に大きくすることができる。よって、振動板を効率的に変形させて、効率良くインクを吐出できるようにするために、振動板はできるだけ薄くするのが好ましいとされている。
また、振動板の厚みは均一であることが要求されている。例えば複数のノズルを有し振動板の厚みが均一でない場合、各ノズルが備えている振動板の変形量にムラが発生することで吐出されるインク滴が均一でなくなり、記録品質が低下することになる。
しかし、振動板の厚みは、取り扱い上や要求されるその厚みの均一性から要求が十分に満たされていないのが現状となっている。
この様な振動板に関して知られている例として以下がある。
まず最初の例とする吐出ヘッドは、インク流路を構成する圧力発生室とインク供給路とノズル開口とが一体形成されたシリコン単結晶基板からなるボディプレートと、シリコン単結晶基板と実質的に熱膨張係数が等しい金属材料の表面にシリコン化合物が形成された振動板とを備え、ボディプレートと、振動板のシリコン化合物形成面とが接着層を介さずに接合されている(例えば、特許文献1参照)。
次の例とする吐出ヘッドは、圧力発生室およびノズルを備えたボディプレートと、ボディプレートに接合された石英振動板と、石英振動板上に積層された電極層および圧電膜を有する圧電素子とを備えており、石英振動板が、ボディプレートとの接合部に陽イオン層を有し、陽イオン層を介して前記ボディプレートに陽極接合されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3218664号公報 特開2005−144822号公報
特許文献1には、振動板として、厚み20μmから100μmのパイレックス(登録商標)ガラスやSi酸化物の薄膜が形成された42アロイ(Fe−Ni合金)が例として挙げられている。これらのガラスやアロイは、それらの厚みが非常に薄いことから、ボディプレートに貼り合わせるに際し、取り扱いが容易ではないことが十分に予想されるが、これに関する内容は記載されてない。
また、特許文献2の従来技術においては、石英振動板は、圧力発生室およびノズルを備えたボディプレートに陽極接合された後、研磨により10μm以下に薄片化されている。よって、石英振動板を薄片化する研磨工程が必要とされる。この研磨工程において、研磨後の研磨粒子や研磨された石英粒子を含んだグリースの除去が必要となり、ノズル孔等から吐出ヘッド内部の流路への粒子の混入や、また圧力発生室部分は空洞となっていることから薄片化時に振動板が空洞方向に窪んでしまうことが予想される。従って、研磨粒子等の混入が無く均一な厚みの振動板を形成するためには、製造工程が煩雑であり困難を伴うことが十分に予想される。
また、近年、基板等に直接パターニングが可能となるという大きな利点が生じることから、インクジェット記録方式を利用した産業用のパターニングの応用が広く考えられている。例えば、基板にパターニングする場合においては、着弾径が30μm以下とする高精細化が望まれており、これに応えるには、記録ヘッドから吐出されるインク液滴の液滴の直径を概ね15μm以下とする必要があるとされている。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ボディプレートに、効率的で変形量のバラツキが少なく変形可能とする厚みが薄くて均一な振動板を容易に設ける液体吐出ヘッドの製造方法を提供し、この製造方法により製造が容易で品質の安定した液体吐出ヘッドを提供することである。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1. 吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する圧力室となる圧力室溝と、
前記圧力室溝を被う振動板と、
前記振動板の前記圧力室溝側と反対側の面に電気機械変換素子を有している液体吐出ヘッドの製造方法において、
表面形状が鏡面形状とされた保持基板の前記鏡面上に接して前記振動板となる膜を形成する膜形成工程と、
前記圧力室溝が形成されているボディプレートの前記圧力室溝が形成されている面と前記保持基板上の前記膜が形成されている面とを接合する接合工程と、
前記膜と前記保持基板とを引き離すことで前記膜から前記保持基板を剥がして分離して該保持基板を除去する除去工程とを有し、
前記保持基板が除去された後の前記膜上に前記電気機械変換素子を設けることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
2. 前記膜形成工程は、前記保持基板の前記鏡面上に、前記振動板となる金属膜を形成することを特徴とする1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
3. 前記膜形成工程は、前記保持基板の前記鏡面上に、前記振動板となるポリイミド樹脂からなる樹脂膜を形成することを特徴とする1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
4. 前記膜形成工程は、前記保持基板の前記鏡面上に、前記振動板となる金属膜を形成し、
前記接合工程は、前記金属膜と前記ボディプレートの前記圧力室溝が形成されている面との接合面のそれぞれにバフ研磨を行って表面粗さをRa<10nmとした後に、前記ボディプレートと前記保持基板との両研磨面を接触させて圧力をかけることにより両者を分子間接合することを特徴とする1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
5. 前記保持基板の前記鏡面上には、前記膜の密着性を良くするための活性化処理が施されていないことを特徴とする1乃至4の何れか一つに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
. 前記圧力室溝が形成されているボディプレートに前記ノズルが形成されていることを特徴とする1乃至の何れか一つに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
. 前記ノズルが形成されたノズルプレートと、前記圧力室溝が形成されたボディプレートとを接合する工程を有することを特徴とする1乃至の何れか一つに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
. 前記ボディプレートは、Siから形成されていることを特徴とする1乃至の何れか一つに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
. 前記ノズルの吐出孔が存在する面に、SiO層を設ける工程を有することを特徴とする1乃至の何れか一つに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
10. 前記ノズルプレートは、体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラス又は樹脂から形成されていることを特徴とするに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
11. 前記ノズルの吐出孔が存在する最表面に撥液処理を行う工程を有することを特徴とする1乃至10の何れか一つに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
12. 1乃至11の何れか一つに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
13. 前記ノズル内の前記液体と前記吐出孔が存在する面に対向して設けられた基材との間に電界を形成し静電吸引力を発生するための静電電圧印加手段を備えていることを特徴とする12に記載の液体吐出ヘッド。
請求項1及び10に記載の発明においては、取り扱いが困難と予想される薄い膜とする振動板であっても、振動板となる薄い膜は、保持基板にて保持されているため皺や破れといった様な破損することなく、ボディプレートの圧力室溝を被って容易に貼り付けが行われて圧力室を形成することができることから、振動板に設けられる電気機械変換素子の変形エネルギーが効率良く圧力室内の液体に伝達され、効率良く液滴を吐出することを可能とすることができる。従って、ボディプレートに、振動板を容易に設けることができる液体吐出ヘッドの製造方法を提供し、この製造方法により品質の安定した液体吐出ヘッドを提供することができる。
以下、本発明に係る液体吐出ヘッドの実施形態に関して、図を参照して説明する。
図6は、本実施形態の一例とする液体吐出ヘッドA(断面図)を使用した液体吐出装置Sの全体構成を示す図である。なお、液体吐出ヘッドAは、いわゆるシリアル方式或いはライン方式等の各種の液体吐出装置に適用可能である。
液体吐出装置Sは、インク等の帯電可能な液体Lの液滴Dを吐出孔13から吐出するノズル10が形成された液体吐出ヘッドAと、動作制御手段Eと、液体吐出ヘッドAの吐出孔13を有する吐出面12に対向する対向面を有するとともにその対向面で液滴Dの着弾を受ける基材Kを支持する対向電極3とを備えている。
液体吐出ヘッドAの対向電極3に対向する側には、複数のノズル10及びこれらノズルそれぞれに連通する薄板1が貼り合わせられてなる圧力室24を有するボディプレート2が設けられている。ボディプレート2は微細な形状を形成しやすいSiを用いるのが好ましい。また、液体吐出ヘッドAは、対向電極3に対向する吐出面12からノズル10が突出されない、或いはノズル10が30μm程度しか突出しないフラットな吐出面12を有している。また、ノズル10の吐出孔13は、断面形状が円に形成される代わりに、断面形状が多角形や星形等であってもよい。尚、断面形状が円でない場合の直径とは、対象とする断面の断面積を同じ面積の円形に置き換えた場合の直径とする。また、吐出孔13の内部直径をノズル径という。
また、図6に示す液体吐出ヘッドAでは、ボディプレート2のノズル10の内周面17及びこれに続く圧力室24の底面18には、導電素材よりなるノズル内の液体Lを帯電させるための静電電圧印加手段である帯電用電極16を設けてある。また、各帯電用電極16は、図示しない配線により静電電圧電源63に接続されている。このように帯電用電極16を設けることで、帯電用電極16は、ボディプレート2のすべての圧力室24内部の液体Lに接触することになり、静電電圧電源63から帯電用電極16に静電電圧が印加されると、全てのノズル10内の液体Lが同時に帯電され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間、特に液体Lと基材Kとの間に静電吸引力が発生されるようにすることができる。
また、圧力室溝を被って圧力室24とする薄板1は、金属又は樹脂からなり液体Lにメニスカスを形成するための振動板として機能するものであり、液体Lに圧力を生じさせる様に変形可能としている。
薄板1の各圧力室24と反対側の面には、それぞれ圧力発生手段としての電気機械変換素子として圧電素子アクチュエータであるピエゾ素子22が設けられており、ピエゾ素子22には、このピエゾ素子22に駆動電圧を印加してピエゾ素子22を変形させるための駆動電圧電源61が接続されている。ピエゾ素子22は、駆動電圧電源61からの駆動電圧の印加により変形して、ノズル10内の液体Lに圧力を生じさせてノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成させるようになっている。なお、圧力発生手段は、本実施形態のような圧電素子アクチュエータのほかに、例えば、静電アクチュエータを採用することも可能である。
駆動電圧電源61および帯電用電極16に静電電圧を印加する静電電圧電源63は、それぞれ動作制御手段Eに接続されており、それぞれ動作制御手段Eによる制御を受けるようになっている。
動作制御手段Eは、CPU51やROM52、RAM53等が図示しないBUSにより接続されて構成されたコンピュータからなっており、CPU51は、ROM52に格納された電源制御プログラムに基づいて静電電圧電源63および各駆動電圧電源61を駆動させてノズル10の吐出孔13から液体Lを吐出させるようになっている。
ここで上記の液体吐出ヘッドAに関して図1を用いて以下で詳しく説明する。図1(A)のボディプレート102には、薄板101が貼り合わされることで圧力室となる圧力室溝124、共通流路となる共通流路溝122、および共通流路と圧力室とを結ぶ流路となる流路溝123が設けられている。以後、上記で説明に使用した圧力室溝、供給路溝、共通インク室溝の各符号はそれぞれ圧力室、供給路、共通インク室にも使用する。
共通流路溝122には、外部の図示しない液体タンクから液体を供給する供給管が連絡されている供給口125が設けてあり、図示しない供給ポンプにより或いは液体タンクの配置位置による差圧により供給管及び供給口125を通じて共通流路122、圧力室124、ノズル110等の液体に所定の供給圧力が付与されるようになっている。
また、圧力室溝124の底面には、インクを吐出するためのノズル110が形成されている。薄板101とボディプレート102とを貼り合わせることで流路ユニット10Mが形成される。
図1(B)は、図1(A)に示す液体吐出ヘッド10Aにおける薄板101のY−Y’、及びボディプレート102のX−X’の位置での一つの圧力室溝124周辺部の断面を模式的に示している。図1(A)が示しているように、流路ユニット10Mに圧電素子103をインク吐出用アクチュエータとして薄板101のボディプレート102を接着する面と反対の各圧力室124の裏面に接着することで、液体吐出ヘッド10Aが完成する。
この液体吐出ヘッド10Aの各圧電素子103に駆動パルス電圧が印加され、圧電素子103から発生する振動が薄板101を通じて圧力室124に伝えられ、圧力室124内のインクの圧力を変動させることで吐出孔113にメニスカスが形成される。尚、図1(B)における141は薄板101とボディプレート102とを接着している接着層、143は以降で説明するSiO2層、128は吐出孔113からのインクの滲み出しを抑制するための撥液層を示している。撥液層128を設けることで、ノズル110の吐出孔113部分に形成される液体のメニスカスが吐出孔113の周囲の吐出面に広がり難くされることでメニスカス先端部への電界集中の低下を効果的に防止することが可能となる。
図2は、図1に示す様な液体吐出ヘッドを製造するための製造工程の一例を模式的に示している。公知のフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理により、ノズル210と図示しない共通流路溝、流路溝並びに圧力室溝224より構成される液体吐出ヘッドのボディプレート202をSi基板から形成するのがこのましい(図2(1a))。Si基板を用いることで、容易に高精度にノズルや圧力室溝224等を作製することができる。
このボディプレート202の吐出孔213形成面に厚みを0.5μmから300μm程度のSiO2膜243を形成するのが好ましい。SiO2膜243を設けることで、吐出孔213に形成されるメニスカスに効率よく電界を集中させることが可能となる。このSiO2膜243の形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば熱酸化処理やTEOS(テトラエトキシシラン)処理が挙げられる。
また、ボディプレート202のノズル210の内周面及びこれに続く圧力室溝224の底面には、例えばNiP、Pt,Au等の導電素材よりなる帯電用電極216を設ける(図2(1b))。この帯電用電極216を設ける方法は特に限定されるものではなく、公知の真空蒸着法、スパッタリング法等を用いれば良い。また、導電素材としては、上記の例に限定されるものではなく、吐出に用いられる液体に接することで腐食等を生じないものを適宜選択すれば良い。
次に、例えばSi基板を保持基板270として(図2(2a))、この保持基板270上に振動板となる薄膜(薄板)201を設ける(図2(2b))。この薄膜201は、耐久性が良い金属又は製造が容易で安価な樹脂とするのが好ましい。この振動板となる薄膜201の厚みは、取り扱い上の観点や実用的な圧電素子203の駆動電圧範囲での変形力や応答性等の仕様から適宜決めれば良いが、通常1μmから50μm程度とするのが好ましい。
また、上記の膜厚は、均一であることが望ましく、膜厚の±20%以下、更には±10%以下とするのがより好ましい。上記の膜厚で均一な厚みの薄膜201を設ける方法として、薄膜201を金属とする場合は、スパッタリング法や真空蒸着法等の真空成膜やメッキ処理又は電鋳処理等、樹脂とする場合はスピンコート法、ディップコート法又はスプレーコート法等を挙げることができ、これらの方法を用いることで膜厚の均一の程度は、膜厚の±10%以下とすることができる。
保持基板270に上記のような金属又は樹脂の薄膜201を設ける際、薄膜201の基板270への密着性を良くするための活性化処理を行わないのが好ましい。この活性化処理を行わないことで、例えばSi基板とする保持基板270上に形成させる電鋳や樹脂からなる薄膜は、Si基板への密着性が強固な固着状態とならず、後で説明するSi基板の除去の際、薄膜201から容易にSi基板を剥がすことで除去することができる。
保持基板270の表面形状は、上記の振動板となる金属又は樹脂からなる薄膜201に転写されるため、例えば凹凸や傷が存在すれば、その形状を振動板が持つことになる。この凹凸や傷が転写された振動板は、長期間に渡って振動が加わることにより、その転写された凹凸部や傷部が起因となって割れが入り、その結果として破損したりすることが十分予想されることから、保持基板270の表面形状は、鏡面とするのが好ましい。
保持基板270の材料としては、特に限定されるものではないが、上記の通り鏡面とすることが可能で、後で説明する接合時の加熱に耐えることが可能な材料が好ましいことから、例えばSi基板、SUS(Special Use Stainless steel:特殊用途ステンレス鋼板)板、石英基板が挙げられる。
次に、この金属又は樹脂からなる薄膜201が形成された保持基板270の膜面と先のボディプレート202の溝が形成されている面とを接着剤241を介して貼り合わせる(図2(e))。
ここで、貼り合わせる方法は、特に限定されないが、図2で示す、広く用いられている接着剤241を使用する以外に、Siと可動イオンを含む硼珪酸ガラスとの接合法である陽極接合法(図3)、被接合物間に何も介在しない分子間力による分子間力接合法(図4)、及び金属同士の金属接合法(図5)が有る。
これらの方法を用いることによりボディプレートと薄板とを強固に貼り合わせることができる。これら陽極接合法、分子間力接合法及び金属接合法に関して以下に説明する。
まず、陽極接合法を用いて薄板1とボディプレート2との接合について図3を用いて説明する。陽極接合法を用いて2つの基板を接合する場合、基板の一方をSiとし、他方を可動イオン、例えば代表的にはナトリウムイオン(Na+)を含む硼珪酸ガラスとする場合がある。
可動イオンを含む硼珪酸ガラス(以下、硼珪酸ガラスと称する。)としては、具体的にはパイレックス(登録商標)またはテンパックス フロート(登録商標)等がある。例えば、ボディプレート302はSiであるが、薄板301は金属とする場合、このままでは陽極接合を行うことができない。これに対応するため、薄板301のボディプレート302と貼り合わせる面に硼珪酸ガラス層341を設けて硼珪酸ガラス面とすることで対応することができる(図3(2b))。
この硼珪酸ガラス層341の膜厚は、陽極接合にて強固に接合される膜厚であれば良く、膜の密度や均一性の観点から1μm以上が好ましく、また陽極接合時に必要な接合面の印加電圧の観点や膜の内部応力による割れが生じない様にすることから5μm以下が好ましい。
この硼珪酸ガラス層341の成膜方法は、真空蒸着法や高周波(RF)マグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法のいずれでも良く、また成膜時に基板の温度を緻密な膜が形成しやすいように250℃以上となるように加熱することが好ましい。この温度の上限は特に定めないが、基板の取り付け治具や成膜時の基板の温度制御装置等の観点から400℃程度が好ましい。
次に、上記で説明した硼珪酸ガラス層341が成膜された薄板301を有する保持基板370とボディプレート302とを、適切な位置関係にして重ね合わせて固定し、ボディプレート302と硼珪酸ガラス341との接合部の温度を300℃〜550℃の範囲にして、直流高圧電源310を用いて電圧を印加(ボディプレート302をプラス(+)、薄板301側をマイナス(−)として、電界強度にして5V/1μmから20V/1μm程度)して陽極接合することができる(図3(e))。
次に分子間力接合方法に関して図4を用いて説明する。例えば保持基板470であるSi基板上に設けたPt(白金)薄板401とSiから成るボディプレート402とを貼り合わせるそれぞれの面(442及び443)をダイヤモンドペースト(粒径はおおよそ0.1μm〜0.3μmの範囲)等を用いたバフ研磨等により表面粗さRa<10nmになるように研磨を行う。
ここで、本実施形態における表面粗さRaは、触針式表面粗計Dektak3030(Sloan Technology Veeco Instruments製、触針:ダイヤモンド製半径12.5μm、針圧:0.05mN)を使用して、測定幅3mmとする任意の3箇所における各表面粗さの算術平均値としている。次に保持基板470上のPt層401の研磨面442を上に向けて、この面にボディプレート402の研磨面443を重ねて接触させ、ボディプレート402全面をほぼ均一に加圧すると、分子間力により接合される(図4(e))。接合の際、接合面を200℃から500℃程度に加熱するとより効果的に接合することができるが、必ずしも加熱が必要ではない。また、ノズルプレートを樹脂とする場合、加熱温度は樹脂の軟化点未満とする必要がある。
分子間力接合を行うことができる材料は特に限定される必要はなく、被接合面(442及び443)をそれぞれ表面粗さRa<10nmとすることができれば接合することができる。
次に金属接合法に関して図5を用いて説明する。金属接合は、接合される例えば保持基板570であるSi基板面上のニッケル薄板501及びボディプレート502のそれぞれの被接合面に、金(Au)、金錫(Au−Sn)合金又はインジウム(In)の内いずれか1つを適宜選択した同じ材料でもって金属層(546及び547)を設け、この金属層(546及び547)同士を重ねた後、重ね合わせた金属層を加熱しながら加圧して接合することができる。接合部の加熱温度は、金の場合は、400℃程度、金錫合金の場合は、200℃程度、インジウムの場合は100℃程度とするのが良い。
上記で説明した接合方法により、例えば図2を例にすると、ボディプレート202と保持基板270上に設けた薄板(膜)201とを貼り合わせた後、保持基板270を取り除く。これまでに説明した様に保持基板270上に薄板201を設ける際、保持基板270に密着性が良くなる活性化処理を行っていないことから、保持基板270は、特別な処理をすることなくボディプレート202と保持基板270とを引き離すことでボディプレート202に固定されている薄板201から容易に剥がされ取り除くことができる(図2(f))。
従って、ボディプレート202には、上記の貼り合わせ方法で固定された薄板201が存在していることになる。尚、保持基板270を除去する方法は、上記の方法に特に限定されず、ボディプレート202や薄板201に損傷を与えることなく除去する方法であれば良く、例えばSi基板であれば溶解としても良い。また、図3乃至図5で示した他の接合方法の場合も、図2を例として説明した上記と同様として保持基板を除去すればよい。
この後、例えば図2を例とすると、薄板201に、各圧力室224に対応する圧電素子203をそれぞれ設けることで、液体吐出ヘッド20Aを完成させることができる。図3乃至図5で示した薄板にも、図2を例として説明した上記と同様として圧電素子を設けることで、液体吐出ヘッドを完成させることができる。
また、図2において、ノズルの吐出孔213が設けてある吐出面には、撥液層228が設けられている。撥液層228は、例えば、液体が水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体が油性であれば撥油性を有する材料が用いられるが、一般に、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布や蒸着等の方法で吐出面に成膜されている。なお、撥液層228は、吐出面に直接成膜してもよいし、撥液層228の密着性を向上させるために中間層を介して成膜しても良い。また、図3乃至図5で示した吐出面にも図2を例として説明した上記と同様にして撥液層を設けることができる。
尚、図2乃至図5で示すボディプレートは、ノズルを有する部分と圧力室溝等を有する部分とを1体化している構成とするのが好ましい。この一体化している構成とすることで、ノズルと圧力室溝との相互の位置を容易に精度良く形成することができる。また、図7に示す、ノズル710を有する部分をノズルプレート702bとし、圧力室溝724等を有する部分をボディプレート702aとする分離した構成とするのが好ましい。ノズルプレートとボディプレートとを分離することで、それぞれに必要な特性、加工精度、作製の容易さ等に適した材料を選択可能とすることができる。
ノズルプレートとボディプレートとを分離した構成とする場合、ボディプレート702aは加工精度の良いSiからなるのが好ましく、また、ノズルプレート702bは、体積抵抗率が1015Ω・m以上とするガラス(以降、高抵抗ガラスと称する。)又は体積抵抗率が1015Ω・m以上とする樹脂(以降、高抵抗樹脂と称する。)から形成するのが好ましい。高抵抗ガラスとしては、例えば石英、合成石英、高純度ガラス等から適宜選べば良く、高抵抗樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)等から適宜選べば良い。
高抵抗ガラスにノズルを設けてノズルプレートを作製する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば高抵抗ガラス基板を用いてフッ化カーボン、フッ化水素化カーボン系ガスを反応ガスとするドライエッチング処理を行う方法がある。また、高抵抗樹脂にノズルを設けてノズルプレートを作製する方法としては、特に限定されるものはなく、例えば樹脂成形方法や塗布した樹脂膜に公知のフォトリソグラフィ技術を用いる方法がある。
また、ボディプレート702aと薄板701との貼り合わせは、特に限定されるものではなく、上記で説明した接着剤、陽極接合法、分子間力接合法及び金属接合法等と同じで良い。更に、ボディプレート702aとノズルプレート702bとの張り合わせに関しても、特に限定されるものではなく、上記に挙げた方法等を適宜用いれば良い。
発明者らが、図8に示す液体吐出実験装置S’を使用して電極間の電界の電界強度が実用的な値である1.5kV/mmとなるように構成し、各種の絶縁体でノズルプレート11’を形成して下記の実験条件に基づいて行った実験では、ノズル10’から液滴D’が吐出される場合と吐出されない場合があった。
[実験条件]
ノズルプレート11’の吐出面12’と対向電極3’の対向面との距離:1.0mm
ノズルプレート11’の厚さ:125μm
ノズル径:10μm
静電電圧:1.5kV
駆動電圧:20V
液体吐出実験に使用した実験用液体吐出ヘッドA’のノズル10’には4°のテーパ角を持っている。このテーパ角は、ノズル10’の断面において、吐出面12’に対する垂線から吐出面12’から離れる方向に広がる角度を示している。尚、このテーパ角は、吐出に対する影響は小さく、液滴を安定に吐出する条件への依存性は大きくないことが後で説明するシミュレーションから得られている。
ここで、液体吐出ヘッドにおける液体の吐出原理について図8を用いて説明する。実験用液体吐出ヘッドA’では、静電電圧電源63’から静電電圧印加手段である帯電用電極16’に静電電圧を印加し、ノズル10’の吐出孔13’の液体L’と対向電極3’の実験用液体吐出ヘッドA’に対向する対向面との間に電界を生じさせる。また、駆動電圧電源61’から圧力発生手段であるピエゾ素子22’に駆動電圧を印加してピエゾ素子22’を変形させ、それにより液体L’に生じた圧力でノズル10’の吐出孔13’に液体L’のメニスカスを形成させる。
ノズル10’部の絶縁性が高くなると、図9にシミュレーションによる等電位線で示すように、ノズル10’の内部に、吐出面12’に対して略垂直方向に等電位線が並び、液体Lのメニスカス部分に向かう強い電界が発生する。
特に、図9でメニスカスの先端部では等電位線9−1が密になっていることから分かるように、メニスカス先端部では非常に強い電界集中が生じる。そのため、電界の静電力によってメニスカスが引きちぎられてノズル内の液体L’から分離されて液滴D’となる。さらに、液滴D’は静電力により加速され、対向電極3’に支持された基材K’に引き寄せられて着弾する。その際、液滴D’は、静電力の作用でより近い所に着弾しようとするため、基材K’に対する着弾の際の角度等が安定し正確に行われる。
このように、実験用液体吐出ヘッドA’における液体L’の吐出原理を利用すれば、フラットな吐出面を有する実験用液体吐出ヘッドA’においても、高い絶縁性を有するノズル10’部を用い、吐出面12’に対して垂直方向の電位差を発生させることで強い電界集中を生じさせることができ、正確で安定した液体L’の吐出状態を形成することができる。
この液体吐出実験装置S’による実験で、液滴D’がノズルから安定に吐出されたすべての場合について、メニスカス先端部の電界強度を求めた。実際には、メニスカス先端部の電界強度を直接測定することが困難であるため、電界シミュレーションソフトウエアである「PHOTO−VOLT」(商品名、株式会社フォトン製)によるシミュレーションにより算出した。ここでの電界強度は、電流分布解析モードによる、電圧印加後300秒後の電界強度を言う。その結果、すべての場合においてメニスカス先端部の電界強度は1.5×107V/m以上であった。また、この実験において、液滴D’がノズルから安定して吐出されない場合についても、上記と同様のシミュレーションによりメニスカス先端部の電界強度を算出した。その結果、1.5×107V/m未満であった。
また、上記の実験条件と同様のパラメータを同ソフトウエアに入力してメニスカス先端部の電界強度を計算した結果、図10に示すように、電界強度はノズルプレート11’に用いる絶縁体の体積抵抗率に強く依存することが分かった。また、ノズル10’から液滴D’を安定に吐出させるためにはメニスカス先端部の電界強度が1.5×107V/m以上であることが必要であることが上記の実験より得られていることから、図10から明らかなように、ノズルプレート11’の体積抵抗率は1015Ω・m以上であればよいことが分かった。
なお、図10に示したようなメニスカス先端部の電界強度のノズルプレート11’の体積抵抗率に対する特徴的な依存関係は、ノズル径を種々に変化させてシミュレーションを行った場合でも同様に得られており、どの場合も体積抵抗率が1015Ω・m以上の場合にメニスカス先端部の電界強度が1.5×107V/m以上になることが分かっている。
従って、図6に示す液体吐出ヘッドAにおいて、体積抵抗率が1×1016Ω・m程度であるSiO2層43をボディプレート2の吐出面12に設けるのが好ましく、液体吐出ヘッドAは、SiO2層43を持つことで、上記の必要な体積抵抗率を十分満たすことができることから、吐出孔13に形成される液滴のメニスカス先端部の電界強度が1.5×107V/m以上になることが出来る。更に、SiO2層43は、吐出される液体を無機液体、有機液体及び高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストのいずれを用いてもこれらの液体を吸収することによる体積抵抗率の低下を懸念する必要がない。従って、ボディプレートAの吐出面12近傍の体積抵抗率は必要な値を維持出来ることからメニスカス先端部の電界強度が安定して1.5×107V/m以上となることが出来る。従って、液体の吐出が安定して行われることが出来ることになる。
また、図7に示す液体吐出ヘッド70Aは、ノズルプレート702bとボディプレート702aとから構成されている。この場合、ノズルプレート702bの吐出面712に上記と同様にSiO2層743を設けるのが好ましい。また、ノズルプレート702bが高抵抗ガラス又は高抵抗樹脂から形成される場合は、SiO2層743を設けなくても良い。SiO2層743を設ける場合、高抵抗ガラス又は高抵抗樹脂を用いる場合の何れにおいても、上記の必要な体積抵抗率を十分満たすことができ、吐出孔713に形成される液滴のメニスカス先端部の電界強度は、1.5×107V/m以上となることが出来る。
尚、ノズルプレート702bの樹脂が導電性の液体を吸収する場合、ノズルプレート702bの電気伝導度が大きくなり、その結果体積抵抗率が低下する場合がある。このような場合には、ノズルプレート702bの吐出される液体と接触する面に液体吸収防止層を設ければ良い。
更に、図8に示すノズルプレート11’のノズル10’を図6に示す吐出孔13と同径の筒状とするテーパを持たない貫通した穴形状とした場合、ノズルプレート11’の厚みを10μm、20μm、50μm、100μmとするパラメータとして、ノズル径を変化させた場合のメニスカス先端部の電界強度のシミュレーション結果を図11に示す。
図11より、ノズル径が小さくなる程、またノズルプレートの厚みが厚くなる程メニスカス先端部の電界強度が大きくなることが分かる。ノズル10’から液滴D’が安定に吐出されるためにはメニスカス先端部の電界強度が1.5×107V/m以上であることが必要であることから、例えばノズルプレートの厚みを10μmとする場合は、ノズル径を4μm未満とすることで液滴を安定して吐出させることができる。さらに、例えばノズルプレートの厚みを20μmとする場合はノズル径を6μm未満に、ノズルプレートの厚みを50μmとする場合はノズル径を11μm未満に、ノズルプレートの厚みを100μmとする場合はノズル径を24μm未満にすることで液滴を安定に吐出させることができる。
例えばノズル径を5μmとする場合、図7に示す高抵抗ガラスからなるノズルプレート702bの厚み又は図6に示すボディプレート2の吐出面に設けるSiO2層43の厚みを約20μm以上とすることで液滴Dを安定して吐出させることができる。
このように、高抵抗ガラスからなるノズルプレート702bの厚み又はボディプレート2の吐出面に設けるSiO2層43の厚みを、図11を参照又はこの図11を求めたシミュレーションを用いて所望のノズル径より適宜決める値とすることにより、安定に液滴を吐出することができる液体吐出ヘッドを得ることができる。
なお、本実施形態では、ピエゾ素子22の変形により形成されたメニスカスを静電吸引力で分離して液滴化し、静電電圧による電界で加速して基材Kに着弾させる構成としているが、この他にも、例えば、ピエゾ素子22の変形による圧力のみで液体Lが液滴化する程度の強い駆動電圧を印加するように構成することも可能である。
以下、実施例を以下に説明する。ボディプレートの吐出面にノズル径10μmとする32個のノズル、これと反対面側の圧力室溝、共通流路溝、および共通流路溝と圧力室溝とを結ぶ流路溝等の形成は、Si基板を用いて実施例1から3の何れにおいても同じ公知のフォトリソグラフィ技術(レジスト塗布、露光、現像)とICP(Inductive Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)を用いた異方性ドライエッチング技術を用いて形成した。
液体吐出の実験には、エタノールに染料(CIアシッドレッド1)を3質量%含有した導電性の液体を用いた。
尚、異方性ドライエッチング技術は、高アスペクト比(加工された凹部の深さと幅の比であり、アスペクト比が高いとは、溝の深さが深く幅が狭い状態を表す。)の構造を得るための技術であって、エッチングの最中にエッチングにより加工された凹部の側壁を保護するためにエッチング反応を生じさせる化学種(ラジカル、イオン等)を発生させるサイクルと、側壁を保護するための保護膜を堆積させるサイクルとを交互に行うエッチング処理のことである。この異方性ドライエッチング技術を用いることでシリコン基板に形成される凹部の側壁は基板表面に対して垂直に加工できる。本実施例の溝や穴等の形成のエッチングガスとしてはSF6を、側壁保護膜の堆積用ガスとしてはC48を用いた。
(実施例1)
図2に示す製造工程に沿って説明する。Siからなるボディプレート202には溝が形成されており(図2(1a))、この溝が形成されている面の反対面であるノズル210の吐出孔213がある吐出面にTEOS(テトラエトキシシラン)処理により厚み約60μmのSiO2膜243を成膜した。また、帯電用電極216としてノズル210内周面及び圧力室底部にNiP膜をRFマグネトロンスパッタ法を用いて基板温度を300℃、高周波電力500W(周波数:13.56MHz)、アルゴン雰囲気中(0.667Pa)で、0.5μmの厚みに成膜した(図2(1b))。
次に別途用意したSi基板270(図2(2a))面に活性化処理を行わないでニッケルをマグネトロンスパッタ法を用いて厚み約0.2μm成膜し、これを電鋳用電極として厚さ25μmのニッケル201を電鋳処理した(図2(2b))。
次に、先に作製したボディプレート202の溝形成面にSi基板270上のニッケル電鋳膜201をエポキシ系接着剤241を用いて貼り合わせた後(図2(e))、ボディプレート202からSi基板270を引き離すことで、容易にニッケル電鋳膜201とSi基板270とを剥離することができ(図2(f))、Si基板270の除去後、ニッケル電鋳膜201がボディプレート202に接着剤241で固定された状態となっている。
この後、ボディプレート202の吐出面側のSiO2膜243上にメルクジャパン社のEvaporation substance WR1(真空蒸着用撥水膜材料)を用いて撥液膜層228を形成し、圧力室224部分を被っているニッケル電鋳の薄板部分に厚さ50μmの圧電素子203を貼りつけて吐出ヘッド20Aを完成させた(図2(g))。
次に、吐出ヘッド20Aの圧電素子203及び帯電電極216を動作制御手段を含む静電電圧電源(静電電圧1.5kV)及び駆動電圧電源(駆動電圧20V)に接続して、この吐出ヘッド20Aの吐出面と対向電極との距離が1mmとなるように設定した。この後、吐出ヘッド20Aを約1ヶ月間動作させたところ、32個の吐出孔からのインク滴の吐出は、吐出されてないとか液量のムラがあるといった不具合は認められず、安定して動作することが確認できた。
(実施例2)
図4に示す製造工程に沿って説明する。Siからなるボディプレート402には溝が形成されており(図4(1a))、この溝が形成されている面の反対面であるノズルの吐出孔413がある吐出面にTEOS(テトラエトキシシラン)処理により厚み約60μmのSiO2膜443を成膜した。また、帯電用電極416としてノズル410内周面及び圧力室底部にNiP膜をRFマグネトロンスパッタ法を用いて基板温度を300℃、高周波電力500W(周波数:13.56MHz)、アルゴン雰囲気中(0.667Pa)で、0.5μmの厚みに成膜した(図4(1b))。
次に別途用意したSi基板470(図4(2a))面に活性化処理を行わないでPt(白金)をマグネトロンスパッタ法で厚み約1μm成膜401した(図4(2b))。
次にPt膜401の接合面442およびボディプレート402の接合面443をバフ研磨を行い表面粗さをRa<10nmとした。その後、Pt膜を有するSi基板470とボディプレート402との位置関係を整えて両研磨面を接触させ全面に均一に2.94×104Paの圧力をかけた。予め行った接合実験を参考にして加圧開始から約10分経過したところでボディプレート402とPt膜401との分子間接合が完了したとした(図4(e))。
次に、ボディプレート402からSi基板470を引き離すことで、容易にPt膜401とSi基板470とを剥離することができ(図4(f))、Si基板470の除去後、Pt膜401がボディプレート402に分子間力で固定された状態となっている(図4(f))。
この後、ボディプレート402の吐出面側のSiO2膜443上にメルクジャパン社のEvaporation substance WR1(真空蒸着用撥水膜材料)を用いて撥液膜層428を形成し、圧力室424部分を被っているPt膜の薄板部分に厚さ50μmの圧電素子403を貼りつけて吐出ヘッド40Aを完成させた(図4(g))。
次に、吐出ヘッド40Aの圧電素子403及び帯電電極416を動作制御手段を含む静電電圧電源(静電電圧1.5kV)及び駆動電圧電源(駆動電圧20V)に接続して、この吐出ヘッド40Aの吐出面と対向電極との距離が1mmとなるように設定した。この後、吐出ヘッド40Aを約1ヶ月間動作させたところ、32個の吐出孔からのインク滴の吐出は、吐出されてないとか液量のムラがあるといった不具合は認められず、安定して動作することが確認できた。
(実施例3)
本実施例は、Si基板270に設ける薄膜201がポリイミド樹脂である以外は図2に沿って説明した実施例1と同じ製造工程であるため、図2に沿って説明する。
Siからなるボディプレート202には溝が形成されており(図2(1a))、この溝が形成されている面の反対面であるノズル210の吐出孔213がある吐出面にTEOS(テトラエトキシシラン)処理により厚み約60μmのSiO2膜243を成膜した。また、帯電用電極216としてノズル210内周面及び圧力室底部にNiP膜をRFマグネトロンスパッタ法を用いて基板温度を300℃、高周波電力500W(周波数:13.56MHz)、アルゴン雰囲気中(0.667Pa)で、0.5μmの厚みに成膜した(図2(1b))。
次に別途用意したSi基板270面に活性化処理を行わないでスピンコート法でポリイミド樹脂を厚さ3μm塗布した(図2(2b))。
次に、先に作製したボディプレート202の溝形成面にSi基板270上のポリイミド樹脂膜201をエポキシ系接着剤241を用いて貼り合わせた後(図2(e))、ボディプレート202からSi基板270を引き離すことで、容易にポリイミド膜201とSi基板270とを剥離することができ(図2(f))、Si基板270の除去後、ポリイミド膜201がボディプレート202に接着剤で固定された状態となっている(図2(f))。
この後、ボディプレート202の吐出面側のSiO2膜243上にメルクジャパン社のEvaporation substance WR1(真空蒸着用撥水膜材料)を用いて撥液膜層228を形成し、圧力室224部分を被っているニッケル電鋳の薄板部分に厚さ50μmの圧電素子203’を貼りつけて吐出ヘッド20Aを完成させた(図2(g))。
次に、吐出ヘッド20Aの圧電素子203及び帯電電極216を動作制御手段を含む静電電圧電源(静電電圧1.5kV)及び駆動電圧電源(駆動電圧20V)に接続して、この吐出ヘッド20Aの吐出面と対向電極との距離が1mmとなるように設定した。この後、吐出ヘッド20Aを約1ヶ月間動作させたところ、32個の吐出孔からのインク滴の吐出は、吐出されてないとか液量のムラがあるといった不具合は認められず、安定して動作することが確認できた。
本実施形態の液体吐出ヘッドの構成の1例を示す図である。 本実施形態の液体吐出ヘッドを構成するボディプレートと薄板とを接合する一例を模式的に示す図である。 本実施形態の液体吐出ヘッドを構成するボディプレートと薄板とを接合する一例を模式的に示す図である。 本実施形態の液体吐出ヘッドを構成するボディプレートと薄板とを接合する一例を模式的に示す図である。 本実施形態の液体吐出ヘッドを構成するボディプレートと薄板とを接合する一例を模式的に示す図である。 本実施形態の一例である液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置例の全体構成を示す図である。 本実施形態の一例である液体吐出ヘッドの構成の一例を示す図である。 液体の吐出条件を検討するために使用した実験用液体吐出ヘッドを示す図である。 シミュレーションによるノズルの吐出孔付近の電位分布を示す模式図である。 ノズルプレートの体積抵抗率とメニスカス先端部の電界強度との関係を示す図である。 ノズル径とメニスカス先端部の電界強度との関係をノズルプレートの厚さをパラメータにして示す図である。
符号の説明
213、13 吐出孔
210、10 ノズル
216、16 帯電用電極
202、2 ボディプレート
243、43 SiO2
224、24 圧力室(溝)
270 保持基板
201、1 薄板(膜)
241 接着剤
203、22 ピエゾ素子
228、28 撥液層
20A、A 液体吐出ヘッド
S 液体吐出装置
3 対向電極
E 動作制御手段
63 静電電圧電源
61 駆動電圧電源
L 液体
D 液滴
K 基材

Claims (13)

  1. 吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルと、
    前記ノズルに連通する圧力室となる圧力室溝と、
    前記圧力室溝を被う振動板と、
    前記振動板の前記圧力室溝側と反対側の面に電気機械変換素子を有している液体吐出ヘッドの製造方法において、
    表面形状が鏡面形状とされた保持基板の前記鏡面上に接して前記振動板となる膜を形成する膜形成工程と、
    前記圧力室溝が形成されているボディプレートの前記圧力室溝が形成されている面と前記保持基板上の前記膜が形成されている面とを接合する接合工程と、
    前記膜と前記保持基板とを引き離すことで前記膜から前記保持基板を剥がして分離して該保持基板を除去する除去工程とを有し、
    前記保持基板が除去された後の前記膜上に前記電気機械変換素子を設けることを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記膜形成工程は、前記保持基板の前記鏡面上に、前記振動板となる金属膜を形成することを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記膜形成工程は、前記保持基板の前記鏡面上に、前記振動板となるポリイミド樹脂からなる樹脂膜を形成することを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記膜形成工程は、前記保持基板の前記鏡面上に、前記振動板となる金属膜を形成し、
    前記接合工程は、前記金属膜と前記ボディプレートの前記圧力室溝が形成されている面との接合面のそれぞれにバフ研磨を行って表面粗さをRa<10nmとした後に、前記ボディプレートと前記保持基板との両研磨面を接触させて圧力をかけることにより両者を分子間接合することを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記保持基板の前記鏡面上には、前記膜の密着性を良くするための活性化処理が施されていないことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記圧力室溝が形成されているボディプレートに前記ノズルが形成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記ノズルが形成されたノズルプレートと、前記圧力室溝が形成されたボディプレートとを接合する工程を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記ボディプレートは、Siから形成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記ノズルの吐出孔が存在する面に、SiO層を設ける工程を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記ノズルプレートは、体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラス又は樹脂から形成されていることを特徴とする請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記ノズルの吐出孔が存在する最表面に撥液処理を行う工程を有することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  13. 前記ノズル内の前記液体と前記吐出孔が存在する面に対向して設けられた基材との間に電界を形成し静電吸引力を発生するための静電電圧印加手段を備えていることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
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