JP2000334965A - ノズル形成部材及びインクジェットヘッド並びにノズル形成部材の製造方法 - Google Patents

ノズル形成部材及びインクジェットヘッド並びにノズル形成部材の製造方法

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JP2000334965A
JP2000334965A JP14907599A JP14907599A JP2000334965A JP 2000334965 A JP2000334965 A JP 2000334965A JP 14907599 A JP14907599 A JP 14907599A JP 14907599 A JP14907599 A JP 14907599A JP 2000334965 A JP2000334965 A JP 2000334965A
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ink
forming member
nozzle
nozzle forming
organic film
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JP14907599A
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Takeshi Nanjo
健 南條
Shigeru Kanehara
滋 金原
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 インクジェット記録装置において、高速及び
高解像度の記録を行うために、ノズルの狭ピッチが図
れ、インク滴吐出特性の良好なノズル形成部材及びノズ
ル形成部材を歩留まり良く製造できるノズル形成部材の
製造方法を提供する。 【解決手段】 ノズル孔31は、インク吐出方向とノズ
ル孔内周面の接線方向のなす角度θが少なくともインク
吐出面側内周面31aとインク流入面側内周面31bで
異なり、且つ、角度θが連続的に変化する部位36を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットヘッ
ド及びその製造方法並びにノズル形成部材及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置等の画像形成装置として用いるインクジェット記録
装置においては、インク滴を吐出する複数のノズルと、
各ノズルが連通する液流路(加圧室、吐出室、加圧液
室、圧力室、インク室、液室などとも称される。)を形
成する液流路形成部材と、各液流路内のインクを加圧し
てノズルからインク滴を吐出させるためのエネルギーを
発生する圧電素子等の電気機械変換素子、或いはヒータ
等の電気熱変換素子、若しくは電極及び振動板などの静
電気力発生手段などからなるエネルギー発生手段(アク
チュエータ素子)とを備えたインクジェットヘッドを搭
載し、このヘッドのアクチュエータ素子を画像情報に応
じて駆動することで所要のノズルからインク滴を吐出さ
せて画像を記録する。
【0003】このようなインクジェット記録装置のイン
クジェットヘッドはエネルギー発生手段を駆動すること
によってノズルから液滴化したインクを吐出飛翔させて
記録を行なうため、ノズル孔の形状、精度がインク滴の
噴射特性に影響を与えると共に、ノズル孔を形成してい
るノズル形成部材の表面特性がインク滴の噴射特性に影
響を与える。例えば、ノズル形成部材表面(インク吐出
面)のノズル孔周辺部にインクが付着して不均一なイン
ク溜りが生じると、インク滴の噴射方向が曲げられた
り、インク滴の大きさにばらつきが生じたり、インク滴
の飛翔速度が不安定になる等の不都合がある。
【0004】そこで、従来からノズル形成部材の表面に
撥水性(撥インク性)を有する表面層(膜)を設けるこ
とで不均一なインク溜りが発生することを防ぐ方法が知
られている。例えば、シリコン系撥水剤、フッ素系撥水
剤などの撥水剤を塗布する方法(特開平55−6556
4号公報、特開平9−76512号公報参照)、フロロ
アルコキシシランなどで表面処理する方法(特開昭56
−89569号公報参照)、フッ素系化合物やシラン系
化合物のプラズマ重合物を形成する方法(特開昭64−
87359号公報参照)、フッ素系高分子共析メッキで
撥水膜を形成する方法(特開平63−3963号公報、
特開平4−294145号公報、特開平7−12522
0号公報、特開平7−52382号公報、特開平8−2
44235号公報参照)などがある。
【0005】これらの従来の各種ノズル形成部材及びそ
の製造方法について図12以降を参照して説明する。 (従来技術1)電鋳法を用いた一般的なノズル形成部材
及び撥水性表面層の作製方法について図12を参照して
説明すると、同図(a)に示すように導電性を有する基
板101上にノズル孔に相当する箇所に有機レジスト1
02をパターニングし、さらに電鋳法によりノズル形成
部材となる金属膜103を等方的に形成した後、同図
(b)に示すように金属膜103を剥離してノズル形成
部材を得る。この場合、基板101側と接していた開口
部がインク吐出口107となり、それに相対する開口部
がインク流入口108となる(同図(e)参照)のが一
般的である。なお、「インク吐出口」はノズル孔のイン
ク吐出面側開口部を、「インク流入口」はノズル孔のイ
ンク流入面(液室面)側開口部を意味する用語として用
いる。
【0006】そこで、同図(c)に示すように、シール
部材104によって金属膜103表面をシールした後、
同図(d)に示すように、インク流入口108側より有
機膜105等を充填した後シール部材104を除去し、
金属膜103表面に電解共祈メッキ法等により金属とポ
リテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」とい
う。)の共析メッキ膜からなる撥水性表面層106を形
成し、同図(e)に示すように有機膜105を除去し
て、撥水性表面層106を有するノズル形成部材103
を完成する。
【0007】(従来技術2)次に、特開昭63−396
3号公報に開示されたノズル形成部材及び撥水性表面層
の作製方法を図13を参照して説明すると、基板201
上に離型層202を形成して、更にノズル孔に相当する
箇所にドライフィルムレジスト203をパターニングす
る。そして、同図(b)に示すように、殿中法によりノ
ズル形成部材となる金属膜103を成膜した後、連続し
て四フッ化樹脂を含んだ金属メッキ層からなる撥水性表
面層106を形成し、同図(c)に示すように離型層2
02及び基板201を除去し、撥水性表面層106を有
するノズル形成部材103を完成する。
【0008】(従来技術3)次に、特開昭62−234
941号公報や特開平10−16236号公報に開示さ
れているノズル形成部材について図13を参照して説明
すると、同図(a)に示すように、導電性を有する基板
101上にノズル孔に相当する箇所に有機レジスト10
2をパターニングした後、有機レジスト102上に有機
レジスト膜301をインク流入面側開口径(吐出口径)
の寸法でパターニングする。
【0009】そして、同図(b)に示すように、電鋳法
によりノズル形成部材となる金属膜103を等方的に形
成する。但し、上述した従来技術1と異なり、ノズル孔
に相当する箇所においては有機レジスト膜301が金属
膜103の堆積の方向を規定する。そこで、同図(c)
に示すように、金属膜103を基板101から剥離して
有機レジスト102及び有機レジスト301を除去す
る。この場合も、基板101側と接していた開口部がイ
ンク吐出口107となり、それに相対する開口部がイン
ク流入口108となるのは上記従来技術1と同様であ
る。
【0010】次いで、同図(d)に示すように、シール
部材104により金属膜103表面をシールし、同図
(e)に示すように、インク流入口108側より有機膜
105等を充填した後シール部材104を除去し、金属
膜103表面に電解共析メッキ法等により金属とPTF
Eの共析メッキ膜からなる撥水性表面層106を形成す
る。その後、同図(f)に示すように、有機膜105を
除去して、機水性表面層106を有するノズル形成部材
103が完成する。
【0011】(従来技術4)次に、実開平1−7414
2号公報に開示されているノズル形成部材について図1
5を参照して説明すると、このノズル形成部材は、ノズ
ル孔400の内周面(内壁面)に、インク吐出口401
側の開口径をインク流入口403側の開口径よりも小さ
くする段部402を一個所以上形成したものである。
【0012】このノズル形成部材のノズル孔400はイ
ンク吐出面側(上部)の内周部接線方向とインク吐出方
向は平行であり、インク流入面側(下部)の内周部接線
方向とインク吐出方向も平行である。すなわち、上部と
下部の内周部は平行であり、また、上部と下部をつなぐ
段部402は鋭角的(以下「不連続的」という。)であ
る。
【0013】(従来技術5)次に、特開平10−162
36号公報の従来技術等として開示されているノズル形
成部材について図16を参照して説明すると、このノズ
ル形成部材はプレス加工等により作製されており、ノズ
ル孔500はインク吐出口(表面)501側の開口径が
インク流入口(裏面)503側の開口径よりも小さくな
っており、かつ、インク吐出方向とノズル孔内周面の接
線方向のなす角度が、任意の部位502においてインク
吐出面側とインク流入面側で異なっているが、角度が変
化する部位502は不連続的である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術1の
ノズル形成部材及びその製造方法にあっては、図12
(e)に示すように、金属膜103の膜厚をxμm、イ
ンク吐出口107の径をyμmとすると、電鋳法による
ノズル孔の形成が等方的であるため、インク流入口10
8の概略の径は2x+yμmとなる。したがって、高速
及び高解像度の記録を行うために必要である隣接ノズル
孔間の狭ピッチ化が困難であると共に、狭ピッチ化を図
るために金属膜(ノズル形成部材)の膜厚xμmを小さ
くすると、生産上の歩留まりが低下し、ノズル形成部材
の信頼性も低下する。
【0015】また、従来技術2のノズル形成部材及びそ
の製造方法にあっては、金属膜の膜厚相当の膜厚で形成
するドライフィルムレジスト203の上方の任意の箇所
における外径がインク吐出口の径yμmとなり、ドライ
フイルムレジスト203最下部の外径がインク流入口の
径となる。
【0016】ここで、ノズル形成部材となる金属膜の膜
厚を実用上適した膜厚、例えば50〜100μmとする
場合、上記ドライフィルムレジストをそれ以上の膜厚
で、写真製版法により、垂直に露光及び現像しなければ
ならない。このとき、ドライフィルムレジストの上面が
インク吐出口の径を規定するため、その径の制御が高精
度に行わなければならない。特に、高速及び高解像度の
記録を行うためにはノズル径の制御が重要であるが、上
述したように50〜100μm高さの部位でドライフィ
ルムレジストの径を高精度に制御することは困難であ
り、インク滴吐出特性(インク滴噴射特性)にバラツキ
が生じ、また製造上も歩留りが低下する。
【0017】さらに、従来技術3のノズル形成部材及び
その製造方法にあっては、上述した従来技術1及び2の
ような問題は有しないが、従来技術1と同様にシール部
材をノズル形成部材上に形成した後有機膜等をノズル孔
内に充填し、撥水性表面層を形成するという工程数の長
い工法をとらざるを得ない。そのために、歩留まりが低
下して、製造コストが高くなる。
【0018】次に、従来技術4のノズル形成部材にあっ
ては、ノズル孔内の段部が不連続的であるため、この段
部にインク吐出時に気泡溜りが生じ易く、また段部でエ
ネルギー発生手段より伝わるエネルギーの損失が発生し
易いために、インク滴吐出特性が低下する。
【0019】また、従来技術5のノズル形成部材にあっ
ても、ノズル孔内周面が吐出方向に不連続的に変化する
ために、エネルギー発生手段より伝わるエネルギーの損
失が発生し易く、インク滴吐出特性が低下する。
【0020】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、狭ピッチを図れ、インク滴吐出特性の良好なノ
ズル形成部材及びインクジェットヘッドを提供し、ま
た、かかるノズル形成部材を歩留まり良く製造できるノ
ズル形成部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るノズル形成部材は、ノズル孔を、イン
ク吐出方向とノズル孔内周面の接線方向のなす角度が少
なくともインク吐出面側とインク流入面側で異なり、且
つ、前記角度が連続的に変化する部位を有する構成とし
たものである。
【0022】ここで、インク流入面側の任意の角度を有
する部位の厚さはこれと異なる角度を有する部位の厚さ
に対して1.0〜2.0倍の厚さにすることが好まし
い。また、インク吐出面側の任意の角度を有する部位の
厚さが10μmを下回らないようにすることが好まし
い。さらに、インク吐出方向とノズル孔内周面の接線方
向のなす角度はインク吐出面側よりもインク流入面側を
小さくするか、或いはインク吐出面側よりもインク流入
面側を大きくするかいずれでもできる。
【0023】本発明に係るインクジェットヘッドは、上
述したノズル形成部材を用いたものである。
【0024】本発明に係るノズル形成部材の製造方法
は、上述したノズル形成部材を製造する方法であって、
少なくとも表面が導電性を有する基板上に第1の感光性
有機膜を形成し、第1のマスク部材を介して露光した
後、第2の感光性有機膜を形成し、第2のマスク部材を
介して露光し、次いで、これらの第1、第2の感光性有
機膜を一括して現像して、ノズル孔部位に相当する箇所
に積層の有機膜パターンを形成した後、金属膜を形成す
る構成としたものである。
【0025】ここで、第1の感光性有機膜を露光した後
第2の感光性有機膜を形成する前に第1の感光性有機膜
を過熱処理することができる。また、基板上に形成する
金属膜は有機膜パターンの膜厚より薄い膜厚にすること
が好ましく、更に金属膜を形成した後連続して撥水性を
有する表面層を形成することが好ましい。この撥水性を
有する表面層としてPTFEと金属の複合膜を共析メッ
キ法により形成することができる。
【0026】また、基板表面の法線方向と露光及び現像
された第1の感光性有機膜のテーパー部がなす角度が、
基板表面の法線方向と露光及び現像された第2の感光性
有機膜のテーパー部がなす角度に比べて小さくなるよう
に、或いは逆に大きくなるようにすることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用したイン
クジェットの模式的断面説明図、図2は同ヘッドの図1
と直交する方向の模式的断面説明図である。
【0028】このインクジェットヘッドは、振動板基板
1と、この振動板基板1の下側にギャップ部材2を介し
て設けた電極基板3と、振動板基板1の上側に設けた液
室基板4と、この液室基板4上に設けたノズル形成部材
であるノズルプレート5とを備え、複数のノズル6と、
各ノズル6が連通する吐出室7と、各吐出室7にインク
を供給するための共通インク室8と、各吐出室7と共通
インク室8とを連通する流体抵抗部9などを形成してい
る。
【0029】振動板基板1には、吐出室7及びこの吐出
室7の底部をなす振動板11を形成する凹部12と、共
通インク室8を形成する凹部13、流体抵抗部9を形成
する溝部14などを形成している。この振動板基板1
は、SUS基板などの金属基板、シリコン基板等をエッ
チングすることで所望の微細な液室を構成するパターン
を形成したものである。
【0030】電極基板3にはギャップ部材2で形成され
る所定のギャップを置いて振動板11に対向する個別電
極15を埋設し、この個別電極15と振動板11とによ
って、振動板11を変位させて吐出室7の内容積を変化
させるアクチュエータ部を構成している。なお、個別電
極15表面には振動板11とのショートなどを防止する
ための酸化膜などからなる保護膜16を設けている。
【0031】液室基板4には吐出室7及び共通インク室
8を形成する貫通部16、18などを形成している。そ
して、この液室基板4上にノズル6を有するノズルプレ
ート5を設けている。また、このノズルプレート5のイ
ンク吐出面側には撥水性表面層19を形成している。
【0032】これらの振動板基板1、ギャップ部材2、
電極基板3、液室基板4及びノズルプレート5は、直接
接合、共晶接合、陽極接合、接着剤による接合等によっ
て接合している。
【0033】このインクジェットヘッドにおいては、駆
動波形を個別電極15に印加して振動板11と電極15
との間に充電することで電荷によるクーロン力を発生さ
せ、振動板11を電極15側に撓ませて、吐出室7の容
積を拡大する。この状態から、電極15と振動板11と
の間の電荷を急激に放電させることにより、振動板11
はその弾性復元力によって復帰し、吐出室7内の容積が
急激に収縮し、このとき発生するインク圧力によってノ
ズル6からインク滴が吐出される。
【0034】そして、再度電極15に駆動波形を印加し
て振動板11を電極15側に変位させてその状態に保持
し、インク滴吐出により吐出室7内に負圧が生じて共通
インク室8からインク供給路(流体抵抗部)9を通じて
吐出室7内にインクが供給され、ノズル6内のインクメ
ニスカスがある程度安定した状態で、次のインク滴吐出
行程へと移行する。
【0035】ここで、ノズルプレート5を構成する本発
明に係るノズル形成部材の第1実施形態について図3を
参照して説明する。なお、同図(a)はノズル孔付近の
要部説明図、同図(b)は(a)の要部拡大図である。
【0036】このノズル形成部材30にはノズル6を構
成するノズル孔31を形成している。このノズル孔31
は、同図(a)に示すようにインク吐出面側の開口(イ
ンク吐出口)32の開口径(これを「吐出口径」とい
う。)をインク流入面側の開口(インク流入口)33の
開口径よりも小さく形成している。
【0037】このノズル孔31は、ノズル形成部材30
のインク吐出方向とノズル孔31内周面の接線方向のな
す角度(これを「角度θ」で標記する。)が吐出面側と
流入面側で異なる2つのノズル孔内周面31aを形成す
る部位34及びノズル孔内周面31bを形成する部位3
5と、これらの各周面31a、31bの境界部を連続的
に形成する部位(これを「中間部位」という。)36と
で形成している。
【0038】ここで、インク吐出面側のインク孔内周面
31aはインク吐出方向と内周面の接線方向のなす角
度、すなわち線cと線aとで形成される角度を角度θ1
に形成し、また、インク流入面側のインク孔内周面31
bはインク吐出方向と内周面の接線方向のなす角度、す
なわち線cと線bとで形成される角度を角度θ2に形成
している。これらの角度θ1とθ2とは、θ1>θ2、
になるように形成している。
【0039】このように、インク流入面側の部位35の
内周面31bの接線方向とインク吐出方向とのなす角度
θ2を、インク吐出面側の部位34の内周面31aの接
線方向とインク吐出方向とのなす角度θ1に比べて小さ
くする(θ2<θ1)ことで、インク吐出面側の部位3
4の内周面31aを同図に代表される逆テーパー形状に
形成できる。
【0040】そして、インク滴吐出における吐出時のイ
ンク液面のメニスカス位置をノズル孔のインク吐出口側
端部に設定した場合、上記のように逆テーパー形状にす
ることにより、インク吐出口側端部が鋭角的であること
から、吐出面の表面張力及び吐出口端部のエッジ効果に
よって、インク滴のメニスカス位置をノズル孔のインク
吐出口側端部に容易に制御できるので、インク滴の吐出
特性(噴射特性)、特に吐出方向性の制御が容易にな
る。
【0041】また、同図(b)に示すようにノズル孔3
1の角度θが異なる吐出面側の部位34と流入面側の部
位35の途中に角度θが変化する中間部位36を設けて
いるが、この中間部位36は、鋭角的でなく、丸みを持
たせて滑らかに形成することによって角度θの異なる内
周面31a、31bが連続的に変化するようにしてい
る。
【0042】さらに、インク流入面側の任意の角度θ2
を有する部位35の厚さt2、これと異なる角度θ1を
有する部位34の厚さt1としたとき、厚さt2を厚さ
t1に対して1.0〜2.0倍にしている。この関係を
満足することによって、後述する本発明に係る製造方法
を用いたときの吐出口径(インク吐出口の開口径)の制
御が容易になり、また、インク滴吐出特性を安定させる
ことができる。
【0043】また、インク吐出面側の角度θ1をなす部
位34の厚さt1は10μmを下回らないようにしてい
る。これにより、後述するように、ノズル形成部材の製
造工程における吐出口径の制御が容易になり、またイン
ク滴吐出特性も安定させることができる。
【0044】このようにノズル形成部材30は、ノズル
孔31を、インク吐出方向とノズル孔内周面の接線方向
のなす角度θが少なくともインク吐出面側とインク流入
面側で異なり、且つ、角度θが連続的に変化する中間部
位36を有する構成としたので、インク流入口側からイ
ンク吐出口側へ効率的にインク滴吐出圧力を伝えること
ができ、気泡溜まり等による圧力損失が低減して、イン
ク滴吐出特性が向上する。それと共に、インク流入口側
の大きさを抑えることができて、隣接ノズル間の狭ピッ
チ化を図る場合に歩留まりが良く、ノズル径の制御が容
易な製造方法を採用することが可能になる。
【0045】次に、本発明に係るノズル形成部材の第2
実施形態について図4を参照して説明する。なお、同図
(a)はノズル孔付近の要部説明図、同図(b)は
(a)の要部拡大図である。このノズル形成部材30に
おいては、ノズル孔31のインク孔内周面31aの角度
θ1とインク流入面側のインク孔内周面31bの角度θ
2とを、上記第1実施形態とは逆に、θ1<θ2になる
ように形成している。なお、その他の構成は第1実施形
態と同様である。
【0046】このように、インク流入面側の部位35の
内周面31bの接線方向とインク吐出方向のなす角度θ
2を、インク吐出面側の部位34の内周面31aの接線
方向とインク吐出方向のなす角度θ1に比べて大きくす
る(θ2>θ1)ことにより、インク吐出面側の部位3
4の内周面31aを同図に代表されるようなほぼ垂直形
状に形成できる。
【0047】そして、インク滴吐出における吐出時のイ
ンク液面のメニスカス位置をノズル孔のインク吐出口端
部より内側(インク流入口に近づく方向)に設定した場
合に、吐出面側の部位34の内周面がほぼ垂直形状であ
ることから、インク滴のメニスカス位置が多少変化して
も液面の大きさが変わらず、インク滴の大きさ及び飛翔
初速度を制御でき、それによりインク滴吐出特性の制御
が容易になる。
【0048】次に、本発明に係るノズル形成部材の製造
方法の第1実施形態について上記第1実施形態(図3)
のノズル形成部材を製造する場合を例に図5乃至図7を
参照して説明する。なお、図5は製造工程を説明する模
式的断面説明図、図6は同製造工程の一部分の工程フロ
ーを説明するフロー図、図7は有機膜パターンの要部拡
大説明図である。
【0049】図5を主に参照して説明すると、同図
(a)に示すように、ステンレスなどの導電性基板、或
いはガラス基板表面に導体膜をスパッタリングで形成し
た基板などの導電性を有する基板41に、ネガ型レジス
ト又はドライフィルムレジスト等を用いた第1の感光性
有機膜42を形成し、露光前加熱処理を行う。
【0050】そして、同図(b)に示すように、第1の
マスク部材43を介して、密着型露光機或いは縮小露光
機を用いて、第1の感光性有機膜42を露光して、ノズ
ル孔形成箇所に流入口径に近い任意の径で、感光領域4
4を形成する第1の露光工程を行う。
【0051】次いで、同図(c)に示すように、第1の
露光工程に引き続き、第1の感光有機膜42上に、ネガ
型レジスト又はドライフィルムレジスト等を用いた第2
の感光性有機膜45を形成し、露光前加熱処理を行う。
【0052】そして、同図(d)に示すように、第2の
マスク部材46を介して、密着型露光機或いは縮小露光
機を用いて、第2の感光性有機膜45を露光し、ノズル
孔形成箇所に吐出口径に近い任意の径で、感光領域47
を形成する第2の露光工程を行う。
【0053】その後、同図(e)に示すように、第1の
感光性有機膜42と第2の感光性有機膜45を一括して
現像し、ノズル孔部位に相当する箇所に積層の有機膜パ
ターン48を形成し、現像後過熱処理を行う。
【0054】そして、同図(f)に示すように、基板4
1上に、ノズル孔に相当する箇所に積層された有機膜パ
ターン48に沿って、Ni又はNi-Co合金等の金属膜4
9を電鋳法等により形成し、同図(g)に示すように、
導電性を有する基板41及び積層の有機膜パターン48
を除去して、ノズル孔31を有するノズル形成部材30
を得る。
【0055】ここで、例えばg線の波長を有する密着型
露光機を用いて露光する場合、図7に示すように、積層
有機膜パターン48の吐出面側の部位51となる部分
は、第2のマスク材46をマスクとして該露光機の露光
量を増大させることにより、光の回折効果が増大し、順
テーパー形状に露光及び現像される。
【0056】そして、積層有機膜パターン48の中間部
位53となる部分は、上記露光時の光の回り込み及び現
像時のエッジ効果(角部ほど現像が進みやすい効果)に
よって、ノズル孔内周面とインク吐出方向のなす角度が
連続的に変わる形状(丸みを有する形状)で露光及び現
像される。
【0057】さらに、積層有機膜パターン48の流入面
側の部位52となる部分は、第1のマスク材43をマス
クとして該露光機の露光量を最適化することにより、光
の回折効果が抑制され、ほぼ垂直形状に露光及び現像さ
れる。
【0058】このようにして、インク吐出方向とノズル
孔内周面の接線方向のなす角度θが少なくともインク吐
出面側とインク流入面側で異なり、且つ、角度θが連続
的に変化する中間部位を有するノズル孔を有するノズル
形成部材が得られる。
【0059】そして、第1の感光性有機膜を第1の露光
工程で流入口径に近い寸法で露光し、第2の感光性有機
膜を第2の露光工程で吐出口径に近い寸法で露光して、
第1、第2の感光性有機膜を一括して現像することによ
り、丸みを有する(ノズル孔内周面の接線方向とインク
吐出方向の角度が連続的に変化する)中間部位に相当す
る部位を有する有機膜パターン形状を得ることができ
る。このとき、特に、比較的薄くなる第2の感光性有機
膜を解像限界に対して余裕のある露光量で露光すること
ができ、吐出口に相当する箇所の寸法制御が容易にな
り、高精度の吐出口径を有するノズルを得ることができ
る。
【0060】なお、感光性有機膜として、ネガ型のレジ
ストを用いた例で説明したが、マスク材及び露光条件を
変更することにより、ポジ型のレジストを用いても、同
様な形状の有機膜パターンを得ることができる。
【0061】また、図3に示したノズル孔31を有する
ノズル形成部材の製造方法について説明しているが、例
えば図4に示したノズル孔を有するノズル形成部材の製
造方法にも同様に適用することができる。この場合に
は、図7に示す吐出面側の部位51及び流入面側の部位
53の露光条件を最適化することにより、目的のノズル
孔に相当する箇所に、目的とする形状の積層有機膜パタ
ーンを形成することが可能になる。
【0062】すなわち、図5(e)及び図7において、
基板41表面の法線方向(基板表面に垂直な方向:線C
の方向)と露光及び現像された第1の感光性有機膜42
で形成される傾き(線Bで示す)を有するテーパー部位
52がなす角度σ2が、基板41表面の法線方向と露光
及び現像された第2の感光性有機膜45で形成される傾
き(線Aで示す)を有するテーパー部位51がなす角度
σ1に比べて小さくなるように、有機膜パターン48を
形成することで、図3に示した内周面の角度θ2が角度
θ1に対して小さくなるノズル孔を有するノズル形成部
材を得ることができる。
【0063】これに対して、図5(e)及び図7におい
て、基板41表面の法線方向と露光及び現像された第1
の感光性有機膜42で形成される傾きを有するテーパー
部位52がなす角度σ2が、基板41表面の法線方向と
露光及び現像された第2の感光性有機膜45で形成され
る傾きを有するテーパー部位51がなす角度σ1に比べ
て大きくなるように、有機膜パターン48を形成するこ
とで、図4に示した内周面の角度θ2が角度θ1に対し
て大きくなるノズル孔を有するノズル形成部材を得るこ
とができる。
【0064】ここで、前述した図3及び図4に示した吐
出面側の部位33の厚さt1及び流入側の部位34の厚
さt2と製造工程との関係などについて説明する。前述
したように、インク流入面側の任意の角度を有する部位
35の膜厚t2が、インク吐出面側の流入面側と異なる
角度を有する部位34の膜厚t1に対して1.0〜2.
0倍になるようにしている。
【0065】例えば、ノズル形成部材の製造上、ノズル
形成部材の膜厚が80μm必要な場合、第2の感光性有
機膜45で形成する吐出面側の膜厚t1を30μm、第
1の感光性有機膜42で形成する流入面側の膜厚t2を
50μm(t1に対して約1.6倍)とすることによ
り、上述した製造工程における第2の露光時に30μm
径の吐出口径に対し、30μm厚の膜厚の感光性有機膜
を解像させれば良い。
【0066】この場合、図6に示したように、ノズルの
吐出口径は第2の感光性有機膜45のパターンの途中の
部位で形成されるので、吐出口径の制御には第2の感光
性有機膜45のパターンの形状制御が重要になるが、吐
出面側の膜厚t1が30μmであるため、感光性有機膜
45の解像限界に十分余裕ができて、吐出口径の制御が
容易になり、ぱらつきが抑制され、歩留まりが向上す
る。
【0067】これに対し、ノズル形成部材のインク流入
面側の任意の角度を有する部位35の膜厚t2が、イン
ク吐出面側の流入面側と異なる角度を有する部位34の
膜厚t1に対し1.0倍未満の厚さでしかない場合、例
えば、ノズル形成部材の製造上膜厚が80μm必要であ
り、吐出面側の膜厚をt1を50μm、流入面側の膜厚
t2を30μmとした場合、第2の露光時に30μmの
吐出口径に対し、50μm厚を越える膜厚の感光性有機
膜45を解像しなければならない。これでは、第2の感
光性有機膜45の解像限界に余裕が無くなり、吐出口径
の制御が困難になり、ばらつきが増大し、歩留まりが低
下することになる。
【0068】また、ノズル形成部材のインク流入面側の
任意の角度を有する部位35の膜厚t2が、インク吐出
面側の流入面側と異なる角度を有する部位34の膜厚t
1に対し2.0倍を越える厚さを有していた場合、例え
ば、ノズル形成部材の製造上膜厚が60μm必要であ
り、流入面側の膜厚t2を45μm、吐出面側の膜厚t
1を15μmとした場合、吐出面側の膜厚が比較的薄い
膜厚となる。このとき、上記第2の露光時は、上述のよ
うに解像余裕が増加するので、吐出口径の制御は容易に
なる反面、次のように噴射特性(吐出特性)低下を招く
ことがある。
【0069】すなわち、インクジェットヘッドを駆動し
てインク滴をノズルから吐出させる場合、複数のノズル
からそれぞれオンディマンドで噴射させると、各ノズル
のメニスカス位置は吐出口端部より通常約20μm深さ
の範囲で変化する。そのため、上述したように吐出面側
の膜厚が15μmと比較的薄い膜厚であると、メニスカ
スの変動範囲がノズル孔の吐出面側の範囲で収まらず流
入面側に入ることになり、その結果噴射性能が低下する
ことがある。特に、吐出面側の膜厚t1が10μmを下
回ると、噴射特性の低下が顕著になる。
【0070】したがって、ノズル形成部材のインク流入
面側の任意の角度を有する部位の膜厚t2が、インク吐
出面側の流入面側と異なる角度を有する部位t1の膜厚
に対し1.0〜2.0倍の厚さにすることが好ましい。
また、吐出面側の部位の膜厚は10μmを下回らないよ
うにすることが好ましい。なお、この吐出面側の部位の
膜厚は10mm以上に限定されるものではないが、メニ
スカス面が流入側の部位に入らない厚さであることが好
ましい。
【0071】次に、本発明に係るノズル形成部材の製造
方法の第2実施形態について図8を参照して説明する。
なお、同図は図6と同様に同製造工程の一部分の工程フ
ローを説明するフロー図である。この実施形態において
は、上記第1実施形態の工程(図6参照)に、第1の感
光性有機膜42を露光する第1の露光工程を行った後で
第2の感光性有機膜45を形成する前に、第1の感光性
有機膜42を過熱処理する加熱処理工程を加えている。
なお、その他の工程は第1実施形態と同様である。
【0072】このように、第1の感光性有機膜42を露
光した後加熱処理を行うことによって、第1の感光性有
機膜42の架橋反応が任意に促進され、第2の露光時及
び現像時に、積層有機膜パターン48の中間部位53に
おける第1の感光性有機膜42の形状を任意の形状に制
御することができる。
【0073】この場合、ネガ型レジストに代えてポジ型
レジストを用いることもできるが、ポジ型の場合には加
熱処理により架橋した有機物の結合が切れるようにな
る。
【0074】次に、本発明に係るノズル形成部材の製造
方法の第3実施形態について前述した図6(f)を参照
にして説明する。この実施形態では、導電性を有する基
板41上に、ノズル孔に相当する箇所に積層された有機
膜パターン48に沿って形成される金属膜49の膜厚
を、積層有機膜パターン48の膜厚より薄くしている。
【0075】これにより、電鋳法等により形成された金
属膜49の吐出口が有機膜パターン48の吐出面側の外
周径によって規定され、吐出口の形状及び径の制御が容
易になる。
【0076】次に、本発明に係るノズル形成部材の製造
方法の第4実施形態について図9をも参照して説明す
る。なお、同図は図6(f)以降を示している。すなわ
ち、図9(a)に示すように金属膜49を電鋳法により
形成した後、金属とPTFEの複合膜を共析メッキ法に
より連続して成膜することで、撥水性表面層50を形成
し、その後、積層有機膜パターン48及び基板41を除
去し、ノズル形成部材30を得る。
【0077】このように撥水性表面層を形成することで
インク滴吐出特性が向上し、安定したインク滴吐出を行
うことができる。特に、金属とPTFEの共析メッキ法
で形成することにより製造が容易になる。
【0078】次に、具体的な実施例についてその異なる
例を図10及び図11を参照して説明する。先ず、図1
0に示す第1実施例は、図8で説明した実施形態で製作
したものであり、金属膜49はNiの電鋳法により成膜
し、このNi電鋳に引き続いてNiとPTFEの共析メッ
キを行ってNi−PTFE共析膜からなる撥水性表面層
50を成膜したものである。
【0079】この第1実施例のノズル孔31において
は、吐出口径は25μm、流入口径は75μmとし、吐
出面側の膜厚t1は30μm、流入面側の膜厚t2は5
0μmとした。また、吐出面側の内周面31aの接線方
向とインク吐出方向のなす角度θ1は約15°であり、
流入面側の内周面31bの接線方向とインク吐出方向の
なす角度θ2は約5°である。この角度θが連続的に変
わる中間部位34の幅は約12μmであった。
【0080】ここでは、吐出面側の内周面の接線方向と
インク吐出方向のなす角度θ1を約15°とするため
に、図5(d)における露光条件を過剰露光とし、光の
回折効果を利用して、吐出面側のレジストの順テーパ-
形状を得た。さらに、このときに用いた第2のマスク材
46の開口径は20μmあった。
【0081】また、流入面側の内周面の接線方向とイン
ク吐出方向のなす角度θ2を約5°とするために、図5
(b)における露光条件を適当な露光とし、光の回折効
果を抑制して、流入面側のレジストのほぼ垂直形状を得
ている。さらに、このときに用いた第1のマスク材の開
口径は70μmであった。
【0082】次に、図11に示す第2実施例も、図8で
説明した実施形態で製作したものであり、金属膜49は
Niの電鋳法により成膜し、このNi電鋳に引き続いてN
iとPTFEの共析メッキを行ってNi−PTFE共析膜
からなる撥水性表面層50を成膜したものである。
【0083】この第2実施例のノズル孔31において
は、吐出口径は25μm、流入口径は75μmとし、吐
出面側の膜厚t1は30μm、流入面側の膜厚t2は5
0μmとした。また、吐出面側の内周面31aの接線方
向とインク吐出方向のなす角度θ1は約5°であり、流
入面側の内周面31bの接線方向とインク吐出方向のな
す角度θ2は約15°である。この角度θが連続的に変
わる中間部位34の幅は約10μmであった。
【0084】ここでは、吐出面側の内周面の接線方向と
インク吐出方向のなす角度θ1を約5°とするために、
図5(d)における露光条件を露光条件を適当な露光と
し、光の回折効果を抑制して、吐出面側のレジストのほ
ぼ垂直形状を得ている。このときに用いた第2のマスク
材46の開口径は25μmあった。
【0085】また、流入面側の内周面の接線方向とイン
ク吐出方向のなす角度θ2を約15°とするために、図
5(b)における過剰露光とし、光の回折効果を利用し
て、流入面側のレジストの順テーパ-形状を得た。さら
に、このときに用いた第1のマスク材の開口径は50μ
mであった。
【0086】なお、第1の露光の後に、加熱処理として
第1の感光性有機膜であるネガ型レジストの加熱処理を
行っているので、第1の感光性有機膜の架橋反応が促進
され、第2の露光時に中間部位近辺の第1の感光性有機
膜が露光される量が制御されている。
【0087】なお、上記実施形態では本発明に係るノズ
ル形成部材がインクジェットヘッドのノズル形成部材で
ある例で説明したが、これに限るものでない。また、イ
ンクジェットヘッドとして静電型インクジェットヘッド
及びそのノズルプレートに適用した例で説明したが、こ
れ以外の例えば発熱抵抗体や圧電素子などをエネルギー
発生手段に用いるインクジェットヘッド及びそのノズル
形成部材にも適用することができる。
【0088】また、上記実施形態ではノズル孔内周面が
インク吐出面側とインク流入面側で2つの異なる角度を
有する場合の例で説明したが、3つ以上の異なる角度を
持たせることもでき、これにより一層インク滴吐出特性
の向上を図ることができる。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るノズ
ル形成部材によれば、ノズル孔を、インク吐出方向とノ
ズル孔内周面の接線方向のなす角度が少なくともインク
吐出面側とインク流入面側で異なり、且つ、前記角度が
連続的に変化する部位を有するので、インク滴吐出特性
が向上することができると共に、隣接ノズル間の狭ピッ
チ化にも対応することができる。
【0090】ここで、インク流入面側の任意の角度を有
する部位の厚さを、これと異なる角度を有する部位の厚
さに対して1.0〜2.0倍の厚さにすることにより、
製造工程における吐出口径の制御が容易になり、インク
滴吐出特性の低下も抑制できる。また、インク吐出面側
の角度をなす部位の厚さが10μmを下回らないように
することで、インク滴吐出特性の低下を抑制することが
できる。
【0091】また、インク吐出方向とノズル孔内周面の
接線方向のなす角度はインク吐出面側よりもインク流入
面側を小さくことで、インク滴の吐出方向の制御が容易
になり、或いは、インク吐出面側よりもインク流入面側
を大きくすることで、インク滴体積及び初速度の制御が
容易になる。
【0092】本発明に係るインクジェットヘッドによれ
ば、上述したノズル形成部材を用いたので、インク滴吐
出特性が向上することができると共に、隣接ノズル間の
狭ピッチ化により高密度化に図ることができる。
【0093】本発明に係るノズル形成部材の製造方法に
よれば、上述したノズル形成部材を製造する方法であっ
て、基板上に第1の感光性有機膜を形成して第1のマスク
部材を介して露光し、これに続いて第2の感光性有機膜
を形成して第2のマスク部材を介して露光し、これらの
第1、第2の感光性有機膜を一括して現像し、ノズル孔
部位に相当する箇所に積層の有機膜パターンを形成し、
このノズル孔部位に相当する箇所に積層された有機膜パ
ターンに沿って金属膜を形成するので、インク吐出方向
とノズル孔内周面の接線方向のなす角度が少なくともイ
ンク吐出面側とインク流入面側で異なり、且つ、前記角
度が連続的に変化する部位を有するノズル形成部材を容
易に製造することができ、また、吐出口に相当する箇所
の寸法制御が容易になる。
【0094】ここで、第1の感光性有機膜を露光した後
第2の感光性有機膜を形成する前に加熱処理すること
で、第1の感光性有機膜の架橋反応を促進することがで
き、積層有機膜パターンの第1の感光性有機膜と第2の
感光性有機膜との境部分の形状制御が容易になる。
【0095】また、基板上に、ノズル孔部位に相当する
箇所に積層された有機膜パターンに沿って形成する金属
膜を有機膜パターンの膜厚より薄い膜厚で形成すること
で、吐出口径の制御が容易になって高精度のノズル孔を
得ることができる。また、金属膜を形成した後、連続し
て撥水性を有する表面層を形成することで、インク滴吐
出特性を向上することができる。
【0096】この撥水性を有する表面層としてはPTF
Eと金属膜の複合膜を共析メッキ法により形成すること
で、撥水性表面層の形成が容易で、コストも低減でき
る。
【0097】また、基板表面の法線方向と露光及び現像
された第1の感光性有機膜のテーパー部がなす角度が、
基板表面の法線方向と露光及び現像された第2の感光性
有機膜のテーパー部がなす角度に比べて小さくなるよう
にするで、流入面側の角度が吐出面側の角度に比して小
さいノズル孔を容易に形成することができ、逆に基板表
面の法線方向と露光及び現像された第1の感光性有機膜
のテーパー部がなす角度が、基板表面の法線方向と露光
及び現像された第2の感光性有機膜のテーパー部がなす
角度に比べて大きくなるようにするで、流入面側の角度
が吐出面側の角度に比して大きいノズル孔を容易に形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットヘッドの模式的断
面図
【図2】同ヘッドの図1と直交する方向の模式的断面図
【図3】本発明に係るノズル形成部材の第1実施形態の
要部拡大説明図
【図4】本発明に係るノズル形成部材の第2実施形態の
要部拡大説明図
【図5】本発明に係るノズル形成部材の製造方法の第1
実施形態を説明する説明図
【図6】同実施形態のフローを説明するフロー図
【図7】同実施形態の有機膜パターンの要部拡大説明図
【図8】本発明に係るノズル形成部材の製造方法の第2
実施形態を説明する説明図
【図9】本発明に係るノズル形成部材の製造方法の第3
実施形態を説明する説明図
【図10】本発明の具体的な第1実施例を説明する説明
【図11】同じく第2実施例を説明する説明図
【図12】従来のノズル形成部材及びその製造方法を説
明する説明図
【図13】従来の他のノズル形成部材及びその製造方法
を説明する説明図
【図14】従来の更に他のノズル形成部材及びその製造
方法を説明する説明図
【図15】従来のノズル形成部材のノズル孔を説明する
説明図
【図16】従来の他のノズル形成部材のノズル孔を説明
する説明図
【符号の説明】
1…振動板基板、2…ギャップ部材、3…電極基板、4
…液室基板、5…ノズルプレート、6…ノズル、7…吐
出室、8…共通インク室、11…振動板、15…電極、
19…撥水性表面層、30…ノズル形成部材、31…ノ
ズル孔、36…中間部位、41…基板、42…第1の感
光性有機膜、43…第1のマスク材、45…第2の感光
性有機膜、46…第2のマスク材、48…有機膜パター
ン、49…金属膜、50…撥水性表面層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF33 AF93 AG02 AG07 AG12 AG54 AP02 AP13 AP25 AP26 AP31 AP38 AP47 AP55 AP60 AQ02 AQ06 BA03 BA15

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するインク吐出面側の開
    口径がインク流入面側の開口径より小さなノズル孔を形
    成したノズル形成部材において、前記ノズル孔は、イン
    ク吐出方向とノズル孔内周面の接線方向のなす角度が少
    なくともインク吐出面側とインク流入面側で異なり、且
    つ、前記角度が連続的に変化する部位を有することを特
    徴とするノズル形成部材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のノズル形成部材におい
    て、前記インク流入面側の任意の角度を有する部位の厚
    さが、これと異なる角度を有する部位の厚さに対して
    1.0〜2.0倍の厚さであることを特徴とするノズル
    形成部材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のノズル形成部材
    において、前記インク吐出面側の任意の角度を有する部
    位の厚さが10μmを下回らないことを特徴とするノズ
    ル形成部材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、インク吐出方向とノズル孔
    内周面の接線方向のなす角度はインク吐出面側よりもイ
    ンク流入面側が小さいことを特徴とするノズル形成部
    材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、インク吐出方向とノズル孔
    内周面の接線方向のなす角度はインク吐出面側よりもイ
    ンク流入面側が大きいことを特徴とするノズル形成部
    材。
  6. 【請求項6】 インク滴を吐出するインク吐出面側の開
    口径がインク流入面側の開口径より小さなノズル孔を形
    成したノズル形成部材を備えたインクジェットヘッドに
    おいて、前記ノズル形成部材が前記請求項1乃至5のい
    ずれかに記載のノズル形成部材であることを特徴とする
    インクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかに記載のノズ
    ル形成部材の製造方法において、少なくとも表面が導電
    性を有する基板上に第1の感光性有機膜を形成する工程
    と、第1のマスク部材を介して前記第1の感光性有機膜
    を露光する第1の露光工程と、この第1の露光工程に連
    続して第2の感光性有機膜を形成する工程と、第2のマ
    スク部材を介して前記第2の感光性有機膜を露光する第
    2の露光工程と、前記第1の感光性有機膜と第2の感光
    性有機膜を現像し、ノズル孔部位に相当する箇所に積層
    の有機膜パターンを形成する工程とを有し、かつ、前記
    基板上に、前記ノズル孔部位に相当する箇所に積層され
    た有機膜パターンに沿って、金属膜を電鋳法により形成
    することを特徴とするノズル形成部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のノズル形成部材の製造
    方法において、前記第1の露光工程後で前記第2の感光
    性有機膜を形成する工程の前に前記第1の感光性有機膜
    を加熱処理する工程を行うことを特徴とするノズル形成
    部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載のノズル形成部材
    の製造方法において、前記基板上に、前記ノズル孔部位
    に相当する箇所に積層された有機膜パターンに沿って形
    成する金属膜を、前記有機膜パターンの膜厚より薄い膜
    厚で形成することを特徴とするノズル形成部材の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項7乃至9のいずれかに記載のノ
    ズル形成部材の製造方法において、前記金属膜を形成し
    た後、連続して撥水性を有する表面層を形成することを
    特徴とするノズル形成部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のノズル形成部材の
    製造方法において、撥水性を有する表面層としてポリテ
    トラフルオロエチレンと金属の複合膜を共析メッキ法に
    より形成することを特徴とするノズル形成部材の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項7乃至11に記載のノズル形成
    部材の製造方法において、前記基板表面の法線方向と露
    光及び現像された第1の感光性有機膜のテーパー部がな
    す角度が、前記基板表面の法線方向と露光及び現像され
    た第2の感光性有機膜のテーパー部がなす角度に比べて
    小さいことを特徴とするノズル形成部材の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項7乃至11に記載のノズル形成
    部材の製造方法において、前記基板表面の法線方向と露
    光及び現像された第1の感光性有機膜のテーパー部がな
    す角度が、前記基板表面の法線方向と露光及び現像され
    た第2の感光性有機膜のテーパー部がなす角度に比べて
    大きいことを特徴とするノズル形成部材の製造方法。
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