JP3603939B2 - ノズルプレート及びその製造方法並びにインクジェット式記録ヘッド - Google Patents

ノズルプレート及びその製造方法並びにインクジェット式記録ヘッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を介して圧電素子を設けて、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドに用いられるノズルプレート及びその製造方法並びにインクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等に用いられるインクジェット式記録装置の一部を構成するインクジェット式記録ヘッドとしては、流路形成基板に設けられた圧力発生室内に圧電素子や発熱素子によって圧力を発生させ、その圧力によりノズル開口からインク滴を吐出させるものが知られている。
【0003】
また、このようなタイプのインクジェット式記録ヘッドには、圧力発生手段として圧力発生室内に駆動信号によりジュール熱を発生する抵抗線を設けたバブルジェット式のものと、圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させてノズル開口からインク滴を吐出させる圧電振動式の2種類のものに大別される。さらに、圧電振動式のインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0004】
また、このようなインクジェット式記録ヘッドでは、インク滴を吐出するための複数のノズル開口を、例えば、ステンレス鋼等の基板に機械的にあるいはレーザ等によって形成したノズルプレートが用いられ、このノズルプレートがノズル開口と圧力発生室とを連通するように流路形基板に接合されている。
【0005】
このような従来のノズルプレートは、機械的あるいはレーザ等によって形成していたので、ノズル開口の形状が直線的であり、インク滴の吐出量、吐出速度等のインク吐出性能が低いという問題があった。そこで、インク吐出特性を向上するために、ノズル開口の圧力発生室側の径が漸大する形状としたものが提案されている。
【0006】
しかし、ノズル開口の寸法は非常に小さいため、所望の形状にするのが困難であった。このような問題を解決するために、例えば、特開平11−10892号公報に見られるように、ノズルプレートを電鋳によって複数層で形成することにより、比較的容易に所望の形状が得られるノズルプレートの製造方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなノズルプレートの製造方法では、ノズルプレートが電鋳メッキ層で形成されているため、単結晶シリコンからなるアクチュエータ基板上に薄膜からなる圧電素子を有するアクチュエータ装置では、アクチュエータ基板とノズルプレートとを接着すると、これらの線膨張係数の差によってアクチュエータ基板に反りが生じ、各圧電素子毎のインク吐出特性にばらつきが発生してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、インク吐出特性の安定化を図ることのできるノズルプレート及びその製造方法並びにインクジェット式記録ヘッドを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、シリコン単結晶基板からなるノズル基板と、インクの吐出方向において内側となる前記ノズル基板の一方面側に形成されると共に貫通孔であるノズル開口が形成されるノズル形成部とを有し、前記ノズル基板と前記ノズル形成部との間に電鋳用種電極を有すると共に、前記ノズル形成部が前記ノズル基板に電鋳により一体的に形成されていることを特徴とするノズルプレートにある。
【0010】
かかる第1の態様では、ノズルプレートをシリコン単結晶基板からなる基板に接合する際、接合後の基板の反り量が抑えられ、インク吐出特性の安定化を図ることができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ノズル基板の前記ノズル開口に対応する領域には当該ノズル開口を露出する開口部が形成されていることを特徴とするノズルプレートにある。
【0012】
かかる第2の態様では、インク滴がノズル開口からノズル基板の開口部を介して吐出され、ノズル基板によってノズル開口の周縁部が保護される。
【0013】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記ノズル基板に形成された前記開口部が前記複数のノズル開口に対応する領域に亘って連続的に設けられていることを特徴とするノズルプレートにある。
【0014】
かかる第3の態様では、各ノズル開口の間に対応する領域にノズル基板が存在しないため、ノズル開口をより高密度に配設することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様のノズルプレートと、シリコン単結晶基板からなると共に前記ノズルプレートの前記ノズル開口に連通する圧力発生室を有する流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に前記圧力発生室にインクを吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段とを有し、前記ノズルプレートの前記ノズル形成部と前記流路形成基板とが接合されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】
かかる第4の態様では、流路形成基板のノズルプレートとの接合後の反り量が抑えられ、インク吐出特性が安定したインクジェット式記録ヘッドを実現することができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、ノズル基板の両面に絶縁膜を形成する工程と、前記ノズル基板の一方面側の第1の絶縁膜上に、少なくとも前記ノズル開口のノズル径より大きい直径を有する貫通部を有する電鋳用種電極を前記ノズル開口が形成される領域に形成する工程と、前記貫通部内の前記第1の絶縁膜上に前記ノズル径と同一直径の柱状レジストを形成する工程と、前記第1の絶縁膜及び前記電鋳用種電極上に電鋳によってノズル形成部を形成する工程と、前記柱状レジストを除去する工程と、前記ノズル基板を他方面側からエッチングして前記第1の絶縁膜の裏面を露出する開口部を形成する工程と、前記電鋳用電極の前記貫通部に対応する領域の前記第1の絶縁膜を除去する工程とを有することを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0018】
かかる第5の態様では、電鋳によってノズル形成部を形成することにより、ノズル基板に比較的容易に一体的に形成することができ、製造コストが低減される。
【0019】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記ノズル基板が、単結晶シリコンからなることを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0020】
かかる第6の態様では、ノズル基板を特定の材料で形成することにより、ノズル形成部及び開口部を比較的容易に形成できる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記ノズル基板に開口部を形成する工程は、前記ノズル基板の他方面側に設けられた第2の絶縁膜に形成されたパターンをマスクとして当該ノズル基板をエッチングすることを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0022】
かかる第7の態様では、第2の絶縁膜をマスクとしてノズル基板を容易にパターニングすることができる。
【0023】
本発明の第8の態様は、第5の態様において、前記ノズル基板が絶縁体層の両面に単結晶シリコンからなるシリコン層を有するSOI基板の一部で形成されていることを特徴とするノズルプレートの製造方法にある。
【0024】
かかる第8の態様では、ノズル基板を特定の材料で形成することにより、所望の厚さのノズル基板を容易に形成することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0036】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造されるノズルプレートの斜視図及び断面図である。
【0037】
図1に示すように、本発明のノズルプレート10は、ノズル基板11とこのノズル基板11の一方面側に一体的に設けらると共にノズル開口12が設けられたノズル形成部13とを有する。
【0038】
ノズル形成部13は、電鋳用種電極14と、詳しくは後述するが、この電鋳用種電極14上に電鋳により形成したノズル基体15とからなり、所定位置に複数のノズル開口12が配設されている。また、これらのノズル開口12は、基本的には略直線的に形成されているが、インク導入側の端部近傍では、径が漸大するように形成されている。すなわち、本実施形態のノズル開口12は、略直線形状の直線部12aと、径が漸大してテーパ状となる曲線部12bとからなる。
【0039】
一方、ノズル基板11は、本実施形態では、単結晶シリコンからなり、その両面には表面を酸化することにより、酸化シリコンからなる絶縁膜16,17が設けられている。また、このノズル基板11には、ノズル開口12に対応する領域、例えば、本実施形態では、複数のノズル開口12に対応する領域に、連続的に開口部18が形成されている。
【0040】
ここで、このようなノズルプレート10を製造する本実施形態の製造方法について説明する。なお、図2は、本実施形態に係るノズルプレートの製造工程を示す断面図である。
【0041】
本実施形態では、まず、図2(a)に示すように、シリコン単結晶からなるノズル基板11となるウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる絶縁膜16,17を形成すると共に、この一方の絶縁膜16上に電鋳用種電極14を形成する。すなわち、絶縁膜16上の全面に電鋳電極層19を形成後、パターニングにより各ノズル開口12を形成する領域にノズル開口12のノズル径よりも大径を有し、絶縁膜16を露出する貫通部20を形成し、後述する電鋳の際の電極となる電鋳用種電極14とする。
【0042】
この電鋳用種電極14、すなわち電鋳電極層19の材質も、特に限定されないが、例えば、二層構造とし、絶縁膜16側にこの絶縁膜16との密着性の高いチタン(Ti)又はクロム(Cr)等を用い、表面層にニッケル(Ni)等を用いることが好ましい。なお、本実施形態では、絶縁膜16上に、チタン(Ti)及びニッケル(Ni)を順次積層して電鋳電極層19とした。
【0043】
なお、本実施形態では、単結晶シリコンからなるノズル基板11の表面を酸化することにより絶縁膜16,17を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、ノズル基板として、予め、表面に二酸化シリコン膜が形成された基板等を用いてもよいことは言うまでもない。
【0044】
また、本実施形態では、このようにノズル基板11の一方の絶縁膜16上に電鋳電極層19をパターニングして電鋳用種電極14を形成する際に、他方の絶縁膜17をエッチングすることにより複数のノズル開口12に対応する領域に連続的に絶縁膜除去部21を形成している。なお、このようにパターニングされた絶縁膜17は、後述する工程で、ノズル基板11のマスクパターンの役割を果たすものであるため、絶縁膜17のエッチングは、ノズル基板11のパターニング工程の前であれば、何れの工程で行ってもよい。
【0045】
次に、図2(b)に示すように、絶縁膜16の各貫通部20に対向する領域の略中央部に柱状レジスト22を形成する。例えば、本実施形態では、スピンコート法によりフォトレジスト膜23を絶縁膜16及び電鋳用種電極14上全面に形成後、パターニングすることにより柱状レジスト22とした。この柱状レジスト22は最終的に除去され、この除去された部分がノズル開口12となる。したがって、柱状レジスト22は、ノズル開口12のノズル径、すなわち、直線部12aの直径と同一直径の円柱形状にパターニングされている。
【0046】
なお、フォトレジスト膜23は、スピンコート法による形成に限定されず、例えば、フィルム状のフォトレジスト膜(ドライフィルムフォトレジスト)であってもよい。
【0047】
次に、図2(c)に示すように、ニッケル電鋳によりノズル基体15を形成する。例えば、本実施形態では、スルファミン酸ニッケル電鋳液を用いて電鋳することによりノズル基体15を形成した。なお、このノズル基体15の材質としては、特に限定されないが、例えば、銅、ニッケル、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−燐合金、ニッケル−硼酸合金等を用いることが好ましい。
【0048】
ここで、電鋳によりノズル基体15を形成する際、ノズル基体15は電鋳用種電極14の表面から各方向に略同一速度で形成されていくため、貫通部20の周縁部である電鋳用種電極14の開口縁部14aに対応する部分のノズル基体15の開口縁部15aが略R形状に形成される。
【0049】
なお、このノズル基体15の厚さは、電極に印加する電流の大きさ、あるいは印加時間等を制御することにより調整することができる。また、開口縁部15aの半径は、貫通部20を構成する電鋳用種電極14の端面と柱状レジスト22との距離によって調整することができる。
【0050】
次いで、図2(d)に示すように、柱状レジスト22を除去することにより、直線部12a及び曲線部12bからなるノズル開口12が形成される。
【0051】
次に、図3(a)に示すように、ノズル基板11をパターニングして開口部18を形成する。すなわち、ノズル基板11の表面に設けられた絶縁膜17をマスクとして、絶縁膜除去部21に対向する領域のノズル基板11を、例えば、本実施形態では、異方性エッチングにより絶縁膜16の裏面側に達するまで除去することにより開口部18を形成した。
【0052】
その後、図3(b)に示すように、絶縁膜16の各ノズル開口12に対応する領域にエッチングにより貫通孔24を形成することによって、本実施形態に係るノズルプレート10が形成される。なお、この貫通孔24の形成は、ドライエッチング又はウェットエッチングの何れで行ってもよい。
【0053】
さらに、例えば、図4に示すように、ノズルプレート10の表面、すなわち、ノズルプレート10の少なくともノズル開口12の周囲に撥水膜90を設けるようにしてもよい。これにより、ノズル開口12の周囲へのインクの付着が抑えられ、ノズル開口12の詰まり等の故障を抑えることができる。
【0054】
この撥水膜90の材質は、特に限定されず、例えば、弗素系樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルコキシブタジエン、ポリフルオロビニリデン、ポリフルオロビニル、ポリジパーフルオロアルキルフマレート、又はそれらの何れかとニッケルの共析メッキ、あるいはシリコン系樹脂等を用いることができる。
【0055】
このように形成されたノズルプレート10は、例えば、インクジェット式記録ヘッド等の圧電素子を有するアクチュエータ装置に用いられる。すなわち、圧電素子が設けられたアクチュエータ基板等に接合されて使用される。
【0056】
また、以上説明したように、本実施形態では、単結晶シリコンからなるノズル基板11にノズル開口12を有するノズル形成部13を電鋳によって一体的に形成することによりノズルプレート10とした。これにより、ノズルプレートとアクチュエータ基板とを接合する際、アクチュエータ基板が単結晶シリコンで形成されていれば、ノズルプレート接合後のアクチュエータ基板の反り量が低減される。したがって、ノズル開口から吐出されるインク滴の吐出特性が安定し、信頼性を向上したアクチュエータ装置が実現される。
【0057】
以下に、このような本実施形態のノズルプレート10が用いられるアクチュエータ装置の一例として、インクジェット式記録ヘッドについて説明する。なお、図5は、インクジェット式記録ヘッドの一例を示す分解視図であり、図6は、その断面図である。
【0058】
図示するように、ノズルプレート10が接合される流路形成基板30は、例えば、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板30としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0059】
流路形成基板30の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0060】
一方、流路形成基板30の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、複数の隔壁31によって区画された圧力発生室32が幅方向に並設され、各圧力発生室32の長手方向一端部側には、後述するリザーバ形成基板のリザーバ部に連通して各圧力発生室32の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部33が形成され、各圧力発生室32の長手方向一端部とそれぞれインク供給路34を介して連通されている。
【0061】
そして、このような流路形成基板30の開口面側には、上述したように、各圧力発生室32のインク供給路34とは反対側で連通するノズル開口12が形成されたノズルプレート10が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。
【0062】
ここで、インク滴の吐出圧力をインクに与える圧力発生室32の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口12の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、本実施形態では、ノズル開口12を数十μm程度の直径で精度よく形成した。
【0063】
なお、このようなノズルプレート10は、一方の面で流路形成基板30の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たしている。
【0064】
また、流路形成基板30のノズルプレート10とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体膜70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力発生室32毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極、圧電体膜70及び他方の電極から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
【0065】
さらに、流路形成基板30の圧電素子300側には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部36を有するリザーバ形成基板35が接合されている。このリザーバ部36は、基本的には、リザーバ形成基板35を厚さ方向に貫通して圧力発生室32の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板30の連通部33と連通されて各圧力発生室32の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
【0066】
また、リザーバ形成基板35の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部37が設けられ、圧電素子300の少なくとも圧電体能動部320は、この圧電素子保持部37内に密封されている。
【0067】
また、このようなリザーバ形成基板35には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部36の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ部36に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止され、内部圧力の変化によって変形可能となっている。
【0068】
また、このリザーバ部36の長手方向略中央部外側のコンプライアンス基板40上には、インクカートリッジ等のインク供給手段からインクを供給するためのインク導入口38が形成されており、リザーバ形成基板35にはインク導入口38とリザーバ部36の側壁とを連通するインク導入路39が設けられている。そして、これらインク導入口38及びインク導入路39を介してインク供給手段からリザーバ部36にインクが供給される。
【0069】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係るノズルプレートの要部断面図であり、図8及び図9は、その製造工程を示す断面図である。
【0070】
本実施形態のノズルプレート10Aは、図7に示すように、ノズル基板の厚さtを薄くした例であり、詳しくは後述するが、ノズル基板11AがSOI基板の一部で形成されている以外は、実施形態1と同様である。
【0071】
以下に本実施形態に係るノズルプレートの製造方法を説明する。
【0072】
本実施形態では、ノズル基板11Aとなるウェハとして、例えば、酸化シリコンからなる絶縁体層110の両面に単結晶シリコンからなるシリコン層111,112を有するSOI基板を用いている以外、ノズル開口12の製造工程は実施形態1と同様である。
【0073】
すなわち、図8(a)に示すように、まず、SOI基板からなるノズル基板11Aのウェハの両面に、絶縁膜16,17を形成する。ここで、本実施形態で用いられるSOI基板は、以下の工程で形成されるノズル基体15側のシリコン層111は比較的薄く形成されているが、これはノズル基体15に付属して残るシリコン層111、すなわちノズル基板11Aを薄くして、ワイピング等が容易にできるようにするためである。
【0074】
次いで、図8(b)に示すように、絶縁膜16の表面に電鋳電極層19を形成後、パターニングして貫通部20を形成することにより電鋳用種電極14を形成する。次に、図8(c)に示すように、フォトレジスト膜23を全面に形成後、パターニングすることにより貫通部20の略中央部に柱状レジスト22を形成する。
【0075】
次いで、図8(d)に示すように、電鋳によってノズル基体15を形成後、図8(e)に示すように、柱状レジスト22を除去することにより、ノズル開口12が形成される。
【0076】
次に、本実施形態では、図9(a)に示すように、ノズル基体15とは反対側の絶縁膜17及びSOI基板のシリコン層112をエッチングにより除去する。
【0077】
次いで、図9(b)に示すように、絶縁体層110の複数のノズル開口12に対応する領域に連続的に絶縁膜除去部21Aを形成する。次いで、図9(c)に示すように、このパターニングされた絶縁体層110をマスクとして、絶縁膜除去部21Aに対向する領域のノズル基板11A、すなわち、本実施形態ではシリコン層111を、例えば、異方性エッチングにより絶縁膜16の裏面側に達するまで除去することにより開口部18Aを形成する。
【0078】
その後、図9(d)に示すように、絶縁膜16の各ノズル開口12に対応する領域にエッチングにより貫通孔24を形成することによって、本実施形態に係るノズルプレート10Aが形成される。
【0079】
このように、本実施形態では、ノズル基板11AをSOI基板の一部であるシリコン層111で形成するようにしたので、ノズル基板11Aの厚みを容易に薄くすることができる。これにより、ノズル基板11Aに形成される開口部18Aの深さも浅くなるため、ノズルプレート10Aのインク吐出面のワイピングが容易に可能となり、インク吐出特性が安定する。また、ノズル開口12を形成する際には、比較的厚さの厚いシリコン層112が残っているため、製造時の取り扱いが容易となる。
【0080】
なお、本実施形態の構成であっても、勿論、実施形態1と同様の効果が得られる。
【0081】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0082】
例えば、上述の各実施形態では、ノズル基板11(11A)の開口部18(18A)を複数のノズル開口12に対応して連続的に設けるようにしたが、これに限定されず、勿論、各ノズル開口12毎に開口部を独立して設けてもよい。
【0083】
また、例えば、上述の各実施形態では、絶縁膜16の各ノズル開口12に対応する領域にエッチングにより貫通孔24を形成したが、これに限定されず、勿論、開口部18に面する絶縁膜16を全面エッチングにより除去してもよい。
【0084】
また、例えば、上述の各実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
【0085】
また、上述の実施形態では、たわみ変位型の圧電素子を有するインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、例えば、圧電材料と電極形成材料とをサンドイッチ状に交互に挟んで積層した構造の縦振動モードの圧電素子を有するインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0086】
さらに、上述した圧電振動式のインクジェット式記録ヘッドに限定されず、例えば、バブルジェット式のインクジェット式記録ヘッド等、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができることはいうまでもない。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のノズルプレートは、ノズル開口を有するノズル形成部が電鋳により、単結晶シリコンからなるノズル基板に一体的に形成されているため、ノズルプレートを単結晶シリコン等からなる基板に接合する際、接合後の基板の反り量が低減され、インク吐出特性を安定させることができる。
【0088】
また、SOI基板を用いてノズル基板を形成することにより、比較的厚さの薄いノズル基板を容易に形成することができると共に、製造時の取り扱いが容易となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造したノズルプレートの斜視図及び断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るノズルプレートの製造工程を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るノズルプレートの製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造したノズルプレートの他の例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るノズルプレートを具備するインクジェット式記録ヘッドの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るノズルプレートを具備するインクジェット式記録ヘッドの一例を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態2に係るノズルプレートの断面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るノズルプレートの製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態2に係るノズルプレートの製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ノズルプレート
11 ノズル基板
12 ノズル開口
13 ノズル形成部
30 流路形成基板
32 圧力発生室
50 弾性膜
60 下電極膜
70 圧電体膜
80 上電極膜
300 圧電素子
320 圧電体能動部

Claims (8)

  1. シリコン単結晶基板からなるノズル基板と、インクの吐出方向において内側となる前記ノズル基板の一方面側に形成されると共に貫通孔であるノズル開口が形成されるノズル形成部とを有し、前記ノズル基板と前記ノズル形成部との間に電鋳用種電極を有すると共に、前記ノズル形成部が前記ノズル基板に電鋳により一体的に形成されていることを特徴とするノズルプレート。
  2. 請求項1において、前記ノズル基板の前記ノズル開口に対応する領域には当該ノズル開口を露出する開口部が形成されていることを特徴とするノズルプレート。
  3. 請求項2において、前記ノズル基板に形成された前記開口部が前記複数のノズル開口に対応する領域に亘って連続的に設けられていることを特徴とするノズルプレート。
  4. 請求項1〜3の何れかのノズルプレートと、シリコン単結晶基板からなると共に前記ノズルプレートの前記ノズル開口に連通する圧力発生室を有する流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に前記圧力発生室にインクを吐出するための圧力を発生させる圧力発生手段とを有し、前記ノズルプレートの前記ノズル形成部と前記流路形成基板とが接合されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. ノズル基板の両面に絶縁膜を形成する工程と、前記ノズル基板の一方面側の第1の絶縁膜上に、少なくとも前記ノズル開口のノズル径より大きい直径を有する貫通部を有する電鋳用種電極を前記ノズル開口が形成される領域に形成する工程と、前記貫通部内の前記第1の絶縁膜上に前記ノズル径と同一直径の柱状レジストを形成する工程と、前記第1の絶縁膜及び前記電鋳用種電極上に電鋳によってノズル形成部を形成する工程と、前記柱状レジストを除去する工程と、前記ノズル基板を他方面側からエッチングして前記第1の絶縁膜の裏面を露出する開口部を形成する工程と、前記電鋳用電極の前記貫通部に対応する領域の前記第1の絶縁膜を除去する工程とを有することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  6. 請求項5において、前記ノズル基板が、単結晶シリコンからなることを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  7. 請求項6において、前記ノズル基板に開口部を形成する工程は、前記ノズル基板の他方面側に設けられた第2の絶縁膜に形成されたパターンをマスクとして当該ノズル基板をエッチングすることを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  8. 請求項5において、前記ノズル基板が絶縁体層の両面に単結晶シリコンからなるシリコン層を有するSOI基板の一部で形成されていることを特徴とするノズルプレートの製造方法。
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