JP2004066537A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Tetsuji Takahashi
高橋 哲司
Yoshinao Miyata
宮田 佳直
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Abstract

【課題】圧電素子と圧力発生室との相対的な位置を高精度に位置決めして両者を比較的容易に形成することができると共に液体吐出特性を向上させることができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】単結晶シリコンからなり複数の流路形成基板10となるシリコン層を少なくとも含む流路形成基板用ウェハ110のシリコン層を貫通する位置決め孔130を異方性エッチングにより形成する工程と、位置決め孔130のシリコン層の一方面側の開口130aの位置を基準として位置決めした位置に振動板を介して圧電素子300を形成する工程と、位置決め孔130のシリコン層の他方面側の開口130bの位置を基準として位置決めした位置に異方性エッチングにより圧力発生室を形成する工程とを行うことにより、圧電素子300と圧力発生室との相対的な位置を高精度に位置決めして両者を比較的容易に形成することができる。
【選択図】   図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりノズル開口から液滴を噴射させる液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置としては、例えば、圧電素子や発熱素子によりインク滴吐出のための圧力を発生させる複数の圧力発生室と、各圧力発生室にインクを供給する共通のリザーバと、各圧力発生室に連通するノズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録装置があり、このインクジェット式記録装置では、印字信号に対応するノズルと連通した圧力発生室内のインクに吐出エネルギを印加してノズル開口からインク滴を吐出させる。
【0003】
このようなインクジェット式記録ヘッドには、前述したように圧力発生室として圧力発生室内に駆動信号によりジュール熱を発生する抵抗線等の発熱素子を設け、この発熱素子の発生するバブルによってノズル開口からインク滴を吐出させるものと、圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させてノズル開口からインク滴を吐出させる圧電振動式の2種類のものに大別される。
【0004】
また、圧電振動式のインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子を軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0005】
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0006】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0007】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案されている。
【0008】
これによれば圧電素子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0009】
このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、一般的に、シリコン単結晶基板の一方面側に振動板を介して圧電素子を形成し、その他方面側の圧電素子に対応する領域を異方性エッチングにより厚さ方向に貫通して圧力発生室を形成している。そして、インク吐出の際には、圧電素子により振動板が変形(変位)して圧力発生室の容積が変化することにより、ノズル開口からインク滴を吐出させるようになっている。
【0010】
なお、このような構成とすると、振動板の振動領域は、圧力発生室の圧電素子側の幅で実質的に規定されるため、圧電素子と圧力発生室の圧電素子側の開口領域とを高精度に位置決めする必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の製造方法では、圧電素子と圧力発生室とを高精度に位置決めするのは、比較的難しいという問題がある。
【0012】
例えば、シリコン単結晶基板として、面方位(110)のシリコン単結晶基板を用いる場合、その一方面側に予め位置決めマークを形成し、この位置決めマークを基準として圧電素子と圧力発生室とを形成していた。すなわち、位置決めマークを基準として、シリコン単結晶基板の一方面側に振動板を介して圧電素子を形成する。そして、同一の一方面側の位置決めマークを基準として、シリコン単結晶基板の他方面側から異方性エッチングにより圧力発生室を形成する。
【0013】
このため、圧力発生室の側面を構成するシリコン単結晶基板の(111)面がその表面に対して垂直でない場合には、シリコン単結晶基板の一方面側の位置決めマークを基準として圧電素子及び圧力発生室を形成したとしても、圧電素子と圧力発生室の圧電素子側の開口領域との相対的な位置がズレてしまうという問題がある。
【0014】
そして、圧電素子と圧力発生室の圧電素子側の開口領域との位置がズレてしまうと、例えば、振動板の変位(変形)量を所定量とすることができず、インク吐出特性が低下してしまうという問題もある。
【0015】
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、勿論、インク以外の液体を噴射する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑み、圧電素子と圧力発生室との相対的な位置を高精度に位置決めして両者を比較的容易に形成することができると共に液体吐出特性を向上させることができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法において、単結晶シリコンからなり複数の流路形成基板となるシリコン層を少なくとも含む流路形成基板用ウェハの当該シリコン層を貫通する位置決め孔を異方性エッチングにより形成する工程と、該位置決め孔の前記シリコン層の一方面側の開口位置を基準として位置決めした位置に前記振動板を介して前記圧電素子を形成する工程と、前記位置決め孔の前記シリコン層の他方面側の開口位置を基準として位置決めした位置に異方性エッチングにより前記圧力発生室を形成する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0018】
かかる第1の態様では、圧電素子と圧力発生室との相対的な位置を高精度に位置決めして両者を比較的容易に形成することができる。これにより、液体吐出特性を向上させることができる。
【0019】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記位置決め孔を前記シリコン層の何れか一方面から他方面側に向かって当該シリコン層を異方性エッチングにより貫通して形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0020】
かかる第2の態様では、圧力発生室と同じようにシリコン層の一方面から他方面側に向かって異方性エッチングによりシリコン層を貫通して位置決め孔を形成し、位置決め孔の各開口の位置を圧電素子と圧力発生室の圧電素子側の開口領域との相対的な位置を高精度に位置決めするための基準とする。
【0021】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記位置決め孔を前記シリコン層の前記流路形成基板となる領域以外に形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0022】
かかる第3の態様では、流路形成基板用ウェハの流路形成基板として使用しない領域を有効活用する。これにより、流路形成基板に位置決め孔を形成するためのスペースを別途確保する必要がないため、液体噴射ヘッドが大型化するのを防止することができる。
【0023】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記位置決め孔を形成する工程は、前記流路形成基板用ウェハを熱酸化してその表面に二酸化シリコン膜を形成する工程と、該二酸化シリコン膜をパターニングして前記位置決め孔が形成される領域に開口部を形成する工程と、該開口部から前記シリコン層を異方性エッチングして前記位置決め孔を形成する工程と、前記二酸化シリコン膜をエッチングにより除去する工程と、前記流路形成基板用ウェハを再度熱酸化することにより前記シリコン層の一方面側に前記振動板を形成する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0024】
かかる第4の態様では、流路形成基板用ウェハに位置決め孔を容易且つ高精度に形成でき、且つ振動板を所定の厚さで形成できる。
【0025】
本発明の第5の態様は、第1の態様において、前記流路形成基板用ウェハに二酸化シリコンからなる絶縁層の両面に単結晶シリコンからなるシリコン層が設けられたSOI基板を用いることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0026】
かかる第5の態様では、流路形成基板用ウェハ全体の製造時の剛性が実質的に高められ、圧電素子と圧力発生室との相対的な位置が高精度に位置決めされた液体噴射ヘッドを比較的容易に製造することができる。
【0027】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記位置決め孔を形成する工程は、前記流路形成基板用ウェハを熱酸化してその表面に二酸化シリコン膜を形成する工程と、該二酸化シリコン膜をパターニングして前記絶縁層の一方側のシリコン層の前記位置決め孔が形成される領域に開口部を形成する工程と、該開口部から前記一方側のシリコン層を前記絶縁層に達するまで異方性エッチングして当該一方側のシリコン層に前記位置決め孔を形成する工程と、前記二酸化シリコン膜をエッチングにより除去する工程と、前記流路形成基板用ウェハを再度熱酸化することにより前記一方側のシリコン層上に前記振動板を形成する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0028】
かかる第6の態様では、流路形成基板用ウェハに位置決め孔を容易且つ高精度に形成でき、且つ振動板を所定の厚さで形成できる。
【0029】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記圧力発生室を形成する工程の前に、前記流路形成基板用ウェハの前記絶縁層の他方側のシリコン層をエッチングにより除去する工程を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0030】
かかる第7の態様では、他方側のシリコン層を除去した後、絶縁層を介して位置決め孔の開口位置を認識することにより、圧電素子と圧力発生室との相対的な位置を高精度に位置決めして両者を比較的容易に形成することができる。
【0031】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記圧力発生室を形成する工程では、前記一方側のシリコン層の前記位置決め孔の前記絶縁層側の開口位置を基準として当該絶縁層をパターニングして前記一方側のシリコン層の前記圧力発生室が形成される領域に開口部を形成した後、当該開口部から前記一方側のシリコン層を前記振動板に達するまで異方性エッチングすることにより形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0032】
かかる第8の態様では、圧電素子と圧力発生室との相対的な位置を高精度に位置決めした状態で、圧力発生室を確実に形成することができる。
【0033】
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様において、前記シリコン層の結晶面方位を(110)とすることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0034】
かかる第9の態様では、高密度に配列した圧力発生室を形成することができる。
【0035】
【発明の実施形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの概略を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。また、図3は、流路形成基板用ウェハを示す概略斜視図である。さらに、図4は、図2のA−A′断面図である。
【0037】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0038】
この流路形成基板10には、シリコン単結晶基板をその一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12が幅方向に並設されている。また、その長手方向外側には、後述する封止基板30のリザーバ部32と連通される連通部13が形成されている。また、この連通部13は、各圧力発生室12の長手方向一端部でそれぞれインク供給路14を介して連通されている。
【0039】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。例えば、本実施形態では、面方位(110)のシリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0040】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。
【0041】
ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また、各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給路14は、圧力発生室12より浅く形成されており、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。すなわち、インク供給路14は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0042】
このような圧力発生室12等が形成される流路形成基板10の厚さは、圧力発生室12を配設する密度に合わせて最適な厚さを選択することが好ましい。例えば、1インチ当たり180個(180dpi)程度に圧力発生室12を配置する場合には、流路形成基板10の厚さは、180〜280μm程度、より望ましくは、220μm程度とするのが好適である。また、例えば、360dpi程度と比較的高密度に圧力発生室12を配置する場合には、流路形成基板10の厚さは、100μm以下とするのが好ましい。これは、隣接する圧力発生室12間の隔壁11の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0043】
なお、このような流路形成基板10は、図3に示すように、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板用ウェハ110に複数個が一体的に形成される。そして、詳しくは後述するが、流路形成基板用ウェハ110と後述する封止基板用ウェハとを接合後、その接合体を所定の大きさに分割する。
【0044】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。なお、このノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、ノズルプレート20は、流路形成基板10と熱膨張係数が略同一の材料で形成するようにしてもよい。この場合には、流路形成基板10とノズルプレート20との熱による変形が略同一となるため、熱硬化性の接着剤等を用いて容易に接合することができる。
【0045】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
【0046】
そして、このような構成とすると、振動板の振動領域は、図4に示すように、圧力発生室12の圧電素子300側の幅Xで実質的に規定される。そして、振動板の変位量や変位特性は、圧電素子300と振動板の振動領域との相対的な位置により変動するため、圧力発生室12の開口領域内の所定位置に圧電素子300を形成する必要があるが、後述する本発明の製造方法によれば、圧電素子300と圧力発生室12(振動板の振動領域)とを高精度に位置決めすることが可能となる。
【0047】
なお、このような各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続されている。このリード電極90は、各圧電素子300の長手方向端部近傍から圧力発生室12の外側までそれぞれ延設され、例えば、ワイヤボンディング等により図示しない駆動IC等と接続される。
【0048】
また、流路形成基板10の圧電素子300側には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態でその空間を密封可能な圧電素子保持部31を有する封止基板30が、例えば、熱硬化性の接着剤等によって接合され、圧電素子300はこの圧電素子保持部31内に密封されている。これにより、圧電素子300は外部環境と遮断されるため、大気中の水分等による圧電素子300の破壊を防止することができる。
【0049】
また、封止基板30には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、封止基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に亘って形成されており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
【0050】
さらに、このリザーバ部32と圧電素子保持部31との間には、封止基板30を厚さ方向に貫通する貫通部33が設けられている。そして、圧電素子300から引き出されたリード電極90は、この貫通部33に対向する領域まで延設され、この貫通部33を介してワイヤボンディング等により図示しない駆動ICと接続される。
【0051】
なお、この封止基板30は、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成することが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料であるシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0052】
なお、封止基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっており、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0053】
このようなインクジェット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、外部配線を介して圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0054】
ここで、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法について図5〜8を参照して説明する。なお、図5、図7及び図8は、圧力発生室の長手方向の断面図であり、図6は、流路形成基板用ウェハの概略斜視図である。
【0055】
まず、図5(a)に示すように、(110)面方位のシリコン単結晶基板からなり複数の流路形成基板10となる流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化することによりその表面に二酸化シリコン膜120を全面に亘って形成する。
【0056】
次に、図5(b)に示すように、二酸化シリコン膜120をパターニングして、流路形成基板10となる領域以外の所定位置に開口部121を形成する。例えば、本実施形態では、開口部121は、流路形成基板用ウェハ110の一方面側の流路形成基板10となる領域を挟んだ両側にそれぞれ形成するようにした。
【0057】
なお、この開口部121が形成された二酸化シリコン膜120は、後述する圧電素子300及び圧力発生室12の位置決めに用いられる位置決め孔を形成するためのマスクとして用いられる。
【0058】
次に、図5(c)に示すように、二酸化シリコン膜120をマスクとして、各開口部121から流路形成基板用ウェハ110を厚さ方向に異方性エッチングにより貫通して、位置決め孔130を形成する。このとき、流路形成基板用ウェハ110は、上述したように、(110)面に垂直な第1の(111)面に沿ってエッチングされるため、位置決め孔130の内面は圧力発生室12の隔壁11の側面と同様に、第1の(111)面で形成される。
【0059】
次に、図5(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の表面の二酸化シリコン膜120をエッチング等により完全に除去する。その後、図5(e)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を再び熱酸化することにより、位置決め孔130の内壁表面と流路形成基板用ウェハ110の表面とに弾性膜50となる二酸化シリコン膜140を形成する。
【0060】
そして、本実施形態では、後述するプロセスにて、流路形成基板用ウェハ110の両面の開口130a,130bのそれぞれの位置を基準として圧電素子300と圧力発生室12とを形成するようにした。
【0061】
すなわち、流路形成基板用ウェハ110の一方面側の位置決め孔130の開口130aの位置を基準として圧電素子300を形成し、他方面側の開口130bの位置を基準として圧力発生室12を形成するようにした。これによれば、流路形成基板用ウェハ110の表面に対する(111)面の角度ズレが生じていても圧力発生室12は位置決め孔130に沿って形成されるため、圧力発生室12の圧電素子300側の開口領域は、実質的に開口130aを基準として位置決めされることになる。したがって、位置決め孔130を基準として形成した圧電素子300と圧力発生室12の圧電素子300側の開口領域との相対的な位置を高精度に位置決めすることができる。より詳細には、圧電素子300と振動板の振動領域との相対的な位置を高精度に位置決めすることができ、インク吐出特性を向上させることができる。
【0062】
なお、上述したように、位置決め孔130を形成するためのマスクとなる二酸化シリコン膜120を一旦除去し、再度熱酸化することで二酸化シリコン膜140を形成することにより、弾性膜50となる二酸化シリコン膜140の厚さが流路形成基板用ウェハ110の全面において一定となる。また、位置決め孔130の各開口130a,130bの形状が一定となり、圧電素子300と圧力発生室12との位置決め精度が向上するという効果もある。
【0063】
このような位置決め孔130は、本実施形態では、図6に示すように、流路形成基板用ウェハ110の二箇所に設けられているが、勿論、位置決め孔130を一箇所、若しくは三個以上設けるようにしてもよい。また、位置決め孔130は、本実施形態では、流路形成基板10となる領域以外に設けられているが、流路形成基板10となる領域内に設けるようにしてもよい。
【0064】
以下、図7及び図8を参照して、このような位置決め孔130の各開口130a,130bを位置決めの基準として、圧電素子300及び圧力発生室12等を形成するプロセスについて具体的に説明する。
【0065】
まず、図7(a)に示すように、スパッタリング法で下電極膜60を弾性膜50の全面に形成後、下電極膜60をパターニングして全体パターンを形成する。
【0066】
なお、このような下電極膜60の材料としては、例えば、白金(Pt)等が好適である。これは、スパッタリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、特に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
【0067】
次に、図7(b)に示すように、圧電体層70を成膜する。なお、このような圧電体層70は、結晶が配向していることが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成することにより、結晶が配向している圧電体層70を得ることができる。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法で形成してもよい。
【0068】
さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。
【0069】
何れにしても、このように成膜された圧電体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させた状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造された圧電体層70の厚さは、一般的に0.2〜5.0μmである。
【0070】
次に、図7(c)に示すように、上電極膜80を成膜する。なお、このような上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0071】
次に、図7(d)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子300のパターニングを行う。
【0072】
具体的には、流路形成基板用ウェハ110の下電極膜60が形成された一方面側にある位置決め孔130の開口130aの位置を基準として、圧電体層70及び上電極膜80をパターニングして圧電素子300を形成する。ここでは、位置決め孔130の開口130aと圧電素子300との相対的な位置が高精度に位置決めされる。
【0073】
なお、このような圧電素子300上には、図7(e)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、例えば、金(Au)等からなる導電層を流路形成基板10の全面に亘って形成後、この導電層を圧電素子300毎にパターニングすることにより、リード電極90とする。勿論、このリード電極90も流路形成基板用ウェハ110の圧電素子側にある位置決め孔130の開口130aの位置を基準として形成する。
【0074】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、図8(a)に示すように、複数の封止基板30となる封止基板用ウェハ150を接合する。
【0075】
なお、このような封止基板用ウェハ150は、流路形成基板用ウェハ110と同様に、シリコン単結晶基板からなり、例えば、異方性エッチングによって圧電素子保持部31、リザーバ部32、貫通部33等が予め形成されている。
【0076】
次に、図8(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側とは反対の他方面側にある位置決め孔130の開口130bの位置を基準として二酸化シリコン膜140をパターニングして圧力発生室12を形成するための開口部141を形成する。そして、図8(c)に示すように、二酸化シリコン膜140をマスクとして、開口部141から流路形成基板用ウェハ110を弾性膜50に達するまでアルカリ溶液によって異方性エッチングすることにより、(111)面方位に沿って圧力発生室12が形成されると共に、連通部13及びインク供給路14も同様に形成される。これにより、位置決め孔130の開口130bと圧力発生室12との相対的な位置が高精度に位置決めされる。そして、上述したように、位置決め孔130の開口130aと圧電素子300との相対的な位置が高精度に位置決めされているため、圧電素子300と圧力発生室12の圧電素子300側の開口領域との相対的な位置を高精度に位置決めすることができる。
【0077】
なお、その後は、図1及び図2に示すように、流路形成基板用ウェハ110の封止基板用ウェハ150とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、封止基板用ウェハ150にコンプライアンス基板40を接合し、これらの接合体を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の製造方法によれば、位置決め孔130の一方側の開口130aの位置を基準として圧電素子300を形成し、他方側の開口130bの位置を基準として圧力発生室12を形成するようにしたので、流路形成基板用ウェハ110の表面に対する(111)面の角度ズレが生じても、圧電素子300と圧力発生室12との相対的な位置を高精度に位置決めして両者を比較的容易に形成することができる。これにより、圧電素子300と振動板の振動領域との相対的な位置を高精度に位置決めすることができるため、振動板の変位量を所定量とすることができる。したがって、インク吐出特性を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110の流路形成基板10として使用しない領域に位置決め孔130を設けるようにしたので、流路形成基板用ウェハ110を有効活用することができる。これにより、製造時だけに使用する位置決め孔130が製品に残ることを防ぐことができる。さらに、流路形成基板用ウェハ110に位置決め孔130を形成するためのスペースを確保する必要がなく、液体噴射ヘッドが大型化するのを防止するメリットもある。
【0080】
なお、本実施形態の製造方法に使用する流路形成基板用ウェハ110として、圧電素子300等を形成する際の剛性を確保するため比較的厚い流路形成基板用ウェハを用いる場合には、上述した圧力発生室12を形成する工程の前工程として、封止基板用ウェハ150により圧電素子300を封止した状態で流路形成基板用ウェハの厚さをエッチングにより薄くする工程を設けるようにしてもよい。
【0081】
(実施形態2)
図9〜図10は、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明する図である。なお、上述した実施形態1と同一部分には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0082】
本実施形態の製造方法では、流路形成基板用ウェハとして、二酸化シリコンからなる絶縁層と、この絶縁層の両面に単結晶シリコンからなるシリコン層とから構成される、いわゆるSOI基板を用いた。このようなSOI基板を流路形成基板用ウェハとして用いれば、圧電素子等を形成する際の剛性を十分に確保することができる。
【0083】
以下、本実施形態の製造方法の具体的な手順について詳細に説明する。
【0084】
まず、図9(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110Aを熱酸化することにより、その全面に二酸化シリコン膜120Aを形成する。
【0085】
次に、図9(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110Aの一方面側の二酸化シリコン膜120Aをパターニングして所定位置に開口部121Aを形成する。
【0086】
次いで、図9(c)に示すように、二酸化シリコン膜120Aをマスクとして、各開口部121Aから流路形成基板用ウェハ110Aの一方側のシリコン層160を異方性エッチングにより貫通して位置決め穴130Aを形成する。
【0087】
そして、図9(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110Aの表面の二酸化シリコン膜120Aを完全に除去した後、図9(e)に示すように、再び熱酸化することにより、シリコン層160だけに位置決め孔130Aを形成すると共に、弾性膜となる二酸化シリコン膜140Aを形成する。
【0088】
次に、図10(a)に示すように、圧電素子300を形成する。具体的には、シリコン層160の絶縁層170側とは反対側の位置決め孔130Aの開口130aの位置を基準として、上述した実施形態1の図7のプロセスと同じ様に、圧電素子300を形成する。
【0089】
その後、図10(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110Aの圧電素子300側に封止基板用ウェハ150Aを接合する。
【0090】
次に、図10(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110Aの封止基板用ウェハ150Aが接合される側とは反対側のシリコン層180をエッチングにより完全に除去する。
【0091】
次いで、図10(d)に示すように、位置決め孔130Aの絶縁層170側の開口130bの位置を基準として、絶縁層170をパターニングして開口部171を形成する。すなわち、絶縁層170を介して位置決め孔130Aの開口130bの位置を認識し、絶縁層170をパターニングして開口部171を形成する。その後、絶縁層170をマスクパターンとして、開口部171からシリコン層160を弾性膜50に達するまで異方性エッチングすることにより、圧力発生室12を形成する。なお、このとき、実施形態1と同じ様に、連通部13及びインク供給路14も形成する。
【0092】
このような手順で形成したとしても、上述した実施形態1と同様に、圧電素子300と圧力発生室12との相対的な位置を高精度に位置決めして両者を形成することができる。これにより、圧電素子300と振動板の振動領域との相対的な位置を高精度に位置決めすることができるため、振動板の変位量を所定量とすることができる。したがって、インク吐出特性を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態では、流路形成基板用ウェハとして比較的剛性が高いSOI基板を使用するようにしたので、圧電素子等を形成する際の作業負担を軽減することができる。
【0094】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0095】
例えば、上述した実施形態では、成膜及びリソグラフィ法を応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
【0096】
また、上述した実施形態では、液体噴射ヘッドとして、印刷媒体に所定の画像や文字を印刷するインクジェット式記録ヘッドを一例として説明したが、勿論、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等、他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、単結晶シリコンからなるシリコン層を含む流路形成基板用ウェハのシリコン層を異方性エッチングにより貫通してそのシリコン層に位置決め孔を形成し、位置決め孔の一方側の開口位置を基準に圧電素子を形成し、他方側の開口位置を基準に圧力発生室を形成するようにしたので、圧電素子と圧力発生室の圧電素子側の開口領域との相対的な位置を高精度に位置決めすることができる。これにより、圧電素子と振動板の振動領域との相対的な位置を高精度に位置決めすることができるため、振動板の変位量を所定量とすることができ、インク吐出特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの概略を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る流路形成基板用ウェハを示す概略斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る図2のA−A′断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る流路形成基板用ウェハを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
12 圧力発生室
13 連通部
14 インク供給路
20 ノズルプレート
21 ノズル開口
30 封止基板
31 圧電素子保持部
32 リザーバ部
50 弾性膜
60 下電極膜
70 圧電体層
80 上電極膜
90 リード電極
100 リザーバ
110 流路形成基板用ウェハ
120 二酸化シリコン膜
130 位置決め孔
130a,130b 開口
140 二酸化シリコン膜
150 封止基板形成用ウェハ
160,180 シリコン層
170 絶縁層
300 圧電素子

Claims (9)

  1. 液体を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドの製造方法において、
    単結晶シリコンからなり複数の流路形成基板となるシリコン層を少なくとも含む流路形成基板用ウェハの当該シリコン層を貫通する位置決め孔を異方性エッチングにより形成する工程と、該位置決め孔の前記シリコン層の一方面側の開口位置を基準として位置決めした位置に前記振動板を介して前記圧電素子を形成する工程と、前記位置決め孔の前記シリコン層の他方面側の開口位置を基準として位置決めした位置に異方性エッチングにより前記圧力発生室を形成する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1において、前記位置決め孔を前記シリコン層の何れか一方面から他方面側に向かって当該シリコン層を異方性エッチングにより貫通して形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1又は2において、前記位置決め孔を前記シリコン層の前記流路形成基板となる領域以外に形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記位置決め孔を形成する工程は、前記流路形成基板用ウェハを熱酸化してその表面に二酸化シリコン膜を形成する工程と、該二酸化シリコン膜をパターニングして前記位置決め孔が形成される領域に開口部を形成する工程と、該開口部から前記シリコン層を異方性エッチングして前記位置決め孔を形成する工程と、前記二酸化シリコン膜をエッチングにより除去する工程と、前記流路形成基板用ウェハを再度熱酸化することにより前記シリコン層の一方面側に前記振動板を形成する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 請求項1において、前記流路形成基板用ウェハに二酸化シリコンからなる絶縁層の両面に単結晶シリコンからなるシリコン層が設けられたSOI基板を用いることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法
  6. 請求項5において、前記位置決め孔を形成する工程は、前記流路形成基板用ウェハを熱酸化してその表面に二酸化シリコン膜を形成する工程と、該二酸化シリコン膜をパターニングして前記絶縁層の一方側のシリコン層の前記位置決め孔が形成される領域に開口部を形成する工程と、該開口部から前記一方側のシリコン層を前記絶縁層に達するまで異方性エッチングして当該一方側のシリコン層に前記位置決め孔を形成する工程と、前記二酸化シリコン膜をエッチングにより除去する工程と、前記流路形成基板用ウェハを再度熱酸化することにより前記一方側のシリコン層上に前記振動板を形成する工程とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 請求項6において、前記圧力発生室を形成する工程の前に、前記流路形成基板用ウェハの前記絶縁層の他方側のシリコン層をエッチングにより除去する工程を有することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 請求項7において、前記圧力発生室を形成する工程では、前記一方側のシリコン層の前記位置決め孔の前記絶縁層側の開口位置を基準として当該絶縁層をパターニングして前記一方側のシリコン層の前記圧力発生室が形成される領域に開口部を形成した後、当該開口部から前記一方側のシリコン層を前記振動板に達するまで異方性エッチングすることにより前記圧力発生室を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 請求項1〜8の何れかにおいて、前記シリコン層の結晶面方位を(110)とすることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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