JP2007118192A - 基板の処理方法及び液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異物の発生を防止した基板の処理方法及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】厚さ方向に貫通する貫通孔35が形成された基板130の全面に亘って金属層124を形成後、前記基板130の一方面に、前記貫通孔35に相対向する領域に当該貫通孔35に連通する露出孔201が形成された保護シート200を貼付した状態で、前記基板130の前記他方面及び前記貫通孔35内の前記金属層124をウェットエッチングにより除去する。
【選択図】図6
【解決手段】厚さ方向に貫通する貫通孔35が形成された基板130の全面に亘って金属層124を形成後、前記基板130の一方面に、前記貫通孔35に相対向する領域に当該貫通孔35に連通する露出孔201が形成された保護シート200を貼付した状態で、前記基板130の前記他方面及び前記貫通孔35内の前記金属層124をウェットエッチングにより除去する。
【選択図】図6
Description
本発明は、貫通孔の設けられた基板の一方面に金属膜を形成する基板の処理方法及びこれを用いた液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドとしては、圧電素子や発熱素子、静電アクチュエータ等の圧力発生手段をインク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室に対応して設けたものがある。圧力発生手段として圧電素子を用いた液体噴射ヘッドとしては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドがある。
また、インクジェット式記録ヘッドとしては、圧力発生室が形成された流路形成基板と、流路形成基板の一方面に接合された接合基板と、接合基板上に設けられた配線上に実装されると共に圧電素子を駆動するための駆動回路とで構成され、駆動回路と圧電素子とがワイヤボンディングによって電気的に接続されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
さらに、インクジェット式記録ヘッドの各部材には、流路形成基板及び保護基板とヘッドケースなどの他部材との相対的な位置決めを行うための基準ピンが挿入される基準孔が設けられている(例えば、特許文献2参照)。
上述の構造をもつインクジェット式記録ヘッドは、実際には、流路形成基板が複数一体的に形成される流路形成基板用ウェハと、保護基板が複数一体的に形成される保護基板用ウェハとを接合して、複数個同時に組み立てられ、これを一つのチップサイズに分割することで一度に複数個製造される。
このようなインクジェット式記録ヘッドの部品として用いられる保護基板用ウェハは、その表面の全面に亘って金属層を形成し、この金属層をウェットエッチングによりパターニングすることで配線が形成されている。また、このような保護基板用ウェハには、インクジェット式記録ヘッドの製造時において、一つのチップ毎に分割し易いように、細溝等のミシン目が形成されている。このため、保護基板用ウェハを製造する工程において、金属層をパターニングして配線を形成する際に、基準孔やミシン目の内面に設けられた金属層を完全に除去することができず、残留してしまうという問題がある。
このように基準孔やミシン目の内面に残留した異物が存在すると、例えば、配線が設けられた基板を、エタノール洗浄、プライマ処理、及びイソプロピルアルコールの薬液層へ浸漬した際に異物がとれて、配線表面などに再付着し、隣接する配線同士が短絡する等の不具合が発生するという問題がある。
なお、このような問題は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外の液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、異物の発生を防止した基板の処理方法及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成された基板の全面に亘って金属層を形成後、前記基板の一方面に、前記貫通孔に相対向する領域に当該貫通孔に連通する露出孔が形成された保護シートを貼付した状態で、前記基板の前記他方面及び前記貫通孔内の前記金属層をウェットエッチングにより除去することを特徴とする基板の処理方法にある。
かかる第1の態様では、保護シートに露出孔を設けることによって、露出孔を介して基準孔にエッチング液を十分に充填することができると共に、基準孔内のエッチング液の流れを良くして、基準孔内の金属層を確実に除去することができる。
かかる第1の態様では、保護シートに露出孔を設けることによって、露出孔を介して基準孔にエッチング液を十分に充填することができると共に、基準孔内のエッチング液の流れを良くして、基準孔内の金属層を確実に除去することができる。
本発明の第2の態様は、前記基板の一方面に、前記露出孔の形成された前記保護シートを貼付することを特徴とする第1の態様記載の基板の処理方法にある。
かかる第2の態様では、露出孔が形成された保護シートを貼付することにより、基板の一方面の金属層を保護することができる。
かかる第2の態様では、露出孔が形成された保護シートを貼付することにより、基板の一方面の金属層を保護することができる。
本発明の第3の態様は、前記基板の一方面に前記保護シートを貼付して、前記貫通孔を封止した後、前記保護シートに前記連通孔を形成することを特徴とする第1の態様記載の基板の処理方法にある。
かかる第3の態様では、保護シートと基板との位置合わせが不要となって、処理工程を簡略化することができる。
かかる第3の態様では、保護シートと基板との位置合わせが不要となって、処理工程を簡略化することができる。
本発明の第4の態様は、前記保護シートが感光性ドライフィルムからなると共に、前記保護シートを前記基板の前記他方面側から前記貫通孔を介して露光及び現像することにより前記露出孔を形成することを特徴とする第3の態様記載の基板の処理方法にある。
かかる第4の態様では、保護シートに露出孔を容易に且つ高精度に形成することができる。
かかる第4の態様では、保護シートに露出孔を容易に且つ高精度に形成することができる。
本発明の第5の態様は、前記貫通孔が、一方面に開口する開口部と、該開口部に連通して他方面に開口すると共に当該開口部よりも開口面積の小さな連通孔とで構成されると共に、前記基板に一端が前記開口部に開口すると共に他端が前記基板の前記他方面に開口する補助孔を形成した後、前記基板の全面に亘って金属層を形成することを特徴とする第1〜4の何れかの態様に記載の基板の処理方法にある。
かかる第5の態様では、補助孔を設けることによって、さらに貫通孔内にエッチング液を充填することができると共に貫通孔内のエッチング液の流れを良くして、貫通孔内の金属層を確実に除去することができる。
かかる第5の態様では、補助孔を設けることによって、さらに貫通孔内にエッチング液を充填することができると共に貫通孔内のエッチング液の流れを良くして、貫通孔内の金属層を確実に除去することができる。
本発明の第6の態様は、前記基板の前記他方面及び前記貫通孔内の前記金属層を除去した後、前記保護シートを剥がして前記基板の前記一方面の前記金属層をパターニングすることを特徴とする第1〜5の何れかの態様に記載の基板の処理方法にある。
かかる第6の態様では、保護シートを剥がした後、基板の一方面の金属層をパターニングすることで、金属層が他方面及び貫通孔内に残留するのを防止して、残留異物が生じるのを防止することができる。
かかる第6の態様では、保護シートを剥がした後、基板の一方面の金属層をパターニングすることで、金属層が他方面及び貫通孔内に残留するのを防止して、残留異物が生じるのを防止することができる。
本発明の第7の態様は、前記基板に前記金属層を形成する前に、前記基板の全面に亘って密着層を形成し、且つ前記金属層をパターニングした後、パターニングされた前記金属層以外の領域の前記密着層をウェットエッチングにより除去することを特徴とする第6の態様記載の基板の処理方法にある。
かかる第7の態様では、密着層を除去する際に、密着層上の金属層が除去されているため、金属層が剥がれて、異物が発生するのを確実に防止することができる。
かかる第7の態様では、密着層を除去する際に、密着層上の金属層が除去されているため、金属層が剥がれて、異物が発生するのを確実に防止することができる。
本発明の第8の態様は、前記保護シートを添付する前に前記基板の前記一方面の前記金属層をパターニングすることを特徴とする第1〜5の何れかの態様に記載の基板の処理方法にある。
かかる第8の態様では、基板の一方面にパターニングされた金属層を保護シートにより保護することができ、金属膜のサイドエッチングを防止することができる。
かかる第8の態様では、基板の一方面にパターニングされた金属層を保護シートにより保護することができ、金属膜のサイドエッチングを防止することができる。
本発明の第9の態様は、前記金属層が、前記基板側に設けられた密着膜を含み、且つ前記基板の前記他方面及び前記貫通孔内の前記金属層を除去する際に、前記密着膜を除去することを特徴とする第8の態様記載の基板の処理方法にある。
かかる第9の態様では、基板の一方面にパターニングされた金属膜を保護シートにより保護することができ、密着膜のサイドエッチングを防止することができる。
かかる第9の態様では、基板の一方面にパターニングされた金属膜を保護シートにより保護することができ、密着膜のサイドエッチングを防止することができる。
本発明の第10の態様は、前記補助孔を、前記基板に前記貫通孔と共に形成することを特徴とする第9の態様記載の基板の処理方法にある。
かかる第10の態様では、処理工程を簡略化して処理時間を短縮することができる。
かかる第10の態様では、処理工程を簡略化して処理時間を短縮することができる。
本発明の第11の態様は、第1〜10の何れかの態様に記載の基板の処理方法により、前記一方面に前記金属層からなる配線を形成した前記基板を、液体が噴射されるノズル開口に連通する圧力発生室が形成されると共に前記圧力発生室に対応して当該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段を有する流路形成基板の一方面に接合することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第11の態様では、配線となる金属層の残留異物の発生を防止して、配線の短絡等を確実に防止することができる。
かかる第11の態様では、配線となる金属層の残留異物の発生を防止して、配線の短絡等を確実に防止することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッド及びヘッドケースの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの平面図であり、図3は、図2のA−A′断面図及びB−B′断面図である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッド及びヘッドケースの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの平面図であり、図3は、図2のA−A′断面図及びB−B′断面図である。
図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、ヘッドケース2に接着剤等を介して固定されている。このインクジェット式記録ヘッド1とヘッドケース2とは、詳しくは後述するが、ヘッドケース2に設けられた基準孔3と、インクジェット式記録ヘッド1を構成する各部材に設けられた基準孔16、22、35及び45とに基準ピン4を挿入することで位置決めされて固定されている。
ここで、インクジェット式記録ヘッド1について図2及び図3を参照して説明する。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その両面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が2列並設され、その長手方向外側には、各圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成され、各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれインク供給路14を介して連通されている。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の並設方向の両端部側の角部に厚さ方向に貫通した基準孔16が形成されている。本実施形態では、基準孔16を流路形成基板10の圧力発生室12の並設方向の両端部にそれぞれ1つずつ、合計2つ設けた。
この基準孔16は、本実施形態では、流路形成基板10の他方面側から異方性エッチングすることにより形成されている。このため、本実施形態の基準孔16は、開口が菱形状で形成されている。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられた保護膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が常温下で接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば、2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス又はステンレス鋼(SUS)などからなる。ノズルプレート20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。
さらに、ノズルプレート20には、流路形成基板10の基準孔16に連通する基準孔22が設けられている。なお、ノズルプレート20の基準孔22は、例えば、ノズル開口21と共に、ポンチ等により機械的に打ち抜くことで形成されている。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム等からなり厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、白金及びイリジウム等からなり厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなり厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、イリジウム等からなり厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路14とは反対側の端部近傍から引き出され、圧力発生室12の列間に対向する領域の絶縁体膜55上まで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤36を介して接着されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する配線接続孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、配線接続孔33内に露出するように設けられている。
さらに、保護基板30の流路形成基板10の基準孔16に相対向する領域には、厚さ方向に貫通した基準孔35が設けられている。なお、本実施形態では、保護基板30としてシリコン単結晶基板を用いたため、基準孔35を異方性エッチングにより形成することができる。
また、保護基板30上の配線接続孔33の両側、すなわち、圧力発生室12の各列に対応する領域のそれぞれには、各圧電素子300を駆動するための駆動回路120が実装されている。具体的には、保護基板30上には、図1に示す外部配線111と接続される配線122が形成されており、この配線122上に駆動回路120が実装されている。この駆動回路120が実装される配線122は、ニッケルクロム化合物(NiCr)からなる密着層123と、金(Au)からなる金属層124とで構成されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
また、このリザーバ100の長手方向略中央部外側のコンプライアンス基板40上には、リザーバ100にインクを供給するためのインク導入口44が形成されている。さらに、コンプライアンス基板40には、保護基板30の基準孔35の開口部36に連通する基準孔45が設けられている。
そして、図1に示すように、流路形成基板10、保護基板30、コンプライアンス基板40及びノズルプレート20からなるインクジェット式記録ヘッド1は、コンプライアンス基板40側に接合されたヘッドケース2に保持される。このとき、インクジェット式記録ヘッド1の基準孔16、22、35及び45と、ヘッドケース2の基準孔3とに基準ピン4を挿入することで両者は位置決めされて固定されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1では、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口44からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について図4〜図9を参照して詳細に説明する。なお、図4〜図8は、インクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハからなり、流路形成基板10が複数一体的に形成される流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50及び保護膜51となる二酸化シリコン膜52を形成する。
次に、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、例えば、スパッタ法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。
次に、図4(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板10の全面に形成後、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。
次に、図4(e)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に亘って金(Au)を形成後、圧電素子300毎にパターニングすることでリード電極90を形成する。
次に、図5(a)に示すように、シリコンウェハからなり保護基板30が複数一体的に形成された保護基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤36を介して接着する。
ここで、保護基板用ウェハ130の製造方法について説明する。まず、図6(a)に示すように、保護基板用ウェハ130を約1100℃の拡散路で熱酸化し、その表面に二酸化シリコン膜131を形成する。
次に、図6(b)に示すように、二酸化シリコン膜131を所定形状にパターニングして、二酸化シリコン膜131をマスクとして、保護基板用ウェハ130をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、基準孔35を形成する。本実施形態では、シリコンウェハである保護基板用ウェハ130をウェットエッチングすることにより基準孔35を形成したため、基準孔35は、開口が菱形状を有し、且つ厚さ方向に同一幅で形成される。なお、保護基板用ウェハ130を異方性エッチングすることにより、リザーバ部31及び圧電素子保持部32を形成する際に、同時に基準孔35を形成することで、製造工程を簡略化することができ、製造時間を短縮することができる。
次に、図6(c)に示すように、保護基板用ウェハ130の全面に亘って密着性を確保するための密着層123と、金属層124とを順次形成する。この密着層123及び金属層124が後の工程でパターニングされて配線122となる。このような密着層123及び金属層124は、保護基板用ウェハ130の全面に亘って形成することで、基準孔35の内面にも形成される。なお、密着層123及び金属層124は、例えば、メッキ法、CVD法、蒸着法又はスパッタリング法などにより形成することができる。
また、配線122となる金属層124の主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられ、本実施形態では金(Au)を用いた。また、密着層123の材料としては、金属層124の密着性を確保できる材料であればよく、具体的には、チタン(Ti)、チタンタングステン化合物(TiW)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)又はニッケルクロム化合物(NiCr)等が挙げられ、本実施形態ではニッケルクロム化合物(NiCr)を用いた。
次に、図6(d)に示すように、保護基板用ウェハ130の配線122が形成される一方面に、基準孔35に相対向する位置に厚さ方向に貫通して基準孔35に連通する露出孔201が設けられた保護シート200を貼付する。本実施形態では、保護シート200を保護基板用ウェハ130に接着剤を介して接着した。
ここで、保護シート200の露出孔201は、保護基板用ウェハ130の基準孔35に連通するものであればよく、その内径は、基準孔35よりも小さければ特に限定されない。本実施形態では、露出孔201を基準孔35に内接する内径で円形状の開口となるようにした。
なお、保護シート200としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリパラフィレンテレスタルアミド(PPTA)等が挙げられる。
また、本実施形態では、露出孔201が形成された保護シート200を保護基板用ウェハ130に貼付するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、露出孔201が形成されていない保護シート200を保護基板用ウェハ130に貼付した後、保護シート200に露出孔201を形成するようにしてもよい。すなわち、例えば、図7(a)に示すように、露出孔201が形成されていない感光性ドライフィルムからなる保護シート200を保護基板用ウェハ130の一方面に貼付する。次に、図7(b)に示すように、保護シート200を保護基板用ウェハ130の他方面側から基準孔35を介して紫外線光(UV)を照射することで露光する。このとき、基準孔35を介して露光することにより、保護シート200の基準孔35に相対向する領域のみ露光される。その後、保護シート200を現像することにより、図7(c)に示すように、基準孔35に連通する露出孔201が形成される。
なお、図7に示す例では、保護シート200として感光性ドライフィルムを用いて、露出孔201を露光及び現像することで形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、PPTA等からなる保護シート200を保護基板用ウェハ130に貼付した後、ドライエッチングすることにより露出孔201を形成してもよく、また、機械的に打ち抜くことで露出孔201を形成するようにしてもよい。
次に、保護基板用ウェハ130の保護シート200が接着された面とは反対の他方面及び基準孔35の内面の金属層124をウェットエッチングすることにより除去する。具体的には、図6(e)に示すように、保護シート200が貼付された保護基板用ウェハ130をエッチング液210に浸漬することで、保護基板用ウェハ130の保護シート200により保護されずに露出された領域、すなわち、保護基板用ウェハ130の他方面及び基準孔35の内面に設けられた金属層124を除去する。このとき、保護シート200には基準孔35に連通する露出孔201が設けられているため、基準孔35内にエッチング液210を十分に充填することができると共に、基準孔35内でのエッチング液210の流れを良くして、基準孔35内の金属層124を確実に除去することができる。これにより、基準孔35内の金属層124が残留するのを防止することができる。
次に、図8(a)に示すように、保護基板用ウェハ130の一方面の保護シートを剥がすと共に、保護基板用ウェハ130の一方面に亘ってレジストを形成後、露光及び現像することで、所定形状のレジストパターン132を形成する。なお、レジストパターン132を形成する際に、特に図示しないが、保護基板用ウェハ130の他方面にレジストが形成されないように、保護基板用ウェハ130の他方面に保護シートを貼付して行うのが好ましい。
次に、図8(b)に示すように、保護基板用ウェハ130の一方面の金属層124をレジストパターン132をマスクとしてウェットエッチングすることによりパターニングする。
次に、図8(c)に示すように、保護基板用ウェハ130の密着層123をレジストパターン132をマスクとしてウェットエッチングすることによりパターニングする。すなわち、レジストパターン132に相対向する領域以外の密着層123を除去する。これにより、密着層123と金属層124とからなる配線122を形成することができる。
その後は、図8(d)に示すように、レジストパターン132を除去することにより、複数の保護基板30が一体的に形成された保護基板用ウェハ130とすることができる。
このような複数の保護基板30が一体的に形成された保護基板用ウェハ130を図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300が設けられた面に接着剤36を介して接着する。
次に、図5(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300が形成された面とは反対側の二酸化シリコン膜52を所定形状にパターニングすることで保護膜51を形成し、保護膜51をマスクとして流路形成基板用ウェハ110をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び基準孔16を形成する。
なお、このような圧力発生室12等を形成する際、保護基板用ウェハ130の流路形成基板10側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、保護基板用ウェハ130の表面に設けられた配線122の断線等の不良をより確実に防止することができる。
その後は、図示しないが、保護基板用ウェハ130に形成されている配線122上に駆動回路120を実装すると共に、駆動回路120とリード電極90とをボンディングワイヤ等によって電気的に接続する。その後、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。この流路形成基板用ウェハ110と保護基板用ウェハ130とにノズルプレート20及びコンプライアンス基板40を接合する際に、基準孔16、22、35及び45などに基準ピン4を挿入することで、各部材の位置決めを良好に行って固定することができる。
また、このように形成されたインクジェット式記録ヘッド1は、保護基板30側に接合されるヘッドケース2に設けられた基準孔3と、インクジェット式記録ヘッド1に設けられた基準孔16、22、35及び45とに基準ピン4を挿入することで位置決めされて固定される。
以上説明したように、本発明によれば、保護基板用ウェハ130の他方面及び基準孔35内の金属層124をウェットエッチングにより除去する際に、保護基板用ウェハ130の一方面に貼付する保護シート200に基準孔35に連通する露出孔201を設けることで、基準孔35内のエッチング液の流れを良くして、基準孔35内の金属層124を確実に除去することができる。これにより、基準孔35内に金属層124が残留することなく、残留した金属層124が、保護基板用ウェハ130を洗浄した際などに剥がれて、配線122の短絡などが生じるのを確実に防止することができる。
また、本実施形態では、保護基板用ウェハ130の一方面に保護シート200を貼付して、他方面及び基準孔35内の金属層124を除去した後、保護基板用ウェハ130の一方面の金属層124をパターニングして配線122を形成するようにしたため、余分な領域の金属層124の除去を確実に行うことができる。すなわち、保護基板用ウェハ130の一方面の金属層124をパターニングして配線122を形成した後に他方面及び基準孔35内の余分な金属層124を除去しようとしても、余分な領域の金属層124を確実に除去することができない虞があり、異物が生じることがあるからである。
(実施形態2)
図9〜図10は、本発明の実施形態2に係る保護基板の製造方法を示す断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図9〜図10は、本発明の実施形態2に係る保護基板の製造方法を示す断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図9(a)に示すように、上述した実施形態1の図6(a)及び図6(b)と同様の工程により、保護基板用ウェハ130を熱酸化することにより、表面に二酸化シリコン膜131を形成した後、この二酸化シリコン膜131を所定形状にパターニングして、パターニングした二酸化シリコン膜131をマスクとして保護基盤用ウェハ130を異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、基準孔35を形成する。
次に、図9(b)に示すように、保護基板用ウェハ130の全面に亘って金属層124Aを形成する。ここで、金属層124Aは、保護基板用ウェハ130側の最下層に設けられた密着膜125と、密着膜125上に設けられた金属膜126とで構成されている。すなわち、本実施形態の金属層124Aには、密着膜125が含まれている。
次に、図9(c)に示すように、保護基板用ウェハ130の一方面に亘ってレジストを形成後、露光及び現像することで、所定形状のレジストパターン132を形成する。なお、レジストパターン132を形成する際に、特に図示しないが、保護基板用ウェハ130の他方面にレジストが形成されないように、保護基板用ウェハ130の他方面に保護シートを貼付して行うのが好ましい。
次に、図9(d)に示すように、保護基板用ウェハ130の一方面の金属層124Aをレジストパターン132をマスクとして、ウェットエッチングすることにより所定形状にパターニングする。これにより、金属層124Aで構成された配線122を形成する。このとき、レジストパターン132を形成する際に保護基板用ウェハ130の他方面に保護シートを貼付した際に残留した接着剤などがマスクとなり、保護基板用ウェハ130の他方面や基準孔35内などに金属層124Aが残留してしまう。
このため、保護基板用ウェハ130の他方面及び基準孔35内に残留した金属層124Aを除去する。詳しくは、レジストパターン132を除去した後、図10(a)に示すように、保護基板用ウェハ130の配線122が形成された一方面に基準孔35に連通する露出孔201が形成された保護シート200を貼付する。なお、上述した実施形態1と同様に、露出孔201が形成されていない保護シート200を保護基板用ウェハ130の一方面に貼付した後、保護シート200に露出孔201を形成するようにしてもよい。
次に、保護基板用ウェハ130の保護シート200が接着された面とは反対の他方面及び基準孔35の内面に残留した金属層124Aをウェットエッチングすることにより除去する。具体的には、図10(b)に示すように、保護シート200が貼付された保護基板用ウェハ130をエッチング液210に浸漬することで、保護基板用ウェハ130の保護シート200により保護されずに露出された領域、すなわち、保護基板用ウェハ130の他方面及び基準孔35内に残留した金属層124Aを除去する。本実施形態では、金属層124Aの密着膜125をウェットエッチングすることにより、金属層124Aを除去した。
このとき、保護シート200には基準孔35に連通する露出孔201が設けられているため、基準孔35内にエッチング液210を十分に充填することができると共に、基準孔35内でのエッチング液210の流れを良くして、基準孔35内に残留した金属層124Aを確実に除去することができる。
また、ここで、保護基板用ウェハ130の一方面には金属層124Aからなる配線122が形成されているため、保護基板用ウェハ130の配線122が設けられた面を保護シート200により保護しないで、残留した金属層124Aを除去しようとすると、配線122となる密着膜125もサイドエッチングされてしまい、配線122の断線等が生じてしまう虞がある。本実施形態では、配線122を保護シート200で保護して、残留した金属層124Aを除去することにより、配線122等の余分な領域の金属層124Aが除去されるのを防止して、配線122の断線を防止することができる。
このように形成された保護基板用ウェハ130は、上述した実施形態1と同様に、流路形成基板用ウェハ110の一方面に接合され、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130を一つのチップサイズの流路形成基板10及び保護基板30毎に分割することで、インクジェット式記録ヘッド1が形成される。
(実施形態3)
図11は、本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す平面図及び断面図である。なお、上述した実施形態1及び2と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11は、本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す平面図及び断面図である。なお、上述した実施形態1及び2と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態は、上述した実施形態1の変形例であり、上述した実施形態1の図6(a)及び図6(b)に示す工程と同様に、保護基板用ウェハ130に基準孔35Aを形成する。この基準孔35Aは、本実施形態では、図11(a)及び(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110との接合面とは反対側の一方面に開口する開口部36と、開口部36に連通して他方面に開口すると共に開口部36よりも開口面積の小さな連通孔37とで構成されている。この開口部36及び連通孔37は、それぞれ開口が菱形状で形成され、且つ厚さ方向に同一幅の菱形状で形成されている。このため、基準孔35Aの開口部36と連通孔37との間には段差部38が設けられている。また、保護基板用ウェハ130には、一端が開口部36に開口すると共に、他端が他方面に開口する補助孔39を形成する。本実施形態では、開口部36と連通孔37との間に段差部38が設けられているため、補助孔39の一端側は、この段差部38に開口するようになっている。
なお、基準孔35A及び補助孔39は、保護基板用ウェハ130にリザーバ部31及び圧電素子保持部32を形成する際に同時に異方性エッチングすることにより形成することができる。これにより、製造工程を簡略化して製造時間を短縮することができる。
そして、図11(b)に示すように、保護基板用ウェハ130の全面に亘って密着性を確保するための密着層123と、金属層124とを順次形成する。このような密着層123及び金属層124は、保護基板用ウェハ130の全面に亘って形成することで、基準孔35A及び補助孔39の内面にも形成される。
次に、図11(c)に示すように、保護基板用ウェハ130の金属層124上に、基準孔35Aに相対向する領域に基準孔35Aに連通する露出孔201が設けられた保護シート200を貼付する。
次に、図11(d)に示すように、保護シート200が貼付された保護基板用ウェハ130をエッチング液210に浸漬することで、保護基板用ウェハ130の保護シート200により保護されずに露出された領域、すなわち、保護基板用ウェハ130の他方面及び基準孔35の内面に設けられた金属層124を除去する。このとき、保護シート200には基準孔35Aに連通する露出孔201が設けられているため、基準孔35A内にエッチング液210を十分に充填することができると共に、基準孔35内でのエッチング液210の流れを良くすることができる。また、本実施形態では、基準孔35の開口部36に連通する補助孔39が設けられているため、補助孔39を介して基準孔35A内でのエッチング液210の流れを良くすることができる。これにより、基準孔35A内の金属層124を確実に除去することができる。なお、補助孔39内にも金属層124が形成されているが、補助孔39内でのエッチング液210の流れも良くすることができるため、補助孔39内の金属層124も除去することができる。これにより、金属層124が基準孔35内に残留するのを確実に防止することができる。
なお、本実施形態では、上述した実施形態1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の変形例を説明したが、勿論、これに限定されるものではなく、例えば、上述した実施形態2の製造方法にも適用することができる。
また、本実施形態では、補助孔39を設けることで、さらに基準孔35A内でのエッチング液210の流れを良くするようにしたが、補助孔39を設けなくても保護シート200に露出孔201を設けることで、基準孔35A内にエッチング液を流して金属層124を除去することができる。
さらに、本実施形態では、保護基板用ウェハ130の基準孔35Aを構成する開口部36及び連通孔37のそれぞれを菱形状に開口し、且つ深さ方向に幅が同一となるように形成したが、基準孔35Aの形状は、円形状、楕円形状及び矩形状等、特に限定されるものではない。なお、例えば、基準孔35Aの開口部36を保護基板30の一方面に向かって幅が漸大するテーパ形状としてもよい。このような場合でも、補助孔39の一端部を開口部に開口させるようにすれば、基準孔内の金属層124を除去する際に、基準孔内のエッチング液の流れを良くして、金属層124を確実に除去することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1〜3では、保護基板用ウェハ130の基準ピン4が挿入される基準孔35、35A内の金属層124、124Aの除去について説明したが、本発明は、基準孔35、35Aのみに限定されるものではない。例えば、保護基板用ウェハ130を一つのチップサイズの保護基板30に分割する際に用いるミシン目や、流路形成基板用ウェハ110と保護基板用ウェハ130との接着する際の接着剤の逃げ孔等にも本発明を適用することができる。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1〜3では、保護基板用ウェハ130の基準ピン4が挿入される基準孔35、35A内の金属層124、124Aの除去について説明したが、本発明は、基準孔35、35Aのみに限定されるものではない。例えば、保護基板用ウェハ130を一つのチップサイズの保護基板30に分割する際に用いるミシン目や、流路形成基板用ウェハ110と保護基板用ウェハ130との接着する際の接着剤の逃げ孔等にも本発明を適用することができる。
また、例えば、上述した実施形態1〜3では、流路形成基板10に圧力発生室12が2列並設されたインクジェット式記録ヘッド1を例示したが、圧力発生室12は1列でもよく、また、複数列であってもよい。
さらに、例えば、上述した実施形態1〜3では、成膜及びリソグラフィ法を応用して製造される薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
なお、ノズル開口からインク滴を吐出する圧力発生手段として圧電素子を用いて説明したが、圧力発生手段としては圧電素子に限定されず、例えば、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエータなどを使用することができる。
また、上述した実施形態1〜3では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッドの製造方法全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、液体噴射ヘッドの製造方法に限定されず、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成された基板の全面に亘って金属層を形成後、基板の一方面に保護シートを貼付した状態で、貫通孔内の金属層を除去する基板の処理方法に用いて好適なものである。
1 インクジェット式記録ヘッド、 2 ヘッドケース、 3 基準孔、 4 基準ピン、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 16 基準孔、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 35、35A 基準孔、 36 接着剤、 37 連通孔、 39 補助孔、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 120 駆動回路、 121 外部配線、 122 配線、 123 密着層、 124、124A 金属層、 125 密着膜、 126 金属膜、 130 保護基板用ウェハ、 200 保護シート、 201 露出孔、 210 エッチング液、 300 圧電素子
Claims (11)
- 厚さ方向に貫通する貫通孔が形成された基板の全面に亘って金属層を形成後、前記基板の一方面に、前記貫通孔に相対向する領域に当該貫通孔に連通する露出孔が形成された保護シートを貼付した状態で、前記基板の前記他方面及び前記貫通孔内の前記金属層をウェットエッチングにより除去することを特徴とする基板の処理方法。
- 前記基板の一方面に、前記露出孔の形成された前記保護シートを貼付することを特徴とする請求項1記載の基板の処理方法。
- 前記基板の一方面に前記保護シートを貼付して、前記貫通孔を封止した後、前記保護シートに前記連通孔を形成することを特徴とする請求項1記載の基板の処理方法。
- 前記保護シートが感光性ドライフィルムからなると共に、前記保護シートを前記基板の前記他方面側から前記貫通孔を介して露光及び現像することにより前記露出孔を形成することを特徴とする請求項3記載の基板の処理方法。
- 前記貫通孔が、一方面に開口する開口部と、該開口部に連通して他方面に開口すると共に当該開口部よりも開口面積の小さな連通孔とで構成されると共に、前記基板に一端が前記開口部に開口すると共に他端が前記基板の前記他方面に開口する補助孔を形成した後、前記基板の全面に亘って金属層を形成することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の基板の処理方法。
- 前記基板の前記他方面及び前記貫通孔内の前記金属層を除去した後、前記保護シートを剥がして前記基板の前記一方面の前記金属層をパターニングすることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の基板の処理方法。
- 前記基板に前記金属層を形成する前に、前記基板の全面に亘って密着層を形成し、且つ前記金属層をパターニングした後、パターニングされた前記金属層以外の領域の前記密着層をウェットエッチングにより除去することを特徴とする請求項6記載の基板の処理方法。
- 前記保護シートを添付する前に前記基板の前記一方面の前記金属層をパターニングすることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の基板の処理方法。
- 前記金属層が、前記基板側に設けられた密着膜を含み、且つ前記基板の前記他方面及び前記貫通孔内の前記金属層を除去する際に、前記密着膜を除去することを特徴とする請求項8記載の基板の処理方法。
- 前記補助孔を、前記基板に前記貫通孔と共に形成することを特徴とする請求項9記載の基板の処理方法。
- 請求項1〜10の何れかに記載の基板の処理方法により、前記一方面に前記金属層からなる配線を形成した前記基板を、液体が噴射されるノズル開口に連通する圧力発生室が形成されると共に前記圧力発生室に対応して当該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段を有する流路形成基板の一方面に接合することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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