JP4985943B2 - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通すると共に隔壁により区画された圧力発生室と、延設された隔壁により区画された圧力発生室に連通するインク供給路及びインク供給路に連通する連通路と、連通路に連通すると共に複数の圧力発生室に連通する連通部とが形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され連通部と共にリザーバの一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、インクジェット式記録ヘッドの製造方法としては、流路形成基板の一方面にボロンドープ層(本発明の隔離層)を形成後、この流路形成基板の一方面側にリザーバ部を有するリザーバ形成基板を接合し、その後、流路形成基板を他方面側から異方性エッチングすることにより圧力発生室及び連通部を形成した後、ボロンドープ層を貫通してリザーバ部と連通部とを連通させてリザーバを形成するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような製造方法によりインクジェット式記録ヘッドを形成することにより、流路形成基板に圧力発生室及び連通部を形成する際に、隔離層によりエッチング液が連通部及びリザーバ部を介してリザーバ形成基板側に流れ出て、リザーバ形成基板がエッチングされるのを防止している。
さらに、流路形成基板の圧力発生室等の内面に酸化タンタルからなる耐液体性を有する保護膜を設けたインクジェット式記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−186527号公報(第2〜4図、第6〜7頁) 特開2005−219243号公報(第3〜5図、第6〜8頁) 特開2004−262225号公報(第2図、第12〜13頁)
しかしながら、隔離層を薄く形成すると、流路形成基板をウェットエッチングする際のエッチング液によって隔離層が破れてしまい、エッチング液がリザーバ形成基板側に流出し、リザーバ形成基板がエッチング液によってエッチングされてしまうと共に、リザーバ形成基板上に設けられた駆動回路を実装する配線等がエッチング液によって破壊されてしまうという問題がある。
このため、隔離層を厚く形成することにより、上記課題を解決することができるが、これでは高コストになってしまうという問題がある。また、隔離層を厚く形成すると、流路形成基板とリザーバ形成基板とを隔離層を介して接合した際に、他の領域に比べて隔離層の設けられた領域の接合面が高くなってしまい、余分な接着剤が必要になると共に、余分な接着剤が流出することにより不具合が発生してしまうという問題がある。
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法だけでなく、勿論、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、異物による目詰まり等の吐出不良を確実に防止することができ、歩留まり及び信頼性を向上してコストを低減した液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室に連通して該圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に振動板と、該振動板上に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを形成し、且つ前記振動板の前記連通部に相対向する領域に開口する貫通部を形成すると共に、前記流路形成基板の少なくとも前記貫通部により露出された表面に、複数の凹部を設ける工程と、前記貫通部を封止する隔離層を前記凹部に沿って形成することで、前記隔離層の少なくとも前記貫通部に相対向する領域に凹形状に屈曲した複数の屈曲部を形成する工程と、前記連通部と連通して前記リザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、前記流路形成基板を他方面側からウェットエッチングすることにより、前記圧力発生室及び前記連通部を形成すると共に、前記隔離層を露出する工程と、前記流路形成基板の前記圧力発生室、前記連通部の内面及び露出された前記隔離層上に、耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成する工程と、前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程と、前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、貫通部を封止する隔離層に屈曲部を設けることで、隔離層の剛性を高めて、エッチング液により隔離層が破られるのを確実に防止することができると共に、屈曲部によって隔離層の剛性を高めることができるため、隔離層を比較的薄く形成することができる。これにより、リザーバ形成基板を流路形成基板に接合する際に介在する隔離層を薄くして、接合高さにばらつきが生じるのを防止して、余分な接着剤による不具合を防止することができると共に、製造コストを低減することができる。
ここで、前記隔離層を形成する工程では、前記流路形成基板の前記一方面側に前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に、前記リード電極と同一の層からなるが当該リード電極とは不連続の配線層からなる当該隔離層を形成する工程とを具備することが好ましい。これによれば、リード電極と同時に隔離層を形成することができ、製造コストを低減することができる。
また、前記凹部を形成する工程では、前記圧電素子を形成する際に前記振動板の前記貫通部が形成される領域に、前記圧電素子を構成する層から選択される少なくとも1層と同一層からなるが、当該圧電素子とは不連続な残留部を複数形成すると共に、前記流路形成基板を前記残留部をマスクとしてエッチングすることにより、前記凹部を形成することが好ましい。これによれば、凹部を容易に且つ高精度に形成することができると共に、凹部を形成する際のマスク膜が不要となり、製造コストを低減することができる。
また、前記凹部を形成する工程では、前記流路形成基板をイオンミリングすることにより、前記残留部を同時に除去することが好ましい。これによれば、凹部の形成と残留部の除去とを同時に行うことができ、製造コストを低減することができる。
また、前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いることが好ましい。これによれば、圧力発生室、連通部等の内面が、供給された液体によって浸食されるのを確実に防止することができる。
また、前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することが好ましい。これによれば、剥離層によって隔離層上の保護膜をさらに容易に且つ確実に除去することができる。
また、前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことが好ましい。これによれば、剥離層と保護膜とが良好に密着するため、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
また、前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いることが好ましい。これによれば、剥離層を所定の材料で形成することで、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
また、前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記隔離層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することが好ましい。これによれば、隔離層をライトエッチングすることにより、密着層と共に密着層が拡散した金属層の一部が除去されることで、隔離層と保護膜との密着力がより確実に弱められるため、隔離層上の保護膜がさらに良好且つ確実に除去することができる。
また、前記凹部を形成する工程では、前記流路形成基板の前記貫通部により露出された領域及び前記振動板の前記貫通部の周囲に亘って前記凹部を形成すると共に、前記屈曲部を形成する工程では、当該屈曲部を前記貫通部に相対向する領域から当該貫通部の外側に亘って形成することが好ましい。これによれば、隔離層が貫通部の外側まで設けられることで、隔離層の剛性をさらに高めて、エッチング液により隔離層が破られるのをさらに確実に防止することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図、そのA−A′断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
ここで、流路形成基板10の圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15の内壁表面には、耐インク特性を有する材料、例えば、五酸化タンタル(Ta)等の酸化タンタルからなる保護膜16が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐インク特性とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング特性のことである。
なお、このような保護膜16の材料は、酸化タンタルに限定されず、使用するインク(液体)のpH値によっては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いてもよい。ただし、酸性の液体を用いる場合には、もちろん耐酸性の保護膜を用いることになる。
また、本実施形態では、振動板を構成する弾性膜50には、連通部13と、詳しくは後述するリザーバ形成基板30のリザーバ部31とを連通する貫通部51が設けられている。そして、図2に示すように、この弾性膜50上に設けられた保護膜16は、弾性膜50の貫通部51の開口近傍で破断されて設けられている。
なお、貫通部51の内面と、弾性膜50の流路形成基板10側の表面との角度が、鋭角となるように、貫通部51の内面は傾斜した傾斜面で形成されている。この貫通部51の傾斜面は、流路形成基板10側が貫通部51内に突出して尖がる方向に傾斜して設けられている。このように、貫通部51の内面をリザーバ部31側よりも連通部13側が貫通部51に突出するように傾斜した傾斜面とすることで、詳しくは後述する製造方法によって、隔離層上の保護膜16を剥離層と共に良好に且つ確実に除去することができる。
また、詳しくは後述するが、弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなる絶縁体膜55が積層形成されている。この絶縁体膜55には、貫通部51よりも大きな開口を有する開口部56が設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成されており、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなり厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が積層形成されている。また、この絶縁体膜55上には、厚さが約0.1〜0.5μmの下電極膜60と、圧電体膜の一例であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなり厚さが例えば、約1.1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、絶縁体膜55を設けずに、弾性膜50と下電極膜60とを振動板としてもよい。
また、このような各圧電素子300の上電極膜80には、密着層91及び金属層92からなる配線層190で構成されるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、詳しくは後述するが、連通部13の開口周縁部に対応する領域の振動板、すなわち、弾性膜50上にも、リード電極90や下電極膜60とは不連続の配線層190が存在している。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。本実施形態では、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着剤35を用いて接合した。リザーバ形成基板30のリザーバ部31は、弾性膜50に設けられた貫通部51を介して連通部13と連通され、これらリザーバ部31及び連通部13によってリザーバ100が形成されている。
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバ形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、リザーバ形成基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路200が固定されている。この駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路200とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線210を介して電気的に接続されている。
さらに、リザーバ形成基板30のリザーバ部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図9を参照して説明する。なお、図3〜図7は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の長手方向の断面図であり、図8は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す平面図であり、図9は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の短手方向の断面図である。
まず、図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜52を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次に、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。
次に、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを流路形成基板用ウェハ110上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。本実施形態では、複数の圧電素子300の共通電極となるように下電極膜60をパターニングすると共に、詳しくは後述する弾性膜50の貫通部51が形成される領域に圧電素子300と同一層で構成される残留部が形成される領域に下電極膜60を残留させるようにした。
次に、図3(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。
また、このとき、図8(a)及び図9(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の一方面側の貫通部51が形成される領域に、圧電体層70及び上電極膜80を残留させることにより、圧電素子300を構成する下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80と同一層で且つ圧電素子300とは不連続な残留部301を形成する。本実施形態では、残留部301として、貫通部51の短手方向に亘って設けられた短冊状のものを貫通部51の長手方向に所定の間隔で複数設けるようにした。
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法等を用いてもよい。
さらに、上電極膜80及び圧電体層70のパターニング方法は、特に限定されず、例えば、イオンミリングや反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチングが挙げられる。
次に、図4(a)に示すように、絶縁体膜55をイオンミリングすることによりパターニングして、開口部56を形成する。このとき、絶縁体膜55の開口部56(弾性膜50の貫通部51)が形成される領域には、図9(b)に示すように、残留部301が設けられているため、残留部301も同時にイオンミリングによりエッチングする。これにより、互いに隣接する残留部301の間の弾性膜50には、流路形成基板用ウェハ110の表面を露出する複数の溝部53が形成される。
次に、図4(a)に示すように、弾性膜50をイオンミリングすることによりパターニングして、貫通部51を形成する。このとき、図9(c)に示すように、溝部53により露出された流路形成基板用ウェハ110の表面も同時にエッチングされて、貫通部51の弾性膜50は完全に除去されると共に、貫通部51によって露出された表面に複数の凹部54が形成される。
すなわち、本実施形態では、弾性膜50の貫通部51が形成される領域に、圧電素子300と同一層の残留部301を形成し、この残留部301をイオンミリングによりエッチングすることで、残留部301の形状を絶縁体膜55及び弾性膜50に転写し、さらに弾性膜50をイオンミリングすることで、残留部301の形状を流路形成基板用ウェハ110の表面に転写して凹部54を形成するようにした。
このように形成された凹部54は、図8(b)に示すように、それぞれ貫通部51の短手方向に亘って設けられ、且つ貫通部51の長手方向に所定の間隔で複数設けられる。
なお、絶縁体膜55及び弾性膜50のイオンミリングでは、開口部56及び貫通部51以外の領域がイオンミリングによりエッチングされないように、レジスト等のマスクで保護しておく必要がある。
そして、図4(a)に示すように、貫通部51及び凹部54を形成した後は、図4(b)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、まず流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って密着層91を介して金属層92を形成し、密着層91と金属層92とからなる配線層190を形成する。そして、この配線層190上に、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して金属層92及び密着層91を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。また、弾性膜50の貫通部51に対応する領域に、リード電極90とは不連続の配線層190を残し、この配線層190によって貫通部51が封止されるようにする。すなわち、本実施形態では、リザーバ部31と連通部13とを隔離する隔離層として、リード電極90と同一層からなるが、リード電極90とは不連続の独立した配線層190を形成する。これにより、リード電極90と同時に隔離層である配線層190を形成することができ、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
このような配線層190は、図9(d)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の貫通部51により露出された表面に沿って、すなわち、複数の凹部54に沿って形成される。このため、配線層190には、所定の間隔で凹形状に屈曲した屈曲部191を形成することができる。
ここで、金属層92の主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられ、本実施形態では金(Au)を用いている。また、密着層91の材料としては、金属層92の密着性を確保できる材料であればよく、具体的には、チタン(Ti)、チタンタングステン化合物(TiW)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)又はニッケルクロム化合物(NiCr)等が挙げられ、本実施形態ではチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
なお、配線層190は、詳しくは後述する流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチングする際に耐エッチング特性を有する材料であれば、特にこれに限定されず、例えば、リード電極90を形成した後、貴金属やニッケル、クロム及びニッケルクロムなどの金属材料を別途形成するようにしてもよい。
次に、図4(c)に示すように、リザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。ここで、このリザーバ形成基板用ウェハ130には、リザーバ部31、圧電素子保持部32等が予め形成されている。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するシリコンウェハであり、リザーバ形成基板用ウェハ130を接合することで流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
なお、本実施形態では、配線層190が弾性膜50の貫通部51を覆うように設けられているが、屈曲部191は貫通部51に対応する領域のみに設けられているため、リザーバ形成基板用ウェハ130が接着される領域に設けられた配線層190は、比較的薄膜で形成されている。また、詳しくは後述するが、配線層190は、屈曲部191により剛性が高められているため、比較的薄膜で形成することができる。このため、リザーバ形成基板用ウェハ130を接着する際に、配線層190により接着する高さにばらつきが生じるのを防止して、余分な接着剤の流出による不具合等を防止することができる。
次いで、図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにするまで薄くする。次いで、図5(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上にマスク膜57を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
そして、図5(c)に示すように、このマスク膜57を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハ110に液体流路、本実施形態では、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のエッチング液によって弾性膜50及び密着層91(金属層92)が露出するまでエッチングすることより、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15を同時に形成する。このとき、図9(e)に示すように、弾性膜50の貫通部51は、密着層91及び金属層92からなる配線層190によって封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130側にエッチング液が流れ込むことがない。また、貫通部51を封止する配線層190には、所定の間隔で凹形状に屈曲された屈曲部191が設けられているため、屈曲部191によって配線層190の剛性が高められ、エッチング液により配線層190が破られるのを確実に防止することができる。すなわち、薄膜の平面状からなる配線層で貫通部51を封止した場合、エッチング液が当接する圧力によって配線層が破られる虞があるが、本実施形態では、屈曲部191を設けて配線層190の剛性を高めたため、配線層190がエッチング液によって破られるのを防止することができる。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられている接続配線(図示なし)にエッチング液が付着することがなく、断線等の不良の発生を防止することができる。また、リザーバ部31内にエッチング液が浸入してリザーバ形成基板用ウェハ130がエッチングされる虞もない。
また、配線層190は、屈曲部191により剛性が高められるため、配線層190の膜厚を薄くすることができる。このため、製造コストを低減することができる。
なお、本実施形態では、連通部13を、その振動板(弾性膜50)側の開口縁部が、貫通部51の開口縁部よりも外側に位置するように形成している。すなわち、連通部13は、振動板側の開口が貫通部51よりも大きくなるように形成されている。
また、このような圧力発生室12等を形成する際、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられた配線の断線等の不良をより確実に防止することができる。
次に、図6(a)に示すように、貫通部51内の配線層190の一部を連通部13側からウェットエッチング(ライトエッチング)することにより除去する。すなわち、連通部13側に露出されている密着層91と、この密着層91が拡散している金属層92の一部の領域とをエッチングにより除去する。詳しくは後述するが、これにより、後の工程で配線層190上に形成される保護膜16と配線層190との密着力が弱められ、配線層190上の保護膜16が剥離し易くなる。
次に、流路形成基板用ウェハ110表面のマスク膜57を除去し、図6(b)に示すように、例えば、酸化物又は窒化物等の耐液体性(耐インク特性)を有する材料、本実施形態では、五酸化タンタルからなる保護膜16を、CVD法等によって形成する。このとき、貫通部51は配線層190によって封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130の外面等に保護膜16が形成されることがない。したがって、接続用の配線等が形成されたリザーバ形成基板用ウェハ130の表面に保護膜16が形成されることなく、駆動回路などの接続不良等の発生を防止することができると共に、余分な保護膜16を除去する工程が不要となって製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
次に、図6(c)に示すように、保護膜16上に高応力材料からなる剥離層17を、例えば、CVD法によって形成する。この剥離層17は、その内部応力が圧縮応力であることが好ましい。また、剥離層17は、保護膜16との密着力が保護膜16と配線層190との密着力よりも大きな材料を用いるのが好ましい。本実施形態では、剥離層17の材料としてチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
このように高応力材料からなると共に保護膜16との密着力が高い剥離層17を保護膜16上に形成すると、剥離層17の応力によって配線層190上に形成された保護膜16が剥がれ始める。そして、図7(a)に示すように、この剥離層17をウェットエッチングにより除去することで、配線層190上の保護膜16を剥離層17と共に完全に除去する。なお、本実施形態では、前述した工程で貫通部51に設けられた配線層190の連通部13側の一部、すなわち、密着層91及び密着層91が拡散した金属層92が除去されているため、配線層190と保護膜16との密着力が弱く、保護膜16を配線層190から容易に剥離することができる。
また、本発明では、連通部13は、その振動板(弾性膜50)側の開口縁部が、貫通部51の開口縁部よりも外側となるように形成されている。そして、貫通部51の流路形成基板用ウェハ110側の開口縁部が、振動板(弾性膜50)又は配線層190のみ、すなわち、酸化物又は金属の薄膜のみで構成されるようにしている。例えば、本実施形態では、連通部13の開口縁部が実質的に弾性膜50のみで構成されるようにしている。このため、連通部13等の内面に形成されている保護膜16は、剥離層17と共に剥離されて除去される際、この連通部13の開口縁部に沿って良好に分離され、配線層190上の保護膜16のみが確実に剥離して除去される。したがって、いわゆる剥離残渣がほとんど生じることがなく、この剥離残渣によるノズル詰まり等の発生を確実に防止することができる。
また、このように配線層190上の保護膜16を良好に剥離させるためには、貫通部51の内面(弾性膜50の端面)と振動板の表面(弾性膜50の表面)との角度が10〜90°程度の鋭角であることが好ましい。さらに、貫通部51は、その周縁部に沿って角部が存在しないような開口形状で形成されていることが好ましい。例えば、貫通部51を略矩形の開口形状で形成する場合、その四隅を全てR形状とするのが好ましい。これにより、配線層190上の保護膜16を剥離層17と共にさらに良好且つ確実に剥離させることができる。
このように配線層190上の保護膜16を除去した後は、図7(b)に示すように、配線層190(屈曲部191)を連通部13側からウェットエッチングすることによって除去して貫通部51を開口させる。このとき配線層190上には保護膜16が形成されていないため、保護膜16が配線層190のウェットエッチングを邪魔することはない。
したがって、配線層190を容易且つ確実にウェットエッチングにより除去して貫通部51を開口させることができる。すなわち、このような本発明の製造方法によれば、従来の機械的な加工とは異なり加工カス等の異物が発生することはない。したがって、圧力発生室12、連通部13等のインク流路内に加工カスが残留し、残留した加工カスによってノズル詰まり等の吐出不良が発生するのを確実に防止することができる。また、保護膜16が配線層190側に庇状に突出して残渣するのを防止することができるため、配線層190のエッチングを良好に行って、確実に配線層190を除去することができる。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及びリザーバ形成基板用ウェハ130の不要部分、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110等を、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
(実施形態2)
上述した実施形態1では、配線層190の屈曲部191を、貫通部51の短手方向に亘って、且つ貫通部51の長手方向に複数設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、屈曲部を貫通部51の長手方向に亘って、且つ貫通部51の短手方向に複数設けるようにしてもよい。また、屈曲部を貫通部の長手方向及び短手方向に亘って複数、すなわち、格子状に設けるようにしてもよい。
ここで、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの製造方法について説明する。なお、図10は、インクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す平面図であり、図11は、インクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。また、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
上述した実施形態1と同様の工程によって、流路形成基板用ウェハ110に弾性膜50、絶縁体膜55及び圧電素子300を形成すると共に、貫通部51を形成した後、図10及び図11(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の貫通部51によって露出された表面に複数の凹部54Aを形成する。この凹部54Aは、大きさの異なる複数の球形の凸部が複数形成されるように設けられている。
次に、図11(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って密着層91と金属層92とからなる配線層190を形成してパターニングする。このとき、配線層190を圧電素子300毎に形成することでリード電極90(図示なし)を形成する。また、配線層190を貫通部51を封止する領域に形成し、隔離層を形成する。このような隔離層である配線層190は、流路形成基板用ウェハ110の貫通部51により露出された表面に沿って、すなわち、複数の凹部54Aに沿って形成される。このため、配線層190には、複数の凹部54Aに沿って複数の凹形状に屈曲した屈曲部191Aが形成される。
次に、上述した実施形態1と同様に、流路形成基板用ウェハ110にリザーバ形成基板用ウェハ130を接合し、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚さまで薄くした後、図11(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチングすることにより圧力発生室12(図示なし)、連通部13等を形成する。このとき、弾性膜50の貫通部51は、配線層190によって封止されているため、貫通部51を介してエッチング液がリザーバ形成基板30側に流れ込むことがない。また、貫通部51を封止する配線層190には、凹形状に屈曲した屈曲部191Aが設けられているため、屈曲部191Aによって配線層190の剛性が高められ、エッチング液によって配線層190が破られるのを防止することができる。
また、配線層190は、屈曲部191Aによって剛性が高められるため、配線層190を薄くすることができる。これにより製造コストを低減することができる。
その後の工程については上述した実施形態1と同様のため重複する説明は省略する。
なお、本実施形態では、凹部54Aを形成することで、大きさの異なる球形の凸部が複数形成されるようににしたが、特にこれに限定されず、面内でハニカム状(6角形状)を有し、球形に突出した凸部が形成されるように凹部を形成するようにしてもよい。これにより、配線層190には、ハニカム状の凹部に沿って屈曲部が形成されるため、さらに配線層の屈曲部による剛性を高めることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、弾性膜50の貫通部51が形成される領域に、圧電素子300と同一層の残留部301を形成し、この残留部301によって、流路形成基板用ウェハ110に凹部54を形成するようにしたが、流路形成基板用ウェハ110への凹部54の形成方法は、特にこれに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50をマスクを介してドライエッチングすることにより、複数の凹部を形成し、凹部の設けられた弾性膜をマスクとして流路形成基板用ウェハ110をエッチングすることにより凹部54を形成するようにしてもよい。また、流路形成基板用ウェハ110に凹部54、54Aを形成するタイミングは、配線層190からなる隔離層を形成する前であれば、何れのタイミングで形成してもよい。
また、上述した実施形態1及び2では、凹部54、54Aを流路形成基板用ウェハ110の貫通部51により露出された領域のみに形成するようにしたが、凹部54、54Aを形成する工程では、凹部54、54Aを流路形成基板用ウェハ110の貫通部51により露出された領域から振動板の貫通部51の周囲に亘って形成し、屈曲部191、191Aを形成する工程では、屈曲部191、191Aを貫通部51に相対向する領域から貫通部51の外側に亘って形成するようにしてもよい。これにより、配線層190が貫通部51の外側まで設けられることで、配線層190の剛性をさらに高めて、エッチング液により配線層190が破られるのをさらに確実に防止することができる。
また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す拡大断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す平面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 16 保護膜、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 リザーバ形成基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 35 接着剤、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 51 貫通部、 54、54A 凹部、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 91 密着層、 92 金属層、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 130 リザーバ形成基板用ウェハ、 190 配線層、 191、191A 屈曲部、 200 駆動回路、 210 駆動配線、 300 圧電素子

Claims (10)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、複数の圧力発生室に連通して該圧力発生室の共通の液体室となるリザーバの一部を構成する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に振動板と、該振動板上に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを形成し、且つ前記振動板の前記連通部に相対向する領域に開口する貫通部を形成すると共に、前記流路形成基板の少なくとも前記貫通部により露出された表面に、複数の凹部を設ける工程と、
    前記貫通部を封止する隔離層を前記凹部に沿って形成することで、前記隔離層の少なくとも前記貫通部に相対向する領域に凹形状に屈曲した複数の屈曲部を形成する工程と、
    前記連通部と連通して前記リザーバの一部を構成するリザーバ部が形成されたリザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接合する工程と、
    前記流路形成基板を他方面側からウェットエッチングすることにより、前記圧力発生室及び前記連通部を形成すると共に、前記隔離層を露出する工程と、
    前記流路形成基板の前記圧力発生室、前記連通部の内面及び露出された前記隔離層上に、耐液体性を有する材料からなる保護膜を形成する工程と、
    前記隔離層上の前記保護膜を剥離して除去する工程と、
    前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させて前記リザーバを形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 前記隔離層を形成する工程では、前記流路形成基板の前記一方面側に前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に、前記リード電極と同一の層からなるが当該リード電極とは不連続の配線層からなる当該隔離層を形成する工程とを具備することを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 前記凹部を形成する工程では、前記圧電素子を形成する際に前記振動板の前記貫通部が形成される領域に、前記圧電素子を構成する層から選択される少なくとも1層と同一層からなるが、前記圧電素子とは不連続な残留部を複数形成すると共に、前記流路形成基板を前記残留部をマスクとしてエッチングすることにより、前記凹部を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 前記凹部を形成する工程では、前記流路形成基板をイオンミリングすることにより、前記残留部を同時に除去することを特徴とする請求項3記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  5. 前記保護膜の材料として、酸化物又は窒化物を用いたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことを特徴とする請求項6記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする請求項6又は7記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記隔離層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  10. 前記凹部を形成する工程では、前記流路形成基板の前記貫通部により露出された領域及び前記振動板の前記貫通部の周囲に亘って前記凹部を形成すると共に、前記屈曲部を形成する工程では、当該屈曲部を前記貫通部に相対向する領域から当該貫通部の外側に亘って形成することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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