JP2008100416A - 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異物による目詰まり等の吐出不良を確実に防止することができる液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供する。
【解決手段】圧力発生室と連通部13とが設けられた流路形成基板10と、流路形成基板10に設けられた圧電素子と、流路形成基板10に接着剤35を介して接着されて、連通部13と連通してリザーバ100を構成するリザーバ部31が設けられたリザーバ形成基板30と、流路形成基板10とリザーバ形成基板30との間に設けられて、連通部13とリザーバ部31とを連通する貫通部51が設けられた振動板50と、振動板50の貫通部51の開口縁部に設けられて貫通部51に連通する連通孔191が設けられた支持層として機能する配線層190とを具備し、振動板50の貫通部51の開口縁部及び配線層190の連通孔191の開口縁部がリザーバ部31の内壁よりもリザーバ100の内側に突出して設けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通すると共に隔壁により区画された圧力発生室と、延設された隔壁により区画された圧力発生室に連通するインク供給路及びインク供給路に連通する連通路と、連通路に連通すると共に複数の圧力発生室に連通する連通部とが形成された流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合され連通部と共にリザーバの一部を構成するリザーバ部を有するリザーバ形成基板とを具備するものがある。
そして、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法としては、流路形成基板の一方面側に振動板を介して圧電素子を形成すると共に、連通部となる領域の振動板を除去して貫通部を形成した後、貫通部を覆う隔離層(不連続金属層)を形成し、流路形成基板にリザーバ形成基板を接着する。その後、流路形成基板の他方面側から異方性エッチングすることにより圧力発生室及び連通部を形成した後、隔離層を貫通してリザーバ部と連通部とを連通させてリザーバを形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような製造方法によれば、流路形成基板に圧力発生室及び連通部を形成する際に、隔離層によりエッチング液が連通部及びリザーバ部を介してリザーバ形成基板側に流れ出るのを防止して、リザーバ形成基板がエッチングされるのを防止している。
特開2006−231897号公報(第6〜9頁、第6〜7図)
しかしながら、従来のインクジェット式記録ヘッドの構成では、流路形成基板とリザーバ形成基板とを接着した接着剤が、リザーバ内に庇状に突出し、リザーバ内のインクの流れによってこの接着剤が剥離して、剥離した接着剤によってノズル開口の目詰まり等が発生してしまうという問題がある。
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法だけでなく、勿論、インク以外の液体を吐出する他の液体噴射ヘッドの製造方法においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、異物による目詰まり等の吐出不良を確実に防止することができる液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供することを目的とする。
本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に連通する連通部とが設けられた流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、前記流路形成基板の前記圧電素子が設けられた面に接着剤を介して接着されて、前記連通部と連通して前記圧力発生室の共通の液体室であるリザーバとなるリザーバ部が設けられたリザーバ形成基板と、前記流路形成基板と前記リザーバ形成基板との間に設けられて、前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部を有する振動板と、該振動板上の前記貫通部の開口縁部に設けられて、当該貫通部に連通する連通孔を有する支持層と、を具備し、前記振動板の前記貫通部の開口縁部及び前記支持層の前記連通孔の開口縁部が、前記リザーバ部の内壁よりも前記リザーバの内側に突出して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、支持層によって、流路形成基板とリザーバ形成基板とを接着する接着剤のみが、リザーバ部内に突出するように設けられることがなく、接着剤が支持層の表面とリザーバ部の内壁との角部に亘って形成されるため、リザーバ部から圧力発生室に液体が供給された際に、液体の流れによってリザーバ部内に突出した接着剤が押圧されたとしても、支持層及び振動板によって接着剤が支持されるため、接着剤が液体の流入時に剥離するのを防止することができる。これにより、剥離した接着剤によるノズル開口の目詰まりを確実に防止することができ、液体噴射不良を防止することができる。
ここで、前記支持層が、金属材料からなることが好ましい。これによれば、支持層を金属材料で形成することにより、支持層の剛性を向上して、接着剤の液体流入時の剥離を確実に防止することができる。
また、前記支持層が、前記振動板上に設けられた密着層と、該密着層上に設けられた金属層とからなることが好ましい。これによれば、支持層を密着層と金属層とで形成することにより、支持層の剛性を向上して、接着剤の液体流入時の剥離を確実に防止することができると共に、支持層の振動板との密着性を向上して振動板からの剥離を確実に防止できる。
また、前記密着層が、ニッケルクロムを主成分とする材料で形成されていると共に、前記金属層が金を主成分とする材料で形成されていることが好ましい。これによれば、支持層の振動板との密着性を向上して振動板からの剥離を確実に防止できる。
また、前記流路形成基板の一方面側には、前記圧電素子から引き出されるリード電極が設けられていると共に、前記支持層が、前記リード電極と同一層からなり、且つ当該リード電極とは不連続の配線層で構成されていることが好ましい。これによれば、支持層をリード電極と同一層で形成することで、部品点数を減少させることができると共に、支持層をリード電極と同時に形成することができ、コストを低減することができる。
また、前記連通部が、複数の圧力発生室に連通すると共に、前記リザーバ部と共に前記リザーバの一部を構成することが好ましい。これによれば、連通部とリザーバ部とを連通する貫通部が大きな開口となったとしても、接着剤のみがリザーバ部内に突出するのを防止して、液体の流れによる接着剤の剥離を防止することができる。
さらに本発明は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。これによれば、液体噴射不良を防止して信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
ここで、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に連通する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に、振動板と、該振動板上に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを形成すると共に、前記振動板の前記連通部に相対向する領域に貫通部を形成し、前記振動板の前記貫通部の開口縁部が、前記流路形成基板の前記一方面側に接着剤を介して接着されたリザーバ形成基板に形成されて前記圧力発生室の共通の液体室となるリザーバとなるリザーバ部の内壁よりも前記リザーバの内側となるように設ける工程と、前記流路形成基板の前記一方面側に前記貫通部を封止する隔離層を形成する工程と、前記リザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接着剤を介して接着する工程と、前記流路形成基板を他方面側から前記振動板及び前記隔離層が露出するまでウェットエッチングすることにより前記圧力発生室及び前記連通部を形成する工程と、前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させると共に、前記振動板と前記リザーバ形成基板との間の前記貫通部の開口縁部に、前記貫通部と連通する連通孔が設けられた支持層を、前記連通孔の開口縁部が前記リザーバ部の内壁よりも前記リザーバの内側となるように形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、接着剤のみがリザーバ内に庇状に突出しないように、支持層を容易に且つ確実に形成することができると共に、リザーバ部と連通部とを連通させる際に、加工カス等の異物が発生することがないため、加工カス等の異物によるノズル詰まり等の吐出不良を防止することができる。また、流路形成基板をウェットエッチングする際に連通部を介してリザーバ形成基板側にエッチング液が侵入するのを防止することができ、リザーバ形成基板がエッチングされるのを防止することができると共に、リザーバ形成基板上の配線等が破壊されるのを防止することができる。
ここで、前記支持層を形成する工程では、前記隔離層を除去することにより当該隔離層に前記連通孔を形成すると共に、前記支持層を前記隔離層の一部で構成することが好ましい。これによれば、新たに支持層を形成する工程が不要となり、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
また、前記隔離層を除去する工程では、前記貫通部を有する前記振動板をマスクとしてウェットエッチングすることにより、前記隔離層に前記連通孔を形成することが好ましい。これによれば、隔離層をパターニングする新たなマスクが不要となり、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
また、前記圧力発生室及び前記連通部を形成する工程の後、前記圧力発生室及び前記連通部の内面と、前記隔離層の前記流路形成基板側の表面とに亘って耐液体性を有する保護膜を形成する工程をさらに有することが好ましい。これによれば、流路形成基板の液体による侵食を防止することができる。
また、前記保護膜を形成する工程の後、前記隔離層上の当該保護膜を剥離して除去する工程をさらに有することが好ましい。これによれば、隔離層上の保護膜が除去されているため、貫通部を形成する際に隔離層の除去を容易に且つ確実に行うことができる。
また、前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することが好ましい。これによれば、剥離層によって隔離層上の保護膜をさらに容易に且つ確実に除去することができる。
また、前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことが好ましい。これによれば、剥離層と保護膜とが良好に密着するため、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
また、前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いることが好ましい。これによれば、剥離層を所定の材料で形成することで、隔離層上の保護膜を剥離層と共にさらに容易且つ確実に除去することができる。
また、前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記隔離層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することが好ましい。これによれば、隔離層と保護膜との密着力が弱められるため、隔離層上の保護膜をさらに良好且つ確実に除去することができる。
また、前記隔離層が、密着層と該密着層上に形成される金属層とからなり、前記保護膜を形成する工程の前に、前記隔離層の表面をライトエッチングして前記密着層を少なくとも除去することが好ましい。これによれば、隔離層をライトエッチングすることにより、密着層と共に密着層が拡散した金属層の一部が除去されることで、隔離層と保護膜との密着力がより確実に弱められるため、隔離層上の保護膜がさらに良好且つ確実に除去することができる。
また、前記隔離層を形成する工程では、前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に、該リード電極と同一層からなり、且つ当該リード電極とは不連続の配線層で形成することが好ましい。これによれば、剥離層をリード電極と同一層で形成することで、部品点数を減少させることができると共に、製造工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図であり、図3は、図2の要部拡大断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
ここで、流路形成基板10の圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15の内壁表面には、耐インク性を有する材料、例えば、五酸化タンタル(Ta)等の酸化タンタルからなる保護膜16が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐インク性とは、アルカリ性のインクに対する耐エッチング性のことである。
なお、このような保護膜16の材料は、酸化タンタルに限定されず、使用するインクのpH値によっては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いてもよい。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなり厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が積層形成されている。また、この絶縁体膜55上には、厚さが約0.1〜0.5μmの下電極膜60と、圧電体膜の一例であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなり厚さが例えば、約1.1μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみを残して下電極膜60を振動板としてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
また、このような各圧電素子300の上電極膜80には、密着層91及び金属層92で構成されるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、詳しくは後述するが、連通部13の開口周縁部に対応する領域の振動板、すなわち、弾性膜50上にも、密着層91及び金属層92からなるがリード電極90とは不連続の配線層190が存在している。
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。本実施形態では、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着剤35を用いて接合した。
リザーバ形成基板30のリザーバ部31は、振動板である弾性膜50に設けられた貫通部51を介して流路形成基板10の連通部13と連通され、これらリザーバ部31及び連通部13によって複数の圧力発生室12の共通の液体室であるリザーバ100が形成されている。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバ部31のみをリザーバとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10とリザーバ形成基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。すなわち、リザーバ部31に連通する連通部13が圧力発生室12の一部を構成するものであってもよい。
また、弾性膜50の貫通部51の開口縁部は、リザーバ形成基板30のリザーバ部31の内壁よりもリザーバ部31の内側に突出して設けられている。
さらに、弾性膜50の貫通部51の開口縁部には、リード電極90と同一材料からなるが、リード電極90とは不連続の支持層である配線層190が設けられている。配線層190には、弾性膜50の貫通部51と連通する連通孔191が設けられており、配線層190の連通孔191の開口縁部は、リザーバ形成基板30のリザーバ部31の内壁よりもリザーバ部31の内側に突出して設けられている。すなわち、弾性膜50の貫通部51側の端部と、配線層190の連通孔191の開口縁部とは、リザーバ形成基板30のリザーバ部31の内壁よりもリザーバ部31の内側に突出して設けられている。本実施形態では、弾性膜50の貫通部51の開口縁部と、配線層190の連通孔191の開口縁部とを同じ位置となるように設けた。
そして、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着する接着剤35は、配線層190の一方面とリザーバ形成基板30のリザーバ部31の内壁とで画成された角部と、配線層190の一方面とリザーバ形成基板30との間とに亘って連続して設けられている。すなわち、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着する接着剤35のみがリザーバ100の内側に庇状に突出して設けられておらず、接着剤35よりもインクの流入方向の下流側に設けられた配線層190の連通孔191の開口縁部及び弾性膜50の貫通部51の開口縁部がリザーバ100の内側に突出して設けられている。
このように、接着剤35よりもインクの流入方向下流側となる配線層190及び弾性膜50の端部をリザーバ100の内側に突出して設けることで、詳しくは後述する製造方法において、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着剤35を介して接着した際に、リザーバ100の内側に突出した接着剤35の先端が配線層190の連通孔191の開口縁部及び弾性膜50の貫通部51の開口縁部よりもリザーバ100の内側に庇状に突出するのを防止することができる。
また、このように、接着剤35のみがリザーバ100内に突出せずに、接着剤35よりもインクの流入方向下流側の配線層190及び弾性膜50がリザーバ100の内側に突出して設けられているため、リザーバ100から圧力発生室12にインクを供給した際に、インクの流れによってリザーバ100内に突出した接着剤35が押圧されたとしても、配線層190及び弾性膜50によって接着剤35が支持されるため、接着剤35がインク流入時に剥離するのを防止することができる。これにより、剥離した接着剤35によるノズル開口21の目詰まりを確実に防止することができ、インク吐出不良を防止することができる。
なお、本実施形態では、支持層としてリード電極90と同一材料からなるが、リード電極90とは不連続の配線層190を設けるようにした。この配線層190は、詳しくは後述する製造方法において、流路形成基板10をウェットエッチングすることにより圧力発生室12及び連通部13を形成する際に、弾性膜50の貫通部51を封止してリザーバ形成基板30側にエッチング液が侵入するのを防止するための隔離層として用いたものである。ただし、支持層は、特にこれに限定されず、例えば、製造時に隔離層として用いた配線層を除去し、新たに樹脂や金属などの支持層を形成してもよい。
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバ形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、リザーバ形成基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路200が固定されている。この駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路200とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線210を介して電気的に接続されている。
さらに、リザーバ形成基板30のリザーバ部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。なお、図4〜図8は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の長手方向の断面図である。
まず、図4(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50となる二酸化シリコン膜52を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを弾性膜50上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図4(d)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。また、圧電素子300を形成後に、絶縁体膜55及び弾性膜50をパターニングして、流路形成基板用ウェハ110の連通部(図示なし)が形成される領域の絶縁体膜55及び弾性膜50を貫通させる。
すなわち、絶縁体膜55をエッチングして貫通孔56を形成し、さらに弾性膜50をエッチングすることにより貫通部51を形成する。なお、本実施形態では、絶縁体膜55の貫通孔56を、弾性膜50の貫通部51よりも開口面積が大きくなるように形成している。勿論、これら貫通部51、貫通孔56は、同じ大きさで形成されていてもよい。
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法等を用いてもよい。
次に、図5(a)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、まず流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って密着層91を介して金属層92を形成し、密着層91と金属層92とからなる配線層190を形成する。そして、この配線層190上に、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して金属層92及び密着層91を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。またこのとき、貫通部51に対向する領域に、リード電極90とは不連続の配線層190を残し、この配線層190によって貫通部51が封止されるようにする。すなわち、本実施形態では、リザーバ部31と連通部13とを隔離する隔離層として、リード電極90と同一材料からなるが、リード電極90とは不連続の独立した配線層190を形成する。これにより、リード電極90と同時に隔離層である配線層190を形成することができ、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。なお、隔離層は、特にこれに限定されず、例えば、リード電極90を形成した後、金属材料、樹脂材料等の隔離層を別途形成するようにしてもよい。
ここで、金属層92の主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられ、本実施形態では金(Au)を用いている。また、密着層91の材料としては、金属層92の密着性を確保できる材料であればよく、具体的には、チタン(Ti)、チタンタングステン化合物(TiW)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)又はニッケルクロム化合物(NiCr)等が挙げられ、本実施形態ではチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
次に、図5(b)に示すように、リザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。具体的には、リザーバ形成基板用ウェハ130の接着面側に接着剤35を塗布し、リザーバ形成基板用ウェハ130を流路形成基板用ウェハ110に所定の圧力で押圧した状態で、接着剤35を硬化させることで、両者を接着する。このとき、リザーバ形成基板用ウェハ130を流路形成基板用ウェハ110に押圧すると、図8(a)に示すように、配線層190とリザーバ形成基板用ウェハ130との間の接着剤35は、リザーバ部31内に流出する。すなわち、接着剤35は、配線層190とリザーバ形成基板用ウェハ130との間から、配線層190の表面とリザーバ部31の内壁とで画成された角部に亘って連続して形成される。
なお、このリザーバ形成基板用ウェハ130には、リザーバ部31、圧電素子保持部32等が予め形成されている。また、リザーバ形成基板用ウェハ130は、例えば、数百μm程度の厚さを有するシリコンウェハであり、リザーバ形成基板用ウェハ130を接合することで流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次いで、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みになるように薄くする。次いで、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上にマスク膜53を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図6(b)に示すように、このマスク膜53を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハ110に液体流路、本実施形態では、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液等のエッチング液によって弾性膜50及び配線層190(密着層91)が露出するまでエッチングすることより、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15を同時に形成する。
また、このように圧力発生室12等の液体流路を形成する際、貫通部51は配線層190によって封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130側にエッチング液が流れ込むことがない。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられている配線(図示なし)にエッチング液が付着することがなく、断線等の不良の発生を防止することができる。また、リザーバ部31内にエッチング液が浸入してリザーバ形成基板用ウェハ130がエッチングされる虞もない。
なお、このような圧力発生室12等を形成する際、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルア
ミド)等からなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられた配線の断線等の不良をより確実に防止することができる。
次に、図6(c)に示すように、貫通部51内の配線層190の一部を連通部13側からウェットエッチング(ライトエッチング)することにより除去する。すなわち、連通部13側に露出されている密着層91と、この密着層91が拡散している金属層92の一部の領域とをエッチングにより除去する。詳しくは後述するが、これにより、後の工程で配線層190上に形成される保護膜16と配線層190との密着力が弱められ、配線層190上の保護膜16が剥離し易くなる。
次に、流路形成基板用ウェハ110表面のマスク膜53を除去し、図7(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の内面、すなわち、圧力発生室12等の液体流路の内面と、配線層190の連通部13側の表面とに、例えば、酸化物又は窒化物等の耐液体性(耐インク性)を有する材料、本実施形態では、五酸化タンタルからなる保護膜16をCVD法等によって形成する。
このように保護膜16を形成した際に、貫通部51は配線層190によって封止されているため、貫通部51を介してリザーバ形成基板用ウェハ130の外面等に保護膜16が形成されることがない。したがって、接続配線等が形成されたリザーバ形成基板用ウェハ130の表面に保護膜16が形成されることなく、リザーバ形成基板用ウェハ130上に設けられた配線(図示なし)と駆動回路200などとの接続不良等の発生を防止することができると共に、余分な保護膜16を除去する工程が不要となって製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
次に、図7(b)に示すように、保護膜16上に高応力材料からなる剥離層17を、例えば、CVD法によって形成する。この剥離層17は、その内部応力が圧縮応力であることが好ましい。また、剥離層17は、保護膜16との密着力が保護膜16と配線層190との密着力よりも大きな材料を用いるのが好ましい。本実施形態では、剥離層17の材料としてチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
このように高応力材料からなると共に保護膜16との密着力が高い剥離層17を保護膜16上に形成すると、剥離層17の応力によって配線層190上に形成された保護膜16が剥がれ始める。そして、図8(a)に示すように、この剥離層17をウェットエッチングにより除去することで、配線層190上の保護膜16を剥離層17と共に完全に除去する。
そして、このように配線層190上の保護膜16を除去した後は、図8(b)に示すように、配線層190(金属層92)を連通部13側からウェットエッチングすることによって除去して配線層190に貫通部51と連通する連通孔191を形成する。このような配線層190のウェットエッチングでは、貫通部51の設けられた弾性膜50をマスクとして行うことができる。このため、配線層190の連通孔191の開口縁部は、リザーバ部31の内壁よりもリザーバ部31の内側に突出した状態となるように形成することができる。なお、このような配線層190のウェットエッチングでは、エッチング時間を調整することで、連通孔191側の端部(開口縁部)の位置を適宜調整することができる。
このように、配線層190の連通孔191の開口縁部をリザーバ部31の内壁よりもリザーバ部31の内側に突出した状態で形成することで、配線層190の表面とリザーバ部31の内壁とで画成された角部に形成された接着剤35が、リザーバ部31の内側に庇状に突出するのを防止することができる。これにより、リザーバ100から圧力発生室12にインクを供給した際に、インクの流れによってリザーバ100内に突出した接着剤35が押圧されたとしても、配線層190及び弾性膜50によって接着剤35が支持されるため、接着剤35がインク流入時に剥離するのを防止することができる。これにより、剥離した接着剤35によるノズル開口21の目詰まりを確実に防止することができ、インク吐出不良を防止することができる。
また、配線層190のウェットエッチングでは、配線層190上には保護膜16が形成されていないため、保護膜16が配線層190のウェットエッチングを邪魔することはない。したがって、配線層190を容易且つ確実にウェットエッチングにより除去して貫通部51を開口させることができる。すなわち、このような本発明の製造方法によれば、従来の機械的な加工とは異なり加工カス等の異物が発生することはない。したがって、圧力発生室12、連通部13等のインク流路内に加工カスが残留し、残留した加工カスによってノズル詰まり等の吐出不良が発生するのを確実に防止することができる。また、保護膜16が配線層190側に庇状に突出して残渣するのを防止することができるため、配線層190のエッチングを良好に行って、確実に配線層190を除去することができる。
なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110をウェットエッチングすることにより圧力発生室12及び連通部13を形成する際に、弾性膜50の貫通部51を封止してリザーバ形成基板用ウェハ130側にエッチング液が侵入するのを防止するための隔離層として配線層190を用いるようにし、さらに、この配線層190を完全に除去せずに、連通孔191を形成して、配線層190が支持層となるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、配線層190をウェットエッチングにより除去して開口を形成した際に、この開口側の端部(開口縁部)が、リザーバ部31の内壁よりも外側となるようにして、弾性膜50とリザーバ形成基板用ウェハ130との間に金属材料や樹脂材料からなる新たに支持層を充填するように形成してもよい。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及びリザーバ形成基板用ウェハ130の不要部分、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110等を、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板用ウェハ110の内面に保護膜16を形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、保護膜16を設けない場合であっても、本発明を適用することができる。
また、上述した実施形態1のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図9は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図9に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係るインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 16 保護膜、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 リザーバ形成基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 35 接着剤、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 51 貫通部、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 91 密着層、 92 金属層、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 130 リザーバ形成基板用ウェハ、 190 配線層、 191 連通孔、 200 駆動回路、 210 駆動配線、 300 圧電素子

Claims (18)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に連通する連通部とが設けられた流路形成基板と、該流路形成基板の前記圧力発生室に相対向する領域に設けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子と、
    前記流路形成基板の前記圧電素子が設けられた面に接着剤を介して接着されて、前記連通部と連通して前記圧力発生室の共通の液体室であるリザーバとなるリザーバ部が設けられたリザーバ形成基板と、
    前記流路形成基板と前記リザーバ形成基板との間に設けられて、前記連通部と前記リザーバ部とを連通する貫通部を有する振動板と、
    該振動板上の前記貫通部の開口縁部に設けられて、当該貫通部に連通する連通孔を有する支持層と、を具備し、
    前記振動板の前記貫通部の開口縁部及び前記支持層の前記連通孔の開口縁部が、前記リザーバ部の内壁よりも前記リザーバの内側に突出して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記支持層が、金属材料からなることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記支持層が、前記振動板上に設けられた密着層と、該密着層上に設けられた金属層とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記密着層が、ニッケルクロムを主成分とする材料で形成されていると共に、前記金属層が金を主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項3記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記流路形成基板の一方面側には、前記圧電素子から引き出されるリード電極が設けられていると共に、前記支持層が、前記リード電極と同一層からなり、且つ当該リード電極とは不連続の配線層で構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記連通部が、複数の圧力発生室に連通すると共に、前記リザーバ部と共に前記リザーバの一部を構成することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  8. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に連通する連通部とが設けられる流路形成基板の一方面側に、振動板と、該振動板上に下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを形成すると共に、前記振動板の前記連通部に相対向する領域に貫通部を形成し、前記振動板の前記貫通部の開口縁部が、前記流路形成基板の前記一方面側に接着剤を介して接着されたリザーバ形成基板に形成されて前記圧力発生室の共通の液体室となるリザーバとなるリザーバ部の内壁よりも前記リザーバの内側となるように設ける工程と、
    前記流路形成基板の前記一方面側に前記貫通部を封止する隔離層を形成する工程と、
    前記リザーバ形成基板を前記流路形成基板の前記一方面側に接着剤を介して接着する工程と、
    前記流路形成基板を他方面側から前記振動板及び前記隔離層が露出するまでウェットエッチングすることにより前記圧力発生室及び前記連通部を形成する工程と、
    前記隔離層を除去することにより前記リザーバ部と前記連通部とを連通させると共に、前記振動板と前記リザーバ形成基板との間の前記貫通部の開口縁部に、前記貫通部と連通する連通孔が設けられた支持層を、前記連通孔の開口縁部が前記リザーバ部の内壁よりも前記リザーバの内側となるように形成する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  9. 前記支持層を形成する工程では、前記隔離層を除去することにより当該隔離層に前記連通孔を形成すると共に、前記支持層を前記隔離層の一部で構成することを特徴とする請求項8記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  10. 前記隔離層を除去する工程では、前記貫通部を有する前記振動板をマスクとしてウェットエッチングすることにより、前記隔離層に前記連通孔を形成することを特徴とする請求項9記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  11. 前記圧力発生室及び前記連通部を形成する工程の後、前記圧力発生室及び前記連通部の内面と、前記隔離層の前記流路形成基板側の表面とに亘って耐液体性を有する保護膜を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項8〜10の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  12. 前記保護膜を形成する工程の後、前記隔離層上の当該保護膜を剥離して除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項11記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  13. 前記保護膜を剥離する工程では、前記保護膜上に内部応力が圧縮応力である剥離層を形成した後、該剥離層を剥離することで当該剥離層と共に前記隔離層上の前記保護膜を剥離することを特徴とする請求項12記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  14. 前記剥離層の前記保護膜との密着力が、前記保護膜と前記隔離層との密着力より大きいことを特徴とする請求項13記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  15. 前記剥離層の材料として、チタンタングステンを用いたことを特徴とする請求項13又は14記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  16. 前記保護膜を形成する工程の前に、前記連通部内に露出した前記隔離層の厚さ方向の一部を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項11〜15の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  17. 前記隔離層が、密着層と該密着層上に形成される金属層とからなり、前記保護膜を形成する工程の前に、前記隔離層の表面をライトエッチングして前記密着層を少なくとも除去することを特徴とする請求項16記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  18. 前記隔離層を形成する工程では、前記圧電素子から引き出されるリード電極を形成すると共に、該リード電極と同一層からなり、且つ当該リード電極とは不連続の配線層で形成することを特徴とする請求項8〜17の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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