JP3541638B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面の圧電体層を形成して、圧電体層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電振動子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案させている。
【0006】
これによれば圧電振動子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができるばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0007】
また、この場合、基板として、例えばシリコン単結晶基板を用い、圧力発生室やリザーバ等の流路を異方性エッチングにより形成し、圧力発生室の開口面積を可及的に小さくして記録密度の向上を図ることが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、記録密度を上げようとすると、圧力発生室を区画する隔壁の肉厚を薄くせざるを得ず、これにより圧力発生室を区画する隔壁の剛性が低下し、クロストークやインク滴の吐出不良が生じる等の問題がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、記録密度を向上させた状態でクロストークやインク滴吐出不良、および共通電極部への電流集中による破損を防止することができるインクジェット式記録ヘッドを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する共に複数の隔壁で区画された圧力発生室の列を少なくとも2列備えた流路形成基板と、当該流路形成基板の一方の面に形成された振動板を介して下電極膜、圧電体膜、上電極膜からなる圧電振動子を備えたインクジェット式記録ヘッドであって、前記圧力発生室列の列間に対応する領域に前記下電極膜が除去された下電極膜除去部を有し、当該下電極膜除去部を跨ぐように補強部材が前記流路形成基板と接合していることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0011】
かかる第1の態様では、圧電振動子の駆動による変位を補強部材が受けとめるので、流路形成基板のたわみが抑制され、クロストークが防止され、また、補強部材の固着位置の層が除去されているので、接着部の応力集中による層剥離が防止される。
【0020】
本発明の第2態様は、第1の態様において、前記補強部材の少なくとも表面が導電性を有し、当該補強部材が前記下電極と導通した状態で設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0021】
かかる第2の態様では、補強部材と下電極膜との導通により、電流密度の集中を防止することができる。
【0022】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記補強部材の少なくとも表面が導電性を有し、当該補強部材が前記下電極と導通した状態で設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0023】
かかる第3の態様では、補強部材全体が導電性を有するのであるので、電流密度の集中を効果的に防止することができる。
【0024】
本発明の第4の態様は、第2の態様において、前記補強部材が表面に導電性を有するめっきを施したものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0025】
かかる第4の態様では、補強部材の表面が導電性を有しているので、下電極膜との導通を図ることができ、電流光度の集中を防止することができる。
【0030】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記流路形成基板の前記少なくとも2列の圧力発生室の前記ノズル開口に対応する位置とは反対側となる外側端部に隣接する位置には、外部からのインク供給を受けるリザーバが設けられ、当該リザーバと前記圧力発生室の前記外側端部のそれぞれとはインク供給口を介して連通されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0031】
かかる第5の態様では、流路形成基板内に圧力発生室と共にリザーバが形成されているので、流路形成基板の強度が低下するが、補強部材によりたわみが抑制されてクロストークが防止される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を一実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図であり、図2は、その1つの圧力発生室の長手方向における断面構造を示す図である。
【0036】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0037】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0038】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11により区画された圧力発生室12の列13が2列と、2列の圧力発生室12の三方を囲むように略コ字状に配置されたリザーバ14と、各圧力発生室12とリザーバ14とを一定の流体抵抗で連通するインク供給口15がそれぞれ形成されている。なお、リザーバ14の略中央部には、外部から当該リザーバ14にインクを供給するためのインク導入孔16が形成されている。
【0039】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0040】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給口15は、圧力発生室12より浅く形成されている。すなわち、インク供給口15は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0041】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給口15とは反対側で連通するノズル開口17が穿設されたノズルプレート18が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート18は、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート18は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。
【0042】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口17の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口17は数十μmの径で精度よく形成する必要がある。
【0043】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室12毎に独立して圧電振動子が設けられているが、本実施形態では、下電極膜60は圧電振動子の共通電極とし、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。本実施形態では、詳細を後述するように、圧力発生室12毎に圧電体膜70及び上電極膜80を形成している。
【0044】
本実施形態では、流路形成基板10の開口面とは反対側の面には、圧力発生室12の列13の間に対向する位置に、列13の並び方向に沿って延びる補強部材20が固着されている。ここで、補強部材20は、流路形成基板10の圧力発生室12の列13の並び方向に沿った強度を補強するためのもので、接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着すればよい。なお、補強部材20の材質は特に限定されず、金属などの剛性の高いものを用いてもよく、温度変化による応力の発生を防止するために、線膨張係数が流路形成基板10と同程度のものを用いてもよい。
【0045】
さらに、本実施形態では、下電極膜60を除去した除去部61に補強部材20を固着してある。このように比較的膜剥離し易い下電極膜60上ではなく、弾性膜50に直接固着することにより、接着部の応力集中による膜剥離を防止することができ、クロストークを効果的に防止することができる。
【0046】
ここで、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセスを図3及び図4を参照しながら説明する。
【0047】
図3(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成する。
【0048】
次に、図3(b)に示すように、スパッタリングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜70の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合には、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0049】
次に、図3(c)に示すように、圧電体膜70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタリングを用いることもできるが、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0050】
次に、図3(d)に示すように、上電極膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、Ptをスパッタリングにより成膜している。
【0051】
次に、図3(e)に示すように、各圧力発生室12それぞれに対して圧電振動子を配設するように、上電極膜80および圧電体膜70のパターニングを行う。図3(e)では圧電体膜70を上電極膜80と同一のパターンでパターニングを行った場合を示しているが、上述したように、圧電体膜70は必ずしもパターニングを行う必要はない。これは、上電極膜80のパターンを個別電極として電圧を印加した場合、電界はそれぞれの上電極膜80と、共通電極である下電極膜60との間にかかるのみで、その他の部位には何ら影響を与えないためである。しかしながら、この場合には、同一の排除体積を得るためには大きな電圧印加が必要となるため、圧電体膜70もパターニングするのが好ましい。また、この後、下電極膜60をパターニングして不要な部分を除去する。
【0052】
ここで、パターニングには、レジストパターンを形成した後、エッチング等を行うことにより実施する。
【0053】
レジストパターンは、例えば、ネガレジストをスピンコートなどにより塗布し、所定形状のマスクを用いて露光・現像・ベークを行うことにより形成する。なお、勿論、ネガレジストの代わりにポジレジストを用いてもよい。
【0054】
また、エッチングは、ドライエッチング装置、例えば、イオンミリング装置を用いて二酸化シリコン膜が露出するまで行う。なお、エッチング後には、レジストパターンをアッシング装置等を用いて除去する。
【0055】
また、ドライエッチング法としては、イオンミリング法以外に、反応性エッチング法等を用いてもよい。また、ドライエッチングの代わりにウェットエッチングを用いることも可能であるが、ドライエッチング法と比較してパターニング精度が多少劣り、上電極膜80の材料も制限されるので、ドライエッチングを用いるのが好ましい。
【0056】
次いで、図4(a)に示すように、上電極膜80の周縁部および圧電体膜70の側面を覆うように絶縁体層90を形成する。この絶縁体層90の好適な材料は上述した通りであるが、本実施形態ではネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0057】
次に、図4(b)に示すように、絶縁体層90をパターニングすることにより、各連通部14に対向する部分に窓90aを形成する。この窓90aは、後述する導電体パターン100と上電極膜80との接続をするためのものである。
【0058】
次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を全面に成膜した後、パターニングすることにより、導電体パターン100を形成する。
【0059】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図4(c)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。なお、以上説明した一連の膜形成および異方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形成基板10を、ノズルプレート18および補強部材20と順次接着して一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0060】
このように構成したインクジェットヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口16からインクを取り込み、リザーバ14からノズル開口17に至るまで内部をインクで満たし後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、導電パターン100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50と圧電体膜60とをたわみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口17からインク滴が吐出する。
【0061】
この際、本実施形態では、補強部材20が、弾性膜50および下電極膜60からなる振動板と、圧電体膜70とのたわみ変位を受け止め、流路形成基板10のたわみを抑制し、クロストークを防止する。
【0062】
なお、補強部材20は、圧力発生室20の列13と列13との間だけではなく、列13の外側にも設けてもよい。
【0063】
(実施形態2)
実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面を図5に示す。
【0064】
本実施形態では、補強部材20Aを導電性を有する金属材料で形成し、補強部材20Aと除去部61に隣接する下電極膜60との導通を図るために、導電性材料からなる導電部材21を設けた以外は、実施形態1と同一である。
【0065】
本実施形態では、金属製の補強部材20Aを使用したことにより、補強された流路形成基板10の剛性が向上する。また、補強部材20Aと下電極膜60との導通により、電流集中の緩和を図ることができる。
【0066】
なお、補強部材20Aは、少なくとも表面が導電性を有していればよく、従って、導電性を有さない材料の表面に導電性を有する金属めっき等を施したものでもよい。
【0067】
(実施形態3)
実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面を図6に示す。
【0068】
本実施形態では、導電性を有する金属材料からなる補強部材20Aを、除去部61に隣接する下電極膜60を跨ぐように固着して下電極膜60との導通を図った以外は、実施形態2と同一である。
【0069】
本実施形態でも、金属製の補強部材20Aを使用したことにより、補強された流路形成基板10の剛性が向上し、また、補強部材20Aと下電極膜60との導通により、電流集中の緩和を図ることができる。
【0070】
また、本実施例では、補強部材20Aは、接着剤などの接着手段22を介して弾性膜50と直接固着されているので、接着部応力集中による膜剥離が防止される。
【0071】
なお、補強部材20Aと下電極膜60との導通を図るために、接着手段22としては導電性を有するものを用いることは言うまでもない。
【0072】
また、補強部材20Aは、少なくとも表面が導電性を有していればよく、従って、導電性を有さない材料の表面に導電性を有する金属めっき等を施したものでもよいことは実施形態2と同様である。
【0073】
(実施形態4)
実施形態4に係るインクジェット式記録ヘッドの組立斜視を図7に示す。
【0074】
本実施形態では、棒状の補強部材20の代わりに、圧力発生室12の列13と列13との間と列13の両側に対応する位置に延設される略H字形状の補強部材20Bを設けた以外は実施形態1と同様である。なお、補強部材20Bの固着位置に対応する位置の下電極膜60は除去してあることは言うまでもない。
【0075】
本実施例では、略H字型の補強部材20Bを用いることにより、さらに良好に補強効果を得ることができる。また、下電極膜60を除去した除去部に補強部材20Bを固着することにより、接着部の応力集中による膜剥離を防止することができ、クロストークを効果的に防止することができる。
【0076】
また、本実施形態の補強部材20Bの少なくとも表面を導電性を有するものとし、実施形態2又は3の構成を適用することにより、電流集中の緩和を図るようにしてもよい。
【0077】
(実施形態5)
実施形態5に係るインクジェット式記録ヘッドの組立斜視を図8に示す。
【0078】
本実施形態では、棒状の補強部材20の代わりに、流路形成基板10の全体を固定する部材を兼ねる補強部材25を用いた以外は実施形態1と同一である。
【0079】
補強部材25は、圧力発生室12の列13と列13との間と列13の両側に対応する位置に延設される略H字形状の密着部25aを有すると共に、流路形成基板10が嵌合する凹部25bを有する。なお、補強部材25の密着部25aの固着位置に対応する位置の下電極膜60は除去してあることは言うまでもない。
【0080】
本実施形態では、流路形成基板10に接着される密着部25aと、流路形成基板10が嵌合する凹部25bとを有することにより、さらに良好に補強効果を得ることができる。また、下電極膜60を除去した除去部に補強部材25を固着することにより、接着部の応力集中による膜剥離を防止することができ、クロストークを効果的に防止することができる。
【0081】
また、本実施形態の補強部材25の少なくとも表面を導電性を有するものとし、実施形態2又は3の構成を適用することにより、電流集中の緩和を図るようにしてもよい。
【0082】
(実施形態6)
実施形態6に係るインクジェット式記録ヘッドの組立斜視を図9に示す。
【0083】
本実施形態では、補強部材25が複数個、図示は3個連結した形状の補強部材25Aを用いたものであり、補強部材25Aには複数の流路形成基板10が固着される。なお、本実施形態の作用効果は基本的には実施形態5と同一である。
【0084】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0085】
また、上述した実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12と共にリザーバ14を形成しているが、共通インク室を形成する部材を流路形成基板に重ねて設けてもよい。
【0086】
このように構成した実施形態の分解斜視図を図10に示す。この実施形態では、ノズル開口17Aが穿設されたノズル基板18Aと流路形成基板10Aとの間に、封止板110、共通インク室形成板120、薄肉板130及びインク室側板140が挟持され、これらを貫通するように、圧力発生室12Aとノズル開口17Aとを連通するノズル連通口31が配されている。すなわち、封止板110、共通インク室形成板120および薄肉板130とで共通インク室32が画成され、各圧力発生室12Aと共通インク室32とは、封止板110に穿設されたインク連通孔33を介して連通されている。また、封止板110には供給インク室32に外部からインクを導入するためのインク導入孔34も穿設されている。また、薄肉板130とノズル基板18Aとの間に位置するインク室側板140には各供給インク室32に対向する位置に貫通部35が形成されており、インク滴吐出の際に発生するノズル開口11Aと反対側へ向かう圧力を、薄肉壁130が吸収するのを許容するようになっており、これにより、他の圧力発生室12Aに、共通インク室32を経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止することができる。なお、薄肉板130とインク室側板140とは一体に形成されてもよい。
【0087】
このような実施形態においても、流路形成基板10Aの開口面とは反対側の、圧力発生室12Aの列13と列13との間に対向する位置に、下電極膜60の除去部61を形成し、この除去部61上に補強部材20を固着することにより、膜剥離を防止し、クロストークを良好に防止することができる。
【0088】
また、以上説明した各実施形態は、成膜及びリソグラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明を採用することができる。
【0089】
さらに、上述した各実施形態では、上電極膜とリード電極との接続部は、何れの場所に設けてもよく、圧力発生室の何れの端部でも又は中央部であってもよい。
【0090】
また、圧電振動子とリード電極との間に絶縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続したり、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0091】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、流路形成基板の圧力発生室形成面とは反対側の少なくとも圧力発生室の列と列との間に対向する位置に補強部材を固着する際に、少なくとも一部の膜部材を除去することにより、接着部の応力集中による膜剥離を防止し、流路形成基板のたわみを効率よく抑制し、クロストークを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図5】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【図6】本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【図7】本発明の実施形態4に係るインクジェット式記録ヘッドの組立斜視図である。
【図8】本発明の実施形態5に係るインクジェット式記録ヘッドの組立斜視図である。
【図9】本発明の実施形態6に係るインクジェット式記録ヘッドの組立斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
12 圧力発生室
14 リザーバ
15 インク供給口
16 インク導入口
17 ノズル開口
18 ノズルプレート
20,20A,20B,25,25A 補強部材
50 弾性膜
60 下電極膜
61,62 除去部
70 圧電体膜
80 上電極膜
90 絶縁体層
90a コンタクトホール
100 導電体パターン

Claims (5)

  1. ノズル開口に連通する共に複数の隔壁で区画された圧力発生室の列を少なくとも2列備えた流路形成基板と、当該流路形成基板の一方の面に形成された振動板を介して下電極膜、圧電体膜、上電極膜からなる圧電振動子を備えたインクジェット式記録ヘッドであって、
    前記圧力発生室列の列間に対応する領域に前記下電極膜が除去された下電極膜除去部を有し、当該下電極膜除去部を跨ぐように補強部材が前記流路形成基板と接合していることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 請求項1において、前記補強部材の少なくとも表面が導電性を有し、当該補強部材が前記下電極と導通した状態で設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項2において、前記補強部材が導電性を有する材質からなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 請求項2において、前記補強部材が表面に導電性を有するめっきを施したものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記流路形成基板の前記少なくとも2列の圧力発生室の前記ノズル開口に対応する位置とは反対側となる外側端部に隣接する位置には、外部からのインク供給を受けるリザーバが設けられ、当該リザーバと前記圧力発生室の前記外側端部のそれぞれとはインク供給口を介して連通されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
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