JPH11207954A - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents
インクジェット式記録ヘッドInfo
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- JPH11207954A JPH11207954A JP1140998A JP1140998A JPH11207954A JP H11207954 A JPH11207954 A JP H11207954A JP 1140998 A JP1140998 A JP 1140998A JP 1140998 A JP1140998 A JP 1140998A JP H11207954 A JPH11207954 A JP H11207954A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fixing member
- pressure generating
- recording head
- generating chamber
- ink jet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
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Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 圧電振動子の湿気等の外部環境の変化に起因
する動作不良を解消すると共に、振動板の初期変形を排
除して振動板の変形量の向上および振動板の耐久性の向
上を図ったインクジェット式記録ヘッドを提供する。 【解決手段】 一方面にノズル開口に連通すると共に複
数の隔壁で区画された圧力発生室12の列を備え、他方
面に前記圧力発生室12の一部を構成する振動板および
前記圧力発生室12に対向する領域に形成された圧電体
能動部からなる圧電振動子を備えた流路形成基板10を
具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記流
路形成基板10の前記他方面には、前記圧電体能動部の
変形を阻害しない空間(111)を画成し且つ当該空間
を略密封する固定部材110,120が固定され、当該
固定部材110,120が画成する前記空間(111)
を減圧状態にすることにより、振動板の初期変形を排除
することができる。
する動作不良を解消すると共に、振動板の初期変形を排
除して振動板の変形量の向上および振動板の耐久性の向
上を図ったインクジェット式記録ヘッドを提供する。 【解決手段】 一方面にノズル開口に連通すると共に複
数の隔壁で区画された圧力発生室12の列を備え、他方
面に前記圧力発生室12の一部を構成する振動板および
前記圧力発生室12に対向する領域に形成された圧電体
能動部からなる圧電振動子を備えた流路形成基板10を
具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記流
路形成基板10の前記他方面には、前記圧電体能動部の
変形を阻害しない空間(111)を画成し且つ当該空間
を略密封する固定部材110,120が固定され、当該
固定部材110,120が画成する前記空間(111)
を減圧状態にすることにより、振動板の初期変形を排除
することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面の圧電体層を形成して、圧電体
層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドに関する。
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面の圧電体層を形成して、圧電体
層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧し
てノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット
式記録ヘッドには、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮す
る縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ
振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用
化されている。
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧し
てノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット
式記録ヘッドには、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮す
る縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ
振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用
化されている。
【0003】前者は圧電振動子の端面を振動板に当接さ
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を
作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する
関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困
難であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を
作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する
関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困
難であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案
されている。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案
されている。
【0006】これによれば圧電振動子を振動板に貼付け
る作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、
かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができる
ばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動
が可能になるという利点がある。
る作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、
かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができる
ばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動
が可能になるという利点がある。
【0007】また、この場合、基板として、例えばシリ
コン単結晶基板を用い、圧力発生室やリザーバ等の流路
を異方性エッチングにより形成し、圧力発生室の開口面
積を可及的に小さくして記録密度の向上を図ることが可
能である。
コン単結晶基板を用い、圧力発生室やリザーバ等の流路
を異方性エッチングにより形成し、圧力発生室の開口面
積を可及的に小さくして記録密度の向上を図ることが可
能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た薄膜技術およびリソグラフィ法による製造方法では、
圧電振動子をグリーンシートを焼成して構成されたもの
に比較して、同一電圧で駆動する場合、圧電振動子が薄
い分だけ高い電界が印加され、大気中の湿気を吸収した
場合には駆動電極間のリーク電流が増加しやすく、つい
には絶縁破壊に至るという問題を抱えている。製造の
際、薄膜のパターニング後に圧力発生室を形成するが、
その時点で振動板に初期変形が生じてしまい、結果的
に、圧電振動子の駆動の際に振動板の塑性域に入ってし
まうという問題がある。従って、変形量が実質的に小さ
くなり、吐出特性が低下し、振動板の耐久性が低下する
という問題がある。
た薄膜技術およびリソグラフィ法による製造方法では、
圧電振動子をグリーンシートを焼成して構成されたもの
に比較して、同一電圧で駆動する場合、圧電振動子が薄
い分だけ高い電界が印加され、大気中の湿気を吸収した
場合には駆動電極間のリーク電流が増加しやすく、つい
には絶縁破壊に至るという問題を抱えている。製造の
際、薄膜のパターニング後に圧力発生室を形成するが、
その時点で振動板に初期変形が生じてしまい、結果的
に、圧電振動子の駆動の際に振動板の塑性域に入ってし
まうという問題がある。従って、変形量が実質的に小さ
くなり、吐出特性が低下し、振動板の耐久性が低下する
という問題がある。
【0009】本発明はこのような事情に鑑み、膜形成技
術により形成された圧電振動子の湿気等の外部環境の変
化に起因する動作不良を解消すると共に、振動板の初期
変形を排除して振動板の変形量の向上および振動板の耐
久性の向上を図ったインクジェット式記録ヘッドを提供
することを課題とする。
術により形成された圧電振動子の湿気等の外部環境の変
化に起因する動作不良を解消すると共に、振動板の初期
変形を排除して振動板の変形量の向上および振動板の耐
久性の向上を図ったインクジェット式記録ヘッドを提供
することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の態様は、一方面にノズル開口に連通すると共
に複数の隔壁で区画された圧力発生室の列を備え、他方
面に前記圧力発生室の一部を構成する振動板および前記
圧力発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部か
らなる圧電振動子を備えた流路形成基板を具備するイン
クジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板の
前記他方面には、前記圧電体能動部の変形を阻害しない
空間を画成し且つ当該空間を略密封する固定部材が固定
され、当該固定部材が画成する前記空間が減圧状態であ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
明の第1の態様は、一方面にノズル開口に連通すると共
に複数の隔壁で区画された圧力発生室の列を備え、他方
面に前記圧力発生室の一部を構成する振動板および前記
圧力発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部か
らなる圧電振動子を備えた流路形成基板を具備するイン
クジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板の
前記他方面には、前記圧電体能動部の変形を阻害しない
空間を画成し且つ当該空間を略密封する固定部材が固定
され、当該固定部材が画成する前記空間が減圧状態であ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0011】かかる第1の態様では、圧電体振動子の外
部環境の変化に起因する動作不良を防止することができ
る。
部環境の変化に起因する動作不良を防止することができ
る。
【0012】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記固定部材が画成する前記空間の減圧状態によ
り、前記圧力発生室のそれぞれに対応する前記振動板が
当該圧力発生室と反対方向に変形されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
て、前記固定部材が画成する前記空間の減圧状態によ
り、前記圧力発生室のそれぞれに対応する前記振動板が
当該圧力発生室と反対方向に変形されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0013】かかる第2の態様では、振動板の初期変形
が改善されて駆動の際の変形量が増大し、耐久性が向上
する。
が改善されて駆動の際の変形量が増大し、耐久性が向上
する。
【0014】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記固定部材は、前記圧電体能動部毎に前記
空間を区画していることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
において、前記固定部材は、前記圧電体能動部毎に前記
空間を区画していることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0015】かかる第3の態様では、固定部材が流路形
成基板に確実に固着され、クロストークが防止される。
成基板に確実に固着され、クロストークが防止される。
【0016】本発明の第4の態様は、第3の態様におい
て、前記固定部材が、前記各圧電体能動部毎に区画され
た空間を形成する貫通部と、前記流路形成基板の前記隔
壁に対向する領域に接合されて前記貫通部を区画する区
画壁とを有する第1の固定部材と、この第1の固定部材
に固定されて前記貫通部の前記流路形成基板とは反対側
を封止する第2の固定部材とからなることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
て、前記固定部材が、前記各圧電体能動部毎に区画され
た空間を形成する貫通部と、前記流路形成基板の前記隔
壁に対向する領域に接合されて前記貫通部を区画する区
画壁とを有する第1の固定部材と、この第1の固定部材
に固定されて前記貫通部の前記流路形成基板とは反対側
を封止する第2の固定部材とからなることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
【0017】かかる第4の態様では、固定部材を二部材
で構成したことにより、加工製造が容易となる。
で構成したことにより、加工製造が容易となる。
【0018】本発明の第5の態様は、第3又は4の態様
において、前記第1の固定部材の前記区画壁の幅が、前
記流路形成基板の前記隔壁の幅より小さいことを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドにある。
において、前記第1の固定部材の前記区画壁の幅が、前
記流路形成基板の前記隔壁の幅より小さいことを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドにある。
【0019】かかる第5の態様では、区画壁が圧力発生
室を封止する振動板の剛性を高めることがない。
室を封止する振動板の剛性を高めることがない。
【0020】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記固定部材が画成する空間が、不活
性ガス雰囲気で減圧状態であることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
の態様において、前記固定部材が画成する空間が、不活
性ガス雰囲気で減圧状態であることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0021】かかる第6の態様では、圧電振動子の劣化
がさらに防止される。
がさらに防止される。
【0022】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板
に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の
各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたもので
あることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
の態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板
に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の
各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたもので
あることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0023】かかる第7の態様では、高密度のノズル開
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
て詳細に説明する。
【0025】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図
であり、図2は、その1つの圧力発生室の長手方向及び
幅方向における断面構造を示す図である。
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図
であり、図2は、その1つの圧力発生室の長手方向及び
幅方向における断面構造を示す図である。
【0026】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0027】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0028】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
複数の隔壁11により区画された圧力発生室12の列1
3が2列と、2列の圧力発生室12の列13の三方を囲
むように略コ字状に配置されたリザーバ14と、各圧力
発生室12とリザーバ14とを一定の流6体抵抗で連通
するインク供給口15がそれぞれ形成されている。な
お、リザーバ14の略中央部には、外部から当該リザー
バ14にインクを供給するためのインク導入孔16が形
成されている。
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
複数の隔壁11により区画された圧力発生室12の列1
3が2列と、2列の圧力発生室12の列13の三方を囲
むように略コ字状に配置されたリザーバ14と、各圧力
発生室12とリザーバ14とを一定の流6体抵抗で連通
するインク供給口15がそれぞれ形成されている。な
お、リザーバ14の略中央部には、外部から当該リザー
バ14にインクを供給するためのインク導入孔16が形
成されている。
【0029】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(11
1)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと
比較して(111)面のエッチングレートが約1/18
0であるという性質を利用して行われるものである。か
かる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)
面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平
行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うこと
ができ、圧力発生室12を高密度に配列することができ
る。
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(11
1)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと
比較して(111)面のエッチングレートが約1/18
0であるという性質を利用して行われるものである。か
かる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)
面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平
行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うこと
ができ、圧力発生室12を高密度に配列することができ
る。
【0030】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一
端に連通する各インク供給口15は、圧力発生室12よ
り浅く形成されている。すなわち、インク供給口15
は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチン
グ(ハーフエッチング)することにより形成されてい
る。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整
により行われる。
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一
端に連通する各インク供給口15は、圧力発生室12よ
り浅く形成されている。すなわち、インク供給口15
は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチン
グ(ハーフエッチング)することにより形成されてい
る。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整
により行われる。
【0031】また、流路形成基板10の開口面側には、
各圧力発生室12のインク供給口15とは反対側で連通
するノズル開口17が穿設されたノズルプレート18が
接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。な
お、ノズルプレート18は、厚さが例えば、0.1〜1
mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜
4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又
は不錆鋼などからなる。ノズルプレート18は、一方の
面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン
単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果
たす。
各圧力発生室12のインク供給口15とは反対側で連通
するノズル開口17が穿設されたノズルプレート18が
接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。な
お、ノズルプレート18は、厚さが例えば、0.1〜1
mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜
4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又
は不錆鋼などからなる。ノズルプレート18は、一方の
面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン
単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果
たす。
【0032】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口17の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口17は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口17の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口17は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0033】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子
(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50
の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室
12毎に独立して圧電振動子が設けられているが、本実
施形態では、下電極膜60は圧電振動子の共通電極と
し、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としている
が、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はな
い。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電
体能動部が形成されていることになる。
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子
(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50
の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室
12毎に独立して圧電振動子が設けられているが、本実
施形態では、下電極膜60は圧電振動子の共通電極と
し、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としている
が、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はな
い。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電
体能動部が形成されていることになる。
【0034】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図3及び図4を参照しながら説明する。
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図3及び図4を参照しながら説明する。
【0035】図3(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0036】次に、図3(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリン
グやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成
膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜100
0℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるから
である。すなわち、下電極膜60の材料は、このような
高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリン
グやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成
膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜100
0℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるから
である。すなわち、下電極膜60の材料は、このような
高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0037】次に、図3(c)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リングを用いることもできるが、本実施形態では、金属
有機物を溶媒に溶解・分散した、いわゆるゾルを塗布乾
燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化
物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法
を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記
録ヘッドに使用する場合には好適である。
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リングを用いることもできるが、本実施形態では、金属
有機物を溶媒に溶解・分散した、いわゆるゾルを塗布乾
燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化
物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法
を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記
録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0038】次に、図3(d)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
【0039】次に、図3(e)に示すように、各圧力発
生室12それぞれに対して圧電振動子を配設するよう
に、上電極膜80および圧電体膜70のパターニングを
行う。図3(e)では圧電体膜70を上電極膜80と同
一のパターンでパターニングを行った場合を示している
が、上述したように、圧電体膜70は必ずしもパターニ
ングを行う必要はない。これは、上電極膜80のパター
ンを個別電極として電圧を印加した場合、電界はそれぞ
れの上電極膜80と、共通電極である下電極膜60との
間にかかるのみで、その他の部位には何ら影響を与えな
いためである。しかしながら、この場合には、同一の排
除体積を得るためには大きな電圧印加が必要となるた
め、圧電体膜70もパターニングするのが好ましい。ま
た、この後、下電極膜60をパターニングして不要な部
分、例えば、圧力発生室12の幅方向両側の縁部内側近
傍を除去してもよい。なお、下電極膜60の除去は必ず
しも行う必要はなく、また、除去する場合には、全てを
除去せず、厚さを薄くするようにしてもよい。
生室12それぞれに対して圧電振動子を配設するよう
に、上電極膜80および圧電体膜70のパターニングを
行う。図3(e)では圧電体膜70を上電極膜80と同
一のパターンでパターニングを行った場合を示している
が、上述したように、圧電体膜70は必ずしもパターニ
ングを行う必要はない。これは、上電極膜80のパター
ンを個別電極として電圧を印加した場合、電界はそれぞ
れの上電極膜80と、共通電極である下電極膜60との
間にかかるのみで、その他の部位には何ら影響を与えな
いためである。しかしながら、この場合には、同一の排
除体積を得るためには大きな電圧印加が必要となるた
め、圧電体膜70もパターニングするのが好ましい。ま
た、この後、下電極膜60をパターニングして不要な部
分、例えば、圧力発生室12の幅方向両側の縁部内側近
傍を除去してもよい。なお、下電極膜60の除去は必ず
しも行う必要はなく、また、除去する場合には、全てを
除去せず、厚さを薄くするようにしてもよい。
【0040】ここで、パターニングは、レジストパター
ンを形成した後、エッチング等を行うことにより実施す
る。
ンを形成した後、エッチング等を行うことにより実施す
る。
【0041】レジストパターンは、ネガレジストをスピ
ンコートなどにより塗布し、所定形状のマスクを用いて
露光・現像・ベークを行うことにより形成する。なお、
勿論、ネガレジストの代わりにポジレジストを用いても
よい。
ンコートなどにより塗布し、所定形状のマスクを用いて
露光・現像・ベークを行うことにより形成する。なお、
勿論、ネガレジストの代わりにポジレジストを用いても
よい。
【0042】また、エッチングは、ドライエッチング装
置、例えば、イオンミリング装置を用いて行う。なお、
エッチング後には、レジストパターンをアッシング装置
等を用いて除去する。
置、例えば、イオンミリング装置を用いて行う。なお、
エッチング後には、レジストパターンをアッシング装置
等を用いて除去する。
【0043】また、ドライエッチング法としては、イオ
ンミリング法以外に、反応性エッチング法等を用いても
よい。また、ドライエッチングの代わりにウェットエッ
チングを用いることも可能であるが、ドライエッチング
法と比較してパターニング精度が多少劣り、上電極膜8
0の材料も制限されるので、ドライエッチングを用いる
のが好ましい。
ンミリング法以外に、反応性エッチング法等を用いても
よい。また、ドライエッチングの代わりにウェットエッ
チングを用いることも可能であるが、ドライエッチング
法と比較してパターニング精度が多少劣り、上電極膜8
0の材料も制限されるので、ドライエッチングを用いる
のが好ましい。
【0044】次いで、図4(a)に示すように、上電極
膜80の周縁部および圧電体膜70の側面を覆うように
絶縁体層90を形成する。この絶縁体層90の好適な材
料は上述した通りであるが、本実施形態ではネガ型の感
光性ポリイミドを用いている。
膜80の周縁部および圧電体膜70の側面を覆うように
絶縁体層90を形成する。この絶縁体層90の好適な材
料は上述した通りであるが、本実施形態ではネガ型の感
光性ポリイミドを用いている。
【0045】次に、図4(b)に示すように、絶縁体層
90をパターニングすることにより、各連通部14に対
向する部分にコンタクトホール90aを形成する。この
コンタクトホール90aは、後述するリード電極100
と上電極膜80との接続をするためのものである。
90をパターニングすることにより、各連通部14に対
向する部分にコンタクトホール90aを形成する。この
コンタクトホール90aは、後述するリード電極100
と上電極膜80との接続をするためのものである。
【0046】次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を
全面に成膜した後、パターニングすることにより、リー
ド電極100を形成する。
全面に成膜した後、パターニングすることにより、リー
ド電極100を形成する。
【0047】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図4(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
して膜形成を行った後、図4(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0048】また、本実施形態では、圧電体能動部側の
弾性膜50上には、第1固定部材110が、さらに、そ
の上面には第2固定部材120が固着されている。
弾性膜50上には、第1固定部材110が、さらに、そ
の上面には第2固定部材120が固着されている。
【0049】この第1固定部材110は、各圧力発生室
12に対向する領域に、圧電体振動子の駆動を阻害しな
い程度の空間を有する溝部111が設けられ、この溝部
111は、第1固定部材110を貫通して形成され、そ
れぞれ区画壁112によって区画されている。この区画
壁112は、流路形成基板10の隔壁11に対向する領
域に形成され、圧力発生室12と同様に、溝部111の
列113が2列形成される。また、本実施形態では、区
画壁112は、隔壁11よりも狭い幅で形成され、長手
方向端部近傍には、各列113の全ての溝を連通する連
通溝114が形成されている。この連通溝114は、後
述するように、溝部111の吸引を行うためのものであ
り、位置、及び形状等は特に限定されず、各溝111が
確実に連通されていればよい。
12に対向する領域に、圧電体振動子の駆動を阻害しな
い程度の空間を有する溝部111が設けられ、この溝部
111は、第1固定部材110を貫通して形成され、そ
れぞれ区画壁112によって区画されている。この区画
壁112は、流路形成基板10の隔壁11に対向する領
域に形成され、圧力発生室12と同様に、溝部111の
列113が2列形成される。また、本実施形態では、区
画壁112は、隔壁11よりも狭い幅で形成され、長手
方向端部近傍には、各列113の全ての溝を連通する連
通溝114が形成されている。この連通溝114は、後
述するように、溝部111の吸引を行うためのものであ
り、位置、及び形状等は特に限定されず、各溝111が
確実に連通されていればよい。
【0050】この第1固定部材110は、流路形成基板
10の端部及び隔壁11に対向する領域に接着剤等を介
して固着される。この際、第1固定部材110は、本実
施形態のように、下電極膜60まで除去し、弾性膜50
上に直接接着するようにすることが好ましい。なお、圧
電体層70を除去して、下電極膜60に接着されるよう
にしてもよい。何れにしても、流路形成基板10と第1
固定部材110との接合が良好に行われる。
10の端部及び隔壁11に対向する領域に接着剤等を介
して固着される。この際、第1固定部材110は、本実
施形態のように、下電極膜60まで除去し、弾性膜50
上に直接接着するようにすることが好ましい。なお、圧
電体層70を除去して、下電極膜60に接着されるよう
にしてもよい。何れにしても、流路形成基板10と第1
固定部材110との接合が良好に行われる。
【0051】この第1固定部材110の材質は、特に限
定されないが、本実施形態では、シリコン単結晶基板を
用いた。また、第1固定部材110に画成された溝部1
11の大きさは、圧電振動子の駆動を阻害しない程度の
大きさを有していれば、特に限定されないが、本実施形
態では、区画壁112の幅を隔壁11よりも狭い幅で形
成しているため、区画壁112が圧力発生室12に対向
する領域の振動板を押圧して、その剛性が高められるこ
とがない。
定されないが、本実施形態では、シリコン単結晶基板を
用いた。また、第1固定部材110に画成された溝部1
11の大きさは、圧電振動子の駆動を阻害しない程度の
大きさを有していれば、特に限定されないが、本実施形
態では、区画壁112の幅を隔壁11よりも狭い幅で形
成しているため、区画壁112が圧力発生室12に対向
する領域の振動板を押圧して、その剛性が高められるこ
とがない。
【0052】一方、第2固定部材120は、第1固定部
材110の溝111の列115の端部に位置するそれぞ
れの溝111に対応する位置には、後述するが、図示し
ない吸引装置等を連結するための吸引孔121を有す
る。この第2固定部材120は、第1固定部材110の
上面に固着され、第1固定部材110の溝部111を完
全に密封する。第2固定部材120の材質も特に限定さ
れず、本実施形態では、ガラスセラミックを用いた。
材110の溝111の列115の端部に位置するそれぞ
れの溝111に対応する位置には、後述するが、図示し
ない吸引装置等を連結するための吸引孔121を有す
る。この第2固定部材120は、第1固定部材110の
上面に固着され、第1固定部材110の溝部111を完
全に密封する。第2固定部材120の材質も特に限定さ
れず、本実施形態では、ガラスセラミックを用いた。
【0053】なお、以上説明した一連の膜形成および異
方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同
時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つの
チップサイズの流路形成基板10毎に分割する。また、
分割した流路形成基板10を、ノズルプレート18、第
1固定部材110及び第2固定部材120と順次接着し
て一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同
時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つの
チップサイズの流路形成基板10毎に分割する。また、
分割した流路形成基板10を、ノズルプレート18、第
1固定部材110及び第2固定部材120と順次接着し
て一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0054】その後、本実施形態では、第2固定部材1
20の吸引孔121に、真空ポンプ等の吸引装置を接続
して、連通溝114を介して溝部111の空気を吸引
し、次いで、吸引孔121を封止して、全ての溝部11
1を減圧状態とする。
20の吸引孔121に、真空ポンプ等の吸引装置を接続
して、連通溝114を介して溝部111の空気を吸引
し、次いで、吸引孔121を封止して、全ての溝部11
1を減圧状態とする。
【0055】なお、溝部111の吸引は、本実施形態で
は、第2固定部材120の吸引孔121から行うように
したが、これに限定されず、例えば、第2固定部材12
0に設けた吸引孔121に対応する位置の圧力発生室1
2、すなわち、列13の一方の端部に位置する圧力発生
室12をダミーの圧力発生室とし、この部分の弾性膜5
0に貫通孔を形成し、ダミーの圧力発生室に連通する吸
引孔をノズルプレートに設けて、ノズルプレート側から
吸引するようにしてもよい。
は、第2固定部材120の吸引孔121から行うように
したが、これに限定されず、例えば、第2固定部材12
0に設けた吸引孔121に対応する位置の圧力発生室1
2、すなわち、列13の一方の端部に位置する圧力発生
室12をダミーの圧力発生室とし、この部分の弾性膜5
0に貫通孔を形成し、ダミーの圧力発生室に連通する吸
引孔をノズルプレートに設けて、ノズルプレート側から
吸引するようにしてもよい。
【0056】上述のように構成することにより、圧電体
能動部が第1固定部材110及び第2固定部材120に
よって外部と遮断され、外部環境の変化に起因する動作
不良を防止することができる。
能動部が第1固定部材110及び第2固定部材120に
よって外部と遮断され、外部環境の変化に起因する動作
不良を防止することができる。
【0057】また、溝部111を減圧にしない場合に
は、図5(a)に示すように、振動板に初期変形が生じ
てしまい、圧力発生室12の方向に撓んでしまうが、本
実施形態のように、溝部111を吸引して減圧状態にす
ることにより、弾性板が圧力発生室12とは反対方向に
変形され、初期変形が改善される。この際、振動板の変
形量に応じて、溝部111内部の圧力を調整し、振動板
の変形がない状態にするのが好ましい。これにより、駆
動の際の変形量が増大し、インクの吐出特性を安定及び
向上することができる。
は、図5(a)に示すように、振動板に初期変形が生じ
てしまい、圧力発生室12の方向に撓んでしまうが、本
実施形態のように、溝部111を吸引して減圧状態にす
ることにより、弾性板が圧力発生室12とは反対方向に
変形され、初期変形が改善される。この際、振動板の変
形量に応じて、溝部111内部の圧力を調整し、振動板
の変形がない状態にするのが好ましい。これにより、駆
動の際の変形量が増大し、インクの吐出特性を安定及び
向上することができる。
【0058】このように構成したインクジェットヘッド
は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導
入口16からインクを取り込み、リザーバ14からノズ
ル開口17に至るまで内部をインクで満たした後、図示
しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電
極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に
電圧を印加し、弾性膜50と圧電体膜70とをたわみ変
形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まり
ノズル開口17からインク滴が吐出する。
は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導
入口16からインクを取り込み、リザーバ14からノズ
ル開口17に至るまで内部をインクで満たした後、図示
しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電
極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に
電圧を印加し、弾性膜50と圧電体膜70とをたわみ変
形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まり
ノズル開口17からインク滴が吐出する。
【0059】(実施形態2)図6は、実施形態2に係る
インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【0060】本実施形態は、図6に示すように、第1固
定部材110Aの内側に、圧電振動子の駆動を阻害しな
い程度の空間である貫通部122を画成した以外は実施
形態1と同様である。
定部材110Aの内側に、圧電振動子の駆動を阻害しな
い程度の空間である貫通部122を画成した以外は実施
形態1と同様である。
【0061】この場合にも、実施形態1と同様に、第1
固定部材120Aの貫通部122および第2固定部材に
より、圧電振動子全体が保持され、第2固定部材により
密封された貫通部122を吸引し、減圧状態にすること
により、振動板の初期変形が改善され、インクの吐出特
性を安定及び向上することができる。
固定部材120Aの貫通部122および第2固定部材に
より、圧電振動子全体が保持され、第2固定部材により
密封された貫通部122を吸引し、減圧状態にすること
により、振動板の初期変形が改善され、インクの吐出特
性を安定及び向上することができる。
【0062】(他の実施形態)以上、本発明の実施形態
を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構
成は上述したものに限定されるものではない。
を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構
成は上述したものに限定されるものではない。
【0063】例えば、第2固定部材120により密封さ
れた第1固定部材110の溝部111内の空間を、不活
性ガスに置換するようにしてもよい。すなわち、一旦、
溝部111を真空状態にし、不活性ガスを注入しなが
ら、変形量に応じた圧力に調整するか、又は完全に不活
性ガスに置換した後、所定の減圧状態にしてもよい。こ
れにより、圧電体膜70を湿気から隔離できて吸湿によ
る劣化や、絶縁耐力の低下等を防止することができる。
れた第1固定部材110の溝部111内の空間を、不活
性ガスに置換するようにしてもよい。すなわち、一旦、
溝部111を真空状態にし、不活性ガスを注入しなが
ら、変形量に応じた圧力に調整するか、又は完全に不活
性ガスに置換した後、所定の減圧状態にしてもよい。こ
れにより、圧電体膜70を湿気から隔離できて吸湿によ
る劣化や、絶縁耐力の低下等を防止することができる。
【0064】また、上述の実施形態では、第1固定部材
110及び第2固定部材120によって圧電体能動部を
密封するようにしたが、これに限定されず、例えば、両
者を一体的に形成し、圧電体能動部の変形を阻害しない
大きさの凹部を形成するようにしてもよい。
110及び第2固定部材120によって圧電体能動部を
密封するようにしたが、これに限定されず、例えば、両
者を一体的に形成し、圧電体能動部の変形を阻害しない
大きさの凹部を形成するようにしてもよい。
【0065】さらに、上述した実施形態では、流路形成
基板10に圧力発生室12と共にリザーバ14を形成し
ているが、共通インク室を形成する部材を流路形成基板
10に重ねて設けてもよい。
基板10に圧力発生室12と共にリザーバ14を形成し
ているが、共通インク室を形成する部材を流路形成基板
10に重ねて設けてもよい。
【0066】このように構成したインクジェット式記録
ヘッドの部分断面を図7に示す。この実施形態では、ノ
ズル開口17Aが穿設されたノズル基板18Aと流路形
成基板10Aとの間に、封止板160、共通インク室形
成板170、薄肉板180及びインク室側板170が挟
持され、これらを貫通するように、圧力発生室12Aと
ノズル開口17Aとを連通するノズル連通口31が配さ
れている。すなわち、封止板160、共通インク室形成
板190および薄肉板180とで共通インク室32が画
成され、各圧力発生室12Aと共通インク室32とは、
封止板160に穿設されたインク連通孔33を介して連
通されている。また、封止板160には供給インク室3
2に外部からインクを導入するためのインク導入孔34
も穿設されている。
ヘッドの部分断面を図7に示す。この実施形態では、ノ
ズル開口17Aが穿設されたノズル基板18Aと流路形
成基板10Aとの間に、封止板160、共通インク室形
成板170、薄肉板180及びインク室側板170が挟
持され、これらを貫通するように、圧力発生室12Aと
ノズル開口17Aとを連通するノズル連通口31が配さ
れている。すなわち、封止板160、共通インク室形成
板190および薄肉板180とで共通インク室32が画
成され、各圧力発生室12Aと共通インク室32とは、
封止板160に穿設されたインク連通孔33を介して連
通されている。また、封止板160には供給インク室3
2に外部からインクを導入するためのインク導入孔34
も穿設されている。
【0067】また、薄肉板180とノズル基板18Aと
の間に位置するインク室側板190には各供給インク室
32に対向する位置に貫通部35が形成されており、イ
ンク滴吐出の際に発生するノズル開口17Aと反対側へ
向かう圧力を、薄肉壁180が吸収するのを許容するよ
うになっており、これにより、他の圧力発生室に、共通
インク室32を経由して不要な正又は負の圧力が加わる
のを防止することができる。なお、薄肉板180とイン
ク室側板190とは一体に形成されてもよい。
の間に位置するインク室側板190には各供給インク室
32に対向する位置に貫通部35が形成されており、イ
ンク滴吐出の際に発生するノズル開口17Aと反対側へ
向かう圧力を、薄肉壁180が吸収するのを許容するよ
うになっており、これにより、他の圧力発生室に、共通
インク室32を経由して不要な正又は負の圧力が加わる
のを防止することができる。なお、薄肉板180とイン
ク室側板190とは一体に形成されてもよい。
【0068】このような実施形態においても、流路形成
基板10Aの開口面とは反対側の、流路形成基板10の
隔壁11に対向する領域に、上述したような固定部材を
固着し、内部を減圧することにより、振動板の初期変形
を改善することができる。
基板10Aの開口面とは反対側の、流路形成基板10の
隔壁11に対向する領域に、上述したような固定部材を
固着し、内部を減圧することにより、振動板の初期変形
を改善することができる。
【0069】また、以上説明した各実施形態は、成膜及
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成する
もの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本
発明を採用することができる。
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成する
もの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本
発明を採用することができる。
【0070】さらに、上述した各実施形態では、上電極
膜とリード電極との接続部は、何れの場所に設けてもよ
く、圧力発生室の何れの端部でも又は中央部であっても
よい。
膜とリード電極との接続部は、何れの場所に設けてもよ
く、圧力発生室の何れの端部でも又は中央部であっても
よい。
【0071】また、圧電振動子とリード電極との間に絶
縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例
えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜
を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続した
り、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング
技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例
えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜
を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続した
り、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング
技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0072】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
流路形成基板の圧力発生室形成面とは反対側に、圧電体
能動部の変形を阻害しない空間を有する固定部材を固着
することにより、外部と遮断され、環境の変化による動
作不良を防止することができる。また、この空間を減圧
状態にするようにしたので、振動板の初期変形を改善
し、吐出特性の安定及び向上を図ることができるという
効果を奏する。
流路形成基板の圧力発生室形成面とは反対側に、圧電体
能動部の変形を阻害しない空間を有する固定部材を固着
することにより、外部と遮断され、環境の変化による動
作不良を防止することができる。また、この空間を減圧
状態にするようにしたので、振動板の初期変形を改善
し、吐出特性の安定及び向上を図ることができるという
効果を奏する。
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの断面図である。
録ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
ある。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
ある。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの状態を説明する図である。
録ヘッドの状態を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
録ヘッドの分解斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式
記録ヘッドの部分断面図である。
記録ヘッドの部分断面図である。
10 流路形成基板 12 圧力発生室 14 リザーバ 15 インク供給口 16 インク導入口 17 ノズル開口 18 ノズルプレート 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 90 絶縁体層 90a コンタクトホール 100 リード電極 110 第1固定部材 120 第2固定部材
Claims (7)
- 【請求項1】 一方面にノズル開口に連通すると共に複
数の隔壁で区画された圧力発生室の列を備え、他方面に
前記圧力発生室の一部を構成する振動板および前記圧力
発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部からな
る圧電振動子を備えた流路形成基板を具備するインクジ
ェット式記録ヘッドにおいて、 前記流路形成基板の前記他方面には、前記圧電体能動部
の変形を阻害しない空間を画成し且つ当該空間を略密封
する固定部材が固定され、当該固定部材が画成する前記
空間が減圧状態であることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッド。 - 【請求項2】 請求項1において、前記固定部材が画成
する前記空間の減圧状態により、前記圧力発生室のそれ
ぞれに対応する前記振動板が当該圧力発生室と反対方向
に変形されていることを特徴とするインクジェット式記
録ヘッド。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、前記固定部材
は、前記圧電体能動部毎に前記空間を区画していること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項4】 請求項3において、前記固定部材が、前
記各圧電体能動部毎に区画された空間を形成する貫通部
と、前記流路形成基板の前記隔壁に対向する領域に接合
されて前記貫通部を区画する区画壁とを有する第1の固
定部材と、この第1の固定部材に固定されて前記貫通部
の前記流路形成基板とは反対側を封止する第2の固定部
材とからなることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッド。 - 【請求項5】 請求項3又は4において、前記第1の固
定部材の前記区画壁の幅が、前記流路形成基板の前記隔
壁の幅より小さいことを特徴とするインクジェット式記
録ヘッド。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記固
定部材が画成する空間が、不活性ガス雰囲気で減圧状態
であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記圧
力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングによ
り形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラ
フィ法により形成されたものであることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1140998A JPH11207954A (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | インクジェット式記録ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1140998A JPH11207954A (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | インクジェット式記録ヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11207954A true JPH11207954A (ja) | 1999-08-03 |
Family
ID=11777232
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1140998A Withdrawn JPH11207954A (ja) | 1998-01-23 | 1998-01-23 | インクジェット式記録ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11207954A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6502930B1 (en) | 1999-08-04 | 2003-01-07 | Seiko Epson Corporation | Ink jet recording head, method for manufacturing the same, and ink jet recorder |
JP2011000729A (ja) * | 2009-06-16 | 2011-01-06 | Ricoh Co Ltd | 液体吐出装置 |
JP2014083735A (ja) * | 2012-10-22 | 2014-05-12 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置 |
JP2014176986A (ja) * | 2013-03-13 | 2014-09-25 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
-
1998
- 1998-01-23 JP JP1140998A patent/JPH11207954A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6502930B1 (en) | 1999-08-04 | 2003-01-07 | Seiko Epson Corporation | Ink jet recording head, method for manufacturing the same, and ink jet recorder |
JP2011000729A (ja) * | 2009-06-16 | 2011-01-06 | Ricoh Co Ltd | 液体吐出装置 |
JP2014083735A (ja) * | 2012-10-22 | 2014-05-12 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びにアクチュエーター装置 |
JP2014176986A (ja) * | 2013-03-13 | 2014-09-25 | Seiko Epson Corp | 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050405 |