JP3562289B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部をたわみ振動するアクチュエータにより膨張、収縮させて、ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録ヘッドには、圧力発生室を機械的に変形させてインクを加圧する圧電振動型と、圧力発生室の中に発熱素子を設け、発熱素子の熱で発生した気泡の圧力によりインクを加圧するバブルジェット型との2種類のものが存在する。そして圧電振動型の記録ヘッドは、さらに軸方向に変位する圧電振動子を使用した第1の記録ヘッドと、たわみ変位する圧電振動子を使用した第2の記録ヘッドとの2種類に分類される。第1の記録ヘッドは、高速駆動が可能でかつ高い密度での記録が可能である反面、圧電振動子の加工に切削作業が伴ったり、また圧電振動子を圧力発生室に固定する際に3次元的組立作業を必要として、製造の工程数が多くなるという問題がある。
【0003】
これに対して、第2の記録ヘッドは、圧力発生室を備えこのインクを圧電振動子により加圧するアクチュエータユニット等をセラミックスの焼成技術により構成できるため、製造工程の簡素化を図ることができるものの、アクチュエータユニットにより加圧されたインクをインク滴として吐出させるノズルプレートが金属板で構成され、両者を接着剤層を介して一体に固定して記録ヘッドに構成されているため、セラミックスと金属との熱膨張率の相違により記録ヘッド全体に反りが生じ、インク滴の吐出不良や、印字品質の低下を招く等の問題がある。
【0004】
このような問題を解消するため、特開平6−122197号公報に見られるようにアクチュエータユニットの圧電振動子固定面に、圧電振動子の振動を阻害しない断面「コ」の字状の熱膨張特性調整部材を固定し、熱膨張差に起因する記録ヘッド全体の歪みを防止することが提案されている。
【0005】
ところで、このようなたわみ振動の圧電振動子を用いた記録ヘッドは、たわみ領域を確保する関係上、縦振動モードの圧電振動子を使用した記録ヘッドに比較して圧力発生室の開口面積が大きくなり、第1の記録ヘッドに比較して記録密度が低下するという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するため、シリコン単結晶基板を基材に使用して、圧力発生室やリザーバ等の流路を異方性エッチングにより形成し、また圧電振動子を圧電材料のスパッタリング等の膜形成技術で形成する手法が採られている。これによれば、弾性膜を極めて薄く、また圧力発生室や圧電振動子を高い精度で形成できるため、圧力発生室の開口面積を可及的に小さくして記録密度の向上を図ることが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノズル開口の加工精度を維持するためにノズルプレートには依然として金属板が使用されているため、圧電振動子を焼成により作り付ける前述の第2の記録ヘッドと同様に熱膨張差に起因して記録ヘッド全体に歪みが生じるという問題がある。このような問題は特開平6−122197号公報に見られるような熱膨張特性調整部材を用いることにより解消できるものの、圧電振動子を圧電材料のスパッタリングにより構成した場合には、グリーンシートを焼成して構成されたものに比較して同一電圧で駆動する場合、圧電振動子が薄い分だけ高い電界が印加され、大気中の湿気を吸収した場合には駆動電極間のリーク電流が増加しやすく、ついには絶縁破壊に至るという問題を抱えている。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは膜形成技術により形成された圧電振動子の外部環境の変化に起因する動作不良を密封雰囲気を形成することにより解消し、且つ当該密封雰囲気内の環境変化による不具合を解消するインクジェット式記録ヘッドを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するための本発明のインクジェット式記録ヘッドの第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成して少なくとも上面が下電極として作用する振動板と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電体層の表面に形成された上電極からなり且つ前記圧力発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部と、からなる圧電振動子を備える流路形成基板を具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記流路形成基板の前記圧電体層側に接合されて、前記圧電振動子を内包する空間を密封するキャップ部材と、前記空間に所定以上の圧力変化を検出する環境検出手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
かかる第1の態様では、キャップ部材内の空間の環境変化、特に、キャップ部材内の空間への水や空気の侵入により圧力変化を検出し、圧電体能動部への動作不良を未然に防止できる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記キャップ部材は、前記空間の圧力変化によって変形する可撓部を有し、前記センサは、該可撓部の変形を検出して前記キャップ部材内の空間の所定以上の圧力変化を検出することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある
【0012】
かかる第2の態様では、センサにより可撓部の変形を検出することにより、キャップ部材内の空間の圧力変化による圧電体能動部の動作不良を未然に防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0030】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図であり、図2は、その1つの圧力発生室の長手方向及び幅方向における断面構造を示す図である。
【0031】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0032】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0033】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11により区画された圧力発生室12の列13が2列と、2列の圧力発生室12の列13の三方を囲むように略コ字状に配置されたリザーバ14と、各圧力発生室12とリザーバ14とを一定の流体抵抗で連通するインク供給口15がそれぞれ形成されている。なお、リザーバ14の略中央部には、外部から当該リザーバ14にインクを供給するためのインク導入孔16が形成されている。
【0034】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0035】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給口15は、圧力発生室12より浅く形成されている。すなわち、インク供給口15は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0036】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給口15とは反対側で連通するノズル開口17が穿設されたノズルプレート18が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート18は、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート18は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。
【0037】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口17の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口17は数十μmの直径で精度よく形成する必要がある。
【0038】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室12毎に独立して圧電振動子が設けられているが、本実施形態では、下電極膜60は圧電振動子の共通電極とし、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。
【0039】
ここで、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセスを図3及び図4を参照しながら説明する。
【0040】
図3(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成する。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、スパッタリングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合には、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、圧電体膜70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタリングを用いることもできるが、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散した、いわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0043】
次に、図3(d)に示すように、上電極膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属や、導可電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、Ptをスパッタリングにより成膜している。
【0044】
次に、図3(e)に示すように、各圧力発生室12それぞれに対して圧電振動子を配設するように、上電極膜80および圧電体膜70のパターニングを行う。図3(e)では圧電体膜70を上電極膜80と同一のパターンでパターニングを行った場合を示しているが、上述したように、圧電体膜70は必ずしもパターニングを行う必要はない。これは、上電極膜80のパターンを個別電極として電圧を印加した場合、電界はそれぞれの上電極膜80と、共通電極である下電極膜60との間にかかるのみで、その他の部位には何ら影響を与えないためである。しかしながら、この場合には、同一の排除体積を得るためには大きな電圧印加が必要となるため、圧電体膜70もパターニングするのが好ましい。また、この後、下電極膜60をパターニングして不要な部分、例えば、圧力発生室12の幅方向両側の縁部内側近傍を除去してもよい。なお、下電極膜60の除去は必ずしも行う必要はなく、また、除去する場合には、全てを除去せず、厚さを薄くするようにしてもよい。
【0045】
ここで、パターニングは、レジストパターンを形成した後、エッチング等を行うことにより実施する。
【0046】
レジストパターンは、ネガレジストをスピンコートなどにより塗布し、所定形状のマスクを用いて露光・現像・ベークを行うことにより形成する。なお、勿論、ネガレジストの代わりにポジレジストを用いてもよい。
【0047】
また、エッチングは、ドライエッチング装置、例えば、イオンミリング装置を用いて行う。なお、エッチング後には、レジストパターンをアッシング装置等を用いて除去する。
【0048】
また、ドライエッチング法としては、イオンミリング法以外に、反応性エッチング法等を用いてもよい。また、ドライエッチングの代わりにウェットエッチングを用いることも可能であるが、ドライエッチング法と比較してパターニング精度が多少劣り、上電極膜80の材料も制限されるので、ドライエッチングを用いるのが好ましい。
【0049】
次いで、図4(a)に示すように、上電極膜80の周縁部および圧電体膜70の側面を覆うように絶縁体層90を形成する。この絶縁体層90の好適な材料は上述した通りであるが、本実施形態ではネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、絶縁体層90をパターニングすることにより、各連通部14に対向する部分にコンタクトホール90aを形成する。このコンタクトホール90aは、後述するリード電極100と上電極膜80との接続をするためのものである。
【0051】
次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を全面に成膜した後、パターニングすることにより、リード電極100を形成する。
【0052】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図4(c)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0053】
また、本実施形態では、圧電体能動部側の弾性膜50上には、圧電体能動部の駆動を妨げない程度の空間を有し、圧電体能動部を密封するキャップ部材110が設けられている。
【0054】
このキャップ部材110は、弾性膜50との接合側の圧力発生室12の各列13の間に対向する領域に、圧電体能動部に接触しない空間からなる凹部112を区画する区画壁111を有する。
【0055】
このキャップ部材110は、接着剤などにより弾性膜50の表面に固定され、各凹部112内に圧電体能動部を密封している。本実施形態では、キャップ部材110を弾性膜50上に接着するようにしたが、これに限定されず、例えば、圧電体膜70まで除去して、下電極膜60に接着するようにしてもよい。いずれにしても、キャップ部材110を確実に接着することができる。
【0056】
また、本発明では、以下に説明するように、このキャップ部材110の凹部112内の環境変化、例えば、本実施形態では、圧力変化を検出するためのセンサが設けられている。
【0057】
すなわち、キャップ部材110の各凹部112の長手方向端部近傍には、各凹部112と外部とを繋ぐ貫通孔113が形成され、この貫通孔の113の内側の開口は、凹部112内の圧力変化によって変形する可撓部114により塞がれている。この可撓部114は、弾性変形可能な材質、例えば、樹脂、ゴム、金属等の薄膜で形成されている。また、この貫通孔113の内側の開口近傍には、図5の模式図に示すように、凹部112内の圧力変化に伴う可撓部114の変形を検出、すなわち、凹部112内の所定以上の圧力変化を検出する感圧センサ115が可撓部114と所定の間隔で設けられている。
【0058】
なお、貫通孔113及び可撓部114の大きさは、特に限定されず、各可撓部114は、凹部112内の圧力変化によって変形可能であればよく、貫通孔113は、感圧センサ115を配置可能な大きさであればよい。また、形成する位置も、圧電体能動部の駆動を妨げない位置であれば、特に限定されない。
【0059】
ここで、可撓部及び感圧センサの動作例を説明する。
【0060】
図5(a)に示すように、可撓部114及び感圧センサ115は、通常、所定の距離をおいて保持されている。例えば、本実施形態では、凹部112内を減圧状態にして、可撓部114を内側に撓ませることにより、両者を所定の距離で保持している。そして、圧電体能動部の駆動等により、凹部112内の圧力が上昇すると可撓部114が外部方向に変形し、所定以上の圧力変化、例えば、本実施形態では、外部と同等の圧力になると、図5(b)に示すように、可撓部114が感圧センサ115と接触し、可撓部114の変形が検出される。すなわち、感圧センサ115が凹部112内の所定以上の圧力変化を検出する。
【0061】
このような構成により、圧電体能動部は、キャップ部材110により密封され、外部環境に起因する動作不良が防止される。また、圧電体能動部を密封している凹部112内の圧力変化を監視することができ、所定以上の圧力変化があった場合には、例えば、操作者に警告したり、プリンタの動作を停止させたりすること等により、圧力変化に起因する圧電体能動部の動作不良を未然に防止することができる。
【0062】
なお、以上説明した一連の膜形成および異方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形成基板10を、ノズルプレート18、キャップ部材110と順次接着してインクジェット式記録ヘッドとする。その後、ホルダー105に固定し、キャリッジに搭載され、インクジェット式記録装置に組み込まれる。
【0063】
このように構成したインクジェットヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口16からインクを取り込み、リザーバ14からノズル開口17に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50と圧電体膜70とをたわみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口17からインク滴が吐出する。
【0064】
なお、本実施形態では、接触型のセンサを用いて、可撓部の変形を検出するようにしたが、特に限定されず、可撓部の変形を検出可能なセンサであれば、例えば、非接触型等、何れのタイプのセンサであってもよい。
【0065】
(実施形態2)
図6は、実施形態2にかかるインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【0066】
本実施形態は、キャップ部材の凹部内の環境変化として、圧力の代わりに湿度を検出する一例である。
【0067】
本実施形態では、図6に示すように、圧力発生室12の列13の一方の端部に位置する圧力発生室12をダミーの圧力発生室12Aとし、このダミーの圧力発生室12Aに対向する領域にも、他の圧力発生室12に対向する領域と同様に、圧電体能動部が設けられている。また、この圧電体能動部の圧電体膜70Aには、図示しないが、外部と連通され、圧電体膜70Aの抵抗値を検出する配線が設けられている。
【0068】
このような構成では、圧電体膜の湿度が上昇すると抵抗値が低下するという特性を利用し、圧電体膜70Aの抵抗値を検出することにより、キャップ部材110の凹部112内の湿度変化を検出することができる。
【0069】
これにより、凹部112内の湿度を監視することができ、凹部112内の湿度が所定以上に上昇した場合には、実施形態1と同様に、操作者に警告する等により、湿度に起因する圧電体能動部の動作不良等を未然に防止することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、圧電体膜の抵抗値を検出することにより、湿度変化を検出するようにしたが、これに限定されず、電流値を検出することにより、湿度を検出するようにしてもよい。また、本実施形態では、ダミーの圧力発生室を設けるようにしたが、圧力発生室を設けずに流路形成基板上に湿度を検出するための圧電体能動部を設けるようにしてもよい。
【0071】
(実施形態3)
図7は、実施形態3にかかるインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【0072】
本実施形態は、図7に示すように、キャップ部材110の凹部112内に、複数の配線121を並べて設け、各配線121の長手方向の少なくとも一部にITO(酸化インジウムスズ)層122を設け、湿度センサ120として用いる例である。
【0073】
すなわち、キャップ部材110の凹部112には、複数の、例えば、本実施形態では、2本の配線121が、圧力発生室12の列方向の端部近傍の流路形成基10上に、所定の間隔、例えば、1mm以内の間隔で形成されている。また、この配線121の少なくとも一部を覆うITO層122が、例えば、ゾルゲル法、あるいは蒸着法により形成され、このITO層122を形成した部分が湿度センサ120として利用される。
【0074】
この配線121の材質は特に限定されず、例えば、Cu、Au等が挙げられる。
【0075】
このような湿度センサ120は、以下に述べるITO(酸化インジウムスズ)の特性を利用したものである。すなわち、このITO電極材は、電極間距離(隣接する配線間の距)が1mm以内であり、電極間の電位差が少なくとも5Vあり、湿度が80%(相対湿度)を越えるかあるいは結露すると電解腐食が発生し、時間経過で断線に至るという特性を有する。
【0076】
したがって、この特性を利用することにより、抵抗値を検出することで、凹部112の湿度を検出することができ、湿度が所定以上に変化した場合には、上述の実施形態と同様に、例えば、操作者に警告する等により、湿度変化に起因する圧電体能動部の動作不良を未然に防止することができる。
【0077】
なお、湿度センサ120を設ける位置は、特に限定されず、圧電体能動部の駆動を阻害しなければ、凹部112内の何れの場所であってもよい。
【0078】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0079】
例えば、上述した実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12と共にリザーバ14を形成しているが、共通インク室を形成する部材を流路形成基板10に重ねて設けてもよい。
【0080】
このように構成したインクジェット式記録ヘッドの部分断面を図8に示す。この実施形態では、ノズル開口17Aが穿設されたノズル基板18Aと流路形成基板10Aとの間に、封止板160、共通インク室形成板170、薄肉板180及びインク室側板170が挟持され、これらを貫通するように、圧力発生室12Aとノズル開口17Aとを連通するノズル連通口31が配されている。すなわち、封止板160、共通インク室形成板190および薄肉板180とで共通インク室32が画成され、各圧力発生室3Aと共通インク室32とは、封止板160に穿設されたインク連通孔33を介して連通されている。
【0081】
また、封止板160には供給インク室32に外部からインクを導入するためのインク導入孔34も穿設されている。
【0082】
また、薄肉板180とノズル基板18Aとの間に位置するインク室側板190には各供給インク室32に対向する位置に貫通部35が形成されており、インク滴吐出の際に発生するノズル開口17Aと反対側へ向かう圧力を、薄肉壁180が吸収するのを許容するようになっており、これにより、他の圧力発生室に、共通インク室32を経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止することができる。なお、薄肉板180とインク室側板190とは一体に形成されてもよい。
【0083】
このような実施形態においても、流路形成基板10Aの開口面とは反対側の面に、上述のようなキャップ部材を固着することにより、外部環境の変化に起因する圧電体能動部の動作不良を防止することができる。また、キャップ部材に内部の環境変化を検出するセンサを設けることにより、内部環境を監視することができ、この内部環境の変化に起因する圧電体能動部の動作不良を防止することができる。
【0084】
また、以上説明した各実施形態は、成膜及びリソグラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明を採用することができる。
【0085】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッドの、圧力発生室の長手方向、及び圧力発生室の配列方向での断面構造として示す図である。
【図3】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図5】可撓部及びセンサを模式的に示した図である。
【図6】本発明の実施形態2にかかるインクジェット式記録ヘッドの、圧力発生室の配列方向での断面構造として示す図である。
【図7】本発明の実施形態3にかかるインクジェット式記録ヘッドの、圧力発生室の配列方向での断面構造として示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット式記録ヘッドの、圧力発生室の長手方向での断面構造として示す図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
12 圧力発生室
14 リザーバ
18 ノズルプレート
50 弾性膜
60 下電極膜
70 圧電体膜
80 上電極
90 絶縁体層
90a コンタクトホール
105 ホルダー
100 リード電極
110 キャップ部材
112 凹部
113 貫通溝
114 可撓部
115 センサ

Claims (2)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成して少なくとも上面が下電極として作用する振動板と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電体層の表面に形成された上電極からなり且つ前記圧力発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部と、からなる圧電振動子を備える流路形成基板を具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記流路形成基板の前記圧電体層側に接合されて、前記圧電振動子を内包する空間を密封するキャップ部材と、前記空間に所定以上の圧力変化を検出する環境検出手段と、を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 請求項1において、前記キャップ部材は、前記空間の圧力変化によって変形する可撓部を有し、前記センサは、該可撓部の変形を検出して前記キャップ部材内の空間の所定以上の圧力変化を検出することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
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