JP4121600B2 - 貫通孔形成方法及び貫通孔形成基板 - Google Patents

貫通孔形成方法及び貫通孔形成基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貫通孔形成基板及びその製造方法に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面の圧電体層を形成して、圧電体層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基板の一方面に他方面への能動板及び当該能動板を駆動する能動板駆動部を有するマイクロデバイスの一種としてインクジェット式記録ヘッドがある。
【0003】
このインクジェット式記録ヘッドは、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるものであり、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用化されている。
【0004】
前者は圧電振動子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0005】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0006】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案されている。
【0007】
これによれば圧電振動子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができるばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0008】
また、この場合、基板として、例えばシリコン単結晶基板を用い、圧力発生室やリザーバ等の流路を異方性エッチングにより形成し、圧力発生室の開口面積を可及的に小さくして記録密度の向上を図ることが可能である。
【0009】
上述したようなシリコン単結晶基板を異方性エッチングをする際には、圧力発生室と同時に、貫通孔となる部分、例えば、位置決めのための基準孔、インク導入のためのインク導入口、ウェハ上に複数のチップを形成する場合のチップ毎の分離を行うための分離孔などを形成する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなインクジェット式記録ヘッドにおいて、集積密度を向上するためには、基準孔などの性能に影響を与えない貫通孔はできるだけ小さく形成する必要がある。
【0011】
しかしながら、一般には、最下層の二酸化シリコン膜のみを残してシリコン単結晶基板を、略平行四辺形の窓を有するマスクパターンを用いてエッチングする方法では、所定の厚さのシリコン単結晶基板を貫通するためには、最低限必要な大きさがある。例えば、(110)面を有するシリコン基板に、貫通孔を異方性エッチング等により形成する場合、図8に示すように、略平行四辺形の貫通孔230の内側に、(110)面、すなわち、シリコン単結晶基板の表面に対して約35度の角度をなす(111)面を有する残留部233が残ってしまう。したがって、貫通孔230は、実際には、この残留部233を、相対向する挟角を形成する隅部に残すようにして、略六角形に形成される。また、この残留部233の貫通孔230の端部からの長さLは、シリコン単結晶基板の厚さtのみによって決まるため、貫通孔230の大きさには限界がある。例えば、シリコン単結晶基板の厚さtが約220μmであると、残留部233の長さLは約0.31mmとなるため、貫通孔230は、0.9mm径の円を包含する大きさが限界である。
【0012】
このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、基板の一方側に能動板及び能動板駆動部を有するマイクロセンサなどのマイクロデバイスについても存在する。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑み、より微小の貫通孔を有する貫通孔形成基板及びインクジェット式記録ヘッド並びにこれらの製造方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、(110)面方位のシリコン基板に実質的に前記(110)面に直交する二つの(111)面で構成される微小の貫通孔を前記シリコン基板の一方の面からのみエッチングで形成する方法において、
前記貫通孔の開口に対応する窓を有するレジスト膜を前記シリコン基板上の一方の面に形成するレジスト膜形成ステップと、前記貫通孔の開口が実質的に略平行四辺形であり且つ前記略平行四辺形の相対的に小さい内角を有する狭角を形成する隅部の少なくとも一方の外側に前記平行四辺形より細長であって同一基板の他の貫通孔と連通しない細長部を有する貫通孔をエッチングにより形成するエッチングステップと、を具備し、前記レジスト膜の窓は、前記略平行四辺形の前記細長部を有する隅部から当該略平行四辺形に対応する部分の内方に延びる細長の部分を覆う細長パターンを形成したレジスト膜を用いてエッチングステップを行うことを特徴とする貫通孔形成方法にある。
【0015】
かかる第1の態様では、略平行四辺形内に残るテーパ状の残部の内端の位置が細長部の外先端により決まるので、より微小の貫通孔を有する貫通孔形成基板が実現される。
【0016】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記細長部は、前記狭角を形成する辺を延長する方向に沿って形成されていることを特徴とする貫通孔形成方法にある。
【0017】
かかる第2の態様では、略平行四辺形内に残るテーパ状の残部の出現をできるだけ避けることができる。
【0018】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記細長パターンは、前記狭角を形成する辺を延長する方向に沿って形成されていることを特徴とする貫通孔形成方法にある。
【0019】
かかる第3の態様では、細長パターンにより、略平行四辺形と細長部との間の角のパターンのオーバーエッチング防止を効果的に行うことができる。
【0020】
本発明の第4の態様では、第1〜3の態様の何れかの貫通孔形成方法を用いて貫通孔が形成された貫通孔形成基板にある。
【0021】
かかる第4の態様では、略平行四辺形内に残るテーパ状の残部の内端の位置が細長部の外先端により決まるので、より微小の貫通孔を有する貫通孔形成基板が実現される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を一実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図であり、図2(a)及び(b)は、その1つの圧力発生室の長手方向及びそれに交差する方向におけるそれぞれの断面構造を示す図である。
【0036】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0037】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0038】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11により区画された圧力発生室12の列13が2列と、2列の圧力発生室12の三方を囲むように略コ字状に配置されたリザーバ14と、各圧力発生室12とリザーバ14とを一定の流体抵抗で連通するインク供給口15がそれぞれ形成されている。なお、リザーバ14の略中央部には、外部から当該リザーバ14にインクを供給するためのインク導入孔16が形成されている。
【0039】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0040】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。また、各圧力発生室12の一端に連通する各インク供給口15は、圧力発生室12より浅く形成されている。すなわち、インク供給口15は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0041】
なお、流路形成基板10の対角線上の二つの隅部には、流路形成基板10の位置合わせのための基準孔30が形成されている。
【0042】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給口15とは反対側で連通するノズル開口17が穿設されたノズルプレート18が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート18は、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又は不錆鋼などからなる。ノズルプレート18は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。なお、ノズルプレート18には、流路形成基板10の基準孔30に対応する位置に基準孔19が形成されている。
【0043】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口17の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口17は数十μmの径で精度よく形成する必要がある。
【0044】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室12毎に独立して圧電振動子が設けられている。本実施形態では、下電極膜60を圧電振動子の共通電極とし、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。本実施形態では、詳細を後述するように、圧力発生室12毎に圧電体膜70及び上電極膜80を形成している。
【0045】
そして、このような流路形成基板10及びノズルプレート18は、これらを保持する凹部を有する固定部材20に固定される。なお、固定部材20にも、流路形成基板10の基準孔30と対応する位置に基準孔20aが形成されている。
【0046】
ここで、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセスを図3及び図4を参照しながら説明する。
【0047】
図3(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成する。
【0048】
次に、図3(b)に示すように、スパッタリングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜70の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合には、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0049】
次に、図3(c)に示すように、圧電体膜70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタリングを用いることもできるが、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0050】
次に、図3(d)に示すように、上電極膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、Ptをスパッタリングにより成膜している。
【0051】
次に、図3(e)に示すように、各圧力発生室12それぞれに対して圧電振動子を配設するように、上電極膜80及び圧電体膜70のパターニングを行う。図3(e)では圧電体膜70を上電極膜80と同一のパターンでパターニングを行った場合を示しているが、上述したように、圧電体膜70は必ずしもパターニングを行う必要はない。これは、上電極膜80のパターンを個別電極として電圧を印加した場合、電界はそれぞれの上電極膜80と、共通電極である下電極膜60との間にかかるのみで、その他の部位には何ら影響を与えないためである。しかしながら、この場合には、同一の排除体積を得るためには大きな電圧印加が必要となるため、圧電体膜70もパターニングするのが好ましい。また、この後、下電極膜60をパターニングして不要な部分を除去する。
【0052】
ここで、パターニングには、レジストパターンを形成した後、エッチング等を行うことにより実施する。
【0053】
レジストパターンは、例えば、ネガレジストをスピンコートなどにより塗布し、所定形状のマスクを用いて露光・現像・ベークを行うことにより形成する。なお、勿論、ネガレジストの代わりにポジレジストを用いてもよい。
【0054】
また、エッチングは、ドライエッチング装置、例えば、イオンミリング装置を用いて二酸化シリコン膜が露出するまで行う。なお、エッチング後には、レジストパターンをアッシング装置等を用いて除去する。
【0055】
また、ドライエッチング法としては、イオンミリング法以外に、反応性エッチング法等を用いてもよい。また、ドライエッチングの代わりにウェットエッチングを用いることも可能であるが、ドライエッチング法と比較してパターニング精度が多少劣り、上電極膜80の材料も制限されるので、ドライエッチングを用いるのが好ましい。
【0056】
次いで、図4(a)に示すように、上電極膜80の周縁部及び圧電体膜70の側面を覆うように絶縁体層90を形成する。この絶縁体層90の材料としては、本実施形態ではネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0057】
次に、図4(b)に示すように、絶縁体層90をパターニングすることにより、各連通部14に対向する部分にコンタクトホール90aを形成する。このコンタクトホール90aは、後述するリード電極100と上電極膜80との接続をするためのものである。
【0058】
次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を全面に成膜した後、パターニングすることにより、リード電極100を形成する。
【0059】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図4(c)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。なお、以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。
【0060】
ここで、異方性エッチング処理により、圧力発生室12と共に、上述したインク導入口16、基準孔30、並びに各チップに分離するためにチップ間に形成される分離孔などの貫通孔が同時に形成される。
【0061】
ここで、集積密度の向上を図るためにはできるだけ小さい貫通孔とした方が好ましい基準孔30の開口は、図5(a)に示すように、略平行四辺形であり、この平行四辺形の相対的に小さい内角を有する挟角を形成する2つの隅部の外側に、細長部31を有する形状を有する。本実施形態では、基準孔30の開口をこのような形状とすることにより、テーパ状の残留部33を基準孔30の隅部のみに存在するようにしている。これは、残留部33の内端の位置が細長部31の外側先端の位置からの距離Lで決定されるからである。したがって、基準孔30は、略六角形状を有しているが、残留部33が隅部近傍のみに存在するため、実質的に略平行四辺形をなしており、従来よりも小さい面積で同一径の円を包含する大きさを有する。
【0062】
例えば、細長部31を有しない場合、シリコン単結晶基板を一方の面からのみエッチングして基準孔30を形成すると、シリコン単結晶基板の厚さが220μmの時、前述の残留部間の距離Wは0.9mmとなる。また、厚さが180μmの時には、Wは0.72mm程度に制限される。しかしながら、本実施形態のごとく基準孔30を形成すると、後述する図5(b)の細長パターン部132の長さに制限されるものの、シリコン単結晶基板の厚さが220μmの時、Wは0.6mm程度に縮小することが可能になる。
【0063】
また、かかる形状の基準孔30を形成するためには、図5(b)に示すような形状のマスクパターンを用いる必要がある。すなわち、窓135の形状は、基本的には、略平行四辺形であり、この平行四辺形の相対的に小さい内角を有する挟角を形成する2つの隅部の外側に、上述した細長部31に対応する細長窓部131を有するが、さらに、細長窓部131の反対側に略平行四辺形の内側に向かって延びる細長の細長パターン部132を有する。この細長パターン部132で覆われた部分は、結果的にはエッチングされ、図5(a)に示す形状の開口が形成されるが、この細長パターン部132がない場合には、細長窓部131と略平行四辺形の窓とで挟まれた角がオーバーエッチングされてしまい、所望より大きな開口が形成されてしまう。したがって、細長パターン部132は、必ず必要である。
【0064】
以下、本実施形態の基準孔30の形成方法について述べる。
【0065】
まず、図6(a)に示すように、基準孔30となる部分の流路形成基板10上に所定形状の窓135を有するレジスト膜130を形成する。本実施形態の窓135の形状は、図5(b)に示す形状である。
【0066】
次いで、図6(b)に示すように、異方性エッチング処理により基準孔30を形成する。この異方性エッチング処理は、上述の圧力発生室12の形成と同様である。この際、細長パターン部132を細長窓部131の内側に設け、この細長パターン部132がエッチングにより徐々に削られ、細長窓部131の端部近傍がエッチングにより削られるのが防止できる。なお、細長窓部131の長さは、基準孔30を形成する際、エッチングにより削り取られる長さに設計すればよい。
【0067】
次に、図6(c)に示すように、流路形成基板10の基準孔30に対応する部分のレジスト膜130が形成されたのとは反対側の面に形成されている層、すなわち、本実施形態では、弾性膜50を貫通することにより、基準孔30を開口して、基準孔30の形成を完了する。
【0068】
なお、この弾性膜50の貫通方法は特に限定されず、例えば、基準孔30側から機械的に押圧を加えることにより形成されればよい。
【0069】
このように形成された基準孔30の開口形状は、図5(a)に示したとおりである。そして、上述した効果を顕著に得るためには、細長部31は、略平行四辺形の狭角の外側に、当該狭角を形成する辺に沿って延びるように形成するのが好ましい。
【0070】
しかしながら、この基準孔30の形状は、上記形状に限定されず、例えば、図7(a)に示すように、一方の細長部31Aを他方の細長部31Bとは交差する方向の辺に沿って形成するようにしてもよいし、図7(b)に示すように、細長部31Cを挟角を形成する他方の辺に沿って形成するようにしてもよい。
【0071】
このように、基準孔30の隅部に所定の長さの細長部31を設けることにより、残留部33の位置を容易に制御することができるので、基準孔30を無駄のない略平行四辺形に近づけることができ、より微小の基準孔を形成することができる。
【0072】
このように構成したインクジェットヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口16からインクを取り込み、リザーバ14からノズル開口17に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50と圧電体膜60とをたわみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口17からインク滴が吐出する。
【0074】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0075】
また、上述した実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12と共にリザーバ14を形成しているが、共通インク室を形成する部材を流路形成基板に重ねて設けてもよい。
【0076】
さらに、上述した各実施形態では、上電極膜とリード電極との接続部は、何れの場所に設けてもよく、圧力発生室の何れの端部でも又は中央部であってもよい。
【0077】
また、圧電振動子とリード電極との間に絶縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続したり、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0078】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドの他、例えば、貫通孔を濾過のために用いるフィルタ、液体吐出用に用いる液体吐出ノズルに応用可能であり、また、その他マイクロセンサ等のマイクロデバイスに応用することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、貫通孔を細長部を有する形状とすることにより、残留部の位置を容易に制御することができるため、微小の貫通孔を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る貫通孔及びマスクパターンを示す図である。
【図6】本発明の実施形態1の貫通孔形成行程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態1に係る貫通孔の変形例を示す図である。
【図8】従来技術に係る貫通孔の平面形状及び断面示す図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
12 圧力発生室
14 リザーバ
15 インク供給口
16 インク導入口
17 ノズル開口
18 ノズルプレート
20 固定部材
30 基準孔
31 細長部
33 残留部
50 弾性膜
60 下電極膜
70 圧電体膜
80 上電極膜
90 絶縁体層
90a コンタクトホール
100 リード電極
130 レジスト膜
131 細長窓部
132 細長パターン部

Claims (4)

  1. (110)面方位のシリコン基板に実質的に前記(110)面に直交する二つの(111)面で構成される微小の貫通孔を前記シリコン基板の一方の面からのみエッチングで形成する方法において、
    前記貫通孔の開口に対応する窓を有するレジスト膜を前記シリコン基板上の一方の面に形成するレジスト膜形成ステップと、
    前記貫通孔の開口が実質的に略平行四辺形であり且つ前記略平行四辺形の相対的に小さい内角を有する狭角を形成する隅部の少なくとも一方の外側に前記平行四辺形より細長であって同一基板の他の貫通孔と連通しない細長部を有する貫通孔をエッチングにより形成するエッチングステップと、を具備し、
    前記レジスト膜の窓は、前記略平行四辺形の前記細長部を有する隅部から当該略平行四辺形に対応する部分の内方に延びる細長の部分を覆う細長パターンを形成したレジスト膜を用いてエッチングステップを行うことを特徴とする貫通孔形成方法
  2. 請求項1において、前記細長部は、前記狭角を形成する辺を延長する方向に沿って形成されていることを特徴とする貫通孔形成方法。
  3. 請求項1において、前記細長パターンは、前記狭角を形成する辺を長する方向に沿って形成されていることを特徴とする貫通孔形成方法。
  4. 請求項1〜3の何れかの貫通孔形成方法を用いて貫通孔が形成された貫通孔形成基板。
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