JP3725390B2 - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って薄膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案されている。
【0006】
これによれば圧電素子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばかりでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。なお、この場合、圧電材料層は振動板の表面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧電素子を駆動することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した薄膜技術およびリソグラフィ法による製造方法では、圧電体層の圧電特性を向上するために、一般的に、圧電体層を振動板の厚さよりも厚く形成している。そのため、圧電素子の駆動の際に、中立面が圧電体層内に位置するため変位効率が低下し、圧電体層自体の変位力をインクの吐出力に十分に変換できていないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、圧電素子の駆動による変位の効率を向上したインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成する振動板と、該振動板の少なくとも一部を構成する下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを備え且つ前記圧力発生室に対向する領域に前記圧電素子を構成する前記圧電体層の実質的な駆動部となる圧電体能動部を具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記振動板が少なくとも金属酸化膜又は脆性材料膜の何れかを含み、前記圧電体能動部の駆動による中立面が当該金属酸化膜又は脆性材料膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0010】
かかる第1の態様では、圧電体層内に中立面がないので、駆動の際、圧電体層には圧縮応力のみがかかり、圧電素子の変位効率が向上される。また、振動板に作用する応力が抑えられ、振動板の破損及び劣化等が防止される。
本発明の第2の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成する振動板と、該振動板の少なくとも一部を構成する下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを備え且つ前記圧力発生室に対向する領域に前記圧電素子を構成する前記圧電体層の実質的な駆動部となる圧電体能動部を具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記圧電体能動部の駆動により前記圧電体層に圧縮応力のみが生じるように、前記振動板及び前記圧電素子を構成する各層の厚さを規定すると共に、前記振動板が少なくとも金属酸化膜又は脆性材料膜の何れかを含み、前記圧電体能動部の駆動による中立面が当該金属酸化膜又は脆性材料膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
かかる第2の態様では、圧電体能動部を駆動によって生じる引張り応力が圧電体層にかかることがないため、圧電体層自体の変位力をインクの吐出力に充分に変換することができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記振動板のヤング率と膜厚の二乗との積が、前記上電極及び前記圧電体層のヤング率と膜厚の二乗との積よりも大きいことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0012】
かかる第3の態様では、中立面が振動板内に確実に位置し、変位の効率が向上する。
【0013】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記振動板のヤング率と膜厚の二乗との積が、前記上電極及び前記圧電体層のヤング率と膜厚の二乗との積の1〜50倍であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0014】
かかる第4の態様では、振動板のヤング率と膜厚の二乗との積を所定範囲とすることにより、変位の効率がより確実に向上する。
【0015】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記下電極が、前記圧電体層の応力よりも大きい引張り応力を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】
かかる第5の態様では、下電極の応力による圧電体層の変位の阻害が防止される。
【0017】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記圧電体層が有する応力が引張り応力であり、前記下電極が前記圧電体層の引張り応力の1〜3倍であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0018】
かかる第6の態様では、下電極の応力による圧電体層の変位の阻害がより確実に防止される。
【0019】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記上電極が、前記圧電体層の応力よりも大きい引張り応力を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】
かかる第7の態様では、上電極の応力による圧電体層の変位の阻害が防止される。
【0021】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記圧電体層が有する応力が引張り応力であり、前記上電極が前記圧電体層の引張り応力の1〜3倍であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0022】
かかる第8の態様では、上電極の応力による圧電体層の変位の阻害がより確実に防止される。
【0023】
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様において、少なくとも前記圧電体能動部の前記圧電体層と前記上電極との膜厚の和が、前記振動板と前記下電極との膜厚の和よりも薄いことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0024】
かかる第9の態様では、中立面が確実に振動板内となり、変位の効率が向上される。
【0025】
本発明の第10の態様は、第1〜9の何れかにおいて、前記振動板が延性材料膜からなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0026】
かかる第10の態様では、振動板が引張り応力に適した延性材料膜であるため、変位時の応力による振動板の破壊が抑えられる。
【0031】
本発明の第11の態様は、第1〜10の何れかの態様において、前記振動板が少なくとも前記脆性材料膜を含むと共に当該脆性材料膜が酸化ジルコニウムからなり、前記中立面が前記脆性材料膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0032】
かかる第11の態様では、中立面が位置する脆性材料膜を特定の材料で形成することにより、変位時の応力による破壊が確実に抑えられる。
【0033】
本発明の第12の態様は、第1〜10の何れかの態様において、前記振動板が少なくとも前記金属酸化膜を含むと共に当該金属酸化膜が酸化シリコンからなり、前記中立面が前記金属酸化膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0034】
かかる第12の態様では、中立面が位置する金属酸化膜を特定の材料で形成することにより、変位時の応力が確実に抑えられる。
【0035】
本発明の第13の態様は、第1〜12何れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0036】
かかる第13の態様では、高密度のノズル開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比較的容易に製造することができる。
【0037】
本発明の第14の態様は、第1〜13の何れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0038】
かかる第14の態様では、ヘッドの信頼性を向上したインクジェット式記録装置を実現することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0040】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、平面図及びその1つの圧力発生室の長手方向における断面構造を示す図である。
【0041】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0042】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0043】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0044】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0045】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。
【0046】
一方、各圧力発生室12の一端に連通する各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0047】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要がある。
【0048】
また、各圧力発生室12と後述する共通インク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室12の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク供給連通口21を介して連通されており、インクはこのインク供給連通口21を介して共通インク室31から供給され、各圧力発生室12に分配される。
【0049】
封止板20は、前述の各圧力発生室12に対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室12のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであってもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板20は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0050】
共通インク室形成基板30は、共通インク室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、インク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしている。
【0051】
インク室側板40は、ステンレス基板からなり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成するものである。また、インク室側板40には、他方の面の一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成することにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのインク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されている。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生するノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するためのもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mmの薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0052】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50上には、厚さが、例えば、約0.1〜2μmの絶縁体膜55が形成され、さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体膜70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて、圧電アクチュエータと称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用する。
【0053】
ここで、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセスを図4を参照しながら説明する。
【0054】
図4(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成する。
【0055】
次に、図4(b)に示すように、弾性膜50上に、絶縁体膜55を形成する。この絶縁体膜55は、圧電体膜70との密着性の良好な材料、例えば、圧電体膜70の構成元素から選択される少なくとも一種の元素の酸化物又は窒化物で形成されることが好ましい。本実施形態では、弾性膜50上にジルコニウム層を形成後、例えば、約1150℃の拡散炉で熱酸化して二酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55とした。
【0056】
次に、図4(c)に示すように、スパッタリングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料としては、白金等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体膜70としてチタン酸ジルコン酸塩(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
【0057】
次に、図4(d)に示すように、圧電体膜70を成膜する。本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成した。圧電体膜70の材料としては、PZT系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体膜70の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法で形成してもよい。
【0058】
さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法等によりPZTの前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。
【0059】
次に、図4(e)に示すように、上電極膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、白金をスパッタリングにより成膜している。
【0060】
次に、図5に示すように、下電極膜60、圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングする。
【0061】
まず、図5(a)に示すように、下電極膜60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチングして下電極膜60の全体パターンをパターニングする。次いで、図5(b)に示すように、圧電体膜70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部320のパターニングを行う。
【0062】
以上説明したように、下電極膜60の全体のパターンを形成後、圧電体能動部320をパターニングすることによりパターニングが完了する。
【0063】
以上のように、下電極膜60等をパターニングした後には、好ましくは、各上電極膜80の上面の少なくとも周縁及び圧電体膜70の側面を覆うように電気絶縁性を備えた層間絶縁膜90を形成する(図1参照)。
【0064】
このような絶縁体層の形成プロセスを図6に示す。
【0065】
まず、図6(a)に示すように、上電極膜80の周縁部及び圧電体膜70の側面を覆うように層間絶縁膜90を形成する。この層間絶縁膜90の材料は、本実施形態ではネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0066】
次に、図6(b)に示すように、層間絶縁膜90をパターニングすることにより、各圧力発生室12のインク供給側の端部近傍に対応する部分にコンタクトホール90aを形成する。このコンタクトホール90aは、リード電極100と上電極膜80とを接続するためのものである。リード電極100は、コンタクトホール90aを介して各上電極膜80に一端が接続し、また他端が接続端子部に延設されている。また、リード電極100は、駆動信号を上電極膜80に確実に供給できる程度に可及的に狭い幅となるように形成されている。なお、本実施形態では、コンタクトホール90aは、圧力発生室12に対向する位置に設けられているが、例えば、圧電体膜70及び上電極膜80を圧力発生室12の周壁上まで延設して、この周壁に対向する位置にコンタクトホール90aを設けるようにしてもよい。
【0067】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図6(c)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0068】
なお、圧電体能動部320を駆動するための配線の構成等は、特に限定されない。すなわち、上述した例では下電極膜60を全面に亘って形成するようにし、圧電体膜70及び上電極膜80を圧力発生室12に対向する領域内にパターニングするようにしたが、圧電体膜70及び上電極膜80を、例えば、圧力発生室12の端部から外まで引き出すようにしてコンタクトホールを廃止してもよい。また、下電極膜60を圧力発生室12に対向する領域内にパターニングすることもでき、このような配線の構成は全く自由である。
【0069】
また、以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板30、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0070】
このように構成したインクジェットヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口42からインクを取り込み、共通インク室31からノズル開口11に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体膜70をたわみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
【0071】
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図を図7に示す。
【0072】
図7(a)及び図7(a)のB−B’断面図である図7(b)に示すように、下電極膜60、圧電体膜70および上電極膜80からなる圧電素子300は、本実施形態では、圧力発生室12に対向する領域内に設けられて圧電体能動部320となっている。また、圧電体能動部320の長手方向端部近傍には、圧電体能動部320上に設けられている層間絶縁膜90のコンタクトホール90aを介して上電極膜80とリード電極100とが接続されている。
【0073】
また、本実施形態では、上述のように、この圧電体能動部320の一方の電極である下電極膜60と弾性膜50との間には、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55が全面に亘って形成されており、これら弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用している。そして、この振動板の厚さを圧電体能動部の320を構成する圧電体膜70及び上電極膜80の厚さよりも厚くなるように形成し、圧電体能動部320を駆動する際に、中立面が振動板内に位置するようにした。すなわち、例えば、本実施形態では、図中に点線で示すように、圧電体能動部320を駆動する際に、中立面y0が絶縁体膜55内にあるように振動板を構成する各層の厚さを調整した。
【0074】
ここで、振動板(下電極膜60)と圧電体膜70との境界面を基準とすると、中立面y0は下記式(1)で表される。
【0075】
【数1】
Figure 0003725390
【0076】
f:圧電体膜及び上電極膜のヤング率 Es:振動板のヤング率
νf:圧電体膜及び上電極膜のポアソン比 νs:振動板のポアソン比
d :圧電体膜及び上電極膜の膜厚 D :振動板の膜厚
【0077】
この式から、各層のヤング率及びポアソン比等の特性に応じて各層の厚さを、y0<0の関係が成り立つように決定すれば、中立面は振動板内に位置することになる。また、振動板及び圧電体膜のヤング率、ポアソン比は、0.2〜0.3程度であり、分母は常に正の値となるため、圧電素子及び振動板の各層の特性に応じて、それぞれの厚さを下記式(2)の関係を満たす値とすれば、中立面を振動板内とすることができる。
【0078】
【数2】
Figure 0003725390
【0079】
すなわち、振動板のヤング率と膜厚の二乗の積が、上電極膜80及び圧電体膜70のヤング率と膜厚の二乗の積より大きくなるように、各層の厚さを決定すればよい。この振動板のヤング率と膜厚の二乗の積は、特に、上電極膜80及び圧電体膜70のヤング率と膜厚の二乗との積の1〜50倍となるようにするのが好ましい。これにより、圧電素子の駆動による振動板の変形効率が向上される。
【0080】
なお、圧電体膜70に電圧を印加して変形させると、この変形に伴って圧電体膜70が硬くなり、見かけ上ヤング率が大きくなるが、このときにも上記式2の関係を満たすように、各層の特性に応じて各層の厚さを決定しておくことが好ましい。
【0081】
また、本実施形態では、振動板を構成する各層の厚さを調整して、中立面が振動板内に位置するようにしたが、その方法は特に限定されず、例えば、圧電体膜まで形成した状態で、各層の物性及び膜厚等に合わせて上電極膜80の膜厚を決定して形成するようにしてもよい。これにより、中立面を容易且つ確実に振動板内とすることができる。また、このとき酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を比較的厚く或いは硬く形成しておけば、上電極膜80の膜厚の調整がより容易となる。
【0082】
なお、絶縁体膜55を硬く又はその膜厚を厚くした場合でも、実際に使用する程度の範囲では、圧電素子の駆動による振動板の変形に大きく影響することはない。また、振動板の膜厚を大きくすることにより、振動板の剛性が高まって変位量が小さくなってしまう場合には、圧力発生室12の幅を増大させて対応することもできる。
【0083】
さらに、圧電体膜70の断面形状を適切に設置することにより中立面を振動板内に収めることも可能である。すなわち、本願発明の主旨の範囲内で各膜の物性値、膜厚又は断面形状を設定し、結果、圧電体能動部の駆動による中立面が振動板内にあることは本願発明の権利範囲となる。
【0084】
また、圧電体膜70の表面に形成される少なくとも何れか一方の電極、例えば、下電極膜60は、圧電体膜70の応力よりも大きい引張り応力を有することが好ましく、特に圧電体膜70が引張り応力を有する場合には、下電極膜60の引張り応力が、それぞれ圧電体膜70の引張り応力の1〜3倍であることが好ましい。また、上電極膜80も同様に、圧電体膜70の応力よりも大きい引張り応力を有することが好ましく、特に圧電体膜70が引張り応力を有する場合には、上電極膜80の引張り応力が、それぞれ圧電体膜70の引張り応力の1〜3倍であることが好ましい。これにより、圧電体膜70の変形の阻害を防止でき、結果的に圧電体膜70の変位効率を向上することができる。
【0085】
このような構成のインクジェット式記録ヘッドの圧電体能動部320に電圧を印加して駆動すると、中立面y0を境界として、振動板及び圧電体能動部320の各層の上電極膜80側には圧縮応力がかかり、一方、弾性膜50側には引っ張り応力がかかる。したがって、本実施形態のように中立面y0が振動板内にあるようにすれば、圧電体能動部320の駆動の際、圧電体膜70には圧縮応力のみがかかり、圧電体膜70自体の変位力をインクの吐出力に充分に変換することができ、駆動電圧を低下させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、特に、中立面y0を脆性材料からなる絶縁体膜55内にあるようにした、すなわち、最も応力集中の少ないところに脆性材料からなる絶縁体膜55が位置するようにしたので、圧電体能動部320の駆動の際、振動板にかかる応力が抑えられ、振動板の破壊、劣化等も防止することができる。
【0087】
もちろん、本願発明は本実施例に限定されず、例えば、振動板を下電極膜60のみで構成することも可能である。この場合、下電極膜60を白金等の延性材料で形成することにより、振動板を引張り応力に適したものとすることができる。
【0088】
一方、従来のように中立面が圧電体膜70内にある場合には、図8に示すように、中立面y0よりも上電極膜80側の圧電体膜70aには圧縮応力がかかるものの、弾性膜50側の圧電体膜70bには引っ張り応力がかかってしまう。そのため、圧電体膜70自体の変位力をインクの吐出力に充分に変換することができず、変位の効率が低下してしまう。
【0089】
ここで、上述のような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの具体例を示す。
【0090】
(実施例及び試験例)
本実施例では、上記式2の関係を満たすように、振動板及び圧電素子の各層を下記表1に示す物性及び膜厚で形成して、中立面y0が振動板内に位置するインクジェット式記録ヘッドを形成した。
【0091】
また、比較例として、振動板及び圧電素子の各層を下記表1に示す物性及び膜厚とすると共に他の条件を実施例と同一として中立面y0を振動板の外側に位置するようにしたインクジェット式記録ヘッドを形成した。
【0092】
【表1】
Figure 0003725390
【0093】
【数3】
Figure 0003725390
【0094】
また、これら実施例及び各比較例のインクジェット式記録ヘッドにおいて、圧電素子に25Vの電圧を印加して駆動した際の振動板の変形量及び変形効率(電圧25V印加時の単位当たりの変位エネルギー)を測定した。なお、比較例1は、歪み、ヤング率を一定とし膜厚を変化させた例であり、比較例2は、膜厚、歪みを一定としヤング率を変化させた例である。その結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
Figure 0003725390
【0096】
表2からも明らかなように、中立面が振動板内に位置するようにした実施例では、比較例に比べて変位量及び変位エネルギーが著しく向上していることが分かる。すなわち、中立面が振動板内に位置するようにすれば、圧電素子の駆動による振動板の変位効率を著しく向上することができる。
【0097】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本
的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0098】
例えば、上述の実施形態では、中立面が振動板の絶縁体膜55内にあるようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、振動板の各層の厚さを調整して、図中点線で示すように、中立面y0が弾性膜50内にあるようにしてもよい。また、勿論、中立面y0が下電極膜60内にあるようにしてもよい。何れにしても、中立面y0が振動板内にあるようにすれば、上述の実施形態と同様に、変位効率を向上することができる。
【0099】
また、例えば、上述した封止板20の他、共通インク室形成基板30をガラスセラミックス製としてもよく、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由である。
【0100】
また、上述した実施形態では、ノズル開口を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0101】
このように構成した実施形態の分解斜視図を図10、その流路の断面を図11にぞれぞれ示す。この実施形態では、ノズル開口11が圧電素子とは反対のノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止板20,共通インク室形成基板30及び薄肉板41A及びインク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0102】
なお、本実施形態は、その他、薄肉板41Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板40Aに開口40bを形成した以外は、基本的に上述した実施形態1と同様であり、同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0103】
また、勿論、共通インク室を流路形成基板内に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも同様に応用できる。
【0104】
また、以上説明した各実施形態は、成膜及びリソグラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明を採用することができる。
【0105】
また、圧電素子とリード電極との間に層間絶縁膜を設けた例を説明したが、これに限定されず、例えば、層間絶縁膜を設けないで、各上電極に異方性導電膜を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続したり、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0106】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0107】
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図12は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0108】
図12に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0109】
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、圧電素子の駆動時に中立面が圧電体膜内にないようにしたので、圧電体膜の変位効率を向上させることができ、その結果インクの吐出効率を向上することができる。したがって、圧電素子の駆動電圧も低減させることができる。また特に、圧電素子の駆動時の中立面を脆性材料内にあるようにすれば、圧電素子の駆動による脆性材料の破壊及び劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図である。
【図3】図1の封止板の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図及び断面図である。
【図8】従来技術に係る圧電体能動部の駆動による中立面を説明する断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
12 圧力発生室
50 弾性膜
55 絶縁体膜
60 下電極膜
70 圧電体膜
80 上電極膜
90 層間絶縁膜
100 リード電極
300 圧電素子
320 圧電体能動部

Claims (14)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成する振動板と、該振動板の少なくとも一部を構成する下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを備え且つ前記圧力発生室に対向する領域に前記圧電素子を構成する前記圧電体層の実質的な駆動部となる圧電体能動部を具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記振動板が少なくとも金属酸化膜又は脆性材料膜の何れかを含み、前記圧電体能動部の駆動による中立面が当該金属酸化膜又は脆性材料膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成する振動板と、該振動板の少なくとも一部を構成する下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを備え且つ前記圧力発生室に対向する領域に前記圧電素子を構成する前記圧電体層の実質的な駆動部となる圧電体能動部を具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記圧電体能動部の駆動により前記圧電体層に圧縮応力のみが生じるように、前記振動板及び前記圧電素子を構成する各層の厚さを規定すると共に、前記振動板が少なくとも金属酸化膜又は脆性材料膜の何れかを含み、前記圧電体能動部の駆動による中立面が当該金属酸化膜又は脆性材料膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項1又は2において、前記振動板のヤング率と膜厚の二乗との積が、前記上電極及び前記圧電体層のヤング率と膜厚の二乗との積よりも大きいことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 請求項3において、前記振動板のヤング率と膜厚の二乗との積が、前記上電極及び前記圧電体層のヤング率と膜厚の二乗との積の1〜50倍であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記下電極が、前記圧電体層の応力よりも大きい引張り応力を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  6. 請求項5において、前記圧電体層が有する応力が引張り応力であり、前記下電極が前記圧電体層の引張り応力の1〜3倍であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  7. 請求項1〜6の何れかにおいて、前記上電極が、前記圧電体層の応力よりも大きい引張り応力を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  8. 請求項7において、前記圧電体層が有する応力が引張り応力であり、前記上電極が前記圧電体層の引張り応力の1〜3倍であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  9. 請求項1〜8の何れかにおいて、少なくとも前記圧電体能動部の前記圧電体層と前記上電極との膜厚の和が、前記振動板の膜厚よりも薄いことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  10. 請求項1〜9の何れかにおいて、前記振動板が延性材料膜からなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  11. 請求項1〜10の何れかにおいて、前記振動板が少なくとも前記脆性材料膜を含むと共に当該脆性材料膜が酸化ジルコニウムからなり、前記中立面が前記脆性材料膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  12. 請求項1〜10の何れかにおいて、前記振動板が少なくとも前記金属酸化膜を含むと共に当該金属酸化膜が酸化シリコンからなり、前記中立面が前記金属酸化膜中に位置することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  13. 請求項1〜12の何れかにおいて、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  14. 請求項1〜13の何れかのインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置。
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